JP3794398B2 - 建築物用パネル収納体、建築物の壁面構造およびその壁面工法 - Google Patents

建築物用パネル収納体、建築物の壁面構造およびその壁面工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁パネルの搬送性を向上させるとともに、施工、解体、移設、再使用を容易に行えるようにした建築物用パネル収納体、建築物の壁面構造およびその壁面工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンビニエンスストーア、カーディーラーのショールーム、フランチャイズ店、仮設住宅、ファミリーレストラン等の建築物は、現場でパネル材に寸法加工、治具付け等を施して壁面を形成する建築物が主流をなしている。
【0003】
図21はこの種の建築物の従来例を示す概略断面図である。同図において、1は底盤コンクリート、2は基礎コンクリート、3は土間コンクリート、4は鉄骨製の柱、5は鉄骨製の梁、6は母屋、7は屋根、8は外壁、9は内壁、10は天井である。外壁8は、所定の大きさからなる壁パネル11を複数枚幅方向に突き合わせて接合することにより壁面を形成し、建築物12の隣り合うコーナー部に設けた柱4間を覆っている。
【0004】
前記壁パネル11は、上端が梁5に、下端が土台13にそれぞれボルト等の適宜な固定手段によって固定されており、内側に内壁9が取付けられている。壁パネル11による壁面の施工に当たっては、作業者が壁パネル11を一枚ずつ保持して位置決めした後、上端と下端を梁5と土台13にボルト等の固定手段によって固定し、また柱4に対応するパネル部分については柱4に対して同じく固定手段によって固定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の建築物の壁面工法は、底盤コンクリート1と基礎コンクリート2を現場で施工し、その上に柱4、梁5等で建築物の構造体を構築した後、壁パネル11を現場で一枚一枚穴明け等の加工を施しながら取付けて外壁8を組み立てていた。しかしながら、このような外壁の組み立て方法では、現場での組付け、調整に要する作業時間が長くかかり、また作業も繁雑で熟練を要し、施工費用が嵩むという問題があった。
また、穴明け等の加工を施して現場で調整して組み立てているため、解体して他所に移設する場合、再使用し難いという問題もあった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、壁パネルの搬送性を向上させるようにした建築物用パネル収納体を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、施工、解体、移設、再使用等が容易で、施工期間を短縮し得るようにした建築物の壁面構造およびその壁面工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る建築物用パネル収納体は、複数枚の壁パネルを垂直かつ厚さ方向に重ね合わせて収納するパネル収納空間を有し、このパネル収納空間内の前記壁パネルを水平方向でかつパネル面と平行な方向に出すことができる搬送可能なパネル収納体であって、基礎体上に設置されることにより建築物の構造体の一部を構成するものである。
【0009】
第1の発明において、パネル収納体は建築物の施工、移設等において壁パネルを搬送する搬送ケースとして機能し、建築後は施工現場の基礎体上にそのまま設置固定されることにより建築物の構造体の一部を構成する。
【0010】
第2の発明に係る建築物用パネル収納体は、上記第1の発明において、前記パネル収納体が、直方体のパネル収納空間を形成する複数本の柱材と、隣り合う当該柱材の上端あるいは上下両端をそれぞれ連結する枠部材と、前記壁パネルを吊架しつつ前記パネル収納空間内に収納するために前記パネル収納空間の上部において前記壁パネルの厚さ方向に延在するように架設された複数本の梁材とで構成されており、当該梁材は前記壁パネルを前記パネル収納空間外へ送出するためのレールであるものである。
【0011】
第2の発明において、柱材と枠部材がパネル収納空間を形成し、構造体の一部として用いられる。梁材は壁パネルをパネル収納空間の外部に送出するレールとして用いられる。
【0012】
第3の発明に係る建築物用パネル収納体は、上記第1または第2の発明において、直方体のパネル収納空間を形成する複数本の柱材のうち、少なくとも1本は仮設柱材であり、当該仮設柱材は建築時において取り外すことが可能であるものである。
【0013】
第3の発明においては、仮設柱材は建築後取り外されることにより、室内空間を広くする。
【0014】
第4の発明に係る建築物用パネル収納体は、上記第1〜第3の発明のうちのいずれか1つにおいて、直方体のパネル収納空間を形成している隣り合う柱材の下端どうしを連結する形材を備えており、当該形材が基礎体の一部となるものである。
【0015】
第4の発明においては、形材をパネル収納体の下端に取付けておくと、パネル収納体の強度が増大するため、搬送時の変形、歪み等を防止することができ、建築後は基礎体の一部を構成する。
【0016】
第5の発明に係る建築物の壁面構造は、基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し前記基礎体上に設置されたパネル収納体と、このパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記壁パネルによって形成される壁面構造の上部に設けられた軒梁部材と、この軒梁部材と前記パネル収納体の上枠部材に取付けられ、前記パネル収納体から引き出された各壁パネルをその面方向に移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたものである。
【0017】
第5の発明においては、壁パネルがパネル吊架手段によってレールに移動自在に吊架されているので、作業者が壁パネルを持ち上げる必要がなく、パネル収納体からの壁パネルの引き出し作業、パネル収納体内への収納作業を容易に行うことができる。壁パネルは、パネル収納体から送出レールに沿って順次引き出されると移送レールに沿って移動して一連に並ぶことにより壁面を形成する。パネル収納体の設置位置は、壁面構造の端または中間部のいずれであってもよい。
【0018】
第6の発明に係る建築物の壁面構造は、基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記壁パネルによって形成される壁面構造のいずれか一方端に設けられたパネル収納体と、このパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記パネル収納体の上枠部材と他方のコーナー部の柱とを連結する軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記パネル収納体から引き出された各壁パネルをその面方向に移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたものである。
【0019】
第6の発明においては、パネル収納体が壁面構造のいずれか一方端に設置され、当該パネル収納体から引き出された壁パネルが他方端に向かって移動して一連に並ぶことにより壁面を形成する。
【0020】
