JP3795144B2 - 防音床材及び床材用防音支脚並びに防音床構造 - Google Patents

防音床材及び床材用防音支脚並びに防音床構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種建物内の上下の2室間等の床における床衝撃音を遮断する防音床構造、また、この防音床構造に適した防音床材及び床材用防音支脚の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、マンション等の各種建物内の上下の2室間等における床の構造としては、図21に示すように、建物のコンクリートスラブ24上に支脚を介することなく床材10を設置する直張り床構造と、図22に示すように、コンクリートスラブ24上に、支脚26を介して、床材10を支持し、コンクリートスラブ24と床材10との間に空間64を設ける乾式二重床構造とがある。
【0003】
これらの構造を有する床において、上階の床に衝撃が加わると、この衝撃によって生じた振動である衝撃音が一種の騒音として階下に伝わり、階下に居住する者にとって快適な生活が妨げられ、ひいては上階の者に対する苦情を引き起こす原因となる。このため、これらの衝撃音の階下への伝搬をできるだけ低減する必要がある。
【0004】
この床に加わる衝撃音としては、例えば、テーブルからスプーン等が落下した時に生じる『コツン』というような比較的軽い振動である軽量衝撃音と、子供が飛び跳ねたり、走り回った時に生じる『ドスン、ドスン』等の比較的重い振動である重量床衝撃音とがある。
【0005】
この場合、これらの衝撃音のうち、軽量床衝撃音の伝搬をどれだけ低減することができるかは、上記の直張り床構造、乾式二重床構造のいずれであっても、主に、床材10の性能に左右され、また、重量床衝撃音の伝搬の低減は、主に、支脚26の性能や、コンクリートスラブ24の厚みに左右され、直張り床構造、乾式二重床構造のいずれの場合にも、床材10の性能にはあまり影響を受けない。従って、床材10や支脚26等の床構造により防音を達成する場合、軽量床衝撃音を遮断するためには床材10の防音性を高め、重量床衝撃音を遮断するためには支脚26の防音性を高める必要がある。
【0006】
この軽量床衝撃音を遮断するための防音床材10は、一般に、直張り床構造にあっては、図21に示すように、衝撃音緩衝部材12と、この衝撃音緩衝部材12の上に設置されたフローリング等の表面材11とから成り、また、乾式二重床構造にあっては、図22に示すように、支脚26に支持されたパーティクルボード62上に設置される床衝撃音緩衝部材12及び表面材11とから成っていた。従来、これらの床衝撃音緩衝部材12は、ベニヤ板等の合板や、また、例えば、フェルト材、スポンジ、ガラスウール、コルク材、樹脂発泡体、ゴム等の弾性材料又はこれらの弾性材料を挟み込んだ複合合板等から形成され、主として、これらの材質の有する弾性により、軽量床衝撃音の原因である軽微な振動を吸収して、軽量床衝撃音を遮断していた。なお、図22において、符号60は制振シートを示す。
【0007】
また、重量床衝撃音を遮断するための床材用防音支脚26は、従来、図22に示すように、金属やナイロン等から形成された略円筒形状の支脚本体26Aと、この支脚本体26Aを高比重制振材70を介して支持する防振ゴム72とから成り、この防振ゴム72により圧縮方向の振動を吸収すると共に、防振ゴム72に形成された中空部74の縦壁74Aを衝撃により加わった荷重に対して追従変形させることにより剪断方向の振動を抑制して、重量床衝撃音を遮断していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、防音床材10には、防音性だけではなく、家具等の重量物を載せても撓まない等の充分な耐荷重性も要求され、この耐荷重性を向上するためには床材10の剛性を高めることが必要である。すなわち、防音床材10は、防音のためには従来技術のように柔軟で弾性を有する方が好ましいが、耐荷重性を向上するためにはある程度硬さがある方が好ましい。
【0009】
従って、今後は、主として材質の有する弾性によって振動を吸収して、軽量床衝撃音を低減するのではなく、更に他の方法により振動を抑制して、充分な耐荷重性や耐久性等も備え得る防音床材の提供が望まれる。
【0010】
特に、防音性は、今後、更に向上する余地があり、建築の現場においても、より高い防音性を備えた防音床材の提供が望まれるところである。
【0011】
一方、乾式二重床構造に使用される床材用防音支脚26については、従来の技術では、図22に示すように、重量床衝撃音を遮断するための防振ゴム74は、その高さh(図22参照)が、35mmと比較的高く、また、ゴム材料から形成されていたため、弾力性に富み、支脚26の系としての剛性が低かった。このため、重量床衝撃音の原因となる比較的振幅やエネルギーの大きい振動(衝撃)が作用した場合、防振ゴム74が、この衝撃に反発して弾み、比較的長い間にわたって振動が持続し、重量床衝撃音を充分に遮断することができない場合があった。
【0012】
この従来技術の支脚26のように、支脚26の弾力性が高いことは、上述したように、比較的周波数の高い軽量床衝撃音を遮断する上では好影響を与えるものではあるが、一方で、重量床衝撃音を防止する上では、必ずしも適さないといえる。このことから、図22に示す従来の乾式二重床構造では、ある程度、重量床衝撃音の遮断を犠牲にしても、軽量床衝撃音の遮断を重視していたといえ、従来は、軽量床衝撃音の遮断、重量床衝撃音の遮断のいずれにも充分に対応できる防音床構造は提供されていなかった。
【0013】
本発明の第1の課題は、上記の問題点を解決するため、充分な耐荷重性、耐久性を備えつつ、軽量床衝撃音の遮断に優れる防音床材を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の課題は、上記の問題点を解決するため、重量床衝撃音の遮断に優れる床材用防音支脚を提供することにある。
【0015】
本発明の第3の課題は、上記の問題点を解決するため、充分な耐荷重性、耐久性を備えつつ、軽量床衝撃音、重量床衝撃音のいずれの遮断にも優れる総合的に良質な防音床構造を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、衝撃音緩衝部材を備えた防音床材であって、この衝撃音緩衝部材は、中質繊維板層と、この中質繊維板層に積層され、内部が真空又は減圧状態の中空微小球を含有する塗料層とから成っていることを特徴とする防音床材を提供するものである。
【0017】
このように、内部が真空又は減圧状態の中空微小球を含有する塗料層を設けると、この中空微小球内では分子の移動が少ないため、振動が伝搬せず、軽量床衝撃音を効果的に遮断することができる。また、中空微小球の内部が、製造工程上又は時間の経過等に伴って、空気が多少浸透する等して完全な真空状態ではなくなっても、通常の大気圧より低い圧力の気体が満たされた減圧状態であれば、ガスの含有量が少ないため、同様にして、振動の伝搬を充分に抑制して、軽量床衝撃音を充分に遮断することができる。なお、この中空微小球を樹脂塗料中に含有させると、長期にわたって中空微小球の内部への空気の浸透を抑制することができ、好ましい。
【0018】
加えて、塗料の硬化後において、この中空微小球は塗料層内でほぼ隙間なく整列するため、塗料層のベース素材を通じて振動が伝搬することが抑制され、軽量床衝撃音を効果的に遮断することができる。
【0019】
また、中質繊維板層(ミディアム デンシティ ファイバーボード:いわゆる『MDF』から成る層)は、それ自体が軽量床衝撃音に対する充分な防音性を備え、更には、剛性や曲げ強さが高いため、防音床材に充分な耐荷重性、耐久性を付与しつつ、塗料層との相乗作用により、防音床材の防音効果を一層高めることができる。なお、この中質繊維板層の表面は、均質で平滑な表面であるため、塗料層の形成にも適している。
【0020】
この第1の解決手段においては、塗料層の厚みを1mmから20mm程度に形成することが望ましい。即ち、塗料層を形成する塗料を、μmや、コンマ数mmの塗膜状ではなく、この程度の厚みを有する層状に形成すると、軽量床衝撃音の遮断性に優れる中空微小球を上下に厚みをもって重ねて整列させることができ、これにより、軽量床衝撃音を一層効果的に遮断することができる。
【0021】
また、この第1の解決手段において、中空微小球を、特に、SiO2 又はけい酸塩の中空微小球とすると、このSiO2 又はけい酸塩の中空微小球は、内部を真空又は減圧状態にして形成し易いため、上述した振動の伝搬低減作用を最も効果的に発揮させることができる。
【0022】
また、この第1の解決手段において、塗料層を形成する塗料を、特に、無溶剤エポキシ樹脂形塗料又は無溶剤ウレタン樹脂形塗料とすると、溶剤形塗料と異なり、塗料層を、床材を構成するのに適した厚みに形成し易く、また、硬化後において溶剤が塗料層内に残留することがないため、中空微小球が高い密度で隙間なく整列し易くなり、軽量床衝撃音の原因となる衝撃による振動の伝搬を効果的に低減することができる。特に、無溶剤ウレタン樹脂形塗料から塗料層を形成すると、ある程度弾性も有するため、軽量床衝撃音をより一層効果的に遮断することができ、また、防音床材を割れにも強くすることができる。なお、これらの無溶剤形塗料は、塗料を中質繊維板層に直接施工することによって塗料層を適切に形成することができる点でも、有利である。
【0023】
更に、この第1の解決手段において、衝撃音緩衝部材として、更に、やし繊維マット層を含めると、やし繊維マット層の有する防音性、緩衝性、防振性を、防音床材において発揮させて、軽量床衝撃音を効果的に遮断するのに用いることができる。
【0024】
なお、上記の第1の解決手段である防音床材を、コンクリートスラブ上に支脚を介することなく設置することにより、軽量床衝撃音の遮断に優れる直張り床構造の防音床構造とすることができる。
