JP3794722B2 - ウイルス感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物、その用途及びその製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ウイルス感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物、その用途及びその製造法に関する。詳しくは、本発明は、特定の理化学的性状を有し、かつ抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物、該高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス感染防御組成物、及び特定の理化学的性状を有し、かつ抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物の製造法に関する。
本明細書において百分率の表示は、特に断りのない限り重量による値である。
【0002】
【従来の技術】
乳児期、特に新生児は免疫機能が未熟であるため、感染症罹患率が高く、細菌、ウイルス等の感染による下痢発症率が高いといわれている。例えば、ロタウイルス下痢症は、冬季に流行を反復する乳幼児嘔吐下痢症であり、患者は激しい水様性の下痢、発熱、嘔吐の症状を呈する。特に衛生状態の劣悪な地域においては、これらの感染症による乳幼児の死亡率が高く、発展途上地域でのロタウイルス下痢症による死者数は年間87万人にのぼる等社会的にも大きな問題となっており、その対策が急務となっている〔アドバンシイズ イン エクスペリメンタルメディシン アンド バイオロジ−(Adv.Exp.Med.Biol. )第310巻、第255〜264頁、1991年〕。しかしながら、この疾病に罹患した乳幼児に対する有効な能動ワクチンは、未だに開発されていないのが現状である。
【0003】
そこで、最近では、受動免疫による予防が検討され、その一例として、ヒトロタウイルスで過免疫したウシの初乳(ロタミルク)が乳児の下痢症に予防効果を示すことが報告されている〔ジャ−ナル オブ メディカル ウィオロジ−(Journal of Medical Virology )第38巻、第117〜123頁、1992年〕。しかしながら、このロタミルクも、正常なウシをヒトロタウイルスを用いて免疫する必要があり、ヒトロタウイルスに対する抗体(IgG )を取得するまでに数週間を必要とする等、操作が繁雑で長期間を要し、さらには、ヒトロタウイルスを用いることに伴う環境汚染等の危険性をも伴うというのが現状である。
【0004】
一方、哺乳動物の乳には、種々の微量成分が含まれており、それらの成分の生理学的作用が、次第に解明されている。近年、糖蛋白質、糖脂質等の複合糖質が生体に重要な役割を演ずることが明らかにされてきた〔アクタ ペディアトリカスカンジナビカ(Acta Paediatr.Scand.)第75巻、第689〜695頁、1986年、及びイムノロジカル アスペクツ オブ インフェクション インザ フィ−タス アンド ニュ−ボ−ン(Immunological aspects of infection in the fetus and newborn )第155〜192頁、アカデミック プレス社(Academic Press)、1981年〕。
【0005】
例えば、一般にムチンと称される糖蛋白質又はムコ多糖蛋白質の高分子混合物は、多様な分子種を含有し、呼吸器官、胃、腸管等の粘膜に多く存在し、管腔内面の潤滑性の保持、腸管細胞への細菌の付着阻害、腸内でのビフィズス菌増殖促進等の多様な機能を有する物質であることが知られている〔ニュ− パ−スペクティブス イン インファント ニュ−トリション(New Perspectives in Infant Nutrition)第32〜38頁、シ−ム メディカル 出版社(Thieme Medical Publishers )、1992年、及びザ ジャ−ナル オブ バイオケミストリ−(J.Biol.Chem.)第181巻、第879頁、1949年〕。
【0006】
従来、ムチンは、ブタ等の動物由来のものが多く利用されているが、同様の高分子糖蛋白質が乳の脂肪球皮膜及び乳清にも含まれているにもかかわらず、これら乳由来のものは、今まで充分有効に利用されていなかった。副作用が少なく、安全、かつ安価な生理活性物質が求められている中で、工業的に利用可能なこれら乳由来の有用成分を、機能性食品などの食品及び医薬品素材として利用することが望まれるようになってきた。
【0007】
一般に、母乳中には免疫グロブリン、ラクトフェリン、リゾチ−ム等の感染防御物質が含まれており、これらが乳児の感染防御に有効に作用することは広く知られている(乳技協資料、第42巻、第1頁、1992年)。その他にも、乳中に含まれる感染防御作用を有する成分として、カゼイン又はグリコマクロペプチド(特開昭63−284133号公報)、ガングリオシド(特開平5−276894号公報)、脂肪球皮膜又はグリコマクロペプチド(特開平5−339161号公報)、霊長類の乳由来の高分子糖蛋白質(特公平6−53760号公報)が開示されている。
【0008】