第7の発明に係る建築物の壁面構造は、基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記壁パネルによって形成される壁面構造の両端にそれぞれ設けられた2つのパネル収納体と、これらのパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記2つのパネル収納体の上枠部材を連結する軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記各パネル収納体から引き出された各壁パネルを他方のパネル収納体方向に移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたものである。
【0021】
第7の発明においては、パネル収納体が壁面構造の両端にそれぞれ設置され、各パネル収納体から引き出された壁パネルが他方のパネル収納体方向に移動して一連に並ぶことにより壁面を形成する。2つのパネル収納体は、壁パネルを分散して吊架、収納し、間口が広かったり奥行きのある建築物や長い塀などに適用して好適である。
【0022】
第8の発明に係る建築物の壁面構造は、基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記壁パネルによって形成される壁面構造の一端と中間部にそれぞれ設けられた2つのパネル収納体と、これらのパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記2つのパネル収納体の上枠部材と前記壁面構造の他端側に位置する柱とを連結する軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記各パネル収納体から引き出された各壁パネルを移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたものである。
【0023】
第8の発明においては、パネル収納体が壁面構造の一端と中間部に設置され、一端側のパネル収納体から引き出された壁パネルが中間部のパネル収納体に向かって移動し、中間部のパネル収納体から引き出された壁パネルが他端に向かって移動し、一連に並ぶことにより壁面を形成する。2つのパネル収納体は、壁パネルを分散して吊架、収納し、間口が広かったり奥行きのある建築物や長い塀などに適用して好適である。
【0024】
第9の発明に係る建築物の壁面構造は、基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記建築物の4つのコーナー部にそれぞれ設けられた4つのパネル収納体と、これらのパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、隣り合うパネル収納体の上枠部材をそれぞれ連結する複数の軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記各パネル収納体から引き出された各壁パネルを隣り合う他方のコーナー部に向かって移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備え、前記各パネル収納体内に収納されている壁パネルは、隣り合うパネル収納体内の壁パネルと直交しているものである。
【0025】
第9の発明においては、建築物の4つのコーナー部にパネル収納体をそれぞれ設けているので、4つの壁面を備えた直方体の建築物が構築される。
【0026】
第10の発明に係る建築物の壁面構造は、上記第5〜第9の発明のうちのいずれか1つにおいて、前記パネル吊架手段が、壁パネルに取付けられたボルトと、このボルトに装着されレールに沿って移動する移動体とを備え、前記壁パネルを高さ調整可能に吊架するものである。
【0027】
第10の発明においては、ボルトを回転させると、壁パネルが上下動して高ささが調整される。
【0028】
第11の発明に係る建築物の壁面構造は、上記第5〜第10の発明のうちのいずれか1つにおいて、前記パネル吊架手段のボルトには前記送出レールおよび移送レール内を走行するための車輪を有するランナーが設けられており、このランナーは前記ボルトに対して回転自在なものである。
【0029】
第11の発明において、ランナーはボルトに対して回転自在であるため、移動方向の転換が容易である。
【0030】
第12の発明に係る建築物の壁面構造は、上記第11の発明において、前記パネル吊架手段の移動方向を転換させる方向転換装置が前記送出レールと移送レールとの交差部に設置されており、この方向転換装置は、前記交差部に水平面内において回転自在に配置された回動レールを備え、この回動レールは、前記パネル吊架手段のボルトが出入りする長孔と、当該回動レールを回転させるための回転操作部とが設けられているものである。
【0031】
第12の発明においては、方向転換装置の回動レールによってパネル吊架手段の移動方向を転換し、送出レールから移送レールにまたは移送レールから送出レールに移す。
【0032】
第13の発明に係る建築物の壁面構造は、上記第12の発明において、前記壁パネルを移動させて前記回動レール内に前記パネル吊架手段を進入させた後、前記回動レールを前記回転操作部を用いて回転させて前記パネル吊架手段の走行方向を転換させることにより前記壁パネルの移動方向を変更させるものである。
【0033】
第13の発明においては、回動レールの回転操作部が同回動レールを回動させる。
【0034】
第14の発明に係る建築物の壁面工法は、複数の鋼材で基礎体を構築する工程と、前記基礎体上に建築される建築物であって、内部がパネル収納空間を形成し、上部に壁面と直交する送出レールを有するパネル収納体を製作する工程と、前記パネル収納体のパネル収納空間内に複数枚の壁パネルをその板厚方向に重ね合わせて垂直に、かつパネル吊架手段によって前記送出レールに沿って板厚方向に移動自在に吊架して収納する工程と、前記壁パネルを吊架、収納した前記パネル収納体を前記基礎体上に設置固定して前記壁パネルによって形成される壁面構造の一端とする工程と、前記パネル収納体の上枠部材と、前記壁面構造の他端側に位置する柱または該他端側に設けた他のパネル収納体の上枠部材とを建築物の構造体の一部を構成する軒梁部材によって互いに連結する工程と、前記パネル収納体内の壁パネルを前記送出レールに沿って順次引き出して前記軒梁部材および前記上枠部材に予め設けた移送レールに沿って前記柱または他方のパネル収納体に向かって壁面と平行に移動させることにより、前記パネル収納体と前記柱または他方のパネル収納体間を前記複数枚の壁パネルで覆う工程と、前記パネル吊架手段によって各壁パネルを下降させて該壁パネルの上端側と下端側を前記移送レールと、この移送レールに対向して前記基礎体上に予め設けた位置決め部材に位置決め、固定することにより壁面を形成する工程とを備えたものである。
【0035】
第14の発明においては、壁パネルを吊架、収納するパネル収納体が基礎体上に設置される。壁パネルはパネル吊架手段によってパネル収納体内に吊架、収納されており、パネル収納体から引き出されると移送レールに沿って移動し、隣り合うものどうしの側端が互いに当接することにより1つの壁面を形成する。この後、パネル吊架手段によって壁パネルを下降させ、その上下端を位置決め、固定することにより壁面構造が完成する。
【0036】
