JP3790156B2 - 建築物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法を用いた建築物に関する。
【0002】
【従来の技術】
枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法を用いた建築物は、枠組壁が構造の基本となっており、枠組壁は枠組材と面材とが一体化したパネルを構成している。このパネルは柱、桁、梁などをほぞ組でつなぐ従来の軸組工法に比べて、断面欠損がなく外力も一点に集中しないため、このパネルにより構成される6面体構造により、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法による建築物は高い基本的剛性を備えている。この基本的剛性に加えて、地震による横揺れや台風などによる建築物の浮き上がりを防止すべく、建築物の基礎とパネルとを補強金具(浮き上がりとめ金物、別名ホールダウン金物とも呼ばれる。)で固定することが行われている。
【0003】
図8(a)は、一般的な枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法において、補強金具によりパネルを固定する一例を示す分解斜視図である。この例においては、補強金具の取付けは壁パネルの立ち上げ後に行われる。ここではアンカーボルトと補強金具との接合、及び補強金具と縦枠との接合は壁パネルの内部において行われる。そして、縦枠と基礎とが、土台を挟み、補強金具とアンカーボルトとにより緊結されている。
【0004】
一方、図8(b)は、コア部に例えば硬質発泡ウレタン材が使用されるときなど、壁パネルが工場等にてすでに組み立てられて建築現場に搬入される場合の、補強金具の取付けを示している。この場合には壁パネルの内部に補強金具を入れてアンカーボルトとの接合を行うことが不可能、あるいは現実的でない。したがって、土台の一部を切り欠いて、その部分に箱型の補強金具Aを載置してアンカーボルトに固定する。一方補強金具Aに一辺を嵌入しうる「L」字型補強金具Bを用意して、補強金具Bを堅固に補強金具Aに固定した後、止め金具にて補強金具Bを、壁パネル室外側に固定して基礎と壁パネルの緊結を図っていた。したがってこの場合には、箱型の補強金具Aの室外側又は室内側に開口を設け、この開口部からレンチやスパナ等の締め付け工具を差し入れて、アンカーボルト頭部と補強金具Aとを固定していた。そしてその後に床パネルや壁パネルを取付けていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように構成した補強金具Aは、パネル組み付け前に土台に取付ける必要があり、すでに床パネルや壁パネルが組み付けられた後では、事実上取付けは不可能になるという問題があった。またアンカーボルト頭部と補強金具Aとを固定する作業にあたって、室外側又は室内側開口部からレンチやスパナ等の締め付け工具を差し入れて締め付け作業を行う時に、締め付け工具の回転可能角度が小さく、作業能率が悪いという問題もあった。そこで、本発明は、パネル組み付け後でも容易に取付けることが可能で、取付けの際に作業能率のよい補強金具を備えた建築物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
本発明の第一の態様は、基礎(11)と、基礎の上に固定されるとともに間隙部(G)を挟んで配置された土台(12a、12b)と、基礎に埋め込まれて間隙部に頭部を突出するアンカーボルト(A)と、土台の上に複数の枠付パネル(P1、P2)を連結して組み立てた躯体と、を具備し、間隙部に横方向から嵌入可能な形状を備えるとともにアンカーボルトに固定されかつ土台と略同一な高さを有する支持体部(30)と、土台に固定された支持体部から枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともにパネルに固定される固定部(21)と、を備えた補強金具(20)を有することを特徴とする建築物(H)である。なお、本発明において「パネル」とは、主に枠組材及び面材により構成される矩形の材料並びにそれに付随する枠組材をさすものである。
【0008】
この第一態様の建築物によれば、補強金具は土台の間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができる。一般に、住宅新築工事において、基礎や土台を構築する工程が終了して、その後別の工程として床や壁の枠付パネルの組み付けが行われることがあるので、補強金具の取付けをいずれの工程においても行うことができるようにしておくことは、作業工程管理上きわめて便利である。
【0009】
本発明の第二の態様は、基礎と、基礎の上に固定されるとともに間隙部を挟んで配置された土台と、基礎に埋め込まれて間隙部に頭部を突出するアンカーボルトと、土台の上に複数の枠付パネルを連結して組み立てた躯体と、を具備し、間隙部においてアンカーボルトに固定されかつ土台と略同一な高さを有する支持体部と、土台に固定された支持体部から枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともにパネルに固定される固定部と、を備えた補強金具を有し、支持体部は室外側に開口(37)を備え、開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されていることを特徴とする建築物である。
【0010】
この第二態様の建築物によれば、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができる。したがって、補強金具取付け作業の能率を向上させることができる。
【0011】