【0025】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、床材を支持する床材用防音支脚であって、上方に開口する開口中空部を内部に有する下部基材と、この下部基材に支持される上方部材と、下部基材に支持されて上方部材を下部基材に対して緩衝するように上方部材を支持する緩衝手段とを備えていることを特徴とする床材用防音支脚を提供するものである。
【0026】
床材用防音支脚を、このように構成すると、後に述べる実施例から判るように、従来の支脚に比べて、重量床衝撃音の遮断性を著しく向上させることができる。これは、支脚を、衝撃が加わる上方部材と、この上方部材を緩衝的に支持する下部基材とから構成したことにより、衝撃を緩衝するための防振ゴムが直接コンクリートスラブに面していた従来の支脚に比べ、支脚の系の剛性を高めることができるため、比較的エネルギーや振幅の大きい衝撃が作用しても、弾むことがなく、その振動を効果的に抑制することができるからであると考えられる。なお、支脚のコンクリートスラブに対する設置面密度が高まったことも、重量床衝撃音を効果的に遮断することができる一つの原因と考えることができる。
【0027】
この場合、加わった衝撃を最終的に下部基材により受け止める構成としたことにより、下部基材と上方部材との間に緩衝手段を配置することができ、この緩衝手段は、特に、下部基材の開口中空部内に配置されて上方部材と下部基材との間を圧縮方向に緩衝するように上方部材を下部基材に支持する圧縮方向緩衝材と、下部基材と上方部材との間を剪断方向に緩衝するように上方部材を下部基材に支持する剪断方向緩衝材とから構成することができる。
【0028】
この第2の解決手段において、剪断方向緩衝材を、例えば、ポリエステルエラストマー等の硬度が高く強度に優れる低反発性エラストマーから形成すると、剪断方向緩衝材が、振幅の大きい衝撃に対して反発して長い間にわたって振動することなく、剪断方向に瞬間的に屈曲して、短時間で衝撃を確実に緩和することができるため、重量床衝撃音の遮断性をより一層向上させることができる。
【0029】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1の解決手段である防音床材と、コンクリートスラブ上に配置され、この防音床材を支持する上記第2の解決手段である床材用防音支脚とから成る乾式二重床構造の防音床構造を提供するものである。
【0030】
このように、剛性が高く重量床衝撃音の遮断に優れる支脚によって、軽量床衝撃音の遮断に優れる防音床材を支持した乾式二重床構造とすると、軽量床衝撃音、重量床衝撃音のいずれの遮断にも優れる防音床構造とすることができる。なお、この場合、床構造全体の系の剛性を高めたことにより、同時に、耐荷重性や耐久性、また、フワフワとしない快適な歩行感も得ることができ、総合的に優れた防音床構造とすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の防音床材の実施の形態について説明すると、図1乃至図3は、本発明の防音床材10を示し、この防音床材10は、衝撃音緩衝部材12と、この衝撃音緩衝部材12の上に設置されるフローリング材等の表面材11とから成っている。この衝撃音緩衝部材12は、図1乃至図3に示すように、中質繊維板層14と、この中質繊維板層14に積層される塗料層16とを有している。
【0032】
塗料層16は、特に、図4(B)に示すように、内部が真空又は減圧状態の中空微小球20を含有している。このため、例えば、テーブルからスプーンが落下する等して軽微な衝撃が床に作用しても、この中空微小球20内では分子の移動が少ないため、この衝撃による振動が伝搬せず、軽量床衝撃音を効果的に遮断することができる。
【0033】
また、この中空微小球20の内部が、製造工程上あるいは時間の経過等に伴って、空気が多少浸透したり、微小球が潰れて若干気泡が発生する等して完全な真空状態(ないしは極高真空)ではなくとも、通常の大気圧より低い圧力の気体が満たされた減圧状態であれば、ガスの含有量が少ないため、同様にして、振動の伝搬を充分に抑制して、軽量床衝撃音を充分に遮断することができる。なお、このように真空又は減圧状態を利用して振動の伝搬を抑制するため、主として弾性によって振動を吸収していた従来技術と異なり、防音床材10にある程度の剛性を持たせることも可能となる。
【0034】
この中空微小球20は、例えば、フィルム形成能力を有するフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、また、ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂等の様々な物質から形成することができるが、中でも、特に、SiO2 、又は、ガラスを生成するアルカリ金属けい酸塩等のけい酸塩の中空微小球20を使用することが望ましい。これらのSiO2 又はけい酸塩の中空微小球20は、内部を真空又は減圧状態にして形成し易いため、振動の伝搬低減作用を最も効果的に発揮させることができるからである。この中空微小球20としては、具体的には、アメリカの3M社製の中空微小球20等を挙げることができる。但し、必ずしも、これらのSiO2 の中空微小球20等に限定されるものではなく、内部を真空又は減圧状態にして振動を充分に抑制することができれば、他の物質から成る中空微小球20を用いてもよいことは勿論である。
【0035】
また、中空微小球20は、これらのSiO2 や不定形ガラスの粒子等を酸化性の雰囲気中で溶融膨張する方法等の適宜な方法により形成することができる。また、このようにして形成される中空微小球20の多くは、一般的に、直径が約10μmから200μm程度のものまで種々の大きさのものがあるが、塗料層16に含有させる上では、約30μm程度の大きさのものを用いることができる。
【0036】
塗料層16は、これらの内部が真空又は減圧状態の中空微小球20をフィラーとして含有する塗料18から形成することができる。この場合、この中空微小球20をフィラーとして含有する塗料18は、硬化前の状態においては、図4(A)に示すように、この中空微小球20が塗料18の成分中に浮遊しているが、塗料18の硬化後においては、図4(B)に示すように、この中空微小球20が塗料層16内でほぼ隙間なく整列するため、塗料層16のベース素材の分子を通じての振動の伝搬も抑制され、軽量床衝撃音を効果的に遮断することができる。
【0037】
この塗料層16は、具体的には、1mmから20mm程度の厚みに形成することが望ましい。即ち、塗料層16を形成する塗料18を、μmや、コンマ数mmの塗膜状ではなく、この程度の厚みを有する層状に形成すると、軽量床衝撃音の遮断性に優れる中空微小球20を上下に厚みをもって重ねて整列させることができ、これにより、軽量床衝撃音を一層効果的に遮断することができる。
【0038】
塗料層16は、衝撃音緩衝部材12として上述した1〜20mm程度の厚みに形成することを考えると、型枠の中に塗料18を流し込んで、硬化させることにより形成することが最も好ましいといえる。より具体的には、塗料18として、例えば、後述する無溶剤エポキシ樹脂形塗料を用いる場合を例に説明すると、液状のエポキシ樹脂中に、中空微小球20を5〜50%重量比程度混入して、硬化剤を混入させた後、ある程度攪拌して、型枠の中に流し込み、例えば、2mm厚程度に形成する場合には、20℃下で5時間程度かけて、層状に硬化させて塗料層16を形成することができる。この場合、塗料18中に、更に、硬化促進剤等を混入してもよい。
【0039】
なお、塗料層16を形成する場合、多くの水分を含んだ水性塗料等、塗料18の種類によっては、中質繊維板層14の表面14aに直接施工すると、硬化後において、防音床材10全体が波打つように撓む場合もある。このような場合には、塗料層16を、予め、中質繊維板層14とは別途に形成した上で、この塗料層16を、中質繊維板層14上に直接積層するか、又は接着剤により中質繊維板層14に接着したり、若しくは、釘やネジ等により中質繊維板層14に固定することにより、中質繊維板層14に積層することが望ましい。
【0040】
但し、塗料層16の形成方法は、必ずしも上述した方法に限定されるものではなく、塗料18を、例えば、スプレー、ローラーやはけ等のような通常の塗料の塗布形態と同様にして、中質繊維板層14に直接施して塗料層16を形成することもできる。なお、これらの方法では、ある程度の厚みを有する層状に形成することは必ずしも容易ではなく、また、塗料18を中質繊維板層14に直接施すと、上述したように、塗料18の種類によっては、防音床材10が撓む場合もあるため、塗料18の性質等により、これらの点を回避することができる場合に用いるとよい。
【0041】
また、この塗料18としては、無溶剤エポキシ樹脂形塗料又は無溶剤ウレタン樹脂形塗料等の無溶剤形塗料を使用することが望ましい。これは、溶剤形塗料をベース成分とした塗料18であると、ある程度の厚みを有する塗料層16にすることが必ずしも容易ではないためである。また、無溶剤形塗料は、溶剤形塗料と異なり硬化後において溶剤が塗料層16内に残留することがないため、図4(B)に示すように、中空微小球20が高い密度で隙間なく整列し易くなり、軽量床衝撃音の原因となる衝撃による振動の伝搬を効果的に低減する上で、好適だからである。
【0042】
特に、無溶剤ウレタン樹脂形塗料から塗料層16を形成すると、ある程度弾性も付与することができるため、軽量床衝撃音をより一層効果的に遮断する上で好適と考えることができ、また、防音床材10を割れにも強くすることができる。
【0043】
なお、これらの無溶剤形塗料は、中質繊維板層14に直接施工しても、硬化後において、撓まないため、上述した塗料18の中質繊維板層14への直接施工によっても塗料層16を適切に形成することができる点で有利である。また、これらの、エポキシ樹脂等の樹脂塗料中に中空微小球20を含有させると、長期にわたって中空微小球20の内部への空気の浸透を抑制することができ、好ましい。
【0044】