第15の発明に係る建築物の壁面工法は、建築現場に基礎体を構築する工程と、複数枚の壁パネルをパネル吊架手段により該壁パネルの板厚方向に延在する送出レールに沿って引き出し自在に吊架、収納したパネル収納体を前記基礎体の各コーナー部に、内部の壁パネルが隣り合うパネル収納体内の壁パネルと互いに直交するようにそれぞれ向きを変えて設置するとともに、隣り合うパネル収納体の上枠部材を軒梁部材によって互いに連結する工程と、前記各コーナー部に設置されたパネル収納体内の壁パネルを前記送出レールに沿って順次引き出した後、前記軒梁部材および前記上枠部材に予め設けた移送レールに沿って移動させることにより、隣り合うコーナー部間を前記複数枚の壁パネルによってそれぞれ覆う工程と、前記パネル吊架手段によって各壁パネルを下降させて該壁パネルの上端側と下端側を前記移送レールと、この移送レールに対向して前記基礎体上に予め設けた位置決め部材に位置決め、固定することにより建築物の壁面を形成する工程とを備えたものである。
【0037】
第15の発明においては、壁パネルを吊架、収納する4つのパネル収納体が製作されて基礎体の各コーナー部に設置される。各パネル収納体から引き出された壁パネルは移送レールに沿って順次移動して一連に並び、隣り合うものどうしの側端が互いに接触することにより壁面を形成する。この後、パネル吊架手段によって壁パネルを下降させ、その上下端を位置決め、固定することにより建築物の4つの壁面構造が完成する。
【0038】
ここで、本発明における「建築物」とは、人が居住したり仕事やスポーツをしたりするための空間を形成する建造物に限らず、建築現場や興行用のテントや建物などを取り囲むために建てられる壁、塀をも含む広い用語として理解されるべきである。
また、本発明における「基礎体」とは、建築物の構造体が構築される基礎部分の全般を意味する広い用語であって、一般の土台(横木)、布基礎等の基礎コンクリート、基礎コンクリートとその上に敷設される形材等のように、どのような素材によって構築されるものであってもよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る壁面構造を備えた建築物の一実施の形態を示す外観斜視図、図2は同じく建築物の壁面構造を示す斜視図、図3は壁パネルをパネル収納体内に吊架、収納した状態における構造体の斜視図、図4は壁パネルの縦断面図、図5は同壁パネルの接合部の横断面図、図6はパネル吊架手段による壁パネルの吊架状態を示す要部の斜視図である。
【0040】
先ず、本発明に係る建築物とその壁面構造を図1〜図3に基づいて説明すると、全体を符号20で示す建築物はスーパーストーア、ファミリーレストラン等のチェーン店として用いられるプレハブ式の建物からなり、直方体の鉄骨製構造体21(以下、単に構造体という)と、この構造体21の上面を覆う屋根ユニット22と、構造体21の前後、左右4つの壁面を形成する4つの壁面構造、すなわち前面側、後面側および左右2つの側面側壁面構造23A〜23Dと、屋根ユニット22の前端および左右両側を取り囲む庇ユニット24と、図示を省略した床ユニット等で構成されている。また、建築物20は、間口が5間、奥行きが3間で、前記前面側壁面構造23Aと後面側壁面構造23Bをそれぞれ垂直な5枚の壁パネル25によって形成し、左右の側面側壁面構造23C,23Dをそれぞれ垂直な3枚の壁パネル25によって形成している。
【0041】
前記壁パネル25の材質としては、所要の強度、剛性を有するものであれば金属、合成樹脂、ガラス、スレート等どのような材質のものでもあってもよい。また、取付け箇所によっては窓26やドア27を備えたものやガラス板31をパネルとして用いたもの等が用いられる。因みに、本実施の形態において、前面側壁面構造23Aは、5枚の壁パネル25のうち1枚のパネル25Aが枠体30(図4)に組み込まれた観音開きのドア27からなり、2枚のパネル25Bが同じく枠体30に組み込まれたガラス板31からなり、残り2枚のパネルが窓等を備えない後述する通常のパネルとされている。後面側壁面構造23Bと右側面(前方から見て)側壁面構造23Dは、全ての壁パネル25が通常のパネルによって形成され、左側面(前方から見て)側壁面構造23Cは、3枚の壁パネル25のうち、1枚が窓26を備えたパネル25Cで、残り2枚が通常のパネルによって形成されている。なお、通常のパネル以外の壁パネル25A,25B,25Cについては、通常の壁パネル25で壁面構造の一部を形成した後、後工事によって取付けるようにしてもよい。
【0042】
図4および図5において、通常の壁パネル25は、枠体30と、この枠体30の表裏面にそれぞれ取付けられた外装パネル32および内装パネル33等で構成され、両端部が後述するパネル吊架手段34(図6)によってそれぞれ吊架されている。前記枠体30は、アルミニウム、鉄等によって形成された断面形状が矩形の押出形材あるいは金属板の曲げ加工によって形成されており、上部に前記パネル吊架手段34が取付けられ、下面および両側面にはブラケット35,36がそれぞれ取付けられている。
【0043】
前記外装パネル32の両側面には、前記ブラケット36との隙間をシールするシール部材37がそれぞれ取付けられている。
【0044】
前記内装パネル33は、内部に発泡樹脂、ガラスウール等の断熱材が組み込まれており、一方の側面に凹陥部38が形成されるとともに目地パッキン39が取付けられ、他方の側面には前記凹陥部38と相似形ではあるがこれより若干小さい嵌合凸部40が一体に突設されており、この嵌合凸部40を隣り合う壁パネル25の凹陥部38に前記目地パッキン39を介して嵌合することにより、隣り合う壁パネル25どうしの隙間を気密にシールするようにしている。
【0045】
前記枠体30の下面側に取付けられている前記ブラケット35には、後述する位置決め部材60との隙間をシールするシール部材41a,41bが取付けられている。前記枠体30の側面側に取付けられている前記ブラケット36には、隣り合う壁パネル25の枠体30どうしの隙間をシールするシール部材42a,42bが取付けられている。シール部材42aは、ゴム等によって板状に形成され、枠体30の図5において左側の側面に取付けられるブラケット36にのみ取付けられている。シール部材42bは、スポンジ等によって形成され、枠体30の左右両側面に取付けられるブラケット36に対してそれぞれ取付けられている。
【0046】
前記壁パネル25のうち、特に建築物20の各コーナー部K(図2)にそれぞれ2枚ずつ直交して設けられる合計8枚の壁パネル25については、さらにその表面側が化粧パネル44(図1)によって覆われており、これによって建築物20の壁面の美観および構造体21のコーナー部Kの強度を高めるるようにしている。化粧パネル44は、壁パネル25によって壁面構造を構築した後、壁パネル25に取付けられる。
【0047】
図3において、前記構造体21は、基礎体51上に立設された複数本の柱52および仮設柱53と、隣り合う柱52の上端をそれぞれ連結する連結部材としての軒梁部材55および上枠部材56と、仮設梁57(57a〜57c)等で構成されている。
【0048】