本発明の第三の態様は、基礎と、基礎の上に固定されるとともに間隙部を挟んで配置された土台と、基礎に埋め込まれて間隙部に頭部を突出するアンカーボルトと、土台の上に複数の枠付パネルを連結して組み立てた躯体とを具備し、間隙部に横方向から嵌入可能な形状を備えるとともにアンカーボルトに固定されかつ土台と略同一な高さを有する支持体部と、土台に固定された支持体部から枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともにパネルに固定される固定部と、を備えた補強金具を有し、支持体部は室外側に開口を備え、開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されていることを特徴とする建築物である。
【0012】
この第三態様の建築物によれば、補強金具は土台間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができる。また、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているが土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができる。
【0013】
上記諸態様において、補強金具の支持体部と固定部とは、一体に形成してもよいし、箱型の第一金具と、「L」字型の第二金具とを備えた組み合わせ金具として構成してもよい。一体に形成した場合には、現場にて組み立てる手間を省略することができる。また金具の生産段階で補強金具として一定の強度を保証することが可能である。一方組み合わせ金具として構成した場合には、それぞれをコンパクトに梱包できるので搬送や在庫する際に好都合である。
【0014】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0016】
図1は、枠付パネルの構成を示す斜視図である。枠付パネルPは、発泡ウレタン材からなる断熱材コア1と、断熱材コア1をサンドイッチ状に挟む木質積層面材(OSB:Oriented Strand Board)2、3と、断熱材コア1の四側面にそれぞれ配置された上枠スプライン4、左枠スプライン5、右枠スプライン6、及び下枠スプライン7とを備えている。各部材は、所定の接着剤、あるいは金具等により一体に固定されている。断熱材コア1は、例えば、92mmの厚さ、木質積層面材2、3は例えば、それぞれ11mmの厚さに形成されている。これらの構成によって、枠付パネルPは、高い断熱性と剛性とを備えている。
【0017】
図2は、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法により、2階建ての建築物を組み立てる順序の概要を示す斜視図である。まず鉄筋コンクリートにより、1階の耐力壁線に沿って基礎11を施工する。しかる後に基礎11上に土台(大引)12を配置して、基礎11に打ち込まれたアンカーボルト等により固定する(図2(a))。次いで、枠付パネルP等で構成される1階床13(P)(以下の説明及び図2以下において、枠付パネルPにて構成される部位にはその符号の後に「(P)」を付して、その部位が枠付パネルPにて構成されていることを表すこととする。)を施工する。そして、枠付パネルPにより構成される1階外壁14(P)、及び1階内壁15(P)を組み立てる。1階外壁における外周壁を構成する枠付パネルP同士はスプラインを介して緊結される。またコーナー部を構成する枠付パネルP同士は、スプラインを介してボールバーンネイル又はSSパネルビス等にて緊結される(図2(b))。
【0018】
引き続き、2階床組16を組み立てた後、1階と同様にして2階の外壁17(P)を取付ける(図2(c))。そして、小屋梁方式、その他の枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法に従った小屋組みを組み立てた後、枠付パネルPにより構成される屋根パネル18(P)を取付ける(図2(d))。
【0019】
図3は、図2により説明した、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法により建てられた2階建て建築物Hの断面の一部を示す図である。図2において組み立て順序により説明した建築物Hをここでは、完成後の断面を用いて説明する。この枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法により建てられた2階建て建築物Hは、基礎11上に配置された土台(大引)12を備え、土台12上には1階床13(P)が水平に、1階外壁14(P)が垂直に取付けられている。なお、基礎11には補強金具20が取付けられ、1階外壁14(P)は補強金具20に固定されている。これらについては後に詳しく説明する。
【0020】
2階部は水平に組み付けされた床組16と、2階外壁17(P)とが備えられ、さらに屋根部は屋根パネル18(P)により構成されている。また1階部分の天井は2階床組16からの吊天井19として構成されている。これらのうち、1階外壁14(P)、2階外壁17(P)、及び屋根パネル18(P)は、枠付パネルPにて形成されている。また、1階床13(P)、及び2階床組16の床パネルも枠付パネルPにて形成することが可能である。
【0021】
図4は、補強金具20を示す斜視図である。図からも明らかなように、補強金具20は、縦長長方形板材の固定部21と、固定部21の一端側に設けられた支持体部30とを備えている。固定部21には所定個所に複数の孔22、22、…が設けられている。支持体部30は、着座部31と、着座部31に張り合わされるように設けられた底面32と、底面32の対向する二辺から立設された二つの側面33a、33bと、二つの側面33a、33b上に配置された上面34とを備えている。支持体部30を構成する六面のうち二面(紙面左手前側及び紙面右奥側)は開口37、38として形成されている。以下において、固定部21が支持体部30に取付けられている側を開口37、その反対側を開口38とする。
