JP3790599B2 - 引き戸用鎌錠 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き戸を閉めた際に自動的に鎌部材が出て、戸枠体側の掛止部材へ引っ掛かり(仮施錠状態や空締まり状態ともいう)、引き戸を開ける際に鎌部材が掛止部材から自動的に外れて、錠内へ収納されるようにした引き戸用鎌錠に関するものであり、特に引き戸を閉めた際に戸枠体側との衝突でバウンドして、鎌部材が掛止部材から勝手に外れるのを確実に防止でき、かつ引き戸を開ける際は軽い力で開けられるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
引き戸用鎌錠は、かつては和風家屋の出入り口等の引き戸に設けられることが多かったが、近時は家屋内で風呂・トイレ・勉強部屋のような個室の出入り口の引き戸に設けられることも多くなっている。
この引き戸用鎌錠は、従来より用途・機能等によって幾つかのものに分類できるが、大別すると次のようなものがある。
【0003】
a)第1に、引き戸を閉じた後に手動で鎌部材を突出させて戸枠体の掛止部に掛止させ、また引き戸を開ける際も手動で鎌部材を掛止部から外し錠ケース内へ収納させてから、引き戸を開けるようにしたもの(例えば実開平5−47263号公報参照)。
b)第2に、引き戸が閉まった際に鎌部材が自動的に錠から出て、戸枠体の掛止部へ引っ掛かるが、引き戸を開ける際は手動で鎌部材を掛止部から外し錠ケース内へ収納させてから、引き戸を開けるようにしたもの(例えば実開昭60−135460公報、実開平7−26549号公報参照)。
【0004】
c)第3に、引き戸が閉まった際に鎌部材が自動的に錠から出て、戸枠体の掛止部へ引っ掛かり、かつ引き戸を開けると鎌部材が自動的に掛止部から外れ、錠ケース内へ収納されるようにしたもの(例えば特公昭56−33553公報、実公平3−24778号公報、特開平8−86132号公報等参照)、がある。
本発明の引き戸用鎌錠は、上記c)の第3のものに属するので、それらを少し詳しく述べる。
【0005】
) まず特公昭56−33553公報には、錠ケース内に鎌部材を先端部が前・後方向へ回動して出入自在に軸支し、該鎌部材の支軸を錠ケースの前後方向の長孔に移動自在に係合させて、該支軸を常時は後方へ付勢する引っ張りバネを設け、また錠ケースにトリガーを先端部が前・後方向へ出入自在に設けて、該トリガー部材と鎌部材間にトリガー後退時に鎌部材を前方へ回動させる作動部材を連結し、かつトリガーを常時は前方へ付勢する引っ張りバネを設けたものが記載されている。なお、別のロックレバーにより仮施錠状態時の鎌部材を掛止して、ロックすることも可能である。
【0006】
これは、引き戸を閉めた際に、突出したトリガーが戸枠体に当たり錠ケース内へ後退することで、これと連動した作動部材を介して鎌部材の先端部が前方へ回動し始め、引っ張りバネの付勢でさらに前方へ回動して、戸枠体の掛止部に掛止され、仮施錠状態となる。また引き戸を開けた際には、鎌部材は先端部が掛止部内面に当たった状態で後方へ引かれて前倒しになるが、さらに引かれて鎌部材は支軸を中心に後方へ回動し、掛止部から外れて錠内へ没入して仮施錠状態が解かれる。
【0007】
上記の引き戸を閉めた際に、錠は鎌部材で施錠状態になるが、鎌部材はその先端部を掛止部に引っ掛けた状態で支軸が引っ張りバネで引かれ、引き戸が戸枠体側へ引っ張られているため、戸枠体が傾斜していても閉戸状態が維持されると共に、引き戸を閉めた際にバウンド(はね返り)が防止されている。
) 次に、実公平3−24778号公報に記載のものは、トリガーが戸枠体側から突出したものであるため、それに対応してその構造は上記特公昭56−33553公報に記載のものと少し異なるが、引き戸を閉めた際に後退するトリガーが鎌錠内の第1作動部材を後退させ、これが第2作動部材を介して鎌部材を前方へ回動・突出させて、戸枠体の掛止部へ掛止させると共に、引き戸を閉じた際にトリガーから外れた第1作動部材が前進し、第2作動部材を介して鎌部材をねじりコイルバネに抗して後方へ回動可能としてある。なお、別のロックレバーにより仮施錠状態時の鎌部材を掛止して、ロックすることも可能である。
【0008】
上記の引き戸を閉めた際に、錠は鎌部材で仮施錠状態になるが、鎌部材は先端部を係止部に係止された状態でねじりコイルバネで後方へ引かれ、引き戸が戸枠体側へ引き寄せられるため、戸枠体が傾斜していても閉戸状態が維持されると共に、引き戸を強い勢いで閉めた際のバウンドも防止されている。
) 更に、特開平8−86132号公報の請求項2および図面には、錠ケース内にトリガーバネにより出没自在に嵌装されたトリガーと、該トリガーとの間に形成されたラックとピニオンの変換機構を介して、トリガーの後退により突出され、かつトリガーの突出により後退される鎌部材と、回動突出された鎌部材の係止部を施解錠操作部材の作動により係止して、該鎌部材の後退を阻止し本施錠状態とする係止片とを備え、上記トリガーには係合凹部を形成すると共に、閉戸時にトリガーが後退位置へきた際に係合凹部へ係合するストッパー部材をバネにより付勢して設けたものが記載されている。
【0009】
これは、引き戸を閉めた際にトリガーが後退することで、変換機構を介して鎌部材が前方へ回動し先端部が戸枠体の掛止部に掛止されて仮施錠状態となる。また引き戸を開ける際には、先端部が掛止部に引っ掛かった鎌部材が強制的に引かれるので、鎌部材が後方へ回動し始めるが、それに伴い変換機構によりトリガーは前方へ移動され、かつストッパー部材も係合凹部から外れて前方へ突出し、同時に鎌部材がさらに後方へ回動して掛止部から外れて錠ケース内へ没入し、仮施錠状態が解かれる。