前記基礎体51は、前記構造体21が構築される基礎部分(土台部分)で、建築物20の設置現場に施工された底盤コンクリート50と、この底盤コンクリート5の上に設けられた左右2つの基礎枠58,58(図8)と、これらの基礎枠58を連結する前後一対の基礎梁(土台)59,59とで構成されている。各基礎枠58は、基礎梁59と同一の形材からなる梁部材を接合することによって形成されている。また、各基礎枠58の外側3辺の上面と前記各基礎梁59の上面には、前記壁パネル25の下端を位置決めする位置決め部材60(図4)が後述する移送レール76に対応して敷設されている。
【0049】
図4において、前記位置決め部材60は、アルミニウムの押出形材によって断面形状が複雑な平板状に形成されて、上面に水切りをよくするために室外側が室内側よりも低い段差を有し、また上面中央には壁パネル25の位置決め壁62が全長にわたって一体に突設されている。この位置決め壁62は、壁パネル25を板厚方向に位置決めし風圧による厚さ方向の移動を規制防止するためのもので、壁パネル25を下降させてシール部材41a、41bを位置決め部材60の上面に押し付けると、前記ブラケット35に固定されているL型の金具63と、該ブラケット35のシール部材41bを保持している保持部35aとの間に前記位置決め壁62が差し込まれ、これによって壁パネル25の下端が厚さ方向にがたつくのを防止している。
【0050】
前記構造体21を構成する構造部材のうち、各コーナー部Kに位置する一部の構成部材は、工場で組立てられることによりユニット化された直方体のパネル収納体64(64A〜64D)をそれぞれ形成している。すなわち、このパネル収納体64は、搬送時においては内部に所定枚数の壁パネル25を収納して工場から建築現場に搬送されることにより壁パネル25の搬送ケースを形成し、基礎体51上に設置されることにより構造体21の一部を構成するもので、コーナー部Kに位置する合計3本の柱52a〜52cと、1本の仮設柱53と、柱52aと52b、52aと52cの上下端をそれぞれ連結する上枠部材56および前記基礎体58の一部と、3本の仮設梁57(57a〜57c)等で構成され、内部が壁パネル25を収納するパネル収納空間67を形成している。
【0051】
前記柱52aは、構造体21のコーナーに位置する柱である。前記柱52b,52cは、コーナーに位置する柱52aと間口方向および奥行き方向にそれぞれ隣り合う柱であり、前記仮設柱53はコーナーの柱52aと対角位置に設けられている。
【0052】
前記3本の仮設梁57a〜57cのうち、1本の仮設梁57aは、柱52bまたは52cと仮設柱53の上端を連結している。残り2本の仮設梁57b,57cは、前記仮設梁57aとこれと平行な前記上枠部材56とを互いに連結している。前記仮設梁57b,57cは互いに平行で、パネル収納空間67の上方に当該パネル収納空間67内の壁パネル25の表裏面と直交するように、かつ壁パネル25両端部付近にそれぞれ位置するように設けられており、下面には前記壁パネル25をパネル収納空間67から引き出したり、収納するための送出レール68がそれぞれ設けられており、この送出レール68に前記壁パネル25を移動自在に吊り下げている。
【0053】
図3において、各コーナー部Kに設けられるパネル収納体64のうち、建築物20の前方から見て前面左側のパネル収納体64Aは、前記前面側壁面構造23Aを形成する5枚の壁パネル25をその引き出し順序にしたがって板厚方向に重ね合わせて垂直に、かつパネル面が前面側壁面構造23Aの壁面と平行になるように収納している。このため、パネル収納体64Aの上部に設けられる2本の送出レール68は、建築物20の前後方向に延在し、前記前面側壁面構造23Aを構成する壁パネル25と直交している。
【0054】
建築物20の裏面右側のパネル収納体64Bは、前記前面左側のパネル収納体64Aと全く同様の構成であり、前記後面側壁面構造23Bを形成する5枚の壁パネル25をその引き出し順序にしたがって板厚方向に重ね合わせて垂直に、かつパネル面が後面側壁面構造23Bの壁面と平行になるように収納している。このため、パネル収納体64Bの上部に設けられる2本の送出レール68は、長手方向が建築物20の前後方向と一致し、前記裏面側壁面構造23Bを構成する壁パネル25と直交している。
【0055】
前方から見て左側面後方側のパネル収納体64Cは、前記左側面側壁面構造23Cを形成する3枚の壁パネル25をその引き出し順序にしたがって板厚方向に重ね合わせて垂直に、かつパネル面が左側面側壁面構造23Cの壁面と平行になるように収納している。このため、パネル収納体64Cの上部に設けられる2本の送出レールは68は、長手方向が建築物20の左右方向と一致し、前記左側面側壁面構造23Cを構成する壁パネル25と直交している。
【0056】
前方から見て右側面前方側のパネル収納体64Dは、前記左側面後方側のパネル収納体64Cと全く同様の構成であり、前記右側面側壁面構造23Dを形成する3枚の壁パネル25をその引き出し順序にしたがって板厚方向に重ね合わせて垂直に、かつパネル面が右側面側壁面構造23Dの壁面と平行になるように収納している。このため、パネル収納体64Dの上部に設けられる2本の送出レール68は、長手方向が建築物20の左右方向と一致し、前記右側面側壁面構造23Dを構成する壁パネル25と直交している。
【0057】
前記送出レール68は、図6に示すように断面形状が矩形の中空材からなり、下面中央にはスリット70が全長にわたって形成され、内部に前記パネル吊架手段34の上端部が摺動自在に挿入されている。
【0058】
前記パネル吊架手段34は、図4および図6に示すように壁パネル25の枠体30の上面に突出して設けられたボルト72と、このボルト72に嵌着された移動子73と、ボルト72に螺合する2つのロックナット74a,74bとで構成され、壁パネル25を高さ調整可能に吊架している。ボルト72の頭部72aは、前記移動子73とともに前記送出レール68の内部に挿入され、ねじ部72bが前記スリット70を通って送出レール68の下方に延在し、前記枠体30に設けた挿通孔75を貫通している。前記移動子73はリング状の板からなり、前記送出レール68の内底面に沿って移動する。
【0059】
前記ロックナット74a,74bのうち上側のロックナット74aは、ボルト72に溶接によって固定されている。一方、下方のロックナット74bは、前記枠体30の上面に溶接によって固定されており、前記ボルト72が螺合している。上側のロックナット74aをスパナ等の工具によって緩み方向に回転させると、この回転に伴いボルト72もナット74aと一体に回転して上昇する。ボルト72が緩み方向に回転すると、枠体30は自重により相対的に下降することで壁パネル25の高さが調整される。パネル吊架手段34による壁パネル25の高さ調整範囲は、20mm程度である。
【0060】
図4および図6において、前記柱52の上端を接続する全ての軒梁部材55と各パネル収納体64の上枠部材56の下面には、前記壁パネル25をその面方向に移動させる移送レール76がそれぞれ敷設されている。この移送レール76は、図4に示すように前記送出レール68と同一形状に形成されることにより、下面中央に前記ボルト72が挿通するスリット77を有している。また、移送レール76は、前記送出レール68と同一高さになるように、かつ互いに連通するように設けられることにより、前記パネル吊架手段34の送出レール68から移送レール76への移動およびこの逆への移動を可能にしている。このため、前記送出レール68のパネル送出側開口端面68a(図6)が移送レール76に対して直角に当接し、またこの開口端面68aが当接する移送レール76の当接面にはパネル吊架手段34の出入りを可能にする開口部78が形成されている。また、送出レール68の底板部分には、前記スリット70とスリット77とを互いに連通させる連通溝68bが形成されている。さらに、移送レール76の下面と壁パネル25の上面には、壁パネル25を前記パネル収納体64から引き出して所定の位置に移動させた後、固定するための金具79,80がそれぞれ固定されている。
