JP3791611B2 - セキュリティシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラにより撮影された画像を用いて、扉の開閉、扉の施錠、人の出入り、照明の点灯・消灯などを検出するセキュリティシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、部屋ごとに扉の開閉、扉の施錠、人の出入り、照明の点灯・消灯などを監視するセキュリティシステムが実用化されている。従来のセキュリティシステムでは、各扉や照明スイッチにセンサを設けることにより扉の開閉、扉の施錠、照明の点灯・消灯などを検出している。また、人の出入りについては、カメラの前を人が通過すると画面が暗くなる現象を利用し、カメラにより撮影された画像の輝度変化に基づいて検出している。
【0003】
なお、カメラにより撮影された画像を用いたセキュリティシステムとしては、例えば、特許文献1に示すように、遊技場に設置された遊技機に対する不正行為を監視するために、カメラにより撮影された画像のうち特定の領域の画像の変化を検出する監視装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001ー218191号公報 (請求項3参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のセキュリティシステムでは、各扉や照明スイッチなどに個別にセンサを設けているため、各センサと保安室を接続する配線が複雑であり、センサの設置コストがかさむ。また、カメラにより撮影された画像には様々な情報が含まれているが、単に人の出入りを検出するために使用されるのみであり、画像データを有効に利用できていなかった。さらに、監視すべき領域の位置、大きさ、感度などを任意に設定できなかったので、照明の点灯又は消灯による明るさの変化や、猫などの小動物が通過した場合などにも反応してしまい、誤動作が多いという問題を有していた。
【0006】
一方、上記特許文献1に示された監視装置では、夜間などの営業時間外に特定の領域の画像が変化すれば、遊技機に不正な細工が施された可能性があることを推測できるにとどまっており、具体的にどのような動作が行われたのかを検出することができない。また、上記従来のセキュリティシステムと同様に、照明の点灯・消灯や小動物の通過などにも反応してしまい、誤動作が多いという問題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものであり、扉や照明スイッチなどに個別にセンサを設けることなく、カメラにより撮影された画像を用いて、扉の開閉、扉の施錠、人の出入り、照明の点灯・消灯などを検出すると共に、監視すべき領域の位置、大きさ、感度などを任意に設定でき、かつ誤動作の発生を低減したセキュリティシステムを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、カメラにより撮影された1つの画像の変化から複数の所定動作を検出するセキュリティシステムであって、
前記カメラを駆動して基準画像データ及び所定周期で前記基準画像データと比較される現在画像データを取り込む画像データ取り込み部と、
前記基準画像データを用いてモニタ画面に表示された1つの画像上に、任意の位置及び任意の大きさの領域を任意の数だけ、重複可能に設定するための領域設定部と、
前記領域設定部により設定された各領域について、それぞれ各領域に対応する所定動作を検出するための感度を設定するための感度設定部と、
前記感度設定部により設定された感度を記憶する感度記憶部と、
前記画像データ取り込み部により取り込まれた基準画像データ及び現在画像データから前記領域設定部により設定された各領域に対応する基準データ及び現在データを抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部により抽出された各領域に対応する基準データを記憶する基準データ記憶部と、
前記領域設定部により設定された各領域について順に、前記データ抽出部により抽出された現在データと前記基準データ記憶部に記憶されている基準データとを比較するデータ比較部と、
前記データ比較部による現在データの基準データに対するデータ変化量が、前記感度設定部により設定された各領域ごとの感度に対応する所定変化量を超えているか否かを判定し、前記データ変化量が前記所定変化量を超えている場合に前記各領域に対応する所定動作が行われたと判定し、前記所定動作が行われたことを示す所定の信号及び前記所定動作が行われた時間データを出力する動作判定部と、
前記動作判定部により出力される所定の信号及び時間データを記憶する動作・時刻記憶部と、
