JP3796824B2 - 包装箱 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は包装箱に関する。 詳しくは、被包装物を箱の壁から離した状態で保持することにより、箱に加わる衝撃から被包装物を保護するようにした包装箱の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
陶器、ガラス製品、電気・電子機器、精密機械部品そのほか衝撃に弱い物品を輸送・保管するための包装には、従来、発泡ポリスチロールを用いて成形した箱や、コーナーパッドを段ボール箱にとりつけたものや、バラ状の緩衝材またはそれを小袋に詰めたものを充填することが行なわれて来た。 しかし、発泡プラスチックは使用後の処分に問題がある。
【0003】
そこで、包装材の使用量を少なくする努力や、廃棄・焼却を容易にする努力が行なわれている。 そのひとつのあらわれとして、いわゆる「ハンモック包装」が提案され、一部実用されている。 「ハンモック包装」とは、アメリカ特許第4852743号、第4923065号、第5071009号、あるいは特開平7−330034号に開示されているように、板状の枠に弾性をもった材料のシートを張ったもので被包装物を上下から挟んで全体を箱の中に入れ、被包装物を箱内の空間に、箱の壁から離した状態で保持する包装である。
【0004】
このハンモック包装は、被包装物を支えているのが弾性材料のシートであるから、もちろん包装の対象は比較的小型の物品や重量の軽い物に限られるが、それでもしばしば、輸送中に振動で被包装物の位置がずれたり、外箱の底壁に底着きして破損するなどの問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ハンモック包装における上記の問題を解決し、輸送中の振動に起因する被包装物の位置のずれや、底着きによる破損の危険を少なくしたハンモック包装用の包装箱を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の包装箱は、箱と、その内部にあって被包装物を箱の壁から離して支持する上下一対の支持手段とから構成され、支持手段が、開口を有する水平支持板とその四片から垂直に立ち上がり、または立ち下がる垂直支持板とからなり、上記開口部に張り渡した弾性シートを有するものであって、2枚の水平支持板を対向させて2枚の弾性シートの間に被包装物を挟んで保持するタイプの包装箱において、弾性シートとして、エンボス加工を施して、高さが直径よりも低い円筒状の突起を多数形成したプラスチックフィルムの突起の底面に平坦なプラスチックフィルムを貼り合わせて多数の密閉された空気室を形成してなる2層構成の気泡緩衝シート、または、この2層構成の気泡緩衝シートの突起の頂を連ねて平坦なプラスチックフィルムを貼り合わせてなる3層構成の気泡緩衝シートを使用したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の包装箱を具体例について説明すれば、図1に示すように、弾性シート(IVおよびV)を張った上方支持体(II)と下方支持体(III)の間に被包装物(図示してない)をはさみ、全体を包装箱(I)の中に入れて蓋をすることにより包装が完成する。 図2および図3は、弾性シートとして、プラスチックフィルムにエンボス加工を施して多数の突起を形成したものを使用した例を(箱を省略して上下の支持体と被包装物だけ)示す。 突起は、図2のように被包装物の側に向けて出ていてもよいし、図3のように被包装物より外側に向っていてもよい。 前者の方が、連続したエンボスシートを支持体の枠に貼りつけるのが容易であり、被包装物のずれを突起とのひっかかりにより防止する作用が確実に得られ、また被包装物と弾性シートとが密着しないから、通気性が高い。
【0008】
いずれにしても、弾性シートの伸縮性を利用するには、シート上で突起が千鳥状に配列していることが必要である。 千鳥状に配列した突起は、シートに千鳥状の切れ目を入れたときと同様のはたらきをし、伸縮性を与える。 切れ目では、引き裂き力が加わったときにノッチ効果によってシートが破れてしまうが、エンボス加工ならばその心配がない。
【0009】
