JP3792023B2 - 自動枝打機の過負荷防止装置 - Google Patents

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金一 藤原
敏彦 山根
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、植林等した木の不必要な枝を切り払う自動枝打機の過負荷防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フレームに、樹幹に当接して回転する車輪と、樹幹から突出する枝を切断するチェンソーと、駆動原であるエンジンとを取り付け、エンジンの動力で車輪を駆動して樹幹を上昇し、チェンソーを駆動して途中の枝を切断する自動枝打機は知られている(例えば、実開昭62−086866号等)。ところが、この枝打機では、作業中(枝打ち中)にチェンソーが何らかの拍子で枝に強く食い込んで止まり、枝打機自体も、上にも下にも動かない状態となることがある(これを枝噛みという)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
枝打機が枝噛みに遭遇すると、エンジンには過負荷がかかり、エンストしてしまう。自動枝打機が上昇途中でエンストしてしまうと、その引き下ろしが大変厄介である。このため、過負荷時には、エンジンの出力軸に組み込んである遠心クラッチが滑ることでエンストの事態を避けるようにしている。しかし、この状態は長くは続かないし、それが過ぎると、遠心クラッチは破損する。
【0004】
この事態を避けようとすれば、作業者がエンジンの回転数を下げたり、車輪への動力系を遮断したりすることであるが、そのためには、作業者は常に作業の状態を監視していなければならず、大変な労力負担を強いられる。
そこで、本発明は、枝噛み等に伴う過負荷が生じたときには、エンジンの回転数を遠心クラッチが作動しない範囲の低回転数に自動的に下げ、上記事態を回避するようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、フレームに、樹幹に当接して回転する車輪と、樹幹から突出する枝を切断するチェンソーと、エンジンとを取り付け、エンジンの動力で車輪を駆動して樹幹を上昇し、チェンソーを駆動して途中の枝を切断する自動枝打機であり、エンジンの回転数を検出し、この回転数が一定以下になる回転数低下を所定時間続けると、エンジンの回転数を所定の低回転数に下げる自動枝打機の過負荷防止装置において、所定の低回転数に下げるにつき、自動枝打機が駆動輪を正転させての上昇中のみであり、且つ、エンジンが所定の高回転数で回転している作業時とこの回転数よりも低い回転数で回転している非作業時とでは、回転数低下の持続時間を作業時が長く、非作業時が短く設定してあることを特徴とする自動枝打機の過負荷防止装置を提供する。
【0006】
枝打機に枝噛み等の過負荷状態が生ずると、当然にエンジンの回転数は低下する。従って、その回転数低下と持続時間を検出することでこの異常事態を判別できる。異常事態と判断したなら、エンジン回転数を下げる等の措置をとれば、クラッチの破損やエンストを回避できる。これにおいて、回転数低下と持続時間を作業時と非作業時とで区別することにより、実情に即したものとなる
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図3は枝打機の側面図、図4は平面図であるが、この枝打機は、樹幹10を取り囲む形態で設けられたフレーム12に内燃機関型のエンジン14を取り付け、エンジン14の動力をミッション16を介して樹幹10に当接するように設けられた車輪18と、樹幹10に平行に沿うよう設けられたチェンソー20に伝えるものである。
【0008】
この場合、フレーム12は、主フレーム12aと従フレーム12bとからなり、エンジン14やミッション16及びチェンソー20は主フレーム12aに取り付けられている。車輪18は、樹幹10に対して斜めに向けられた上下二段の強制駆動される駆動輪18aと樹幹10を転動するのみの遊動輪18bとに分けられており、駆動輪18aは主フレーム12aに、遊動輪18bは従フレーム12bに取り付けられている。従フレーム12bは、主フレーム12aに対して回動できるようになっており、開いて樹幹10を中に取り込み、閉じて樹幹10を取り囲む。
【0009】
図5は動力系統図であるが、エンジン14の動力は遠心クラッチ22を介してミッション16に入力され、駆動輪18aを駆動する駆動軸24とチェンソー20を駆動する伝動軸26とに振り分けられる。駆動輪18aは正逆転する必要があるから、駆動軸24には正逆切換機構28が挿設されている。本例の正逆切換機構28は、駆動軸24に正逆に回転して遊嵌されている二枚の輪体30、32の間に駆動軸24に固嵌してスライドするスライダ34を設け、このスライダ34をどちらかの輪体30、32に係合することで正逆回転を得るものである。
【0010】
更に、本例では、スライダ34を遠隔操作でスライドできるようにしている。枝打機は、作業者から離れて樹幹10に対して昇降するものであるため、マニュアル操作では操作し難いからである。具体的には、サーボモータ36を用意し、その出力軸にスライダ34に係合する回動アーム38を取り付け、回動アーム38の回動でスライダ34をスライドさせるようにしている。そして、このサーボモータ36をラジコン電波で制御できるようにしている。これにより、送信器(図示省略)から所定の電波を送れば、駆動輪18aは正転又は逆転する。
【0011】
