JP3789976B2 - 超音波検査法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
【０００２】
本発明は集積回路などの製造のための基盤に陰極スパッタするための、極めて純度の高いアルミニウムベースの標的または陰極の内部健全性を超音波で検査する方法、ならびにこの検査から得られた選択された標的に関するものである。
【０００３】
【従来の技術】
【０００４】
陰極スパッタは蒸着技術であり、その原理は専門科学文献に多数記載されている。耐火性であるか否か、合金であるか否か、伝導性か誘電性かを問わずあらゆる種類の材料を、真空をかけ、軽く加熱することが可能なあらゆる種類の基盤に実際に蒸着させることができる。この蒸着技術は半導体珪素板のアルミニウム合金による被覆のための電子工学や集積回路の製造に特に大きな用途分野を見いだした。例えば、容量が４メガバイトを越えるダイナミックメモリＤＲＡＭなどの超高集積回路の製造には極めて薄い（およそ１ミクロン）の相互連結金属層の蒸着が必要であり、次いでこの層をエッチング作業によって極めて細い（幅０．５ミクロン未満）線路を形成して、メモリのそれぞれの位置への個別アクセスを可能にする。
【０００５】
このような条件の下に、相互連結線路の幅に近い大きさの、金属化層のあらゆる傷が、相互連結回路のエッチングの際に重大な欠陥となり、集積回路を廃棄しなければならないことになることが理解できる。
【０００６】
金属標的からの真空陰極スパッタによって得られた金属化層の欠陥の中でもっとも頻繁に見られるものの１つが標的表面の微粒子が剥がれ、固体または液体のこの微粒子または塵埃が金属化中の半導体基盤の上に再付着することである。
【０００７】
これらの塵埃または粒子の大きさは一般的に１０分の数ミクロンから数ミクロンの間である。
【０００８】
エッチング幅が数ミクロンであった前世代の集積回路の場合、基盤の金属化層にこのように再付着した粒子の大半は重大なエッチング欠陥を招かず、この理由によるエッチング欠陥で廃棄される金属化基盤の不良率は許容できるものであった。
【０００９】
反対に、現在および将来の世代の超集積回路、例えば１６メガバイト以上のＤＲＡＭメモリについてはエッチングの幅が極めて細くなり、線路の幅は１０分の数ミクロンになった（現在は０．２から０．５ミクロン程度）。このような条件の下で、標的から剥がれ、半導体基盤に再付着した極めて細かい粒子は集積回路の不良の大きな原因となり、この欠陥は世界の電子産業に毎年多額の損害を生じ、損害金額は使用した金属化標的のコストの数倍に達している。
【００１０】
もちろん、この欠陥を失くすこと、あるいは少なくともそれを押さえることは電子産業にとって大きな課題であり、この欠陥の原因を究明し、その対策を図るために電子産業界が研究開発に多大な努力を払っているのは当然なことである。
【００１１】
しかるに、例えばＥＰ−Ａ−０４６６６１７（ＵＳ ５１６０３８８）による０．１ｍｍ未満の粒子の微細化と均質化などの、標的作製条件に作用することを目指す試みにもかかわらず、これらの努力は今日まで実を結ばなかった。さらに注意すべきこととして、この分野では、非破壊検査法、特に ＵＳ ５４００８５０による、同等の粒子の平均サイズを有する基準層に対する標的の活性金属層の規則性の、超音波検査法はこの深刻な問題を説明する、ましてやそれを抑える、何の助けにもならない。
【００１２】
金属化の過程で基盤に粒子が再付着する原因については様々な仮説が出されている：
【００１３】
第１の仮説は２段階の機転である：
【００１４】
・第１段階で、標的から原子単位で剥がれた金属の一部はスパッタ反応炉の壁に、またはスパッタ標的と基盤の間に位置づけられた視準格子などの、この反応炉内に含まれる機器の上に付着し、そこに薄い堆積を形成する。
【００１５】
・第２段階で、この堆積が微粒子の形で担体から再度剥ぎ取られ、金属化の間に半導体基盤に噴射される。
【００１６】
しかしながら、この機転は存在するにしても、二次的なものでしかない、なぜなら、次のような大きな現象を説明できないからである：
【００１７】
連続するいくつかの基盤に粒子の高い放射率と再付着率を認めたときは、大抵の場合、スパッタ標的を換えるだけでこの現象を止めることができる：従って、粒子の放出（および再付着）は標的に固有の特徴である。
【００１８】
スパッタ標的の未知の特性に結び付けられるこの特性作用を説明するために出された第２の仮説は、標的を構成する金属母材内の酸化物、窒化物、炭化物、などの包含物のような微小包含物が金属内に存在するのではないかというものである。
【００１９】
これらの耐火性の、非電導性粒子はアルゴンイオンによる標的照射の影響で荷電し、最終的に、電弧の発振を引き起こし（アーキングと呼ばれる現象）、次いで粒子を囲繞する金属を溶融させ、基盤の上に微細な多数の液滴の形で放射させ（スプラッシングあるいはエクラブスールと呼ばれる現象）、あるいは蓄積した荷電作用によって耐火性粒子が爆発する（塵埃密度減少あるいはダスティング）おそれがある。
【００２０】
標的ごとに含有率に差がある包含物の存在を前提とするこの仮説は実験的に観察される一部の現象、特に、時折観察される、使用中の、標的の上の局所的電子点弧現象をうまく説明するものである。
【００２１】
このようなわけで、１９９５年１０年、ミネアポリスで開催された米国真空学会年次大会でＴＯＳＯＨ ＳＭＤ社のＡ．Ｌｅｙｂｏｖｉｃｈ、Ｒ．Ｓ．ＢａｒｌｅｙとＪ．Ｐｏｏｌｅが提出した”Ｅｆｆｅｃｔ ｏｆ ｔｈｉｎ ｆｉｌｍｏｘｙｄｅ ｉｎｃｌｕｓｉｏｎｓ ｏｎ ａｌｕｍｉｎｉｕｍ ｔａｒｇｅｔ ａｒｃｉｎｇ ａｎｄ ｐａｒｔｉｃｕｌａｔｅ”と題する論文は、標的表面の局部的電気化学酸化に由来し、この表面に平行に分散する酸化アルミニウムの大きな粒子（Φ＞１ｍｍ）が「アーキング」を引き起こす可能性を示唆している。しかしながら、このように広がった欠陥は１Ｍｈｚと３Ｍｈｚの間の従来の超音波検査で検出可能であり、０．７ｍｍを限度値とする標的の除去を予想した標準化検査を経た工業的標的内に通常は存在しない。
【００２２】
従って、この現象は一般的ではない：これは「破滅的」かつ破壊的ではあるが、幸いにも頻繁ではない現象であり、もっと広く見られるミクロン以下の粒子の放出のごく一部しか、大抵の場合は限られたものしか説明できない。ただし、標的製造に用いられた金属が特に汚染され、例えば金属１キログラム当たり、平均サイズが３０ミクロンを越える耐火粒子を５ミリグラムを越えて、始めから液体金属内に存在するか、鋳造過程で発生した、大きな寸法の耐火性包含物を特に大量に含む場合は別である。
【００２３】
加えて、この仮説は集積回路金属化の専門家の間では周知の、粒子の放出率は標的を構成する合金に依存するというもう１つの実験的所見を説明できない、即ちアルミニウム・珪素・銅の合金（例えば、Ａｌ＋１％Ｓｉ＋０．５％Ｃｕ）が一番敏感で、アルミニウム・珪素の合金（例えば、Ａｌ＋１％Ｓｉ）がこれに続き、銅が少ないアルミニウム・銅の合金（例えば、Ａｌ＋０．５％Ｃｕ）が最も鈍感である。
【００２４】
しかるに、標的を構成する合金の化学組成と耐火性包含物の間の相関関係は全く実証されず、しかも標的を構成する合金の性質と粒子の放射率の間のこの関係は今日までで未解明のままである。
【００２５】
【発明が解決しようとする課題】
【００２６】
粒子の放出が確実に特に抑えられた陰極スパッタ標的を電子産業に供給することは、使用するアルミニウムベースの合金の種類を問わず実現されていない。
【００２７】
【課題を解決するための手段】
【００２８】
