JP3795272B2 - ジメチルエーテル改質触媒および燃料電池装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジメチルエーテル改質触媒、詳しくは、燃料電池の燃料ガスの原料として使用されるジメチルエーテルを改質するためのジメチルエーテル改質触媒、および、そのジメチルエーテル改質触媒が用いられている燃料電池装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料電池として、プロトン導電性の固体高分子膜の両側に、アノードおよびカソードが配設される固体高分子型燃料電池が知られている。この固体高分子型燃料電池は、アノードに、主として水素からなる燃料ガスを供給するとともに、カソードに、空気などの酸化ガスを供給することによって、電気化学反応を生じさせ、固体高分子膜中においてプロトンを移動させることによって、起電力を発生させるものであり、燃料ガスの有する化学エネルギーを、直接電気エネルギーに変換することができ、エネルギー効率が良いものとして知られている。
【0003】
このような固体高分子型燃料電池において、アノードに供給するための燃料ガスは、例えば、原料としてメタノールを用い、このメタノールを水蒸気と接触させて改質することにより得ることがよく知られており、そのような改質には、通常、Cu−Zn系触媒が広く用いられている。
【0004】
一方、燃料ガスの原料としては、メタノール以外にも、例えば、天然ガスなど種々の原料が提案されており、なかでも、ジメチルエーテルは、常温において数気圧(例えば、5気圧)に加圧するか、あるいは低温(例えば、−25℃)にすると容易に液化するため、運搬、貯蔵および取り扱い易さの点から、その使用が期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ジメチルエーテルを改質して水素を得るために、例えば、上記したCu−Zn系触媒の存在下において、ジメチルエーテルを水蒸気と接触させても、改質により得られる混合ガス中の水素濃度は低く、実用的ではない。
【0006】
また、ヨーロッパ公開特許公報(EP−A−754649)には、ジメチルエーテルを、固体酸およびメタノール分解触媒を物理的に混合した触媒の存在下において、水蒸気と下記のように反応させることにより、水素リッチな混合ガスを得る方法が記載されている。
【0007】
CH3 OCH3 +H2 O→2CH3 OH (1)
CH3 OH+H2 O→3H2 +CO2 (2)
しかし、このような方法によって得られる混合ガス中の水素濃度は、未だ十分ではなく、燃料電池の燃料ガスとして用いるためには、より水素濃度の高い混合ガスを得ることが望まれている。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ジメチルエーテルを改質して、より水素濃度の高い混合ガスを得ることができるジメチルエーテル改質触媒、および、そのジメチルエーテル改質触媒が用いられている燃料電池装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のジメチルエーテル改質触媒は、銅が担持されている固体酸と、固体強酸とが含有されているジメチルエーテル改質触媒であって、固体強酸が、固型化リン酸および/またはヘテロポリ酸であることを特徴としている。
【0010】
また、固体酸が、活性アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライトからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0011】
また、銅が担持されている固体酸、および、固体強酸が微細な形状であることが好ましく、とりわけ、銅が担持されている固体酸、および、固体強酸の粒径が2mm以下であることが好ましい。さらには、銅が担持されている固体酸と、固体強酸との体積比が1:3〜3:1の範囲にあることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記した本発明のジメチルエーテル改質触媒が用いられ、ジメチルエーテルを改質することにより混合ガスを得る改質装置と、得られた混合ガスが、燃料ガスとして供給される燃料電池とを備えている燃料電池装置をも含んでいる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のジメチルエーテル改質触媒は、ジメチルエーテルを改質して水素リッチな混合ガスを得るために用いられるものであって、銅が担持されている固体酸と、固体強酸とが含有されている。
【0014】