このような塗料層16を形成する塗料18としては、具体的には、長島特殊塗料株式会社等が製造・販売する商品名『サーモシールド』等を用いることができる。この『サーモシールド』は、防音性に優れることは勿論のこと、断熱性や耐久性にも優れているため、防音床材10の衝撃音緩衝部材12として用いるのに適している。
【0045】
中質繊維板層14は、中質繊維板(いわゆる『MDF』)を所定の厚みに加工することにより形成することができる。この中質繊維板(MDF)は、非常に細かい木片や廃材を、表層から芯層まで均一にかつ高い密度で、緻密に圧縮して形成されたもので、後に述べる参考例2に関する試験から判るように、それ自体が軽量床衝撃音に対する非常に優れた防音性を備え、更には、剛性や曲げ強さが高いため、防音床材10に充分な耐荷重性、耐久性を付与しつつ、塗料層16との相乗作用により、防音床材10の防音効果を一層高めることができる。なお、この中質繊維板層14の表面は、均質で平滑な表面であるため、塗料18を施して塗料層16を形成するのにも適している。
【0046】
この中質繊維板としては、国内産、外国産のもの等、種類を問わず使用することができるが、具体的には、住友林業株式会社販売の商品名『N.Pウッド』等を挙げることができる。この『N.Pウッド』は、ニュージーランド南島のネルソン周辺の森林から採取されるラジアータパインの純粋片を原料として形成された中質繊維板であり、曲げ強さが約350kgf/cm2 〜460kgf/cm2 と、曲げ強さが約156kgf/cm2 程度であるパーティクルボード等に比べて、格段に曲げ強さ、剛性が高い点でも、本発明に係る衝撃音緩衝部材12として適用するのに好適である。
【0047】
また、これらの衝撃音緩衝部材12の積層形態について図1を参照しながら説明する。まず、第1の実施の形態として、図1(A)に示すように、中央の中質繊維板層14Aと、外側の2つの中質繊維板層14B、14Cとの間に塗料層16A、16Bを挟み込むことにより、サンドイッチ状の衝撃音緩衝部材12とすることができる。この積層形態においては、衝撃音緩衝部材12の表面には、中質繊維板層14が露出している。
【0048】
なお、この実施の形態において、塗料18を中質繊維板層14に直接施して塗料層16を形成する場合には、中央の中質繊維板層14Aの両面に施すか、又は、外側の2つの中質繊維板層14B、14Cのそれぞれの片方の表面に塗料18を施して塗料層16を形成してもよく、これらを重ね合わせて衝撃音緩衝部材12とすることができる。更には、塗料18を、3つの中質繊維板層14A乃至14C間の接着手段として、これらの3つの中質繊維板層14間に流し込んで、塗料層16を形成すると同時に、3つの中質繊維板層14を接着して衝撃音緩衝部材12としてもよい。
【0049】
第2の実施の形態として、図1(B)に示すように、3つの中質繊維板層14を積層し、外側の2つの中質繊維板層14B、14Cの外側に塗料層16A、16Bを積層して衝撃音緩衝部材12とすることができる。この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、衝撃音緩衝部材12の表面が塗料層16により覆われている。
【0050】
なお、この積層形態においても、塗料18を中質繊維板層14に直接施して塗料層16とする場合には、3つの中質繊維板層14を積層した後、外側の2つの中質繊維板層14B、14Cに塗料層16を形成してもよいし、外側の2つの中質繊維板層14B、14Cに塗料層16A、16Bを形成した後、3つの中質繊維板層14を積層してもよい。更には、図示の実施の形態では、衝撃音緩衝部材12は、3つの中質繊維板層14から成っているが、1つの中質繊維板層14の両面に塗料層16を形成してもよいことは勿論である。
【0051】
第3の実施の形態として、図1(C)に示すように、中央に配置されたやし繊維マット層22と、その外側に配置された2つの中質繊維板層14B、14Cとの間に2つの塗料層16を挟み込んで、衝撃音緩衝部材12とすることができる。この積層形態は、上記第1の実施の形態における中央の中質繊維板層14Aの代わりに、やし繊維マット層22を配置したものである。従って、塗料18を中質繊維板層14に直接施して塗料層16を形成する場合には、同様に、塗料層16は、塗料18を中質繊維板層14又はやし繊維マット層22のいずれに施して形成してもよいし、また、両方に施して形成してもよい。
【0052】
第4の実施の形態として、図1(D)に示すように、やし繊維マット層22の両面に積層された2つの中質繊維板層14B、14Cに、それぞれ塗料層16A、16Bを積層して、衝撃音緩衝部材12とすることができる。この積層形態は、上記第2の実施の形態における中央の中質繊維板層14Aの代わりに、やし繊維マット層22を用いたものである。
【0053】
上記の第3及び第4の実施の形態のように、衝撃音緩衝部材12として、更に、やし繊維マット層22も含めると、やし繊維マット層22の有する防音性、緩衝性、防振性を防音床材10において発揮させて、軽量床衝撃音を効果的に遮断することができる。このやし繊維マット層22は、やし繊維を、樹脂等の種々のバインダにより不織布様又は三次元網組織状等に絡み合わせることにより形成することができる(本発明者等の提案による特開平7−109652号公報、特開平7−112412号公報等参照)。
【0054】
なお、衝撃音緩衝部材12の積層形態は、図示した4つの形態に限定されるものではなく、必要に応じて、他の、例えば、中質繊維板層14の片面のみに塗料層16を積層した衝撃音緩衝部材12とする等の適宜な形態とすることができるのは、勿論である。
【0055】
更に、本発明の防音床材10の床構造への適用について説明すると、図2に示すように、本発明の防音床材10を、支脚を介することなく、制振シート60と共にコンクリートスラブ24上に設置することにより、軽量床衝撃音の遮断に優れる直張り床構造の防音床構造1とすることができる。なお、この場合、重量床衝撃音の遮断は、このコンクリートスラブ24の厚みを適切に設定することにより、対応することができる。また、図2の実施の形態では、コンクリートスラブ24と衝撃音緩衝部材12との間に制振シート60を介在させたが、この制振シート60は、必ずしも設置しなくてもよい。
【0056】
また、図3に示すように、本発明の防音床材10を、床材用防音支脚26の上に制振シート60を貼り合わせたパーティクルボード62を介して設置することにより、軽量床衝撃音の遮断に優れる乾式二重床構造の防音床構造1とすることができる。この場合、本発明の防音床材10は、次に述べる本発明の床材用防音支脚26の上に設置して使用することもできるし、また、図22に示す従来の床材用防音支脚26の上に設置して使用することもできる。いずれの場合にも、後に述べる実施例から判るように、軽量床衝撃音を充分に遮断することができる。なお、図3に示す実施の形態では、パーティクルボード62と衝撃音緩衝部材12との間に制振シート60を介在させたが、図2の実施の形態と同様、この制振シート60は、必ずしも設ける必要はない。
【0057】
次に、本発明の床材用防音支脚の実施の形態について説明すると、図5は、本発明の床材用防音支脚26を示し、この床材用防音支脚26は、図3に示すように、コンクリートスラブ24上に設置されて、床材10を支持するものであり、乾式二重床構造に使用される。
【0058】
この防音支脚26は、図5に示すように、上方に開口する開口中空部34を内部に有する下部基材28と、この下部基材28に支持される上方部材30と、下部基材30に支持されて上方部材30を下部基材28に対して緩衝するように上方部材30を支持する緩衝手段32とを備えている。
【0059】
緩衝手段32は、図5に示すように、下部基材28の開口中空部34内に配置されて、上方部材30と下部基材28との間を圧縮方向に緩衝するように上方部材30を下部基材28に支持する圧縮方向緩衝材36と、下部基材28と上方部材30との間を剪断方向に緩衝するように上方部材30を下部基材28に支持する剪断方向緩衝材38とから成っている。従って、上方部材30は、図5に示すように、これらの緩衝手段32を介して、下部基材28に支持されている。このため、本発明の防音支脚26では、最終的には、この下方に配置された下部基材28により衝撃を受け止めるため、コンクリートスラブ24に直接面する弾性変形し易い防振ゴム74(図22参照)の弾力性により最終的に振動を吸収していた従来の防音支脚26に比べて、支脚26の系としての剛性が高まっている。
【0060】
下部基材28は、図6に示すように、略円形の外周面28aを有し、また、その開口中空部34は、図5及び図6(A)に示すように、圧縮方向緩衝材36を支持する底部40を有する。従って、下部基材30は、図5及び図6に示すように、全体として略有底円筒形状を有している。
【0061】
上方部材30は、図5に示すように、圧縮方向緩衝材36が挿入される緩衝材挿入孔42Aを有する第1の上方部材部分42と、この第1の上方部材部分42との間で剪断方向緩衝材38を挟持する第2の上方部材部分44と、この第2の上方部材部分44に接続され、図3に示すように、床材10を支持する受け皿48が取付けられる受け皿支持部46とから成っている。
【0062】
第1の上方部材部分42は、図5及び図7(A)に示すように、緩衝材挿入孔42Aとは反対側に、第2の上方部材部分44に螺合される雄ネジ部42Bを有し、この雄ネジ部42Bと、緩衝材挿入孔42Aを有する部分との径を異にして、第2の上方部材部分44との間で剪断方向緩衝材38を挟持する肩部42Cが形成されている。
【0063】
一方、第2の上方部材部分44には、第1の上方部材部分42の雄ネジ部42Bが螺合される雌ネジ中空孔44Aが形成されている。従って、第1の上方部材部分42の雄ネジ部42Bを、後述する剪断方向緩衝材38の中空孔38Aに通した後、第2の上方部材部分44の雌ネジ中空孔44Aに螺合することにより、第1と第2の上方部材42、44は、相互に接続されると共に、剪断方向緩衝材38を第1の上方部材部分42の肩部42Cと第2の上方部材部分44の下面44aとの間に固定する。