アルミニウムまたはアルミニウム合金の標的の内部健全性の本発明による検査法はこの問題に解決をもたらすものであり、粒子の発射率と、作業周波数に調節したセンサーまたは探針と共に、適切な測定ライン、即ちセンサーの周波数に等しい時間のパルスを発射する発信器と使用周波数帯で感度が最大になる受信器を特に使用して、適切な超音波法で測定可能な平坦な凝集不良の形を主として取る金属内の欠陥の数と大きさの間に相関関係が存在するという意外な事実に基づいている。
【００２９】
もっと具体的には、本発明は活性部分が超高純度のアルミニウムまたは超高純度のアルミニウム系合金で形成された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタ標的の内部健全性の超音波検査法を目的とし、下記の過程を特徴とする：
【００３０】
５Ｍｈｚを越える、好適には１０から５０Ｍｈｚの間の作業周波数で作動する超音波センサーを選択し、標的表面に対する欠陥の位置に応じて、液体内に浸漬した標的内の凝集不良を模倣する、既知の寸法の人工的欠陥の超音波反響振幅を示す適切な測定ラインを調節した後：
【００３１】
・超音波検査によって特性化した所与の堆積内の人工欠陥によって得られた超音波反響の振幅と比較して、検査する標的の凝集不良の寸法を決定する過程と、
・前記検査する標的の単位体積あたりの内部凝集不良の大きさと数を計量する過程と、
・超精密エッチングを必要とする用途分野のために、標的の活性金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える凝集不良が０．１以下の、好適には前記金属１立方センチ当たり凝集不良が０．０１未満の凝集不良密度を示す標的を選択する過程。
【００３２】
本発明はさらにこの方法で選択された標的も目的とする、即ち活性部分が超高純度のアルミニウムまたは超高純度のアルミニウム系合金で形成された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタの標的において、活性金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える内部凝集不良が０．１以下の、好適には１立方センチ当たり凝集不良が０．０１未満の凝集不良しか含まない標的を目的とする。
【００３３】
実際、粒子放射率が高くなった部分的に加工された標的を注意深く観察して出願人は、奇妙なことに、これらの標的のいくつかが、アークによって浸食された表面に、大きさが直径で０．１ｍｍからときには１ｍｍの微小気泡（または膨れ）を含み、さらにいくつかは開放気泡で縁が浸食されていることを発見した。
【００３４】
これらの気泡を切断して、それらの内部が空洞であり、その基部はほぼ平坦で、標的の当初の表面に平行であることがわかった。この基部にはいくつかの酸化物包含物または合金元素の沈殿が含まれていたが、それは一般的現象ではなかった。なぜならそれは添加元素の量が少ない合金（例えば、Ａｌ＋０．５％Ｃｕ）ではもっと頻繁であり、添加量の多い合金（例えば、Ａｌ＋１％Ｓｉ＋０．５％Ｃｕ）でははるかに稀であった。
【００３５】
これらの標的の残留金属に対して５Ｍｈｚを越える高い周波数で超音波検査を実施して、これらの金属の中に平坦で、標的の基部の表面に平行な凝集不良が存在することがわかった。人工的欠陥、この場合は直径０．１ｍｍの平坦な底の孔を基準に判断した、これらの凝集不良の見かけ直径はおよそ０．０４ｍｍと０．４ｍｍの間であった。これらの欠陥の多さは一定ではないが、検査した金属１立方センチ当たり１個のレベルを超えることが非常に頻繁で、直径０．１ｍｍを越える欠陥は０．１を越えた。
【００３６】
粒子放射率、標的の残留金属内の寸法が０．０４ｍｍと０．４ｍｍの間の平坦な凝集不良の存在と、加工した標的の表面に直径が０．１ｍｍを越える小さな気泡が存在することの間に相関関係があるという驚くべき発見が本発明の基礎になっている。
【００３７】
単なる説明の試みとして、使用中の欠陥標的からの、ミクロン以下またはミクロン程度の寸法の固体または液体の粒子の大量放出に至る機転は標的の損傷の連続する段階を表す図１を参照して次のように説明できるであろう。
【００３８】
欠陥標的の元になった粗鋳造製品は、もともと、微小孔、微小収縮巣または耐火性包含物などの小さな凝集不良を含んでいた。
【００３９】
鍛造、圧搾および／または圧延などによって標的ブランクに加工したときに、任意の形状のこれらの凝集不良は押し潰され、ブランクの表面に平行に平坦化された。
【００４０】
加工熱処理の際に、金属内に原子の形で溶解し、極度に過飽和した水素がこれらの凝集不良に向かって拡散し、分子ガス（その圧力は数気圧に達することがある）の形で発散する。
【００４１】
陰極スパッタ装置内に設置したときに、欠陥標的は図１(ａ)の如くに、平坦で、標的の表面に平行で、分子水素が充填された凝集不良を含み、これらの凝集不良は局所的に極度に集中した包含物または沈殿物を含むことがある。
【００４２】
陰極スパッタの際に、標的の自由表面は次第に浸食されて標的内部の平坦な凝集不良は、図１(ｂ)の如く、金属薄膜だけでこの表面から隔離されるに至る。
【００４３】
凝集不良内に含まれる水素と、陰極スパッタ室内の真空の間に存在する圧力差のために、この薄膜が持ち上がってスパッタの過程で気泡が生じるか、図１(ｃ)のごとく、標的の残りを構成する厚い金属から分離された金属の薄膜から成る隆起が生じる。
【００４４】
次いで、厚い担体から分離されたこの膜が、続く陰極スパッタの際に固体または液体の小断片で引き剥がされ、標的から引き剥がされた膜のこれらの断片が、図１(ｄ)の如く、金属化の際に基盤の上に再付着すると考えられる。
【００４５】
最後に、陰極スパッタが継続して、標的表面の浸食によって、図１(ｅ)の如くに、膜が、即ち粒子放射の原因となった欠陥が次第に消失する。
【００４６】
この機転の仮説を裏付けるいくつかの所見がある：
【００４７】
・一方では、大抵の場合、半導体基盤への粒子の付着は突然出現し、連続するいくつかの基盤を汚して、消えてしまう。
【００４８】
これは、当初は数十ミクロンの厚みの膜が完全に浸食され、欠陥が消失するのに必要な時間に対応するのであろう。
【００４９】
・他方で、粒子放射現象が最も起こりやすい合金は固化間隔が長い、即ち固化開始温度と固化の終わりの温度の間の差が大きい合金でもある：従って、それらは他の条件（溶解気体または包含物の含有率）を全く同じにした場合、微小孔、または固化の終わりの微小収縮巣が最も形成されやすい合金でもある。
【００５０】
さらに、粒子放射率が高かった欠陥標的の上では、直径が０．１ｍｍ未満の極めて小さな気泡は全く発見されなかったが、標的残留金属内には寸法が０．１ｍｍ未満の多数の平坦な欠陥が存在する。
【００５１】
このことは次のように説明できるだろう：
【００５２】
平坦な凝集不良内に含まれる水素の内圧の効果によって気泡が形成されるためには、浸食の際に標的の表面から凝集不良を分離する金属膜の厚みが、凝集不良直径に比例し、さらに水素の内圧と、合金と温度に応じた膜の機械的強度に左右される限度値より下になる必要がある。
【００５３】
極めて小さい（０．１ｍｍ未満）凝集不良については、この限度厚みは極めて小さい（大きさの目安として１０ミクロン未満）。
【００５４】
このような条件の下に、イオン照射の影響を受ける標的の表面の加熱を考慮に入れて、凝集不良内に存在する水素は、気泡の形成を可能にする残留限界厚みに達する前に、金属を通って、スパッタ室の真空の方に拡散する時間がある。
【００５５】
このように凝集不良は、含有している水素が残留膜を通って拡散することによって空になるので、もはや気泡を形成することができない、なぜならそれを形成する起動力（内部の水素圧力）が消失するからである。