【0022】
着座部31、及び底面32には、中央部に円形の開口部35が設けられている。開口部35は、固定部21の取付け位置とは反対の方向(紙面手前側左斜め下方向)に向けて開放されている。一方、側面33a、33bは、開口37側において、斜め下方に向かう線に沿って切除されている。また、上面34の中央部にはレンチやスパナ等の締め付け工具を差し入れるために、十分に大きさを持つ円形の開口36が設けられている。
【0023】
なお、本実施形態において、補強金具20の支持体部30と固定部21とは一体に構成されているが、例えば図8(b)に示されているように、両者を別体に設けてもよい。この場合には固定部を「L」字型にして支持体部の上部に固定部の一辺を嵌入しうる嵌入部を設けて、ここに固定部を嵌入させ、両者を摩擦力あるいは弾性力を利用して固定するように構成してもよい。
【0024】
図5は、基礎11への補強金具20の取付けを示す図である。図5(a)は、土台12a、12b上に床パネルや壁パネルを配置する前に、補強金具20を基礎11に固定する方法を示している。まず、補強金具20により枠付パネルを固定すべき部分の土台12a、12bの間には、補強金具20を差し込める大きさの間隙Gを設けておく。そしてこの間隙Gの部分には、基礎11に打ち込んだアンカーボルトAの頭部を露出させておく。この頭部を支持体部30の底面32及び着座部31に設けられた開口部35に差し入れるように補強金具20を上方から間隙Gにはめ込み、着座部31の下面と、基礎11の上面とを密着させる。また図5(a)には示していないが、補強金具20のはめ込み方向として、上記のように上方から下方へのほか、室外側から室内側方向へ水平にとることもできる。開口部35は、開口38の方向に向けて開放されているので(図4参照)、底面32及び着座部31とアンカーボルトAの頭部との位置的干渉が生じないからである。
【0025】
着座部31を基礎11に密着させた後、座金、及び止め具をアンカーボルトAの頭部に装着し、ナットをアンカーボルトA頭部に切られた雄ねじに螺合させ、基礎11と補強金具20とを堅固に固定する。このナット締め付け時に、締め付け工具は、支持体部30の二箇所の側面開口37(室外側)及び38(室内側)、並びに支持体部30上面34の開口36の3箇所のうちいずれかより差し入れることができる。しかも室外側開口37からレンチやスパナ等の締め付け工具により締め付ける場合には、支持体部側面33a、33bの開口37部分が、室内側斜め下方に向けて形成されているので、これが垂直方向に形成されている場合(図8(b)の補強金具Aを参照)に比較して、締め付け工具の回転角を大きくとることができる。これにより作業性を向上することができる。
【0026】
図6は、土台12a、12bに挟まれた間隙Gに補強金具20の支持体部30をはめ込んで、締め付け工具により固定を行う場合を示す平面図である。もし、支持体部側面33a、33bの開口37部分が、垂直方向に形成されている場合、締め付け工具は、アンカーボルトAを支点として水平面内に回動されるとき、支持体部側面33a、33bが障害となり、その最大回動可能角度は図6のβで示される角度である。これに対して、本実施形態の補強金具20の支持体部側面33a、33bの開口37部分は、室内側斜め下方に向けて形成されているので、締め付け工具は、アンカーボルトAを支点として水平面内に回動されるとき、支持体部側面33a、33bが障害とはならない。したがって、その最大回動可能角度は図6のαで示される角度に拡大される。
【0027】
図5(a)の場合には、このようにして補強金具20を基礎11に固定した後に、土台12a、12b上に床及び壁の枠付パネルを取付ける。そしてラグスクリュー等を利用して、補強金具20の固定部21に設けられた孔22、22、…を介して補強金具20を壁パネルに固定することができる。もって、壁パネルが補強金具20を介して基礎11に固定され、地震や台風による浮き上がりが防止される。
【0028】
一方図5(b)は、先に図5(a)の土台12a、12b上に床13(P)及び壁パネルP1、P2が組み付けられた後に、補強金具20を基礎11に取付ける方法を示す図である。図にも示されているように土台12a、12bの間には図5(a)の場合と同様に固定金具20の支持体部30が差し込める大きさの間隙Gが設けられている。この間隙Gに室外側から水平に室内側に向けて(図の矢印方向に)支持体部20を差し入れる。この際に、支持体部30の底面32及び着座部31に設けられた開口部35は、室内方向に向けて開放されている(図4参照)ので、底面32及び着座部31とアンカーボルトA頭部との位置的干渉が生じることなく、支持体部30を円滑に室内側に差し入れることができる。この場合にも、着座部31を基礎11に密着させて、座金、止め具、をアンカーボルトAの頭部に装着し、ナットをアンカーボルトAの頭部に切られた雄ねじに螺合させ、基礎11と補強金具20とを堅固に固定する。この際、ナット締め付けのための締め付け工具は、支持体部30の室外側開口37から差し入れることができる。しかも室外側開口37からレンチやスパナ等の締め付け工具により締め付ける場合には、支持体部側面33a、33bの開口37部分が室内側斜め下方に向けて形成されているので、これが垂直に形成されている場合に比較して、レンチやスパナ等の締め付け工具の回転角を大きくとることができる。これにより作業性を向上することができる。
【0029】
この状態においては、固定部21の一面側は壁パネルP2の室外側に密着されている。そしてラグスクリュー等を利用して、補強金具20の固定部21に設けられた孔22、22、…を介して補強金具20を壁パネルP2に固定することができる。もって、壁パネルが補強金具20を介して基礎11に固定され、地震や台風による浮き上がりが防止される。
【0030】
補強金具20は上記にて説明した、建築物のコーナー部に使用されるほか、図7に示すように開口部の補強の目的に使用することもできる。