さらに、本願発明者の一部による報告(日本農芸化学会誌、第68巻、第3号、第340頁、1994年3月)には、最小阻害濃度約40μg/mlという比較的弱い抗ヒトロタウイルス活性を有する人乳の乳清中のミルクムチンを含む画分F1、及び画分F1の抗ヒトロタウイルス活性に匹敵する活性をもつ牛乳の乳清タンパク質由来の高分子量画分が開示されている。
しかしながら、カゼイン、糖脂質、乳糖等を除去した、牛乳の乳清に含まれる残余の高分子成分について、前記ロタミルクに匹敵する強い抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子成分に関する報告は皆無であり、その生理学的作用が充分検討されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、乳に含まれている高分子成分の生理作用について研究を行った結果、牛乳の乳清から分離、精製し、特定の理化学的性状を有する乳分画が、ウイルス(ヒトロタウイルス)の増殖阻害活性を持つことを発見し、本発明を完成した。
【0010】
本発明の目的は、抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有し、かつ特定の理化学的性状を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有し、かつ特定の理化学的性状を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス感染防御組成物を提供することにある。
【0012】
更に本発明の他の目的は、抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有し、かつ特定の理化学的性状を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第一の発明は、抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物であって、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とする高分子糖蛋白質混合物、である。
【0014】
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、抗ヒトロタウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物であって、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ヒトロタウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とする高分子糖蛋白質混合物、である。
【0015】
前記課題を解決する本発明の第三の発明は、抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス感染防御組成物であって、上記高分子糖蛋白質混合物が、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とするウイルス感染防御組成物、である。
【0016】
前記課題を解決する本発明の第四の発明は、抗ヒトロタウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス感染防御組成物であって、上記高分子糖蛋白質混合物が、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ヒトロタウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とするヒトロタウイルス感染防御組成物、である。
【0017】
前記課題を解決する本発明の第五の発明は、抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を製造する方法であって、ウシ乳清タンパク質濃縮物をアガロースの重合体からなり球状蛋白質の分画分子量が105〜2×107ダルトンであるゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより分離し、106〜107ダルトンなる分画を採取し、採取した分画をアガロースの重合体からなり球状蛋白質の分画分子量が104〜4×106ダルトンであるゲル濾過カラムクロマトグラフィーで、界面活性剤を添加した溶離液にて、分離し、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含む、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ウイルス感染防御作用を有する、高分子糖蛋白質混合物を含む分画を採取することを特徴とする高分子糖蛋白質混合物の製造法、である。
【0018】
更に、前記課題を解決する本発明の第六の発明は、抗ヒトロタウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を製造する方法であって、ウシ乳清タンパク質濃縮物をセファロースCL−2Bを充填したゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより分離し、106〜107ダルトンなる分画を採取し、採取した分画をセファロース6Bを充填したゲル濾過カラムクロマトグラフィーで、0.1%SDSを添加した緩衝液にて、分離し、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含む、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ヒトロタウイルス感染防御作用を有する、高分子糖蛋白質混合物を含む分画を採取することを特徴とする高分子糖蛋白質混合物の製造法、である。