【００５６】
観察に基づくこの説明の試みは、従って、水素含有率が正常で通常（即ち０．２０ｐｐｍ未満、好適には０．１０ｐｐｍ未満）の金属については０．１ｍｍ程度の、限度値より大きな寸法の凝集不良だけが作業中に気泡を形成させ、粒子の放射を助長して、次に粒子が半導体基盤に再付着することを示唆している。
【００５７】
当業者には理解されるように、気泡を発生させ、粒子の放射を引き起こす欠陥の限度寸法の大きさは合金（残留膜の機械的強度）、付着条件（標的表面温度、イオン照射による表面浸食速度）などによって変化し、現在最もよく使用されている合金と蒸着法にしか当てはまらない大きさの程度である。場合によっては、寸法が０．０３ｍｍと０．１ｍｍの間に含まれる凝集不良も固体または液体の粒子放射を招くことがある。
【００５８】
本発明の実施に関しては、下記の詳細な説明を読むことによって一層よく理解できるだろう。
【００５９】
【実施例】
【００６０】
本発明による方法はここでは標的のための珪素が１％、銅が０．５％のアルミニウム合金に適用されるが、もちろんこのアルミニウム合金に限定されるものではない。
【００６１】
［標的の準備］
【００６２】
同一の合金（Ａｌ＋１％Ｓｉ＋０．５％Ｃｕ）の１３の異なる鋳造から、出願人は単位長さが６００ｍｍ、粗直径が１３７ｍｍの粗ビレット輪切りを採取した。この鋳造製品の水素含有率は、必ず０．２０ｐｐｍ未満で、一般的に０．１０ｐｐｍ未満であった。含有率は鋳造の液体金属で、ＡＬＳＣＡＮという商標の装置で測定し、採取した輪切りに隣接するビレットの輪切り内で採取した固体の標本で、ＳＴＲＯＥＨＬＥＩＮという商標の、真空溶融による気体抽出装置による測定で確認した。
【００６３】
長さ６００ｍｍの区分に隣接するこれらの輪切りで、アルミニウム合金の母材を溶解し、溶けない非金属包含物を濾過して（濾過限度≧２ミクロン）、乾燥させた後に計量し、走査顕微鏡で数え、測定することから成る包含物含有率測定試験も実施した。
【００６４】
ビレットの１３の輪切りは最初に回転黒皮剥ぎにかけて、表面の黒皮を除去して、直径を１３０ｍｍにした。
【００６５】
次いで黒皮を剥いだビレットの輪切りを周波数５Ｍｈｚで従来の超音波検査にかけて、このタイプの鋳造粗製品にとって、既存の最も厳しい規格であるフランス規格ＡＩＲ第９０５１に従って、直径が０．７ｍｍの平坦底による人工的欠陥を越える反響のない輪切りだけを残した。これによって１個の輪切りが不合格になった。
【００６６】
超音波センサーと従来の測定ラインの選択によってこの周波数レベルに調節されたこの検査感度によって０．３ｍｍから０．８ｍｍの間の欠陥の検出が可能である。好適にはビレットの堆積を１００％検査することのできるスパイラル検査と呼ばれるＡＩＲ規格９０５１の変形を使用して、センサーをビレットに対して垂直に並進運動させる間にビレットを回転運動させる、これに対し、この規格の基本的検査ではビレットの面と３つの母線を検査するだけであるから。
【００６７】
これによって１本の輪切りが不合格になり、さらにこの輪切りに隣接する輪切りの１つで測定した包含物の含有率が、金属１ｋｇあたり２ミクロンを越える大きさの包含物が１０ｍｇを越え、他方でこの含有率は、この第１の超音波検査に合格した１２の輪切りに隣接する全ての輪切りにおいては金属１ｋｇあたり２ミクロンを越える大きさの包含物が５ｍｇ未満のままであった。
【００６８】
このように選択した１２の輪切りは次に、均質化処理を特にこの合金のためにわずかに適合させただけで、出願人によるＥＰ−Ａ−０４６６６１７（ＵＳ ５１６０３８８）に記載の操作法によって、標的のブランクに加工した。
【００６９】
この均質化は２段階で実施され、第１段階では８時間の間５１０℃に維持して、固化の終わりに現れた３成分の共晶の成分を溶液に戻し、第２段階ではさらに４時間の間５６０℃に維持して、個々の粒子のレベルで、製品の化学組成の均質化を完全にした。厚みがおよそ６００ｍｍのそれぞれのビレットを対照薄片で隔てられた幅１６０ｍｍの３つの断片に輪切りにした後、前述の特許の教示するところに完全に従って操作を実施して、圧搾、クロスミル、と再結晶化のための仕上げ熱処理を含む圧延を経て、最初の長さ６００ｍｍの区分当たり３つの標的の割合で、直径およそ３３０ｍｍ、厚さ２５ｍｍの標的のブランクが得られた。
【００７０】
次いで、それぞれのブランクの片面を加工し、研磨して加工製品の顕微鏡的組織を検査した。
【００７１】
この検査でわかったのだが、製品には珪素と金属間のＡｌ2Ｃｕの微粒子が含まれ、その大きさは５から１０ミクロン程度で、再結晶化したこの製品の粒子の大きさは０．１ｍｍ未満であり、平均して０．０７ｍｍ程度であった。
【００７２】
さらに、これらの標的の組織は、Ｘ線試験から明らかなように（極１１１と２００の図）、ほぼ等方性で、粒子の優先配向性は認められなかった。
【００７３】
このようにして製造した全てのブランクは、従って、これら全ての基準（沈殿物の大きさ、粒子の大きさ、粒子配向の組織）について、集積回路の金属化のための標的の十分な使用のために期待される全ての基準を満たしていた。
【００７４】
従って、これらのブランクは旋盤による仕上げ加工を受け、直径３００ｍｍ、厚み２０ｍｍ、単位重量およそ３．８ｋｇ、体積が１４００ｃｍ3 に近い円盤を得た。センサーを標的表面に平行に移動し、センサーと標的の接触を５Ｍｈｚの周波数で鉱物油によって実現する超音波検査を手動で実施して、フランス規格ＡＩＲ第９０５１号による、０．７ｍｍの底が平坦な孔によって構成される人工欠陥に等しい欠陥を有する円盤を除去することができた。好適には鋳造粗製品に使用されるこの規格は ＡＥＣＭＡ−Ｐｒ ＥＮ２００３−８とＰｒ ＥＮ２００４−２またはＭＩＬ ＳＴＤ２１５４とＰｒ ＥＮ４０５０−４などの加工製品にもっと頻繁に使用される規格に代えても有利である。
【００７５】
このようにして、この検査で３６のブランクから６個が不合格になった。
【００７６】
［高周波数超音波検査による選択］
【００７７】
残った円盤を、溶接によって、銅製の指示板に接続する前に、高周波超音波によってさらに試験した。
【００７８】
この追加の試験は、加工したそれぞれの円盤を水槽内に浸漬するものである。次いで、円盤の表面に平行に、走査軸Ｘ−Ｙに沿って、１５Ｍｈｚの周波数で作動するセンサーまたは超音波探針を移動させた。
【００７９】
このセンサーは、検査する製品に類似の金属学特性を有する同一の合金の表面から６ｍｍ、１２ｍｍと１８ｍｍの深さに位置する、直径０．１ｍｍの平坦な底の孔によって構成される人工欠陥を基準にあらかじめ検定されている。この点に関して、この基準板はそれ自体が平均０．０７ｍｍの粒度と、等方性の粒子配向と、小さな寸法の（平均１０ミクロン未満）の金属間沈殿物を有するので、同一の形態的特徴を有する充填の少ない他のアルミニウム合金の上の欠陥の寸法の検定にも使えることに留意しなければならない。
【００８０】
これによって平らな底の等価の孔に対応する反響振幅の測定を可能にする検定曲線を描くことができた。
【００８１】
このようにして、それぞれの円盤について、最大有効体積内の、騒音レベルを超える反響数と、関連する信号の振幅、ならびに０．１ｍｍの人工欠陥に対応する振幅を越える反響数を計量した、即ち表面の下の深さ１８ｍｍの、直径２８０ｍｍの有効表面に対応するおよそ１０００ｃｍ3 の体積である。
【００８２】
このように検査した円盤は５種類に分けられた：
【００８３】
１類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１０００を越える円盤（１反響／ｃｍ3 を越える）
【００８４】
