JP3793619B2 - 収納具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、物品を収納する収納具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、病院の入院患者を収容する病室にはベッドの周囲にサイドキャビネットが置かれている。このサイドキャビネットには引出し可能に支持されたテーブルや複数の引出し体が設けられ、毎日服用する薬剤や生活必需品が上記テーブル上に置かれ、あるいは引出し体内に収納されて、これらのものを手近に取り出せるようにしている。
【0003】
ところで、一般に知られているサイドキャビネットにおいては、テーブルや引出し体を一方向にのみ引き出せるようにしたものであるため、テーブルや引出し体をベッド側に引き出せるようにサイドキャビネットを配置すると、下段の引出し体がベッドに隠れてそのままの状態では引き出せず、キャビネットの向きを変えて開閉する必要が生じる。
【0004】
また、テーブルや引出し体をベッドの長さ方向に引き出せるようにキャビネットを配置すると、テーブル上の載置品や引出し内の収納品の取出しにその都度寝起きする必要があり、使い勝手に問題がある。
【0005】
そのような問題点を解決するため、引出し体を直角な2方向に引き出せるようにした収納具が提案されている。図9は引出し体を2方向に引き出せるようにした収納具の一例を示す。
【0006】
上記収納具は、四本の支柱41を有する箱体40内に、その箱体40の前面および一側面で開口する引出し収納空間42を形成し、その引出し収納空間42内に収納された引出し体43の前後および両側に支柱41間に収納可能な大きさの4枚のパネル44、45、46、47を設け、前後パネル44、45と引出し体43の対向面間に引出し収納空間42の側面開口48に向く直線状のガイド機構(図示省略)を設けると共に、両側パネル46、47と引出し体43の対向面間に引出し収納空間42の正面開口49に向く直線状のガイド機構(図示省略)を設けている。
【0007】
上記収納具においては、前面パネル44を引くことにより、支柱41に対する当接によって一対の側面パネル46、47は停止状態に保持され、前面パネル44と共に引出し体43および後面パネル45が外部に向けて引き出される。
【0008】
また、側面パネル46を引くことにより、前後パネル44、45は支柱41に対する当接によって停止状態に保持され、側面パネル46と共に引出し体43および残りの側面パネル47が外部に引き出される。
【0009】
上記収納具は、引出し体43の収納状態において、引出し収納空間42の正面開口49および側面開口48が前面パネル44および側面パネル46で閉鎖されるため、体裁が良好であるという特徴を有する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記収納具においては、前後パネル44、45は互に連結されず、また、側面パネル46、47も非連結の構造であるため、例えば、引出し体43を正面開口49から外部に引き出した場合、図9(ロ) に示すように、一対の側面パネル46、47に傾むきを生じることがある。
【0011】
このとき、引出し体43は支柱41と接触する状態で引き出されるため、スムースに引き出すことができない。
【0012】
また、図9(ロ) に示す状態から引出し体43を引出し収納空間42内に押し込むと後面パネル45の端部が後側支柱41に当接して体裁の良好な収納状態を得ることができず、使い勝手が悪いという不都合がある。
【0013】
この発明の課題は、引出し体の引き出しおよび押し込みをスムースに行なうことができる使い勝手に優れた収納具を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、角形の箱体に少なくとも1つのコーナを挾む2面において開口する引出し収納空間を設け、その引出し収納空間内に、上記開口の一方から外部に引出し可能な第1スライド枠と、上記開口の他方から外部に引出し可能な第2スライド枠とを収納し、第1スライド枠は、底板と、その底板の前後に設けられた一対のパネルとから成り、前記第2スライド枠は、上記第1スライド枠のパネルが通過可能な間隔をおいて対向配置された一対のパネルと、その一対のパネルの上面両端間に渡された一対の連結バーとから成り、前記第1スライド枠の底板と引出し収納空間の下板間に、その第1スライド枠の移動を案内する直線状のガイド手段を設け、前記第2スライド枠と引出し収納空間の上板下面間に、その第2スライド枠の移動を案内する直線状のガイド手段を設け、前記第1スライド枠の一対のパネルおよび第2スライド枠の一対のパネル間に収納可能な大きさの引出し体を上記第1スライド枠の底板上に載置した構成を採用したのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図1乃至図8に基づいて説明する。