【0061】
次ぎに、本発明に係る上記した建築物20の壁面工法を図4〜図15に基づいて詳述する。
先ず、図7に示すように建築物20の建設予定地にコンクリートを打ち込み底盤コンクリート50を施工する。次ぎに、底盤コンクリート50の上に2つの基礎枠58(図8)を構築し、これらの基礎枠58を基礎梁59によって互いに連結することにより基礎体51(図8)とする。さらに、基礎体51の軒梁部材55(図3)と対向する上面に位置決め部材60を敷設する(図9)。
【0062】
ここで、基礎体51としては、底盤コンクリート50と基礎枠58とで構築されるものに限らず、種々の基礎体を施工するが可能である。
例えば、図10に示すように底盤コンクリート50と、この底盤コンクリート50の上にバー材(形材)を建築物20の底面形状と同一形状の矩形枠状に連結して形成した基礎枠58’とで基礎体51’としたものであってもよい。
【0063】
また、図11に示すように、在来工法の基礎コンクリート(布基礎)90を基礎体51として用い、その上面に位置決め部材60を直接敷設してもよい。
【0064】
次ぎに、複数枚の壁パネル25を吊架、収納した4つのパネル収納体64A〜64Dを前記基礎体51の各コーナー部にそれぞれ設置する(図12)。
【0065】
パネル収納体64A〜64Dは工場において製作され、それぞれ所定枚数の壁パネル25をその排出順序にしたがって板厚方向に重ね合わせて吊架、収納し、適宜なバンドによって壁パネル25を緊縛した後、建築現場にトラックで搬送される。そして、クレーンによって吊り下げられ、前記基礎体51の所定箇所に据え付けられる。
【0066】
パネル収納体64としては、工場で組み立てる際、図13に示すようにパネル収納体64の下端に基礎体51の一部を構成する基礎枠(形材)58’も予め取付けておき、複数枚の壁パネル25を吊架、収納して工場から設置現場に搬送するようにしてもよい。このように各パネル収納体64の下端に基礎枠58’を取付けて搬送すると、パネル収納体64の強度が増大するため、搬送時の変形、歪み等を防止することができる。
【0067】
パネル収納体64A〜64Dを基礎体51上に設置した後、さらにその上に柱52を立て、軒梁部材55を隣り合うパネル収納体64間に架設し、前記パネル収納体64A〜64Dを含む構造体21を構築する。図14は構造体21が構築された状態を示す。そして、全ての軒梁部材55と上枠部材56の下面に移送レール76を敷設する。
【0068】
次ぎに、各パネル収納体64A〜64D内に吊架、収納されている壁パネル25を送出レール68に沿ってパネル排出方向に移動させることにより壁パネル25を当該パネル収納体から引き出す。さらに、引き出した壁パネル25を移送レール76に沿って図14の矢印1,Y2,Y3,Y4方向にそれぞれ移動させて隣り合うパネルどうしの側端面を互いに突き合わせることにより、構造体21の前後左右4つの壁面を壁パネル25によって覆う。
【0069】
次ぎに、パネル吊架手段34によって各壁パネル25を所定量下降させ、ブラケット35に取付けているシール部材41a,41bを位置決め部材60の上面に押し付ける(図4)。壁パネル25を下降させると、位置決め壁62は相対的に上昇するため金具63とブラケット35の保持部35aとの間に侵入して壁パネル25の下端を位置決めし、前後方向のがたつきを防止する。そして、パネル側の固定金具80を移送レール76側の固定金具79にボルトによって固定する(図6)。これによって、壁パネル25の上下端が構造体21に対して位置決め固定され、もって建築物20の4つの壁面構造23A〜23Dが完成する(図2)。
【0070】
壁パネル25を各パネル収納体64A〜64Dから順次引き出して4つの壁面構造23A〜23Dが完成した後、仮設柱53を取り除く(図14)。これは壁パネル25を各パネル収納体64から引き出した後は、壁パネル25の重量を支える必要がないためと、室内を広く有効に利用するためである。
【0071】
このように本発明に係る壁面工法は、パネル収納体64内に吊架、収納した複数枚の壁パネル25を順次引き出して一連に並べることにより壁面を形成するようにしているので、作業者が建築現場で壁パネル25を一枚ずつ穴明け等の加工を施しながら取付ける必要がなく、壁面を短時間でしかも熟練を要さず、容易に構築することができる。したがって、工期を大幅に短縮でき施工費用を低減することができる。
【0072】
図15は本発明の他の実施の形態を示すもので、基礎体上に設置されたパネル収納体の斜視図である。
この実施の形態は、間口が広い建築物に適用した例を示すもので、このため合計6個のパネル収納体64A〜64Fを製作してその中に複数枚の壁パネル25を吊架、収納し、これらのパネル収納体を工場から設置現場に搬送した後、基礎体51の各コーナー部と間口の中間部にそれぞれ設置したものである。この場合、パネル収納体64A内に収納されている壁パネル25によってパネル収納体64Aからパネル収納体64Eまでの壁面を形成する。さらに、パネル収納体64E内に収納されている壁パネル25によってパネル収納体64Eからパネル収納体64Dまでの壁面を形成し、パネル収納体64B内に収納されている壁パネル25によってパネル収納体64Bからパネル収納体64Fまでの壁面を形成し、パネル収納体64F内に収納されている壁パネル25によってパネル収納体64Fからパネル収納体64Cまでの壁面を形成し、パネル収納体64C内に収納されている壁パネル25によってパネル収納体64Cからパネル収納体64Aまでの壁面を形成し、パネル収納体64D内に収納されている壁パネル25によってパネル収納体64Dからパネル収納体64Bまでの壁面を形成する。
【0073】
このような構造においても、上記した実施の形態と同様な効果が得られることは明らかであろう。
【0074】
図16は本発明のさらに他の実施の形態を示す方向転換装置の水平断面図、図17は図16のA−A線拡大断面図、図18は図16のB−B線拡大断面図である。これらの図において、この実施の形態は、パネル吊架手段34の移動子を車輪101によって構成し、送出レール68A,68B、移送レール76との摩擦を少なくすることにより、壁パネル25を容易に移動させるようにしている。また、送出レール68A,68Bと移送レール76との交差部103,104に前記パネル吊架手段34の移動方向を水平面内において90°転換させる方向転換装置105,106をそれぞれ設けている。
【0075】
前記パネル吊架手段34は、ボルト72と、このボルト72に回転自在に嵌着されたランナー107とで構成されている。ボルト72は、下端側が送出レール68A(68B)のスリット70を通って下方に延在しブラケット108にナット74を介して連結されている。ブラケット108は、壁パネル25の上面に設けた枠体30上に立設されている。
【0076】