【0010】
上記の引き戸を閉めた際に、錠は鎌部材で施錠状態にあるが、後退位置のトリガーはその係合凹部にストッパー部材が係合して前進を係止されており、ラックとピニオンの変換機構を介して鎌部材も不用意に後方へ回動するのを阻止されている。そのため、戸枠体が傾斜していても閉戸状態が維持されると共に、引き戸を強い勢いで閉めた際のバウンドが防止されている。
【0011】
なお、室内側の操作部を操作することで、施解錠操作部材が作動して仮施錠状態時の鎌部材の係止部を係止し、鎌部材の後方への回動を阻止して本施錠状態になるし、かつその係止部の係止を解くことで仮施錠状態に戻すこともできるようにしてある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバウンド防止を考慮した引き戸用鎌錠では、上記イ、ロで示した錠の如く鎌部材を引っ張りバネやねじりコイルバネで後方へ引っ張って、引き戸を戸枠体側へ引き寄せるようにしたり、で示した錠の如くトリガーを係止するストッパー部材をバネで押圧したりして、引き戸を閉めることで自動的に一旦戸枠体の掛止部に引っ掛かった鎌部材が、引き戸のバウンドで不用意に後方へ回動して外れることの無いようにしてある。
【0013】
ところで、引き戸を閉めた際のバウンドの大きさは、例えば引き戸の重さや引き戸と敷居やレールとの関係等で違いが生じる。例えば引き戸が軽いものであったり、敷居やレールが滑り易かったりすると、引き戸は大きくバウンドして開く方向へ移動しようとする。そのため、引き戸のバウンドが大きい場合には、引き戸を開ける際に自動的に仮施錠状態が解除されるのと同様に、上記のバネに抗して鎌部材が後方へ回動しまたはトリガーが前進して、鎌部材の先端部が掛止部から外れてしまうことがある。
【0014】
そこで上記従来のイ、ロ、ハで示した引き戸用鎌錠では、大きなバウンドに対応すべく、鎌部材を後方へ引く引っ張りバネやねじりコイルバネ、あるいはストッパーを押圧するバネのバネ力を、予め強いものに設定しておくことが考えられる。これは確かに引き戸が大きくバウンドしようとしても、該バネの力で鎌部材が不用意に後方へ回動することを阻止し、バウンドを抑えることができる。
【0015】
しかしそれでは、引き戸を開ける際に先端部が掛止部に引っ掛かった鎌部材を後方へ回動させるために、その強いバネ力に打ち勝つ大きな力で引き戸を引っ張ることが必要となる。例えば病弱者や老人・子供等には、この引き戸用鎌錠の付いた引き戸を開けられなくなってしまうし、引き戸を開けることで仮施錠状態が自動的に解除できるというこの錠の主要な特徴を失うことになってしまう、という問題点がある。
【0016】
本発明は、引き戸の閉または開により、自動的に仮施錠状態になったり解除されたりする構造の引き戸用鎌錠において、上記の問題点をシンプルな構成で解決することを課題としたものである。即ち本発明の目的は、引き戸を開けた際に仮施錠状態が自動的に解除される機能を害することなく、引き戸のバウンド防止を確実に行えると共に、軽い力で引き戸を開けることができる、引き戸用鎌錠を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
(A) 本発明に係る引き戸用鎌錠の第1のものは、
錠ケース3内に、閉戸時に戸枠体2への当接で後退するトリガー9と、その後退時に鎌部材4を前方へ回動させる作動部材10と、前方への回動で戸枠体2の掛止金具7の掛止部材8へ先端部6が掛止可能な鎌部材4と、該鎌部材4を一定の基準線Lを境に前方または後方へ付勢するバネ11を備えた引き戸用鎌錠において、上記鎌部材4の下方位置に、下部に重り部16を有し上部寄りに腕片17をもつと共に、引き戸1を閉めた際の慣性力で揺動可能な揺動部材15を横軸18で軸支し、戸枠体2の掛止部材8へ掛止状態になった直後の鎌部材4の周端縁の一部19を、該揺動部材15の腕片17で一瞬間だけ支承可能としてなるものである。
【0018】
(B) 本発明に係る引き戸用鎌錠の第2のものは、錠ケース3内に、閉戸時に戸枠体2への当接で後退するトリガー9と、その後退時に鎌部材4を前方へ回動させる作動部材10と、前方への回動で戸枠体2の掛止金具7の掛止部材8へ先端部6が掛止可能な鎌部材4と、該鎌部材4を一定の基準線Lを境に前方または後方へ付勢するバネ11を備えた引き戸用鎌錠において、上記鎌部材4の下方位置に、下部に重り部16を有し上部寄りに腕片17をもつと共に、引き戸1を閉めた際の慣性力で揺動可能な揺動部材15を横軸18で軸支し、戸枠体2の掛止部材8へ掛止状態になった直後の鎌部材4の周端縁の一部19を、該揺動部材15の腕片17で一瞬間だけ支承可能とし、かつ、上記鎌部材4の支軸5を軸支する長孔20を、前下方へも長く形成してなるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記第1ないし第4の各引き戸用鎌錠において、バネ11は、ねじりコイルバネが望ましく、一定の基準線Lを境にして、鎌部材4を前方(掛止金具7のある方向,例えば図3で左方向)へ回動するように付勢し、または後方(錠ケース3の奥側への方向,例えば図2で右方向)へ回動するように付勢する如く、一端部13を鎌部材4に取付けてある。また該バネ11の他端部14は、作動部材10の軸34またはその他の箇所で、作動部材10や揺動部材15の動きを妨げぬ位置に掛止すればよい。
【0020】
上記で一定の基準線Lとは、鎌部材4の支軸5とバネ11の他端部14とを結ぶ線を示し、鎌部材4に取付けたバネ11の一端部13の位置Qが該基準線Lよりも前方にある際に、バネ11のバネ力は鎌部材4を前方へ回動するように付勢し、該基準線Lよりも後方にある際に、鎌部材4を後方へ回動するように付勢することになる。
