JP3795819B2 - セミクローラ型トラクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前車軸にホイール型の前輪を備え、後車軸にクローラ走行装置を備えたセミクローラ型トラクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前車軸にホイール型の前輪を備え、後車軸にクローラ走行装置を備え、該クローラ走行装置が、後車軸に取り付けられる駆動輪と、該駆動輪の下側に前後方向に配置されるトラックフレームと、このトラックフレームの前部及び後部に回転自在に設けられる従動輪と、トラックフレームの前後中途部の下側に回転自在に設けられる複数の転動輪と、駆動輪、前後従動輪及び転動輪に巻回された無端状クローラとを有しているセミクローラ型トラクタが従来より公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記トラックフレームとしては、下方に開放した断面コの字形に形成されたものがあるが、このトラックフレームに対して転動輪を組み付ける場合、トラックフレームの下側から上方へ転動輪を挿入しなければならず、組み付けが困難であった。よって、トラックフレームの製造時はもちろん、転動輪の交換の際にも手間がかかっていた。
【0004】
一方、セミクローラトラクタは、湿田等の軟弱地での作業性、機動性に富むものであるが、軟弱地での作業によってクローラ内周部に泥土が乗り上がりやすく、乗り上がった泥土がクローラの回走により持ち上げられてトラックフレーム上に堆積してしまうことがあった。
トラックフレーム上に泥土が堆積すると、この泥土が路面走行時等に振り落とされて散らばり、路面を汚してしまうという不都合があった。
【0005】
本発明は、トラックフレームに対する転動輪の組み付けを容易にすることを目的とする。
本発明は、トラックフレームに対する泥土の堆積を好適に防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するための以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、前車軸にホイール型の前輪を備え、後車軸にクローラ走行装置を備え、該クローラ走行装置が、後車軸に取り付けられる駆動輪と、該駆動輪の下側に前後方向に配置されるトラックフレームと、このトラックフレームの前部及び後部に回転自在に設けられる従動輪と、トラックフレームの前後中途部の下側に回転自在に設けられる複数の転動輪と、駆動輪、前後従動輪及び転動輪に巻回された無端状クローラとを有しているセミクローラ型トラクタにおいて、前記転動輪とこの転動輪を回転自在に組み付けた支持体とによって構成された転輪ユニットを備え、この転輪ユニットをトラックフレームの下面に着脱自在に備えており、前記トラックフレームは、前後方向に延伸する左右の枠体を有し、前記駆動輪を、その外周下部が前記左右の枠体の間に入り込むように配設し、前記左右の枠体の対向内面間を連結する前後一対の連結板を備え、この一対の連結板の前後間でかつ前記左右の枠体の間に上下に貫通する孔を形成し、無端状クローラの回走により持ち上げられた泥土を受けて前記孔へと導いて落下させるべく、前記連結板を、前記孔に近づくに従って低くなるように傾斜して前記駆動輪の下方に備えていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によって、転動輪を組み付けた転輪ユニットをトラックフレームの下側へ側方から挿入でき、この転輪ユニットをトラックフレームに容易に組み付けることができる。
前記支持体は、転動輪を回転自在に支持する軸受部と、この軸受部に支持した転動輪よりも高位に配設された取付板部とを有し、トラックフレームの下面には、前記取付板部が締結具によって着脱自在に取り付けられる連結板部が設けられていることが好ましい。
【0008】
前記トラックフレームは、前後方向に延伸する左右の枠体を有し、この左右枠体の間に前記駆動輪の外周下部が入り込むように配設されていることが推奨される。
このような構成により、トラックフレームを可及的に高位置に配設することが可能となり、その下側に転輪ユニットを配設するスペースを十分に確保できるようになる。
【0009】
前記枠体は、パイプ材により構成されていることが好ましく、これによってトラックフレームの上下方向の薄肉化が可能となり、その下側に転輪ユニットの配設スペースを形成することができるとともに、パイプ材であるが故に強度も確保できる。