２類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１００から１０００の円盤（０．１から１反響／ｃｍ3 ）
【００８５】
３類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１０から１００の円盤（０．０１から０．１反響／ｃｍ3 ）
【００８６】
４類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１０未満の円盤（０．０１反響／ｃｍ3 未満）
【００８７】
５類：どれも円盤当たり０．１ｍｍ未満の０．０３から０．１ｍｍの間の表示しか示さない円盤
【００８８】
粒子の大きさ、配向組織、沈殿物の大きさと０．７ｍｍを越える大きさの欠陥がないことに関する、スパッタ標的のための既存の選択基準にどれも合致するこれら５種類の円盤は、次いで溶接によって銅の担体に接続された。
【００８９】
これによって次のものが得られた：
【００９０】
１類の標的×３（活性金属１ｃｍ3 当たり１を越える反響）
２類の標的×１０（活性金属１ｃｍ3 当たり０．１から１の反響）
３類の標的×１２（活性金属１ｃｍ3 当たり０．０１から０．１の反響）
４または５類の標的×５（活性金属１ｃｍ3 当たり０．０１未満の反響）
【００９１】
この標的は次に、１６メガバイトのＤＲＡＭメモリ製造用の、直径８インチの基盤の金属化のために、集積回路製造者によって使用された。
【００９２】
［金属化比較試験の結果］
【００９３】
１類の３個の標的のうち２個については、微小電弧が極めて頻繁に発生し、基盤に大量の粒子が付着したので即座に停止を余儀なくされ、この基盤は全数が不合格になった。第３の標的は通常の寿命の終わりまで使用されたが、結果は芳しくなく、０．５ミクロンを越える大きさの粒子があまりに大量に存在するので、この標的で金属化した基盤の２０％超が不合格になった。
【００９４】
２類の１０個の標的のうち２個については、微小電弧が極めて頻繁に発生し、基盤に大量の粒子が付着したので通常の寿命が終わる前に停止を余儀なくされた。他の８個はよい結果を出せず、平均して基盤の１０％超が金属化の後に不合格になった。
【００９５】
３類の１２個の標的に関しては、使用中に停止を余儀なくされたものはなく、粒子が多過ぎて不合格になった金属化基盤は平均して５％未満である。
【００９６】
最後に、４または５類の５個の標的に関しては、問題が生じたものはない、また過剰な粒子の存在のために不合格になった金属化基盤の比率は平均して２％未満であった。
【００９７】
３、４、５類の標的を採った区分に隣接する薄片で実施した包含率の測定によって、これら全ての標的について金属１キログラム当たり包含物が５ミリグラム未満の重み付き含有率が明らかになった。反対に、同じく上記の区分から得られ、従って、同様の包含物含有率を示す、前記１と２類の標的のいくつかから包含物の含有率が低いことが低い粒子再付着率を得るためのおそらく必要条件であるが、絶対に十分条件ではないことが確認された。
【００９８】
【その他の実施例】
【００９９】
Ａ）珪素が１％のアルミニウム合金
【０１００】
異なる鋳込みに由来し、重量で１％の珪素が添加された、９９．９９９％を越える超高純度の同一のアルミニウム合金で製作した陰極スパッタ標的の既存のロットに対して、浸漬して、高周波（１５メガヘルツ）の超音波で検査を実施し、次のものを選択した：
【０１０１】
・一方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が０．１未満含まれ、０．７ｍｍを越える欠陥が全くない５個の標的の第１のロットと、
・他方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が２を越えて含まれ、そのどれもが０．７ｍｍを越える等価の大きさを越えない５個の標的の第２のロット。
【０１０２】
０．１ｍｍと０．７ｍｍの間に含まれる大きさの欠陥密度に応じてこのように選択された標的は実験的に、交互に、同じ陰極スパッタ装置に使用され、蒸着アルミニウム厚みを１ミクロンとして、直径６インチ（およそ１５０ｍｍ）の一連の半導体基盤を金属化した。即ち、それぞれの標的は連続する数十の基盤の金属化に使用された。
【０１０３】
次いで、エッチング幅を０．３５ミクロンとして、１６メガバイトのＤＲＡＭメモリタイプの集積回路のエッチングに使用される基準に基づいてこれらの基盤を選別した。
【０１０４】
それによって、０．１ｍｍを越える凝集不良が低い密度で含まれる標的から金属化した基盤の９５％超が付着粒子の有無に関するこれらの基準によってこの用途に適すると判断された。
【０１０５】
反対に、０．１ｍｍを越え、０．７ｍｍ未満の凝集不良が高い密度で含まれる標的から金属化した基盤の２０％超がこの同じ基準によってこの用途に不適と判断された。
【０１０６】
Ｂ）銅が０．５％のアルミニウム合金
【０１０７】
超高集積度の半導体基盤の金属化装置に使用した後、このように金属化した基盤に対する固体または液体粒子の再付着率が高かった、Ａｌ＋０．５％Ｃｕの２成分合金製の部分的に使用した（５ｍｍ程度の浸食深さ）標的を選択した。この高い再付着率によるこの基盤の不良率は１０％を越えた。
【０１０８】
これらの部分的に使用した標的は、まず、銅の担持体から分離し、場合によっては酸化するか汚染した表面部分を除去するために、次に乾式で（加工潤滑剤なしで）ダイアモンドバイトで再加工した。
【０１０９】
このように再加工した標的は続いて超音波検査にかけた。最初は中心を出した１０から２５Ｍｈｚの広い周波数帯で、次に１５Ｍｈｚで検査して、直径０．１ｍｍの基準平坦底孔の０．４倍以上の直径の欠陥を検出し、数えることができた。
【０１１０】
これによって、欠陥のある標的から得られた、このように再加工した全ての標的は、検査した金属の１立方センチメートル当たり、０．０４ｍｍを越える等価の大きさの欠陥が１を越える欠陥密度を含むことがわかった。
【０１１１】
反対に、固化間隔が短いこの合金については、奇妙なことに、検査した金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの欠陥を０．０５を越えて含む標的は４個のうち２個だけであった。
【０１１２】
このように検査したそれぞれの標的を次に直径方向に裁断して、２個の半円形の半標的を得た。
【０１１３】
・標的当たり１個の半円盤を次に溶解試験にかけて、アルミニウム合金の母材を溶解し、最初の標的の非溶融耐火性（耐熱性）包含物の初期含有率を定量化した。
【０１１４】
これによってこの試験にかけた全ての欠陥標的が、合金１キログラム当たり５ミリグラムを越える耐火性（耐熱性）包含物を含んでいたことがわかった。
【０１１５】
・それぞれの標的から得られた別の半円盤は固体の円筒状の標本を抽出するために加工し、ＳＴＲＯＥＨＬＥＩＮという商標の装置を用いて、これらの標本の溶解または吸蔵水素含有率を測定した。これによって欠陥標的から得られた金属の水素含有率は０．１２ｐｐｍを越えることがわかった。
【０１１６】
比較のために、時間を制限した（通常の寿命のおよそ２５％）スパッタ試験の後、このかなりの時間ではあるが制限された時間の試験の間に、固体または液体粒子の再付着による不良率が非常に低かった（不良率１％未満）４個の金属化標的を採取した。
【０１１７】
部分的に使用されたこれらの標的は、欠陥標的のものと同じ検査にかけた。
【０１１８】
これによって、優れた品質のこれらの標的が必ず金属１ｋｇ当たり４ｍｇ未満の耐火性包含物含有率と、０．０７ｐｐｍ未満の溶解または吸蔵水素含有率を示すことがわかった。
【０１１９】
