JP3793985B2 - レンズ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ装置に係り、特に電子スチルカメラに適用されるレンズ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ鏡筒内に配置されたレンズを光軸に沿って移動自在に支持する方法には、いわゆる3点宙吊りによる方法とガイド棒による方法とがある。
【0003】
3点宙吊りによる方法は、レンズ枠の外周に3本の支軸を120°間隔で配設し、その3本の支軸を固定筒に形成された3本の直進溝に係合させて、光軸方向に移動自在に支持する。一方、ガイド棒による方法は、レンズ鏡筒内に光軸に沿ってガイド棒を配設し、そのガイド棒にレンズ枠に設けられたガイドブロックを係合させて、光軸方向に移動自在に支持する。
【0004】
しかし、3本宙吊りは、レンズを安定支持できるが、ガイド棒に比べてレンズ枠の動作空間が多くなり、レンズ鏡筒が大型化するという欠点がある。
【0005】
一方、ガイド棒の場合、単焦点レンズや比較的構成の単純なズームレンズでは、その両端部をレンズ鏡筒に支持した状態でレンズ枠をガイドすることができたが、近年のズームレンズなどでは、小型高性能化により、鏡筒内の構造が複雑化しており、一端のみをレンズ鏡筒に支持した状態でレンズ枠をガイドするようにしていた。すなわち、特開平6−324392号公報に開示されているように、カメラ本体側の一端のみをレンズ鏡筒の底面に固定し、被写体側は支持しない片持ち状態で支持するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、片側のみ支持されたガイド棒では、レンズの移動時に振動等が発生し、レンズを安定動作させることができないという欠点がある。一方、レンズを安定動作させるためにガイド棒の両端を支持するようにすると、レンズ鏡筒全体が大型化するという欠点がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、レンズ鏡筒を小型化できるとともに、レンズを安定的に動作させることができるレンズ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、固定筒に対して移動筒が撮影光軸に沿って移動自在に設けられたレンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒内に配設され、レンズ枠を撮影光軸に沿って摺動自在に支持するガイド棒と、を備えたレンズ装置において、前記移動筒の内周部には、前記ガイド棒を孔に嵌入して支持する支持部が設けられ、前記ガイド棒は、一端が前記固定筒の基端部に固定されるとともに、他端が前記支持部に支持されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は前記目的を達成するために、前記支持部は、前記移動筒の内周部を光軸に沿って移動自在に設けられた支持部材に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、ガイド棒は、一端が固定筒の基端部に固定されるとともに、他端が移動筒の内周部に設けられた支持部に嵌入されて支持される。これにより、ガイド棒は両端が支持されるようになり、レンズを安定的に動作させることができる。また、支持部材を移動自在とすることにより、移動筒を移動させても、鏡筒内の部材と干渉することがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るレンズ装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0012】
図1は、本発明に係るレンズ装置が適用される電子スチルカメラの外観構成を示す斜視図である。
【0013】
同図に示すように、この電子スチルカメラ1は、矩形の箱型に形成されており、その正面部には、レンズ装置2、ファインダ窓3、ストロボ調光センサ4、セルフタイマーランプ5などが配設されている。また、そのカメラ本体の背面部には、図示しないファインダ接眼部や液晶表示パネル、操作キーなどが設けられており、その上面部には、レリーズスイッチ7やポップアップ式のストロボ6などが設けられている。
【0014】
この電子スチルカメラ1は沈胴式であり、レンズ装置2は使用時にのみカメラ本体から繰り出される。そして、不使用時には、カメラ本体内に完全に収納され、カメラ本体の正面部はフラットな面となる。
【0015】
