JP3792056B2 - 鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法に関し、更に詳しくは、錫を二酸化錫としてそして鉛を硫酸鉛としてそしてビスマスを酸化ビスマスとして含む鉛滓から、これら難溶性の化合物として含まれる鉛と錫とビスマスとを、湿式処理により効率的にかつ安価に分離することができる、鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法に関し、特に、ビスマスを効率的に回収することのできる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、銅の乾式製錬においては、自溶炉などで銅鉱石から製造した硫化銅からなるカワを転炉で処理して粗銅を製造するが、転炉での空気吹き込みによる粗銅製造の際にはカワに含まれた揮発性の成分がダストとなって揮発する。この転炉ダストに含まれる揮発性成分には、亜鉛、カドミウム、鉛、錫、ビスマス、砒素等がある。これらの成分の処理方法としては通常、まず多量に含まれる亜鉛、カドミウム、砒素等を硫酸で浸出して分離し、鉛と錫を主成分としてそしてビスマスをも含む浸出残渣を得る。この鉛、錫、ビスマスを含む浸出残渣は、「鉛滓(粗鉛滓)」と通称される。この鉛滓と称されるものは、亜鉛製錬等でも発生する。粗鉛滓の組成例は、鉛:40%、錫:13%、ビスマス:3.7%及び少量の砒素である。鉛滓中に含まれる鉛は硫酸鉛そして錫は二酸化錫の形となっている。ビスマスは酸化ビスマスの形態である。これらの化合物はいずれも水に難溶性で、薬液による湿式処理で分離することは困難である。このため、鉛滓を処理して鉛や錫やビスマスを再利用するには乾式処理で還元した後、鉛−錫合金をさらにソーダ処理して錫をソーダスカムとして分離するといった、多段階の乾式処理を行う必要があった。
【0003】
しかし、上記の乾式処理による鉛と錫の分離では、処理コストが高い上、鉛滓に含まれる錫の品位が高くなると、分離効率を高めるには大量のソーダを用いる必要があり、ソーダスカム中に鉛が溶解して損失する比率が大きくなるなどの問題があった。
【0004】
そこで、鉛滓湿式処理プロセスとして、図2に示すようなプロセスフローが提案された。
この提案プロセスは、
(1)鉛、錫、ビスマスを含む鉛滓を炭酸ソーダにより40℃〜100℃の範囲で炭酸化して、鉛、錫、ビスマスを含む炭酸化滓と炭酸化溶液を得る工程(炭酸化溶液は砒素除去後、炭酸化工程に循回する)、
(2)炭酸化滓を硝酸溶解し、鉛とビスマスを含む硝酸溶解液と、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣とを生成する工程、
(3)鉛とビスマスを含む硝酸溶解液を硫酸化によりビスマスを含む硫酸化溶液と鉛を含む精鉛滓を生成する工程、
(4)鉛とビスマスを含む硝酸溶解液をビスマス回収後、工程(2)の硝酸溶解工程に循回する工程、及び
(5)他方、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を塩酸溶解して錫を含む塩酸残渣を錫原料としてそしてビスマスを含む塩酸溶解液からビスマス原料を回収する工程
を包含するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のプロセスでは、硝酸溶解工程で、ビスマスが溶解液と残渣との両方に分配される。例えば、硝酸溶解残渣のビスマス分配率は64.9%であり、従って35.1%が溶解液に溶解されることになる。こうしてビスマスは、2つの別々の系統で処理され、回収されることになる。これは非常に面倒であり、処理の効率を低下させる。
本発明の課題は、上記の鉛滓を対象に、鉛滓中の鉛、錫、ビスマスを湿式処理により回収するに当り、ビスマスを1系統で回収することができる、より効率な鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法を確立することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、硝酸溶解工程で、ビスマスが溶解液と溶解残渣との両方に分配されることが問題の根源であり、溶解残渣におけるビスマス分配率を最大限に高めることを試みた。その結果、炭酸化滓を硝酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加することにより、溶解残渣におけるビスマス分配率をほぼ100%近くまで高めることができるとの知見を得た。
【0007】
この知見に基づいて、本発明は、鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法であって、
(1)鉛、錫、ビスマスを含む鉛滓を40℃〜100℃の範囲で炭酸化して、鉛、錫、ビスマスを含む炭酸化滓を得る工程、
(2)該炭酸化滓を酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加し、鉛を含む溶解液と、錫とビスマスとを含む溶解残渣を生成する工程、
(3)鉛を含む溶解液から鉛を含む精鉛滓を回収する工程、