図4および図5は、弾性シートとしてエンボス加工による多数の突起を有するプラスチックフィルムの一方の面に平坦なプラスチックフィルムを貼り合わせたものを使用した態様を示す。 図5はとくに、被包装物に鋭利な尖端がある場合でも、それが弾性シートの突起の高さに及ばなければ、弾性シートが破られることなく包装できることを示す。
【0010】
本発明の実施に当り、包装箱および上下の支持体の構成に関しては、出願人がさきに提した態様、すなわち各支持手段が、それぞれの垂直支持板のひとつを介して箱の側壁部分と一体に形成されているものが好適に使用できる。 この態様を具体的に述べれば、まず図6に示すようなブランクを、厚紙または段ボール紙の打ち抜きによって用意する。 すなわち、右側面板(1)、正面板(2)、左側面板(3)、背面板(4)および糊代(5)が、それぞれ隣接するものと縁を共有して横方向に並び、背面板(4)の下縁に連なって下方支持体(8)が、上縁に連なって上面板(6)がともに縦方向に存在し、これと対称的に、正面板(2)の下縁に連なって底面板(7)が、上縁に連なって上方支持体(9)がともに縦方向に存在し、右側面板(1)および左側面板(3)のそれぞれの上縁に連なって上面補強板(11および31)が、それぞれの下縁に連なって底面補強板(12および32)がともに縦方向に存在し、下方支持体(8)および上方支持体(9)は、開口(8Aおよび9A)を有する水平支持板(81および91)とその四辺の垂直支持板(82,83,84および85;ならびに92,93,94および95)とからなるブランクである。
【0011】
打ち抜いたブランクには、上下支持体の開口(8A,9A)に、適宜の接着剤を用いるか、またはヒートシールにより、弾性シート(8B,9B)を張りわたす。 続いて、糊代(5)に接着剤を適用して、横方向の壁を環状に形成する。
【0012】
これを、図7に示すように組み立てて、図8に示すような包装箱とする。 (図7および図8において、弾性シートの突起は省略されている。) 図8の状態から、下方支持体(8)の上に被包装物(X)をのせ、上方支持体(9)をかぶせてから上面板(6)で蓋をすれば、包装体ができあがる。
【0013】
箱および支持手段の材料は、前記のように、厚紙または段ボール紙が適当である。 弾性シートの材料は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはシングルサイト触媒重合ポリオレフィンがとくに適当であるが、そのほかに、天然ゴムまたは各種合成ゴム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレンあるいはフッ素樹脂なども、エンボス加工による凹凸の形成が可能である限り使用できる。 これらの材料の特性に応じて、電子線照射による架橋や延伸によって強度を高めたものが好ましい。
【0014】
【実施例1】
図6に示した形状のブランクであって、箱の外寸が、縦15cm×横12cm×高さ5cmであり、上下の支持体の開口部が縦9cm×横7cmであるものを、Eフルートの両面段ボール紙から打ち抜いて用意した。 別に、厚さ80μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムに、直径10mmで高さ4mmの突起を、隣接する突起間のピッチ15mmで千鳥状に配列した弾性シートを用意した。 上下の支持体の開口部をふさいで、上記のエンボスフィルムを、アクリル樹脂エマルジョンの粘着剤を使用して貼り着けた。
【0015】
図7〜8に示すように箱を組み立て、上下の支持体の間にICチップ5個を並べ、挾んで包装体とした。 この包装体を、振動数400サイクル/分、振幅20mmの振動台上にのせて振動を加えた。 2時間後に包装を開いてしらべたところ、各ICチップとも包装時の位置に存在していた。
【0016】
【実施例2】
厚さ80μmのシングルサイト触媒重合のポリオレフィンのフィルムに実施例1と同じ突起を多数設けたフィルムに、厚さ50μmの同じ材料の平坦なフィルムを熱融着により貼り合わせてなる、いわゆる気泡緩衝シートを弾性シートとして用意した。 実施例1と同じ段ボールのブランクを使用し、上記の弾性シートを熱融着により貼り付けた。 このとき、突起は被包装物の方に向けた。