図2〜図4は、上記の電子スチルカメラ1に適用されるレンズ装置2の構成を示す側面断面図であり、また、図5は、図2〜図4に示したレンズ装置2の分解斜視図である。なお、図2は、レンズ装置2の沈胴状態を示しており、図3及び図4は、それぞれ繰出状態を示している。
【0016】
図2〜図5に示すように、このレンズ装置2は、レンズ鏡筒12、撮影レンズ14、絞りシャッターユニット16及びCCDユニット18から構成されている。
【0017】
まず、レンズ鏡筒12の構成について説明する。レンズ鏡筒12は、固定筒20と、その固定筒20内を移動自在に設けられた移動筒22と、その固定筒20の外周部に回動自在に設けられたカム筒24とから構成されている。
【0018】
固定筒20は、円筒状に形成されており、その基端部には板状に形成されたベース26が取り付けられている。レンズ装置2は、このベース26をカメラ本体(不図示)に固定することにより、カメラ本体に取り付けられる。
【0019】
移動筒22は、円筒状に形成されており、固定筒20内を前後移動自在に設けられている。この移動筒22の基端部外周には3本の第1カムピン28、28、28が等間隔に配設されており、各第1カムピン28、28、28は、それぞれ固定筒20に形成された3本の第1直進溝30、30、30に嵌合されている。この第1直進溝30、30、30は、固定筒20の軸線と平行に形成されており、この第1直進溝30、30、30に第1カムピン28、28、28が嵌合されることにより、移動筒22が光軸に沿って前後移動自在に支持される。
【0020】
カム筒24は、円筒状に形成されており、固定筒20の外周部に嵌入されて回動自在に支持されている。このカム筒24の内周部には、図8に示すように、3本の第1カム溝32、32、32と、3本の第2カム溝34、34、34と、1本の第3カム溝36とが、それぞれ重ならないように位置をずらして形成されている。
【0021】
移動筒22の外周部に突設された3本の第1カムピン28、28、28は、それぞれ固定筒20に形成された3本の第1直進溝30、30、30に嵌合されるとともに、このカム筒24に形成された3本の第1カム溝32、32、32に嵌合されている。これにより、カム筒24を回動させると、第1カム溝32、32、32と第1直進溝30、30、30との作用によって、移動筒22が光軸に沿って前後移動する。
【0022】
なお、第1カム溝32は、図8に示すように、領域Aと領域Bとから構成されており、その領域Aにおいて、移動筒22を沈胴位置から繰出位置にガイドする。一方、領域Bでは、移動筒22が繰出位置に保持されるようにガイドする。
【0023】
また、カム筒24は、固定筒20内に収納配置されたカム筒駆動モータ38によって駆動され、その駆動機構は次のように構成されている。
【0024】
図3、図5及び図7に示すように、カム筒駆動モータ38は、ギアボックス40を介してベース26の内面に固定されている。このギアボックス40は、カム筒駆動モータ38からの回転を所定のギア比で減速するもので、その出力軸には駆動ギア42が固着されている。一方、カム筒24には、その基端部内周面にインターナルギア44が形成されており、このインターナルギア44に前記駆動ギア42が噛合されている。このように構成された駆動機構によれば、カム筒駆動モータ38を駆動すると、駆動ギア42が回転し、その駆動ギア42の回転がインターナルギア44に伝達されて、カム筒24が回動する。
【0025】
なお、カム筒駆動モータ38には、カム筒24の回転量を検出する手段としてフォトインタラプタ45が設けられている。このフォトインタラプタ45は、カム筒駆動モータ38が駆動されると、その出力軸の回転量に応じてカメラ本体の制御部にパルス信号を出力する。カメラ本体の制御部は、このフォトインタラプタ45から出力されるパルスをカウントすることにより、カム筒24の回転量を算出する。
【0026】
次に、撮影レンズ14の構成について説明する。撮影レンズ14は、固定レンズ群46、変倍レンズ群48、リレーレンズ群50及びフォーカスレンズ群52の4群型ズームレンズで構成されている。
【0027】
固定レンズ群46は、第1レンズ枠54に保持されている。この第1レンズ枠54の基端部外周には雄ネジ部54aが形成されている。一方、移動筒22の先端内周部には雌ネジ部22aが形成されており、この雌ネジ部22aに第1レンズ枠54の雄ネジ部54aを螺合することにより、第1レンズ枠54が移動筒22の先端部に取り付けられる。そして、このように第1レンズ枠54が移動筒22に取り付けられることにより、固定レンズ群46が移動筒22と一体的に移動する。