【0064】
これらの第1と第2の上方部材42、44は、図5に示すように、下部基材28の開口中空部34の内径より小さな外径に設定されている。これは、上方部材30は、図5に示すように、下部基材28の開口中空部34内において、圧縮方向緩衝材36を介して下部基材38に支持されると共に、上方部材30に重量床衝撃音の原因となる比較的エネルギーや振幅の大きい振動(衝撃)が加わった時に、これらの第1と第2の上方部材42、44が、下部基材28の開口中空部34内で若干上下に変位して、この振動を抑制するためである。
【0065】
また、第2の上方部材部分44と受け皿支持部46とは、図5に示すように、相互に螺合することにより接続される。この受け皿支持部46の外周面46aには、受け皿48を取付けるための雄ネジ46Aが形成され、受け皿48は、この雄ネジ46Aに螺合されて、図3に示すように、支脚26を構成する。なお、受け皿48は、図11に示すように、ビス50等により、床材10に固定されて床材10を受け止める。
【0066】
圧縮方向緩衝材36は、図5及び図8に示すように、内部に後述するボルト・ナット手段54のボルトが貫通するボルト貫通孔36Aを有する縦長の円筒形状を有する。この圧縮方向緩衝材36は、図5に示すように、下部基材28の開口中空部34の底部40上に設置されると同時に、第1の上方部材部分42の緩衝材挿入孔42A内に挿入される。これにより、圧縮方向緩衝材36は、上方部材30を下部基材28に支持すると同時に、下部基材28を圧縮する方向に向けて、上方部材30に加わった衝撃を緩和する。即ち、上方部材30は、この圧縮方向緩衝材36を介して、下部基材28に支持されている。
【0067】
この圧縮方向緩衝材36としては、ウレタンスプリングを用いると、圧縮方向の衝撃を充分に緩和することができると同時に、床下の湿気による錆や腐食の影響がなく耐久性にも優れるため、長期にわたって安定した性能を維持できる点で、好ましい。このウレタンスプリングとしては、例えば、エステル系ポリウレタンから成る株式会社ミスミ製のウレタンスプリングを使用することができる。また、ウレタンスプリングと同様の緩衝性、耐久性を有するセラミックスやステンレス等の圧縮バネも、圧縮方向緩衝材36として使用することができる。
【0068】
剪断方向緩衝材38は、図5及び図9に示すように、内部に第1の上方部材部分42の雄ネジ部42Bが貫通する中空孔38Aを有する略リング状の形状を有し、図5に示すように、上方部材30に固定されると共に、下面が下部基材28の上端開口面28bに係合する。これにより、剪断方向緩衝材38は、上方部材30を下部基材28に支持すると同時に、下部基材28と上方部材30との間を剪断する方向に上方部材30に加わった衝撃を緩和する。即ち、上方部材30は、この剪断方向緩衝材38をも介して、下部基材28に支持されている。
【0069】
このリング状の剪断方向緩衝材38は、低反発性エラストマーから形成することが望ましい。この低反発性エラストマーは、低周波の振動の中でも、例えば、人が通常に歩く程度の衝撃により発生する比較的振幅の小さな振動は、エラストマー自体が有する制振性によって緩和することができると同時に、硬度が高く、強度にも優れていることから、例えば、子供が飛び跳ねることにより発生する振幅が比較的大きい衝撃が作用しても、変形(沈み込み)が少なく、この衝撃に反発して長い間にわたって弾んで振動することなく、剪断方向に瞬間的に屈曲して、短時間で衝撃を確実に緩和することができるため、重量床衝撃音の遮断性を充分に向上させることができる。
【0070】
すなわち、剪断方向緩衝材38として、この低反発性エラストマーを用いることにより、弾力性に富む防振ゴム72(図24参照)を使用した従来技術に比べ、防音支脚26の剛性、ひいては、比較的剛性の高い本発明の防音床材10と相乗して床構造1全体の剛性が向上し、重量床衝撃音に対する防音性が向上する。また、低反発性エラストマーは、このように剛性が高いため、耐荷重性に優れ、箪笥等の重量物を支持しても撓まない共に、屈曲疲労抵抗や耐湿性や耐熱性、耐候性にも優れるため、支脚26の耐久性を高める上でも好ましい。
【0071】
なお、上述したウレタンスプリング等の圧縮方向緩衝材36によって、この衝撃により屈曲した剪断方向緩衝材38の復元作用が補助されるため、剪断方向緩衝材38は、より一層瞬間的に元の状態に復元し易くなり、これにより、振幅の大きい衝撃が連続して作用した場合にも対応し易くなる。
【0072】
この低反発性エラストマーとしては、例えば、ポリエステルエラストマーを挙げることができる。なお、このポリエステルエラストマーは、エステルーエーテル系、エステル−エステル系、また、ポリブチレンナフタレート系等のいずれであってもよい。具体的には、帝人株式会社販売の商品名『テイジンポリエステルエラストマー』等を用いることができる。
【0073】
なお、図5に示すように、このリング状の剪断方向緩衝材38の中空孔38Aの内径d1 (図9(A)参照)と第1の上方部材部分42の係合箇所の直径とを整合させて、剪断方向緩衝材38を上方部材30に確実に固定することが好ましい。また、剪断方向緩衝材30の外径d2 (図9(A)参照)も、図5に示すように、下部基材28の外径d3 (図6(A)参照)とほぼ一致させて、下部基材28の下面が上端開口面28bに確実に係合できるように設定する。
【0074】
また、下部基材28には、図5に示すように、上方から下部基材28の上端開口面28bを覆うようにして螺合されるキャップ52が取付けられる。このキャップ52は、図10に示すように、下部基材28の上端開口面28bとの間で剪断方向緩衝材38を挟み込んで固定する鍔部52Aを有する。従って、このキャップ52を下部基材28に取付けることにより、剪断方向緩衝材38が、下部基材28と上方部材30との間に固定される。なお、下部基材28の外周面28aには、このキャップ52を螺合するための、ネジ山28Aが形成されている。
【0075】
更に、剪断方向緩衝材38を固定している上方部材30と圧縮方向緩衝材36及び下部基材28は、図5に示すように、相互に、ボルト・ナット手段54により固定的に連結される。具体的には、図5に示すように、下部基材28の開口中空部34の底部40及び第1の上方部材部分42には、それぞれ、ボルト貫通孔40A、42Dが形成され、ボルト・ナット手段54は、これらのボルト貫通孔40A、42D及び圧縮方向緩衝材36のボルト貫通孔36Aを貫通して、両端の第2の上方部材部分44に形成されたナット受入孔44B内又は下部基材28に形成されたナット受入収納孔28B内において締め付けられて、上方部材30と圧縮方向緩衝材36と下部基材28とを相互に連結している。
【0076】
以上の床材用防音支脚26において、下部基材28及び上方部材30、また上記のキャップ52は、ナイロン6等のナイロンから形成することができる。このように、下部基材28や上方部材30をナイロンから形成すると、支脚26の系の剛性を充分に高めつつ、材料自体が有する制振作用が防音支脚26に付与されて、重量床衝撃音を効果的に緩和することができる。なお、充分な剛性を得ることができる点では変わりがないことから、真鍮等の金属から形成してもよい。
【0077】
以上のように形成された本発明の床材用防音支脚26は、後に述べる実施例から判るように、図25に示す従来の防音支脚26に比べて、重量床衝撃音の遮断に著しく優れている。これは、支脚26を、衝撃が加わる上方部材30と、この上方部材30を緩衝手段32により緩衝的に支持する下部基材30とから構成し、また、この緩衝手段32を低反発性エラストマー等から形成すると共に下部基材28と上方部材30をナイロン等から形成したことにより、衝撃を緩衝するための防振ゴム74が直接コンクリートスラブ24に面していた図25に示す従来の支脚26に比べ、支脚26全体の系としての剛性が高まり、比較的エネルギーや振幅の大きい衝撃が作用しても、弾むことなく、その振動を効果的に抑制することができるからであると考えられる。なお、支脚26のコンクリートスラブ24に対する設置面密度が高まったことも、重量床衝撃音を効果的に遮断することができた一つの原因と考えることができる。
【0078】
なお、図示の実施の形態では、図5に示すように、下部基材28の底面に、中実のゴムシート56が取付けられている。但し、このゴムシート56は、厚さ3mm程度の薄いものとすることが好ましい。これは、このゴムシート56は、主に、下部基材28に傷が付くのを防止するためのものであり、むしろ、あまりに厚みを大きくすると、図24に示す従来の防音支脚26と同様に、衝撃が作用した場合に、必要以上に弾んで、重量床衝撃音を充分に緩和することができなくなるためである。
【0079】
また、図5に示す実施の形態では、リング状の剪断方向緩衝材38を、外径d2 (図9(A)参照)と厚みとの差が比較的大きい薄型のものとしたが、必要に応じて、図12に示すように、直径と厚みとの差が小さい比較的厚めの剪断方向緩衝材38とすることもできる。また、図示の実施の形態では、この剪断方向緩衝材38を、下部基材28の上端開口面28bに係合させて下部基材28に支持させたが、剪断方向緩衝材38を確実に固定することができれば、他の例えば、下部基材28の周壁の途中に形成された溝内等に嵌め込んで支持してもよい。
【0080】
更に、本発明の床材用防音支脚26の床構造への適用について説明すると、図3に示すように、剛性が高く重量床衝撃音の遮断に優れる本発明の床材用防音支脚26により、制振シート60が貼り合わされたパーティクルボード62を介して、軽量床衝撃音の遮断に優れる図1に示す本発明に係る衝撃音緩衝部材12を有する防音床材10を支持した乾式二重床構造とすることにより、軽量床衝撃音、重量床衝撃音のいずれの遮断にも優れる防音床構造1とすることができる。
【0081】
なお、この場合、床構造全体の系の剛性が高いため、同時に、耐荷重性や耐久性、また、フワフワとしない快適な歩行感も得ることができ、総合的に優れた防音床構造1とすることができる。
