(実施形態1)
本実施形態の人体検出装置1は、例えば、住宅屋内外間で通話を行うためのドアホンシステムとともに用いられており、このドアホンシステムは、図2に示すように、庭に設置される撮像装置Aと、撮像装置Aで得られた画像をモニタする機能を備えるとともに住宅Dの屋内に設置されるドアホン親機Bと、住宅Dの屋外に設置されるドアホン子器Cとで構成されている。
撮像装置Aは、例えば、ドアホン親機Bに接続されるセンサ付きカメラであって、図1に示すように、所定領域を撮像する撮像手段10により得られた画像を元に前記所定領域内の人の存在を検知する画像処理型の人体検出装置1と、前記所定領域を検知範囲とする赤外線(熱線)を利用した熱線式の人体検知器(PIR)2と、侵入者などに対する威嚇を行うための報知手段3とを備えている。
人体検出装置1は、画像処理型の人体検出装置であって、図1に示すように、主として所定領域を撮像する撮像手段10と、撮像手段10により得られた画像をドアホン親機Bに伝送する伝送手段15と、撮像手段10により得られた画像に基づいて人体検出を行う画像処理手段12と、これらの動作を制御する信号処理手段14とを備えている。
撮像手段10は、前記所定領域を時系列で連続して撮像するCCDイメージセンサなどの撮像素子(図示せず)と、撮像素子から出力される画像をデジタルデータに変換して濃淡画像を生成し、そのYUV信号を出力するA/Dコンバータとで構成されている。なお、撮像素子としては、CCDイメージセンサの他に、CMOSイメージセンサ等を使用してもよい。また、一般に、システムオンチップ(SoC)技術により製造されたCMOSイメージセンサは、パッケージ内にA/Dコンバータなどの処理回路を備えているので、CCDイメージセンサを用いる場合とは異なりA/Dコンバータを別途設けなくてもよい。
撮像手段10から出力された画像は、出力データ変換11および画像処理手段12に入力される。ここで、出力データ変換11は、撮像手段10から出力されたYUV信号からなる画像をNTSC(National TV Standards Committee)信号からなる画像に変換するYUV/NTSC変換機能を有しており、NTSC信号に変換した画像を伝送手段15に出力するように構成されている。
画像処理手段12は、撮像手段10により得られた画像情報に基づいて所定領域内の人の検出を行うためのものであって、図1に示すように、撮像手段10で撮像された画像から輪郭を抽出する輪郭抽出手段12aと、輪郭抽出手段12aで抽出した輪郭から移動体の輪郭を抽出する移動輪郭抽出手段12bと、移動輪郭抽出手段12bで抽出した移動体の輪郭を元に移動領域を抽出する移動領域抽出手段12cと、移動領域抽出手段12cで抽出した移動領域のエッジ方向値分布を作成する領域特徴量検出手段12dと、移動領域およびそのエッジ方向値分布を元にして人体検出を行う人体検出手段12eとを備えている。
輪郭抽出手段12aは、撮像手段10から得られる画像を、一般的に知られたSOBELフィルタなどを使用して微分処理(各画素の微分値を算出)して輪郭(エッジ)の抽出を行い、各画像の輪郭画像をRAMなどの記憶装置からなる輪郭画像記憶手段13に一定期間保存するものである。なお、輪郭抽出手段12aは、信号処理手段14から後述の開始信号を受け取った際に、動作を開始するように構成されている。つまり、画像処理手段12は、信号処理手段14から開始信号が出力された際に、動作を開始するようになっている。
移動輪郭抽出手段12bは、輪郭画像記憶手段13に保存された時系列の輪郭画像を用いて論理合成を行い、移動体の輪郭(以下、「移動輪郭」と称する)のみを抽出した合成画像を作成するものである。
移動領域抽出手段12cは、図3(a)に示すように、移動輪郭抽出手段12bで作成した合成画像をラベリングして移動体に相当する領域(以下、「移動領域」と称する)Fを検出するものであり、本実施形態では、移動領域Fを、移動輪郭に外接する矩形状(四角形)の領域(移動枠)で表わすように構成されている。
ところで、移動領域抽出手段12cによって抽出される移動領域Fは、もとは一つの移動体によるものであっても、外乱等の様々な原因によって、複数に分割されてしまうことがある。そこで、移動領域抽出手段12cに、抽出した移動領域F群のなかに移動領域F間の距離が所定値以下である移動領域F群が存在した際にこれら移動領域F群を内包する最小範囲の矩形状の領域からなる統合移動領域G(図3(a)参照)を作成するように構成されている。