前記トラックフレームは、左右の枠体の間で駆動輪の下側に、上下に貫通する孔を備えていることが好ましい。これによってクローラの回走により持ち上げられた泥土がトラックフレーム上に落下したとしても、上記孔から抜き落とすことができる。
【0010】
左右の枠体の間に両者を連結する前後一対の連結板を備え、この一対の連結板の前後間に前記孔を形成し、前記連結板を、前記孔に近づくに従って低くなるように傾斜して備えていることが推奨される。
これによって、トラックフレーム上に落下した泥土は、前後の連結板によって孔へと導かれ、確実に抜き落とすことができる。
【0011】
前記孔は、前後に隣接した2つの転輪ユニットの間に配設されていることが好ましい。これにより、孔から落下した泥土が直接転輪に付着するようなことが可及的に防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図4において、1はセミクローラ仕様の四輪駆動トラクタを示しており、エンジン2、ミッションケース3及び前車軸フレーム4等でトラクタ車体5を構成し、前車軸フレーム4に駆動可能な操舵輪としての前輪6を前車軸ケース、前車軸等を介して備えている。ミッションケース3の左右側部には後車軸ケース7(図3参照)が設けられ、該後車軸ケース7内の後車軸8にクローラ走行装置10が装着されている。エンジン2はボンネット9で被われている。
【0013】
トラクタ車体5上には、操縦部11及び運転席12を被うキャビン13が搭載され、トラクタ車体5の後部に油圧装置及び3点リンク機構14を介してロータリ耕耘機等の後部作業機15を牽引装着している。キャビン13の代わりにロプスを装着することもある。
クローラ走行装置10は、後車軸8に取り付けられた駆動輪21と、該駆動輪21の下側に前後方向に配置されたトラックフレーム22と、このトラックフレーム22の前部及び後部に回転自在に設けられた従動輪23、24と、トラックフレーム22の前後中途部の下側に回転自在に設けられた複数の転動輪25と、駆動輪21、前後従動輪23,24及び転動輪25に巻回された無端状クローラ26とを備えている。
【0014】
駆動輪21と前後の従動輪23,24とは側面視にて3角配置されており、これらにクローラ26が側面視略3角形状に巻回されている。
本実施形態にかかる駆動輪21はスプロケット型であり、図2及び図3に示すように、後車軸8の端部のフランジ8Aに複数本のボルトによって着脱自在に装着される取付板部21Aと、この取付板部21Aの外周にボルト固定される外周輪部21Bとを有し、外周輪部21Bには、無端状クローラ26に係合する複数の歯が周方向等間隔に形成されている。なお、外周輪部21Bは、周方向で複数に分割形成されていることによって、クローラ26の着脱が容易に行えるようになっている。
【0015】
また、この駆動輪21を取り外すことによってホイール型の後輪を取付可能であり、これによって4輪ホイール型のトラクタを構成することもできる。
上記トラックフレーム22は、その上側で後車軸の下側に配置された左右方向の揺動軸27に枢支されており、該揺動軸27は、後車軸ケース7に装着された取付体28に回転自在に支持されている。
【0016】
取付体28は、揺動軸27を支持する円筒状の軸受部28Aと、その上側に設けられた挟持板部28Bとを有し、挟持板部28Bが後車軸ケース7の下面に当接され、後車軸ケース7の上面に当接された他の挟持板部29との間で後車軸ケース7を挟み、かつ上下の挟持板部28B,29をその前後に配されたボルト締結具30にて連結することによって後車軸ケース7に固定されている。また、他の部位では、下方に開放したコ字型のボルト30Aを後車軸ケース7に上側から嵌めて下側の挟持板部28Bに挿通し、端部にナットを螺合することによって後車軸ケース7に取付体28を固定している。
【0017】
左右の後車軸ケース7に装着された各取付体28,28は、左右方向に延びる連結フレーム31にて相互に連結されている。
トラックフレーム22の前後中途部には連結体32が立設され、この連結体32に揺動軸27の外端部が固定されている。また、取付体28の前側には、上下一対の規制板28Cを有する揺動規制手段が設けられ、連結体32から前側に突出する当接板32Aが上下規制板28Cに当接することによってトラックフレーム22の揺動軸27回りの揺動範囲が所定に規制されている。
【0018】