【0082】
また、本発明の床材用防音支脚26の上に、図24に示す従来の防音床材10を設置してた防音床構造1としても、従来の防音床構造1に比べて、重量床衝撃音を充分に遮断することができる。
【0083】
【実施例】
次に、本発明の幾つかの実施例について床衝撃音を測定し、その測定結果を、参考例の測定結果と比較しつつ、本発明の防音床材10、床材用防音支脚26及びこれらを用いた防音床構造1の効果を立証する。
【0084】
まず、床衝撃音の測定試験の方法について説明する。具体的には、図13に示す試験装置80を用い、この試験装置80は、受音室82と、この受音室82内に設置されたマイクロホーン84と、このマイクロホーン84に電気的に接続されてマイクロホーン84が受けた音響レベルを測定する騒音計86と、この騒音計86の測定結果を分析するリアルタイムアナライザー88を使用した。
【0085】
なお、受音室82は、図13に示すように、高さ900mm、幅1400mmの鉄板ボックス90内に、厚さ100mmのコンクリートブロック92を積み上げて形成し、このコンクリートブロック92の内側にグラスウール94を貼り詰めた壁面とし、これに一辺の長さが1200mmの正方形で厚さが150mmのコンクリートスラブ24を天井面(音源室の床)として覆って密閉して構成した。
【0086】
試験体である防音床材10は、実施例、参考例のいずれも、1辺が910mmの正方形に形成した。これを、図13(A)に示す直張り床構造にあっては、図2及び図21に示すように、コンクリートスラブ24上に直接設置し、図13(B)に示す乾式二重床構造にあっては、図3及び図22に示すように、コンクリートスラブ24の上に、床材用防音支脚26、厚さ20mmのパーティクルボード62を介して設置した。なお、床材用防音支脚26は、防音床材10の中心に1つ、防音床材10の4隅から15cm中心よりの位置に4つ配置した。また、防音床材10は、支脚26に取付けられた直径100mm、高さ35mmの受け皿の48をビス50で止めることにより、支脚26に固定した。
【0087】
この状態で、軽量床衝撃音については、直線上に等間隔に並んだ5個のハンマーを、床上4cmの高さから連続して自由落下させて軽量床衝撃音を発生させ、これを測定した。なお、使用したハンマーは、重量500±12.5g、直径3cmであった。
【0088】
一方、重量床衝撃音については、軽自動車のタイヤを床上60±10cmの高さから自由落下させて重量床衝撃音を発生させ、これを測定した。このタイヤは、重量7.3±0.4kgであった。
【0089】
そして、発生させた床衝撃音レベルを、63Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHzの中心周波数について測定して、その結果を評価した。
【0090】
なお、この床衝撃音については、日本工業規格(以下、単に『JIS』と称する)のA1418において、その測定方法が、『建築物の現場における床衝撃音レベルの測定方法』として定められている。但し、このJIS A1418では、10m2 以上の面積を有する防音床材10を使用するという条件が定められているが、スペースの関係で、この面積を確保して試験することが困難であったため、上記のように、この面積よりは狭い面積で、試験を行った。
【0091】
また、重量床衝撃の発生につき、JIS A1418では、上記のタイヤを床上90±10cmの高さから自由落下させることが定められているが、試験体である防音床材10の面積を狭く設定したことに伴い、タイヤを落下させる高さについても、上記のように、JIS A1418の基準より30cm低く設定した。なお、これらの2つの条件以外は、ほぼJIS A1418に準拠して試験を行っている。
【0092】
そこで、まず、試験を行うにあたり、参考例1として用いたA社製品の防音床材10及び床材用防音支脚26から成る乾式二重床構造について、上記の方法で行った試験と、A社が発表しているJIS A1418に基づいた試験結果であるカタログ値とを比較してみた。
【0093】
その結果、軽量床衝撃音については、図14に示すように、プロット■で示されるJIS A1418による試験方法のカタログ値と、プロット▲で示す本発明者等が設定した試験方法により得られた値とで、中心周波数によって若干のばらつきはあるものの、ほぼ同様の結果が得られ、本発明者等の試験方法によっても、JIS A1418と遜色がないことが確認された。また、重量床衝撃音については、図15に示すように、違いが見られたものの、本発明の防音床材10等についても、同等の条件下で衝撃音を測定して、その結果を対比すれば、性能差は判明するので、この状態で試験を行うこととした。
【0094】
次に、試験の対象である本発明の実施例と、参考例について説明する。参考例1としては、A社製品の防音床材10及び床材用防音支脚26を用いた。まず、このA社製品の防音床材10は、図21及び図22に示すように、衝撃音緩衝部材12が、厚さ12mmのベニヤ板から成っているものである。参考例1では、この衝撃音緩衝材12の上に、A社製品の厚さ12mmのフローリング材から成る表面材11を載置した。従って、参考例1の防音床材10は、全体で24mmの厚みを有する。
【0095】
また、A社製品の床材用防音支脚26は、図22に示すように、ナイロン6から成る外径dA (図22参照)が25mmの略円筒形状を有する支脚本体26Aと、この支脚本体26Aを、厚さ5mmの高比重制振材70を介して支持する防振ゴム78から成っている。この防振ゴム78は、断面が正方形の上方部分78Aと、この上方部分78Aから台形状に伸びる下方部分78Bとから成り、全体の高さh(図22参照)が35mmで、下方部分78Bの底部の一辺の長さl(図22参照)は、40mmである。なお、支脚本体26Aの下方は、この防振ゴム78の正方形の上方部分78Aに係合する一辺が29mmの正方形状に形成されている。
【0096】
一方、本発明の防音床材10については、それぞれ図1に示す形態の衝撃音緩衝部材12を有する4つの実施例1乃至実施例4を設定した。即ち、実施例1として、図1(A)に示す3つの中質繊維板層14A乃至14Cの間に2つの塗料層16A、16Bを挟んだ衝撃音緩衝材12を設定した。実施例2としては、図1(B)に示すように、積層された3つの中質繊維板層14A乃至14Cの両面に2つの塗料層16A、16Bを形成した衝撃音緩衝部材12を設定した。また、実施例3では、図1(C)に示すように、実施例1の中央の中質繊維板層14Aの代わりにやし繊維マット層22を使用し、同様に、実施例4では、図1(D)に示すように、実施例2の中央の中質繊維板層14Aの代わりにやし繊維マット層22を使用した。
【0097】
各層の厚みは、いずれの実施例においても、中質繊維板層14A乃至14Cについては2.5mmに、やし繊維マット層22については3.5mmに、また、塗料層16A、16Bについては2.0mmに設定した。また、いずれの実施例についても、図2及び図3に示すように、この衝撃音緩衝部材12の下に厚さ4mmの制振シート60を設置した。そして、表面材11としては、厚さ3mmの表面ベニア材を用い、図2及び図3に示すように、これらの制振シート60と衝撃音緩衝部材12と表面材11とから成る防音床材10の実施例とした。
【0098】
従って、防音床材10の全体の厚みは、実施例1、2については18.5mm、実施例3、4では19.5mmで、いずれの実施例も、参考例1の防音床材10に比べて、約2割〜3割程度薄い。なお、これらの実施例においては、いずれも、無垢の状態の中質繊維層14A、やし繊維マット層22と、片面に塗料層16A、16Bが形成された2枚の中質繊維板層14B、14Bとを、それぞれ、塗料層16A、16Bの向きを適宜に代えて、単に重ね合わせて衝撃音緩衝部材12としている。
【0099】
なお、中質繊維板層14は、住友林業株式会社販売の商品名『N.P.ウッド』から形成し、また、塗料層16を形成する塗料18としては、平均直径約32μmのSiO2 の中空微小球20(長島特殊塗料株式会社製造の塗料である商品名『サーモシールド』に含有されている中空微小球と同じ中空微小球)を含有した無溶剤エポキシ樹脂形塗料を使用した。この塗料18の具体的な成分は、下記の表1に示す通りで、これを20℃下で、約5時間かけて硬化させ、上記のように2.0mm厚の塗料層16A、16Bを形成した。
【0100】
【表1】
Figure 0003795144
【0101】
また、床材用防音支脚26の実施例は、図5に示す形態のものを用いた。この場合、下部基材28、上方部材30、キャップ52は、いずれもナイロン6から形成し、下部基材28の外径d3 (図6参照)を46mmとした。また、圧縮方向緩衝材36としては、直径15mmで、高さ33mmのウレタンスプリング(株式会社ミスミ製)を用い、また、剪断方向緩衝材38としては、直径46mmで、厚さ10mmのポリエステルエラストマー(帝人株式会社製:製品名『AXM15−33』)を使用した。
【0102】
(試験1)
以上の本発明の実施例1〜4及び参考例1について、初めに、図13(A)に示す直張り床構造における軽量床衝撃音を測定し(試験1)、まず、本発明の実施例1〜4の防音床材10につき得られた床衝撃音レベル(単位:dB)を、下記の通り、表2に示した。この場合、床衝撃音レベルのdB値が低い方が、それだけ、伝わった音響が小さいということであるから、防音性が高いということになる。なお、直張り床構造の場合、重量床衝撃音は、コンクリートスラブ24の厚みにより防音性が決定され、防音床材10の性能には左右されないため、測定しなかった。
【0103】
【表2】
Figure 0003795144
【0104】