(4)他方、錫とビスマスとを含む溶解残渣を酸溶解して錫を含む溶解残渣及びビスマスを含む溶解液を生成し、錫を含む溶解残渣を錫原料とする工程、及び
(5)ビスマスを含む溶解液からビスマス原料を回収する工程
を包含することを特徴とする鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法を提供するものである。
実際上、鉛滓を炭酸化して得られた炭酸化溶液を砒素除去後、炭酸化工程に循回し、また鉛を含む溶解液から鉛を含む精鉛滓を回収した後の溶液を工程(2)の酸溶解工程に再循回する。
【0008】
より具体的には、本発明は、鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法であって、
(1)鉛、錫、ビスマスを含む鉛滓を炭酸塩を含む水溶液により40℃〜100℃の範囲で炭酸化して、鉛、錫、ビスマスを含む炭酸化滓を得る工程、
(2)該炭酸化滓を硝酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加し、鉛を含む硝酸溶解液と、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を生成する工程、
(3)鉛を含む硝酸溶解液を硫酸化して鉛を含む精鉛滓を回収する工程、
(4)他方、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を塩酸溶解して錫を含む塩酸溶解残渣及びビスマスを含む塩酸溶解液を生成し、錫を含む塩酸溶解残渣を錫原料とする工程、及び
(5)ビスマスを含む塩酸溶解液からビスマス原料を回収する工程
を包含することを特徴とする鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従う鉛滓湿式処理プロセスのフローシートである。図1は、先に説明した図2とは、次の点でのみ異なる:
1.炭酸化滓を硝酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加し、鉛を含む硝酸溶解液と、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を生成すること、及び
2.硫酸化溶液からのビスマス回収を実施しないこと。
炭酸化滓を硝酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加することにより、溶解残渣におけるビスマス分配率をほぼ100%近くまで高めることができ、ビスマスを硝酸溶解残渣からの1系統で回収することができ、より効率な鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法を確立することができたものである。
【0010】
上述した通り、鉛滓は、転炉ダストに含まれる亜鉛、カドミウム、砒素等を硫酸で浸出して分離した後の浸出残渣であり、鉛を硫酸鉛そして錫を二酸化錫そしてビスマスを酸化ビスマスの形で含むものである。
【0011】
硫酸鉛は、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩と水溶液中で反応して、鉛白(塩基性炭酸鉛、化学式:2PbCO 3 ・Pb(OH)2)に代表される鉛炭酸塩を生じることが知られている。その反応式の一例を示す。
【化1】
3PbSO4+3Na2CO3+H2O→
2PbCO3・Pb(OH)2+CO2+3Na2SO4
炭酸塩を硫酸鉛に作用させて鉛炭酸塩を生成する反応条件においては、二酸化錫や酸化ビスマスは全く化学的な変化を受けない。このため、硫酸鉛と二酸化錫の混合物からなる鉛滓に炭酸塩を作用させると、硫酸鉛のみが鉛炭酸塩に変化し、二酸化錫や酸化ビスマスはそのままの形で残る。鉛炭酸塩は、化学変化する前の硫酸鉛や、共存する二酸化錫や酸化ビスマスと比べて化学反応性に富み、酸などの薬品で容易に鉛成分を浸出することが可能である。この事実を応用し、硫酸鉛の形態で含まれる鉛を浸出の容易な鉛炭酸塩に変えた後に再度浸出する。
鉛滓を処理して、成分の硫酸鉛を鉛炭酸塩に変化させるための試薬として用いる炭酸塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属またはアンモニウムの炭酸塩を用いることができる。これらは水溶液としても、或いは水に混合したスラリー状態としても用いることができる。ただし、反応速度や、反応後に生じた硫酸塩を混合物から容易に溶解して除くことができることから、アルカリ金属やアンモニウムの炭酸塩の水溶液を用いることが好ましい。
以上のことから、作用させる試薬としてはアルカリ金属の炭酸塩、その中でも工業的には安価な炭酸ナトリウムが最も適している。
【0012】
炭酸ナトリウムを鉛滓と反応させる条件としては、量、濃度、温度が重要である。鉛滓中の硫酸鉛に対する炭酸ナトリウムの使用量が多いほど硫酸鉛の鉛炭酸塩への転化率が高まる。このため、一回の処理で硫酸鉛の炭酸塩化率を高めるには、炭酸塩を硫酸鉛に対して基本的には過剰量を用いる必要がある。炭酸ナトリウムと反応する鉛滓中の硫酸鉛との比率がモル比で、Na2CO3/PbSO4=1.5あれば、鉛炭酸塩への転化はほぼ完全に進行する。