マニュアル操作で一々操作でき難いのはエンジン14の回転数調整も同様である。そこで、これも遠隔操作できるようにしている。図6はその例の説明図であるが、ラジコン電波で制御できるサーボモータ40を用い、これに回動アーム42を取り付けるとともに、アクセルレバー44から引っ張ったアクセルワイヤ46をスプリング48を介して連結しておくのである。これにより、送信器から所定の電波を送れば、アクセルレバー44を動かしてエンジン14の回転数を調整できる。
【0012】
以上により、エンジン14を作動させて駆動輪18aを駆動すると、枝打機は、駆動輪18aの向きに沿って樹幹10の周囲を螺旋形に回りながら上昇する。従って、この間、チェンソー20を駆動すれば、途中に存在する枝を切断する。そして、枝打機が予め設定された高さを上昇し終わると、ミッション16の正逆切換機構28が切り換わり、枝打機は下降する。尚、本例における正逆切換機構28は、設定された高さまで上昇すると自動的に切り換わるようになっているが、その詳細はここでは省略する。
【0013】
ところで、この枝打ち中、チェンソー20が枝噛みすると、エンジン14の出力軸に組み込まれた遠心クラッチ22が滑って枝打機はその場で止まり、エンジン14は過負荷の状態のままで作動し続ける。そして、この状態が長時間続けば、クラッチ22は破損してエンストすることは前述した。このため、本発明では、これを防止するために、次のような手段をとる。
【0014】
まず、エンジン14の回転数を検出して電気的信号に変換する回転数検出手段50を設ける。この回転数検出手段50は新設してもよいが、この種の枝打機は、電源として用いる蓄電池に充電する発電機を備えているのが通常であるから、そのチャージコイルを用いれば、ソフトのみの対応で対処できる。
【0015】
図1はその場合のブロック図であるが、チャージコイルにはエンジン14の回転数に対応したパルスが発生しているから、その間隔の逆数をとって回転数を計算し(必要ならその前に−を+に変換する波形整形する)、これを過負荷判別手段52に入力する。過負荷判別手段52には予め設定した敷居値が記憶されているから、入力された回転数が敷居値を超えており、且つ、それが所定時間持続することを条件に、この旨をサーボモータ駆動手段54に送る。
【0016】
サーボモータ駆動手段54がこの信号を受けると、その信号をサーボモータ40に送り、アクセルレバー44を操作して所定の低回転数に低下させる。尚、この低回転数としては、遠心クラッチ22が作動しないアイドル回転数(安全回転数という)程度で十分である。
【0017】
このようなエンジン14の回転数の安全回転数への低下は、枝噛みの可能性がある上昇中のみ行えば十分である。そこで、この枝打機が上昇しているときのみ上記の措置をとるようにしているが、更に、このとき、枝打機が作業しているかしていないかで、作動している回転数も異なる筈である。
【0018】
具体的には、作業しているとき(枝打ちしている)ときは高い回転数で回転させられており、作業していないとき(単に上昇走行しているとき)はそれよりも低い回転数で回転させられている。従って、上記の措置をとる条件となる低下回転数や持続時間の判別には異なるものが要求される。
【0019】
図2はこの処理を行う過負荷判別手段52のフローチャートであるが、作業中であるか、単に走行中であるかを判別し、それぞれに応じて危険と判断する低下回転数の設定値(敷居値)を変えてある。低下回転数が設定した範囲内であれば、そこからそれぞれ別の時間を設定したタイマーをスタートさせ、タイマーがタイムアップすると、サーボモータ駆動手段54を作動させて安全回転数に落とすようにしている。尚、安全回転数に落とした後は、再度の受信を待つ。
【0020】
この場合の低下回転数や所定時間の具体例を挙げるとすれば、作業中の場合は、5500rpm、10sec程度、走行中の場合は、3800rpm、3sec程度である。
【0021】
【発明の効果】
以上、本発明は、枝打機が枝噛み等して過負荷がかかると、所定の回転数で所定の時間持続することを条件にエンジンの回転数を安全回転数まで落とすものであるから、クラッチの破損及びそれに基づく上昇途中のエンストといった事態を防ぐことができる。そして、エンジン回転数の検出を発電機に備えられたチャージコイルで行えば、ソフトのみの対応でできることになり、低コストでできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例を示す過負荷判別手段の処理のフローチャートである。
【図2】 本発明の一例を示す過負荷防止装置のブロック図である。
【図3】 本発明の一例を示す自動枝打機の正面図である。
【図4】 本発明の一例を示す自動枝打機の平面図である。
【図5】 本発明の一例を示す駆動系の説明図である。
【図6】 本発明の一例を示すエンジン回転数の遠隔制御の説明図である。
【符号の説明】
10 樹幹
12 フレーム
14 エンジン
18 車輪
18a駆動輪
20 チェンソー
22 遠心クラッチ
40 サーボモータ
44 アクセルレバー

Claims (1)

  1. フレームに、樹幹に当接して回転する車輪と、樹幹から突出する枝を切断するチェンソーと、エンジンとを取り付け、エンジンの動力で車輪を駆動して樹幹を上昇し、チェンソーを駆動して途中の枝を切断する自動枝打機であり、エンジンの回転数を検出し、この回転数が一定以下になる回転数低下を所定時間続けると、エンジンの回転数を所定の低回転数に下げる自動枝打機の過負荷防止装置において、所定の低回転数に下げるにつき、自動枝打機が駆動輪を正転させての上昇中のみであり、且つ、エンジンが所定の高回転数で回転している作業時とこの回転数よりも低い回転数で回転している非作業時とでは、回転数低下の持続時間を作業時が長く、非作業時が短く設定してあることを特徴とする自動枝打機の過負荷防止装置。
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