【0021】
上記バネ11は、ねじりコイルバネに限らず圧縮コイルバネを用いてもよい。その場合の図示は省略するが、上記ねじりコイルバネと同様に圧縮コイルバネの一端部を、鎌部材4の先端部6が突出時の該鎌部材4の支軸5の下方位置に取付け、他端部を作動部材10の軸34またはその他の箇所で作動部材10や揺動部材15の動きを妨げぬ位置に掛止すればよい。この場合の基準線も、鎌部材4の支軸5とバネ11の他端部14とを結ぶ線である。
【0022】
上記引き戸用鎌錠の第1または第2のものにおいて、揺動部材15の上部寄りの腕片17は前部に設けておき、重り部16が前方へ揺動した際にその位置がより上方へ回動するようにしておくのがよい。
鎌部材4の周端縁の一部19と揺動部材15の腕片17との関係は、引き戸1を閉めて鎌部材4の先端部6が、戸枠体2の掛止金具7の掛止部材8へ掛止状態になった際に、慣性力で下部の重り部16が前方へ揺動した揺動部材15の腕片17が、その状態の鎌部材4の周端縁の一部19を一瞬間だけ支承し(図3,図5参照)、その後に重り部16が後方へ揺動した際に、腕片17が鎌部材4の周端縁の一部19から離脱するもの(図4,図6参照)である。
【0023】
上記第1または第2のものにおいて、鎌部材4の周端縁の一部19は揺動部材15の腕片17で支承される部分である。該周縁部の一部19は、重り部16の前方への揺動で一瞬間だけ支承した腕片17が、重り部16の後方への揺動でスムーズにそこから離れるように、腕片17の先端部が揺動する際の軌跡に対応して、側面図で見て円弧状の凹状部19に形成しておくのがよい。
【0024】
上記で、鎌部材4の周端縁の一部19と腕片17の側端面とは、引き戸1のバウンドで鎌部材4が後方へ回動しようとする瞬間に当接するが、鎌部材4は常時バネ11で上方へ付勢されているから、両者間には僅かな間隙が生じており、揺動部材15の自重で腕片17が前下方へ回動する際に支障とならないようになっている。
【0025】
上記第2のもので、鎌部材4の支軸5を軸支する長い長孔20を前下方へも長く形成したのは、上記と同様に揺動部材15の重り部16が前方へ揺動した際に一瞬間だけ支承した腕片17が、重り部16の後方への揺動でスムーズにそこから離れるようにするためである。
上記引き戸用鎌錠の第3または第4のものにおいて、係止片21は鎌部材4の支軸5のほぼ下方位置に設けておくことが良く、上下方向へ移動可能としてあるが、該係止片21を上方へ押すように押しバネ22を設けてある。
【0026】
鎌部材4に形成された凹欠部23は、引き戸1を閉め戸枠体2の掛止金具7の掛止部材8へ掛止された状態時に、上記係止片21の先端が引っ掛かる程度のもので、深くする必要はない。
上記押しバネ22と凹欠部23の関係は、引き戸1を閉じた際に、掛止金具7の掛止部材8へ先端部6が掛止された鎌部材4が、引き戸1のバウンド(跳ね返り)により後退して、後方へ回動し始めようとするのをその段階で係止し、かつ引き戸1を開ける場合には、鎌部材4が後方へ回動しようとするのを妨げぬ程度のもので足り、強力なものである必要はない。
【0027】
上記第4のものにおいて、押しバネ22の下方位置に設けたバネ力調節部24は、引き戸1の種類や引き戸を設けた場所その他の状況により、バネ力の調節が必要となる場合のためである。このバネ力調節部24としては、例えば押しバネ22の下部に偏心カム25を設けると共に、該偏心カム25の回動軸26を錠ケース3の前面板27側から回動操作可能に設けておき、前面板27側からの操作で偏心カム25を回動させ、押しバネ22の下端を押上げまたは下げられるようにすればよい(図8参照)。
【0028】
しかしバネ力調節部24は上記のものに限らず、図示は省略するが、押しバネ22の下端を支持するラックを設け、該ラックと噛合するピニオンの回動軸を、錠ケース3の前板面27側から回動操作可能に設けることにより、ラックの昇降を介して押しバネ22の下端を押し上げるようにしてもよい。
上記第1ないし第4のものにおいて、鎌部材4の先端部6は、側面図で見て円弧状に形成すると共に、掛止金具7の掛止部材8で鎌部材4の先端部6が掛止される側の下半部を、鎌部材4の後退する方向へ傾斜状に形成しておくことが望ましい。これは、鎌部材4の先端部6の掛止が外れ易くするためである。
【0029】
同じく第1ないし第4のものにおいて、錠ケース3の前面板27には位置決め用突起28を形成し、かつ戸枠体2の掛止金具7に、上記突起28を係合可能な位置決め用凹所29を形成すると共に、掛止金具7の取付け孔30を上下方向への長孔に形成しておくことが望ましい。これは、鎌部材4の先端部6が掛止金具7の掛止部材8へ適正に掛止されることを維持するためである。
【0030】
なお、上記各引き戸用鎌錠において、鎌部材4を本施錠状態にするためには、トリガー9の後部寄り部分にロック用係止部33を形成すると共に、後退位置にあるトリガー9の該ロック用係止部33を掛止すべく、室内側の施錠操作部32の操作で作動可能なロック部材31を設けておけばよい。
上記本発明に係る引き戸用鎌錠の作動状態は、次のようになる。上記第1ないし第4の各引き戸用鎌錠において、引き戸1が開いた状態では、鎌部材4は後方へ回動して錠ケース3内へ没入しており、かつトリガー9はその状態の鎌部材4に対応して作動部材10で前方へ押され、錠ケース3の前面板27の孔部から前方へ突出している。
【0031】
引き戸1を閉じた際には、まずトリガー9の先端が戸枠体2の前面に当接して後退し始める。該トリガー9の後退に伴い、それと鎌部材7とを連結した作動部材10が、鎌部材4に一端部13を取付けたバネ11のバネ力に抗して、該鎌部材4を前方へ押して回動させ始める。