壁パネル25をパネル収納体64から引き出して所定の位置に位置決め固定するときは、ボルト72を回転させて壁パネル25を下降させ、位置決め部材60(図4)に対して位置決め固定する。壁パネル25を下降させる際は、移送レール76に設けた高さ調整用孔109(図16)にラチェットを上方から差し込んでボルト72を回転させればよい。高さ調整用孔109は、移送レール76に沿って所定位置に引き出された壁パネル25の各パネル吊架手段34に対応するように形成される。ただし、パネル収納体64内に収納されている複数枚の壁パネル25のうち最後に引き出されるものについては、移送レール76に沿って移動せず、その引出位置に固定されるため、前記方向転換装置105,106とパネル吊架手段34とが重なり合って移送レール76の上方からボルト72を回転調整することができず、したがって、最後に引き出される壁パネル25については前記ナット74をスパナ等で緩めて壁パネル25を下降させ、位置決め部材60に対して位置決め固定することになる。
【0077】
前記ランナー107は、ランナー本体110と、このランナー本体110の両側面にそれぞれ2個ずつ回転自在に設けられた合計4個の車輪101とで構成されている。前記車輪101は、壁パネル25がパネル収納体64に収納されている状態において、送出レール68A(または68B)の左右の底板部112a,112b上にそれぞれ載って転動する。
【0078】
前記パネル収納体64の移送レール76は、前記各送出レール68A,68Bが接続される部分に上下に開放する円形孔がそれぞれ設けられることより3つのレール部分に分断されており、これらの円形孔が前記交差部103,104を形成している。また、円形孔からなるこれらの交差部103,104は、移送レール76の上面に連結プレート115を複数個のボルト116およびナット117によって固定することにより覆われており、この連結プレート115によって分断された3つのレール部分を連結し1本の移送レール76としている。
【0079】
前記方向転換装置105,106は、前記各交差部103,104にそれぞれ水平面内において回転自在に配置された回動レール120を備えている。回動レール120は、上下に平行に対向する円板状の上板121および下板122と、上板121と下板122の外周縁部2箇所を連結する互いに対向した一対の連結板123とで構成されている。このような回動レール120は、鋳物製であって壁パネル25の重量に十分に耐え得る強度を有している。前記上板121は、前記連結プレート115に設けた回動軸124によって回転自在に軸支されている。前記下板122は、上面が送出レール68A,68Bの底板部112a,112bの上面と同一高さで、長孔126、一対の突条体127および回転操作部128を有している。
【0080】
前記長孔126は、前記パネル吊架手段34のボルト72の出入りを可能にするもので、下板122の径方向に形成されており、孔幅が前記ボルト72の外径より大きく設定されている。この場合、2つの方向転換装置105と106は、回動レール120の長孔126の長さが異なっている点で相違している。すなわち、方向転換装置105の回動レール120の長孔126は、下板122の中心を横断して両端が下板122の外周に開放している。これに対して、方向転換装置106の回動レール120の長孔126は、下板122の外周より中央にまで延在し一端のみが開放している。これは、壁パネル25をパネル収納体64から移送レール76の下方に送り出したとき、送出レール68B側のパネル吊架手段34のボルト72を前記長孔126の閉塞端126aに当接させることにより、ボルト72を移送レール76の幅方向中央に停止させ、車輪101を下板122から移送レール76へ円滑に受渡すことができるようにするためである。ただし、送出レール68B側のパネル吊架手段34を位置決めしただけでは不十分なときは、交差部103側に設けられる方向転換装置105の回動レール120の長孔126も外周より中央にまで延在する一端のみが開放した長孔に形成すればよい。この場合は、方向転換装置105と106を同一構造とすることができ、方向転換装置の種類を削減することができる。
【0081】
前記一対の突条体127は、前記長孔126の両側に位置するように下板122の上面に突設されており、前記車輪101の左右方向への移動を防止している。このため、一対の突条体127の間隔は、左右の車輪101の間隔より若干狭く設定されている。
【0082】
前記回転操作部128は、図18に示すように下板122の下面に一体に突設されており、小孔131を有している。
【0083】
パネル収納ケース64から壁パネル25を引き出して壁面を形成するときは、予め各方向転換装置105,106の回動レール120の長孔126の向きが送出レール68A,68Bの長手方向と一致しているか否かを確認する。一致していないときは、ドライバー等の適宜な工具132(図16)を回転操作部128の小孔131に差し込んで回動レール120を回動させ、長孔126を各送出レール68,68Bのスリット70と一致させる。
【0084】
次に、パネル収納体64内の壁パネル25を図16の送出方向に移動させる。壁パネル25を送出方向に移動させると、左右一対のパネル吊架手段34の車輪101は、送出レール68A,68B内を転動し、各方向転換装置105,106の回動レール120上に乗り移る。そして、パネル送出方向とは反対側のパネル吊架手段34のボルト72が方向転換装置106の回動レール120の長孔126の終端126aに当接すると(図19)、壁パネル25はその位置で停止する。
【0085】
次に、作業者が適宜な工具132によって方向転換装置105,106の回動レール120を図16、図19において時計方向に90°順次回動させる。これにより、パネル吊架手段34のランナー107の向きが90°転換される。そして、壁パネル25を移送方向に移動させると、車輪101は回動レール120から移送レール76内を転動して壁パネル25を所定の位置に移動させる。このようにしてパネル収納体64内の壁パネル25を順次引き出して一連に並べると上記した建築物の壁面構造が構築される。
【0086】
このような構造においては、パネル吊架手段34にレール上を転動する車輪101を設けているので、壁パネル25を僅かな力で移動させることができ、作業者の肉体的負担を軽減することができる。また、方向転換装置105,106を備えているので、壁パネル25の移動方向を転換するときパネル吊架手段34に無理な力が加わることもない。
【0087】
なお、上記した実施の形態においては、いずれも4つの壁面を有する建築物に適用した例を示したが、本願発明はこれに何ら限定されるものではなく、建築現場などに設置される塀にも適用することが可能である。
また、パネル収納体64の設置箇所としては、壁面構造の端に限らず、中間部に設けられるものであってもよく、その場合はパネル収納体64から引き出した壁パネル25を両端に向かって移動させればよい。
また、1つの壁面構造に対して2つのパネル収納体64を設置する例として、図15においては壁面構造の一端と中間部にパネル収納体(64Aと64E、6Bと64F)をそれぞれ設置したが、両端にそれぞれ設置し、各パネル収納体から引き出した壁パネル25を壁面構造の中央部に向かって移動させるようにしてもよい。
また、パネル収納体64としては、柱材によって直方体のパネル収納空間を形成したものに限らず、パネルによって形成したものであってもよい。
