JP3797275B2 - 乾燥滅菌機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は乾燥滅菌機に係り、特に、熱風循環ファンからダクトを介して供給された乾燥滅菌エアを、耐熱フィルタを透過させて浄化した後、乾燥滅菌空間内に導入して物品の乾燥滅菌を行い、その後冷却処理するトンネル型乾燥滅菌機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル型乾燥滅菌機では、上流側から順に入口領域を構成する挿入部、滅菌領域を構成する加熱滅菌部および冷却領域を構成する冷却部からなっている。この乾燥滅菌機の上流側には、洗浄機が、下流側には、充填機がそれぞれ接続される。各部の処理室内の圧力は厳密に制御され、冷却部の圧力が最も高く、次いで加熱滅菌部が、そして挿入部が最も低くなっている(冷却部内の圧力>加熱滅菌部の圧力>挿入部の圧力)。このため、冷却部から加熱滅菌部を経て挿入部に向けてエアの流れが生じるようになっている。
【0003】
加熱滅菌部は、乾燥滅菌エアを加圧供給して内部を循環させるファンと、前記乾燥滅菌エアを浄化するフィルタと、前記ファンから送風されたエアをフィルタに案内するダクトとを備えており、上流側の挿入部から加熱滅菌部内に搬入されてコンベヤによって搬送されている物品に、前記フィルタで浄化された乾燥滅菌エアを吹き付けて乾燥滅菌した後、下流側の冷却部に排出するようになっている。冷却部は、内部のエアを冷却する熱交換器と、冷却されたエアを加圧供給して内部を循環させるファンと、この冷却されたエアを浄化するフィルタ(HEPAフィルタ)と、浄化された冷却エアを室内に導き物品を冷却処理する冷却処理室とを備えている。冷却処理された物品は、下流側の充填機に送られるようになっている。冷却部には、外部に開口する外気取り入れ口が設けられ、生産運転時、内部の陽圧を保持するようになっている。HEPAフィルタは高温エアの浄化に使用される。
【0004】
ところで、下流側充填機の無菌状態が破られると、無菌でないエアが冷却処理室内に侵入する畏れがある。このため、従来の乾燥滅菌機では、冷却部にヒータを設け、冷却処理室を加熱滅菌するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
冷却処理室を加熱滅菌するには、ヒータの加熱により内部の温度をセ氏180度程度で所定の時間保持する必要がある。加熱滅菌後、冷却部内の温度が高温状態で、例えばセ氏180度になっている状態でエアをそのまま熱交換器(エアクーラー)に通すことはできない。セ氏100度以上の熱風を流す場合には、第1種圧力容器となるため、加熱滅菌するたびに熱交換器の冷媒を給排水しなければならず、作業が煩わしくなるという問題がある。これに対し、ヒータが自然に冷えるのを待つという手段もあるものの非常に時間がかかり作業効率が悪い。また、加熱滅菌後、冷却部内を高温状態から急速に冷却すると、温度差の激しい使い方によりHEPAフィルタの損傷を招くおそれがある。
【0006】
さらに、冷却部には、内部の陽圧を保持するため外気取り入れ口が設けられているが、外気の取り込み量を任意に変化させることができず、陽圧度の管理が難しいという問題があった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、冷媒の給排水が不要で、冷却工程の時間を短縮することができ、しかも、フィルタを良好に維持する温度管理を行うことができるとともに、陽圧度の管理を容易に行うことができる乾燥滅菌機を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る乾燥滅菌機は、搬入される物品を加熱して乾燥滅菌を行う加熱部と、この加熱部から搬送される加熱された物品を冷却する冷却部とを備えた乾燥滅菌機において、冷却部には、エアを冷却する熱交換器と、エアをフィルタを介して冷却処理室に送り循環させるファンとを設けるとともに、エアを加熱して乾燥滅菌を行う加熱手段を設け、冷却処理室から熱交換器を経由してファンに到る経路と冷却処理室から熱交換器を迂回してファンに到る経路とに切換可能な切換手段を設けたものである。
【0009】
また、請求項2に係る乾燥滅菌機は、冷却部には、外気を取り入れ可能な外気取り入れ手段を設けたものである。
【0010】