該鎌部材4の前方への回動により、バネ11の一端部13の位置Qが、鎌部材4の支軸5と該バネ11の他端部14とを結ぶ基準線L上より前方へ出ると、バネ力は鎌部材4を前方へ回動させる方向へ付勢することになる。そのため、鎌部材4は自動的に前方へ回動され、その先端部6が戸枠体2の掛止金具7内へ入って掛止部材8で掛止され、該引き戸用鎌錠が自動的に仮施錠状態となる。
【0032】
この仮施錠状態を更に本施錠状態にするには、その際に後退位置にきているトリガー9に対し室内側の施錠操作部32を操作して、ロック部材31をトリガー9のロック用係止部33に係合させればよい。トリガー9が後退位置で固定・維持されることで、該トリガー9に一端部を連結された作動部材10も回動が阻止され、その他端部が連結された鎌部材4も、先端部6が上記掛止部材8に掛止された状態を維持され、本施錠状態となる。
【0033】
引き戸1を開ける場合は、上記引き戸用鎌錠が仮施錠状態にあるならば、そのまま引き戸1を開ければよく、本施錠状態にあるなら室内側の施錠操作部32を操作して、トリガー9のロック用係止部33からロック部材31を離脱させた後に、引き戸1を開ければよい。
引き戸1が開けられると、鎌部材4の先端部6が掛止金具7の掛止部材8に引っ掛かったままで、引き戸1・錠ケース3と一緒に鎌部材4の支軸5も離れていくから、鎌部材4が遂には該支軸5を中心に後方へ回動し始め、その先端部6が掛止部材8から外れる。
【0034】
鎌部材4の後方への回動で、バネ11の一端部13が、基準線L即ち鎌部材4の支軸5と該バネ11の他端部14とを結ぶ線よりも後方位置へ来ると、該バネ11のバネ力はそれまで鎌部材4を前方へ付勢していた状態から、後方へ付勢する状態に変わる。これで、鎌部材4は支軸5を中心にさらに後方へ回動し、錠ケース3内へ自動的に没入し解錠されることになる(図2)。
【0035】
ところで、引き戸1を閉めた場合に、戸枠体2との衝突で引き戸1がバウンドし(跳ね返り)、鎌部材4の先端部6も掛止部材8から外れてしまい、引き戸1が開くことがある。鎌部材4の先端部6が掛止金具7の掛止部材8に掛止された状態では、バネ11が鎌部材4を前方へ回動する方向へ付勢しているから、通常は引き戸1がバウンドしようとしても、鎌部材4の先端部6の掛止は外れず、引き戸1が開くようなことはない。
【0036】
しかし、引き戸1を閉める力が強すぎたり、引き戸1が軽かったり、戸車とレール等との滑りが良過ぎたりした場合には、引き戸1を閉めた際に戸枠体2との衝突によるバウンド力が大きくなる。鎌部材4の先端部6が掛止部材8に一旦掛止されても、バウンド力がバネ11の力より大きいと、上記の引き戸1を開ける場合と同様に、鎌部材4が支軸5を中心に後方へ回動し始め、先端部6が遂には掛止部材8から外れ、引き戸1が開いてしまう。
【0037】
その防止のために、本発明の引き戸用鎌錠の第1のものでは、鎌部材4の下方位置に、下部に重り部16を有し上部寄りに腕片17をもつ揺動部材15を横軸18で軸支し、引き戸1を閉めた際の慣性力で揺動する該揺動部材15が、掛止金具7の掛止部材8へ掛止状態になった直後の鎌部材4の周端縁の一部19を、上記腕片17で一瞬間だけ支承可能としてある。
【0038】
これにより、引き戸1を閉めた際には、上記の如く鎌部材4が前方へ回動して先端部6が掛止金具7の掛止部材8へ掛止されるが、それと同時に引き戸1を閉めた際の慣性力で、揺動部材15が下部の重り部16を前方へ揺動させる。そのため、該揺動部材15上部寄りの腕片17がより上方へ回動し、その側端部が掛止状態になった直後の鎌部材4の周端縁の一部19の後下方へ来て、該周端縁19を後下方から一瞬間だけ支承可能となる(図3参照)。
【0039】
これで、引き戸1が戸枠体2との衝突でバウンドして後退し、鎌部材4が支軸5を中心に後方へ回動しようとした際には、該鎌部材4は後下方を揺動部材15の腕片17で支承され、回動を阻止されているから、鎌部材4は回動せずその先端部6が掛止部材8と掛止状態のままであり、鎌部材4を前または後方へ押圧するバネ11の力を強くせずとも、バウンドで引き戸1が開くようなことは無い。
【0040】
上記で鎌部材4が腕片17により回動を阻止されるのはほんの一瞬間だけである。即ち、引き戸1を閉めた際の慣性力で一旦前方へ揺動した揺動部材15下部の重り部16は、その後自重で直ちに後方へ揺動するから、上部寄りの腕片17は直ちに前下方へ回動して、鎌部材4の周端縁の一部19の後下方から直ちに離れ、支承状態が解除される。
【0041】
なお、鎌部材4の周端縁の一部19と腕片17の側端面とは、引き戸1のバウンドで鎌部材4が後方へ回動しようとする瞬間に当接するが、鎌部材4は常時バネ11で上方へ付勢されているから、両者間には僅かな間隙が生じており、揺動部材15の自重で腕片17が前下方へ回動する際に支障とはならない。
そのため、後に引き戸1を開ける場合には、鎌部材4は揺動部材15の腕片17による支承を受けておらず、揺動部材15を備えないものと同様の軽い力で引き戸1を開けることができて、老人や子供等でも容易に自動的に仮施錠を解除できる。
【0042】
次に、本発明の引き戸用鎌錠の第2のものでは、上記第1のものに加えて鎌部材4の支軸5を前下方へ長い長孔20にて軸支させてある。そのため、引き戸1を閉めた際には、上記第1のものと同様に、鎌部材4が前方へ回動して先端部6が掛止金具7の掛止部材8へ掛止されると同時に、引き戸1を閉めた際の慣性力で揺動部材15の腕片17が、鎌部材4の周端縁の一部19を後下方から支承する(図5参照)。
【0043】