前記所定動作が警報を必要とする場合に、前記所定の信号に応じて警報を出力する警報出力部を備え、
前記データ比較部におけるデータ変化量として、輝度が一定値以上に変化した画素数が用いられ、
前記感度設定部において、各領域に対応する全画素数に対するデータが変化した画素数の割合が感度として設定され、
前記データ比較部において、データの変化量に閾値が設定され、輝度がある一定以上に変化した場合にのみデータが変化したものと判定され、
各所定動作を検出するための個別のセンサ及びその配線を不要にしたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、監視すべき領域の位置、大きさ、数及び感度を任意に設定することができるので、カメラにより撮影された1つの画像から扉の開閉、扉の施錠、人の出入り、照明の点灯・消灯などの複数の所定動作が行われたか否かを検出することができ、各所定動作を検出するための個別のセンサ及びその配線が不要になる。その結果、セキュリティシステムの設置コストを低減することができる。さらに、検出対象となる所定動作に応じて感度を任意に設定できるので、誤動作の発生を低減することができる。その結果、誤動作による警備員の出動回数が低減されるので、セキュリティシステムの維持コストを低減することができる。さらに、所定動作が行われたと判定された場合に、その所定動作及び動作が行われた時刻が記録されるので、後日その記録を様々な用途に利用することも可能である。さらに、所定動作が警報を必要とするか否かを判断するので、所定動作が警報を必要とする場合にのみ警報が出力され、警報を必要とする所定動作と警報を必要としない所定動作を同じセキュリティシステムで監視することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係るセキュリティシステムの一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態におけるセキュリティシステムのハードウエア構成を図1に示す。CCDなどの撮像素子を用いた監視カメラ(以下、単に「カメラ」とする)1は、例えば、ある部屋の扉2付近を撮影するように配置されている。カメラ1の出力は、保安室等に設置されている画像処理装置3に入力され、カメラ1により撮影された画像がモニタ装置4の画面上に表示される。画像処理装置3は、例えばパーソナルコンピュータを利用したものであり、キーボードやマウスなどの入力装置5が接続されている。なお、図1では、1台のカメラ1と1台のモニタ装置4しか描いていないが、カメラ1は必要に応じて建物の随所に設けられている。また、1台のカメラ1に1台のモニタ装置4を割り当ててもよいし、複数のカメラ1に1台のモニタ装置4を割り当て、一定時間ごとにモニタ装置4に表示される画像を切り替えるようにしてもよい。
【0019】
次に、本実施の形態のセキュリティシステムのブロック構成を図2に示す。画像処理装置3は、カメラ1を駆動し、カメラ1から出力される画像データを取り込むための画像データ取り込み部31、監視すべき領域を設定するための領域設定部32、設定した領域の感度を設定するための感度設定部33、設定した感度を記憶するための感度記憶部41、取り込んだ画像データに所定の画像処理を施すための画像処理部34、取り込んだ画像データから設定した領域に応じたデータを抽出するためのデータ抽出部35、動作判定の基準となる基準データを記憶するための基準データ記憶部42、動作判定の対象となる現在の画像のデータと基準データとを比較するためのデータ比較部36、データ比較部36による比較結果に基づいて所定の動作が行われたか否かを判定するための動作判定部37、所定の動作が行われたと判定されたときに、その動作の内容及び動作時刻などを記憶するための動作・時刻記憶部43及び所定の動作が警報を必要とする場合に警報を発生するための警報出力部40などで構成されている。
【0020】
画像データ取り込み部31、領域設定部32、感度設定部33、画像処理部34、データ抽出部35、データ比較部36、動作判定部37は、所定演算処理プログラムを記憶したROMやハードディスクなどの記憶媒体、その演算処理プログラムを実行するCPU、読み込んだ画像データを一時的に記憶するためのRAMなどで構成されている。また、感度記憶部41、基準データ記憶部42及び動作・時刻記憶部43は、ハードディスクなどの記憶媒体で構成されている。
【0021】
次に、上記図2に示すブロック構成及び図3に示すフローチャートを参照しつつ、本実施の形態におけるセキュリティシステムの動作について説明する。
【0022】