例えば、図3(a)に示すように、移動領域抽出手段12cによって6つの移動領域F(以下、移動領域Fを区別するために必要に応じて移動領域Fを符号F1〜F6で表す)が抽出された際に、これら移動領域F1〜F6間の距離が前記所定値以下であれば、これら移動領域F1〜F6からなる移動領域F群を内包する最小範囲の矩形状の領域からなる統合移動領域Gが作成される。なお、移動領域F間の距離が所定値以下である移動領域F群を抽出するにあたっては、当該移動領域F群に含まれる少なくとも1つの移動領域Fとの距離が前記所定値以下であればよい。一方、図3(b)に示すように、移動領域抽出手段12cによって11の移動領域F(以下、移動領域Fを区別するために必要に応じて移動領域Fを符号F7〜F17で表す)が抽出された際に、これら移動領域F7〜F17間の距離が前記所定値以下であれば、これら移動領域F7〜F17からなる移動領域F群を内包する最小範囲の矩形状の領域からなる統合移動領域Gが作成される。なお、以下の説明では、統合移動領域Gを区別するために必要に応じて統合移動領域Gを符号G1,G2で表す。また、移動領域抽出手段12cにおける統合移動領域の作成方法は、上述のものに限らず、例えば、端点を有する移動輪郭からなる移動領域Fを検出した際に、この端点を有する移動領域Fを含む縦長の矩形状の領域内で、別の端点を有する移動領域Fを探索し、前記矩形状の領域内で端点を有する移動領域Fを結合して統合移動領域Gを形成するようにしてもよい。
領域特徴量検出手段12dは、輪郭画像記憶手段13に保存されたエッジ画像と、移動領域抽出手段12cで検出した移動体の移動領域とに基づいて移動領域内の移動エッジ部分の方向値を抽出してそのエッジ方向値分布を作成し、このエッジ方向値分布を特徴量として出力するように構成されている。ここで、方向値(方向コード)は、輪郭抽出手段12aにおいて算出した各画素の微分値の濃度値の変化方向を示す値であって、45度刻みの8方向それぞれに対応付けられた整数値で表される。また、方向値は、画像内において濃度値の変化が最大になる方向に直交する方向を表すように設定される。したがって、各画素において方向値が示す方向は、エッジ上の画素を示す方向にほぼ一致する(各画素の方向コードが示す方向に対して±45度の範囲内で隣接する3画素が移動体のエッジ上の画素になる可能性が高い)。そして、エッジ方向値分布は、上述したように求めた方向値に関する度数分布を作成することによって得られる。なお、エッジ方向値分布を作成するにあたっては、方向が180度異なる方向値については、同じものとみなして取り扱うようにしてもよい。
人体検出手段12eは、移動領域抽出手段12cにより得られた移動領域、および領域特徴量検出手段12dより得られたエッジ方向値分布を元にして人体検出を行うように構成されている。
以下に、人体検出手段12eによる人体検出動作について説明する。まず、人体検出手段12eでは、移動領域抽出手段12cより得られた移動領域のサイズを元にして、その移動領域が人体によるものか否かの判定を行う(第1判定)。例えば、この第1判定では、移動領域のサイズが所定の範囲内の含まれる場合には、当該移動領域を人体によるものと判定する。ここで、前記所定の範囲は、人体の移動領域のサイズに基づいて決定されるものであって、例えば、移動領域の縦方向の長さ(すなわち移動領域の縦方向の画素数)および横方向の長さ(すなわち移動領域の横方向の画素数)それぞれが所定の範囲内の値で、且つ縦方向の長さが横方向の長さよりも大きい場合に、その移動領域を人体によるものであると判定する。
上述した第1判定によれば、移動領域抽出手段12cにより検出された複数の移動領域の中から人体によるものではない移動領域が除去され、除去されなかった移動領域、すなわち第1判定により人体によるものであると判定された移動領域については、第2判定である人体検出判定が行われる。
人体検出判定では、統合移動領域Gの面積に対する統合移動領域Gに含まれる移動領域F群の総面積の割合が所定の判定値以上であれば、統合移動領域Gが人体によるものであると判定する。
以下に人体検出判定について図3(a),(b)を参照して説明する。人体検出判定において、移動領域Fおよび統合移動領域Gの面積の算出は、移動領域Fのx軸方向(横方向)の画素数と、y軸方向(縦方向)の画素数とを乗算することによって行う。次に、統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積を算出し、算出した総面積を統合移動領域Gの面積で除算することによって、前記割合を算出する。そして、このようにして得られた前記割合が所定の判定値以上であれば、統合移動領域Gを人体によるものであると判定する一方、所定の判定値未満であれば、統合移動領域Gを人体によるものではないと判定する。なお、本実施形態では前記判定値の値を40%としている。このような判定値の値は、実際の検出結果などに基づいて好適な値となるように設定すればよい。