この表2に示すように、いずれの実施例も、ほぼ同様の床衝撃音レベルであることが判ったが、特に、塗料層16A、16Bを表面に配置した実施例2については、僅かではあるが、ほとんどの中心周波数において、他の実施例よりも良好な結果が得られている。そこで、次に、この実施例2について、測定した全ての中心周波数における床衝撃音レベル(dB値)を、参考例1につき得られた床衝撃音レベルと共に、図16に示した。従って、この図16から、本発明の実施例2の防音床材10と参考例1の防音床材10との直張り床構造における軽量床衝撃音の遮断に関する性能差が判明する。なお、僅かな差ではあるが、本発明に関する4つの実施例の中では、この実施例2が最も良好な結果を得られたことから、試験2以降では、この実施例2のみを対象とすることとした。
【0105】
この図16から、プロット▲で示す本発明の実施例2の床衝撃音レベルの方が、ほぼ全ての中心周波数において、プロット■で示す参考例1の床衝撃音レベルよりも低く、本発明の実施例2の方が、軽量床衝撃音の遮断に優れていることが判る。
【0106】
なお、この床衝撃音レベルについては、JIS A1419にて定められているL等級線により評価することができる。従って、図14乃至図20中においても、このL等級線を示している。この場合、床衝撃音レベルが、図14乃至図20に示す一番下の等級線と下から2番目の等級線との間にある場合は、等級が『L−30』であると評価され、同様にして、以下『L−60』まで、図に示している。この『L−30〜L−65』との評価は、右側の数値が小さい方が、床衝撃音の遮断に優れることを示している。なお、一般に、各中心周波数において得られた床衝撃音レベルのうち、最も等級が下がった中心周波数における等級をもって、その防音床構造1の等級とし、防音性を評価している。
【0107】
そこで、図16において、このL等級線に着目すると、参考例1については、等級がL−60であるのに対して(中心周波数500Hzにおけるプロット■参照)、本発明の実施例2については、L−55であり(中心周波数500Hzにおけるプロット▲参照)、本発明の実施例2の方が1ランク上の防音性能を備えていると評価することができる。
【0108】
なお、防音床材10は、一般に、厚く、軟らかい程、床衝撃音を遮断し易いと言われていることを考えると、本発明の実施例2の防音床材10は、参考例1の防音床材10に比べ、薄く、また、剛性が高いにも拘らず、軽量床衝撃音の遮断に優れる点で有益であるといえる。即ち、家具等を載置しても撓まない等の充分な耐荷重性を有しつつ、防音性に優れている点が特徴である。
【0109】
(試験2)
次いで、図13(B)に示す乾式二重床構造について、軽量床衝撃音と重量床衝撃音を測定した。この場合、まず、図22に示す参考例1の床材用防音支脚26により、▲1▼本発明の実施例2の防音床材10、▲2▼参考例1の防音床材10を、それぞれ支持すると共に、更に、塗料層16の防音効果を確認するため、▲3▼実施例2の衝撃音緩衝部材12と同じ厚みの中質繊維板層14のみから成る衝撃音緩衝部材12を備えた参考例2の防音床材10(実施例2と同じく、厚さ3mmの表面ベニア板を表面材11とし、また、厚さ4mmの制振シート60を介してパーティクルボード62上に設置した)をも、支持して、これらの3つの乾式二重床構造の防音床構造1について、床衝撃音を測定し(試験2)、その結果を、図17、図18に示した。この場合、いずれの防音床構造1においても、防音支脚26は、参考例1の防音支脚26で共通するため、この試験2により、本発明の実施例2の防音床材10と参考例1、2の防音床材10との、乾式二重床構造における軽量床衝撃音の遮断に関する性能差が判明する。
【0110】
まず、図17において、上記の3つの防音床構造1のそれぞれについて測定された軽量床衝撃音の床衝撃音レベルを示す。この図17から判るように、プロット▲で示す本発明の実施例2の床衝撃音レベルの方が、ほぼ全ての中心周波数において、プロット■で示す参考例1の床衝撃音レベルよりも格段に低く、軽量床衝撃音の遮断に著しく優れている。L等級線に着目して評価すると、参考例1は、等級がL−50となったのに対し(中心周波数500Hzにおけるプロット■参照)、本発明の実施例2は、L−35となった(中心周波数125Hzにおけるプロット▲参照)。
【0111】
また、この図17において、プロット●で示す参考例2に着目すると、プロット■で示す参考例1に比べ、床衝撃音レベルが低く、等級もL−40と良好で、中質繊維板層14自体もかなり高い防音性を備えていることが判る。一方、プロット●で示す参考例2をプロット▲で示す本発明の実施例2と比較すると、塗料層16を有する実施例2の方が、更に、良好な結果が得られている。このことから、中空微小球20を含有する塗料層16が、充分な防音性を発揮し、防音床材10の防音性を更に向上させていることが立証された。
【0112】
なお、この図17における3つの床構造における軽量床衝撃音の衝撃音レベルの差を具体的に示すと、以下の表3のようになる。
【0113】
【表3】
Figure 0003795144
【0114】
この表3は、具体的には、参考例1につき得られた床衝撃音レベル(単位:dB)から、実施例2及び参考例2につき得られた床衝撃音レベル(単位dB)を引いた結果(dB値の差)を示したものであり(参考例1−実施例2又は参考例2)、いずれも正の値であることから、実施例2及び参考例2の方が、参考例1より、dB値が低く、軽量床衝撃音の遮断に優れていることが判り、特に、通常、軽量床衝撃音を最も遮断し難いといわている250Hzの中心周波数においては、実施例2は、参考例1に対し、13.8dBものマージンを有している。
【0115】
次いで、図18において、上記の3つの防音床構造1のそれぞれについて測定された重量床衝撃音の床衝撃音レベルを示す。この図18から判るように、上記の軽量床衝撃音の遮断については、かなりの性能差が確認された実施例2、参考例1、2のいずれについても、重量床衝撃音の床衝撃音レベルについては、ほぼ同様の結果となった。このことから、重量床衝撃音の遮断は、やはり、防音床材10の性能ではなく、床材用防音支脚26の性能やコンクリートスラブ24の厚みに左右されることが確認された。
【0116】
(試験3)
次に、図13(B)に示す乾式二重床構造ではあるが、試験2と異なり、床材用防音支脚26として、図5に示す本発明の実施例の防音支脚26を用い、これにより、▲1▼本発明の実施例2の防音床材10、▲2▼参考例1の防音床材10、▲3▼中質繊維板層14のみから成る衝撃音緩衝部材12を備えた参考例2の防音床材10を、それぞれ支持した3つの防音床構造1について床衝撃音を測定し、その結果を、▲4▼図22に示す参考例1の防音支脚26により図22に示す参考例1の防音床材10を支持した防音床構造1について測定された床衝撃音レベルと比較すべく、図19、図20に示した(試験3)。
【0117】
具体的には、図19において、試験3に関する上記の▲1▼〜▲4▼の4つの防音床構造1のそれぞれについて測定された重量床衝撃音の床衝撃音レベルを示し、また、図20において、上記の4つの防音床構造1のそれぞれについて測定された軽量床衝撃音の床衝撃音レベルを示した。
【0118】
この場合、まず、この試験3において、(1)▲2▼の本発明の実施例の防音支脚26により参考例1の防音床材10を支持した防音床構造1につき得られた床衝撃音レベルと、▲4▼の参考例1の防音支脚26により参考例1の防音床材10を支持した防音床構造1について得られた床衝撃音レベルとを比較すると、両者の防音床材10が参考例1で共通していることから、本発明の実施例の防音支脚26と参考例1の防音支脚26との床衝撃音の遮断に関する性能差が判明する。
【0119】
そこで、第1に、重量床衝撃音レベルを示した図19に着目すると、プロット◆で示す上記▲2▼の本発明の実施例の防音支脚26を備えた防音床構造1の方が、プロット■で示す上記▲4▼の参考例1の防音支脚26を備えた防音床構造1よりも、ほぼ全ての中心周波数において、重量床衝撃音レベルが格段に低く、重量床衝撃音の遮断に著しく優れていることが判る。L等級線による評価としても、▲2▼の防音床構造1がL−55であるのに対して(中心周波数63Hzにおけるプロット◆参照)、▲4▼の防音床構造がL−65以上と、格段の差がついた。なお、参考例1とした▲4▼の防音床構造1については、図15に示すようにA社のカタログ値より低い結果となってはいるものの、同条件下で参考例1であるA社の防音床材10を基準に相対的に評価すれば、本発明の実施例の防音支脚26が、重量床衝撃音の遮断に優れているといえる。
【0120】
この原因は、本発明の実施例の防音支脚26は、その構造や、また剪断方向緩衝材38を低反発性エラストマーから形成したこと等により、従来技術である参考例1の防音支脚26に比べて、支脚の系の剛性が高く、比較的エネルギーや振幅の大きい衝撃が加わっても、長時間弾まずに衝撃を吸収することができるためと考えられる。また、この支脚26の設置面密度を高めることも重量床衝撃音を遮断に有効であると考えられる。後者の点については、本発明の実施例、参考例1のいずれも、比較的大きな設置面積を確保することにより配慮しているといえる。なお、真鍮から形成した下部基材28、上方部材30、キャップ54を使用して重量床衝撃音の床衝撃音レベルを測定したところ、ほぼ同様の結果が得られたことから、真鍮を用いても、充分な剛性を確保することができると考えられる。
【0121】
また、この(1)の比較において、第2に、軽量床衝撃音レベルを示した図20に着目して、上記のプロット◆で示す▲2▼とプロット■で示す▲4▼の2つの防音床構造1のそれぞれについて測定された軽量床衝撃音の床衝撃音レベルを比較すると、中心周波数の如何によっては、若干交錯しているものの、ほぼ同様の結果が得られた。等級についても、▲2▼、▲4▼のいずれも、L−50で同様の評価となった(中心周波数500Hzにおけるプロット◆とプロット■参照)。このことから、軽量床衝撃音の遮断は、やはり、防音支脚10ではなく、主に、防音床材10の性能に左右されるといえる。
【0122】
次いで、この試験3において、(2)▲1▼の本発明の実施例の防音支脚26により実施例2の防音床材10を支持した本発明の防音床構造1につき得られた床衝撃音レベルと、▲4▼の参考例1の防音支脚26により参考例1の防音床材10を支持した参考例1の防音床構造1について得られた床衝撃音レベルとを比較することにより、本発明の乾式二重床構造の防音床構造1(本発明の防音支脚26により本発明の防音床材10を支持したもの)の総合的な防音性を確認することができる。