【0019】
次に本発明について詳述する。
本発明の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子糖蛋白質混合物の製造法の出発原料となるウシ乳清タンパク質濃縮物(WPC)は、ウシの各泌乳期の乳、若しくはこれらの濃縮物又は乾燥物(以下これらをまとめて乳と記載することがある)を原料として、常法により得られる。濃縮物又は乾燥物を原料として使用する場合は、脱脂乳と同濃度に水で希釈して使用することができる。
【0020】
一般に、乳清タンパク質濃縮物(WPC)は、乳清を、乳を遠心分離等により脱脂し、この脱脂乳のpHを4.6に調節してカゼインを沈殿させ濾別し、乳清画分を採取することにより得た後、該乳清のpHを6.0に調整し、限外濾過膜を用いて脱塩濃縮を行い、分子量10,000ダルトン以上の分画を採取するか又は、ダイアフィルトレ−ションで濃縮分画することにより得られる。限外濾過は、市販の限外濾過膜〔例えば、SLP−0053(旭化成社製)等〕を用いて常法により実施できる。
【0021】
次いで、採取された乳清タンパク質濃縮物(WPC)をアガロ−スの重合体からなり球状蛋白質の分画分子量が105 〜2×107 ダルトンであるゲル濾過カラムクロマトグラフィ−〔例えばセファロ−スCL−2B(商標。ファルマシア社製)等を吸着剤として用いる〕により分画し、106 〜107 ダルトンなる分画を採取する。溶離液は、例えばリン酸塩やトリス塩酸塩などpH7〜8の公知の緩衝液を使用できる。またこれに、生理的濃度のNaCl、EDTA及び防腐剤などを添加しても良い。
【0022】
更に、採取された106 〜107 ダルトンなる分画をアガロ−スの重合体からなり球状蛋白質の分画分子量が104 〜4×106 ダルトンであるゲル濾過カラムクロマトグラフィ−〔例えばセファロ−ス6B(商標。ファルマシア社製)等を吸着剤として用いる〕により分画し、20〜50万ダルトンなる分画を採取する。溶離液には、0.1〜0.5%の界面活性剤を添加したものを用いる。界面活性剤としては、SDS、デオキシコ−ル酸ナトリウム、Triton X−100などが使用できる。
【0023】
採取された分画を、蒸留水に対して充分に透析して界面活性剤を除去した後、常法により凍結乾燥し、粉末状の高分子糖蛋白質混合物を得ることができる。後記する試験例及び実施例から明らかなように、牛乳を用いた場合、通常1lから約7mgの抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子糖蛋白質混合物が得られる。
【0024】
以上、本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物の製造法において、最も特徴的な点は、溶離液としてpH7前後の緩衝液にNaClを添加したものを用いる従来のゲル濾過カラムクロマトグラフィ−を用いたウシ乳清蛋白質の分画法〔ジャ−ナル オブ デイリ− サイエンス(J.Dairy Sci.)第73巻、第2292〜2298頁、1990年等に記載の方法〕では分画できなかった、ウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有する高分子の糖蛋白質の分画法の問題点を、溶離液に界面活性剤を添加することにより、解決した点にある。
【0025】
次に、本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物は、次のような理化学的性状を有している。
本発明の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子糖蛋白質混合物は、BCA法〔アナリティカル バイオケミストリ−(Anal.Biochem. )第150巻、第76〜85頁、1985年〕により測定した結果、78〜82%(重量)の蛋白質成分から成り、及び、中性糖、アミノ糖、シアル酸のそれぞれについて、高速液体クロマトグラフィ−法〔分析化学(Bunseki Kagaku ) 第32巻、第E207頁、1983年等〕により測定した結果、18〜22%(重量)の糖成分とから成っている。
【0026】
またゲル濾過法により測定した本発明の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子糖蛋白質混合物の分子量は、20〜50万ダルトンである。還元条件下、SDS−PAGE電気泳動で分析したところ、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の少なくとも2種類の糖蛋白質を含んでいた。これは、ゲル濾過クロマトグラフィ−法のような温和な条件のもとで分離される天然型の本発明高分子糖蛋白質混合物が、いくつかの低分子糖蛋白質の会合体であることを示している。
【0027】