【0016】
図1乃至図5に示すように、箱体1は四隅に支柱2a、2bを有している。この箱体1の内側には引出し収納空間3と物品収納空間4とが上下に設けられている。
【0017】
引出し収納空間3は箱体1の前後面および両側面で開口している。一方、物品収納空間4は箱体1の前面で開口し、その開口に開閉自在の扉5が設けられている。
【0018】
引出し収納空間3には、第1スライド枠6と第2スライド枠7が収納されている。第1スライド枠6は底板8と、その底板8の前後に設けられた前パネル9および後パネル10とから成り、その前後のパネル9、10は、第1スライド枠6を引出し収納空間3内に完全に収めた状態において、前側一対の支柱2a、2a間、および後側一対の支柱2b、2b間に収納され、引出し収納空間3の前後の開口11a、11aがその前後のパネル9、10で閉じられるようになっている。
【0019】
一方、第2スライド枠7は、第1スライド枠6のパネル9、10が通過可能な間隔をおいて対向配置された一対のパネル12、12と、その一対のパネル12、12の上面端部間に渡された一対の連結バー13とから成る。一対のパネル112、12は、その第2スライド枠7を引出し収納空間3内に完全に納めた状態において、前後の支柱2a、2b間に収納され、引出し収納空間3の両側の開口11b、11bがその一対のパネル12、12で閉じられるようになっている。
【0020】
第1スライド枠6の底板8と引出し収納空間3における下板14の対向部間には、図4に示すように、その第1スライド枠6を引出し収納空間3の前後の開口11a、11aから外部に引き出す場合に、その第1スライド枠6の移動を案内する直線状のガイド機構15が設けられている。
【0021】
ガイド機構15は、底板8の下面に引出し収納空間3の前後の開口11a、11aに向けて長く延びる突条16を設け、その突条16を下板14の上面に設けたガイド溝17内にスライド自在に挿入している。
【0022】
ここで、突条16の高さはガイド溝17の深さより高くなり、第1スライド枠6の底板8下面が引出し収納空間3の下板14上面に対して非接触に保持され、第1スライド枠6のスライド抵抗の減少化が図られている。
【0023】
第1スライド枠6は図5及び図7に示すストッパ機構18によって外方向へのスライド量が制限される。ストッパ機構18は、底板8の下面における一側前部と他側後部にそれぞれ突起19a、19bを設け、引出し収納空間3の下板14上面には、各突起19a、19bに対向してストッパ20a、20bを設け、各ストッパ20a、20bに対する突起19a、19bの当接によって第1スライド枠6のスライド量を制限している。
【0024】
前記第2スライド枠7と引出し収納空間3における上板21間には、図3に示すように、その第2スライド枠7を引出し収納空間3の両側の開口11b、11bから外部に引き出す場合に、その第2スライド枠7の移動を案内する直線状のガイド機構22を設けている。
【0025】
ガイド機構22は、第2スライド枠7の連結バー13を引出し収納空間3の上板21下面に設けたガイド溝23にスライド自在に挿入している。
【0026】
第1スライド枠6の底板8上には上部が開口する引出し体24が載置されている。引出し体24は、第1スライド枠6の一対のパネル9、10間および第2スライド枠7の一対のパネル12、12間に収納可能な大きさとされている。
【0027】
引出し体24は、第1スライド枠6を外部に引き出すとき、その第1スライド枠6と共に移動し、また、第2スライド枠7を外部に引き出すときその第2スライド枠7と共に移動する。
【0028】
このとき、引出し体24が第1スライド枠6の一対のパネル9、10内面および第2スライド枠7の一対のパネル12内面に接触する状態であるとスライド抵抗が大きくなる。そのスライド抵抗の減少化を図るため、各パネル9、10、12、12の内面に引出し体24の移動を案内するガイド突条25を設けている。
【0029】
また、引出し体24の底板26下面に、図3に示すように、第1スライド枠6のスライド方向と直交する方向に長い一対の突条27を形成し、その突条27を第1スライド枠6の底板8上面に設けたガイド溝28にスライド自在に挿入し、その突条27の高さをガイド溝28の深さより高くして引出し体24の底板26が第1スライド枠6の底板8上面に全面で接触するのを防止している。
【0030】