これで、先端部6を掛止された鎌部材4は、上記第1のものと同様に、引き戸1のバウンドで後退し後方へ回動しようとしても、腕片17で回動が阻止されているから、掛止部材8と先端部6の掛止が解かれず、引き戸1がバウンドで開くことはない。
そしてこの第2のものでは、鎌部材4の支軸5が前下方へ長い長孔20に係合させてあるから、引き戸1がバウンドしようとした際、先端部6を掛止部材8に掛止された鎌部材4は、支軸5が前下方へも長い長孔20に沿って前下方へ移動する。これで、鎌部材4の周端縁の一部19とそれを後下方から支承する揺動部材15の腕片17との間に、僅かながら前後方向に少し隙間が生じる。他面で、該鎌部材4はバネ11で常に上方へ付勢を受けているから、その後直ちに長孔20に沿って押し上げられ、ここでも周端縁の一部19とそれを後下方から支承する揺動部材15の腕片17との間で、僅かながら上下方向に隙間が生じる。
【0044】
この隙間により、揺動部材15の腕片17は、鎌部材4の周端縁の一部19からより一層容易に滑り落ちて離れることになり、支承状態が解除される(図6参照)。そのため、後に引き戸1を開ける場合に、上記第1の場合と同様に鎌部材4は軽い力で開けられることになり、老人・子供等でも仮施錠状態を自動的に解除することができる。
【0045】
次に、本発明の引き戸用鎌錠の第3のものでは、鎌部材4の下方位置に、押しバネ22で上方へ付勢された係止片21を設け、掛止金具7の掛止部材8へ先端部6が掛止された際の鎌部材4の下端縁の位置に、係止片21引っ掛かる凹欠部23を形成してある。
これにより、引き戸1を閉めた際に鎌部材4が前方へ回動して、先端部6が掛止部材8へ掛止されると同時に、その状態の鎌部材4下端縁の凹欠部23部に、押しバネ22で付勢された係止片21が下方から係合する(図7参照)。そのため引き戸1を閉めた際に、戸枠体2との衝突で引き戸1がバウンドし、鎌部材4を後退・回動させようとしても、凹欠部23が係止片21で掛止されており鎌部材4は回動しない。これで、鎌部材4の先端部6は掛止部材8から外れず、引き戸1がバウンドで開くことがない。
【0046】
上記で押しバネ22付き係止片21は、鎌部材4のほぼ下方位置に設けてあるから、支軸5を中心に回動する鎌部材4に対し、押しバネ22のバネ力を受けた係止片21はほぼ垂直状に作用している。そのため、この押しバネ22付き係止片21による力は、鎌部材4が後方へ回動する際に回動を阻止する分力としてはさほど大きくないから、引き戸1を引いて開けようとする場合に、該バネ付き係止片21を持たぬものと殆ど同様の力で、軽く引き戸1を開くことができ、仮施錠を自動的に解除できる。
【0047】
また、本発明の引き戸用鎌錠の第4のものでは、上記第3のものに加えて、押しバネ22の下方位置に、該バネ22の下端を押上げまたは下げることを可能にバネ力調節部24を設けてある(図8参照)。
この場合も、上記第3のものと同様に、引き戸1を閉めた際に鎌部材4の先端部6が掛止部材8へ掛止されると同時に、その状態の鎌部材4下端縁の凹欠部23へ押しバネ22付き係止片21が下方から係合する。そのため、鎌部材4は回動を阻止され先端部6が掛止部材8へ掛止したままであり、引き戸1がバウンドで開いたりしない。また引き戸1を引いて開けようとする場合は、このバネ付きの係止片21を持たぬものと殆ど同様の力で、自動的に仮施錠を解除できる。
【0048】
しかし、引き戸1の種類や設置場所その他の状況によっては、上記押しバネ22のバネ力を調節する方がよいこともある。そのような場合に、バネ力調節部24を錠ケース3の前面板27側から操作して、押しバネ22下端を上または下へ移動させればよい。
これで、押しバネ22のバネ力を強・弱に調節し適切なものにできて、引き戸1を閉めた際は確実に自動的に施錠状態となり、バウンドで引き戸1が開くことも無く、また引き戸1を開ける際に大きな力を必要とせず、老人等でも容易に仮施錠を解除することができるように設定することができる。
【0049】
なお、上記第1ないし第4のもので、鎌部材4の先端部6を側面図で見て円弧状に形成すると共に、掛止金具7の掛止部材8を、鎌部材4の先端部6が掛止される側で下半部を下部寄り程手前へ傾斜状に形成してあれば、引き戸1を開けて鎌部材4が後方へ回動する際に、先端部6が掛止部材8から一層スムーズに外れ易くなり、軽い力で引き戸1を開けられる。
【0050】
さらに、錠ケース3の前面板27に位置決め用突起28を形成し、かつ掛止金具7に上記突起28を係合可能な位置決め用凹所29を形成すると共に、掛止金具7の取付け孔30を上下に長く形成してあれば、掛止部材7の取付位置を該取付用孔30で下方へ移動させることができる。例えば、当初の取付位置の誤差や戸車やレールの磨耗等で、鎌部材4の先端部6が掛止金具7の掛止部材8へ適正に掛止されないような場合に、常に突起28が凹所29に係合するようにして、鎌部材4の先端部6が係止部材8へ適正な掛止状態を維持できる。
【0051】
【実施例】
まず、図2ないし図4は、本発明に係る引き戸用鎌錠の第1のものの実施例を示し、図5および図6は第2のものの実施例を示す。
上記いずれのものも、錠ケース3は、引き戸1の前部に形成した凹所内に、前面板27が露出するように取付けられている(図1参照)。該錠ケース3内で前上部寄りに、鎌部材4が基部を支軸5で回動可能に設けてあり、該鎌部材4は、先細の先端部6が錠ケース3の前面板27の開口から出て戸枠体2の前部に取り付けた掛止金具7に係合し、係止部材8で掛止可能としてある。また該鎌部材4の支軸5は、錠ケース3の両側板に形成した前後方向の長孔20に係合させてあり、その上部寄りに設けた短いねじりコイルバネ12で常時は該長孔20の前部寄りへ付勢されている。
