JP5586383B2 - 画像監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、監視領域を撮影した画像を用い、監視対象となる重要物に近づく不審人物を検出する画像監視技術に関する。
従来、店舗、事務室等の監視領域に侵入する人物を検出する画像監視装置においては、警備セットと警備解除とを切り替え、警備セット状態において、無人状態であるはずの監視領域へ人が侵入したか否かを監視するのが一般的である。
警備セット状態において、画像監視装置が監視領域内への人の侵入を検出すると、通信回線等を用いて遠隔の警備会社等に通報する。一方で、警備解除状態では、通常、監視領域への人の出入りは自由であり、画像監視装置が監視領域内への人の侵入を検出しても警備会社などへの通報はしない。
ここで、監視領域に金庫のような重要物が設置されているとき、警備解除中でもサングラスやマスクで顔を隠蔽した人物が重要物に近づく場合、その人物は金品を持ち去るなどの犯行を企む不審人物である可能性がある。従ってこのような犯行が予見される条件を満たした人物を検出した場合には、警備解除状態であっても、警備セット中同様、警備会社等に通報することが望まれている。
一方で、金融機関の取引装置の場合、特許文献1には、通常の営業時間中、すなわち警備解除中に、顔を隠蔽した人物が装置の前に立つと自動通報する警備装置が開示されている。
特開2010−079751号公報
しかしながら、不審人物は、室内が無人で、薄暗い状態のときを狙って、重要物に近づこうとする可能性があり、特許文献1の画像処理方法を適用した画像監視装置を店舗や事務室等の監視対象に適用した場合、通常の可視光カメラでは重要物付近の人物の存在を検出することが可能であったとしても、当該人物が顔を隠蔽した人物であるか否かまでは判別することができない可能性がある。
すなわち、例え不審人物が、サングラスやマスクで顔を隠蔽していたとしても周辺が暗いため、顔隠蔽判定処理がうまく機能せず、顔を隠していない正当な人物と判定してしまう可能性がある。
本発明では、監視領域を撮影した画像から、暗がりの中で重要物に接近する人物が存在する場合、画像上の変化領域内の輝度情報から顔隠蔽判定処理が実行不能である場合に警報を出力する画像監視装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明による画像監視装置は、監視対象物を含む監視領域を撮像した画像を取得する撮像部と、前記撮像部が順次取得した入力画像を処理し、警報信号を生成する画像信号処理部と、前記警報信号を出力する出力部と、前記監視対象物の至近領域を監視する人体検知部と前記入力画像を記憶する記憶部とを備え、前記画像信号処理部は、前記入力画像を過去画像と比較して変化領域を抽出する変化領域抽出手段と、前記変化領域から頭部領域を抽出する頭部領域抽出手段と、前記人体検知武により前記監視対象物の至近領域で人を検知すると前記抽出された頭部領域に対し隠蔽行為がなされているか否かを判定する顔隠蔽判定手段と、前記入力画像内の所定領域の輝度値を算出する輝度算出手段と、前記顔隠蔽判定手段により顔隠蔽されていると判定した場合に警報信号を生成する制御手段とを含み、前記制御手段は、前記入力画像全体領域の輝度値が所定未満であり、かつ前記変化領域内の輝度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による判定が実行不能とする警報信号を生成することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記頭部領域が抽出されない場合に前記顔隠蔽判定手段による判定が実行不能とする警報信号を生成することが好ましい。
また、前記制御手段は、前記頭部領域内の輝度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による判定が実行不能とする警報信号を生成することが好ましい。
さらに、前記頭部領域から素顔領域を抽出する素顔領域抽出手段を有し、前記制御手段は、前記素顔領域内の輝度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による判定が実行不能とする警報信号を生成することが好ましい。