固体酸としては、例えば、金属酸化物、二元金属酸化物、ゼオライト、金属硫酸塩、金属リン酸塩、陽イオン交換樹脂、固型化硫酸、固型化リン酸、ヘテロポリ酸などが挙げられる。
【0015】
金属酸化物としては、例えば、活性アルミナが挙げられ、好ましくは、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナが用いられる。
【0016】
二元金属酸化物としては、例えば、SiO2 −Al2 O3 、SiO2 −ZrO2 、TiO2 −Al2 O3 、TiO2 −ZrO2 、TiO2 −SiO2 、Al2 O3 −ZrO2 などが挙げられ、好ましくは、SiO2 −Al2 O3 が用いられる。
【0017】
ゼオライトとしては、MFI型ゼオライト(ZSM−5)が好ましく用いられる。
【0018】
固型化リン酸としては、例えば、P2 O5 −SiO2 −TiO2 、P2 O5 −SiO2 などが挙げられる。
【0019】
ヘテロポリ酸としては、例えば、P−Mo−Cs−SiO2 などが挙げられる。
【0020】
これら固体酸は、単独または2種以上併用してもよく、これら固体酸のなかでは、金属酸化物、二元金属酸化物、ゼオライトが好ましく用いられ、活性アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライトがさらに好ましく用いられる。
【0021】
このような固体酸は、その形状および大きさは特に制限されないが、微細な形状であることが好ましく、例えば、その粒径が2mm以下のものが好ましく用いられる。このような固体酸は、より具体的には、例えば、乾式法により微粉砕し、ふるいなどにより、0.5〜2.0mm、さらには、0.85〜1.7mmの粒径に分級したものが好ましく用いられる。
【0023】
そして、銅を固体酸に担持させるには、例えば、銅の塩の水溶液に、固体酸を浸漬し、固体酸に銅の塩を含浸させた後、乾燥、焼成すればよい。
【0024】
銅の塩としては、例えば、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、テトラアンミン硫酸塩などが挙げられる。また、水溶液は、銅の塩の濃度が、例えば、5〜50重量%となるように調製される。また、固体酸は、水溶液100重量部に対して、例えば、約150〜300重量部の割合で用いられる。なお、含浸時には、水溶液を加熱してもよい。
【0025】
そして、含浸後には、乾燥炉などにより、約80〜110℃で乾燥して、固体酸に含まれる水分を蒸発させた後、焼成炉などにより、約300〜600℃、好ましくは、約400〜500℃で焼成して、銅の塩を分解除去することにより、銅を固体酸に担持すればよい。なお、この乾燥および焼成は、区別することなく連続して行なってもよい。
【0026】
なお、固体酸に対する、銅の担持量は、4〜20重量%、さらには、5〜15重量%であることが好ましい。4重量%より少ないと、十分な触媒活性が得られない場合があり、一方、20重量%を超えると、銅の使用量に対する、触媒活性の向上の効果が少ない場合がある。
【0027】
そして、本発明のジメチルエーテル改質触媒は、このようにして得られた、銅が担持されている固体酸に、固体強酸が配合される。
【0028】
固体強酸としては、例えば、上記した固体酸のうち、固型化リン酸、ヘテロポリ酸が挙げられる。これら固体強酸は、単独または2種以上併用してもよい。このような固体強酸は、その形状および大きさは特に制限されないが、微細な形状であることが好ましく、例えば、その粒径が2mm以下のものが好ましく用いられる。このような固体強酸は、より具体的には、例えば、乾式法により微粉砕し、ふるいなどにより、0.5〜2.0mm、さらには、0.85〜1.7mmの粒径に分級したものが好ましく用いられる。また、固体強酸の比表面積は、例えば、固型化リン酸にあっては、10m2 /g以上、ヘテロポリ酸にあっては、50m2 /g以上であることが好ましい。
【0029】
銅が担持されている固体酸と固体強酸との配合割合は、特に制限されないが、その体積比において、1:3〜3:1の範囲であることが好ましい。銅が担持されている固体酸がこれより多いと、ジメチルエーテルからメタノールを生成する反応が遅くなり、また、固体強酸がこれより多いと、メタノールから水素を生成する反応が遅くなる。この範囲において、バランスの良いジメチルエーテルの改質反応が行なわれる。また、配合する方法には制限はなく、公知の方法によって、物理的に攪拌混合すればよい。
【0030】