【0052】
錠ケース3内の下部寄りには、トリガー9を前後方向へ移動可能に設けて、後記作動部材10を介して後記バネ11の付勢を受け、周知のものと同様に常時は先部寄りが錠ケース3の前面板27の丸孔から突出可能で、かつ先端が戸枠体2の前面に当接して押された際に、錠ケース3内へ後退・没入可能としてある。
上記鎌部材4とトリガー9間には、板状の作動部材10を連結させてあるが、後記揺動部材15を避けて略くの字状をしている。即ち該作動部材10は、下部寄り部分を錠ケース3に固定の軸34にて回動可能に軸支してあり、鎌部材4とは、その上部に設けたピン35を鎌部材4中央部寄りに形成の円弧状長孔36に係合させて連結し、他方トリガー9とは、該作動部材10下部に形成した二股部45に、トリガー9後部寄り側部に突設したピン37に套合させ連結してある。なお、該ピン37に対しては、錠ケース3の側面にガイド用長孔38を形成してあり、トリガー9の出入をガイドしている。
【0053】
また上記鎌部材4には、該鎌部材4が一定位置から前方へ回動時に前方へ付勢し、後方へ回動時に後方へ付勢する如くバネ11を設けてある。即ち、ここではバネとしてねじりコイルバネ11を用いており、該バネ11の一端部13を、鎌部材4の先端部6が突出時の該鎌部材4の支軸5の下方位置にバネ支持ピン39にて取付け、その中心点をQとする。そして、該ねじりコイルバネ11の他端部14を、ここでは上記作動部材10の軸34に掛止させて、その中心点をPとしてある。
【0054】
なお上記バネ11は、ねじりコイルバネに限らず圧縮コイルバネを用いてもよく、図示は省略するが、その場合も該圧縮コイルバネの一端部は、鎌部材4の先端部6が突出時の該鎌部材4の支軸5の下方位置に取付け、他端部は作動部材10の軸34またはその他の箇所で作動部材10や揺動部材15の動きを妨げぬ位置に取付ければよいことは上記のとおりである。
【0055】
上記トリガー9は、前部寄り部分40と後部寄り部分41との2部品で構成してある。これは、引き戸1と戸枠体2間に衝突音減少用クッション材(図示略)を装着した場合に、その厚みで生じる間隙分だけ余分に突出可能とするためであり、その前部寄り部分40には後方へ雄ネジ部を突設し、後部寄り部分41の前端面から後方へ雌ネジ部を形成して、両者は螺合して長さを調節し一体化してある。
【0056】
そして、ここでは上記鎌部材4の下方位置に、下部に重り部16を有すると共に上部寄りに前方への腕片17をもつほぼ逆L字形状の揺動部材15を、その上部寄りに横軸18を通挿して軸支してある。該揺動部材15は、引き戸1を閉めた際の慣性力で下部の重り部16が前・後方へ揺動可能なものであり、該腕片17の側端面を円弧状に形成してある。
【0057】
また上記鎌部材4の周端縁の一部、ここでは戸枠体2の掛止部材8へ掛止状態になった際の後下部を凹状部19に形成してある。該凹状部19は、上記揺動部材15が揺動時に腕片17の側端面が描く軌跡に沿った円弧状に形成したものである。
上記揺動部材15の腕片17と鎌部材4の凹状部19とは、引き戸1を閉めた場合に鎌部材4の先端部6が戸枠体2の掛止部材8へ掛止され、その際の慣性力で揺動部材15の重り部16が前方へ揺動し、腕片17が後方へ揺動した状態時に、腕片17の側端面が凹状部19の後下部へ来て後下方から一瞬間だけ支承可能としてある。
【0058】
この腕片17による鎌部材4の支承は上記の如く一瞬間であり、揺動部材15の重り部16がその後に後方へ揺動し、腕片17が前方へ揺動した際には、腕片17は鎌部材4の凹状部19からの後下方から離れ、支承状態が解かれるようになっている。
そして、本発明の第2のものを示す図5および図6では、上記第1のものに加えて、鎌部材4の支軸5を受ける長孔20は、重り部16の後方への揺動で腕片17が凹状部19からスムーズに離脱可能とするために、前下方へも長孔に形成してある。
【0059】
これにより、引き戸1がバウンドしようとする際に、鎌部材4は支軸5が長孔20に沿って前方へ少し移動すると共に、その後ねじりコイルバネ11のバネ力で上方へ戻ることで、揺動部材15の腕片17の側端部との間の隙間が少し大きくなる。そのため、該揺動部材15の腕片17が鎌部材4の凹状部19の後下方からより一層スムーズに離れるようになっている。
【0060】
他方、図7は本発明に係る引き戸用鎌錠の第3のものの実施例を示し、図8は第4のものの実施例を示す(なお、上記の実施例と共通する部分の説明は簡略して記す)。
錠ケース3内に、前方への回動で戸枠体2の掛止金具4へ先端部6が掛止可能な鎌部材4と、閉戸時に戸枠体2への当接で後退するトリガー9と、その後退時に鎌部材4を前方へ回動させる作動部材10と、一定の基準線Lを境に鎌部材4を前方または後方へ付勢するねじりコイルバネ11を備えた引き戸用鎌錠において、ここでは上記揺動部材15に代わる機構が設けてある。
【0061】
即ち、上記鎌部材4の支軸5のほぼ下方位置に、押しバネ22で上方へ付勢された係止片21を設けると共に、引き戸1を閉め戸枠体2の掛止金具7の掛止部材8へ掛止された状態の鎌部材4の下端縁の位置に、上記係止片21の先端が引っ掛かる凹欠部23を形成してある。
上記係止片21は先端が三角状に少し尖った形状をし、後記鎌部材4の凹欠部23へ先端が引っ掛かるようにしてあり、下部を上方への押しバネ22で支承させてある。該係止片21と押しバネ22は、錠ケース3の前板とガイド縦板42との間にあって上下動可能であり、係止片21の一部がガイド縦板42の折返し上部43で係止して、上方への突出を規制されている。
【0062】