また、上記発明を実現するための第2の発明として、監視対象物を含む監視領域を撮像した画像を取得する撮像部と、前記撮像部が順次取得した入力画像を処理し、警報信号を生成する画像信号処理部と、前記警報信号を出力する出力部と、前記入力画像を記憶する記憶部とを備え、前記画像信号処理部は、前記入力画像を過去画像と比較して変化領域を抽出する変化領域抽出手段と、前記変化領域から頭部領域を抽出する頭部領域抽出手段と、前記抽出された頭部領域に対し隠蔽行為がなされているか否かを判定する顔隠蔽判定手段と、前記入力画像内の所定領域の輝度値を算出する輝度算出手段と、前記顔隠蔽判定手段により顔隠蔽されていると判定した場合に警報信号を生成する制御手段とを含み、前記制御手段は、前記入力画像全体領域の輝度値が所定未満であり、かつ前記変化領域内の輝度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による判定が実行不能とする警報信号を生成することを特徴とする。

本発明にかかる画像監視装置によれば、取得した画像上で抽出された変化領域内の輝度情報に基づいて不審人物の検出が実行可能な環境であるか否かを判定できるとともに、不審者の侵入を正常と誤判定することを防止することが可能となる。
本発明にかかる画像監視装置が店舗の事務室に設置された例である。 本実施の形態にかかる画像監視装置の概略構成図である。 不審人物が事務所にいる様子を表す模式図である。 不審人物が暗い部屋にいる様子を表す模式図である。 本実施の形態にかかる画像監視装置の動作を表す全体フロー図である。 本実施の形態にかかる画像輝度判定処理を表すフロー図である。
以下、図を参照しつつ、本発明にかかる画像監視装置の一つの実施の形態として、当該画像監視装置を、スーパーマーケットなどの店舗の事務室に設置した場合を例に取り上げて説明する。事務室には監視対象物である重要物の例として、金庫が設置されているとする。本発明にかかる画像監視装置は監視対象物に近付く不審人物を検出するための専用の装置であっても、前述の警備装置を構成する一部の機能としても実現可能である。後者の場合、開店中などの警備解除中も監視を実施するものとする。事務所においては開店時間中は、店長など金庫の開錠可能な人物だけでなく、従業員やアルバイトも事務室に入室可能である。また、従業員やアルバイトの隙をみて、不審者が金庫に近づいたり、従業員やアルバイトを拘束して不審者が金庫に近づく可能性もあることを想定している。
本実施の形態における画像監視装置は、金庫等の重要物付近に近づく人物がいる場合に、重要物付近に設置されたカメラから当該人物の顔部分を抽出し、顔隠蔽している場合に非常通報を行う通報装置として実現した例である。
図1(a)は、本発明にかかる画像監視装置が、事務室に設置された様子を表す模式図である。設置場所としては事務室の他、店頭に陳列する前の商品が棚に並べられた保管庫があるバックヤードなどが例示できる。図1(a)において、事務室の床3の隅に金庫1が設置されている。点線で示した符号2は、人感センサの検知領域であり、金庫1の至近距離へ接近した人物が検知可能なように設定される。本実施の形態ではそれを至近領域と称している。これは画像監視装置の内部で保持される領域情報であり、床3に実際に描かれているわけではない。
カメラ22は、金庫1の上方に概略水平方向に向けて設置され、カメラ22の視野は事務室全体を含むものとする。この視野内が監視領域である。画像監視装置は、カメラ22で取得された画像を処理し、その画像中に含まれる人物の顔隠蔽の有無を判定するために用いられる。顔隠蔽の有無の判定とは、不審者が、サングラス、マスク、覆面、タオル等で顔の一部又は全部を隠蔽して、人物の特定を困難なようにしているか否かを判定することである。
カメラ22から取得された画像を本実施の形態では入力画像と称する。入力画像の例を図1(b)に示す。図1(b)からわかるように、概略水平方向に向けられたカメラの画像であることを活かし、画像中の人物が顔をカメラ22に向けている状態であれば人相を把握できる。そして顔隠蔽判定技術を用いることで顔隠蔽の有無の判定が可能となる。なお、入力画像は、画像中の人物について人相の他、服装や背格好の情報も取得可能であるため、証跡性の確保を目的とした画像として、記録するためにも用いることもできる。
図2は、一つの実施形態としての本発明にかかる画像監視装置10の概略構成図である。画像監視装置10は、撮像部20と、記憶部30と、画像信号処理部40と、出力部50と、人感センサ60とを有する。