このようにして得られたジメチルエーテル改質触媒は、銅が担持されている固体酸に、さらに固体強酸が配合されており、ジメチルエーテルを改質して水素リッチな混合ガスを得るための触媒として有効に用いられ、このジメチルエーテル改質触媒の存在下において、ジメチルエーテルを改質すれば、水素濃度の高い混合ガスを得ることができる。
【0031】
次に、このようなジメチルエーテル改質触媒が用いられる燃料電池装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池装置を示す全体構成図である。図1において、この燃料電池装置1は、主要構成として、改質装置2、水素分離装置3および燃料電池4を備えており、付帯構成として、ジメチルエーテルタンク5、水タンク6、エアコンプレッサ7などを備えている。
【0032】
改質装置2には、配管8を介してジメチルエーテルタンク5が接続されるとともに、配管9を介して水タンク6が接続されている。ジメチルエーテルタンク5には、改質原料となるジメチルエーテルが貯蔵されている。水タンク6には、改質装置2において水蒸気改質を行なうための水が貯蔵されている。そして、改質装置2に、所定の割合において、ジメチルエーテルタンク5からジメチルエーテルが供給されるとともに、水タンク6から水が供給される。
【0033】
改質装置2には、加熱器を備える加熱部と、本発明のジメチルエーテルが充填される改質部とが設けられている。改質装置2に供給されたジメチルエーテルと水とは、加熱部において、加熱器により加熱され、ジメチルエーテルが改質温度まで昇温されるとともに、水が気化(水蒸気化)され、次いで、改質部において、ジメチルエーテルが水蒸気改質される。
【0034】
この水蒸気改質は、ジメチルエーテルを水蒸気と接触させて、下記の反応により、水素リッチな混合ガスを生成させるものである。なお、この水蒸気改質は、例えば、約250〜400℃において行なうことが好ましい。
【0035】
CH3 OCH3 +H2 O→2CH3 OH (1)
CH3 OH+H2 O→3H2 +CO2 (2)
なお、この反応においては、その他に、微量であるが一酸化炭素(CO)も生成する。
【0036】
また、この改質装置2には、配管10を介してコンプレッサ7が接続されており、この改質部に、コンプレッサ7から空気を供給することにより、水蒸気改質と併せて、下記の反応による、部分酸化による改質を行なってもよい。
【0037】
CH3 OH+1/2 O2 →2H2 +CO2 (3)
改質装置2には、配管11を介して水素分離装置3が接続されており、改質部によって生成した水素リッチな混合ガスは、この配管11を介して水素分離装置3に供給される。
【0038】
混合ガス中に微量に含まれる一酸化炭素は、アノードの触媒として用いられている白金の触媒毒となるため、この水素分離装置3において除去される。水素分離装置3には、例えば、PtまたはPt−Ru触媒などが充填されており、一酸化炭素は、触媒の存在下において酸化除去される。
【0039】
水素分離装置3には、配管12を介して燃料電池4が接続されており、一酸化炭素が除去された混合ガスは、燃料ガスとして、この配管12を介して燃料電池4に供給される。
【0040】
燃料電池4は、固体高分子型燃料電池であって、単位セルが複数積層されたスタック構造とされている。なお、この燃料電池4には、配管13を介してエアコンプレッサ7が接続されており、エアコンプレッサ7から配管13を介して空気が供給されている。
【0041】
単位セルは、パーフルオロスルホン酸膜などのプロトン導電性の固体高分子膜が、白金が担持されるアノードおよびカソードによって挟まれたサンドイッチ構造とされており、アノードにおいては、水素分離装置3から配管12を介して供給される燃料ガス中の水素が、
H2 →2H+ +2e- (4)
の反応により、プロトンと電子とを生成し、生成されたプロトンが固体高分子膜を通ってカソードに向かうとともに、電子が図示しない外部回路に流出される。また、カソードにおいては、エアコンプレッサ7から配管13を介して供給される空気中の酸素が、固体高分子膜を移動してきたプロトンおよび外部回路から流入される電子と、次のように反応して、
1/2 O2 +2H+ +2e- →H2 O (5)
水を生じ、その結果、起電力が発生する。
【0042】
本実施形態の燃料電池装置1では、改質装置2において、本発明のジメチルエーテル改質触媒が用いられているので、改質装置2においては、水素濃度の高い混合ガスが生成され、この水素濃度の高い混合ガスが燃料ガスとして、燃料電池4に供給されるので、燃料電池4において、効率のよい発電を達成することができる。
【0043】
【実施例】