これらの標的の中で、寸法が０．１ｍｍを越える内部凝集不良を示すものはなかった、また検査した金属の１立方センチメートル当たり寸法が０．０４ｍｍを越える凝集不良は０．０５未満であった。これは＜＜欠陥＞＞標的で認められたものよりはるかに少なかった。
【０１２０】
Ｃ）純度が４Ｎから６Ｎの非合金アルミニウム
【０１２１】
非制限的実施例として、９９．９９８％を越える超高純度のアルミニウムの断面が長方形の鋳造粗ブランクから圧延した陰極スパッタ標的の既存のロットに対して１５メガヘルツの超音波で検査を実施し、次のものを選択した：
【０１２２】
・一方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が０．０１未満含まれ、０．７ｍｍを越える欠陥が全くない５個の長方形標的の第１のロットと、
・他方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が０．５を越えて含まれ、そのどれもが０．７ｍｍを越えない５個の標的の第２のロット。
【０１２３】
０．１ｍｍと０．７ｍｍの間に含まれる大きさの欠陥密度に応じてこのように選択された標的は実験的に、交互に、同じ陰極スパッタ装置に使用され、蒸着アルミニウム厚みを１ミクロンとして、寸法がおよそ２１×２８ｃｍの液晶画面（いわゆる１４インチの画面）の製造のために一連の５００枚の長方形の基盤を金属化した。それぞれの標的は連続する５０枚の基盤の金属化に使用された。
【０１２４】
次いで、局部的エッチング欠陥があれば金属化基盤全体が不合格になる、かなり大きな寸法のこれらの画面のエッチングに通常適用される基準に基づいてこれらの基盤を選別した。
【０１２５】
それによって、０．１ｍｍを越える凝集不良が低い密度で含まれる標的から金属化した基盤の９５％超が付着粒子の有無に関するこれらの基準によってこの用途に適すると判断された。
【０１２６】
反対に、０．１ｍｍを越え、０．７ｍｍ未満の凝集不良が高い密度で含まれる標的から金属化した基盤の１５％超がこの同じ基準によってこの用途に不適と判断された。
【０１２７】
【発明の効果】
【０１２８】
これら各種の用途の実施例は本発明の大きな経済的利益を示している、なぜなら標的の非破壊的方法によって選別された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタ標的から、固体または液体粒子の再付着による金属化基盤の不良率を５％未満に減らすことができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に係る標的の損傷の連続する段階を表す図である。
【発明の属する技術分野】
【０００２】
本発明は集積回路などの製造のための基盤に陰極スパッタするための、極めて純度の高いアルミニウムベースの標的または陰極の内部健全性を超音波で検査する方法、ならびにこの検査から得られた選択された標的に関するものである。
【０００３】
【従来の技術】
【０００４】
陰極スパッタは蒸着技術であり、その原理は専門科学文献に多数記載されている。耐火性であるか否か、合金であるか否か、伝導性か誘電性かを問わずあらゆる種類の材料を、真空をかけ、軽く加熱することが可能なあらゆる種類の基盤に実際に蒸着させることができる。この蒸着技術は半導体珪素板のアルミニウム合金による被覆のための電子工学や集積回路の製造に特に大きな用途分野を見いだした。例えば、容量が４メガバイトを越えるダイナミックメモリＤＲＡＭなどの超高集積回路の製造には極めて薄い（およそ１ミクロン）の相互連結金属層の蒸着が必要であり、次いでこの層をエッチング作業によって極めて細い（幅０．５ミクロン未満）線路を形成して、メモリのそれぞれの位置への個別アクセスを可能にする。
【０００５】
このような条件の下に、相互連結線路の幅に近い大きさの、金属化層のあらゆる傷が、相互連結回路のエッチングの際に重大な欠陥となり、集積回路を廃棄しなければならないことになることが理解できる。
【０００６】
金属標的からの真空陰極スパッタによって得られた金属化層の欠陥の中でもっとも頻繁に見られるものの１つが標的表面の微粒子が剥がれ、固体または液体のこの微粒子または塵埃が金属化中の半導体基盤の上に再付着することである。
【０００７】
これらの塵埃または粒子の大きさは一般的に１０分の数ミクロンから数ミクロンの間である。
【０００８】
エッチング幅が数ミクロンであった前世代の集積回路の場合、基盤の金属化層にこのように再付着した粒子の大半は重大なエッチング欠陥を招かず、この理由によるエッチング欠陥で廃棄される金属化基盤の不良率は許容できるものであった。
【０００９】
反対に、現在および将来の世代の超集積回路、例えば１６メガバイト以上のＤＲＡＭメモリについてはエッチングの幅が極めて細くなり、線路の幅は１０分の数ミクロンになった（現在は０．２から０．５ミクロン程度）。このような条件の下で、標的から剥がれ、半導体基盤に再付着した極めて細かい粒子は集積回路の不良の大きな原因となり、この欠陥は世界の電子産業に毎年多額の損害を生じ、損害金額は使用した金属化標的のコストの数倍に達している。
【００１０】
もちろん、この欠陥を失くすこと、あるいは少なくともそれを押さえることは電子産業にとって大きな課題であり、この欠陥の原因を究明し、その対策を図るために電子産業界が研究開発に多大な努力を払っているのは当然なことである。
【００１１】
しかるに、例えばＥＰ−Ａ−０４６６６１７（ＵＳ ５１６０３８８）による０．１ｍｍ未満の粒子の微細化と均質化などの、標的作製条件に作用することを目指す試みにもかかわらず、これらの努力は今日まで実を結ばなかった。さらに注意すべきこととして、この分野では、非破壊検査法、特に ＵＳ ５４００８５０による、同等の粒子の平均サイズを有する基準層に対する標的の活性金属層の規則性の、超音波検査法はこの深刻な問題を説明する、ましてやそれを抑える、何の助けにもならない。
【００１２】
金属化の過程で基盤に粒子が再付着する原因については様々な仮説が出されている：
【００１３】
第１の仮説は２段階の機転である：
【００１４】
・第１段階で、標的から原子単位で剥がれた金属の一部はスパッタ反応炉の壁に、またはスパッタ標的と基盤の間に位置づけられた視準格子などの、この反応炉内に含まれる機器の上に付着し、そこに薄い堆積を形成する。
【００１５】
・第２段階で、この堆積が微粒子の形で担体から再度剥ぎ取られ、金属化の間に半導体基盤に噴射される。
【００１６】
しかしながら、この機転は存在するにしても、二次的なものでしかない、なぜなら、次のような大きな現象を説明できないからである：
【００１７】
連続するいくつかの基盤に粒子の高い放射率と再付着率を認めたときは、大抵の場合、スパッタ標的を換えるだけでこの現象を止めることができる：従って、粒子の放出（および再付着）は標的に固有の特徴である。
【００１８】
スパッタ標的の未知の特性に結び付けられるこの特性作用を説明するために出された第２の仮説は、標的を構成する金属母材内の酸化物、窒化物、炭化物、などの包含物のような微小包含物が金属内に存在するのではないかというものである。
【００１９】
これらの耐火性の、非電導性粒子はアルゴンイオンによる標的照射の影響で荷電し、最終的に、電弧の発振を引き起こし（アーキングと呼ばれる現象）、次いで粒子を囲繞する金属を溶融させ、基盤の上に微細な多数の液滴の形で放射させ（スプラッシングあるいはエクラブスールと呼ばれる現象）、あるいは蓄積した荷電作用によって耐火性粒子が爆発する（塵埃密度減少あるいはダスティング）おそれがある。
【００２０】
標的ごとに含有率に差がある包含物の存在を前提とするこの仮説は実験的に観察される一部の現象、特に、時折観察される、使用中の、標的の上の局所的電子点弧現象をうまく説明するものである。