トラックフレーム22は、前後方向に延伸する左右一対の枠体33、33にて主構成されており、この一対の枠体33,33の間には、図1にも示すように、駆動輪21の外周下部が挿入されている。
したがって、駆動輪21とトラックフレーム22とは、側面視においてオーバーラップされ、駆動輪21の径を可及的に大きくすることができるとともにトラックフレーム22をできるだけ後車軸ケース7に近づくように高い位置に配設することが可能となっている。
【0019】
なお、前記連結体32は、左右内側の枠体33に固着されている。
左右の枠体33,33は、その対向内面に介在された前後一対の連結板34,34によって駆動輪21の下方で連結されている。この前後一対の連結板34,34は前後に間隔があけられており、この前後間隔によって、トラックフレーム22を上下に貫通する孔35が形成されている。
【0020】
したがって、クローラ26の回走により持ち上げられた泥土は、駆動輪21との噛み合い等によってトラックフレーム22上に落ちたとしても孔35から抜き落とすことが可能となっており、トラックフレーム22上への泥土の堆積が防止されている。このため、トラクタ1による作業終了後、舗装路面等の走行時に泥土をばらまいて路面を汚してしまうようなことが防止される。
【0021】
また、前後一対の連結板34,34は、その間の孔35に近づくに従って低くなるように傾斜しており、左右枠体33,33の間に孔35へ至るような泥受け部を形成しており、この連結板34,34上に落下した泥土を孔35へと導いて好適に落下させることができるようになっている。
左右の枠体33,33は、その下面が連結板部36によっても連結されている。この連結板部36は、前記孔35を挟んで前後2つ備えられている。そして、連結板部36には複数の雌ねじ孔が形成され、該雌ねじ孔には転動輪25を具備した転輪ユニット37がボルトよりなる締結具38にて着脱自在に取り付けられている。
【0022】
なお、連結板部36は、左右枠体33,33のそれぞれに固着されるように左右に分割されていてもよい。
転輪ユニット37は、支持体40に対して転動輪25を回転自在に組み付けたもので、支持体40は、取付板部40Aの下側に軸受部40Bを備え、該軸受部40Bに左右方向の軸部41を回転自在に支持している。この軸部41の左右両側には転動輪25を構成する左右の輪体25A,25Aが連結されており、この左右輪体25A,25Aによってクローラ26の内周部から突出するガイド突部26Aを跨いで転動するようになっている。
【0023】
本実施形態の転輪ユニット37は、支持体40に対して1つの転動輪25を組み付け、これを前後に複数(3つ)備えたものとなっているが、1つの支持体40に複数の転動輪25を組み付けた構成としてもよい。また、3つの転輪ユニット37の最前及び最後のものにはガイド突部26A間に嵌るガイドレール42が取り付けられている。
【0024】
上記取付板部40Aは矩形状の平板にて構成され、4隅に上下方向に貫通するボルト挿通孔が形成され、このボルト挿通孔に締結具38を挿通して連結板部36の雌ねじ孔に螺合することで、トラックフレーム22に転輪ユニット37が強固に取り付けられる。
このようにトラックフレーム22の下面に対して転輪ユニット37を装着する構成とすることで、当該転輪ユニット37をトラックフレーム22の下側へ向けて側方から挿入することができ、転動輪25の組み付けが容易に行えるようになっている。
【0025】
また、トラックフレーム22の左右枠体33,33の間に駆動輪21の外周下部を挿入しているため、このトラックフレーム22を可及的に高い位置に配設することができ、このため、トラックフレーム22の下側に転輪ユニット37の配設スペースを確保することができる。
また、左右枠体33,33を角パイプ等のパイプ材により構成することによっても、上下方向の薄型化が可能となってその下側に転輪ユニット37の配設スペースを十分に確保できると同時に、トラックフレーム22の強度も確保できる。
【0026】
トラックフレーム22の前端部には、クローラ26の張力調整手段43が設けられ、この張力調整手段43の前部に従動輪23が回転自在に支持されている。この張力調整手段43は前下がり傾斜状に配置されており、これによって、クローラ26の前後進が切り替わるとき等にトラックフレーム22との接合部にかかる負荷が低減されるようになっている。
【0027】