初期設定時においては、画像データ取り込み部31は、動作判定の基準となる基準画像データ、例えば図1に示すような扉2が閉じられ照明が点灯している画像の画像データを取り込む(#1)。なお、画像データ取り込み部31によって取り込まれた画像データは、一時的にRAMなどに一時的に記憶される。次に、画像処理部34は、取り込んだ画像データを用いてカメラ1により撮影された画像6をモニタ装置4の画面上に表示する(#2)。オペレータは、例えばマウスなどの入力装置5を操作して、モニタ装置4の画面上で任意の位置における任意の大きさの矩形の領域7、8・・・を設定する(#3)。
【0023】
領域7、8・・・の設定方法としては、入力装置5を操作してカーソルを画面上の所望する位置に移動させて、例えば領域7、8・・・の左上の始点を特定する。そして、入力装置5の所定のボタン(例えばマウスの右ボタンなど)をクリックしたままカーソルを移動させることにより、領域7、8・・・の大きさを設定する。画像処理部34は、入力装置5からの信号に応じて、領域7、8・・・の設定動作をモニタ装置4の画面上に表示する。
【0024】
入力装置5の所定のボタンを操作して設定した領域7、8・・・を確定すると、データ抽出部35は、取り込んだ画像データの中から指定された領域7、8・・・に対応する基準データを抽出し、基準データ記憶部42に記憶させる(#4)。
【0025】
領域7、8・・・に対応する基準データの抽出及び記憶した後、入力装置5を操作して、設定された各領域7、8・・・ごとに、動作検出の感度を任意に設定する(#5)。感度設定は、キーボードのテンキーなどを操作することにより行い、設定された感度は感度記憶部41に記憶される。
【0026】
例えば照明の点灯・消灯を検出する場合、人の出入りなどによって影ができないような位置(例えば天井部)に領域8を設定すれば、領域8における画像は明るいか暗いかのいずれかだけであり、その中間の明るさは考えなくてもよい。そして、誤判定を防止するために、領域8の感度を低く設定する。また、扉の開閉や施錠したか否かは重要な事項であるので、扉2のノブの部分に設定した領域7の感度を高く設定する。
【0027】
感度設定の一例として、カメラ1における撮像装置における画素数を考える。領域7、8・・・の位置及び大きさを設定すれば、領域7、8・・・に対応するデータを出力する撮像素子上の画素が特定される。従って、領域7、8・・・に対応する全画素数に対するデータが変化した画素数の割合を感度として設定することができる。
【0028】
一例として、上記照明の点灯・消灯を検出する場合であれば、領域8に対応する全画素数の80%以上の画素について輝度が「明」から「暗」に変化したときに、照明が消灯されたと判定する。また、全画素数の80%以上の画素について輝度が「暗」から「明」に変化したときに、照明が点灯されたと判定する。また、扉2の開閉を検出する場合、領域7に対応する全画素数の30%以上の画素について輝度が「明」から「暗」又は「暗」から「明」に変化したときに、扉が開閉されたと判定する。
【0029】
上記操作(#3〜#5)を繰り返すことにより、複数の領域7、8・・・を設定することができる(#6)。また、基準データを基準データ記憶部42に記憶させる際、画像データをコピーすることにより、例えば図4に示すように、領域A〜Dを重複して設定することも可能である。
【0030】
領域7、8・・・の設定及び各領域7、8・・・の感度の設定が完了すると(#6でYES)、通常のセキュリティシステムとして、扉の開閉、扉の施錠、人の出入り、照明の点灯・消灯などの検出を行う。画像データ取り込み部31は、一定時間ごとにカメラ1を駆動して動作判定の対象となる現在画像データを取り込む(#7)。画像処理部34は、取り込まれた現在画像データを用いてカメラ1により撮影された現在の画像をモニタ装置4の画面上に表示する。これと並行して、データ抽出部35は、領域設定部32により設定された各領域7、8・・・について、現在画像データから上記基準データと比較される現在データを抽出する(#8)。
【0031】
現在データが抽出されると、データ比較部36は、設定された各領域7、8・・・について順に現在データと基準データ記憶部42に記憶されている基準データとを比較する(#9)。ここで、扉の開閉や照明の点灯・消灯などの動きが行われていないときは、本来現在データと基準データは同一のはずである。また、実際に扉の開閉や照明の点灯・消灯などの動作が行われると、相当数の画素で現在データが基準データから変化している。そこで、データ比較部36は、現在データと基準データを比較し、データが変化している画素数をカウントする。なお、扉の開閉や照明の点灯・消灯などの動作が行われていないときでも、実際には、ノイズや照明のちらつきなどにより、現在データが基準データから若干変化している。そこで、データの変化量に閾値を設定し、輝度がある一定値以上に変化した場合にのみデータが変化したものと判定する。
