JP3797845B2 - 光電子放出材及び負イオン発生装置 - Google Patents

光電子放出材及び負イオン発生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電子放出材に係り、特に負イオンを長期間放出できる光電子放出材及びそれを用いた負イオン発生装置に関する。
本発明は、(1)人に対する爽快感創出空間、アメニティ空間、(2)菌類の増殖防止、例えば食品ケース、(3)植物の生育環境、(4)半導体、液晶、精密機械工業における電気的に安定な空間の創出、帯電物体の中和、(5)負イオンにより粒子状物質(微粒子)を荷電し、捕集・除去することによる清浄気体や清浄空間を得る分野、(6)負イオンにより粒子状物質を荷電し、該粒子の分離・分級や表面改質、制御を行う分野等において利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来の光電子放出材は、紫外線照射により光電子を放出する光電子放出性物質からなるバルク状(塊状)のもの、又はバルク状の母材に光電子放出性物質を薄膜状に付加したものが知られている。後者の例としては、例えば紫外線透過性物質であるガラス板に光電子放出性物質を付加したもの、或いは板状Cu−Znに光電子放出性物質を付加したものがある。
光電子放出材に、紫外線を照射することにより発生する光電子による空間の清浄化については、本発明らの多数の提案や研究論文がある。例えば、(1)空間清浄化に関するものでは、特公平3−5859号、特公平6−3494号、特公平6−74909号、特公平6−74710号、特公平8−211号各公報参照、(2)光電子放出材に関するものでは、特公平6−74908号、特公平7−93098号、特開平3−108698号各公報参照、(3)研究論文では、(a)Proceedings of the 8th. World Clean Air Congress.1989.Vol.3.Hague p735〜740(1989)、(b)エアロゾル研究、第7巻、第3号、p245〜247(1992)、(c)エアロゾル研究、第8巻、第3号、p239〜248(1993)、同第8巻、第4号、p315〜324(1993)、などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の光電子放出材は、その利用分野、それが利用される装置、要求性能によっては改善の余地がある。
例えば、従来の光電子放出材を用いて半導体工場における空間清浄を行う例を、図8を参照しつつ説明する。図8は、半導体工場におけるクラス1000のクリーンルームに用いられる空気清浄装置Yを示している。この空気清浄装置Yは、クラス1000のクリーンルームの微粒子(粒子状物質)除去のために、ユースポイントに設置されている。クリーンルーム中には、汚染物質として微粒子やガス状物質が存在するが、空気清浄装置Yにより微粒子を除去して清浄空気とし、この清浄空気を半導体製造装置及びその周辺へ供給し、清浄な環境を保っている。
【0004】
空気清浄装置Yは、主に、殺菌ランプ(波長:254nm)からなる紫外線ランプ51、紫外線照射用窓ガラス52表面上にAu(金)53を薄膜状に付加してなる光電子放出材54、電場設定のための電極55及び荷電微粒子捕集材56により構成されている。クリーンルーム中の微粒子を含有する空気57aが空気清浄装置Yに入ると、空気57a中の微粒子は、紫外線照射を受けて光電子放出材54から放出される光電子により荷電されて荷電粒子(負イオン)となり、下流側に設置された荷電微粒子捕集材56で捕集され、出口では清浄空気57bとなる。
このような構成の場合、長時間運転を行うと、使用条件によっては光電子放出材54の性能が低下する場合がある。即ち、光電子放出材54の光電子放出量が低下し、除塵性能が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み為されたもので、負イオンを長時間安定して放出することができる光電子放出材、及びそれを用いた負イオン発生装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、Auを用いた光電子放出材は、長時間の使用により環境の影響(例えば、紫外線照射や処理空気中の不純物等の影響)を受けて性能が低下するが、この性能低下した光電子放出材はAuの結晶子径の成長がみられることを見い出した。これより、光電子放出材の性能低下の原因は多くの因子が考えられるが、その1つとして結晶子の成長が原因であるとの知見を得て、本発明を為すに至った。