さらに、本発明における壁面構造は、間口あるいは奥行き方向の全長にわたる壁面構造に限らず、その一部を本発明による壁面構造とし、残りの部分をコンクリートなどの駆体で構成した建築物であってもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るパネル収納体は、壁パネルの搬送時にはパネルの搬送ケースとして用いることができ、また建築後は施工現場の基礎体上に設置することで建築物の構造体の一部として使用することができる。
また、本発明に係るパネル収納体は、建築時において取り外すことが可能な仮設柱材を備えているので、この仮設柱材を取り外すことにより、室内が広くなり有効に利用することができる。
さらに、隣り合う柱材の下端どうしを連結する形材を備えたパネル収納体においては、強度が増大し、搬送時に変形したり歪んだりするのを防止することができ、また当該形材を基礎体の一部として用いることができる。
【0089】
本発明に係る建築物の壁面構造およびその壁面工法は、パネル収納体内に吊架、収納した複数枚の壁パネルを順次引き出して壁面を形成するように構成したので、建築現場で壁パネルを一枚ずつ穴明け等の加工を施しながら取付ける必要がなく、壁面を短時間にしかも熟練を要さず、容易に構築することができる。したがって、工期の大幅な短縮と施工費用の軽減を達成することができる。
また、壁パネルはパネル吊架手段によって吊架されているので、作業者が壁パネルを持ち上げたりする必要がなく、作業者の肉体的負担を軽減することができる。
また、パネル吊架手段に車輪を設け、送出レールと移送レールとの交差部に方向転換装置を設けた建築物の壁面構造においては、パネル吊架手段を確実に方向転換させることができ、壁パネルの引出し、収納作業を容易に行うことができ、作業者の肉体的負担を軽減することができる。
さらに、建築物はプレハブ式であるため、解体、移設、再使用等も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る壁面構造を備えた建築物の一実施の形態を示す外観斜視図である。
【図2】 同じく建築物の壁面構造を示す斜視図である。
【図3】 壁パネルをパネル収納体内に吊架、収納した状態の構造体を示す斜視図である。
【図4】 壁パネルの縦断面図である。
【図5】 同壁パネルの接合部の横断面図である。
【図6】 壁パネルのパネル吊架手段による壁パネルの吊架状態を示す要部の斜視図である。
【図7】 建築物の壁面工法の手順を示す図で、底盤コンクリートを施工する工程を示す図である。
【図8】 建築物の壁面工法の手順を示す図で、基礎体を構築する工程を示す図である。
【図9】 建築物の壁面工法の手順を示す図で、位置決め部材を敷設する工程を示す図である。
【図10】 基礎体の他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図11】 基礎体のさらに他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図12】 建築物の壁面工法の手順を示す図で、パネル収納体の設置と構造体の構築工程を示す図である。
【図13】 パネル収納体の他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図14】 建築物の壁面工法の手順を示す図で、壁面を形成する工程を示す図である。
【図15】 本発明の他の実施の形態を示すもので、基礎体上に設置されたパネル収納体の斜視図である。
【図16】 本発明のさらに他の実施の形態を示す方向転換装置の水平断面図である。
【図17】 図16のA−A線拡大断面図である。
【図18】 図16のB−B線拡大断面図である。
【図19】 壁パネルの引出し手順を説明するための図である。
【図20】 壁パネルの引出し手順を説明するための図である。
【図21】 従来の建築物の概略断面図である。
【符号の説明】
20…建築物、21…構造体、23A〜23D…壁面構造、25、25A,25B…壁パネル、34…パネル吊架手段、52,52a〜52c…柱、64,64A〜64F…パネル収納体、50…底盤コンクリート、51…基礎体、53…仮設柱、55…軒梁部材、56…上枠部材、60…位置決め部材、67…パネル収納空間、68…送出レール、72…ボルト、73…移動子、76…移送レール、K…コーナー部、101…車輪、103,104…交差部、105,106…方向転換装置、107…ランナー、120…回動レール、126…長孔、128…回転操作部。

Claims (15)

  1. 複数枚の壁パネルを垂直かつ厚さ方向に重ね合わせて収納するパネル収納空間を有し、このパネル収納空間内の前記壁パネルを水平方向でかつパネル面と平行な方向に出すことができる搬送可能なパネル収納体であって、基礎体上に設置されることにより建築物の構造体の一部を構成する建築物用パネル収納体。
  2. 請求項1記載の建築物用パネル収納体において、
    前記パネル収納体が、直方体のパネル収納空間を形成する複数本の柱材と、隣り合う当該柱材の上端あるいは上下両端をそれぞれ連結する枠部材と、前記壁パネルを吊架しつつ前記パネル収納空間内に収納するために前記パネル収納空間の上部において前記壁パネルの厚さ方向に延在するように架設された複数本の梁材とで構成されており、当該梁材は前記壁パネルを前記パネル収納空間外へ送出するためのレールであることを特徴とする建築物用パネル収納体。
  3. 請求項1または2記載の建築物用パネル収納体において、
    直方体のパネル収納空間を形成する複数本の柱材のうち、少なくとも1本は仮設柱材であり、当該仮設柱材は建築時において取り外すことが可能であることを特徴とする建築物用パネル収納体。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の建築物用パネル収納体において、
    直方体のパネル収納空間を形成している隣り合う柱材の下端どうしを連結する形材を備えており、当該形材が基礎体の一部となることを特徴とする建築物用パネル収納体。
  5. 基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、
    前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し前記基礎体上に設置されたパネル収納体と、このパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記壁パネルによって形成される壁面構造の上部に設けられた軒梁部材と、この軒梁部材と前記パネル収納体の上枠部材に取付けられ、前記パネル収納体から引き出された各壁パネルをその面方向に移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたことを特徴とする建築物の壁面構造。
  6. 基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、
    前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記壁パネルによって形成される壁面構造のいずれか一方端に設けられたパネル収納体と、このパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記パネル収納体の上枠部材と他方のコーナー部の柱とを連結する軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記パネル収納体から引き出された各壁パネルをその面方向に移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたことを特徴とする建築物の壁面構造。