【0028】
なお、固定レンズ群46が取り付けられた移動筒22の先端部には、化粧リング55が取り付けられる。
【0029】
変倍レンズ群48は、固定レンズ群46の後段位置に配されており、第2レンズ枠56に保持されている。この第2レンズ枠56の基端部外周には、図6に示すように、3本の第2カムピン58、58、58が等間隔に配設されている。そして、各第2カムピン58、58、58は、それぞれ固定筒20に形成された3本の第2直進溝60、60、60に嵌合されている。
【0030】
ここで、この第2直進溝60、60、60は、固定筒20の軸線に沿って形成されており、この第2直進溝60、60、60に第2カムピン58、58、58が嵌合されることにより、第2レンズ枠56が固定筒20内を光軸に沿って移動自在に支持される。
【0031】
また、この第2カムピン58、58、58は、それぞれ固定筒20に形成された第2直進溝60、60、60に嵌合されるとともに、カム筒24に形成された3本の第2カム溝34、34、34に嵌合されている。これにより、カム筒24を回転させると、第2カム溝34、34、34と第2直進溝60、60、60との作用によって第2レンズ枠56が光軸に沿って前後移動する。
【0032】
このとき、第2カム溝34は、図8に示すように、その領域Cにおいて、第2レンズ枠56を沈胴位置からワイド端位置にガイドし、領域Dでは、第2レンズ枠56をワイド端位置からテレ端位置にガイドする。
【0033】
リレーレンズ群50は、変倍レンズ群48の後段位置に配されており、第3レンズ枠62に保持されている。この第3レンズ枠62の外周部には、図6に示すように、2つのガイドブロック64、66と1本の第3カムピン68とが一体的に取り付けられている。
【0034】
2つのガイドブロック64、66は、それぞれ筒状とU字状とに形成されており、筒状に形成されたガイドブロック64は、固定筒20内に配設された第1ガイド棒70に嵌合されている。一方、U字状に形成されたガイドブロック66は、固定筒20内に配設された第2ガイド棒72に嵌合されている。
【0035】
ここで、この第1ガイド棒70と第2ガイド棒72とは、図2〜図4に示すように、それぞれ固定筒20の軸線と平行に配設されている。そして、その基端部は、それぞれベース26の内側に固定されており、先端部は、それぞれ移動筒22内に設けられた先端支持機構104によって支持されている(なお、この先端支持機構104の構成については後に詳述する。)。ガイドブロック64、66は、この第1ガイド棒70と第2ガイド棒72とに摺動自在に設けられており、これにより、第3レンズ枠62が固定筒20内を光軸に沿って移動自在に支持される。
【0036】
一方、1本だけ配設された第3カムピン68は、図6に示すように、固定筒20に形成された第3直進溝74と、カム筒24に形成された第3カム溝36とに嵌合されている。第3直進溝74は、固定筒20の軸線に沿って形成されており、これにより、カム筒24を回転させると、第3カム溝36と第3直進溝74との作用によって、第3レンズ枠62が前後移動する。
【0037】
このとき、第3カム溝36は、図8に示すように、その領域Eにおいて、第3レンズ枠62を沈胴位置から撮影位置にガイドし、領域Fでは、第3レンズ枠62が繰出位置で停止されるようにガイドする。
【0038】
フォーカスレンズ群52は、リレーレンズ群50の後段位置に配されており、第4レンズ枠76に保持されている。この第4レンズ枠76の外周部には、図7に示すように、2つのガイドブロック78、80が一体的に取り付けられている。
【0039】
2つのガイドブロック78、80は、それぞれ筒状とU字状とに形成されており、筒状に形成されたガイドブロック78は、固定筒20内に配設された第3ガイド棒82に嵌合されている。一方、U字状に形成されたガイドブロック80は、固定筒20内に配設された第2ガイド棒72に嵌合されている。
【0040】
ここで、このU字状のガイドブロック80が嵌合された第2ガイド棒72は、上述した第3レンズ枠62をガイドするガイド棒と同じものである。すなわち、第3レンズ枠62と第4レンズ枠76とは、共に1本のガイド棒を共用している。このように、ガイド棒を共用することにより、固定筒20内に有効スペースを形成することができるようになり、これにより固定筒20内にモータ等の配置が可能になる。
【0041】
一方、筒状のガイドブロック78が嵌合された第3ガイド棒82は、ガイドブロック78のみで使用する。この第3ガイド棒82は、固定筒20の軸線に沿って配設されており、その基端部はベース26の内側に固定されている。また、その先端部は、第1ガイド棒70及び第2ガイド棒72と同様に先端支持機構104に支持されている。