【0032】
現在データが基準データと比較されると、データ比較部36は比較結果、例えば輝度がある一定値以上に変化した画素数(データ変化量)を動作判定部37に出力する。動作判定部は、判定対象となっている領域の感度を感度記憶部41から読み出し、変化した画素数(データ変化量)が読み出した感度に対応する所定の画素数(所定変化量)と同じかそれ以上であるか否かを判断する(#10)。前述のように、感度は、例えばその領域に対応する撮像素子の全画素数に対するデータが変化した画素数の割合として設定されているので、上記照明の点灯・消灯を検出する場合であれば、全画素数の80%以上の画素について輝度が変化したか否かを判定する。また、動作の種類によってはデータの変化の方向、例えば輝度が「明」から「暗」に変化したのか、あるいは「暗」から「明」に変化したのかも判定する。
【0033】
変化した画素数(データ変化量)が感度に対応する所定の画素数(所定変化量)と同じかそれ以上であるときは(#10でYES)、動作判定部37は、その領域に対応する所定動作、例えば照明の点灯又は消灯が行われたものと判断し(#11)、行われた所定動作に対応する信号及びその動作が行われた時間データを出力し、動作・時間記憶部43に記憶する(#12)。また、動作判定部36は、その所定動作が警報を必要とするものか否かを判断する(#13)。例えば、夜間の無人状態における照明の点灯や消灯、扉の開閉などである場合、不審者の侵入の可能性が高いので、警報を出力する必要がある。また、就業時間帯において照明の点灯や消灯、扉の開閉などが繰り返されても、通常業務と考えられるので、警報を出力する必要はない。そこで、警報が必要な場合にのみ(#13でYES)、動作判定部37は警報出力部40に対して所定の警報信号を出力し、警報出力部40はサイレンなどの警報を出力する(#14)。
【0034】
さらに、全ての領域7、8・・・について上記処理(#9〜#14)を繰り返す(#15)。また、全ての領域7、8・・・について動作判定を完了すると、画像データ取り込み部31は、所定時間ごとにカメラ1を駆動して新たな現在画像データを取り込み、各領域7、8・・・について上記処理(#9〜#15)を繰り返す。
【0035】
次に、本実施の形態における領域の設定、データの比較及び動作判定などについて、図4を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0036】
図4の左上に示すように、任意の数の領域A〜D(4箇所に限定されない)が任意の位置及び任意の大きさで設定されているものとする。領域Aと領域C及び領域Bと領域Cのように一部分が重複していてもよいし、領域Cと領域Dのように完全に重複していてもよい。
【0037】
初期設定時には、データ抽出部35は、基準画像データから各領域A〜Dに対応する基準データを抽出し、基準データ記憶部42に記憶させる。上記のように領域が重複している場合には、重複している部分のデータはコピーされて、それぞれの領域A〜Dの基準データとして用いられる。動作判定時には、データ抽出部35は、一定時間ごとに取り込まれる現在画像データから各領域A〜Dに対応する現在データを抽出する。
【0038】
抽出された、例えば領域Aの現在データはデータ比較部36に送られ、基準データ記憶部42に記憶されている領域Aの基準データと比較される。領域Aの現在データ及び基準データはそれぞれカメラ1の撮像素子における同じ画素群から出力されている。データ比較部36は、各画素について現在データと基準データの輝度を比較し、輝度が一定値以上に変化した画素をデータが変化した画素とする。領域Aに対応する全ての画素について現在データと基準データの輝度を比較し、輝度が一定値以上に変化した画素数をカウントする。そして、カウントした画素数をデータ変化量として動作判定部37に出力する。領域B〜Dについても同様である。なお、領域A〜Dの各領域について、それぞれ全画素データの輝度の平均値の変化量をデータ変化量としてもよい。
【0039】
動作判定部37では、データ比較部36から送られた領域Aのデータ変化量と感度記憶部41に記憶されている領域Aの感度に対応する所定変化量とを比較する。データ変化量として輝度が一定値以上に変化した画素数を用いる場合には、感度に対応する所定変化量として画素数を用い、感度として領域Aに対応する全画素数のうちのデータが変化した画素数の割合を用いる。また、データ変化量として各領域の全画素データの輝度の平均値の変化量を用いる場合には、感度に対応する所定変化量として輝度の変化量を用い、感度として輝度変化の割合又は絶対値を用いる。