撮像部20は、CCDまたはC−MOSなど、可視光に感度を有する光電変換器で構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に監視領域の像を結像する結像光学系などを有する。撮像部20は、例えば、NTSC規格に従って、連続的に撮影を行うカメラとすることができる。あるいは、撮像部20は、いわゆるハイビジョンなど、より高解像度な画像を生成するものでもよい。
なお、撮像部20は、少なくともひとつのカメラ22で構成される。そして、本実施の形態では事務室を撮影した画像を、例えば、各画素の輝度が256階調で表される濃淡画像あるいはカラー画像として所定のフレーム間隔(例えば0.5秒間隔)毎に生成する。また撮像部20は、画像信号処理部40の図示しないインターフェース部と接続されており、カメラ22が画像を生成する度に、その生成した画像を入力画像として画像信号処理部40へ出力する。
人感センサ60は、本発明における人体検知部である。人感センサ60は、壁また天井に設置され監視範囲内で人体を感知すると信号を出力するセンサであり、例えば人体が発する赤外線を受光して人体を検出する受動型の赤外線センサ(PIRセンサ)が採用できる。また、光を投受光して、受光波の変化から人体を検出するアクティブ型の投受光センサも採用するようにしてもよい。さらに人体検知部は、入力画像上で重要監視物の位置を指定しておき、当該指定位置に後述の変化領域が検出されたか否かにより人体を検知する画像処理判定により実現するようにしてもよい。
記憶部30は、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリ、揮発性半導体メモリ、または磁気ディスク(HDD)などの記憶装置を有する。記憶部30は、画像監視装置10で使用される各種のプログラム及びデータを記憶する。また記憶部30は、画像監視装置10が起動したとき、あるいは定期的に撮像部20から取得した、人物が写っていない入力画像を背景画像として記憶する。また入力画像中から抽出された変化領域の情報を変化領域情報として記憶しておく。さらに、記憶部30は、入力画像中から頭部領域、素顔領域、顔隠蔽判定を行うため、各種条件における顔画像をテンプレートして記憶している。
画像信号処理部40は、撮像部20から入力された入力画像から、金庫に接近した人物の顔隠蔽判定結果に応じて警報信号の送出などの処理を行う。画像信号処理部40は、変化領域抽出手段41、輝度算出手段42、顔画像抽出手段43、顔隠蔽検出手段44、制御手段45から構成される。これらは、記憶部30に記憶されるプログラムモジュールにて実現される。次に画像処理部40の各手段について説明する。
変化領域抽出手段41は、撮像部20から取得された入力画像と記憶部30に記憶されている背景画像の画素毎の差分を求め、所定以上の輝度変化がある領域を変化領域として抽出する。背景画像は、室内が無人時の入力画像で所定時間ごとに更新される画像である。変化領域抽出手段41は抽出された変化領域が前フレームで抽出された変化領域と同一の移動体によるものか否かの判定を行い、新規に出現した移動体の場合は、新たな管理番号を付与(ラベリング)し、その大きさ、位置等の情報とともに変化領域情報として記憶部30に記憶する。
前フレームで抽出された変化領域と同一の移動体によるものと推定される場合は、当該管理番号の変化領域情報に位置、大きさ等の情報を追加記憶する。この背景差分処理、ラベリング処理については、画像処理技術の分野では周知の技術であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
輝度算出手段42は、入力画像全体の輝度、或いは入力画像から抽出された変化領域内の平均輝度値を算出する。また、後述の頭部領域抽出手段431により抽出された頭部領域内の平均輝度値、さらに素顔抽出手段432により抽出された頭部領域中の素顔領域内の平均輝度値も算出する。さらに入力画像全体の輝度値を算出する場合は、画像上の窓に当たる部分や照明に当たる部分等の輝度の高い領域を除外して算出したり、(窓がないと想定される)画像下方部分のみを平均輝度値の算出に用いるようにしてもよい。
顔画像抽出手段43は変化領域から、人の顔を含む顔画像領域を抽出する。顔画像抽出手段43は、頭部領域抽出手段431、素顔領域検出手段432を含む。頭部領域抽出手段431は、変化領域上から人体の頭部らしさが高い領域を抽出する。この変化領域から頭部領域を抽出する方法としては、公知の手法が適用できる。例えば、記憶部30に予め各種の条件で取得した顔画像をテンプレートとして記憶しておき、変化領域内でテンプレートとの類似度が所定以上の領域を頭部領域として抽出する等の手法が採用できる。用意するテンプレートとしては、顔画像パターンそのものでもよいし、輪郭を模擬したパターンでもよい。素顔領域検出手段432はさらに、抽出された頭部領域内で、肌色領域の面積、目、鼻、口等顔の構成部分が検出度合いに応じて素顔領域を抽出する。また、頭部領域抽出に顔画像パターンを用いる場合、抽出された頭部領域に類似度が高いテンプレート自身の素顔度合いも参照して素顔領域を検出するようにしてもよい。