【0031】
以上に説明したように、補強金具20を使用すれば、土台上に床パネルや壁パネルなどの枠付パネルを組み付ける前でも、組み付けた後でも補強金具20を土台に取付けることができる。したがって補強金具20を使用することにより、住宅工事の工程の自由度を高めることが可能となる。また、支持体部30が枠付パネルの下部に配置されて、全長にわたってパネル下部を支えることができる。したがってより剛性の高い建築物を提供することができる。なお、支持体部30の内部に空隙が生じるので、上記取付け後、この部分にウレタンフォーム等を充填することが好ましい。又は簡便的に、室内側の開口面を事前に発泡スチロール板等で覆うようにしてもよい。
【0032】
補強金具20は、材料として圧延鋼板を使用し、これを所定の大きさに切断後溶接等により組み立てて作製してもよい。海岸地方に建築する建築物の場合、耐食性の観点から、前記圧延鋼板に亜鉛鍍金等の防錆処理を施すことが好ましい。また、ステンレス鋼や、十分な強度を備えたエンジニアリングプラスチック等、又はこれらによる複合材料を材料として使用してもよい。
【0033】
上記では、補強金具20の固定部21を枠付パネルPに取付ける際にラグスクリュー等を使用する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、固定部21と枠付パネルPとを接着剤にて固定してもよい。
【0034】
また、支持体部30において、側面33a、33bの開口37部分が室内側斜め下方に向けて直線状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、曲線状にあるいはかぎ型に形成されていてもよい。また、室内方向に「U」字状に形成してもよい。さらにこれらの形状を形成する方法は、原板から所定形状を切除する方法によってもよく、またこれらの形状の雌型をかたどった鋳型を利用して、直接鋳造品として形成することも可能である。
【0035】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う建築物もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0036】
【発明の効果】
以上要するに、請求項1の発明によれば、補強金具は土台の間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができるという効果を奏することができる。一般に、住宅新築工事において、基礎や土台を構築する工程が終了して、その後別の工程として床や壁の枠付パネルの組み付けが行われることがあるので、補強金具の取付けをいずれの工程においても行うことができるようにしておくことは、作業工程管理上きわめて便利である。
【0037】
また請求項2の発明によれば、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができるという効果を奏することができる。したがって、補強金具取付け作業の能率を向上させることができる。
【0038】
さらに請求項3の発明によれば、補強金具は土台間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができるという効果を奏することができる。また、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】枠付パネルの構成を示す斜視図である。
【図2】枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法の概要を示す斜視図である。
【図3】建築物の一部断面を示す図である。
【図4】補強金具を示す斜視図である。
【図5】土台への補強金具の取付けを示す図である。
【図6】締め付け工具の最大回動可能角度を示す図である。
【図7】開口部への補強金具の取付けを示す図である。
【図8】従来の補強金具による固定を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
A アンカーボルト
G 間隙
H 建築物
P 枠付パネル
P1 壁パネル(枠付パネル)
P2 壁パネル(枠付パネル)
11 基礎
12a 土台(大引)
12b 土台(大引)
20 補強金具
21 固定部
30 支持体部
37 室外側開口
【発明の属する技術分野】
本発明は、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法を用いた建築物に関する。
【0002】
【従来の技術】
枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法を用いた建築物は、枠組壁が構造の基本となっており、枠組壁は枠組材と面材とが一体化したパネルを構成している。このパネルは柱、桁、梁などをほぞ組でつなぐ従来の軸組工法に比べて、断面欠損がなく外力も一点に集中しないため、このパネルにより構成される6面体構造により、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法による建築物は高い基本的剛性を備えている。この基本的剛性に加えて、地震による横揺れや台風などによる建築物の浮き上がりを防止すべく、建築物の基礎とパネルとを補強金具(浮き上がりとめ金物、別名ホールダウン金物とも呼ばれる。)で固定することが行われている。
【0003】
図8(a)は、一般的な枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法において、補強金具によりパネルを固定する一例を示す分解斜視図である。この例においては、補強金具の取付けは壁パネルの立ち上げ後に行われる。ここではアンカーボルトと補強金具との接合、及び補強金具と縦枠との接合は壁パネルの内部において行われる。そして、縦枠と基礎とが、土台を挟み、補強金具とアンカーボルトとにより緊結されている。