【0042】
以上のように、ガイドブロック64、66は、それぞれ第3ガイド棒82と第2ガイド棒72とに摺動自在に設けられ、これにより第4レンズ枠76が固定筒20内を光軸に沿って移動自在に支持される。
【0043】
ところで、レンズ装置2は、この第4レンズ枠76を光軸に沿って移動させることによりピント合わせを行うが、この第4レンズ枠76の駆動は、次のフォーカスレンズ駆動ユニット84によって行われる。
【0044】
図4〜図7に示すように、固定筒20内には、光軸に沿ってリードスクリュー86が配設されている。このリードスクリュー86は、ベース26の内側に固定されたブラケット88によって、両端部が回動自在に支持されている。また、リードスクリュー86の近傍には、リードスクリュー86に沿ってガイドロッド90が配設されており、その両端部はブラケット88に固定されている。
【0045】
ガイドロッド90には、スライド駒92が摺動自在に支持されている。このスライド駒92はナット部94を有しており、ナット部94はリードスクリュー86に螺合されている。したがって、リードスクリュー86を回転させると、スライド駒92が、そのリードスクリュー86の回転量に応じて前後移動する。
【0046】
リードスクリュー86の先端部には従動ギア96が固着されている。この従動ギア96は駆動ギア98に噛合されており、駆動ギア98はフォーカスレンズ駆動モータ100の出力軸に固着されている。フォーカスレンズ駆動モータ100はブラケット88に固定されており、このフォーカスレンズ駆動モータ100を駆動すると、駆動ギア98が回転し、この駆動ギア98の回転が従動ギア96に伝達されて、リードスクリュー86が回転する。そして、このリードスクリュー86が回転することにより、スライド駒92がガイドロッド90に沿って移動する。
【0047】
第4レンズ枠76は、このスライド駒92にスプリング102を介して連結されている。したがって、このスライド駒92を移動させることにより、第4レンズ枠76を移動させることができる。すなわち、スライド駒92を後方に移動させれば、第4レンズ枠76はスプリング102に引張されて後方に移動し、逆にスライド駒92を前方に移動させれば、第4レンズ枠76はスライド駒92に押圧されて前方に移動する。この際、第4レンズ枠76は、その後端面に突出して形成された突起部76aに当接してスライド駒92に押圧される。
【0048】
このように、第4レンズ枠76は、フォーカスレンズ駆動モータ100を駆動して、スライド駒92を前後移動させることにより、光軸に沿って前後移動する。この際、第4レンズ枠76とスライド駒92とをスプリング102で連結して第4レンズ枠76を移動させることにより、ナット部94とリードスクリュー86との間のバックラッシュを除去した状態で第4レンズ枠76を移動させることができる。これにより、正確に第4レンズ枠76を移動させることができる。
【0049】
なお、以上のように構成されたフォーカスレンズ駆動ユニット84への電源の供給、駆動信号等の送信は、図5に示すように、フォーカスレンズ駆動ユニット用フレキシブル基盤103を介して行われる。
【0050】
撮影レンズ14は、以上のように構成される。ところで、上述したようにリレーレンズ群50とフォーカスレンズ群52とは、それぞれ第1ガイド棒70、第2ガイド棒72及び第3ガイド棒82によって支持されるが、これらのガイド棒は、それぞれその先端部が先端支持機構104によって支持される。この先端支持機構104は次のように構成されている。
【0051】
図2〜図5に示すように、先端支持機構104は、主として中間枠106と押さえ環108とから構成されている。
【0052】
中間枠106は筒状に形成されており、移動筒22の内周部に嵌入されて摺動自在に支持されている。この中間枠106の基端部内周には、3つの先端支持部110、110、110が、それぞれ所定の位置、すなわち各ガイド棒の配設位置に対応した位置に形成されている。この先端支持部110は、筒状に形成されており、ガイド棒とほぼ同径の孔110aが光軸に沿って形成されている。各ガイド棒は、この孔110aにその先端を嵌入することにより、先端部が支持される。
【0053】
一方、押さえ環108は、環状に形成されており、移動筒22の基端部内周に一体的に固定されている。中間枠106は、移動筒22内を摺動自在に支持されるが、この押さえ環108によって後方への移動が規制される。