顔隠蔽判定手段44は、抽出された頭部領域候補内で、顔隠蔽の有無を判定する。顔隠蔽の種類としては、サングラス、マスク、覆面、タオル、包帯等により顔の一部又は全部を隠蔽しているか否かを判定する。この判定は例えば、頭部領域抽出の際に、サングラス、マスク等をした顔画像をテンプレートとして用意しておき、顔隠蔽時のパターンとの類似度により顔隠蔽の有無を判定する等の手法が採用できる。
制御手段45は、顔隠蔽判定手段44による顔隠蔽判定結果、輝度算出手段42による輝度算出結果から、出力部50を制御して、警報信号を出力させるか否かを決定する手段である。
以上本実施形態の画像監視装置の構成について説明した。次に本画像監視装置を監視対象に適用した場合の動作例について説明する。図3は、警備システム等が解除中、本画像監視装置のみが設置された事務室内にサングラス、マスク等で顔を隠蔽した不審人物が侵入してきた場合の入力画像の例である。
図3(a)では、不審人物7は、事務室に存在するものの、金庫1からはやや離れ、人感センサの検知領域2の外に位置している。この場合、制御手段45は、入力画像を記憶部30に記憶させておく。図3(a)では不審人物7が、単に、事務室に入室しただけで、犯行の意図を有さないことも考えられるため、制御手段45は出力部50に対してこの段階で警報信号を出力させることはしない。
図3(b)では、不審人物7は、同図(a)の場合よりも金庫1に接近し、人感センサの検知領域2の内部に踏み入れた様子を示している。この場合、同図(a)とは異なり、不審人物7が他の用事で事務室に入室しただけとは考えにくく、さらに犯行の発生が予見される状態となっている。そこで制御手段45は、出力部50を制御し、警報等を発するものとする。
次に図4では、室内の照明が消灯している環境で事務室に人物が侵入し、金庫1付近に接近してきた例を示している。この場合室内が暗いため、変化領域抽出手段により、画像上では人物抽出が可能であるが、当該人物が顔を隠蔽していたとしても、顔隠蔽判定手段44は顔隠蔽していないと判定する可能性がある。そこで、このような判定を回避するため、制御手段45は、輝度算出手段42により、変化領域内の輝度が所定値以下の場合は顔隠蔽判定処理ができないとして出力部50を制御して外部に通報する。
出力部50は、制御手段45からの指示を受け、指示を受けた出力先に警報信号を出力する機能を有する。出力部50は、警報信号の出力先として、監視対象内に設けたスピーカ等より警告音を鳴らしたり、警告メッセージを発するようにしてもよい。また、予め登録した管理者等の携帯電話に通信回線を介して通報するようにしてもよい。また警報信号を警備会社等の監視センタに通信回線を経由して通報するようにしてもよい。さらに警報信号を受けて照明等を点灯するように制御するようにしてもよい。
次に図5および図6に示したフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる画像監視装置10の動作の一例を説明する。図5は、本実施の形態にかかる画像監視装置10のメインフロー図である。図5においてステップS20以降の処理は撮像部20から入力画像を取得するごとに実行されるものとする。
ステップS10にて、電源投入された画像監視装置10は、各部の初期化を行う。具体的には、撮像部20から入力した入力画像を背景画像として記憶部30に記憶される。この背景画像は所定の時間間隔で適宜更新される。
ステップS20にて、撮像部20から入力画像を取得する。この入力画像の取得は所定時間ごとに実行される。取得した入力画像は記憶部30に記憶される。記憶部30には現在時刻から所定時間前までの所定枚数分の入力画像が記憶可能な記憶領域が用意されており、当該記憶領域がフルになると、記憶されている最も古い画像を削除して、新たな入力画像を記憶するようにしている。また記憶済みの画像を定期的に外部のハードディスク等にバックアップするようにしてもよい。