【0007】
即ち、請求項1に記載の発明は、母材と、該母材に被覆された紫外線照射により光電子を放出する光電子放出物質としての厚さ5Å〜5000ÅのAu(金)と、該Au(金)の表面にPtをスパッタリングにより粒子状に分散させた保持材とを備え、前記保持材をAu(金)の表面積に対して付加する量は、面積比で10−80%であり、前記保持材により前記Au(金)の結晶子径の成長を抑制するようにしたことを特徴とする光電子放出材である。これにより、Auが保持材で保持(固定化)されることにより、長時間安定して負イオンを放出することができる。これは、詳細は不明であるが、保持材によりAuが固定化され、その結果Auの結晶子径の成長が抑制され、長時間の使用においても初期の状態が維持されるためと考えられる。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、母材と、該母材に被覆された紫外線照射により光電子を放出する光電子放出物質としての厚さ5Å〜5000ÅのAu(金)と、該Au(金)の表面にPtをスパッタリングにより粒子状に分散させた保持材と該光電子放出材に紫外線を照射する紫外線の照射源と、を備え、前記保持材を前記Au(金)の表面積に対して付加する量は、面積比で10−80%であることを特徴とする負イオン発生装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、各図において同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明を省略する。
図1は、光電子放出材1を示す図である。この光電子放出材1は、母材2の表面に光電子放出性物質としてのAu3が薄膜状に被覆され、その上から保持材4が付加されて構成されている。Au3は、紫外線源からの紫外線照射により光電子を放出する。この光電子放出材1においては、保持材4によりAu3が母材2上で流動化しないように固定化され、初期の状態を維持するようになされている。
【0010】
上記Au3は、適宜の材質からなるプリーツ状、板状、筒状、網状、線状又は格子状の母材2上に付加される。Au3の付加の方法は、紫外線照射により光電子が放出されれば何れの方法でも良く、母材2の表面に周知の方法でコーティング或いは付着させて付加することができる。例えば、イオンプレーティング法、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、メッキによる方法、塗布による方法、スタンプ印刷による方法、スクリーン印刷による方法等を用いることができる。Au3は、薄膜状、網状、線状、粒状、島状又は帯状等適宜の状態に付加することができる。Au3の厚さは、紫外線照射により光電子が放出される厚さであれば良く、5Å〜5000Å、通常20Å〜500Åが一般的である。
【0011】
上記保持材4は、Au3を長時間にわたり保持(固定化)するためのものである。このような保持4としては、その材料自体が安定な(紫外線照射により変化しない)物質、Auと固溶体を作るものがある。具体例としては、Y,Gd,La,Ce,Nd,Pr,Zr,Fe,Ni,Zn,Cu,Ag,Pt,Pb,Al,C,Mg,In,Bi,Nb,Si,Ti,Ta,Snのいずれか又は二種類以上を複合して用いることができる。これらの保持材4を使用する場合は、Auが長時間にわたり固定化(初期状態を維持)されれば良く、付加する量はAuの表面積に対して、0.1〜90%、好ましくは10〜80%(面積比)である。この付加量はAu被覆の形態(状態)等に合わせて、予備試験等を行い決めることができる。通常Auが膜状の場合は少なく、粒子状の場合はAuの結晶子径の成長が起こりやすいので多くする。付加方法は、Auが固定化されれば何れの方法でも良く、スッパタリング法、蒸着法が好適に使用できる。