例えば、図3(a)に示す例では、統合移動領域G1の面積に対する統合移動領域G1に含まれる移動領域F群の総面積(移動領域F1〜F6の面積の合計値)の割合は、約44%であり、前記判定値以上となるから、統合移動領域G1は人体によるものであると判定される。一方、図3(b)に示す例では、統合移動領域G2の面積に対する統合移動領域G2に含まれる移動領域F群の総面積(移動領域F7〜F17の面積の合計値)の割合は、約26%であり、前記判定値未満となるから、統合移動領域G2は人体によるものではないと判定される。
つまり、人体検出判定では、人体が移動した際には図3(a)に示すように人体全体が移動領域Fとして抽出されることが比較的多いために、統合移動領域Gの面積に対する当該統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積の割合が比較的大きくなり易い一方で、風に揺れる植物などの人体以外の移動体は図3(b)に示すように全体ではなく縁部分のみが移動領域Fとして抽出されることが比較的多いために、統合移動領域Gの面積に対する当該統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積の割合が比較的小さくなり易いことに着目して、統合移動領域Gの面積に対する当該統合移動領域Gに含まれる移動領域F群の総面積の割合が所定の判定値以上であれば、統合移動領域Gが人体によるものであると判定する。なお、移動領域抽出手段12cにおいて統合移動領域Gの作成が行われなかった場合には、前述の人体検出判定は行われない。
ところで、人体検出手段12eは、移動領域抽出手段12cにより統合移動領域Gを抽出した後に当該統合移動領域Gが画像上から消失するまでの間の前記割合および統合移動領域Gの位置(例えば、重心位置)からなる統合移動領域情報を、RAMなどの記憶装置からなる領域情報記憶手段16に記憶するように構成されている。
加えて、人体検出手段12eは、領域情報記憶手段16に記憶された統合移動領域情報で表される統合移動領域Gが人体によるものでなければ、以後、前記統合移動領域情報に類似する統合移動領域情報で表される統合移動領域Gを人体ではないと判定するように構成されている。
したがって、人体検出判定を行うにあたっては、上述したような統合移動領域Gの前記割合に基づく人体判定に加えて、統合移動領域Gの位置および前記割合からなる統合移動領域情報が、領域情報記憶手段16に記憶された人体ではない統合移動領域Gの統合移動領域情報に類似するかどうかの判定が行われる。この判定の結果、統合移動領域情報が類似するならば、たとえ前記割合が所定の判定値以上であるような統合移動領域Gであっても人体によるものではないと判定される。なお、統合移動領域情報が類似するか否かは、人体検出判定の対象となる統合移動領域Gの位置および前記割合が、領域情報記憶手段16に記憶された統合移動領域情報における統合移動領域Gの位置および前記割合とどの程度異なっているかなどによって行う。
上述した人体検出判定により人体によるものであると判定された統合移動領域Gに含まれる移動領域Fについては、領域特徴量検出手段12dより得られたエッジ方向値分布を元にして人体検出が行われる(第3判定)。つまり、第3判定は、第1判定および第2判定により除去されなかった移動領域Fについて、その移動領域Fが人体によるものであるか否かの判定を行うものである。なお、移動領域抽出手段12cにおいて統合移動領域Gの作成が行われなかった場合には、第1判定で人体であると判定された移動領域Fについて第3判定が行われる。
この第3判定では、人体の輪郭(エッジ)には直線部分より曲線部分が多く且つ複雑な形状であるためにそのエッジ方向があらゆる方向に分布しているのに対して、構造物の影等のエッジは直線的な成分が多く、エッジ方向の分布が偏った分布になりやすいことを利用して人体検出を行い、例えば、エッジ方向値分布が偏りなく均等に分布していれば、人体であると判断する。なお、移動領域が人体を表わしている否かを判定するために、エッジ方向値分布をテーブルに格納し、人体の動きによるエッジ方向値分布テーブルと互いの分布を比較するようにしてもよく、その他の様々な方法を用いることができる。