さらに、請求項3に係る乾燥滅菌機は、冷却処理室には、冷却処理室のエア温度を検出する温度検出手段を設けるとともに、検出されたエア温度に基づいて、切換手段と取り入れ手段とのうち少なくともいずれか一方を選択して制御する制御手段を設けたものである。
【0011】
請求項4に係る乾燥滅菌機は、制御手段は、切換手段を動作させて冷却処理室から熱交換器を迂回させてファンに到る経路に切り換え、加熱手段を動作させ外気を取り入れないで形成される加熱経路と、この加熱経路と同一の経路で加熱手段の動作が停止される第1の冷却経路と、前記切換手段により熱交換器を迂回させてファンに到る経路に切り換えたまま、加熱手段が非動作状態で前記取り入れ手段により外気を取り入れて形成される第2の冷却経路と、前記切換手段を動作させて冷却処理室から熱交換器を経由させてファンに到る経路に切り換え、前記加熱手段を非動作状態のまま外気を取り入れて形成される第3の冷却経路との各経路を選択して切り換えるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る乾燥滅菌機の一部破断側面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。この乾燥滅菌機は、図1に示すように、機枠2の内部が加熱部(滅菌領域)A、この加熱部Aの上流側(図1の左側)が挿入部(入口領域)Bであり、上流側から搬送されてきた容器等の物品(図示せず)がこの挿入部Bから加熱部A内に挿入される。また、加熱部Aの下流側(図1の右側)が冷却部(冷却領域)Cであり、加熱部Aで乾燥滅菌された容器(図示せず)が冷却部Cに排出されて冷却される。この冷却部Cは、下流側の充填室(図示せず)に接続されており、容器は冷却された後充填室に送られる。
【0013】
冷却部C(機枠2の内部)の下部側には、幅の広い容器搬送コンベヤ6が設置されており、この搬送コンベヤ6の両側に設けられたガイド6a、6a間に、前記挿入部Bから挿入された多数の容器(図示せず)が案内されて、図1の矢印方向に連続的に搬送される。この搬送コンベヤ6の上方の空間が冷却処理室(冷却処理空間)8になっており、冷却部Cの上部に設けられた循環ファン10から加圧供給されたエアが、ダクト12を介して耐熱フィルタ(HEPAフィルタ)14に導入され、このフィルタ14によって浄化された後、前記冷却処理室8に送られる。冷却処理室8の下方に配置された搬送コンベヤ6は上下にエアが通過できるようになっており、フィルタ14によって浄化されたエアは、この搬送コンベヤ6を上方から下方へと通過して、搬送されている容器等の物品(図示せず)を冷却する。冷却部Cには、図1に示すように、循環ファン10、ダクト12、耐熱フィルタ14および冷却処理室8からなる送風浄化機構が上下流側に2台設置されている。
【0014】
この実施の形態に係る乾燥滅菌機では、図2に示すように、機枠2内には、冷却処理室8から循環ファン10を結ぶ経路に第1ないし第3の区画室21、22、23がそれぞれ順に形成される。冷却処理室8と連通する第1の区画室21には、ヒータ(加熱手段)16が、第2の区画室22には、熱交換器(エアークーラー)18が、第3の区画室23には、循環ファン10がそれぞれ配置される。第3の区画室23下方の空間には、ダクト12下端に接続される耐熱フィルタ14と冷却処理室8が配置され、耐熱フィルタ14側から漏れたエアが第3の区画室23に流れるようになっている。また、冷却処理室8で冷却処理を終えて搬送コンベヤ6を通過したエアは、出口24から第1の区画室(ヒータ側区画室)21に排出される。第1の区画室21には、切換通路(切換手段)31が設けられ、第1の区画室21を第2の区画室(熱交換器側区画室)22または第3の区画室(ファン側区画室)23のいずれか一方と連通させてエアを導くようになっている。
【0015】
切換通路31は、図2に示すように、第1の区画室21の上部に設けられ、両端が第2の区画室22と第3の区画室23とにそれぞれ開口している。この切換通路31は、揺動して第1の区画室21を第2の区画室22または第3の区画室23のいずれか一方と連通するように切り換える切換バルブ(切換手段)32を備えている。この切換バルブ32は図示しない制御装置(制御手段)に接続され、指令信号に基づいて切り換え動作をするようになっている。
【0016】