【0123】
この場合において、第1に、軽量床衝撃音レベルを示した図20に着目すると、プロット▲で示す▲1▼の本発明の防音床構造1の方が、プロット■で示す▲4▼の参考例1の防音床構造1よりも、ほぼすべての中心周波数において軽量床衝撃音レベルが低く、軽量床衝撃音の遮断に優れていることが判る。等級で比較しても、▲1▼の本発明の防音床構造1は等級がL−40であるのに対し(中心周波数125Hzにおけるプロット▲参照)、▲4▼の参考例1の防音床構造1は等級がL−50である(中心周波数500Hzにおけるプロット■参照)。これにより、防音床構造1全体として見た時に、図3に示す本発明の防音床構造1の方が、図22に示す従来の(参考例1の)防音床構造1より軽量床衝撃音の遮断に優れていることが判る。
【0124】
また、この(2)の比較において、第2に、重量床衝撃音レベルを示す図19に着目すると、プロット▲で示す▲1▼の本発明の実施例の防音床構造1の方が、プロット■で示す▲4▼の参考例1の防音床構造1よりも、全ての中心周波数において重量床衝撃音レベルが著しく低く、格段に重量床衝撃音の遮断に優れていることが判る。等級で評価しても、▲1▼の本発明の実施例の防音床構造1がL−55であるのに対し(中心周波数63Hzにおけるプロット▲参照)、▲4▼の参考例1の防音床構造1がL−65以上となっている。これにより、防音床構造1全体として見た時に、図3に示す本発明の防音床構造1の方が、図22に示す従来の(参考例1の)防音床構造1より重量床衝撃音の遮断にも優れていることが判る。
【0125】
以上より、本発明の防音支脚26、防音床材10を使用した防音床構造1は、軽量床衝撃音、重量床衝撃音のいずれをも効果的に遮断することができる点で、総合的に優れた防音床構造1であるといえる。
【0126】
なお、参考として、これらの図19及び図20の数値に着目して、更に細かく、軽量床衝撃音及び重量床衝撃音の防音性について分析していくと、下記の事項が導かれる。
【0127】
まず、図20に示す軽量床衝撃音レベルについて検討すると、この図20において、プロット▲で示す▲1▼の本発明の実施例の防音床構造1の方が、プロット◆で示す▲2▼の本発明の防音支脚26により参考例1の防音床材10を支持した防音床構造1よりも、ほとんど全ての中心周波数において、良好な軽量床衝撃音レベルが得られているのが示されている。この場合、どちらの防音床構造1においても防音支脚26は、本発明の実施例の防音支脚26で共通しているため、防音床材10の軽量床衝撃音に対する直接の性能差が結果に反映されることになる。これにより、本発明の防音床材10は、試験2のように参考例1の防音支脚26を用いた場合のみならず、本発明の防音支脚26を用いた場合でも、参考例1の防音床材10に比べ軽量床衝撃音の遮断に優れることが判る。
【0128】
また、同じく図20から、プロット▲で示す▲1▼の本発明の実施例の防音床構造1の方が、プロット●で示す▲3▼の本発明の防音支脚26により中質繊維板層14のみから成る衝撃音緩衝部材12を備えた参考例2の防音床材10を支持した防音床構造1よりも、いずれの中心周波数においても、良好な軽量床衝撃音レベル結果が得られていることが判る。このことから、前述した防音床材10の防音性の向上が、塗料層16によるものであることが立証できると共に、この塗料層16の防音性が、試験2のように参考例1の防音支脚26を用いた乾式二重床構造のみならず、本発明の防音支脚26を用いた乾式二重床構造においても充分に発揮されることが確認された。
【0129】
なお、比較的柔軟で、軽量床衝撃音の吸収には良好な傾向を示す参考例1の防音支脚26を使用した参考例1の防音床構造1に対して、剛性が高い本発明の防音支脚26を用いながら、軽量床衝撃音の遮断につき良好な結果が得られているのは、プロット▲で示す▲1▼の本発明の実施例2の防音床材10を使用した防音床構造1だけであることを考慮しても、本発明の防音床材10の軽量床衝撃音の防音性の高さが窺える。
【0130】
一方、図19に示す重量床衝撃音レベルについて更に検討するため、この試験3における上記の▲1▼乃至▲3▼の防音床構造1と▲4▼の参考例1の防音床構造1との、▲4▼の参考例1の防音床構造を基準とした場合の重量床衝撃音の床衝撃音レベルの具体的な数値上の差を求めたところ、次の表4に示す通りとなった。なお、この表4も、上述した表3と同様に、▲1▼の参考例1の防音床構造1につき得られた床衝撃音レベルから、▲2▼〜▲3▼の防音床構造1につき得られた床衝撃音レベルを引いた結果を示したものである(▲1▼−▲2▼〜▲4▼)。
【0131】
【表4】
Figure 0003795144
【0132】
この表4及び図19から判るように、本発明の実施例の防音支脚26を使用した防音床構造1は、プロット▲で示した▲1▼の本発明の実施例12の防音床材10を支持したものに限らず、プロット◆で示す▲2▼の参考例1の防音床材10、また、プロット●で示す▲3▼の参考例2の防音床材10を支持したもののいずれであっても、プロット■で示す参考例1の防音支脚26、防音床材10を使用した参考例1の防音床構造1よりも、格段に重量床衝撃音の遮断に優れている。これより、本発明の防音支脚26が、剛性が高く、支脚26自体に要求される重量床衝撃音の遮断に、非常に優れていることが判ると共に、いかなる防音床材10と組合せても、優れた重量床衝撃音を発揮することができ、例えば、エアロビクススタジオ等の、主に重量床衝撃音の遮断が問題となる床に適用するのには、非常に好適であるといえる。
【0133】
また、表4に着目すると、いずれも、参考例1の防音床構造1に対し30dB前後の高いマージンを有しているが、その中でも、特に、本発明の防音床材10を使用した防音床構造1が最も高いマージンを有している。このことから、本発明の実施例2の防音床材10が、最も剛性が高く、重量床衝撃音の遮断にも好影響を与えていると同時に、曲げにも強いことが判る。
【0134】
以上より、本発明の防音床構造1は、床衝撃音の遮断に優れると同時に、耐荷重性、耐久性、更には、フワフワとしない快適な歩行感を得ることができる総合的に優れた防音床構造1であることが判る。
【0135】
【発明の効果】
【0136】
本発明によれば、上記のように、衝撃音緩衝部材として、内部が真空又は減圧状態の中空微小球を含有する塗料層を設けているため、この中空微小球内では分子の移動が少ないので、振動が伝搬せず、軽量床衝撃音を効果的に遮断することができる実益がある。また、中空微小球の内部が、製造工程上又は時間の経過等に伴って、空気が多少浸透する等して完全な真空状態ではなくなっても、通常の大気圧より低い圧力の気体が満たされた減圧状態であれば、ガスの含有量が少ないため、同様にして、振動の伝搬を充分に抑制して、軽量床衝撃音を充分に遮断することができる実益がある。なお、この中空微小球を樹脂塗料中に含有させると、長期にわたって中空微小球の内部への空気の浸透を抑制することができ、好ましい。
【0137】
また、塗料の硬化後において、この中空微小球は塗料層内でほぼ隙間なく整列するため、塗料層のベース素材の分子を通じての振動の伝搬も抑制され、軽量床衝撃音を効果的に遮断することができる実益がある。
【0138】
また、中質繊維板層(ミディアム デンシティ ファイバーボード:いわゆる『MDF』から成る層)は、それ自体が軽量床衝撃音に対する充分な防音性を備え、更には、剛性や曲げ強さが高いため、防音床材に充分な耐荷重性、耐久性を付与しつつ、塗料層との相乗作用により、防音床材の防音効果を一層高めることができる実益がある。なお、この中質繊維板層の表面は、均質で平滑な表面であるため、塗料層の形成にも適している。
【0139】
この場合、塗料層の厚みを1mmから20mm程度に形成しているため、軽量床衝撃音の遮断性に優れる中空微小球を上下に厚みをもって重ねて整列させることができ、これにより、軽量床衝撃音を一層効果的に遮断することができる実益がある。
【0140】
また、この場合、中空微小球を、上記のように、特に、SiO2 又はけい酸塩の中空微小球とすると、このSiO2 又はけい酸塩の中空微小球は、内部を真空又は減圧状態にして形成し易いため、上述した振動の伝搬低減作用を最も効果的に発揮させることができる実益がある。
【0141】
更に、塗料層を形成する塗料を、上記のように、特に、無溶剤エポキシ樹脂形塗料又は無溶剤ウレタン樹脂形塗料とすると、溶剤形塗料と異なり、塗料層を、床材を構成するのに適した厚みに形成し易く、また、硬化後において溶剤が塗料層内に残留することがないため、中空微小球が高い密度で隙間なく整列し易くなり、軽量床衝撃音の原因となる衝撃による振動の伝搬を効果的に低減することができる実益がある。特に、無溶剤ウレタン樹脂形塗料から塗料層を形成すると、ある程度弾性も有するため、軽量床衝撃音をより一層効果的に遮断することができ、また、防音床材を割れにも強くすることができる実益がある。なお、これらの無溶剤形塗料は、塗料を中質繊維板層に直接施工することによって塗料層を適切に形成することができる点でも、有利である。
【0142】
また、衝撃音緩衝部材として、更に、やし繊維マット層を含めると、やし繊維マット層の有する防音性、緩衝性、防振性を、防音床材において発揮させて、軽量床衝撃音を効果的に遮断するのに用いることができる実益がある。
【0143】
なお、この防音床材を、コンクリートスラブ上に支脚を介することなく設置することにより、軽量床衝撃音の遮断に優れる直張り床構造の防音床構造とすることができる実益がある。
【0144】