【0004】
一方、図8(b)は、コア部に例えば硬質発泡ウレタン材が使用されるときなど、壁パネルが工場等にてすでに組み立てられて建築現場に搬入される場合の、補強金具の取付けを示している。この場合には壁パネルの内部に補強金具を入れてアンカーボルトとの接合を行うことが不可能、あるいは現実的でない。したがって、土台の一部を切り欠いて、その部分に箱型の補強金具Aを載置してアンカーボルトに固定する。一方補強金具Aに一辺を嵌入しうる「L」字型補強金具Bを用意して、補強金具Bを堅固に補強金具Aに固定した後、止め金具にて補強金具Bを、壁パネル室外側に固定して基礎と壁パネルの緊結を図っていた。したがってこの場合には、箱型の補強金具Aの室外側又は室内側に開口を設け、この開口部からレンチやスパナ等の締め付け工具を差し入れて、アンカーボルト頭部と補強金具Aとを固定していた。そしてその後に床パネルや壁パネルを取付けていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように構成した補強金具Aは、パネル組み付け前に土台に取付ける必要があり、すでに床パネルや壁パネルが組み付けられた後では、事実上取付けは不可能になるという問題があった。またアンカーボルト頭部と補強金具Aとを固定する作業にあたって、室外側又は室内側開口部からレンチやスパナ等の締め付け工具を差し入れて締め付け作業を行う時に、締め付け工具の回転可能角度が小さく、作業能率が悪いという問題もあった。そこで、本発明は、パネル組み付け後でも容易に取付けることが可能で、取付けの際に作業能率のよい補強金具を備えた建築物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
本発明の第一の態様は、基礎(11)と、基礎の上に固定されるとともに間隙部(G)を挟んで配置された土台(12a、12b)と、基礎に埋め込まれて間隙部に頭部を突出するアンカーボルト(A)と、土台の上に複数の枠付パネル(P1、P2)を連結して組み立てた躯体と、を具備し、間隙部に横方向から嵌入可能な形状を備えるとともにアンカーボルトに固定されかつ土台と略同一な高さを有する支持体部(30)と、土台に固定された支持体部から枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともにパネルに固定される固定部(21)と、を備えた補強金具(20)を有することを特徴とする建築物(H)である。なお、本発明において「パネル」とは、主に枠組材及び面材により構成される矩形の材料並びにそれに付随する枠組材をさすものである。
【0008】
この第一態様の建築物によれば、補強金具は土台の間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができる。一般に、住宅新築工事において、基礎や土台を構築する工程が終了して、その後別の工程として床や壁の枠付パネルの組み付けが行われることがあるので、補強金具の取付けをいずれの工程においても行うことができるようにしておくことは、作業工程管理上きわめて便利である。
【0009】
本発明の第二の態様は、基礎と、基礎の上に固定されるとともに間隙部を挟んで配置された土台と、基礎に埋め込まれて間隙部に頭部を突出するアンカーボルトと、土台の上に複数の枠付パネルを連結して組み立てた躯体と、を具備し、間隙部においてアンカーボルトに固定されかつ土台と略同一な高さを有する支持体部と、土台に固定された支持体部から枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともにパネルに固定される固定部と、を備えた補強金具を有し、支持体部は室外側に開口(37)を備え、開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されていることを特徴とする建築物である。
【0010】
この第二態様の建築物によれば、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができる。したがって、補強金具取付け作業の能率を向上させることができる。
【0011】
本発明の第三の態様は、基礎と、基礎の上に固定されるとともに間隙部を挟んで配置された土台と、基礎に埋め込まれて間隙部に頭部を突出するアンカーボルトと、土台の上に複数の枠付パネルを連結して組み立てた躯体とを具備し、間隙部に横方向から嵌入可能な形状を備えるとともにアンカーボルトに固定されかつ土台と略同一な高さを有する支持体部と、土台に固定された支持体部から枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともにパネルに固定される固定部と、を備えた補強金具を有し、支持体部は室外側に開口を備え、開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されていることを特徴とする建築物である。
【0012】
この第三態様の建築物によれば、補強金具は土台間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができる。また、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているが土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができる。
【0013】
上記諸態様において、補強金具の支持体部と固定部とは、一体に形成してもよいし、箱型の第一金具と、「L」字型の第二金具とを備えた組み合わせ金具として構成してもよい。一体に形成した場合には、現場にて組み立てる手間を省略することができる。また金具の生産段階で補強金具として一定の強度を保証することが可能である。一方組み合わせ金具として構成した場合には、それぞれをコンパクトに梱包できるので搬送や在庫する際に好都合である。