【００２１】
このようなわけで、１９９５年１０年、ミネアポリスで開催された米国真空学会年次大会でＴＯＳＯＨ ＳＭＤ社のＡ．Ｌｅｙｂｏｖｉｃｈ、Ｒ．Ｓ．ＢａｒｌｅｙとＪ．Ｐｏｏｌｅが提出した”Ｅｆｆｅｃｔ ｏｆ ｔｈｉｎ ｆｉｌｍｏｘｙｄｅ ｉｎｃｌｕｓｉｏｎｓ ｏｎ ａｌｕｍｉｎｉｕｍ ｔａｒｇｅｔ ａｒｃｉｎｇ ａｎｄ ｐａｒｔｉｃｕｌａｔｅ”と題する論文は、標的表面の局部的電気化学酸化に由来し、この表面に平行に分散する酸化アルミニウムの大きな粒子（Φ＞１ｍｍ）が「アーキング」を引き起こす可能性を示唆している。しかしながら、このように広がった欠陥は１Ｍｈｚと３Ｍｈｚの間の従来の超音波検査で検出可能であり、０．７ｍｍを限度値とする標的の除去を予想した標準化検査を経た工業的標的内に通常は存在しない。
【００２２】
従って、この現象は一般的ではない：これは「破滅的」かつ破壊的ではあるが、幸いにも頻繁ではない現象であり、もっと広く見られるミクロン以下の粒子の放出のごく一部しか、大抵の場合は限られたものしか説明できない。ただし、標的製造に用いられた金属が特に汚染され、例えば金属１キログラム当たり、平均サイズが３０ミクロンを越える耐火粒子を５ミリグラムを越えて、始めから液体金属内に存在するか、鋳造過程で発生した、大きな寸法の耐火性包含物を特に大量に含む場合は別である。
【００２３】
加えて、この仮説は集積回路金属化の専門家の間では周知の、粒子の放出率は標的を構成する合金に依存するというもう１つの実験的所見を説明できない、即ちアルミニウム・珪素・銅の合金（例えば、Ａｌ＋１％Ｓｉ＋０．５％Ｃｕ）が一番敏感で、アルミニウム・珪素の合金（例えば、Ａｌ＋１％Ｓｉ）がこれに続き、銅が少ないアルミニウム・銅の合金（例えば、Ａｌ＋０．５％Ｃｕ）が最も鈍感である。
【００２４】
しかるに、標的を構成する合金の化学組成と耐火性包含物の間の相関関係は全く実証されず、しかも標的を構成する合金の性質と粒子の放射率の間のこの関係は今日までで未解明のままである。
【００２５】
【発明が解決しようとする課題】
【００２６】
粒子の放出が確実に特に抑えられた陰極スパッタ標的を電子産業に供給することは、使用するアルミニウムベースの合金の種類を問わず実現されていない。
【００２７】
【課題を解決するための手段】
【００２８】
アルミニウムまたはアルミニウム合金の標的の内部健全性の本発明による検査法はこの問題に解決をもたらすものであり、粒子の発射率と、作業周波数に調節したセンサーまたは探針と共に、適切な測定ライン、即ちセンサーの周波数に等しい時間のパルスを発射する発信器と使用周波数帯で感度が最大になる受信器を特に使用して、適切な超音波法で測定可能な平坦な凝集不良の形を主として取る金属内の欠陥の数と大きさの間に相関関係が存在するという意外な事実に基づいている。
【００２９】
もっと具体的には、本発明は活性部分が超高純度のアルミニウムまたは超高純度のアルミニウム系合金で形成された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタ標的の内部健全性の超音波検査法を目的とし、下記の過程を特徴とする：
【００３０】
５Ｍｈｚを越える、好適には１０から５０Ｍｈｚの間の作業周波数で作動する超音波センサーを選択し、標的表面に対する欠陥の位置に応じて、液体内に浸漬した標的内の凝集不良を模倣する、既知の寸法の人工的欠陥の超音波反響振幅を示す適切な測定ラインを調節した後：
【００３１】
・超音波検査によって特性化した所与の堆積内の人工欠陥によって得られた超音波反響の振幅と比較して、検査する標的の凝集不良の寸法を決定する過程と、
・前記検査する標的の単位体積あたりの内部凝集不良の大きさと数を計量する過程と、
・超精密エッチングを必要とする用途分野のために、標的の活性金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える凝集不良が０．１以下の、好適には前記金属１立方センチ当たり凝集不良が０．０１未満の凝集不良密度を示す標的を選択する過程。
【００３２】
本発明はさらにこの方法で選択された標的も目的とする、即ち活性部分が超高純度のアルミニウムまたは超高純度のアルミニウム系合金で形成された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタの標的において、活性金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える内部凝集不良が０．１以下の、好適には１立方センチ当たり凝集不良が０．０１未満の凝集不良しか含まない標的を目的とする。
【００３３】
実際、粒子放射率が高くなった部分的に加工された標的を注意深く観察して出願人は、奇妙なことに、これらの標的のいくつかが、アークによって浸食された表面に、大きさが直径で０．１ｍｍからときには１ｍｍの微小気泡（または膨れ）を含み、さらにいくつかは開放気泡で縁が浸食されていることを発見した。
【００３４】
これらの気泡を切断して、それらの内部が空洞であり、その基部はほぼ平坦で、標的の当初の表面に平行であることがわかった。この基部にはいくつかの酸化物包含物または合金元素の沈殿が含まれていたが、それは一般的現象ではなかった。なぜならそれは添加元素の量が少ない合金（例えば、Ａｌ＋０．５％Ｃｕ）ではもっと頻繁であり、添加量の多い合金（例えば、Ａｌ＋１％Ｓｉ＋０．５％Ｃｕ）でははるかに稀であった。
【００３５】
これらの標的の残留金属に対して５Ｍｈｚを越える高い周波数で超音波検査を実施して、これらの金属の中に平坦で、標的の基部の表面に平行な凝集不良が存在することがわかった。人工的欠陥、この場合は直径０．１ｍｍの平坦な底の孔を基準に判断した、これらの凝集不良の見かけ直径はおよそ０．０４ｍｍと０．４ｍｍの間であった。これらの欠陥の多さは一定ではないが、検査した金属１立方センチ当たり１個のレベルを超えることが非常に頻繁で、直径０．１ｍｍを越える欠陥は０．１を越えた。
【００３６】
粒子放射率、標的の残留金属内の寸法が０．０４ｍｍと０．４ｍｍの間の平坦な凝集不良の存在と、加工した標的の表面に直径が０．１ｍｍを越える小さな気泡が存在することの間に相関関係があるという驚くべき発見が本発明の基礎になっている。
【００３７】
単なる説明の試みとして、使用中の欠陥標的からの、ミクロン以下またはミクロン程度の寸法の固体または液体の粒子の大量放出に至る機転は標的の損傷の連続する段階を表す図１を参照して次のように説明できるであろう。
【００３８】
欠陥標的の元になった粗鋳造製品は、もともと、微小孔、微小収縮巣または耐火性包含物などの小さな凝集不良を含んでいた。
【００３９】
鍛造、圧搾および／または圧延などによって標的ブランクに加工したときに、任意の形状のこれらの凝集不良は押し潰され、ブランクの表面に平行に平坦化された。
【００４０】
加工熱処理の際に、金属内に原子の形で溶解し、極度に過飽和した水素がこれらの凝集不良に向かって拡散し、分子ガス（その圧力は数気圧に達することがある）の形で発散する。
【００４１】
陰極スパッタ装置内に設置したときに、欠陥標的は図１(ａ)の如くに、平坦で、標的の表面に平行で、分子水素が充填された凝集不良を含み、これらの凝集不良は局所的に極度に集中した包含物または沈殿物を含むことがある。
【００４２】
陰極スパッタの際に、標的の自由表面は次第に浸食されて標的内部の平坦な凝集不良は、図１(ｂ)の如く、金属薄膜だけでこの表面から隔離されるに至る。
【００４３】
凝集不良内に含まれる水素と、陰極スパッタ室内の真空の間に存在する圧力差のために、この薄膜が持ち上がってスパッタの過程で気泡が生じるか、図１(ｃ)のごとく、標的の残りを構成する厚い金属から分離された金属の薄膜から成る隆起が生じる。