ステップS30にて、変化領域抽出手段41は、ステップS20にて取得された入力画像を処理し、入力画像から変化領域の抽出を行う。抽出の方法は背景差分などの一般的な方法を採用すれば良く、既に述べたとおりである。なお、所定の条件を満たす変化領域が抽出できない場合には、事務室は無人であるとして、ステップS20に戻るものとする。変化領域が抽出された場合はステップS50へすすむ。
ステップS50では、変化領域抽出手段41は記憶部30に記憶されている前フレームの入力画像から取得された変化領域情報を参照し、現フレームで抽出された変化領域と前フレームで抽出された変化領域の対応づけ処理を行う。前フレームで変化領域が抽出されていなければ、現フレームで抽出された変化領域に新たな管理番号を付与して、その大きさ、位置等の情報を変化領域情報として記憶部30に記憶する。
ステップS60にて、人感センサ60が検知した否かを判定する。人感センサ60が検知しない場合、すなわち、室内に人がいたとしても金庫1の周辺部まで近付いてこない場合は以降の処理に進まず、ステップS20に戻り、移動体の追跡処理のみ行う。人感センサ60が検知した場合はステップS70へすすむ。
人感センサが検知した場合は、ステップS70にて、画像輝度判定処理を行う。ここでは抽出した変化領域が顔隠蔽判定処理が実行可能な程度に輝度情報をもっているか否かの判定を行っている。この処理はサブルーチン化されており、詳細については図6を用いて後述する。
ステップS80では、ステップS70の処理結果より顔隠蔽判定が実行可能か否かの判断が行われる。可能であればステップS90へすすむ。一方、室内が暗く顔隠蔽判定処理が不可能な場合にはステップS110の異常出力へすすむ。尚、この場合の異常出力は、非常通報として、予め指定した通報先に通報するようにしてもよいし、ブザー、スピーカ、ランプ等の表示手段により室内にいる人物に警告するようにしてもよい。また、蛍光灯等、LED等の照明手段を制御して室内を明るくしたり、人物の顔を照らすようにしてもよい。
再びステップS80に戻り説明する。ステップS80で顔隠蔽判定処理が可能であると判定するとステップS90で変化領域として抽出された人物の頭部領域がサングラス、マスク、覆面等により顔を隠蔽しているか否かの判定が行われる。顔隠蔽処理されていると判定すると、これは不審者が金庫に近づいていると考えられるため、ステップS110にて異常出力を行う。この場合の異常出力は上述の通りであるが、ステップS80−Noの場合の処理と異ならせるようにしてもよい。ステップS100で顔隠蔽が検出されない場合は、素顔をさらした人物が金庫に近づく場合であると推定できるため異常出力せず、ステップS20へ戻る。以上、本画像監視装置10における画像信号処理部の動作フローについて説明した。
次に図6を用いて、ステップS60にて輝度算出手段42の算出結果に基づいて制御手段45により行われる画像輝度判定処理について説明する。本実施の形態でいう画像輝度判定処理とは、入力画像が顔隠蔽判定処理が実行可能な程度の輝度情報を持っているか否かを判定することを指している。
はじめにステップS600にて、輝度算出手段42により入力画像全体の平均輝度値を算出する。次にステップS601において入力画像全体の平均輝度値が所定値Th0未満であるか否か判定する。この所定値Th0は、入力画像がある程度明るいと判定できる輝度値に設定される。本実施の画像監視装置が対象としているのが、薄暗い室内において、金庫に近付く人物の顔隠蔽判定処理が実行可能かどうかを判定するものであるため、画像全体の輝度値が所定値Th0以上である場合は、室内が明るいということであるから、何もせずこのルーチンを抜ける。一方入力画像全体の輝度値がTh0未満の場合はステップS602へすすむ。これは室内がある程度薄暗い環境であることを意味する。
尚、入力画像全体の輝度値としては、画像中の輝度が高い領域を除いて算出するようにしてもよい。例えば、図4の例では窓4から外光が差し込み、当該窓部分の輝度値は高いため、全体的な平均輝度値が高くなる可能性がある。その場合、実際には暗い部屋でも明るいと誤判定することを排除するため、平均輝度値の算出から除くことにより、誤判定を防止することができる。また、窓或いは照明といった輝度値が高くなる要因は画像中の上方にある可能性高いため、入力画像の下方のみを用いて入力画像の平均輝度値を算出するようにしてもよい。
次にステップS602にて、変化領域内の平均輝度を算出する。変化領域が複数ある場合は、ラベリングされた変化領域ごとに実施する。そしてステップS603にて変化領域内の平均輝度が予め設定した所定閾値Th1未満であるか否かを判定する。この条件を満たす場合は、ステップS612にて顔隠蔽判定処理が実行不能としてこのルーチンを抜ける。