一方、炭酸ナトリウムの使用量が硫酸鉛とのモル比で1未満まで少なくなると、鉛炭酸塩への転化率が極端に低下するため、実用性がなくなる。
以上のことから、鉛滓中の鉛を鉛炭酸塩に変化させるために加える炭酸塩中の炭酸根と、反応する鉛滓中の硫酸鉛との比率がモル比で、CO3根/PbSO4=1〜3の範囲であることが好ましい。
【0013】
炭酸ナトリウム水溶液の濃度が高いほど反応速度が速くなるので、炭酸ナトリウムの濃度は極力高いことが望ましい。基本的には、前述の比率で炭酸ナトリウムと鉛滓を混合した時、攪拌混合可能なスラリー濃度で処理できる範囲であればよいが、飽和溶解度付近、約300g/l程度が好ましい。
炭酸化の反応は、室温でも進行するが、反応温度が高いほど反応速度が速くなるので、温度は高いことが望ましく、40℃〜100℃の範囲で処理する。
【0014】
以上により硫酸鉛を鉛炭酸塩に変えた後、鉛、錫及びビスマスを含有する炭酸化残渣(炭酸化滓)を濾別洗浄する。鉛滓を炭酸化して得られた炭酸化溶液は砒素除去後、炭酸化工程に循回される。
【0015】
次に、炭酸塩による処理後の炭酸化滓に含まれる鉛炭酸塩を試薬で浸出して、鉛を溶解する処理を行う。浸出に用いる試薬としては、二酸化錫及び酸化ビスマスを溶かさずかつ鉛と可溶性の塩を形成する酸類が使用可能であるが、実用的には、硝酸、ケイフッ酸(ヘキサフルオロ珪素酸)、酢酸、塩酸、あるいはフッ化硼素酸(テトラフルオロ硼酸)が利用できる。また、これらの中でも、臭気、鉛塩の溶解度、浸出液からの鉛の分離回収の容易さの点で、実用的には硝酸またはケイフッ酸が好ましく、経済的にさらに好ましくは、硝酸が最も適している。硝酸およびケイフッ酸は次の反応式の通り鉛炭酸塩と容易に反応し、また硝酸塩やケイフッ酸鉛の溶解度は極めて高いために、炭酸化後の残渣に含まれる炭酸塩に対して小過剰の量を用いるだけでも十分に高い浸出率で鉛を溶解することができる。
【化2】
2PbCO3・Pb(OH)2+6HNO3→3Pb(NO3)2+2CO2+4H2O
2PbCO3・Pb(OH)2+3H2SiF6→3PbSiF6+2CO2+4H2O
【0016】
本発明に従えば、硝酸溶解工程において、炭酸化滓を硝酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加し、上述した鉛を含む硝酸溶解液と、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を生成する。こうして形成された残渣には、ビスマスがほぼ100%近くまでの分配率で分配される。かくして、鉛を97%前後溶解した硝酸溶解液と、錫及びビスマスをほぼ100%分配した硝酸溶解残渣とが生成され、分離される。
【0017】
硝酸やケイフッ酸を浸出に用いた場合、鉛を溶解した浸出液に鉛と難溶性の化合物を形成する試薬を加えて鉛を澱物として分離できる。これは精鉛滓と呼ばれる。このために加える試薬としては、硫酸、クロム酸、あるいは硫化水素あるいはこれらの塩などが利用可能であるが、価格の点では硫酸または硫酸塩が好ましい。さらに好ましくは、硫酸そのものが最も適している。硫酸を使用する場合の反応式を以下に示す。
この場合、浸出液に溶解した鉛の量に対し、やや少なめに硫酸を添加すれば、鉛イオンと結合していた硝酸イオンやケイフッ酸イオンは遊離酸の形に戻るため、沈殿した硫酸鉛を濾別した後の濾液は再び鉛炭酸塩の浸出に繰り返して利用できる。
【化3】
Pb(NO3)2+H2SO4→PbSO4+2HNO3
PbSiF6+H2SO4→PbSO4+H2SiF6
【0018】
さて、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣は、酸、代表的に塩酸溶解して錫を含む塩酸残渣を錫原料としてそしてビスマスを含む塩酸溶解液からビスマス原料をそれぞれ回収する。
こうして、ビスマスを1系統で回収することができ、より効率的な鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法を確立することができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の効果を実施例および比較例により示す。
(実施例)
Pb:40wt%、Sn:13wt%及びBi:3.7wt%を含有する組成の転炉ダスト浸出後の粗鉛滓を炭酸ナトリウム水溶液を加えて、60℃で攪拌して、94.4gの炭酸化滓を得た。この炭酸化滓の品位、量及び分配率(%)を図3の中央上の表に示す。これに硝酸水溶液(5%)0.8Lを加えて硝酸溶解処理に供した。更に、炭酸化滓を加えて終点pHが2.5となるようにした。硝酸溶解における産出物合計分配率及び溶解残渣分配率を左側上の表に示す。
硝酸溶解液及び硝酸溶解残渣の各成分の濃度、量及び分配率を下側右2つの表に示す。
注目すべきは、上側左の溶解残渣分配率の表からわかるように、Pbが3.2%そしてSnが100.0%であることに加えて、Biが99.9%と、実に100%近くまで溶解残渣に分配されていることである。
洗浄液(0.30L)の濃度、量及び分配率を下側左の表に併せて示した。