【００４４】
次いで、厚い担体から分離されたこの膜が、続く陰極スパッタの際に固体または液体の小断片で引き剥がされ、標的から引き剥がされた膜のこれらの断片が、図１(ｄ)の如く、金属化の際に基盤の上に再付着すると考えられる。
【００４５】
最後に、陰極スパッタが継続して、標的表面の浸食によって、図１(ｅ)の如くに、膜が、即ち粒子放射の原因となった欠陥が次第に消失する。
【００４６】
この機転の仮説を裏付けるいくつかの所見がある：
【００４７】
・一方では、大抵の場合、半導体基盤への粒子の付着は突然出現し、連続するいくつかの基盤を汚して、消えてしまう。
【００４８】
これは、当初は数十ミクロンの厚みの膜が完全に浸食され、欠陥が消失するのに必要な時間に対応するのであろう。
【００４９】
・他方で、粒子放射現象が最も起こりやすい合金は固化間隔が長い、即ち固化開始温度と固化の終わりの温度の間の差が大きい合金でもある：従って、それらは他の条件（溶解気体または包含物の含有率）を全く同じにした場合、微小孔、または固化の終わりの微小収縮巣が最も形成されやすい合金でもある。
【００５０】
さらに、粒子放射率が高かった欠陥標的の上では、直径が０．１ｍｍ未満の極めて小さな気泡は全く発見されなかったが、標的残留金属内には寸法が０．１ｍｍ未満の多数の平坦な欠陥が存在する。
【００５１】
このことは次のように説明できるだろう：
【００５２】
平坦な凝集不良内に含まれる水素の内圧の効果によって気泡が形成されるためには、浸食の際に標的の表面から凝集不良を分離する金属膜の厚みが、凝集不良直径に比例し、さらに水素の内圧と、合金と温度に応じた膜の機械的強度に左右される限度値より下になる必要がある。
【００５３】
極めて小さい（０．１ｍｍ未満）凝集不良については、この限度厚みは極めて小さい（大きさの目安として１０ミクロン未満）。
【００５４】
このような条件の下に、イオン照射の影響を受ける標的の表面の加熱を考慮に入れて、凝集不良内に存在する水素は、気泡の形成を可能にする残留限界厚みに達する前に、金属を通って、スパッタ室の真空の方に拡散する時間がある。
【００５５】
このように凝集不良は、含有している水素が残留膜を通って拡散することによって空になるので、もはや気泡を形成することができない、なぜならそれを形成する起動力（内部の水素圧力）が消失するからである。
【００５６】
観察に基づくこの説明の試みは、従って、水素含有率が正常で通常（即ち０．２０ｐｐｍ未満、好適には０．１０ｐｐｍ未満）の金属については０．１ｍｍ程度の、限度値より大きな寸法の凝集不良だけが作業中に気泡を形成させ、粒子の放射を助長して、次に粒子が半導体基盤に再付着することを示唆している。
【００５７】
当業者には理解されるように、気泡を発生させ、粒子の放射を引き起こす欠陥の限度寸法の大きさは合金（残留膜の機械的強度）、付着条件（標的表面温度、イオン照射による表面浸食速度）などによって変化し、現在最もよく使用されている合金と蒸着法にしか当てはまらない大きさの程度である。場合によっては、寸法が０．０３ｍｍと０．１ｍｍの間に含まれる凝集不良も固体または液体の粒子放射を招くことがある。
【００５８】
本発明の実施に関しては、下記の詳細な説明を読むことによって一層よく理解できるだろう。
【００５９】
【実施例】
【００６０】
本発明による方法はここでは標的のための珪素が１％、銅が０．５％のアルミニウム合金に適用されるが、もちろんこのアルミニウム合金に限定されるものではない。
【００６１】
［標的の準備］
【００６２】
同一の合金（Ａｌ＋１％Ｓｉ＋０．５％Ｃｕ）の１３の異なる鋳造から、出願人は単位長さが６００ｍｍ、粗直径が１３７ｍｍの粗ビレット輪切りを採取した。この鋳造製品の水素含有率は、必ず０．２０ｐｐｍ未満で、一般的に０．１０ｐｐｍ未満であった。含有率は鋳造の液体金属で、ＡＬＳＣＡＮという商標の装置で測定し、採取した輪切りに隣接するビレットの輪切り内で採取した固体の標本で、ＳＴＲＯＥＨＬＥＩＮという商標の、真空溶融による気体抽出装置による測定で確認した。
【００６３】
長さ６００ｍｍの区分に隣接するこれらの輪切りで、アルミニウム合金の母材を溶解し、溶けない非金属包含物を濾過して（濾過限度≧２ミクロン）、乾燥させた後に計量し、走査顕微鏡で数え、測定することから成る包含物含有率測定試験も実施した。
【００６４】
ビレットの１３の輪切りは最初に回転黒皮剥ぎにかけて、表面の黒皮を除去して、直径を１３０ｍｍにした。
【００６５】
次いで黒皮を剥いだビレットの輪切りを周波数５Ｍｈｚで従来の超音波検査にかけて、このタイプの鋳造粗製品にとって、既存の最も厳しい規格であるフランス規格ＡＩＲ第９０５１に従って、直径が０．７ｍｍの平坦底による人工的欠陥を越える反響のない輪切りだけを残した。これによって１個の輪切りが不合格になった。
【００６６】
超音波センサーと従来の測定ラインの選択によってこの周波数レベルに調節されたこの検査感度によって０．３ｍｍから０．８ｍｍの間の欠陥の検出が可能である。好適にはビレットの堆積を１００％検査することのできるスパイラル検査と呼ばれるＡＩＲ規格９０５１の変形を使用して、センサーをビレットに対して垂直に並進運動させる間にビレットを回転運動させる、これに対し、この規格の基本的検査ではビレットの面と３つの母線を検査するだけであるから。
【００６７】
これによって１本の輪切りが不合格になり、さらにこの輪切りに隣接する輪切りの１つで測定した包含物の含有率が、金属１ｋｇあたり２ミクロンを越える大きさの包含物が１０ｍｇを越え、他方でこの含有率は、この第１の超音波検査に合格した１２の輪切りに隣接する全ての輪切りにおいては金属１ｋｇあたり２ミクロンを越える大きさの包含物が５ｍｇ未満のままであった。
【００６８】
このように選択した１２の輪切りは次に、均質化処理を特にこの合金のためにわずかに適合させただけで、出願人によるＥＰ−Ａ−０４６６６１７（ＵＳ ５１６０３８８）に記載の操作法によって、標的のブランクに加工した。
【００６９】
この均質化は２段階で実施され、第１段階では８時間の間５１０℃に維持して、固化の終わりに現れた３成分の共晶の成分を溶液に戻し、第２段階ではさらに４時間の間５６０℃に維持して、個々の粒子のレベルで、製品の化学組成の均質化を完全にした。厚みがおよそ６００ｍｍのそれぞれのビレットを対照薄片で隔てられた幅１６０ｍｍの３つの断片に輪切りにした後、前述の特許の教示するところに完全に従って操作を実施して、圧搾、クロスミル、と再結晶化のための仕上げ熱処理を含む圧延を経て、最初の長さ６００ｍｍの区分当たり３つの標的の割合で、直径およそ３３０ｍｍ、厚さ２５ｍｍの標的のブランクが得られた。
【００７０】
次いで、それぞれのブランクの片面を加工し、研磨して加工製品の顕微鏡的組織を検査した。
【００７１】
この検査でわかったのだが、製品には珪素と金属間のＡｌ2Ｃｕの微粒子が含まれ、その大きさは５から１０ミクロン程度で、再結晶化したこの製品の粒子の大きさは０．１ｍｍ未満であり、平均して０．０７ｍｍ程度であった。
【００７２】
さらに、これらの標的の組織は、Ｘ線試験から明らかなように（極１１１と２００の図）、ほぼ等方性で、粒子の優先配向性は認められなかった。
【００７３】
このようにして製造した全てのブランクは、従って、これら全ての基準（沈殿物の大きさ、粒子の大きさ、粒子配向の組織）について、集積回路の金属化のための標的の十分な使用のために期待される全ての基準を満たしていた。
【００７４】