【0014】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0016】
図1は、枠付パネルの構成を示す斜視図である。枠付パネルPは、発泡ウレタン材からなる断熱材コア1と、断熱材コア1をサンドイッチ状に挟む木質積層面材(OSB:Oriented Strand Board)2、3と、断熱材コア1の四側面にそれぞれ配置された上枠スプライン4、左枠スプライン5、右枠スプライン6、及び下枠スプライン7とを備えている。各部材は、所定の接着剤、あるいは金具等により一体に固定されている。断熱材コア1は、例えば、92mmの厚さ、木質積層面材2、3は例えば、それぞれ11mmの厚さに形成されている。これらの構成によって、枠付パネルPは、高い断熱性と剛性とを備えている。
【0017】
図2は、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法により、2階建ての建築物を組み立てる順序の概要を示す斜視図である。まず鉄筋コンクリートにより、1階の耐力壁線に沿って基礎11を施工する。しかる後に基礎11上に土台(大引)12を配置して、基礎11に打ち込まれたアンカーボルト等により固定する(図2(a))。次いで、枠付パネルP等で構成される1階床13(P)(以下の説明及び図2以下において、枠付パネルPにて構成される部位にはその符号の後に「(P)」を付して、その部位が枠付パネルPにて構成されていることを表すこととする。)を施工する。そして、枠付パネルPにより構成される1階外壁14(P)、及び1階内壁15(P)を組み立てる。1階外壁における外周壁を構成する枠付パネルP同士はスプラインを介して緊結される。またコーナー部を構成する枠付パネルP同士は、スプラインを介してボールバーンネイル又はSSパネルビス等にて緊結される(図2(b))。
【0018】
引き続き、2階床組16を組み立てた後、1階と同様にして2階の外壁17(P)を取付ける(図2(c))。そして、小屋梁方式、その他の枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法に従った小屋組みを組み立てた後、枠付パネルPにより構成される屋根パネル18(P)を取付ける(図2(d))。
【0019】
図3は、図2により説明した、枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法により建てられた2階建て建築物Hの断面の一部を示す図である。図2において組み立て順序により説明した建築物Hをここでは、完成後の断面を用いて説明する。この枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法により建てられた2階建て建築物Hは、基礎11上に配置された土台(大引)12を備え、土台12上には1階床13(P)が水平に、1階外壁14(P)が垂直に取付けられている。なお、基礎11には補強金具20が取付けられ、1階外壁14(P)は補強金具20に固定されている。これらについては後に詳しく説明する。
【0020】
2階部は水平に組み付けされた床組16と、2階外壁17(P)とが備えられ、さらに屋根部は屋根パネル18(P)により構成されている。また1階部分の天井は2階床組16からの吊天井19として構成されている。これらのうち、1階外壁14(P)、2階外壁17(P)、及び屋根パネル18(P)は、枠付パネルPにて形成されている。また、1階床13(P)、及び2階床組16の床パネルも枠付パネルPにて形成することが可能である。
【0021】
図4は、補強金具20を示す斜視図である。図からも明らかなように、補強金具20は、縦長長方形板材の固定部21と、固定部21の一端側に設けられた支持体部30とを備えている。固定部21には所定個所に複数の孔22、22、…が設けられている。支持体部30は、着座部31と、着座部31に張り合わされるように設けられた底面32と、底面32の対向する二辺から立設された二つの側面33a、33bと、二つの側面33a、33b上に配置された上面34とを備えている。支持体部30を構成する六面のうち二面(紙面左手前側及び紙面右奥側)は開口37、38として形成されている。以下において、固定部21が支持体部30に取付けられている側を開口37、その反対側を開口38とする。
【0022】
着座部31、及び底面32には、中央部に円形の開口部35が設けられている。開口部35は、固定部21の取付け位置とは反対の方向(紙面手前側左斜め下方向)に向けて開放されている。一方、側面33a、33bは、開口37側において、斜め下方に向かう線に沿って切除されている。また、上面34の中央部にはレンチやスパナ等の締め付け工具を差し入れるために、十分に大きさを持つ円形の開口36が設けられている。
【0023】
なお、本実施形態において、補強金具20の支持体部30と固定部21とは一体に構成されているが、例えば図8(b)に示されているように、両者を別体に設けてもよい。この場合には固定部を「L」字型にして支持体部の上部に固定部の一辺を嵌入しうる嵌入部を設けて、ここに固定部を嵌入させ、両者を摩擦力あるいは弾性力を利用して固定するように構成してもよい。
【0024】
図5は、基礎11への補強金具20の取付けを示す図である。図5(a)は、土台12a、12b上に床パネルや壁パネルを配置する前に、補強金具20を基礎11に固定する方法を示している。まず、補強金具20により枠付パネルを固定すべき部分の土台12a、12bの間には、補強金具20を差し込める大きさの間隙Gを設けておく。そしてこの間隙Gの部分には、基礎11に打ち込んだアンカーボルトAの頭部を露出させておく。この頭部を支持体部30の底面32及び着座部31に設けられた開口部35に差し入れるように補強金具20を上方から間隙Gにはめ込み、着座部31の下面と、基礎11の上面とを密着させる。また図5(a)には示していないが、補強金具20のはめ込み方向として、上記のように上方から下方へのほか、室外側から室内側方向へ水平にとることもできる。開口部35は、開口38の方向に向けて開放されているので(図4参照)、底面32及び着座部31とアンカーボルトAの頭部との位置的干渉が生じないからである。