ヒータ16は冷却処理室8を加熱滅菌するために設けられ、冷却部C内の加熱滅菌処理後の冷却時や生産運転時には、動作が停止される。ヒータ16および熱交換器18は図示しない制御装置により動作が制御されるようになっている。
【0017】
第2の区画室22と第3の区画室23との間には、両室を仕切る炉壁(区画壁)33が設けられる。この炉壁33には、両区画室22、23を連通する開口部34が形成され、この開口部34には、開閉バルブ(切換手段)36が設けられる。開閉バルブ36は、図示しない制御装置(制御手段)からの指令に基づいて開口部34を開閉するようになっている。このため、これら切換バルブ32と開閉バルブ36との動作に応じて、冷却処理室8から循環ファン10を結ぶ経路は、冷却処理室8−第1の区画室21−第3の区画室23の順で形成される経路C1(図3の(A)および(B)参照)と、冷却処理室8−第1の区画室21−第2の区画室22−第3の区画室23の順で形成される経路C2(図3の(C)および(D)参照)との2つの循環経路のうちいずれか一方を選択できるようになっている。切換手段は第1ないし第3の区画室21〜23、切換通路31、切換バルブ32および開閉バルブ36により構成される。
【0018】
第2の区画室22には、図2に示すように、外部と連通し外気を内部に導入する外気取り入れ口(外気取り入れ手段)41が設けられる。この外気取り入れ口41には、外気取り入れ口41の開口部を開閉可能にかつ開口面積を可変に調整する可変バルブ(外気取り入れ手段)42が取り付けられる。この可変バルブ42は図示しない制御装置(制御手段)に接続され、指令信号に基づいて動作するようになっている。図示しない制御装置は、開閉バルブ36と可変バルブ42を制御し、内部に導入される外気の取り込み量を調整することができるようになっている。外気取り入れ手段は外気取り入れ口41と可変バルブ42とにより構成される。導入された外気は循環するエアに混合される。最も下流側の冷却部Cの冷却処理室8の下部には、図示していないが、排気用ファン(図示せず)と開閉弁(図示せず)を介して接続される外気導入時の排気ダクト(図示せず)が取り付けられており、冷却部C内に外気を取り込んだときに図示しない開閉弁を開き、逃がすようになっている。
【0019】
可変バルブ42が所定の開度で開かれると、図3の(B)および(C)に示すように、同時に開閉バルブ36も開かれ、外気が経路C3を通じて内部に導入される。可変バルブ42を閉じると、図3の(A)および(D)に示すように、外気の導入は阻止され、冷却部Cの内部では、切換バルブ32と開閉バルブ36との動作に応じて、経路C1またはC2が形成されるようになっている。
【0020】
冷却処理室8には、図2に示すように、エアの温度を検出するエア温度監視用温度計(温度検出手段)45と炉内壁面の温度を検出する炉内壁面温度監視用温度計(温度検出手段)46とが取り付けられる。これら各温度計45、46により検出されたエア温度と炉壁温度とのデータは図示しない処理装置(制御手段)に送出される。処理装置(図示せず)は、検出されたデータに基づいて図示しない制御装置により各バルブ32、36、42を動作させるようになっている。
【0021】
この冷却部C内のエアは、次の4つのパターンで循環される。まず、(I)図3の(A)に示すように、切換バルブ32を切り換えて第1の区画室21と第3の区画室23とを連通させ、開閉バルブ36と可変バルブ42とを閉じて形成される加熱経路・第1の冷却経路(経路C1のみ)と、(II)図3の(B)に示すように、切換バルブ32はそのままで第1の区画室21と第3の区画室23とを連通させ、開閉バルブ36と可変バルブ42とを開いて形成される第2の冷却経路(経路C1+経路C3)と、(III)図3の(C)に示すように、切換バルブ32を切り換えて第1の区画室21と第2の区画室22とを連通させ、開閉バルブ36と可変バルブ42とを開いて形成される第3の冷却経路(経路C2+経路C3)と、(IV)図3の(D)に示すように、切換バルブ32はそのままで第1の区画室21と第2の区画室22とを連通させ、開閉バルブ36を開いて可変バルブ42を閉じて形成される運転経路(経路C2のみ)との4つのパターンである。なお、外気取り込み時であって前記第2の冷却経路(図3の(B)参照)を選択した際、冷却処理室8を冷却部Cの排気用ファン(図示しない)に連通させると、エアは冷却処理室8から外部に逃げる。
【0022】