信号処理手段14は、CPU等で構成されるもので、人体検出装置1の各手段の動作を制御する機能をソフトウェア等により実現しており、この信号処理手段14には、報知手段3が接続されている。そして、この信号処理手段14では、人体検知器2の後述する人体検知信号を受け取った際に、前述の開始信号を画像処理手段12に出力し、この後に、画像処理手段12から人体検出信号を受け取った際に、伝送手段15に伝送開始信号を出力するとともに、報知手段3に報知開始信号を出力するように構成されている。
また、信号処理手段14は、人体検出信号を受け取ってから所定時間が経過した後に、伝送手段15に伝送終了信号を出力するように構成されている。さらに、信号処理手段14は、人体検出信号を受け取ってから所定時間が経過した後に、報知手段2に報知終了信号を出力するように構成されている。なお、伝送終了信号及び報知終了信号を出力するタイミングは、使用者が自由に設定できるようにしてもよい。
伝送手段15は、出力データ変換手段11から出力されるNTSC信号を伝送用の信号に変調してドアホン親機Bへ出力するものであり、信号処理手段14から伝送開始信号を受け取った際に伝送を開始し、伝送終了信号を受け取った際に伝送を終了するように構成されている。なお、伝送手段15からドアホン親機Bへの画像データの伝送のタイミングは、撮像手段10の撮像のタイミングと同期させている。
人体検知器2は、人体検出装置1とは異なる方法で検知領域内の人体検知を行い、夜間においても感度低下を引き起こすことのないもので、検知領域からの熱線を集光する光学系を構成するレンズ2aと、集光した熱線の変化を電気信号に変換する焦電素子2bと、電気信号を増幅する増幅回路2cと、増幅した信号のレベルを閾値と比較して検知領域内の人の滞在を検知する比較器2dとを備え、人体から放出される熱線によって人体を検知した時には前述の人体検知信号を信号処理手段14へ出力する。
報知手段3は、侵入者に対して威嚇用の報知を行うためのものであって、視覚的な威嚇に用いられるライト3aや、聴覚的な威嚇に用いられるブザーやスピーカなどの電気音響変換器(図示せず)等を備えており、信号処理手段14から報知開始信号を受け取ってから報知終了信号を受け取るまでの間、ライト3aを点灯したり、電気音響変換器から音声を出力したりするように構成されている。
以上により撮像装置Aは構成されており、次に、ドアホン親機Bについて説明する。ドアホン親機Bは、図1に示すように、撮像装置Aから伝送された画像データに基づいて画像表示を行う監視装置B1を備えるとともに、ドアホン子器Cとの間で通話を行うための通話装置B2を備えている。
監視装置B1は、伝送手段(以下、「親側伝送手段」と称する)4と、信号処理手段(以下、「親側信号処理手段」と称する)5と、液晶ディスプレイ(LCD)等の画像表示手段6と、録画手段7と、RAM等の記憶装置からなる記憶手段7aと、再生手段8と、画像表示手段6の前面に設置される透明なタッチパネルなどからなる入力手段9とを備えている。親側伝送手段4は、撮像装置Aの伝送手段15と通信を行うためのものであり、撮像装置Aの伝送手段15と接続線Lによって接続されている。
親側信号処理手段5は、例えば、CPU等からなり、親側伝送手段4で受信した画像を復調して、順次画像表示手段6に表示する機能をソフトウェア等により実現している。録画手段7は、撮像装置Aから伝送された画像を記憶手段7aに順次録画するものである。再生手段8は、記憶手段7aに録画された画像を、画像表示手段6に表示するものである。
入力手段9は、ドアホン親機Bの各種機能をユーザが選択するために用いられる。また、入力手段9は、撮像装置Aで人体によるものであると判定された統合移動領域Gについて、その判定が誤りである場合に、当該統合移動領域Gが人体によるものではないことを撮像装置Aに通知する訂正信号を撮像装置Aに出力するためにも用いられる。
これに対応して、親側信号処理手段5は、入力手段9によって前記訂正信号を出力するための入力が為された際には、親側伝送手段4より前記訂正信号を出力するように構成されている。親側伝送手段4から出力された前記訂正信号は、接続線Lおよび伝送手段15を介して人体検出装置1の信号処理手段14に伝送される。
ここで、人体検出装置1の信号処理手段14は、前記訂正信号を受け取った際に、画像処理手段12に人体検出手段12eによる判定が誤りであることを示す誤検出信号を出力するように構成されている。また、人体検出手段12eは、前記誤検出信号を受け取った際に、人体であると判定した統合移動領域Gを人体によるものではないと訂正する、具体的には、人体によるものであるとして領域情報記憶手段16に記憶された統合移動領域情報を人体によるものではないと書き換えるように構成されている。以後、人体検出手段12eでは、書き換えられた統合移動領域情報に類似する統合移動領域情報で表される統合移動領域Gは、人体によるものではないと判定されることになる。