左右枠体33,33の後端部にはブラケット44を介して後従動輪24が回転自在に支持されており、この後従動輪24の外周前部も左右枠体33,33の間に挿入されている。このため、後従動輪24を可及的に前側に配置してクローラ走行装置10の後方への張り出しを小さくでき、後部作業機15の着脱の邪魔にならないようにすることが可能である。
【0028】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更可能である。
本発明にかかるセミクローラ型トラクタ1は、後輪とクローラ走行装置10とを履き替え式とした構成に限らず、セミクローラ専用としたトラクタであってもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、トラックフレームに対する転輪の組み付けが容易となる。
また、トラックフレーム上に落下した泥土を孔を介して好適に抜き落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかるトラックフレームの正面図断面図である。
【図2】 クローラ走行装置に側面図である。
【図3】 クローラ走行装置の正面図である。
【図4】 セミクローラ形トラクタの側面図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
6 前輪
8 後車軸
10 クローラ走行装置
21 駆動輪
22 トラックフレーム
23 従動輪
24 従動輪
25 転動輪
26 無端状クローラ
33 枠体
34 連結板
35 孔
36 連結板部
37 転輪ユニット
40 支持体
40A 取付板部
40B 軸受部
Claims (4)
- 前車軸にホイール型の前輪(6)を備え、後車軸(8)にクローラ走行装置(10)を備え、該クローラ走行装置(10)は、後車軸(8)に取り付けられる駆動輪(21)と、該駆動輪(21)の下側に前後方向に配置されるトラックフレーム(22)と、このトラックフレーム(22)の前部及び後部に回転自在に設けられる従動輪(23,24)と、トラックフレーム(22)の前後中途部の下側に回転自在に設けられる複数の転動輪(25)と、駆動輪(21)、前後従動輪(23,24)及び転動輪(25)に巻回される無端状クローラ(26)とを有しているセミクローラ型トラクタにおいて、
前記転動輪(25)とこの転動輪(25)を回転自在に組み付けた支持体(40)とによって構成された転輪ユニット(37)を備え、この転輪ユニット(37)をトラックフレーム(22)の下面に着脱自在に備えており、
前記トラックフレーム(22)は、前後方向に延伸する左右の枠体(33,33)を有し、前記駆動輪(21)を、その外周下部が前記左右の枠体(33、33)の間に入り込むように配設し、
前記左右の枠体(33,33)の対向内面間を連結する前後一対の連結板(34,34)を備え、この一対の連結板(34,34)の前後間でかつ前記左右の枠体(33、33)の間に上下に貫通する孔(35)を形成し、無端状クローラ(26)の回走により持ち上げられた泥土を受けて前記孔(35)へと導いて落下させるべく、前記連結板(34,34)を、前記孔(35)に近づくに従って低くなるように傾斜して前記駆動輪(21)の下方に備えていることを特徴とするセミクローラ型トラクタ。 - 前記支持体(40)は、転動輪(25)を回転自在に支持する軸受部(40B)と、この軸受部(40B)に支持した転動輪(25)よりも高位に配設された取付板部(40A)とを有し、トラックフレーム(22)の下面には、取付板部(40A)が取り付けられる連結板部(36)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセミクローラ型トラクタ。
- 前記枠体(33,33)が、パイプ材により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のセミクローラ型トラクタ。
- 前記孔(35)が、前後に隣接した2つの転輪ユニット(37,37)の間に配設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセミクローラ型トラクタ。
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2002
- 2002-03-27 JP JP2002089255A patent/JP3795819B2/ja not_active Expired - Lifetime
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