次に、上記実施の形態に係る乾燥滅菌機の動作について説明する。まず、冷却部Cの冷却処理部8の乾燥滅菌を行う場合、図3の(A)に示すように、加熱経路(経路C1のみ)を選択し、ヒータ16を動作させて冷却部C内の温度を上昇させるとともに、循環ファン10によりエアを循環させる(昇温工程)。温度計45、46により冷却部C内の温度が所定の温度(本実施の形態の場合、例えば、熱風の温度をセ氏185度、炉内壁面温度をセ氏170度以上とする。)に達したことを検出すると、加熱滅菌開始となり、所定の時間t1(本実施の形態の場合、例えば、30分間)、加熱滅菌が行われる(滅菌工程)。これら昇温工程および滅菌工程の際には、熱交換器18はオフの状態となっている。熱交換器18の配置された第2の区画室22は、炉壁33により区画されて開閉バルブ36も閉じているので、他の区画室21、23が所定の加熱滅菌温度に達してもセ氏100度未満に保持されるようになっている。
【0023】
所定の滅菌時間t1経過後、滅菌工程が終了すると、冷却部C内を冷却する冷却工程(第1ないし第3の冷却工程)が開始される。滅菌工程終了直後は冷却部C内の温度がまだ高温状態であるため、第1の冷却工程では、加熱経路(経路C1のみ)のままヒータ16をオフにして、第1の冷却経路(図3の(A)参照)とし、所定時間t2(本実施の形態の場合、例えば、20分間)エアを循環させ、循環エアの温度をおよそセ氏140度から150度に低下させる。これは急激な温度変化による耐熱フィルタ(HEPAフィルタ)14の損傷を防ぐため、緩やかな冷却を図る目的で行う。
【0024】
第1の冷却工程終了後、第2の冷却工程が開始される。第2の冷却工程では、図3の(B)に示すように、第2の冷却経路(経路C1+経路C3)を選択し、外気取り入れ口41から外気を取り入れるとともに、冷却処理室8を図示しない排気ファンと連通させ、エアを外部に排出する。この第2の冷却工程では、ヒータ16も熱交換器18もオフのままで、冷却処理室8を通過するエアがセ氏100度以下になるまで続けられ、セ氏100度以下に低下すると第2の冷却工程が終了する。
【0025】
次に第2の冷却工程終了後、第3の冷却工程が開始される。第3の冷却工程では、図3の(C)に示すように、第3の冷却経路(経路C2+経路C3)を選択し、ヒータ16はオフのままで熱交換器18をオンし、冷却処理室8と図示しない排気ファンとの連通を遮断し、外気取り入れ口41から外気を取り入れる。この第3の冷却工程では、エアは、第1の区画室21から第2の区画室22を経由して第3の区画室23に達する循環経路C2と外気取り入れ口41から第2の区画室22を経由して第3の区画室23に達する合流経路C3に沿って流れ、第2の区画室22を通過するエアは熱交換器18により冷却されて循環ファン10に導かれる。この第3の冷却工程は、循環エアの温度がセ氏100度以下から、炉内壁の温度がセ氏60度以下に低下すると、終了する。
【0026】
次に、第3の冷却工程により、循環エアの温度および炉内壁の温度が生産運転に適した冷却温度に達すると、第3の冷却工程が終了し、冷却部C内の陽圧を保持して生産運転を行う運転工程が開始される。運転工程では、図3の(D)に示すように、運転経路(経路C2のみ)を選択し、ヒータ16はオフ、熱交換器18はオンのまま、冷却処理室8と図示しない排気ファンとの連通を遮断し、外気取り入れ口41を閉じ、外気を取り入れないようにする。この運転工程では、エアは、第1の区画室21から第2の区画室22を経由して第3の区画室23に達する循環経路C2にのみ沿って流れ、第2の区画室22を通過するエアは熱交換器18により冷却されて循環ファン10に導かれる。
【0027】
運転工程では、図3の(D)に示すように、運転経路(経路C2のみ)の状態から外気を調整して導入するようになっている。すなわち、ヒータ16はオフ、熱交換器18はオンのまま、冷却処理室8と図示しない排気ファンとの連通を遮断し、冷却部C内の陽圧を保持するため、外気取り入れ口41の開口面積を可変バルブ42により外気を調整して導入するようになっている。この運転工程では、熱交換器18により循環エアの温度が所定の冷却温度に保持される。加熱部Aで乾燥滅菌された容器(図示せず)が冷却部Cに搬入されると、冷却処理室8で冷却される。容器は冷却された後下流側の充填室(図示せず)に送られる。冷却部C内の陽圧度の変化に応じて可変バルブ42が開度を調整して開かれ、冷却部C内は常に適正な陽圧度に保たれるようになっている。なお、図示しない排気ファンとの連通が遮断されているため、エアは冷却処理室8から加熱部Aを通って挿入部Bへ逃げるようになる。また、第3の冷却工程終了後に、運転工程にすぐ入らず待機させる場合もあり、その際には、熱交換器18をオフにして図3の(B)に示すように、外気を取り入れるようにしてもよい。さらに、図3の(D)に示す運転工程に入る前に、図3の(D)の状態のまま待機させる場合、熱交換器18は稼動させなければならない。