  7. 基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、
    前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記壁パネルによって形成される壁面構造の両端にそれぞれ設けられた2つのパネル収納体と、これらのパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記2つのパネル収納体の上枠部材を連結する軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記各パネル収納体から引き出された各壁パネルを他方のパネル収納体方向に移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたことを特徴とする建築物の壁面構造。
  8. 基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、
    前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記壁パネルによって形成される壁面構造の一端と中間部にそれぞれ設けられた2つのパネル収納体と、これらのパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、前記2つのパネル収納体の上枠部材と前記壁面構造の他端側に位置する柱とを連結する軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記各パネル収納体から引き出された各壁パネルを移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備えたことを特徴とする建築物の壁面構造。
  9. 基礎体の上に建築される複数枚の壁パネルを有する建築物の壁面構造において、
    前記複数枚の壁パネルをその厚さ方向に重ね合わせて垂直に収納するパネル収納空間を有し、前記建築物の4つのコーナー部にそれぞれ設けられた4つのパネル収納体と、これらのパネル収納体の上部に前記壁パネルの厚さ方向に延在するように設けられた送出レールと、隣り合うパネル収納体の上枠部材をそれぞれ連結する複数の軒梁部材と、前記上枠部材と前記軒梁部材にそれぞれ取付けられ前記各パネル収納体から引き出された各壁パネルを隣り合う他方のコーナー部に向かって移動させる移送レールと、前記各壁パネルの上部に取付けられ、該壁パネルを前記送出レールおよび前記移送レールに沿って移動可能に吊架するパネル吊架手段と、前記基礎体上に前記移送レールに対向して設けられ、前記各壁パネルの下端を位置決めする位置決め部材とを備え、
    前記各パネル収納体内に収納されている壁パネルは、隣り合うパネル収納体内の壁パネルと直交していることを特徴とする建築物の壁面構造。
  10. 請求項5〜9のうちのいずれか1つに記載の建築物の壁面構造において、
    前記パネル吊架手段は、壁パネルに取付けられたボルトと、このボルトに装着されレールに沿って移動する移動体とを備え、前記壁パネルを高さ調整可能に吊架することを特徴とする建築物の壁面構造。
  11. 請求項5〜10のうちのいずれか1つに記載の建築物の壁面構造において、
    前記パネル吊架手段のボルトには前記送出レールおよび移送レール内を走行するための車輪を有するランナーが設けられており、このランナーは前記ボルトに対して回転自在であることを特徴とする建築物の壁面構造。
  12. 請求項11記載の建築物の壁面構造において、
    前記パネル吊架手段の移動方向を転換させる方向転換装置が前記送出レールと移送レールとの交差部に設置されており、この方向転換装置は、前記交差部に水平面内において回転自在に配置された回動レールを備え、この回動レールは、前記パネル吊架手段のボルトが出入りする長孔と、当該回動レールを回転させるための回転操作部とが設けられていることを特徴とする建築物の壁面構造。
  13. 請求項12に記載の建築物の壁面構造において、
    前記壁パネルを移動させて前記回動レール内に前記パネル吊架手段を進入させた後、前記回動レールを前記回転操作部を用いて回転させて前記パネル吊架手段の走行方向を転換させることにより前記壁パネルの移動方向を変更させることを特徴とする建築物の壁面構造。
  14. 複数の鋼材で基礎体を構築する工程と、
    前記基礎体上に建築される建築物であって、内部がパネル収納空間を形成し、上部に壁面と直交する送出レールを有するパネル収納体を製作する工程と、
    前記パネル収納体のパネル収納空間内に複数枚の壁パネルをその板厚方向に重ね合わせて垂直に、かつパネル吊架手段によって前記送出レールに沿って板厚方向に移動自在に吊架して収納する工程と、
    前記壁パネルを吊架、収納した前記パネル収納体を前記基礎体上に設置固定して前記壁パネルによって形成される壁面構造の一端とする工程と、
    前記パネル収納体の上枠部材と、前記壁面構造の他端側に位置する柱または該他端側に設けた他のパネル収納体の上枠部材とを建築物の構造体の一部を構成する軒梁部材によって互いに連結する工程と、
    前記パネル収納体内の壁パネルを前記送出レールに沿って順次引き出して前記軒梁部材および前記上枠部材に予め設けた移送レールに沿って前記柱または他方のパネル収納体に向かって壁面と平行に移動させることにより、前記パネル収納体と前記柱または他方のパネル収納体間を前記複数枚の壁パネルで覆う工程と、
    前記パネル吊架手段によって各壁パネルを下降させて該壁パネルの上端側と下端側を前記移送レールと、この移送レールに対向して前記基礎体上に予め設けた位置決め部材に位置決め、固定することにより壁面を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする建築物の壁面工法。
  15. 建築現場に基礎体を構築する工程と、
    複数枚の壁パネルをパネル吊架手段により該壁パネルの板厚方向に延在する送出レールに沿って引き出し自在に吊架、収納したパネル収納体を前記基礎体の各コーナー部に、内部の壁パネルが隣り合うパネル収納体内の壁パネルと互いに直交するようにそれぞれ向きを変えて設置するとともに、隣り合うパネル収納体の上枠部材を軒梁部材によって互いに連結する工程と、
    前記各コーナー部に設置されたパネル収納体内の壁パネルを前記送出レールに沿って順次引き出した後、前記軒梁部材および前記上枠部材に予め設けた移送レールに沿って移動させることにより、隣り合うコーナー部間を前記複数枚の壁パネルによってそれぞれ覆う工程と、
    前記パネル吊架手段によって各壁パネルを下降させて該壁パネルの上端側と下端側を前記移送レールと、この移送レールに対向して前記基礎体上に予め設けた位置決め部材に位置決め、固定することにより建築物の壁面を形成する工程と、を備えたことを特徴とする建築物の壁面工法。
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