上記凹欠部23の深さと押しバネ22のバネ力は、先端部6を掛止部材8で掛止された鎌部材4が引き戸1のバウンドで後方へ回動し始めるのを阻止し、かつ引き戸1を開ける場合に鎌部材4が後方へ回動するのを妨げぬ程度に、錠の大きさ・用途等に応じて設定しておくが、あまり深くまた強くする必要はない。
そして、引き戸用鎌錠の第4のものを示す図8では、バネ力調節部24を設けてある。バネ力調節部24としてここでは、押しバネ22の下方位置に側面図で見て凸状のバネ受け部材44を介し偏心カム25を設け、その回動軸26を錠ケース3の前板とガイド縦板42間に軸支してある。該偏心カム25の回動軸26は、前端部にドライバー先端が係合可能な操作用溝が形成されて、錠ケース3の前面板27の窓孔46へ露呈させてある。
【0063】
これは、引き戸1の種類や引き戸を設けた場所その他の状況により、押しバネ22のバネ力の調節が必要となる場合のためであり、前面板27側から回動軸26を操作して偏心カム25を回動させ、押しバネ22の下端を押上げまたは下げるようにしたものである。
なお、上記バネ力調節部24は上記のものに限らない。図8におけるバネ受け部材44を、図示は省略するが下方へ屈曲してその側面にラック部を形成し、該ラック部と噛合するように設けたピニオンの回動軸を、錠ケース3の前板面27側から回動操作可能に設けるようにして、ラック部の昇降を介して押しバネの下端を押し上げまたは下げるようにしてもよい。
【0064】
上記各実施例では、鎌部材4の先端部6と掛止金具7の掛止部材8は、特に引き戸1を開ける際の鎌部材4の後方への回動をよりスムーズに行えるようにするため、先端部6を側面図でみて円弧状に形成すると共に、掛止部材8で鎌部材4の先端部6が掛止される側の下半部を、下部寄り程、鎌部材4が後退する方向へ傾斜状に形成してある。
【0065】
また、錠ケース3の前面板27と掛止金具7との間では、両者の上下位置関係を適切に設定するために、前面板27の一部に位置決め用突起28を突設し、掛止金具7に上記突起28が係合可能な位置決め用凹所29を形成し、かつ該掛止金具7の戸枠体2への取付用孔30を上下へ長孔に形成してある。これで、鎌部材4の先端部6が掛止部材8との間でスムーズに作動し、常に適正に掛止されかつ解錠されるようになる。
【0066】
さらに、上記各引き戸用鎌錠において、鎌部材4を本施錠状態にするため、トリガー9の後部寄り部分にロック用係止部33を形成すると共に、室内側の施錠操作部32の操作で作動し後退位置にあるトリガー9のロック用係止部33へ係合して掛止可能なロック部材31を設けてある。
また、上記各実施例で、上記掛止金具7の掛止部材8は、回動だけ可能な調節ネジ47により、その位置を前後方向へ可変としてある。クッション材を装着し閉戸時に間隙が生じる場合に、トリガー9の前部寄り部分40を前方へ突出させるのに対応して、上記間隙に相当する分だけ該掛止部材8を前方へ移動可能としてある。
【0067】
【発明の効果】
以上で明らかな如く、本発明に係る引き戸用鎌錠は、引き戸の閉または開で自動的に仮施錠状態になったり解除されたりする構造の引き戸用鎌錠において、引き戸を開けた際に仮施錠状態が自動的に解除される機能を害することなく、引き戸のバウンドを確実に防止できると共に、軽い力で引き戸を開けることができるものである。
【0068】
即ち、従来も引き戸を開ける際に仮施錠状態が自動的に解除され、引き戸を閉じた際のバウンドを防止した引き戸用鎌錠は有った。しかし、引き戸が軽かったり敷居・レール等との滑りが良過ぎるとバウンドが大きくなり、引き戸を閉めた際に一旦掛止された鎌部材の先端部がバネの力に打ち勝って掛止部材から外れ、バウンドを防止できず引き戸が開いてしまった。また上記バネ等の力を強くすると、鎌部材が後方へ回動し難くなり、老人・子供等が容易に引き戸を開けられなくなり、かつ引き戸を開けることで仮施錠状態が自動解除される機能を損なったりした。
【0069】
これに対して本発明の引き戸用鎌錠の第1のものでは、鎌部材の下方位置に、引き戸を閉めた際の慣性力で揺動可能な揺動部材を設け、戸枠体の掛止部材へ掛止状態になった直後の鎌部材の周端縁の一部を、該揺動部材の腕片で一瞬間だけ支承可能とした。これにより、引き戸を開けた際に仮施錠状態が自動的に解除される機能を害することなく、かつ鎌部材を前方または後方へ押圧するバネの力を強くすることなく、引き戸のバウンドを確実に防止できる。また揺動部材の反対方向への揺動で、腕片は鎌部材の周端縁の一部から直ちに外れるので、引き戸を軽い力で開けることができる。
【0070】
本発明の引き戸用鎌錠の第2のものでは、上記第1のものの構成に加えて、鎌部材の支軸を、前下方への長孔にて軸支させてある。これにより、上記第1のものの効果に加えて、引き戸がバウンドする際に鎌部材は前方へ少し移動すると共に、その後掛止部材に掛止された鎌部材を前上方へ付勢しているバネのバネ力で上方へ戻る。これで、鎌部材の周端縁の一部と揺動部材の腕片との間の隙間が増大して、揺動部材は鎌部材の周端縁の一部からより一層スムーズに外れるので、やはり引き戸を軽い力で開けて自動解錠することができる。
【0071】
本発明の引き戸用鎌錠の第3のものでは、鎌部材のほぼ下方位置に、バネで上方へ付勢された係止片を設けると共に、掛止部材へ掛止された状態の鎌部材の下端縁の位置に、上記係止片の先端が引っ掛かる凹欠部を形成してある。これにより、引き戸を閉めた際に先端部が掛止状態になった直後の鎌部材の周端縁の凹欠部を係止片が引っ掛けて、引き戸のバウンド時の鎌部材の後方への回動を係止する。これで、引き戸のバウンドを確実に防止できると共に、鎌部材の下方位置を係止片が係止するので軽いバネ力でよく、引き戸を開ける際の鎌部材の後方への回動に支障がないから、軽い力で引き戸を開けて自動解錠することができる。