したがって、人体検出装置1において人体によるものではない統合移動領域Gを人体として判定してしまった際に、入力手段9によってその誤りを指摘することにより、人体検出手段12eでは、これ以後、誤検出した統合移動領域Gの統合移動領域情報と類似する統合移動領域情報を有する統合移動領域Gについては人体であると判定しないようになるので、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できる。
通話装置B2は、ドアホン子器Cとの間で通話を行うためのものであって、ドアホン子器Cとの間で音声データ等の送受信を行う通信部(図示せず)や、音声入力用のマイク(図示せず)、音声出力用のスピーカ(図示せず)等を備えている。なお、ドアホン子器Cがカメラ付きのものであるならば、ドアホン子器Cの動作時に、ドアホン子器Cのカメラで撮像した画像を、画像表示手段6に表示するようにしてもよい。なお、ドアホン子器Cについては従来周知のものを採用できるので説明は省略する。
以下に、本実施形態の人体検出装置1を備える撮像装置Aの動作について説明する。撮像装置Aは、起動している間は、常時、撮像手段10により所定領域を撮像しており、撮像手段10により得られた画像は、画像処理手段12に送られる一方、出力データ変換手段11を経由して伝送手段15に送られる。
ここで、人体検知器2によって人体が検知され人体検知信号が信号処理手段14に伝送されると、信号処理手段14から画像処理手段12に開始信号が出力されて、画像処理手段12に送られた画像には、上述したように画像処理手段12による解析処理が為され、人を検出した際には、人体検出信号が画像処理手段12から信号処理手段14へ出力される。
人体検出信号を受け取った信号処理手段14は、伝送手段15に伝送開始信号を出力するとともに、報知手段3に報知開始信号を出力し、報知手段3では、侵入者に対する威嚇用の報知が行われる。この報知は、例えば、信号処理手段14から報知終了信号を受け取るまで継続される。一方、伝送開始信号を受け取った伝送手段15では、出力データ変換手段11によりYUV信号からNTSC信号に変換された画像データが伝送用に変調されて、ドアホン親機Bへ順次伝送される。この伝送は、信号処理手段14からは伝送終了信号が出力されるまで継続される。
以上述べた本実施形態の人体検出装置1によれば、人体が移動した際には人体全体が移動領域Fとして抽出されることが比較的多い一方で、風に揺れる植物などの人体以外の移動体は全体ではなく縁部分のみが移動領域Fとして抽出されることが比較的多いことに着目して、統合移動領域Gの面積に対する当該統合移動領域Gに含まれる移動領域F群の総面積の割合が所定の判定値以上であれば、統合移動領域Gが人体によるものであると判定するから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことを抑制できて、人体検出の信頼性を向上できる。また、人体検出手段における演算処理を追加するだけでよいから、新規に機器などを追加する必要がなく、低コスト化が図れる。
また、人体検出手段12eは、移動領域Fのサイズを元にして当該移動領域Fが人体によるものか否かを判定する第1判定を行うことによって、移動領域Fのサイズによっても人体か否かの判定を行うから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できる。加えて、移動領域抽出手段12cで検出した移動体の移動領域Fに基づいて移動領域F内の移動エッジ部分の方向値を抽出してそのエッジ方向値分布を作成する領域特徴量検出手段12dを備え、人体検出手段12eは、領域特徴量検出手段12dより得られるエッジ方向値分布を元に人体検出を行うように構成されており、人体のエッジには直線部分より曲線部分が多く且つ複雑な形状であるためにそのエッジ方向があらゆる方向に分布していることを利用して、移動領域Fが人体であるか否かの判定を行うから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できる。