【0025】
着座部31を基礎11に密着させた後、座金、及び止め具をアンカーボルトAの頭部に装着し、ナットをアンカーボルトA頭部に切られた雄ねじに螺合させ、基礎11と補強金具20とを堅固に固定する。このナット締め付け時に、締め付け工具は、支持体部30の二箇所の側面開口37(室外側)及び38(室内側)、並びに支持体部30上面34の開口36の3箇所のうちいずれかより差し入れることができる。しかも室外側開口37からレンチやスパナ等の締め付け工具により締め付ける場合には、支持体部側面33a、33bの開口37部分が、室内側斜め下方に向けて形成されているので、これが垂直方向に形成されている場合(図8(b)の補強金具Aを参照)に比較して、締め付け工具の回転角を大きくとることができる。これにより作業性を向上することができる。
【0026】
図6は、土台12a、12bに挟まれた間隙Gに補強金具20の支持体部30をはめ込んで、締め付け工具により固定を行う場合を示す平面図である。もし、支持体部側面33a、33bの開口37部分が、垂直方向に形成されている場合、締め付け工具は、アンカーボルトAを支点として水平面内に回動されるとき、支持体部側面33a、33bが障害となり、その最大回動可能角度は図6のβで示される角度である。これに対して、本実施形態の補強金具20の支持体部側面33a、33bの開口37部分は、室内側斜め下方に向けて形成されているので、締め付け工具は、アンカーボルトAを支点として水平面内に回動されるとき、支持体部側面33a、33bが障害とはならない。したがって、その最大回動可能角度は図6のαで示される角度に拡大される。
【0027】
図5(a)の場合には、このようにして補強金具20を基礎11に固定した後に、土台12a、12b上に床及び壁の枠付パネルを取付ける。そしてラグスクリュー等を利用して、補強金具20の固定部21に設けられた孔22、22、…を介して補強金具20を壁パネルに固定することができる。もって、壁パネルが補強金具20を介して基礎11に固定され、地震や台風による浮き上がりが防止される。
【0028】
一方図5(b)は、先に図5(a)の土台12a、12b上に床13(P)及び壁パネルP1、P2が組み付けられた後に、補強金具20を基礎11に取付ける方法を示す図である。図にも示されているように土台12a、12bの間には図5(a)の場合と同様に固定金具20の支持体部30が差し込める大きさの間隙Gが設けられている。この間隙Gに室外側から水平に室内側に向けて(図の矢印方向に)支持体部20を差し入れる。この際に、支持体部30の底面32及び着座部31に設けられた開口部35は、室内方向に向けて開放されている(図4参照)ので、底面32及び着座部31とアンカーボルトA頭部との位置的干渉が生じることなく、支持体部30を円滑に室内側に差し入れることができる。この場合にも、着座部31を基礎11に密着させて、座金、止め具、をアンカーボルトAの頭部に装着し、ナットをアンカーボルトAの頭部に切られた雄ねじに螺合させ、基礎11と補強金具20とを堅固に固定する。この際、ナット締め付けのための締め付け工具は、支持体部30の室外側開口37から差し入れることができる。しかも室外側開口37からレンチやスパナ等の締め付け工具により締め付ける場合には、支持体部側面33a、33bの開口37部分が室内側斜め下方に向けて形成されているので、これが垂直に形成されている場合に比較して、レンチやスパナ等の締め付け工具の回転角を大きくとることができる。これにより作業性を向上することができる。
【0029】
この状態においては、固定部21の一面側は壁パネルP2の室外側に密着されている。そしてラグスクリュー等を利用して、補強金具20の固定部21に設けられた孔22、22、…を介して補強金具20を壁パネルP2に固定することができる。もって、壁パネルが補強金具20を介して基礎11に固定され、地震や台風による浮き上がりが防止される。
【0030】
補強金具20は上記にて説明した、建築物のコーナー部に使用されるほか、図7に示すように開口部の補強の目的に使用することもできる。
【0031】
以上に説明したように、補強金具20を使用すれば、土台上に床パネルや壁パネルなどの枠付パネルを組み付ける前でも、組み付けた後でも補強金具20を土台に取付けることができる。したがって補強金具20を使用することにより、住宅工事の工程の自由度を高めることが可能となる。また、支持体部30が枠付パネルの下部に配置されて、全長にわたってパネル下部を支えることができる。したがってより剛性の高い建築物を提供することができる。なお、支持体部30の内部に空隙が生じるので、上記取付け後、この部分にウレタンフォーム等を充填することが好ましい。又は簡便的に、室内側の開口面を事前に発泡スチロール板等で覆うようにしてもよい。
【0032】
補強金具20は、材料として圧延鋼板を使用し、これを所定の大きさに切断後溶接等により組み立てて作製してもよい。海岸地方に建築する建築物の場合、耐食性の観点から、前記圧延鋼板に亜鉛鍍金等の防錆処理を施すことが好ましい。また、ステンレス鋼や、十分な強度を備えたエンジニアリングプラスチック等、又はこれらによる複合材料を材料として使用してもよい。
【0033】
上記では、補強金具20の固定部21を枠付パネルPに取付ける際にラグスクリュー等を使用する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、固定部21と枠付パネルPとを接着剤にて固定してもよい。
【0034】