【0040】
データ変化量が感度に対応する所定変化量と同じかそれ以上である場合、動作判定部は、各領域A〜Dに対応する所定動作、例えば扉の開閉、扉の施錠、人の出入り、照明の点灯・消灯などの所定動作が行われたものと判定し、各所定動作に対応する所定の信号を出力する。
【0041】
次に、本実施の形態における動作判定の具体例について、図5〜図7を参照しつつ説明する。図5は、図1に示す部屋をカメラ1で撮影し、モニタ装置4の画面上に表示された基準画像であり、図6はその現在画像である。扉2のノブの部分の領域7及び天井部の領域8の他に、扉2の上部の領域9、壁の鍵掛け部分の領域10、扉2を含む部屋の中央部の領域11が設定されているものとする。
【0042】
図6は、ある人物Xが、壁に掛けてある鍵23を取り、扉2を開け、照明24を消灯して部屋から出て行く様子を示している。照明24の消灯前に、まず領域10に着目すれば、鍵23がなくなっているので、鍵23に相当する画素数だけ現在データが基準データから変化している。鍵23の大きさと領域10の大きさ及び壁の色と鍵23の色の関係にもよるが、鍵23の存否は重要な事項であるので、領域10の感度を高く設定することにより、鍵23が取り外されたことを検出することができる。
【0043】
次に、領域9に着目すれば、扉2が開かれることによって、少なくとも領域9の一部分に廊下などの外部が見えるので、扉2が開いた分に相当する画素数だけ現在データが基準データから変化する。従って、扉2が開かれたことを検出することができる。なお、廊下の壁の色が部屋の壁の色と同じような色である場合は、データの変化が小さく扉の開閉は判定しにくい。そのため、扉の開閉を容易に検出できるように、例えば扉2の上部に、他の部分よりも反射率が極端に高いか或いは低い目印21を設けてもよい。
【0044】
さらに、領域11に着目すれば、人物Xが扉2の前に立つことによって、領域11のうちの相当数の画素について現在データが基準データから変化する。従って、人の動き又は人の出入りを検出することができる。なお、単に人物Xが部屋の中を動き回っているだけの場合もあるので、上記扉の開閉動作と合わせて人の出入りを判定してもよい。
【0045】
最後に領域8に着目すれば、照明24が消灯されることにより、全画素に関して現在データの輝度が基準データの輝度から大きく低下するので、照明24が消灯されたと判定することができる。
【0046】
なお、領域7に関しては、領域8と完全に重複しているので、領域8の感度よりも高くしておき、扉2のノブ22に設けられている錠つまみの向き(縦向きか横向きか)を判別することにより、扉2が施錠されているか否かを判定することができる。
【0047】
図7は、例えば廊下などに設置されたカメラにより撮影された画像を示す。図に示すように、監視すべき領域12は、廊下の中央部に、少なくとも廊下の全幅を含むように設定されている。また、領域12の感度は、比較的低め、すなわち領域に対応する全画素数に対するデータが変化した画素数の割合が高くなるように設定されている。このように感度を低く設定することにより、例えば猫などの小動物25が通過したときは、データが変化した画素数が感度に対応する画素数よりも少なくなるので、人が通過したとは判定しない。逆に、人26が通過したときは、データが変化した画素数が感度に対応する画素数よりも多くなるので、人が通過したと判定する。その結果、誤動作が発生する可能性を低減することができる。
【0048】
先に述べたように、従来のセキュリティシステムでは、カメラにより撮影された画像から人の出入りなどを検出できるものの、監視すべき領域の位置、大きさ、感度を任意に設定できなかったので、照明の点灯又は消灯による明るさの変化や、猫などの小動物が通過した場合などにも反応してしまい、誤動作する可能性が高かった。本実施の形態におけるセキュリティシステムによれば、監視すべき領域の位置、大きさ、数、感度を任意に設定できるので、例えば感度を低め、すなわち領域に対応する全画素数に対するデータが変化した画素数の割合を高く設定することにより、誤動作の可能性を低くすることができる。また、監視すべき領域を高い位置に設定することによっても、小動物の通過などによる誤動作を低減することができる。さらに、監視すべき領域を複数設定し、複数の領域での動作検出結果の組み合わせから人の出入りを判断することも可能である。
【0049】