【0054】
また、この押さえ環108の内周部には一対のスプリング掛け108a、108aが突出して形成されており、中間枠106の内周部にも同様に一対のスプリング掛け106a、106aが突出して形成されている。各スプリング掛け106a、108aには、それぞれスプリング112が掛け渡されており、これにより、移動筒22内を摺動自在に支持された中間枠106が後方に付勢される。
【0055】
以上のように構成された先端支持機構104の作用は、次のとおりである。
【0056】
繰出状態において、中間枠106は、図3、図4に示すように、移動筒22の基端部に位置する。これは、スプリング112によって中間枠106が後方に付勢されるからであり、この状態において各ガイド棒は、その先端部が各先端支持部110の孔110aに嵌入されて支持される。
【0057】
移動筒22が沈胴すると、中間枠106もスプリング112に引かれて後方に移動するが、図2に示すように、中間枠106は移動筒22内を摺動自在に支持されているため、先端支持部110がガイドブロック64、78と接触すると、スプリング112の付勢力に抗して前方に退避する。これにより、中間枠106がガイドブロック64、78と接触して、移動筒22が固定筒20内に収納できなくなるのを防止できる。
【0058】
このように、基端部が固定された各ガイド棒の先端部を先端支持機構104で支持することにより、振動等の影響を受けずに安定してレンズ枠をガイドできるようになる。
【0059】
なお、中間枠106の内周部には、上述した一対のスプリング掛け108a、108aの他に図示しない一対のスプリング掛けが形成されている。このスプリング掛けには、図5に示すように、スプリング113、113の一端が掛けられる。そして、このスプリング113、113の他端は、第2レンズ枠56に形成されたスプリング掛け56a、56aに掛けられる。これにより、中間枠106と第2レンズ枠56とがスプリング113、113によって常に互いに近づく方向に付勢される。そして、このように中間枠106と第2レンズ枠56とを付勢することにより、移動筒22と第2レンズ枠56との移動に伴い生じるガタを除去することができる。すなわち、移動筒22と第2レンズ枠56とは、共にカムピンによる3点宙吊りにより支持されるが、カムピンが嵌入されたカム溝とカムピンとの間には隙間があり、これにより移動時、特に方向転換時にガタが生じる。しかし、上記のように中間枠106と第2レンズ枠56とを付勢することにより、カムピンがカム溝の内壁面を常に押圧することになり、この結果、移動に伴うガタが除去され、精度よくレンズ枠をガイドすることができる。
【0060】
次に、絞りシャッターユニット16の構成について説明する。絞りシャッターユニット16は、図2〜図4に示すように、変倍レンズ群48とリレーレンズ群50との間に配置されており、第3レンズ枠62に固定されている。この絞りシャッターユニット16は、図示しない絞りとシャッターとを備えている。絞りは絞り用モータ114に駆動されて、その開口量が調節され、また、シャッターはシャッター用モータ116に駆動されて開閉される。絞り用モータ114とシャッター用モータ116は、共に絞りシャッターユニット16に備えられており、カメラ本体の制御部から出力される駆動信号に基づいて動作される。すなわち、カメラ本体の制御部から出力される駆動信号に基づいて、所定の絞り値、シャッタースピードとなるように、絞りとシャッターとを駆動する。
【0061】
なお、この絞りシャッターユニット16への電源の供給、駆動信号等の送信は、図5に示すように、絞りシャッターユニット用フレキシブル基盤122を介して行われる。
【0062】
また、図7に示すように、第3レンズ枠62の外周部には、この絞りシャッターユニット用フレキシブル基盤122が挿通される挿通孔118が形成されており、この挿通孔118に絞りシャッターユニット用フレキシブル基盤122が挿通されることにより、第3レンズ枠62の移動時に絞りシャッターユニット用フレキシブル基盤122が固定筒20内で暴れるのを防止できる。
【0063】
次に、CCDユニット18の構成について説明する。CCDユニット18は、図2〜図4に示すように、フォーカスレンズ群52の後段に配されており、ベース26の中央部に形成された開口部120に嵌め込まれている。撮影レンズ14に入射した光は、このCCDユニット18によって画像信号に変換され、メイン基盤124を介してカメラ本体側へと出力される。
【0064】