また、支持体部30において、側面33a、33bの開口37部分が室内側斜め下方に向けて直線状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、曲線状にあるいはかぎ型に形成されていてもよい。また、室内方向に「U」字状に形成してもよい。さらにこれらの形状を形成する方法は、原板から所定形状を切除する方法によってもよく、またこれらの形状の雌型をかたどった鋳型を利用して、直接鋳造品として形成することも可能である。
【0035】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う建築物もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0036】
【発明の効果】
以上要するに、請求項1の発明によれば、補強金具は土台の間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができるという効果を奏することができる。一般に、住宅新築工事において、基礎や土台を構築する工程が終了して、その後別の工程として床や壁の枠付パネルの組み付けが行われることがあるので、補強金具の取付けをいずれの工程においても行うことができるようにしておくことは、作業工程管理上きわめて便利である。
【0037】
また請求項2の発明によれば、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができるという効果を奏することができる。したがって、補強金具取付け作業の能率を向上させることができる。
【0038】
さらに請求項3の発明によれば、補強金具は土台間隙部に横方向から差し入れることができるので、補強金具を土台に取付けるべき時期は、床及び壁パネルの組み付け前でも組み付け後であってもよい。すなわち、工程の自由度を高めることができるという効果を奏することができる。また、支持体部の室外側開口は、アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が土台に挟まれた間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されているので、この開口から締め付け工具を差し入れて支持体部をアンカーボルトに固定する作業を行う際、締め付け工具の回転可能角度を大きくとることができるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】枠付パネルの構成を示す斜視図である。
【図2】枠組壁工法又は木質プレハブ工法若しくはこれらに類する工法の概要を示す斜視図である。
【図3】建築物の一部断面を示す図である。
【図4】補強金具を示す斜視図である。
【図5】土台への補強金具の取付けを示す図である。
【図6】締め付け工具の最大回動可能角度を示す図である。
【図7】開口部への補強金具の取付けを示す図である。
【図8】従来の補強金具による固定を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
A アンカーボルト
G 間隙
H 建築物
P 枠付パネル
P1 壁パネル(枠付パネル)
P2 壁パネル(枠付パネル)
11 基礎
12a 土台(大引)
12b 土台(大引)
20 補強金具
21 固定部
30 支持体部
37 室外側開口
Claims (3)
- 基礎と、前記基礎の上に固定されるとともに間隙部を挟んで配置された土台と、前記基礎に埋め込まれて前記間隙部に頭部を突出するアンカーボルトと、前記土台の上に複数の枠付パネルを連結して組み立てた躯体と、を具備し、
前記間隙部に横方向から嵌入可能な形状を備えるとともに前記アンカーボルトに固定されかつ前記土台と略同一な高さを有する支持体部と、前記土台に固定された支持体部から前記枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともに前記パネルに固定される固定部と、を備えた補強金具を有することを特徴とする建築物。 - 基礎と、前記基礎の上に固定されるとともに間隙部を挟んで配置された土台と、前記基礎に埋め込まれて前記間隙部に頭部を突出するアンカーボルトと、前記土台の上に複数の枠付パネルを連結して組み立てた躯体と、を具備し、
前記間隙部において前記アンカーボルトに固定されかつ前記土台と略同一な高さを有する支持体部と、前記土台に固定された支持体部から前記枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともに前記パネルに固定される固定部と、を備えた補強金具を有し、
前記支持体部は室外側に開口を備え、前記開口は、前記アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が前記土台に挟まれた前記間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されていることを特徴とする建築物。 - 基礎と、前記基礎の上に固定されるとともに間隙部を挟んで配置された土台と、前記基礎に埋め込まれて前記間隙部に頭部を突出するアンカーボルトと、前記土台の上に複数の枠付パネルを連結して組み立てた躯体と、を具備し、
前記間隙部に横方向から嵌入可能な形状を備えるとともに前記アンカーボルトに固定されかつ前記土台と略同一な高さを有する支持体部と、前記土台に固定された支持体部から前記枠付パネル外壁面に沿って立設されるとともに前記パネルに固定される固定部と、を備えた補強金具を有し、
前記支持体部は室外側に開口を備え、前記開口は、前記アンカーボルトを支点として操作される工具の室外側に延出する手かけ部が前記土台に挟まれた前記間隙部の範囲内で水平方向に回動自由となるように形成されていることを特徴とする建築物。
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