本発明の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子糖蛋白質混合物は、乳成分であることから、一般に毒性は極めて低く、マウスについて測定した経口投与における急性毒性(LD50)の値は、体重1kg当り3000mg以上であり、ラットに対して、体重1kg当て、1日に、50mg、100mg及び250mgの投与量で3か月間経口投与したが、何らの異常も、副作用も認められなかった。
【0028】
次に、本発明のウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御組成物とは、次のようなものである。各種のヒト及び動物用飲食品、例えば、加工乳、育児用ミルク、治療用ミルク、飼料用ミルク、経腸又は経管栄養剤等、及び各種のヒト及び動物用医薬品、例えば、ウイルス感染防御剤等である。
【0029】
前記本発明の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有する医薬品は、薬学的に許容される他の成分又は賦形剤等とともに、シロップ剤等に常法により加工することにより得ることができる。
【0030】
前記本発明の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有する高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有する医薬品は、ヒトロタウイルス等の感染による下痢症の予防に使用することができる。
【0031】
本発明のウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御組成物、特に医薬品は、経口的にヒト及び動物に投与することができる。有効投与量は、予防、治療の目的、対象となるウイルスの種類等によって異なるが、経口投与の場合、望ましい投与量は、投与対象体重1kg当て、1日に有効成分10〜100mgである。
【0032】
以上のごとく、本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物は、安全性において優れており、比較的高い抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有していることから、組成物として、各種の飲食品及び医薬に利用できる。
【0033】
次に試験例を示して本発明を詳述する。
(試験例1)
この試験は、本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物の理化学的性状を調べるために行った。
後記する実施例1を反復し、本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を製造した。ここで、セファロ−スCL−2B(ファルマシア社製)を充填したカラム(5×80cm)に通液し、150mM NaCl、1mM EDTA2Na、0.02% NaN3 を含む、50mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)で溶出した。後記する(2)と同様の方法により各画分の分子量を測定し、また、後記する試験例2と同一の方法によりヒトロタウイルス増殖阻害活性を測定した結果、106 〜107 ダルトンの画分(F2画分)に抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)が認められた。従って、この分画を次の分離工程に用いた。
【0034】
前記分画をセファロ−ス6B(ファルマシア社製)を充填したカラム(2.5×35cm)に通液し、0.1%SDSを含む100mM リン酸緩衝液(pH7.8)を溶離液として溶出した。後記する(2)と同様の方法により各画分の分子量を測定し、また、後記する試験例2と同一の方法によりヒトロタウイルス増殖阻害活性を測定した結果、20〜50万ダルトンの画分(F6B−2画分)に抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)が認められた。従って、この分画が、本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物である。
【0035】
次に、この分画を、透析した後、常法により凍結乾燥し、粉末状の高分子糖蛋白質混合物を得て、これを試料として以下の試験を行った。
(1)蛋白質成分及びの糖成分の比率を求める試験
試料の蛋白質成分を、BCA法〔アナリティカル バイオケミストリ−(Anal.Biochem. )第150巻、第76〜85頁、1985年〕に従って、マイクロBCA プロテイン アッセイ リ−ジェント〔(Micro BCA Protein Assay Reagent )ピアス社製〕を用いて測定することにより、求めた。
その結果、試料の蛋白質成分は、試料の全固形分の79.9%(重量)であった。
【0036】
試料の糖成分を、下記の方法により、それぞれ測定することにより、求めた。中性糖については、2.5M トリフルオロ酢酸中で100℃、4時間加水分解後、三上及び石田(H.Mikami and Y.Ishida )の方法〔分析化学(Bunseki Kagaku ) 第32巻、第E207頁、1983年〕に準じて、高速液体クロマトグラフィ−〔島津高速液体クロマトグラフLC−4A型(島津製作所社製)〕により、日立 3013Nカラム(日立製作所社製)を使用して、アルギニンによるポストラベルを行う蛍光検出法で分析した。
その結果、試料中の中性糖の含量は、試料の全固形分の7.0%(重量)であった。