【0028】
このように、本実施の形態に係る乾燥滅菌機では、冷却部Cにエアを加熱して乾燥滅菌するヒータ16を設け、冷却処理室8から循環ファン10を結ぶ経路にヒータ16と熱交換器18とを順に区画して配置するとともに、ヒータ16が配置された第1の区画室21には、ヒータ16を通過したエアを熱交換器18または循環ファン10のいずれか一方に切換える切換通路31を設けたので、冷却部Cの冷却処理室8をヒータ16により加熱して乾燥滅菌する際、熱交換器18を加熱されたエアから遮断させるようにすることができるので熱の影響を受けにくい。このため、熱交換器18の冷媒を給排水する必要がない。
【0029】
また、本実施の形態に係る乾燥滅菌機では、循環ファン10と熱交換器18との間には、これらの間を区画する炉壁33を設け、この炉壁33に両者10、18を連通可能に遮断する開閉バルブ36を設け、熱交換器18が配置された第2の区画室22には、外気を内部に導入する外気取り入れ口41とこの外気取り入れ口41を開閉可能にかつ開口面積を可変に調整する可変バルブ42とを設け、開閉バルブ36と可変バルブ42とを制御し、外気を循環するエアに調整可能に混合する制御装置(図示せず)を設けたので、加熱滅菌後の冷却部C内を徐々にかつ速やかに冷却することができる。このため、耐熱フィルタ(HEPAフィルタ)14に対し激しい温度差の熱変化を与えることがなく、フィルタの損傷を防ぐことができる。また、外気取り入れ口41の開口面積を可変に調整することができるので、外気の取り込み量を任意に変化させることができる。このため、冷却部C内部の陽圧度の管理を容易に行うことができる。
【0030】
さらに、本実施の形態に係る乾燥滅菌機では、冷却処理室8に、冷却処理室8のエア温度を検出するエア温度監視用温度計45と炉内壁面温度監視用温度計46とが取り付けられるとともに、検出されたエア温度に基づいて、開閉バルブ36と可変バルブ42とのうち少なくともいずれか一方を選択して制御するようにしたので、乾燥滅菌後、冷却工程に移ると、エア温度を監視しながら、第1ないし第3の冷却工程への切り換えを行うことができる。このため、検出温度に基づいて速やかに次の工程(加熱工程、第1ないし第3の冷却工程、運転工程)に切り換えることができる。このため、冷却工程の時間を短縮することができる。
【0031】
また、本実施の形態に係る乾燥滅菌機では、処理装置(図示せず)は、温度計45、46により検出されたエア温度に基づき、第1の区画室21と第3の区画室23とを連通させ、外気取り入れ口41と開閉バルブ36とをそれぞれ閉じて形成される加熱経路(第1の冷却経路)C1と、第1の区画室21と第3の区画室23とを連通させ、外気取り入れ口41と開閉バルブ36とをそれぞれ開いて形成される第2の冷却経路(C1+C3)と、第1の区画室21と第2の区画室22とを連通させ、外気取り入れ口41と開閉バルブ36とをそれぞれ開いて形成される第3の冷却経路(C2+C3)と、第1の区画室21と第2の区画室22とを連通させ、外気取り入れ口41を閉じ開閉バルブ36を開いて形成される運転経路C2との4つの経路のうち所定の経路を選択して切り換えるようにしているので、冷却工程時、エアの循環経路と外部からのエアの取り込みとを適宜切り換え、加熱後の高温のエアが熱交換器18を通過しないようにすることができる。このため、熱交換器18には冷媒の給排水設備を設ける必要がない。
【0032】