【0012】
上記母材(支持材)2は、Au3を支持する役割を果たすものであれば良く、Au3が付加できる安定な物質で、適宜の形状にできるものであれば何れのものでも良い。具体例としては、Cu合金(例えばCu−Zn,Cu−Sn,Cu−Al)、Ag合金(例えばAg−Mg,Ag−In,Ag−Ni,Ag−Ti,Ag−Fe,Ag−Cu,Ag−Zn,Ag−Al,Ag−Zn)、Al合金(例えばAl−Cu−Mg)、ステンレス鋼などがある。
また、使用目的(用途)によっては、紫外線透過性物質、例えばガラスが母材に好適に使用できる。また、炭化水素(H.C)のような有害ガスを含む場合には、光触媒材、例えばTiO2 を母材に用いることができる。TiO2 を母材に用いると、共存する炭化水素のような有害ガスを同時に除去できるので、用途や要求性能によっては好適に使用できる。ここで、光触媒材としてのTiO2 は、Ti材を700〜1000℃のような高温で焼成することにより得ることができる(例えば、特開平11−90236号公報)。また、TiO2 を適宜の材料に被覆することにより得ることができる。
【0013】
このような光電子放出材1は、母材2上にAu3を被覆し、次いで保持材4でAu3を保持(固定化)するため、長時間安定な光電子放出材となる。Au3の付加方法や形状、保持材の種類、付加方法、形状、母材の種類、後述する電場の強さ、かけ方は、適宜予備試験を行い効果、経済性等を考慮して決めることができる。
【0014】
次に、本発明の光電子放出材の製造方法の例を説明すると、先ず、母材としての板状ステンレス鋼材上に、Auをスパッタリング法により300Åの厚さに被覆する。次に、保持材としてPtをAuの上からスッパタリング法により粒子状に付加する。Ptの付加量は、Auの面積に対して10%である。
【0015】
また、他の製造方法の例としては、母材としてTiを1000℃で焼成することにより製造したTiO2 (Ti上にTiO2 が形成される)上に、Auをスパッタリング法により100Åの厚さに被覆する。次に、保持材としてPtをAuの上からスパッタリング法により粒子状に付加する。Ptの付加量は、Auの面積に対して55%である。
【0016】
次に、紫外線の照射源について説明する。
紫外線の照射源は、前述の光電子放出材への照射により、光電子を放出する物質(Au)から光電子を放出させるものであれば良い。また、例えばTiO2 を母材として用いるものではさらに光触媒作用を発揮するものであれば良い。この照射源としては、一般に、水銀灯、水素放電管、キセノン放電管、ライマン放電管などが適宜使用できる。光源の例としては、殺菌ランプ、ブラックライト、蛍光ケミカルランプ、UV−B紫外線ランプ、キセノンランプがある。このうち、殺菌ランプ(主波長:254nm)が好ましい。殺菌ランプは、オゾンレスであり、殺菌(滅菌)作用を有するためである。該光源の形状は、棒状、螺旋状、箱状等適宜の形状のものを用いることができる。
【0017】
光電子放出材への紫外線の照射は電場下において行うと、光電子放出材からの光電子発生が効果的に起こる。電場の形成方法としては、負イオン発生部の形状、構造、適用分野或いは期待する効果(精度)等によって適宜選択することができる。電場の強さは、光電子放出性物質の種類等で適宜決めることができる。電場の強さは、一般に0.1V/cm〜2kV/cmである。電極材料とその構造は通常の荷電装置において使用されているもので良く、例えば電極材料として、線状、網状、板状のタングステン、ステンレス鋼、Cu−Zn等が用いられる。
【0018】
図2は、快適空間(アメニティ空間)への本発明の利用を示す例であって、負イオン発生装置Aが設置されたリフレッシュルーム10の構成図を示す。
