JP3795448B2 - 被覆除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバテープ心線から単心分離した光ファイバに付着して被覆材の残滓など、光ファイバ外側に付着している被覆材を除去する被覆除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すように、光ファイバテープ心線1端末の外装被覆2を除去して光ファイバ3を露出させる方法(以下、単に「被覆除去方法」とも言う)としては、例えば、切り刃などによって外装被覆2を切り込んで、各光ファイバ3を被覆材(外装被覆2の一部。被覆残滓)が付いたまま切り分ける方法が公知になっている(図4は、切り分けた状態)。この場合、切り分け完了後、各光ファイバ3の外側に残存する外装被覆を作業者が手指で剥ぎ取って除去することで、光ファイバ3が露出される。
なお、従来例の被覆除去工具の例としては、以下の特許文献1、2がある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭61−7806号公報
【特許文献2】
特開平8−292327号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような被覆除去方法では、例えば単心分岐した光ファイバ3を光コネクタに挿入したり、光ファイバ同士の接続などの際に、光ファイバの位置決め精度の確保に鑑みて、単心分離後の光ファイバ3の外側の被覆残滓を綺麗に除去する必要がある。しかしながら、前述したように、この被覆残滓の除去は、従来、作業者の手作業に頼ったものであるため、時間が掛かる、作業性が悪いといった不満があった。また、このような手作業による除去作業では、被覆残滓の除去残しが発生しやすく、これによる接続不良などの問題も発生していた。
【0005】
さらに、光ファイバテープ心線1に横並びに配置されている複数本の光ファイバ3の内、横並びの両端以外の光ファイバ3(図4に例示した光ファイバテープ心線1においては、4本の光ファイバ3の内、符号3b、3cを付したもの)については、被覆残滓(この被覆残滓に符号2aを付す)の付着部分は限定的であり、被覆残滓を手指で簡単に除去できるものの、横並びの両端に位置する光ファイバ心線3(図4に例示した光ファイバテープ心線1においては、4本の光ファイバ3の内、符号3a、3dを付したもの)については、一側部に、光ファイバテープ心線1の幅方向端部(断面長手方向の端部)の外装被覆が被覆残滓(この被覆残滓に符号2bを付す)として突条状に残る。この被覆残滓2bは、光ファイバ3の外周の半分近くにわたって付着しており、横並びの両端以外の光ファイバ3b、3cの被覆残滓2aに比べて、光ファイバ3に対する付着力も高いため、特に除去に手間と時間が掛かるといった問題があった。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑みて、光ファイバテープ心線からの光ファイバの単心分離に際して、光ファイバテープ心線の外装被覆の一部である被覆残滓が付着したままになっている光ファイバなど、外側に被覆材(被覆残滓を含む)が付着している光ファイバからの被覆材を効率良く行える被覆除去方法の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を解決手段とする。
本発明では、複数本の光ファイバを横並びに配列させて外装被覆によって一括被覆した光ファイバテープ心線から前記光ファイバを前記外装被覆が付いたまま単心に切り離し、この被覆付き光ファイバを一対の把持部材にそれぞれ形成された板状突片であって互いに重ね合わせるようにして配置された一対のリブ部の間に挟み込んだまま、一対の把持部材及び/又は被覆付き光ファイバの移動によって、一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って前記被覆付き光ファイバをしごくように摺動させることで、光ファイバ外側に付着している被覆残滓の付着力を低下せしめて、前記被覆付き光ファイバからの被覆残滓の除去を容易にすることを特徴とする被覆除去方法を提供する。
また、請求項2に係る発明では、一対の把持部材に挟み込む被覆付き光ファイバが、前記光ファイバの横並びの配列の端に位置する光ファイバを、外装被覆が付いたまま単心に切り離したものであることを特徴とする請求項1記載の被覆除去方法を提供する。