なお、上記実施の形態では、加熱部Aの加熱装置が1台、冷却部Cの送風浄化装置8、10、12、14が上下流側に2台それぞれ設置されているがこれに限られるものではなく、加熱部Aの加熱装置を2台としてもよいし、冷却部Cの送風浄化装置を1台または4台としてもよく、設計プランに応じて種々の組み合わせとしてもよいことはいうまでもない。また、図示しないが、挿入部B内は上部に送風ファンが下部に排気用のファンがそれぞれ設けられている。さらに、上記実施の形態では、第1の冷却工程から第2の冷却工程に切り換える場合、温度計45により循環するエアの温度がおよそセ氏140度から150度に低下したのを検知して行うようにしているがこれに限られるものではなく、例えば、タイマーで行うようにしてもよい。また、上記実施の形態では、第3の冷却工程で、外気を取り入れるようにしているがこれに限られるものではなく、エアが所定の温度になると可変バルブ42を閉じ外気の取り入れを停止するようにしてもよいし、可変バルブ42の開度を徐々に下げ、外気の取り入れ量を徐々に少なくなるようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、搬入される物品を加熱して乾燥滅菌を行う加熱部と、この加熱部から搬送される加熱された物品を冷却する冷却部とを備えた乾燥滅菌機において、冷却部には、エアを冷却する熱交換器と、エアをフィルタを介して冷却処理室に送り循環させるファンとを設けるとともに、エアを加熱して乾燥滅菌を行う加熱手段を設け、冷却処理室から熱交換器を経由してファンに到る経路と冷却処理室から熱交換器を迂回してファンに到る経路とに切換可能な切換手段を設けたことにより、冷却部の加熱後、熱交換器に高温のエアを通過させないようにすることができるので、熱交換器の冷媒の給排水が不要となり作業効率が向上するとともに設備の簡素化を図ることができる。
【0034】
また、請求項2に係る乾燥滅菌機によれば、冷却部には、外気を取り入れ可能な外気取り入れ手段を設けたことにより、冷却部内に外気を取り込むことができるので、加熱後の冷却部内を徐々にかつ短時間で冷却することができる。このため、フィルタに激しい温度差を与えることがなく、フィルタの長寿命化を図る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る乾燥滅菌機の一部破断側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】(A)ないし(D)はそれぞれ加熱工程から冷却工程を経て運転工程に到る工程毎のエアの流れを示す説明図である。
【符号の説明】
A 加熱部
C 冷却部
8 冷却処理室
10 循環ファン(ファン)
14 耐熱フィルタ(フィルタ)
16 ヒータ(加熱手段)
18 熱交換器
31 切換通路(切換手段)
32 切換バルブ(切換手段)

Claims (4)

  1. 搬入される物品を加熱して乾燥滅菌を行う加熱部と、この加熱部から搬送される加熱された物品を冷却する冷却部とを備えた乾燥滅菌機において、
    冷却部には、エアを冷却する熱交換器と、エアをフィルタを介して冷却処理室に送り循環させるファンとを設けるとともに、エアを加熱して乾燥滅菌を行う加熱手段を設け、冷却処理室から熱交換器を経由してファンに到る経路と、冷却処理室から熱交換器を迂回してファンに到る経路とに切換可能な切換手段を設けたことを特徴とする乾燥滅菌機。
  2. 冷却部には、外気を取り入れ可能な外気取り入れ手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の乾燥滅菌機。
  3. 冷却処理室には、冷却処理室のエア温度を検出する温度検出手段を設けるとともに、検出されたエア温度に基づいて、切換手段と取り入れ手段とのうち少なくともいずれか一方を選択して制御する制御手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の乾燥滅菌機。
  4. 制御手段は、切換手段を動作させて冷却処理室から熱交換機を迂回させてファンに到る経路に切り換え、加熱手段を動作させ外気を取り入れないで形成される加熱経路と、この加熱経路と同一の経路で加熱手段の動作が停止される第1の冷却経路と、前記切換手段により熱交換器を迂回させてファンに到る経路に切り換えたまま、加熱手段が非動作状態で前記取り入れ手段により外気を取り入れて形成される第2の冷却経路と、前記切換手段を動作させて冷却処理室から熱交換器を経由させてファンに至る経路に切り換え、前記加熱手段を非動作状態のまま外気を取り入れて形成される第3の冷却経路との各経路を選択して切り換えるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の乾燥滅菌機。
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