図2において、負イオン発生装置Aは、主に、光電子放出材1A、紫外線ランプ(紫外線の照射源)11、光電子放出材1Aからの光電子放出のための電場設定用電極12、送気ファン13、除塵フィルタ(HEPAフィルタ)14から構成されている。ここで、光電子放出材1Aは、ステンレス鋼材(母材)にAuをスパッタリング法により500Åの厚さに被覆し、その上から保持材としてのPtを、スパッタリング法によりAuの面積に対して30%の割合で粒子状に分散させて付加したものである。
【0019】
リフレッシュルーム10内の空気15aは、送気ファン13により先ず除塵フィルタ14に送り込まれ、ここで除塵されて微粒子が除去された清浄空気15bとなる。光電子放出材1Aは、紫外線ランプ11から直接放射される紫外線により紫外線照射されており、これにより光電子放出材1Aから光電子が放出される。この光電子は、電極作用を受けて電極12の方向に向かい、ここで流入する空気15b中の水分や酸素の作用を受け、負イオン16に変化する。この負イオン16は、流入する空気15bの流れの作用を受け、負イオン富化空気15cが負イオン発生装置Aの出口から放出される。この負イオン富化空気15cによりリフレッシュルーム10内の人17が快適感(爽快感)を得てリフレッシュし、作業効率が向上する。18は椅子を示す。
【0020】
ここで、負イオン発生のための空気15aは、まず本例のような除塵フィルタ14及び/又は本発明者らが既に提案した光電子を用いる荷電・捕集方式(例えば、特公平3−5859号、特公平6−74909号、特公平6−74910号各公報)により除塵を行うのが好ましい。これは、除塵された清浄空気15bを用いることにより、光電子放出材1Aから放出された光電子が効果的に負イオンとなるからである。本例における放出負イオン濃度は5×104 個/ml〜6×104 個/mlである。なお、本例の紫外線ランプ11はオゾンレスの殺菌ランプであり、これによりAuから光電子が効率よく放出される。
このようにして、オゾンレスの負イオン富化空気(爽快感が得られる空気)7が長時間安定して得られる。
【0021】
図3は、クリーンルームの搬送空間へ負イオンの放出を行って除電を行い、電気的に安定な空間を創出することへの本発明の利用例を示すものであって、一体化された除電用負イオン発生装置Bが設置されたガラス基板の搬送装置の構成図を示す。
図3において、負イオン発生装置Bは、主に、光電子放出材1B、紫外線ランプ11、光電子放出材1Bから光電子を放出するための電場設定用電極12、紫外線照射用窓ガラス21、紫外線ランプ11からの放射紫外線の反射面22、送気ファン13、除塵フィルタ14から構成されている。ここで、光電子放出材1Bは、アルミニウム材にTiO2 を付加した母材に、Auをスパッタリング法により50Åの厚さに被覆し、その上から保持材としてのPtをスパッタリング法によりAuの面積に対して90%の割合で粒子状に分散させて付加したものである。
【0022】
クラス1000のクリーンルーム内の空気23aは、送気ファン13により先ず除塵フィルタ14に送り込まれ、ここで除塵されて微粒子が除去された清浄空気23bとなる。板状の光電子放出材1Bは紫外線ランプ11で紫外線照射され、これにより光電子放出材1Bから光電子が放出される。光電子放出材1Bから放出された光電子は電極12の作用を受け、電極12の方向に向かい、ここで流入する空気23b中の水分や酸素の作用を受け、負イオン16に変化する。この負イオン16は流入する空気23bの流れの作用を受け、負イオン富化空気23cが負イオン発生装置Bの出口から放出される。このため、搬送装置24で搬送されるガラス基板25は、除塵前(Pの位置)では3000〜3500Vの電位を有するが、除塵後(Qの位置)では10V以下まで下がる。
【0023】
光電子放出材1Bは、紫外線照射により母材のTiO2 が光触媒作用を発揮するため、光電子放出材1Bへの付着汚染物質、例えば炭化水素が光触媒作用により分解・除去されるため、光電子放出材1Bが長時間安定してその性能を維持することができる。
また、クリーンルームでは、炭化水素、例えばフタル酸エステルは、ガラス基板に対し有害な汚染物質である。即ち、ガラス基板への炭化水素の汚染は、電気的な障害発生の原因や表面のぬれ性低下の原因となる。しかし、光電子放出材1Bがこれらの汚染物質を分解・除去するので、この光電子放出材1Bを用いた除塵用負イオン発生装置Bでは、粒子とガスが除去されたクリーンな(基板を汚染しない)負イオン富化空気23cが得られる。