加えて、人体検出装置1は、前記所定領域を検知範囲とする赤外線を利用した人体検知器2を備え、人体検知器2により人体を検知した際に、人体検出手段12eにおいて人体検出判定を含む各判定を行うようにしているので、人体検知器2より人体が検知されていないときには、つまり人体である蓋然性がない移動領域Fしか得られていないときには、人体検出手段12eが人体検出判定を含む各判定を行わないから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できる。
また、人体検出装置1に、前記所定領域の風速を検出する風速計を設けて、風速計の出力が所定値以上である場合に、人体検出手段12eにおいて人体検出判定を行うようにしてもよい。このようにすれば、風速計の出力が所定値未満で、例えば、植物などが風で揺れないような場合には、植物などを人体として誤検出してしまう蓋然性が低いため、風速計の出力が所定値以上となり植物などを人体として誤検出してしまう蓋然性が高いときのみ人体検出手段12eにおいて人体検出判定を行うことで、処理速度の向上が図れる。
また、画像上における統合移動領域Gの位置によっては、撮像手段10のレンズの歪みや、周辺光量比などの影響によって、移動領域Fの面積が変化し、正しい前記割合の値が得られないおそれがある。そこで、人体検出手段12eにおいて人体検出判定を行うにあたっては、画像上における移動領域Fの位置に応じて前記判定値の値を、レンズの歪みなどの影響を考慮した値に変更することで、レンズの歪みなどの影響を補正するようにしてもよく、このようにすれば、さらなる信頼性の向上が図れる。
(実施形態2)
本実施形態の人体検出装置1は、人体検出手段12eにおける人体検出判定の方法が実施形態1と異なっており、その他の構成は同様であるから説明を省略する。
本実施形態における人体検出手段12eは、統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積を算出するにあたっては、移動領域F間で重複する部分である重複部O(図3(a)参照)の面積は算入しない(すなわち、統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積を算出するにあたっては、統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの面積の合計値から重複部Oの面積を減算する)ように構成されている。
例えば、図3(a)に示す統合移動領域G1の場合、移動領域F1と移動領域F2とが一部重複しているので、移動領域Fの面積の合計値から重複部Oの面積を減算した後に、統合移動領域Gの面積で除算するのである。なお、図3(a)に示す例では、前記割合が、約42%となり、いまだ前記判定値以上の値であるから、統合移動領域G1は人体によるものであると判定される。
以上述べた本実施形態の人体検出装置1によれば、統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積を算出する際に、移動領域F間において重複する部分である重複部Oの面積を算入しないので、統合移動領域Gに対して移動領域Fが占める面積の割合の正確な評価が行えるから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できて、人体検出の信頼性を向上できる。
(実施形態3)
本実施形態の人体検出装置1は、人体検出手段12eにおける人体検出判定の方法が実施形態1と異なっており、その他の構成は同様であるから説明を省略する。
本実施形態における人体検出手段12eは、統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積を算出するにあたっては、面積が所定の範囲内に含まれる移動領域Fのみを用いるように構成されている。ここで、前記所定の範囲とは、外乱などにより検出されてしまった移動領域Fを除外するために設定される範囲であり、どの程度の範囲とするかは、状況に応じて適宜設定すればよい。
例えば、図3(a)に示す統合移動領域G1の場合、移動領域F5,F6が他の移動領域F1〜F4に比べて非常に小さいので、移動領域F1〜F6のなかから移動領域F5,F6が除かれるように前記所定の範囲を設定する。この場合、移動領域F群の総面積は、移動領域F1〜F4の面積の合計値で与えられ、この合計値を統合移動領域Gの面積で除算することにより、前記割合が算出される。なお、図3(a)に示す例では、前記割合が、約42%となり、いまだ前記判定値以上の値であるから、統合移動領域G1は人体によるものであると判定される。