【0037】
なお、アミノ糖については、4N HClで100℃、4時間加水分解後、50℃にて、高速液体クロマトグラフィ−〔島津高速液体クロマトグラフLC−4A型(島津製作所社製)〕により、TSK-GEL SCX(Na+)カラム(東ソ−社製)を使用して、0.16Mホウ酸バッファ−(pH7.5)を溶離液として、アルギニンによるポストラベルを行う蛍光検出法で分析した。
その結果、試料中のアミノ糖の含量は、試料の全固形分の6.8%(重量)であった。
【0038】
また、シアル酸については、0.05N H2 SO4 で80℃、1時間加水分解後、本田らの方法〔日本薬学会第106年会講演要旨集1、第111頁(1986)〕に基づいて、60℃にて、高速液体クロマトグラフィ−〔島津高速液体クロマトグラフLC−4A型(島津製作所社製)〕により、Gelpak C-620-10-カラム(日立化成社製)を使用して、0.3%リン酸を溶離液としてマロノニトリルによるポストラベルを行う蛍光検出法で分析した。
その結果、試料中のシアル酸の含量は、試料の全固形分の6.3%(重量)であった。
従って、各糖成分の合計値である試料の糖成分は、試料の全固形分の20.1%(重量)であった。
以上より、試料は、試料の全固形分の79.9%(重量)の蛋白質成分及び試料の全固形分の20.1%(重量)の糖成分とからなる。
【0039】
(2)分子量を求める試験
ゲル濾過法〔セファロ−ス6B(ファルマシア社製)を充填したカラム(2.5×35cm〕を使用し、0.1%SDSを含む100mM リン酸緩衝液(pH7.8)を溶離液として用いた。)により、アルドラ−ゼ(分子量158000ダルトン、ナカライテスク社製)、フェリチン(分子量440000ダルトン、ナカライテスク社製)、チログロブリン(分子量669000ダルトン、ナカライテスク社製)、ブル−デキストラン〔分子量200 万ダルトン、シグマ(Sigma) 社製〕の4種を分子量標品として用い、該カラムにおける溶出容量と分子量との相関を表す検量線を作成し、該検量線を用いて、試料の分子量を測定した。
その結果、試料は、分子量20〜50万ダルトンの物質であった。
【0040】
(3)試料の構成を求める試験
試料を0.2M 2−メルカプトエタノ−ルによる還元条件で、レムリ(Laemmli )の方法〔ネイチャ−(Nature )第227巻、第680〜685頁、1970年) 〕に従って、SDS−PAGE電気泳動を行うことにより、分析した。
なお、オボアルブミン〔分子量45000ダルトン、バイオラド(Bio-Rad) 社製〕、ウシ血清アルブミン〔分子量66200ダルトン、バイオラド(Bio-Rad) 社製〕、ホスホリラ−ゼb〔分子量97400ダルトン、バイオラド(Bio-Rad) 社製〕、β−ガラクトシダ−ゼ〔分子量116250ダルトン、バイオラド(Bio-Rad) 社製〕、ミオシン〔分子量200000ダルトン、バイオラド(Bio-Rad) 社製〕の5種を分子量標品として用い、試料に平行して電気泳動させることにより、試料中の糖蛋白質の分子量を求めた。電気泳動後の試料中の糖蛋白質の検出は、電気泳動ゲルをPAS染色法〔アナリティカル ケミストリ−(Anal.Chem.)第30巻、第148頁、1969年〕で染色することにより検出した。この電気泳動の結果を図1に示す。
【0041】
この結果から、試料は、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の少なくとも2種類の糖蛋白質を含んでいることが確認された。
なお、これらの低分子糖蛋白質が、ゲル濾過クロマトグラフィ−法のような温和な条件のもとでは、分離されないことから、天然型の本発明高分子糖蛋白質混合物は、これらの低分子糖蛋白質がサブユニットとして強固に結合してできた糖蛋白質会合体であるものと考えられる。
【0042】
(試験例2)
この試験は、in vitroにおける本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を調べるために行った。
牛乳を用いて後記する実施例1と同一の方法により製造した高分子糖蛋白質混合物を試料として、ヒトロタウイルスMO株の増殖阻害活性を以下のように測定した。
106 FCFU(Fluorescent Cell Focus Forming Unit)/mlのヒトロタウイルスMO株[ジャ−ナル オブ クリニカル マイクロバイオロジ−(J.Clin.Microbiol. )第16巻、第727〜730頁、1982年] 0.3mlと20μg/mlのトリプシン 0.3mlを30分間混合後、10%ウシ胎児血清を含むイ−グル培地(極東製薬社製)で25倍に希釈し、これを96穴マイクロプレ−トに、1穴(ウェル)当り100μlずつ分注した。ここに予め無菌蒸留水にて各種濃度に希釈調製された試料100μlを加えて30℃で1時間培養した。
【0043】
なお、空試験用としては、前記試料100μlに代えて、無菌蒸留水100μlを用いた。この培養液を別の96穴マイクロプレ−トに、対応する各穴に100μlずつ移し、ここにそれぞれ2×105 /ml のアカゲザル腎臓由来MA−104細胞を1穴当り100μl添加し、混合後、各混合液の20μlをそれぞれ対応するスライドグラスに移し、37℃で2日間培養した。これをアセトンで固定し、ヒトロタウイルス感染細胞数を、一次抗体としてウサギ抗ヒトロタウイルス抗体、及び二次抗体として蛍光標識したヤギ抗ウサギIgGを用いた間接蛍光抗体法で検出した。