【0024】
図4は、半導体工場におけるクラス1000のクリーンルームに設置された小型のウエハ保管庫(ウエハ収納ストッカ)における空気清浄に、本発明を用いた例を示すものであって、ウエハ保管庫30の構成図を示す。
ウエハ保管庫30は、主に、ウエハ保管庫30の外側に設置された紫外線ランプ11、紫外線の反射面22、光電子放出材1B、光電子放出用の電場設置のための電極12、荷電微粒子の捕集材31から構成されている。ここで、光電子放出材1Bは、図3において説明したものと同一の構成である。
【0025】
ウエハ保管庫30中の微粒子(微粒子状物質)32は、紫外線照射用窓ガラス21を通して紫外線ランプ11から照射された紫外線により光電子放出材1Bから放出された光電子(負イオン)16により荷電されて荷電微粒子となり、この荷電粒子が荷電粒子の捕集材31により捕集される(空気清浄化部D)。これにより、ウエハが置かれる被処理空間部(清浄化空間部E)は高清浄化される。なお、紫外線ランプ11からの紫外線がウエハキャリア33及びウエハ34に照射されるのを防ぐために、遮光材35が被処理空間部Dと空気清浄化部との間に設置されている。
【0026】
ウエハ保管庫30中の炭化水素(非メタン炭化水素)は、光電子放出材1B表面に吸着し、紫外線照射を受けたTiO2 により分解・無害化される。ウエハ保管庫30では、ウエハ34の保管庫30への出し入れ(保管庫の開閉)毎に、クリーンルーム中の有害物質としての微粒子32(濃度:1000クラス)や、ウエハ基板に付着すると接触角の増加をもたらす有機性ガス36(非メタンH.C濃度:1.0〜1.5ppm)が侵入するが、上述したようにして、これらの有害物質(微粒子及び有機性ガス)は捕集・除去され、保管庫30の清浄化空間部Eでは、接触角の増加をもたらさない(非メタンH.C濃度として0.2ppm以下)クラス1よりも清浄な超清浄空間が創出される。
【0027】
空気清浄化部Dに移動した空気は、紫外線ランプの照射により加温されるため、上昇気流が生じ、保管庫30内を矢印37a,37bのように動く。この空気の自然循環により保管庫30内の微粒子32やウエハ基板に付着すると接触角の増加をもたらす有機性ガス36は、空気清浄化部Dに順次移動する。このようにして、保管庫30内の空気は迅速かつ簡便に清浄化され、保管庫30は超清浄空間となり、ウエハの汚染防止が顕著に図られる。
【0028】
上記において、光電子放出材1Bへの紫外線の照射は、曲面状の反射面22を用い、紫外線ランプ11からの紫外線を光電子放出材1Bに効率よく照射している。
また、電極12は、光電子放出材1Bからの光電子放出を電場で行うために設置している。すなわち、光電子放出材1Bと電極12との間に電場を形成している。微粒子の荷電は、電場において光電子放出材に紫外線照射することにより発生する光電子により効率よく実施される。ここでの電場の電圧は、50V/cmである。
本発明の光電子放出材1Bは、上記のごとく長時間安定した性能を維持しており、またウエハを汚染する炭化水素等が効果的に除去されるので、粒子及びガスを同時除去できる実用上効果的な光電子放出材である。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
図2に示した構成の負イオン発生装置Aに、下記条件で室内空気を導入して、光電子放出材1Aに紫外線照射を行い、負イオン測定器を用いて負イオン発生装置A出口の負イオン濃度の連続運転における推移を調べた。
[条件]
(1)負イオン発生装置の大きさ;30×30×60cm、
(2)光電子放出材;ステンレス鋼材(母材)上にAuをスパッタリング法により500Åの厚さに被覆し、次いでPtをスパッタリング法によりAuの面積の20%の割合で粒子状に分散させて付加したもの、
(3)紫外線ランプ;殺菌ランプ(波長:254nm)、
(4)電極;網状〔光電子放出材(負)、電極材(正)、 電界強度 10V/cm〕、
(5)除塵フィルタ;HPEAフィルタ、