【0017】
【発明の効果】
ハンモック包装における支持体の弾性シートとして、エンボス加工を施して多数の突起を形成したプラスチックフィルムの一方または両方の面に平坦なプラスチックフィルムを貼り合わせて多数の密閉された空気室を形成してなる、いわゆる気泡緩衝シートを使用するときは、気泡のもつ緩衝性を利用することができ、また、突起によって被包装物を一定の位置に固定することができ、被包装物を緩衝保持する能力が高く得られるとともに、シート自体の抗張力も増す。
【0018】
図示したブランクを使用する、好ましい態様に固有の効果も得られることはもちろんである。 すなわち、ハンモック包装において、従来は上下一対の支持体と外箱との、3個または少なくとも2個の部品を集めて包装箱を構成していたものが、1枚のブランクから構成することができるから、量産が容易になる上に組み立てまでの間のブランク取り扱い、輸送が有利に行なえる。 上下の支持体が箱の構成部分と一体であることは、まず強度の面で、上下の支持体の少なくとも正面板(または背面板)と縁を共通にする垂直支持板の強度が高まるという利点がある。 その結果、同じ材質でより重量の大きい被包装物を包装でき、また同じ重量であれば薄手の材料で足りる。 上下の支持体の一方の縁が正面板(または背面板)と縁を共通にし、そこに固定されていることは、被包装物を支持体間に挟んで蓋をするときに、弾性材料シートの反撥力で上側支持体がはね上がることを抑えるのが容易であって、包装作業もやりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の包装箱の一例について、その構成の一例を示す展開図。
【図2】 図1の包装箱を組み立てた包装体の内部における、上下の支持体により被包装物が保持されているところを示す横断面図。
【図3】 図2と同様で、別の例を示す横断面図。
【図4】 図2と同様で、さらに別の例を示す横断面図。
【図5】 図2と同様で、やはり別の例を示す横断面図。
【図6】 本発明の包装箱の好ましい態様を示す、ブランクの展開図。
【図7】 図6のブランクを用いて包装箱を形成する過程を示す斜視図。
【図8】 包装箱を形成する過程の、図7に続く段階を示す斜視図。
【符号の説明】
I 箱本体
II 上方支持体
III 下方支持体
IV,V 弾性シート
X 被包装物
1 右側面板 12,32 底面補強板
2 正面板
3 左側面板 11,31 上面補強板
4 背面板
5 糊代
6 上面板 61 舌片 62 切り込み
7 底面板 71 舌片 72 切り込み
8 下方支持体 8A 開口 8B 弾性シート
81 水平支持板 82,83,84,85 垂直支持板
9 上方支持体 9A 開口 9B 弾性シート
91 水平支持板 92,93,94,95 垂直支持板
Claims (4)
- 箱と、その内部にあって被包装物を箱の壁から離して支持する上下一対の支持手段とから構成され、支持手段が、開口を有する水平支持板とその四片から垂直に立ち上がり、または立ち下がる垂直支持板とからなり、上記開口部に張り渡した弾性シートを有するものであって、2枚の水平支持板を対向させて2枚の弾性シートの間に被包装物を挟んで保持するタイプの包装箱において、弾性シートとして、エンボス加工を施して、高さが直径よりも低い円筒状の突起を多数形成したプラスチックフィルムの突起の底面に平坦なプラスチックフィルムを貼り合わせて多数の密閉された空気室を形成してなる2層構成の気泡緩衝シート、または、この2層構成の気泡緩衝シートの突起の頂を連ねて平坦なプラスチックフィルムを貼り合わせてなる3層構成の気泡緩衝シートを使用したことを特徴とする包装箱。
- 弾性シートとして、前記した2層構成の気泡緩衝シートを使用し、突起を被包装物の側に向けて水平支持板の開口に張り渡したものを使用した請求項1の包装箱。
- 箱および支持手段が厚紙または段ボール紙で形成され、弾性シートを形成するプラスチックとしてシングルサイト触媒重合ポリオレフィンを使用した請求項1の包装箱。
- 各支持手段が、それぞれの垂直支持板のひとつを介して箱の側壁部分と一体に形成されている請求項1の包装箱。
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