【0044】
なお、増殖阻害活性の評価は、下記の式から求められる値(阻害率)が50%以上の時、増殖阻害活性ありと判断した。
100×〔1−(試料添加時の感染細胞数)/(空試験の感染細胞数)〕
また、増殖阻害活性がある最も高い希釈率で、試料原液の蛋白質濃度を除した値を最小阻害濃度とした。なお、試料原液の蛋白質濃度は、予めロ−リ−法〔Lowry 法:ザ ジャ−ナル オブ バイオロジカル ケミストリ−(J.Biol.Chem.)第193巻、第265頁、1951年〕によって求めた。
【0045】
その結果、本高分子糖蛋白質混合物の最小阻害濃度は、5μg/mlであった。この結果から、本高分子糖蛋白質混合物は、充分に強い抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を持っていることが判明した。なお、他の出発原料及び方法により製造した本発明の高分子糖蛋白質混合物についても、ほぼ同様の結果が得られた。
【0046】
(試験例3)
この試験は、in vivo(経口投与)における本発明のウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物の抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を調べるために行った。
牛乳を用いて後記する実施例1と同一の方法により製造した高分子糖蛋白質混合物を試料として、抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を次のように試験した。
【0047】
BALB/C系雌5日齢マウス(一群9匹)に、試料1mgまたは2mgを蒸留水1mlに溶解した液とヒトロタウイルスMO株(106 FCFU)とを予め混合し、37℃、30分間インキュベ−トしたものの0.1mlを経口投与して、3日後の下痢症の程度を評価した。なお、試料無添加を対照群とした。
この試験の結果を、表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から明らかなように、対照群では、ほとんどのマウスに下痢が認められたのに対して、両試験群では下痢が顕著に抑制されることが認められた。従って、経口投与された本発明の高分子糖蛋白質混合物が、生体内において優れた抗ウイルス活性(抗ヒトロタウイルス活性)を有することが判明した。なお、他の出発原料及び方法により製造した本発明の高分子糖蛋白質混合物についても、ほぼ同様の結果が得られた。
【0050】
次に実施例を示して本発明を更に詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
実施例1
精製当日に搾乳した牛乳1000mlを4℃に冷却し、遠心分離処理(15400×g,20分)することによって乳脂肪を除去し、脱脂牛乳850mlを調製した。この画分のpHを4.6に調整し、カゼインを沈殿、濾別して乳清画分を得た。得られた乳清のpHを6.0に調整し、ダイアフィルトレ−ション〔ダイアフィルトレ−ションに使用した膜:アミコンYM−10(商標。アミコン社製)〕で濃縮分画し、分子量10,000以上の乳清タンパク質濃縮物(WPC)約70mlを採取し、常法により凍結乾燥し、約0.8gの粉末を得た。
【0051】
この粉末を150mM NaCl、1mM EDTA2Na、0.02% NaN3 を含む、50mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)32mlに溶解し、その20mlをセファロ−スCL−2B(ファルマシア社製)を充填したカラム(5×80cm)に通液し、上記トリス塩酸緩衝液で溶出し、前記する試験例2と同一の方法によりヒトロタウイルス増殖阻害活性が認められた106 〜107 ダルトンの分画を回収し、常法により凍結乾燥し、約63mgの粉末を得た。
【0052】
続いてこの粉末の50mgを0.1%SDSを含む100mM リン酸緩衝液(pH7.8)5mlに溶解し、これをセファロ−ス6B(ファルマシア社製)を充填したカラム(2.5×35cm)に通液し、上記リン酸緩衝液で溶出して更に分離し、前記する試験例2と同一の方法によりヒトロタウイルス増殖阻害活性が認められた20〜50万ダルトンの分画を回収した。これを蒸留水に対して充分に透析後、常法により凍結乾燥し、高分子糖蛋白質混合物約3mgを得た。
【0053】
得られた高分子糖蛋白質混合物は、前記試験例1〜3に記載されるとおりの78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなり、ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、少なくとも2種類の糖蛋白質からなるウイルス(ヒトロタウイルス)感染防御作用を有する高分子糖蛋白質混合物であった。
【0054】
実施例2
常法により次の組成の抗ヒトロタウイルス剤(錠剤)を製造した。
乳糖 18.8 (%)
トウモロコシ澱粉 23.5
ステアリン酸マグネシウム 1.4
カルボキシメチルセルロ−スカルシウム 9.4
実施例1の高分子糖蛋白質混合物 46.9
上記組成物を打錠機により打錠し、錠剤とする。
【0055】
実施例3
常法により次の組成の抗ヒトロタウイルスシロップを製造した。