(6)負イオン濃度測定器;イオンテスター(0.4cm2 /V.S以上の電気
移動速度を持つもの)
なお、比較例として、Ptを付加をしていない光電子放出材を用いて、上記同様にして負イオン濃度を測定した。
【0030】
その結果を図5に示す。図5中本発明の光電子放出材を−○−、比較例としてPtの付加を行わない光電子放出材を−●−で示す。図5から明らかなように、Ptを付加していない従来の光電子放出材では負イオン濃度が約50日を経過すると減少したのに対し、本発明の光電子放出材では負イオン濃度が1000日近くまで経過しても減少しなかった。
【表1】
Figure 0003797845
なお、光電子放出材のAuの結晶子径を原子力間顕微鏡で測定したところ、表1に示すように、本発明の光電子放出材では、初期値、10日後及び280日後でAuの結晶子径が全て14nmであって変化しなかったのに対し、Ptを付加していない従来の光電子放出材では、初期値及び10日後のAuの結晶子径が共に14nmで変化していないが、性能低下が見られた280日後におけるAuの結晶子径が29nmとなり、Auの結晶子径の成長が認められた。
【0031】
(実施例2)
図4に示した構成のストッカ(保管庫)に、下記条件で半導体工場におけるクラス1000のクリーンルームの空気(試料空気)を導入し、ストッカの微粒子濃度、収納したウエハ上の接触角、及びストッカの空気中のガス状汚染物質の濃度について調べた。なお、ストッカは、一日10回開閉を行い、クリーンルーム空気の導入を行った。
[条件]
(1)ストッカの大きさ;100リットル、
(2)光電子放出材;アルミニウム材にTiO2 を付加した母材に、Auをスパッタリング法により50Åの厚さに被覆し、その上から保持材としてのPtをスパッタリング法によりAuの面積に対して90%の割合で粒子状に分散させて付加したもの、
(3)紫外線ランプ;殺菌ランプ(波長:254nm)、
(4)光電子放出用電極;網状、(電界強度 50V/cm)、
(5)荷電粒子捕集材;ステンレス鋼材、(電界強度 850V/cm)、
(6)クリーンルーム空気(試料空気);微粒子濃度:クラス1000、
H.C濃度:1.1ppm
NH3 濃度:35ppb
(7)ストッカ中微粒子濃度の測定;パーティクルカウンター光散乱式
(>0.1μm)
(8)ウエハ上接触角の測定;水滴接触角計
(9)空気中H.C濃度;GC法
【0032】
ストッカは、1日10回開閉を行い、クリーンルーム空気の導入を行った。その結果を以下に示す。
(1)スタッカ中微粒子濃度
その測定結果を図6に示す。測定結果は、クリーンルームに空気を導入してから30分後のストッカ中の微粒子濃度(1ft3 中の微粒子の個数)である。図6中、本発明の光電子放出材を−○−、比較例としてPtの付加を行わない従来の光電子放出材を−●−で示す。また、図6中、矢印(↓)は検出限界(1個/ft3
以下)を示す。図6から明らかなように、Ptを付加していない従来の光電子放出材では1ft3 中の微粒子の個数が約50日を経過すると増加したのに対し、本発明の光電子放出材では1個/ft3
のまま1000日近くまで経過しても増加しなかった。
光電子放出材のAuの結晶子径を原子力間顕微鏡で測定したところ、表1と同様に従来の光電子放出材では結晶子径の成長(初期の径に対して2倍以上)が認められた。
【0033】
(2)接触角
その測定結果を図7に示す。図7中、−○−は、本発明の光電子放出材を用いたもの、−▲−は、比較例として本発明の光電子放出材を設置しない場合を示す。ここで、接触角とは、固体表面の汚染の程度を示す指標であり、固体表面が汚染されると、水の接触角がその汚染状況をよく反映し、汚染の程度が大きいと接触角が大きく、逆に汚染の程度が小さいと接触角が小さい。図7から明らかなように、光電子放出材を設置していない場合では、接触角の増加がみられたのに対し、本発明の光電子放出材を用いた場合では、初期値が約5度である接触角が280日を経過しても殆ど増加しなかった。
【0034】
(3)ストッカ空気中のガス状汚染物質の濃度
空気中H.C及びNH3 濃度の測定結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0003797845