前記のごとく構成されたレンズ装置2は、固定筒20の基端部に取り付けられたベース26をカメラ本体に固定することによりカメラ本体に取り付けられる。この際、レンズ装置2は、その先端部がカメラ本体の表面から突出することなく、ほとんどがカメラ本体内に入り込んだ状態で取り付けられる。そして、その取り付けられたカメラ本体の制御部から出力される駆動信号に基づいてモータ等の各駆動機器が駆動される。
【0065】
前記のごとく構成された本実施の形態のレンズ装置2の作用は、次のとおりである。
【0066】
図2に示すように、不使用時において、移動筒22は固定筒20内に収納された状態にある。すなわち、沈胴状態にある。
【0067】
この状態からカメラ本体が撮影スタンバイ状態にセットされると、カム筒駆動モータ38が駆動され、カム筒24が所定量回転する。これにより、図3に示すように、移動筒22が固定筒20から繰り出されて所定の繰出位置に位置する。また、この移動筒22の繰り出しとともに第2レンズ枠56と第3レンズ枠62とが、それぞれ前方に所定量移動して停止する。これにより、変倍レンズ群48が所定のワイド端位置に位置するとともに、リレーレンズ群50が所定の撮影位置に位置する。
【0068】
また、カム筒駆動モータ38の駆動とともにフォーカスレンズ駆動モータ100が駆動され、第4レンズ枠76が所定量前進して停止する。これにより、フォーカスレンズ群52が所定のフォームポジションに位置する。
【0069】
以上により、レンズ装置2は、撮影レンズ14の変倍がワイド端となった状態で撮影スタンバイ状態となる。
【0070】
ところで、上記の繰出操作時において、第3レンズ枠62と第4レンズ枠76とは、第1〜第3ガイド棒70、72、82にガイドされて前進するが、この際、各ガイド棒は、常にその両端部が支持された状態で各レンズ枠をガイドするので、各レンズ枠は安定して動作することができる。
【0071】
すなわち、各ガイド棒70、72、82は、その基端部がベース26に固定されることによって、固定筒20内の所定の位置に配設されるが、その先端部は、それぞれ中間枠106に設けられた先端支持部110の孔110aに挿入されており、これによって両端部が支持された状態で各レンズ枠をガイドすることができる。
【0072】
そして、この先端支持部110が設けられた中間枠106は、移動筒22内を移動自在に設けられており、沈胴状態では、図2に示すように、スプリング112に付勢されるとともに、ガイドブロック64、78に係止されて、ガイド棒70、72、82の中間位置に位置する。
【0073】
一方、移動筒22が繰り出されると、この中間枠106は、図3に示すように、移動筒22の基端部に設けられた押さえ環108に押圧されて移動筒22と共に前方へ移動し、各ガイド棒70、72、82の先端位置に位置する。
【0074】
このように、各ガイド棒70、72、82は、中間枠106に設けられた先端支持部110によって常に先端部が支持された状態となり、撓みや振動を発生することなく、各レンズ枠をガイドすることができる。
【0075】
なお、変倍レンズ群48がワイド端に位置したことは、次の検出機構によって検出する。
【0076】
図5に示すように、ベース26の内側には、取付板126を介してフォトリフレクタ128が取り付けられている。また、カム筒24の内周面には、所定の位置に反射板130が取り付けられている。また、固定筒20の外周面上には、フォトリフレクタ128の設置箇所に対応して開口部132が形成されている。フォトリフレクタ128は、この開口部132に反射板130が位置するとON状態となる。したがって、変倍レンズ群48がワイド端に位置したときに、反射板130が開口部132に位置するように反射板130を取り付ければ、変倍レンズ群48がワイド端に位置したことを検出できる。
【0077】
また、フォーカスレンズ群52がフォームポジションに位置したことは、次の検出機構によって検出する。
【0078】
図5に示すように、ベース26の内側には、取付板134を介してフォトインタラプタ136が取り付けられている。また、第4レンズ枠76には、図示しない被検出子が取り付けられている。この被検出子がフォトインタラプタ136の設置位置に位置すると、フォトインタラプタ136がON状態となる。したがって、フォーカスレンズ群52がフォームポジションに位置したときに、被検出子がフォトインタラプタ136の設置位置に位置するようにフォトインタラプタ136及び被検出子を取り付ければ、フォーカスレンズ群52が所定のフォームポジションに位置したことを検出できる。
【0079】