これは例えば、室内照明が消灯して暗い場合、或いは逆光等により人が照らされている場合などが考えられる。
次にステップS604にて、変化領域から頭部領域抽出手段431により頭部領域の抽出処理を行う。そしてステップS605にて頭部抽出ができないときはステップS612にて顔隠蔽判定処理が実行不能としてこのルーチンを抜ける。これは例えば、変化領域中の輝度が所定以上であるが頭部がどこか判定できない場合であり、人物が屈む等の姿勢でいる場合などが考えられる。
次にステップS605で頭部領域が抽出できた場合、ステップS606で頭部領域内の平均輝度を算出する。そしてステップS607で算出した平均輝度が予め設定した所定値Th2未満か否かを判定する。そしてこの条件を満たす場合にはステップS612にて顔隠蔽判定処理が実行不能としてこのルーチンを抜ける。これは変化領域内の平均輝度は所定以上の平均輝度値を持つが、特に頭部領域についての輝度が低いために顔隠蔽検出処理ができない場合である。
次にステップS608にて頭部領域内で素顔領域抽出手段432により素顔領域の抽出処理を行う。これは具体的には、抽出された頭部領域内で目、鼻、口等の顔の構成要素の検出度合いにより判定する。例えば、顔隠蔽以外に後ろ向き、俯き等の姿勢であれば素顔が抽出できないことになる。そしてステップS609で素顔領域抽出できない場合は、ステップS612にて顔隠蔽検出処理が実行不能としてこのルーチンを抜ける。この処理も上記同様、抽出された変化領域内が暗いか否かを判定する基準のひとつである。
次にステップS610にてステップS608にて抽出された素顔領域内の平均輝度を算出する。そしてステップS611では素顔領域内の平均輝度が予め設定された閾値Th3未満であるか否かを判定する。この条件を満たす場合はステップS612にて顔隠蔽判定処理が実行不能としてこのルーチンを抜ける。ステップS611で素顔領域内の平均輝度が所定値Th3以上である場合(ステップS611−No)は何もせず、このルーチンを抜ける。この場合は、顔隠蔽判定処理が実行可能なことを意味する。
以上、制御手段45による画像輝度の判定ステップについて説明した。上述したステップS601における入力画像全体の輝度値判定は必須であるが、ステップS603からS611までの処理はすべてを実行する必要はなく、適宜選択して実行するようにしてもよい。逆にステップS603からS611の処理を行わず、ステップS601の入力画像全体の輝度値が暗いという条件だけで異常通報しようとすると、暗闇の中で人が照らされている場合に、顔隠蔽判定処理が可能であるにも関わらず異常となる可能性があったり、入力画像全体の輝度はそれほど低くなくても変化領域部分が暗く抽出されることがある場合は顔隠蔽処理が不可能であるにも関わらず正常となる可能性があり全体性能が低下する。また、ステップS601の入力画像全体の輝度判定を行わず、ステップS603〜S611までのいずれかの処理だけで判定しようとすると、例えば明るい部屋の中で全身が黒い服を着た人物等を検出したときに顔隠蔽処理の実行不能と判断してしまう可能性があるためやはり全体性能の低下が生じることになる。
さらに、人感センサ60にて検知した時点で入力画像の顔隠蔽検知処理を行うようにしているが、対象とする入力画像はセンサ検知時点の画像でなくてもよい。逆にセンサ検知時点の入力画像は人が金庫前で屈んで死角に入ってしまうおそれがあるため、むしろ人感センサにて検知した時間よりも過去の画像における当該変化領域と同一ラベルを処理するようにするのが好適である。
さらに、ステップS603、607、611では変化領域、頭部領域、素顔領域内の平均輝度を各々予め定めた所定閾値Th1,Th2,Th3と比較しているが、各々の閾値は入力画像全体の平均輝度値と比較して補正するようにしてもよい。例えば、入力画像全体の平均輝度値が高い場合は、Th1、Th2、Th3も高く設定するようにできる。また、背景画像の同一位置の画素値からの変化率に基づいて閾値を設定するようにしてよい。これにより環境の変化に応じた適切な閾値設定が可能となる。