また、請求項3に係る発明では、前記リブ部は、一対の把持部材にそれぞれ設けられている細長板状の把持本体部の長手方向に直交する幅方向の片側端部に形成されて該把持本体部の長手方向に沿って延在する板状突片であり、一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って前記被覆付き光ファイバをしごくように摺動させる動作が、被覆付き光ファイバを把持本体部の長手方向に交差する向きで挟み込んだまま、一対の把持部材及び/又は被覆付き光ファイバの移動によって、一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って前記被覆付き光ファイバをしごくように摺動させる動作であることを特徴とする請求項1又は2記載の被覆除去方法を提供する。
また、請求項4に係る発明では、前記リブ部が把持本体部の長手方向に沿って延在させて形成され、前記リブ部には、被覆付き光ファイバとの接触層として、被覆付き光ファイバに局所的な応力集中を与えることを避けるための樹脂フィルムが接着されていることを特徴とする請求項3記載の被覆除去方法を提供する。
また、請求項5に係る発明では、一対の把持部材と、この一対の把持部材に前記被覆付き光ファイバを挟み込むための付勢力を与える付勢部材とを有してなる被覆除去装置を用い、前記付勢部材の付勢力によって前記一対の把持部材の間に前記被覆付き光ファイバを挟み込んだまま、一対の把持部材及び/又は被覆付き光ファイバの移動によって、一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って摺動させることで、光ファイバ外側に付着している被覆材の付着力を低下させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被覆除去方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、図2は、本発明に係る被覆除去装置10を示す。この被覆除去装置10は、一対の把持部材11、12と、把持部材11、12同士を回転自在に連結する枢軸13と、付勢部材14とを有している。把持部材11、12は、それぞれ、金属板を成形した1部品であり、細長板状の把持本体部15と、長手方向中央部から該把持本体部15の長手方向に対して直交する方向に延出された細長プレート状のレバー部16とを有する、概略T字状の部材である。前記レバー部16の把持本体部15からの延出方向中央部には、前記枢軸13に回転自在に枢着されるブラケット部17が前記レバー部16の一方の面(内面16a)から立ち上げるようにして突出されている。一対の把持部材11、12は、前記レバー部16のブラケット部17同士が対面する向きで、各把持部材11、12のブラケット部17を前記枢軸13に回転自在に枢着して連結されている。
【0009】
前記レバー部16の前記枢軸13を介して前記把持本体部15と対向する側に突出している部分には、作業者が手指で操作するための操作部18がある。また、前記付勢部材14は、一対の把持部材11、12の間に配置されており、その付勢力は、各把持部材11、12の操作部18の間を押し広げるように作用する。換言すれば、この付勢部材14の付勢力は、各把持部材11、12の把持本体部15同士を接近させる方向に常時作用している。したがい、この被覆除去装置10では、例えば作業者が手指を使って、前記付勢部材14の付勢力に抗して、各把持部材11、12の操作部18の間を接近させる操作を行えば、各把持部材11、12の把持本体部15の間が広がって、「開」状態となる。なお、何等、外力の作用が無い状態では、各把持部材11、12の把持本体部15同士は、付勢部材14の付勢力によって押し付けられた状態となる。
前記付勢部材14としては、特に限定は無いが、ここでは、トーションバネを採用し、このトーションバネ14を枢軸13の外側に挿入して、一対の把持部材11、12の間に設置している。
【0010】
把持本体部15は、具体的には、長手方向に直交する幅方向に平行な面で切った横断面が円弧状に湾曲した形状をなすように成形されており、前記レバー部16に対向する側の端部に、光ファイバ3を挟み込むためのリブ部19が形成されている。
付勢部材14の付勢力は、把持部材11、12間(具体的には、そのリブ部19間)に挟み込んだ光ファイバ3に光特性に影響を与えず、しかも、後述のように、リブ部19によってしごくような動作を行うことで、光ファイバ3に対する被覆材(ここでは被覆残滓)の付着力を低下できるように調整されている。
【0011】
ここで、図4に示したように、光ファイバテープ心線1から単心分岐した光ファイバ3(被覆付き光ファイバ)に付着している被覆材(被覆残滓)を、被覆除去装置10を用いて除去する方法を説明する。この被覆除去装置10では、一対の把持部材11、12の把持本体部15の間での光ファイバ3の挟み込みは、具体的には、各把持部本体部15のリブ部19の間にてなされる。