なお、上述したフォトインタラプタ45、136及びフォトリフレクタ128への電源の供給及びパルス信号の出力等は、センサ用フレキシブル基盤138を介して行われる。
【0080】
以上のようにしてレンズ装置2は撮影スタンバイ状態となるが、この撮影スタンバイ状態となったレンズ装置2に対して、カメラ本体に設けられたズームスイッチ(不図示)がテレ側に操作されると、変倍レンズ群48がテレ端方向に移動して、撮影倍率がテレ側に変更される。すなわち、カメラ本体に設けられたズームスイッチ(不図示)がテレ側に操作されると、カム筒駆動モータ38が駆動されて、カム筒24が繰り出し時と同じ方向に回転し、この結果、変倍レンズ群48がテレ端方向に移動して、撮影倍率がテレ側に変更する。図4は、撮影レンズ14の変倍がテレ端となった状態が示されており、変倍レンズ群48は、この図4に示すテレ端の位置と図3に示すワイド端の位置との間を移動して、撮影レンズ14の撮影倍率を変更する。
【0081】
この際、変倍レンズ群48を保持する第4レンズ枠76は、ガイド棒72、82にガイドされて移動するが、上述したようにガイド棒72は、両端部が支持された状態で第4レンズ枠76をガイドするため、第4レンズ枠76は常に安定して動作することができる。
【0082】
なお、この撮影レンズ14の変倍動作時において、固定レンズ群46及びリレーレンズ群50は一定位置に固定され、変倍レンズ群48のみが移動する。
【0083】
また、移動した変倍レンズ群48の位置は、カム筒24の回転量から検出することができる。すなわち、変倍レンズ群48は、カム筒24の回転量に比例して移動するので、変倍レンズ群48がワイド端に位置した状態からのカム筒24の回転量を検出すれば、変倍レンズ群48の位置を検出することができる。そして、この変倍レンズ群48の位置に基づいて撮影倍率を知ることができる。
【0084】
なお、カム筒24の回転量は、上述したようにカム筒駆動モータ38の回転量に応じてフォトインタラプタ45から出力されるパルス数に基づいて算出することができる。
【0085】
以上のようにして撮影レンズ14が所望の撮影倍率に設定されると、撮影準備が完了する。そして、この状態から撮影者がカメラ本体のシャッターボタンを押すと、被写体までの測距情報に基づいてフォーカシングがなされる。すなわち、フォーカスレンズ駆動モータ100が駆動され、フォーカスレンズ群52がフォームポジションから所定の合焦位置に移動する。そして、被写体の露出情報に基づいて絞り用モータ114とシャッター用モータ116とが駆動され、所定の絞り値、所定のシャッタースピードでシャッターが切られて撮影がなされる。撮影が終了すると、再びフォーカスレンズ駆動モータ100が駆動され、フォーカスレンズ群52が元のフォームポジションに移動する。
【0086】
一方、撮影が終了し、カメラ本体の電源が切られると、移動筒22は沈胴するが、この際、移動筒22及び各レンズ群は、次のように沈胴する。
【0087】
まず、フォーカスレンズ駆動モータ100が駆動され、第4レンズ枠76が後方に向かって移動する。このフォーカスレンズ群52が所定位置まで退避すると、続いてカム筒駆動モータ38が駆動され、移動筒22、第2レンズ枠56及び第3レンズ枠62が後方に移動する。これにより、図2に示すように、移動筒22が固定筒20内に収納されて沈胴される。
【0088】
なお、この際、移動筒22が沈胴すると、各ガイド棒70、72、82の先端を支持する中間枠106も後方に移動するが(この際、中間枠106は、スプリング112に引張されて後方に移動する。)、図2に示すように、中間枠106は移動筒22内を摺動自在に支持されているため、先端支持部110がガイドブロック64、78と接触すると、中間枠106はスプリング112の付勢力に抗して前方に退避する。このように、中間枠106はガイドブロック64、78との干渉を回避できるように構成されているので、中間枠106がガイドブロック64、78と接触して、移動筒22が固定筒20内に収納できなくなるようなことはない。
【0089】
なお、上述したように初めにフォーカスレンズ群52を所定位置まで退避させてから、残りのレンズ群を退避させるようにしているのは、各レンズ群を同時に退避させることにより、リレーレンズ群50がフォーカスレンズ群52に接触するのを防止するためである。したがって、カム筒駆動モータ38は、フォーカスレンズ群52がリレーレンズ群50に接触しない位置まで退避してから駆動されるように設定される。
【0090】
このように、本実施の形態のレンズ装置2によれば、レンズ群をガイド棒で支持するに際して、ガイド棒の両端を支持した状態で各レンズ群をガイドしているため、安定した状態でレンズ群をガイドすることができる。