【0072】
本発明の引き戸用鎌錠の第4のものでは、上記第3のものの構成に加えて、押しバネの下方位置に、該バネの下端を押上げ可能にバネ力調節部を設けて、その回動軸を錠ケース前面板側から回動操作可能としてある。これにより、上記第3の効果に加えて、引き戸の種類や引き戸を設けた場所その他の状況で、バネ力の調節が必要となる場合に、前面板側からの操作で押しバネのバネ力を調節でき、より確実に引き戸のバウンドを阻止すると共に、引き戸を軽い力で開けて自動解錠することができる。
【0073】
なお、上記第1ないし第4のものに付設して、鎌部材の先端部を側面図で見て円弧状にし、掛止金具の掛止部材で鎌部材の先端部が掛止される側の下半部を、鎌部材が後退する方向へ傾斜状に形成してあれば、第1ないし第4のものの作動を、より一層スムーズに行うことができる。
同じく上記第1ないし第4のものに付設して、錠ケースの前面板に位置決め用突起を形成し、かつ掛止金具に上記突起を係合可能な位置決め用凹孔を形成すると共に、掛止金具の取付け孔を長孔に形成してあれば、引き戸の鎌錠と戸枠体の掛止金具とが、当初の取付位置に上下の誤差があったり、戸車やレールの磨耗で取付位置が変化した場合に、それに対応して掛止部材の取付位置を調節できて、常に作動をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る引き戸用鎌錠の実施例を示す一部切り欠き側面図である。
【図2】 本発明の第1のものの実施例で、引き戸が開いた状態の縦断側面図である。
【図3】 図2で示した実施例で、引き戸を閉めた直後に揺動部材が鎌部材の周端縁の一部を支承可能となった状態の縦断側面図である。
【図4】 図2で示した実施例で、揺動部材が鎌部材の周端縁の一部から離れた状態の縦断側面図である。
【図5】 本発明の第2のものの実施例で、引き戸を閉めた直後に揺動部材が鎌部材の周端縁の一部を支承可能となった状態の縦断側面図である。
【図6】 図5で示した実施例で、揺動部材が鎌部材の周端縁の一部から離れた状態の縦断側面図である。
【図7】 本発明の第3のものの実施例で、引き戸を閉めた直後に係止片が鎌部材の周端縁の凹欠部を係止した状態の縦断側面図である。
【図8】 本発明の第4のものの実施例で、引き戸を閉めた直後に係止片が鎌部材の周端縁の凹欠部を係止した状態の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 引き戸
2 戸枠体
3 錠ケース
4 鎌部材
5 支軸
6 先端部
7 掛止金具
8 掛止部材
9 トリガー
10 作動部材
11 バネ
12 ねじりコイルバネ
13 一端部
14 他端部
15 揺動部材
16 重り部
17 腕片
18 横軸
19 周端縁の一部,凹状部
20 長孔
21 係止片
22 押しバネ
23 凹欠部
24 バネ力調節部
25 偏心カム
26 回動軸
27 前面板
28 突起
29 凹所
30 取付用孔
31 ロック部材
32 施錠操作部
33 ロック用係止部
34 軸
35 ピン
36 円弧状長孔
37 ピン
38 ガイド用長孔
39 バネ支持ピン
40 前部寄り部分
41 後部寄り部分
42 ガイド縦板
43 折返し上部
44 バネ受け部材
45 二股部
46 窓孔
47 調節ネジ
Q 一端部の位置
P 他端部の位置
L 基準線

Claims (4)

  1. 錠ケース3内に、閉戸時に戸枠体2への当接で後退するトリガー9と、その後退時に鎌部材4を前方へ回動させる作動部材10と、前方への回動で戸枠体2の掛止金具7の掛止部材8へ先端部6が掛止可能な鎌部材4と、該鎌部材4を一定の基準線Lを境に前方または後方へ付勢するバネ11を備えた引き戸用鎌錠において、上記鎌部材4の下方位置に、下部に重り部16を有し上部寄りに腕片17をもつと共に、引き戸1を閉めた際の慣性力で揺動可能な揺動部材15を横軸18で軸支し、戸枠体2の掛止部材8へ掛止状態になった直後の鎌部材4の周端縁の一部19を、該揺動部材15の腕片17で一瞬間だけ支承可能としてなる、引き戸用鎌錠。
  2. 錠ケース3内に、閉戸時に戸枠体2への当接で後退するトリガー9と、その後退時に鎌部材4を前方へ回動させる作動部材10と、前方への回動で戸枠体2の掛止金具7の掛止部材8へ先端部6が掛止可能な鎌部材4と、該鎌部材4を一定の基準線Lを境に前方または後方へ付勢するバネ11を備えた引き戸用鎌錠において、上記鎌部材4の下方位置に、下部に重り部16を有し上部寄りに腕片17をもつと共に、引き戸1を閉めた際の慣性力で揺動可能な揺動部材15を横軸18で軸支し、戸枠体2の掛止部材8へ掛止状態になった直後の鎌部材4の周端縁の一部19を、該揺動部材15の腕片17で一瞬間だけ支承可能とし、かつ、上記鎌部材4の支軸5を軸支する前方向に長い長孔20を、前下方へも長く形成してなる、引き戸用鎌錠。
  3. 請求項1または2に記載の引き戸用鎌錠において、鎌部材4の先端部6を側面図で見て円弧状に形成すると共に、掛止金具7の掛止部材8で鎌部材4の先端部6が掛止される側の下半部を、鎌部材4の後退する方向へ傾斜状に形成してなる、引き戸用鎌錠。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の引き戸用鎌錠において、錠ケース3の前面板27に位置決め用突起28を形成し、他方掛止金具7に上記突起28を係合可能な位置決め用凹所29を形成すると共に、掛止金具7の取付け孔30を上下に長く形成してなる、引き戸用鎌錠。
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