そして、このリブ部19に挟み込んだ状態で、被覆除去装置10及び/又は光ファイバ3を移動して、リブ部19によって光ファイバ3をしごくようにすることで、光ファイバ3外側に付着している被覆材の付着力を低下せしめる。これにより、手作業でも、光ファイバ3から被覆材を簡単に除去できるようになり、被覆除去の作業性が向上する。光ファイバテープ心線1の幅方向端部に位置する光ファイバ3a、3dについても、被覆除去装置10を使って同様にして被覆残滓2bの付着力を低下させることができ、被覆残滓2bを効率良く除去できる。
【0012】
なお、図3に示すように、リブ部19に光ファイバ3との接触層として樹脂フィルム20を接着すると、光ファイバ3に局所的な応力集中を与えることなく、被覆除去作業を進めることができる。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一対の把持部材の間に前記光ファイバを挟み込んだまま、一対の把持部材及び/又は光ファイバの移動によって、一対の把持部材を前記光ファイバの長手方向に沿って摺動させることで、光ファイバ外側に付着している被覆材の付着力を低下させることができ、これにより、手作業でも、光ファイバから被覆材を簡単に除去できるようになり、被覆除去の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る被覆除去装置を示す斜視図である。
【図2】 図1の正面図である。
【図3】 図1の被覆除去装置に接触層を設けた構成を示す拡大図である。
【図4】 光ファイバテープ心線からの複数本の光ファイバ心線の単心分離の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…光ファイバテープ心線、2…外装被覆、2a,2b…被覆残滓,被覆材、3,3a〜3d…光ファイバ(光ファイバ心線)、10…被覆除去装置、11,12…把持部材、13…枢軸、14…付勢部材、15…把持本体部、16…レバー部、17…ブラケット部、18…操作部、19…リブ部、20…樹脂フィルム。

Claims (5)

  1. 複数本の光ファイバを横並びに配列させて外装被覆によって一括被覆した光ファイバテープ心線から前記光ファイバを前記外装被覆が付いたまま単心に切り離し、この被覆付き光ファイバを一対の把持部材にそれぞれ形成された板状突片であって互いに重ね合わせるようにして配置された一対のリブ部の間に挟み込んだまま、一対の把持部材及び/又は被覆付き光ファイバの移動によって、一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って前記被覆付き光ファイバをしごくように摺動させることで、光ファイバ外側に付着している被覆残滓の付着力を低下せしめて、前記被覆付き光ファイバからの被覆残滓の除去を容易にすることを特徴とする被覆除去方法。
  2. 一対の把持部材に挟み込む被覆付き光ファイバが、前記光ファイバの横並びの配列の端に位置する光ファイバを、外装被覆が付いたまま単心に切り離したものであることを特徴とする請求項1記載の被覆除去方法。
  3. 前記リブ部は、一対の把持部材にそれぞれ設けられている細長板状の把持本体部の長手方向に直交する幅方向の片側端部に形成されて該把持本体部の長手方向に沿って延在する板状突片であり、
    一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って前記被覆付き光ファイバをしごくように摺動させる動作が
    被覆付き光ファイバを把持本体部の長手方向に交差する向きで挟み込んだまま、
    一対の把持部材及び/又は被覆付き光ファイバの移動によって、一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って前記被覆付き光ファイバをしごくように摺動させる動作であることを特徴とする請求項1又は2記載の被覆除去方法。
  4. 記リブ部には、被覆付き光ファイバとの接触層として、被覆付き光ファイバに局所的な応力集中を与えることを避けるための樹脂フィルムが接着されていることを特徴とする請求項3記載の被覆除去方法。
  5. 一対の把持部材と、この一対の把持部材に前記被覆付き光ファイバを挟み込むための付勢力を与える付勢部材とを有してなる被覆除去装置を用い、
    前記付勢部材の付勢力によって前記一対の把持部材の間に前記被覆付き光ファイバを挟み込んだまま、一対の把持部材及び/又は被覆付き光ファイバの移動によって、一対の把持部材を前記被覆付き光ファイバの長手方向に沿って摺動させることで、光ファイバ外側に付着している被覆材の付着力を低下させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被覆除去方法。
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