【0020】
この後、図1のフローに従って硝酸溶解液を硫酸化することにより精鉛滓を回収すると共に、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を塩酸溶解して錫を含む塩酸溶解残渣及びビスマスを含む塩酸溶解液を生成し、錫を含む塩酸溶解残渣を錫原料とし、そしてビスマスを含む塩酸溶解液からビスマス原料を回収した。硝酸溶解残渣を塩酸溶解した試験結果を図4に示しておく。
【0021】
(比較例)
Pb:40wt%、Sn:13wt%及びBi:3.7wt%を含有する組成の転炉ダスト浸出後の粗鉛滓を炭酸ナトリウム水溶液を加えて、80℃で攪拌して、333.3gの炭酸化滓を得た。この炭酸化滓の品位、量及び分配率(%)を図5の中央上の表に示す。これに2.5Lの硝酸溶液(2M/L)を加えて、2時間処理した。残留硝酸濃度は50g/Lであった。
硝酸溶解液及び硝酸溶解残渣の各成分の濃度、量及び分配率を下側右2つの表に示す。
洗浄液(0.30L)の濃度、量及び分配率を下側左の表に併せて示した。
上側左の溶解残渣分配率の表からわかるように、Pbが2.5%そしてSnが100.0%ではあるが、Biが64.9%であり、残りの35.1%が硝酸に溶解した。
従って、図2に示した2系統でBi回収を行わざるを得なかった。
【0022】
【発明の効果】
以上に述べたように、鉛滓中の鉛、錫、ビスマスを湿式処理により回収するに当り、炭酸化滓を硝酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加することにより、溶解残渣におけるビスマス分配率をほぼ100%近くまで高めることができ、ビスマスを1系統で回収することができるので、より効率的な鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法を確立することに成功した。かくして、本発明は、鉛滓の処理のために使われた従来技術に比べて、設備の費用でも処理の変動費においても、より安価に鉛、錫、ビスマスを再利用可能な形で分離することのできる処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における鉛滓湿式処理プロセスフロー概要である。
【図2】 先に提唱された鉛滓湿式処理プロセスフロー概要である。
【図3】 実施例における炭酸化滓の硝酸溶解における処理の物量バランスである。
【図4】 実施例における硝酸溶解残渣の塩酸溶解試験における処理の物量バランスである。
【図5】 比較例における炭酸化滓の硝酸溶解における処理の物量バランスである。
Claims (4)
- 鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法であって、
(1)鉛、錫、ビスマスを含む鉛滓を40℃〜100℃の範囲で炭酸化して、鉛、錫、ビスマスを含む炭酸化滓を得る工程、
(2)該炭酸化滓を酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加し、鉛を含む溶解液と、錫とビスマスとを含む溶解残渣を生成する工程、
(3)鉛を含む溶解液から鉛を含む精鉛滓を回収する工程、
(4)他方、錫とビスマスとを含む溶解残渣を酸溶解して錫を含む溶解残渣及びビスマスを含む溶解液を生成し、錫を含む溶解残渣を錫原料とする工程、及び
(5)ビスマスを含む溶解液からビスマス原料を回収する工程
を包含することを特徴とする鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法。 - 鉛滓を炭酸化して得られた炭酸化溶液を砒素除去後、炭酸化工程に循回する請求項1の鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法。
- 鉛を含む溶解液から鉛を含む精鉛滓を回収した後の溶液を工程(2)の酸溶解工程に再循回する請求項1の鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法。
- 鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法であって、
(1)鉛、錫、ビスマスを含む鉛滓を炭酸塩を含む水溶液により40℃〜100℃の範囲で炭酸化して、鉛、錫、ビスマスを含む炭酸化滓を得る工程、
(2)該炭酸化滓を硝酸溶解し、その際前記炭酸化滓を終点pHが1.5〜2.5になるように追加添加し、鉛を含む硝酸溶解液と、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を生成する工程、
(3)鉛を含む硝酸溶解液を硫酸化して鉛を含む精鉛滓を回収する工程、
(4)他方、錫とビスマスとを含む硝酸溶解残渣を塩酸溶解して錫を含む塩酸溶解残渣及びビスマスを含む塩酸溶解液を生成し、錫を含む塩酸溶解残渣を錫原料とする工程、及び
(5)ビスマスを含む塩酸溶解液からビスマス原料を回収する工程
を包含することを特徴とする鉛滓からの鉛、錫、ビスマスの分離方法。
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