以上述べた本実施形態の人体検出装置1によれば、統合移動領域Gに含まれる移動領域F(図3(a)に示す例では、移動領域F1〜F6)のうちから外乱による移動領域F(図3(a)に示す例では、移動領域F5,F6)を除去することができるから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できて、人体検出の信頼性を向上できる。
ところで、本実施形態の技術思想は、実施形態2にも採用することができる。つまり、人体検出手段12eにおいて統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの総面積を算出するにあたっては、統合移動領域Gに含まれる移動領域Fの面積の合計値から移動領域F間で重複する部分である重複部O(図3(a)参照)の面積を減算するとともに、面積が所定の範囲内に含まれる移動領域Fのみを用いるようにしてもよい。このようにすれば、本実施形態の効果と上記実施形態2の効果とがあいまって、人体検出の信頼性のさらなる向上が図れる。
(実施形態4)
本実施形態の人体検出装置1は、人体検出手段12eにおける人体検出判定の方法が実施形態1と異なっており、その他の構成は同様であるから説明を省略する。
本実施形態における人体検出手段12eは、人体検出判定を行うにあたっては、時系列順に並んだ複数の画像間において統合移動領域Gを追跡し、追跡した統合移動領域Gについて前記複数の画像からその移動距離を算出して当該移動距離が所定距離以上で、且つ前記割合が所定の判定値以上であれば、当該統合移動領域Gが人体によるものと判定するように構成されている。
ここで、統合移動領域Gの移動距離を算出するにあたっては、まず、追跡した統合移動領域Gについて時系列的に隣接した画像間の動きベクトルを算出する。動きベクトルは、移動領域Fの重心位置の座標の差分を計算することによって算出することができる。次に、算出した動きベクトルの大きさの合計値を計算し、この合計値を移動領域の移動距離として用い、移動距離が所定距離以上であれば、移動領域を人体によるものであると判定する。なお、画像間における統合移動領域Gの追跡方法としては、統合移動領域Gの類似度を算出するなど、従来周知の方法を用いることができるから詳細な説明は省略する。
つまり、本実施形態の人体検出装置1によれば、人体による統合移動領域Gが所定方向に向かって移動するような挙動を示すことが比較的多い一方で、風に揺れる植物などの人体以外の移動体による統合移動領域Gは往復移動するような挙動を示すことが比較的多い点に着目して、時系列順に並んだ複数の画像から統合移動領域Gの移動距離を算出して当該移動距離が所定距離以上であれば当該統合移動領域Gが人体によるものと判定するから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことを抑制できて、人体検出の信頼性を向上できる。また、人体検出手段における演算処理を追加するだけでよいから、新規に機器などを追加する必要がなく、低コスト化が図れる。
ところで、人体検出判定を行うにあたっては、複数の画像間において統合移動領域Gが所定範囲外に移動していない場合には、前記所定距離を当該統合移動領域Gの最大移動距離より大きい値に設定するようにしてもよい。すなわち、所定範囲内に留まっているような統合移動領域Gは侵入者などの検出したい人体などの移動体である蓋然性が低く、このような統合移動領域Gの最大移動距離よりも前記所定距離を大きい値に設定して当該移動距離を人体として判定しないようにするのであり、このようにすれば、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できる。なお、前記所定範囲を大きく設定しすぎると、人体による統合移動領域Gも人体によるものと判定されなくなってしまうので、前記所定範囲の大きさは、移動領域の大きさなどに応じて適宜設定する必要がある。
また、統合移動領域Gの移動距離を、上記の方法の他に、動きベクトルの各成分の絶対値の合計値を用いて評価するようにしてもよく、このような場合は、移動距離のX軸方向成分(画像の横方向成分)がX軸方向用の所定距離以上で、かつY軸方向成分(画像の縦方向成分)がY軸方向用の所定距離以上であれば、その移動領域Fを人体によるものであると判定すればよい。このようにすれば、移動距離を算出するにあたっての計算量を減じることができて処理能力の向上が可能となる。