以下に本発明のジメチルエーテル改質触媒を、実施例および比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明のジメチルエーテル改質触媒は、何ら実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1
市販のγ−アルミナ(比表面積200m2 /g)の円柱状成形品(3.2mmφ×3.2mmL)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有するアルミナ粒を得て、こを92g秤量した。また、Cu(NO3 )2 ・3H2 O 30.4gを秤量し、蒸留水で溶解することにより、45重量%の硝酸銅水溶液を調製した。この水溶液に、秤量したγ−アルミナを加え、50〜80℃に加熱して硝酸銅を含浸させた。次いで、乾燥炉にて100℃で水分を蒸発させた後、500℃で3時間焼成し、硝酸を分解除去することにより、8重量%の銅が担持されたアルミナ粒を得た。また、市販の固型化リン酸(P2 O5 (25%)、SiO2 (65%)、TiO2 (10%)、比表面積30〜40m2 /g)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有する固型化リン酸粒を得た。そして、銅担持アルミナ粒58mLと固型化リン酸粒58mLとを混合することにより、銅担持アルミナ−固型化リン酸の混合触媒を得た。
【0045】
実施例2
市販の固型化リン酸(P2 O5 (35%)、SiO2 (65%)、比表面積12〜20m2 /g)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有する固型化リン酸粒を得た。そして、実施例1と同様の操作により得られた銅担持アルミナ粒58mLと、この固型化リン酸粒58mLとを混合することにより、銅担持アルミナ−固型化リン酸の混合触媒を得た。
【0046】
実施例3
市販のヘテロポリ酸(P(0.6%)、Mo(23.5%)、Cs(5.8%)、SiO2 (47.2%)、比表面積90〜100m2 /g)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有するヘテロポリ酸粒を得た。そして、実施例1と同様の操作により得られた銅担持アルミナ粒58mLと、このヘテロポリ酸粒58mLとを混合することにより、銅担持アルミナ−ヘテロポリ酸の混合触媒を得た。
【0047】
実施例4
銅担持アルミナ粒29mLと、ヘテロポリ酸粒86mLとを混合した以外は、実施例3と同様の操作によって、銅担持アルミナ−ヘテロポリ酸の混合触媒を得た。
【0048】
実施例5
銅担持アルミナ粒86mLと、ヘテロポリ酸粒29mLとを混合した以外は、実施例3と同様の操作によって、銅担持アルミナ−ヘテロポリ酸の混合触媒を得た。
【0049】
実施例6
市販のシリカ−アルミナ(SiO2 82%、Al2 O3 13%、比表面積400m2 /g)の円柱状成形品(3.2mmφ×3.2mmL)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有するシリカ−アルミナ粒を得て、これを92g秤量した。また、Cu(NO3 )2 ・3H2 O 30.4gを秤量し、蒸留水で溶解することにより、45重量%の硝酸銅水溶液を調製した。この水溶液に、秤量したシリカ−アルミナを加え、50〜80℃に加熱して硝酸銅を含浸させた。次いで、乾燥炉にて100℃で水分を蒸発させた後、500℃で3時間焼成し、硝酸を分解除去することにより、8重量%の銅が担持されたシリカ−アルミナ粒を得た。また、市販のヘテロポリ酸(P(0.6%)、Mo(23.5%)、Cs(5.8%)、SiO2 (47.2%)、比表面積90〜100m2 /g)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有するヘテロポリ酸粒を得た。銅担持シリカ−アルミナ粒58mLと、このヘテロポリ酸粒58mLとを混合することにより、銅担持シリカ−アルミナ−ヘテロポリ酸の混合触媒を得た。
【0050】
実施例7
市販のMFI型ゼオライト(比表面積360m2 /g)を、押出成形した後、さらに切断することにより、1.6mmφ×7mmLのペレット形状として成形し、これを乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有するゼオライト粒を得て、これを92g秤量した。また、Cu(NO3 )2 ・3H2 O 30.4gを秤量し、蒸留水で溶解することにより、45重量%の硝酸銅水溶液を調製した。この水溶液に、秤量したゼオライトを加え、50〜80℃に加熱して硝酸銅を含浸させた。次いで、乾燥炉にて100℃で水分を蒸発させた後、500℃で3時間焼成し、硝酸を分解除去することにより、8重量%の銅が担持されたゼオライト粒を得た。また、市販のヘテロポリ酸(P(0.6%)、Mo(23.5%)、Cs(5.8%)、SiO2 (47.2%)、比表面積90〜100m2 /g)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有するヘテロポリ酸粒を得た。そして、銅担持ゼオライト粒58mLと、このヘテロポリ酸粒58mLとを混合することにより、銅担持ゼオライト−ヘテロポリ酸の混合触媒を得た。