【0091】
また、可動部である移動筒22にガイド棒の先端支持部を設けることにより、小型高性能化を図った結果、鏡筒内の構造が複雑になったレンズ装置であっても、内部の部材に干渉することなく、有効にガイド棒の両端を支持できる。
【0092】
さらに、ガイド棒の先端支持部を移動自在に設けることにより、沈胴動作をさせても、鏡筒内の部材に干渉することなく、ガイド棒の両端を支持できる。
【0093】
なお、本実施の形態では、中間枠106が移動筒22内を摺動自在に設けられているが、レンズ枠との干渉がない場合などには、移動筒22の内周部に一体的に固定して設けてもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、本発明を電子スチルカメラに適用した例で説明したが、これに限定されるものではなく、銀塩カメラにも適用できる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るレンズ装置によれば、レンズ装置を小型高性能化することによって鏡筒内の構造が複雑になった場合であっても、ガイド棒の両端部を支持した状態でレンズ枠をガイドできるので、レンズを安定的に動作させることができる。また、支持部を可動とすることにより、沈胴の際も鏡筒内の部材と干渉することなく、ガイド棒の両端を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子スチルカメラの外観構成を示す斜視図(レンズ繰出時)
【図2】レンズ装置の構成を示す側面断面図(沈胴状態)
【図3】レンズ装置の構成を示す側面断面図(繰出状態(ワイド端))
【図4】レンズ装置の構成を示す側面断面図(繰出状態(テレ端))
【図5】図1に示したレンズ装置のA−A断面図
【図6】図1に示したレンズ装置のB−B断面図
【図7】レンズ装置の分解斜視図
【図8】カム筒の内周面を示した展開図
【符号の説明】
1…電子スチルカメラ、2…レンズ装置、12…レンズ鏡筒、14…撮影レンズ、16…絞りシャッターユニット、18…CCDユニット、20…固定筒、22…移動筒、24…カム筒、26…ベース、28…第1カムピン、30…第1直進溝、32…第1カム溝、34…第2カム溝、36…第3カム溝、38…カム筒駆動モータ、40…ギアボックス、42…駆動ギア、44…インターナルギア、45…フォトインタラプタ、46…固定レンズ群、48…変倍レンズ群、50…リレーレンズ群、52…フォーカスレンズ群、54…第1レンズ枠、56…第2レンズ枠、58…第2カムピン、60…第2直進溝、62…第3レンズ枠、64…ガイドブロック、66…ガイドブロック、68…第3カムピン、70…第1ガイド棒、72…第2ガイド棒、74…第3直進溝、76…第4レンズ枠、78…ガイドブロック、80…ガイドブロック、82…第3ガイド棒、84…フォーカスレンズ駆動ユニット、86…リードスクリュー、88…ブラケット、90…ガイドロッド、92…スライド駒、94…ナット部、96…従動ギア、98…駆動ギア、100…フォーカスレンズ駆動モータ、102…スプリング、103…フォーカスレンズ駆動ユニット用フレキシブル基盤、104…先端支持機構、106…中間枠、108…押さえ環、110…先端支持部、112…スプリング、114…絞り用モータ、116…シャッター用モータ、118…挿通孔、120…開口部、122…絞りシャッターユニット用フレキシブル基盤、124…メイン基盤、128…フォトリフレクタ、130…反射板、132…開口部、136…フォトインタラプタ、138…センサ用フレキシブル基盤

Claims (2)

  1. 固定筒に対して移動筒が撮影光軸に沿って移動自在に設けられたレンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒内に配設され、レンズ枠を撮影光軸に沿って摺動自在に支持するガイド棒と、を備えたレンズ装置において、
    前記移動筒の内周部には、前記ガイド棒を孔に嵌入して支持する支持部が設けられ、前記ガイド棒は、一端が前記固定筒の基端部に固定されるとともに、他端が前記支持部に支持されることを特徴とするレンズ装置。
  2. 前記支持部は、前記移動筒の内周部を光軸に沿って移動自在に設けられた支持部材に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
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