上記引出し体24の底板26の下面には、図5に示すように、その一側前部と他側後部に一対の突起29a、29bが設けられ、一方、第1スライド枠6の底板8上面には、各突起29a、29bに対向してストッパ30a、30bが設られ、そのストッパ30a、30bに対する突起29a、29bの当接によって第2スライド枠7はスライド量が制限される。
【0031】
いま、第1スライド枠6を外部に向けて引くと、図6および図7に示すように、その第1スライド枠6と共に引出し体24が外部に引き出される。このとき、第2スライド枠7は、支柱2a、2bに対するパネル12、12の衝合によって第1スライド枠6と同方向に移動するのが防止される。
【0032】
ここで、第2スライド枠7の一対パネル12、12は連結バー13で連結され、その連結バー13は引出し収納空間3の上板21下面に設けたガイド溝23内に挿入されているため、第1スライド枠6の引き出し時に第2スライド枠7の一対のパネル12、12に傾むきが生じるという不都合の発生はない。
【0033】
このため、第1スライド枠6をきわめてスムースに外部に引き出すことができると共に、その第1スライド枠6を押し込む場合もスムースに押し込むことができる。
【0034】
また、第2スライド枠7を引くと、その第2スライド枠7と共に引出し体24が外部に引き出される。このとき、第1スライド枠6が支柱2a、2bに対するパネル9、10の衝合によって第2スライド枠7と同方向に移動するのが防止される。
【0035】
ここで、第1スライド枠6は底板8の前後に一対のパネル9、10を設けた構成であり、その第1スライド枠6の底板8と引出し収納空間3の下板14間にはガイド機構15が設けられているため、第2スライド枠7の引出し時に、第1スライド枠6の一対のパネル9、10が傾むくという不都合の発生はない。
【0036】
このため、第2スライド枠7を外部にスムーズに引き出すことができると共に、押し込む場合にもスムースに押し込むことができる。
【0037】
図1乃至図7に示す実施の形態においては、引出し体24を箱体1の前後および左右の4方向に引き出せるようにしたが、図8に示すように、引出し収納空間3の一対および後側を板体31の取付けにより閉塞して、引出し体24を箱体1の前側と一側の2方向にのみ引き出せるようにしてもよい。また、図では省略したが、引出し体を箱体の前後および一側の3方向、あるいは、箱体の両側と前側の3方向に引き出せるようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、この発明においては、第1スライド枠の押し引き時に、第2スライド枠が傾斜せず、第2スライド枠の押し引き時に第1スライド枠が傾斜するという不都合の発生はないため、引出し体を箱体の2方向乃至4方向にきわめてスムースに引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す斜視図
【図2】同上の横断平面図
【図3】図2のIII −III 線に沿った断面図
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図
【図5】同上の分解斜視図
【図6】同上の引出し体の引出し状態を示す一部切欠斜視図
【図7】図6の縦断側面図
【図8】同上の他の実施の形態を示す横断平面図
【図9】(イ) 、(ロ) は従来の収納具を示す横断平面図
【符号の説明】
1 箱体
3 引出し収納空間
6 第1スライド枠
7 第2スライド枠
8 底板
9 前パネル
10 後パネル
11a、11b 開口
12 パネル
13 連結バー
14 下板
15 ガイド機構
21 上板
22 ガイド機構
24 引出し体

Claims (1)

  1. 角形の箱体に少なくとも1つのコーナを挾む2面において開口する引出し収納空間を設け、その引出し収納空間内に、上記開口の一方から外部に引出し可能な第1スライド枠と、上記開口の他方から外部に引出し可能な第2スライド枠とを収納し、第1スライド枠は、底板と、その底板の前後に設けられた一対のパネルとから成り、前記第2スライド枠は、上記第1スライド枠のパネルが通過可能な間隔をおいて対向配置された一対のパネルと、その一対のパネルの上面両端間に渡された一対の連結バーとから成り、前記第1スライド枠の底板と引出し収納空間の下板間に、その第1スライド枠の移動を案内する直線状のガイド手段を設け、前記第2スライド枠と引出し収納空間の上板下面間に、その第2スライド枠の移動を案内する直線状のガイド手段を設け、前記第1スライド枠の一対のパネルおよび第2スライド枠の一対のパネル間に収納可能な大きさの引出し体を上記第1スライド枠の底板上に載置した収納具。
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