【0051】
比較例1
市販の銅系触媒(CuO37%、比表面積40m2 /g)の円柱状成形品(3.2mmφ×3.2mmL)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有する銅系触媒粒を得て、これを26g秤量した。また、市販のγ−アルミナ(比表面積200m2 /g)の円柱状成形品(3.2mmφ×3.2mmL)を乾式粉砕し、目の粗さが、1.7mmおよび0.85mmのふるいにて分級し、1.7〜0.85mmの粒径を有するアルミナ粒を得て、これを64g秤量した。そして、銅系触媒粒およびアルミナ粒を混合することにより、銅−アルミナの混合触媒を得た。
【0052】
評価
実施例1〜7および比較例1の触媒がそれぞれ充填されたガス流通式の反応装置を用いて、下記の条件によりジメチルエーテル(DME)を改質した。反応装置から流出した成分を分析することにより、水素濃度(体積%)、一酸化炭素(CO)濃度(体積%)およびDME改質率(%)を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1には、銅の使用量(g)および触媒体積(mL)を併せて示す。
【0053】
反応装置条件:
DME(気体)流量:0.5L/min
H2 O(液体)流量:3mL/min
床内温度 :350℃
【0054】
【表1】
【0055】
表1から明らかなように、実施例1〜7は、比較例1に比べて、銅の使用量に対する水素濃度の割合が高くなっていることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のジメチルエーテル改質触媒は、ジメチルエーテルを改質して水素リッチな混合ガスを得るための触媒として有効に用いられ、このジメチルエーテル改質触媒の存在下において、ジメチルエーテルを改質すれば、水素濃度の高い混合ガスを得ることができる。
【0057】
そして、このような本発明ジメチルエーテル改質触媒が、改質装置において用いられている燃料電池装置では、水素濃度の高い混合ガスを燃料ガスとして燃料電池に供給することができるので、燃料電池において、効率のよい発電を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての燃料電池装置を示す全体構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池装置
2 改質装置
4 燃料電池
Claims (6)
- 銅が担持されている固体酸と、固体強酸とが含有されているジメチルエーテル改質触媒であって、固体強酸が、固型化リン酸および/またはヘテロポリ酸であることを特徴とする、ジメチルエーテル改質触媒。
- 固体酸が、活性アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライトからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のジメチルエーテル改質触媒。
- 銅が担持されている固体酸、および、固体強酸が微細な形状であることを特徴とする、請求項1または2に記載のジメチルエーテル改質触媒。
- 銅が担持されている固体酸、および、固体強酸の粒径が2mm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のジメチルエーテル改質触媒。
- 銅が担持されている固体酸と、固体強酸との体積比が1:3〜3:1の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のジメチルエーテル改質触媒。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のジメチルエーテル改質触媒が用いられ、ジメチルエーテルを改質することにより混合ガスを得る改質装置と、得られた混合ガスが、燃料ガスとして供給される燃料電池とを備えていることを特徴とする、燃料電池装置。
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