また、統合移動領域Gの移動距離を算出するにあたっては、統合移動領域Gの移動方向に応じて当該移動方向における統合移動領域Gの移動距離に重みを持たせるようにしてもよい。例えば、統合移動領域Gの動きベクトルをその方向によって45度刻みの8方向に分類し、方向毎に設定した重み当該方向の動きベクトルの大きさに乗算する処理を行う。このようにすれば、人体の移動方向が偏り易いような場合、例えば、人体が移動する方向となる蓋然性が高い移動方向における移動距離に重みを持たせて他の移動方向よりも移動距離が大きくなるようにすれば、人体とそれ以外の移動体との区別がし易くなり、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できる。
また、統合移動領域Gの移動距離を算出するにあたっては、統合移動領域Gの移動方向が同方向に連続した際に、当該移動方向に重みを持たせるようにしてもよい。例えば、統合移動領域Gの動きベクトルをその方向によって45度刻みの8方向に分類し、連続して同じ方向に移動した際に、方向毎に設定した重み係数を当該方向の動きベクトルの大きさに乗算する処理を行う。このようにすれば、統合移動領域Gの移動方向が同方向に連続した際に、当該移動方向に重みを持たせるから、例えば、同方向に進むために人体である蓋然性が高いものの移動速度が極端に遅いために移動距離が所定距離以上とならず人体と判定されないような移動領域であっても、人体として判定することが可能となるから、人体検出の信頼性を増すことができる。
また、統合移動領域Gの移動距離を算出するにあたっては、統合移動領域Gの動きベクトルの合成ベクトルの大きさを移動距離として用いるようにしてもよい。つまり、時系列順に並んだ複数の画像における時系列的に最初の画像の統合移動領域Gの位置から、時系列的に最後の画像の統合移動領域Gの位置に直線的に移動した際の動きベクトルの大きさを移動距離とするのである。このようにすれば、動きベクトルの大きさの合計値を移動距離とする場合と同様の効果に加えて、所定方向に向かって移動するような人体による統合移動領域Gと、往復移動するような風に揺れる植物などの人体以外の移動体による統合移動領域Gとを区別しやすくなり、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できて、人体検出の信頼性の向上が図れる。
この場合、移動距離を、動きベクトルの各成分の合計値を用いて評価するようにしてもよく、このような場合は、移動距離のX軸方向成分(画像の横方向成分)がX軸方向用の所定距離以上で、かつY軸方向成分(画像の縦方向成分)がY軸方向用の所定距離以上であれば、その統合移動領域Gを人体によるものであると判定する。このようにすれば、移動距離を計算するにあたっての計算量を減じることができて処理速度の向上を図ることが可能となる。
また、統合移動領域Gの移動距離を元にして人体か否かの判定を行う代わりに、統合移動距離Gの移動方向の分布を用いてもよい。例えば、人体検出手段12eにおいて、時系列順に並んだ複数の画像間において統合移動領域Gを追跡し、追跡した統合移動領域Gについて前記複数の画像において時系列的に隣接した画像間の動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルの方向毎に動きベクトルの総数に対する割合を算出し、所定方向の動きベクトルの割合が所定割合以上であれば当該統合移動領域Gが人体によるものと判定するようにしてもよい。
つまり、人体による統合移動領域Gが所定方向に向かって移動するような挙動を示すことが比較的多い一方で、風に揺れる植物などの人体以外の移動体による統合移動領域Gは往復移動するような挙動を示すことが比較的多い点に着目して、所定方向の動きベクトルの割合が所定割合以上であれば当該統合移動領域Gが人体によるものと判定するから、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことを抑制できて、人体検出の信頼性を向上できる。また、人体検出手段12eにおける演算処理を追加するだけでよいから、新規に機器などを追加する必要がなく、低コスト化が図れる。
なお、上記の例では、所定方向の動きベクトルの割合が所定割合以上であれば、その移動領域が人体によるものであると判定するようにしているが、風に揺れる植物などの移動方向が特定の方向に偏り易いのに対して人体は全方向に移動する可能性がある点を考慮して、全方向の動きベクトルの割合全てが所定割合以上であれば、人体と判定するようにしてもよい。
また、統合移動領域Gの動きベクトルの方向毎の割合と、統合移動領域Gの移動距離とを併用して人体か否かの判定を行うようにしてもよく、このようにすれば、人体以外の移動体を人体として誤検出してしまうことをさらに抑制できて、人体検出の信頼性のさらなる向上が図れる。