表2には、比較例として本発明の光電子放出材を設置しない場合の測定結果を合わせて示した。表2から、比較例では、H.C濃度が1〜1.1ppmで、NH3 濃度が30〜32ppbであったのに対し、本発明の光電子放出材を用いた場合では、H.C濃度が0.1ppmより低く、またNH3 濃度が1ppbより低かった。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
[I]光電子放出性物質としてAuを用いた光電子放出材において、Auを母材に付加し、該Auを保持材で保持(固定化)することによって、
(1)光電子放出材からの光電子(負イオン)発生が、長時間安定化する。即ち、長時間性能安定な光電子放出材が得られる。
(2)光電子放出の効果が向上し、かつ安定するので、負イオン発生が効果的(高性能かつ、長時間安定)になり、負イオンを利用する分野の実用性が向上する。
(3)母材として、光触媒を用いることにより、該光触媒により、通常の空気中や気体中などの空間中に存在するH.CやNH3 のようなガス状汚染物質が分解・除去されるので、クリーンな空気(気体)が得られる。
【0036】
[II]上記[I]の光電子放出材を備えた負イオン発生装置を用いることにより、負イオンを利用する次の分野の実用性が向上する。
(1)生体の代謝機能や生理機能を衰えさせない生体に対する快適な作業空間を作る分野。
(2)電気的に安全な空間(帯電物の中和、除電)を作る分野。
(3)食品の鮮度維持や菌類の増殖防止の分野。
(4)気体中あるいは空間中の微粒子を荷電して利用する分野、例えば清浄化気体あるいは清浄化空間を得る分野、微粒子の測定を行う分野、微粒子の分離、分級や表面改質、制御を行う分野。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光電子放出材を示す図であって、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図2】快適空間(アメニティ空間)への本発明の利用例を示す図であって、負イオン発生装置が設置されたリフレッシュルームの構成図である。
【図3】電気的に安定な空間を創出することへの本発明の利用例を示す図であって、除電用負イオン発生装置が設置された基板の搬送装置の構成図である。
【図4】ウエハ保管庫における空気清浄への本発明の利用例を示す図であって、ウエハ保管庫の構成図である。
【図5】図2に示した負イオン発生装置出口の負イオン濃度の連続運転における推移を示すグラフである。
【図6】図4に示したストッカの微粒子濃度の変化を示すグラフである。
【図7】図4に示したストッカのウエハ上の接触角の変化を示すグラフである。
【図8】従来の光電子放出材を用いて半導体工場における空間清浄を行う例を示す図であって、空気清浄装置の構成図である。
【符号の説明】
1、1A、1B 光電子放出材
2 母材
3 Au
4 保持材
A、B 負イオン発生装置
11 紫外線ランプ(紫外線の照射源)

Claims (2)

  1. 母材と、該母材に被覆された紫外線照射により光電子を放出する光電子放出物質としての厚さ5Å〜5000ÅのAu(金)と、該Au(金)の表面にPtをスパッタリングにより粒子状に分散させた保持材とを備え、
    前記保持材をAu(金)の表面積に対して付加する量は、面積比で10−80%であり、前記保持材により前記Au(金)の結晶子径の成長を抑制するようにしたことを特徴とする光電子放出材。
  2. 母材と、該母材に被覆された紫外線照射により光電子を放出する光電子放出物質としての厚さ5Å〜5000ÅのAu(金)と、該Au(金)の表面にPtをスパッタリングにより粒子状に分散させた保持材と
    該光電子放出材に紫外線を照射する紫外線の照射源と、
    を備え、前記保持材を前記Au(金)の表面積に対して付加する量は、面積比で10−80%であることを特徴とする負イオン発生装置。
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