なお、基準画面及び監視すべき各領域の位置、大きさ、数及び感度は、実際にカメラを設置し、カメラを用いて撮影した画像を基にして決定することができるので、本発明のセキュリティシステムの用途は上記実施の形態に限定されず、様々な用途に使用できることは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のセキュリティシステムによれば、監視すべき領域の位置、大きさ、数及び感度を任意に設定することができるので、カメラにより撮影された1つの画像から扉の開閉、扉の施錠、人の出入り、照明の点灯・消灯などの複数の所定動作が行われたか否かを検出することができ、各所定動作を検出するための個別のセンサ及びその配線が不要になる。また、検出対象となる所定動作に応じて感度を任意に設定できるので、誤動作の発生を低減することができる。さらに、所定動作が行われたと判定された場合に、その所定動作及び動作が行われた時刻が記録されるので、後日その記録を様々な用途に利用することも可能である。さらに、所定動作が警報を必要とするか否かを判断するので、所定動作が警報を必要とする場合にのみ警報が出力され、警報を必要とする所定動作と警報を必要としない所定動作を同じセキュリティシステムで監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態におけるセキュリティシステムのハードウエア構成を示す斜視図である。
【図2】 上記一実施の形態のセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】 上記一実施の形態におけるセキュリティシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】 上記一実施の形態における領域の設定、データの比較及び動作判定を説明するための概念図である。
【図5】 上記一実施の形態における動作判定の具体例における基準画像を示す図である。
【図6】 上記一実施の形態における動作判定の具体例における現在画像を示す図である。
【図7】 上記一実施の形態における動作判定の他の具体例における現在画像を示す図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 扉
3 画像処理装置
4 モニタ装置
5 入力装置
6 撮影された画像
7〜12 監視すべき領域
Claims (1)
- カメラにより撮影された1つの画像の変化から複数の所定動作を検出するセキュリティシステムであって、
前記カメラを駆動して基準画像データ及び所定周期で前記基準画像データと比較される現在画像データを取り込む画像データ取り込み部と、
前記基準画像データを用いてモニタ画面に表示された1つの画像上に、任意の位置及び任意の大きさの領域を任意の数だけ、重複可能に設定するための領域設定部と、
前記領域設定部により設定された各領域について、それぞれ各領域に対応する所定動作を検出するための感度を設定するための感度設定部と、
前記感度設定部により設定された感度を記憶する感度記憶部と、
前記画像データ取り込み部により取り込まれた基準画像データ及び現在画像データから前記領域設定部により設定された各領域に対応する基準データ及び現在データを抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部により抽出された各領域に対応する基準データを記憶する基準データ記憶部と、
前記領域設定部により設定された各領域について順に、前記データ抽出部により抽出された現在データと前記基準データ記憶部に記憶されている基準データとを比較するデータ比較部と、
前記データ比較部による現在データの基準データに対するデータ変化量が、前記感度設定部により設定された各領域ごとの感度に対応する所定変化量を超えているか否かを判定し、前記データ変化量が前記所定変化量を超えている場合に前記各領域に対応する所定動作が行われたと判定し、前記所定動作が行われたことを示す所定の信号及び前記所定動作が行われた時間データを出力する動作判定部と、
前記動作判定部により出力される所定の信号及び時間データを記憶する動作・時刻記憶部と、
前記所定動作が警報を必要とする場合に、前記所定の信号に応じて警報を出力する警報出力部を備え、
前記データ比較部におけるデータ変化量として、輝度が一定値以上に変化した画素数が用いられ、
前記感度設定部において、各領域に対応する全画素数に対するデータが変化した画素数の割合が感度として設定され、
前記データ比較部において、データの変化量に閾値が設定され、輝度がある一定以上に変化した場合にのみデータが変化したものと判定され、
各所定動作を検出するための個別のセンサ及びその配線を不要にしたことを特徴とするセキュリティシステム。
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