パラオキシ安息香酸メチル 0.03(%)
パラオキシ安息香酸エチル 0.01
カルボキシメチルセルロ−スカルシウム 0.20
クエン酸ナトリウム 0.18
クエン酸 0.22
果糖ブドウ糖液糖 19.83
精製水 79.33
実施例1の高分子糖蛋白質混合物 0.20
【0056】
実施例4
常法により次の組成の抗ヒトロタウイルス活性果汁飲料を製造した。
果糖ブドウ糖液糖 11.60(%)
濃縮オレンジ果汁 5.25
クエン酸 0.20
香料 0.10
精製水 82.75
実施例1の高分子糖蛋白質混合物 0.10
【0057】
【発明の効果】
本発明の高分子糖蛋白質混合物は、ウイルス(ヒトロタウイルス)の増殖を阻害する活性を有するので、ウイルス(ヒトロタウイルス)の感染を防御する目的で、飲食品及び医薬品の素材として用いることができる。また、ウイルス(ヒトロタウイルス)の感染によって生じる下痢症を抑制する飲食品及び医薬品の素材として利用することができる。また、本発明の高分子糖蛋白質混合物は牛乳由来のものであるため、安全性に問題がなく、人乳に比較して、産業上、大量に原料牛乳を入手し、高分子糖蛋白質混合物を大量生産することが容易であることから、低価格で提供できる。さらに、あまり利用されていない牛乳の高分子画分から比較的多量に調製できるので、資源の有効利用の点でも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子糖蛋白質混合物の還元条件下におけるSDS−PAGE電気泳動図を示す。
Claims (6)
- 抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物であって、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とする高分子糖蛋白質混合物。
- 抗ヒトロタウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物であって、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ヒトロタウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とする高分子糖蛋白質混合物。
- 抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス感染防御組成物であって、上記高分子糖蛋白質混合物が、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とするウイルス感染防御組成物。
- 抗ヒトロタウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を有効成分として含有するウイルス感染防御組成物であって、上記高分子糖蛋白質混合物が、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含んでいる、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ヒトロタウイルス感染防御作用を有する、ことを特徴とするヒトロタウイルス感染防御組成物。
- 抗ウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を製造する方法であって、ウシ乳清タンパク質濃縮物をアガロースの重合体からなり球状蛋白質の分画分子量が105〜2×107ダルトンであるゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより分離し、106〜107ダルトンなる分画を採取し、採取した分画をアガロースの重合体からなり球状蛋白質の分画分子量が104〜4×106ダルトンであるゲル濾過カラムクロマトグラフィーで、界面活性剤を添加した溶離液にて、分離し、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含む、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ウイルス感染防御作用を有する、高分子糖蛋白質混合物を含む分画を採取することを特徴とする高分子糖蛋白質混合物の製造法。
- 抗ヒトロタウイルス活性を有するウシ乳清由来の高分子糖蛋白質混合物を製造する方法であって、ウシ乳清タンパク質濃縮物をセファロースCL−2Bを充填したゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより分離し、106〜107ダルトンなる分画を採取し、採取した分画をセファロース6Bを充填したゲル濾過カラムクロマトグラフィーで、0.1%SDSを添加した緩衝液にて、分離し、(1)還元条件下、SDS−PAGE電気泳動分析で、18〜20万ダルトン(PAS−I)と8万ダルトン(80K)の2種類の糖蛋白質を含む、(2)78〜82%(重量)の蛋白質成分及び18〜22%(重量)の糖成分とからなる、(3)ゲル濾過法により測定した分子量が20〜50万ダルトンである、(4)ヒトロタウイルス感染防御作用を有する、高分子糖蛋白質混合物を含む分画を採取することを特徴とする高分子糖蛋白質混合物の製造法。
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