また、本発明によれば、上記のように、床材用防音支脚を、衝撃が加わる上方部材と、この上方部材を圧縮方向緩衝材等により緩衝的に支持する下部基材とから構成しているため、衝撃を緩衝するための弾力性に富む防振ゴムが直接コンクリートスラブに面していた従来の支脚に比べ、支脚の系の剛性を高めることができるので、比較的エネルギーや振幅の大きい衝撃が作用しても、弾むことなく、、その振動を効果的に抑制して、重量床衝撃音を充分に遮断することができる実益がある。なお、支脚のコンクリートスラブに対する設置面密度が高まったことも、重量床衝撃音を効果的に遮断することができる一つの原因と考えることができる。
【0145】
この場合、特に、剪断方向緩衝材を、上記のように、例えば、ポリエステルエラストマー等の硬度が高く強度に優れる低反発性エラストマーから形成しているため、剪断方向緩衝材が、振幅の大きい衝撃に対して反発して長い間にわたって振動することなく、剪断方向に瞬間的に屈曲して、短時間で衝撃を確実に緩和することができるため、重量床衝撃音の遮断性をより一層向上させることができる実益がある。
【0146】
更に、本発明によれば、上記のように、剛性が高く重量床衝撃音の遮断に優れる防音支脚によって、軽量床衝撃音の遮断に優れる防音床材を支持した乾式二重床構造としているため、軽量床衝撃音、重量床衝撃音のいずれの遮断にも優れる防音床構造とすることができる実益がある。なお、この場合、床構造全体の系の剛性を高めたことにより、同時に、耐荷重性や耐久性、また、フワフワとしない快適な歩行感も得ることができ、総合的に優れた防音床構造とすることができる実益もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に防音床材に用いられる衝撃音緩衝部材の断面図である。
【図2】本発明の防音床材を用いた直張り床構造の防音床構造の概略側面図である。
【図3】本発明の防音床材及び床材用防音支脚を用いた本発明の乾式二重床構造の防音床構造の一部破断概略側面図である。
【図4】本発明の防音床材に用いられる床衝撃音緩衝部材の塗料層の概略断面図である。
【図5】本発明の床材用防音支脚の断面図である。
【図6】本発明の床材用防音支脚に用いられる下部基材を示し、同図(A)は、その平面図、同図(B)はその概略斜視図である。
【図7】本発明の床材用防音支脚に用いられる上方部材を示し、同図(A)は、その第1の上方部材の斜視図、同図(B)はその第2の上方部材の斜視図、同図(C)は受け皿取付部の斜視図である。
【図8】本発明の床材用防音支脚に用いられる圧縮方向緩衝材を示し、同図(A)は、その平面図、同図(B)はその概略斜視図である。
【図9】本発明の床材用防音支脚に用いられる剪断方向緩衝材を示し、同図(A)は、その平面図、同図(B)はその概略斜視図である。
【図10】本発明の床材用防音支脚に用いられるキャップを示し、同図(A)は、その平面図、同図(B)はその概略斜視図である。
【図11】本発明の床材用防音支脚に用いられる受け皿支持部の一部破断拡大断面図である。
【図12】本発明の床材用防音支脚の他の実施の形態の断面図である。
【図13】本発明の実施例及び参考例に関する試験を行った試験装置の概略図であり、同図(A)は直張り床構造についての試験装置、同図(B)は乾式二重床構造についての試験装置を示す。
【図14】参考例1の乾式二重床構造について行った本発明者等の試験方法による軽量床衝撃音の床衝撃音レベルと、JIS A1418に基づく試験方法による軽量床衝撃音の床衝撃音レベルとの測定結果を示す図である。
【図15】参考例1の乾式二重床構造について行った本発明者等の試験方法による重量床衝撃音の床衝撃音レベルと、JIS A1418に基づく試験方法による重量床衝撃音の床衝撃音レベルとの測定結果を示す図である。
【図16】試験1により本発明の実施例及び参考例について測定された直張り床構造における軽量床衝撃音の床衝撃音レベルを示す図である。
【図17】試験2により本発明の実施例及び参考例について測定された乾式二重床構造における軽量床衝撃音の床衝撃音レベルを示す図である。
【図18】試験2により本発明の実施例及び参考例について測定された乾式二重床構造における重量床衝撃音の床衝撃音レベルを示す図である。
【図19】試験3により本発明の実施例及び参考例について測定された乾式二重床構造における重量床衝撃音の床衝撃音レベルを示す図である。
【図20】試験3により本発明の実施例及び参考例について測定された乾式二重床構造における軽量床衝撃音の床衝撃音レベルを示す図である。
【図21】従来技術の直張り床構造の防音床構造の概略側面図である。
【図22】従来技術の乾式二重床構造の防音床構造の一部破断概略側面図である。
【符号の説明】
1 防音床構造
10 防音床材
11 表面材
12 衝撃音緩衝部材
14 中質繊維板層
16 塗料層
18 塗料
20 中空微小球
22 やし繊維マット層
24 コンクリートスラブ
26 床材用防音支脚
26A 支脚本体(従来技術)
28 下部基材
28A 下部基材のネジ山
28B 下部基材のナット受入孔
28a 下部基材の外周面
28b 下部基材の上端開口面
30 上方部材
32 緩衝手段
34 上方部材の開口中空部
36 圧縮方向緩衝材
36A 圧縮方向緩衝材のボルト貫通孔
38 剪断方向緩衝材
38A 剪断方向緩衝材の中空孔
40 下部基材の中空部の底部
40A 下部基材の中空部の底部のボルト貫通孔
42 第1の上方部材部分
42A 第1の上方部材部分の緩衝材挿入孔
42B 第1の上方部材部分の雄ネジ部
42C 第1の上方部材部分の肩部
42D 第1の上方部材部分のボルト貫通孔
44 第2の上方部材部分
44A 第2の上方部材部分の雌ネジ中空孔
44B 第2の上方部材部分のナット受入孔
44a 第2の上方部材部分の下面
46 受け皿支持部
46A 受け皿支持部の雄ネジ
46a 受け皿支持部の外周面
48 受け皿
50 ビス
52 キャップ
54 ボルト・ナット手段
56 ゴムシート
60 制振シート
62 パーティクルボード
64 空間
70 高比重制振材(従来技術)
72 防振ゴム(従来技術)
74 防振ゴムの中空部(従来技術)
76 防振ゴムの中空部の縦壁(従来技術)
78A 防振ゴムの上方部分(従来技術)
78B 防振ゴムの下方部分(従来技術)
80 試験装置
82 受音室
84 マイクロホーン
86 騒音計
88 リアルタイムアナライザー
90 鉄板ボックス
92 コンクリートブロック
94 グラスウール
1 剪断方向緩衝材の中空孔の内径
2 剪断方向緩衝材の外径
3 下部基材の外径
A 支脚本体の外径(従来技術)
h 防振ゴムの高さ(従来技術)
l 防振ゴムの下方部分の底部の一辺の長さ(従来技術)

Claims (10)

  1. 衝撃音緩衝部材を備えた防音床材であって、前記衝撃音緩衝部材は、中質繊維板層と、前記中質繊維板層に積層され、10μm〜200μmの直径を有し内部が真空又は減圧状態の中空微小球を含有する塗料層とから成り、前記中空微小球は、SiO2 又はけい酸塩の中空微小球であることを特徴とする防音床材。
  2. 請求項1に記載の防音床材であって、前記塗料層の厚みが1mmから20mmであることを特徴とする防音床材。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の防音床材であって、前記塗料層を形成する塗料は無溶剤エポキシ樹脂形塗料又は無溶剤ウレタン樹脂形塗料であることを特徴とする防音床材。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の防音床材であって、前記衝撃音緩衝部材は、更に、やし繊維マット層を有していることを特徴とする防音床材。
  5. 床材を支持する床材用防音支脚であって、上方に開口する開口中空部を内部に有する下部基材と、前記下部基材に支持される上方部材と、前記下部基材に支持されて前記上方部材を前記下部基材に対して緩衝するように前記上方部材を支持する緩衝手段とを備え、前記緩衝手段は、前記下部基材の開口中空部内の底部上に配置されて前記上方部材と前記下部基材との間を圧縮方向に緩衝するように前記上方部材を前記下部基材に支持する圧縮方向緩衝材と前記下部基材と前記上方部材との間を剪断方向に緩衝するように前記上方部材を前記下部基材に支持する剪断方向緩衝材とから成っていることを特徴とする床材用防音支脚。
  6. 請求項5に記載の床材用防音支脚であって、前記剪断方向緩衝材は、低反発性エラストマーから形成されていることを特徴とする床材用防音支脚。
  7. 衝撃音緩衝部材を有する防音床材と、コンクリートスラブ上に配置され前記防音床材を支持する床材用防音支脚とから成る防音床構造において、前記防音床材の衝撃音緩衝部材は、中質繊維板層と、前記中質繊維板層に積層され、10μm〜200μmの直径を有し内部が真空又は減圧状態の中空微小球を含有する塗料層とを有し、前記床材用防音支脚は、上方に開口する開口中空部を内部に有する下部基材と、前記下部基材に支持される上方部材と、前記上方部材を前記下部基材に対して緩衝するように前記上方部材を支持する緩衝手段とを備え、前記緩衝手段は、前記下部基材の開口中空部内の底部上に配置されて前記上方部材と前記下部基材との間を圧縮方向に緩衝するように前記上方部材を前記下部基材に支持する圧縮方向緩衝材と前記下部基材と前記上方部材との間を剪断方向に緩衝するように前記上方部材を前記下部基材に支持する剪断方向緩衝材とから成っていることを特徴とする防音床構造。
  8. 請求項7に記載の防音床構造であって、前記防音床材の前記衝撃音緩衝部材の塗料層の前記中空微小球は、SiO2 又はけい酸塩の中空微小球であることを特徴とする防音床構造。
  9. 請求項7又は請求項8のいずれかに記載の防音床構造であって、前記防音床材の前記塗料層を形成する前記塗料は無溶剤エポキシ樹脂形塗料又は無溶剤ウレタン樹脂形塗料であることを特徴とする防音床構造。
  10. 請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の防音床構造であって、前記剪断方向緩衝材は低反発性エラストマーから形成されていることを特徴とする防音床構造。
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