また、本発明の他の実施形態として、人感センサ60の除いて実現する方法について説明する。前述した実施形態では人感センサ60での検知をトリガーとして画像輝度判定処理を実行していた。これは金庫1付近に人が接近した場合を想定しているが、画像輝度判定処理は必ずしも人が金庫1に接近した場合に行う必要はない。例えば、画像上で変化領域が抽出されたときに、画像輝度判定処理を実行し、顔隠蔽検知処理が実行不能か否かを判断するようにしてもよい。このようにすることで室内が暗い場合に人が入ってきたとき顔隠蔽検知処理が実行不能な環境であると判定した場合、例えば照明を制御して点灯させたりすることができる。照明が点灯状態で金庫1に接近する人があれば顔隠蔽検知処理は可能である可能性が高い。また、照明を点灯するようにスピーカから警告するようにすることも可能である。警告したにも関わらず照明を点灯させずに金庫1に接近する人物がいる場合不審者である可能性が高く、顔隠蔽検知処理が実行不能でも即時に異常通報するようにできる。この実施形態を実現するためには、図5のステップS60の処理を削除するだけでよい。
尚、本画像監視装置における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
1・・・金庫
2・・・人感センサ60の検知領域
10・・・画像監視装置
20・・・撮像部
30・・・記憶部
40・・・画像信号処理部
50・・・出力部
60・・・人感センサ

Claims (5)

  1. 監視対象物を含む監視領域を撮像した画像を取得する撮像部と、
    前記撮像部が順次取得した入力画像を処理し、警報信号を生成する画像信号処理部と、
    前記警報信号を出力する出力部と、
    前記監視対象物の至近領域を監視する人体検知部と
    前記入力画像を記憶する記憶部とを備え、
    前記画像信号処理部は、
    前記入力画像を過去画像と比較して変化領域を抽出する変化領域抽出手段と、
    前記変化領域から頭部領域を抽出する頭部領域抽出手段と、
    前記人体検知部により前記監視対象物の至近領域で人を検知すると前記抽出された頭部
    領域に対し隠蔽行為がなされているか否かを判定する顔隠蔽判定手段と、
    前記入力画像内の所定領域の輝度値を算出する輝度算出手段と、
    前記顔隠蔽判定手段により顔隠蔽されていると判定した場合に警報信号を生成する制御手
    段とを含み、
    前記制御手段は、前記入力画像全体領域の輝度値が所定未満であり、かつ前記変化領域内の輝度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による判定が実行不能とする警報信号を
    生成することを特徴とした画像監視装置。
  2. 記制御手段は、前記頭部領域が抽出されない場合に前記顔隠蔽判定手段による判定
    が実行不能とする警報信号を生成する請求項1に記載の画像監視装置。
  3. 前記制御手段は、前記頭部領域内の輝度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による
    判定が実行不能とする警報信号を生成する請求項1乃至請求項2に記載の画像監視装置。
  4. さらに、前記頭部領域から素顔領域を抽出する素顔領域抽出手段を有し、
    前記制御手段は、前記素顔領域内の輝度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による
    判定が実行不能とする警報信号を生成する請求項1乃至請求項3に記載の画像監視装置。
  5. 監視対象物を含む監視領域を撮像した画像を取得する撮像部と、
    前記撮像部が順次取得した入力画像を処理し、警報信号を生成する画像信号処理部と、
    前記警報信号を出力する出力部と、
    前記入力画像を記憶する記憶部とを備え、
    前記画像信号処理部は、
    前記入力画像を過去画像と比較して変化領域を抽出する変化領域抽出手段と、
    前記変化領域から頭部領域を抽出する頭部領域抽出手段と、
    前記抽出された頭部領域に対し隠蔽行為がなされているか否かを判定する顔隠蔽判定手
    段と、
    前記入力画像内の所定領域の輝度値を算出する輝度算出手段と、
    前記顔隠蔽判定手段により顔隠蔽されていると判定した場合に警報信号を生成する制御手
    段とを含み、
    前記制御手段は、前記入力画像全体領域の輝度値が所定未満で、かつ前記変化領域内の輝
    度値が所定未満の場合に前記顔隠蔽判定手段による判定が実行不能とする警報信号を生成
    することを特徴とした画像監視装置。
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