従って、これらのブランクは旋盤による仕上げ加工を受け、直径３００ｍｍ、厚み２０ｍｍ、単位重量およそ３．８ｋｇ、体積が１４００ｃｍ3 に近い円盤を得た。センサーを標的表面に平行に移動し、センサーと標的の接触を５Ｍｈｚの周波数で鉱物油によって実現する超音波検査を手動で実施して、フランス規格ＡＩＲ第９０５１号による、０．７ｍｍの底が平坦な孔によって構成される人工欠陥に等しい欠陥を有する円盤を除去することができた。好適には鋳造粗製品に使用されるこの規格は ＡＥＣＭＡ−Ｐｒ ＥＮ２００３−８とＰｒ ＥＮ２００４−２またはＭＩＬ ＳＴＤ２１５４とＰｒ ＥＮ４０５０−４などの加工製品にもっと頻繁に使用される規格に代えても有利である。
【００７５】
このようにして、この検査で３６のブランクから６個が不合格になった。
【００７６】
［高周波数超音波検査による選択］
【００７７】
残った円盤を、溶接によって、銅製の指示板に接続する前に、高周波超音波によってさらに試験した。
【００７８】
この追加の試験は、加工したそれぞれの円盤を水槽内に浸漬するものである。次いで、円盤の表面に平行に、走査軸Ｘ−Ｙに沿って、１５Ｍｈｚの周波数で作動するセンサーまたは超音波探針を移動させた。
【００７９】
このセンサーは、検査する製品に類似の金属学特性を有する同一の合金の表面から６ｍｍ、１２ｍｍと１８ｍｍの深さに位置する、直径０．１ｍｍの平坦な底の孔によって構成される人工欠陥を基準にあらかじめ検定されている。この点に関して、この基準板はそれ自体が平均０．０７ｍｍの粒度と、等方性の粒子配向と、小さな寸法の（平均１０ミクロン未満）の金属間沈殿物を有するので、同一の形態的特徴を有する充填の少ない他のアルミニウム合金の上の欠陥の寸法の検定にも使えることに留意しなければならない。
【００８０】
これによって平らな底の等価の孔に対応する反響振幅の測定を可能にする検定曲線を描くことができた。
【００８１】
このようにして、それぞれの円盤について、最大有効体積内の、騒音レベルを超える反響数と、関連する信号の振幅、ならびに０．１ｍｍの人工欠陥に対応する振幅を越える反響数を計量した、即ち表面の下の深さ１８ｍｍの、直径２８０ｍｍの有効表面に対応するおよそ１０００ｃｍ3 の体積である。
【００８２】
このように検査した円盤は５種類に分けられた：
【００８３】
１類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１０００を越える円盤（１反響／ｃｍ3 を越える）
【００８４】
２類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１００から１０００の円盤（０．１から１反響／ｃｍ3 ）
【００８５】
３類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１０から１００の円盤（０．０１から０．１反響／ｃｍ3 ）
【００８６】
４類：円盤当たり＞０．１ｍｍの反響が１０未満の円盤（０．０１反響／ｃｍ3 未満）
【００８７】
５類：どれも円盤当たり０．１ｍｍ未満の０．０３から０．１ｍｍの間の表示しか示さない円盤
【００８８】
粒子の大きさ、配向組織、沈殿物の大きさと０．７ｍｍを越える大きさの欠陥がないことに関する、スパッタ標的のための既存の選択基準にどれも合致するこれら５種類の円盤は、次いで溶接によって銅の担体に接続された。
【００８９】
これによって次のものが得られた：
【００９０】
１類の標的×３（活性金属１ｃｍ3 当たり１を越える反響）
２類の標的×１０（活性金属１ｃｍ3 当たり０．１から１の反響）
３類の標的×１２（活性金属１ｃｍ3 当たり０．０１から０．１の反響）
４または５類の標的×５（活性金属１ｃｍ3 当たり０．０１未満の反響）
【００９１】
この標的は次に、１６メガバイトのＤＲＡＭメモリ製造用の、直径８インチの基盤の金属化のために、集積回路製造者によって使用された。
【００９２】
［金属化比較試験の結果］
【００９３】
１類の３個の標的のうち２個については、微小電弧が極めて頻繁に発生し、基盤に大量の粒子が付着したので即座に停止を余儀なくされ、この基盤は全数が不合格になった。第３の標的は通常の寿命の終わりまで使用されたが、結果は芳しくなく、０．５ミクロンを越える大きさの粒子があまりに大量に存在するので、この標的で金属化した基盤の２０％超が不合格になった。
【００９４】
２類の１０個の標的のうち２個については、微小電弧が極めて頻繁に発生し、基盤に大量の粒子が付着したので通常の寿命が終わる前に停止を余儀なくされた。他の８個はよい結果を出せず、平均して基盤の１０％超が金属化の後に不合格になった。
【００９５】
３類の１２個の標的に関しては、使用中に停止を余儀なくされたものはなく、粒子が多過ぎて不合格になった金属化基盤は平均して５％未満である。
【００９６】
最後に、４または５類の５個の標的に関しては、問題が生じたものはない、また過剰な粒子の存在のために不合格になった金属化基盤の比率は平均して２％未満であった。
【００９７】
３、４、５類の標的を採った区分に隣接する薄片で実施した包含率の測定によって、これら全ての標的について金属１キログラム当たり包含物が５ミリグラム未満の重み付き含有率が明らかになった。反対に、同じく上記の区分から得られ、従って、同様の包含物含有率を示す、前記１と２類の標的のいくつかから包含物の含有率が低いことが低い粒子再付着率を得るためのおそらく必要条件であるが、絶対に十分条件ではないことが確認された。
【００９８】
【その他の実施例】
【００９９】
Ａ）珪素が１％のアルミニウム合金
【０１００】
異なる鋳込みに由来し、重量で１％の珪素が添加された、９９．９９９％を越える超高純度の同一のアルミニウム合金で製作した陰極スパッタ標的の既存のロットに対して、浸漬して、高周波（１５メガヘルツ）の超音波で検査を実施し、次のものを選択した：
【０１０１】
・一方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が０．１未満含まれ、０．７ｍｍを越える欠陥が全くない５個の標的の第１のロットと、
・他方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が２を越えて含まれ、そのどれもが０．７ｍｍを越える等価の大きさを越えない５個の標的の第２のロット。
【０１０２】
０．１ｍｍと０．７ｍｍの間に含まれる大きさの欠陥密度に応じてこのように選択された標的は実験的に、交互に、同じ陰極スパッタ装置に使用され、蒸着アルミニウム厚みを１ミクロンとして、直径６インチ（およそ１５０ｍｍ）の一連の半導体基盤を金属化した。即ち、それぞれの標的は連続する数十の基盤の金属化に使用された。
【０１０３】
次いで、エッチング幅を０．３５ミクロンとして、１６メガバイトのＤＲＡＭメモリタイプの集積回路のエッチングに使用される基準に基づいてこれらの基盤を選別した。
【０１０４】
それによって、０．１ｍｍを越える凝集不良が低い密度で含まれる標的から金属化した基盤の９５％超が付着粒子の有無に関するこれらの基準によってこの用途に適すると判断された。
【０１０５】
反対に、０．１ｍｍを越え、０．７ｍｍ未満の凝集不良が高い密度で含まれる標的から金属化した基盤の２０％超がこの同じ基準によってこの用途に不適と判断された。
【０１０６】
Ｂ）銅が０．５％のアルミニウム合金
【０１０７】
超高集積度の半導体基盤の金属化装置に使用した後、このように金属化した基盤に対する固体または液体粒子の再付着率が高かった、Ａｌ＋０．５％Ｃｕの２成分合金製の部分的に使用した（５ｍｍ程度の浸食深さ）標的を選択した。この高い再付着率によるこの基盤の不良率は１０％を越えた。
【０１０８】
これらの部分的に使用した標的は、まず、銅の担持体から分離し、場合によっては酸化するか汚染した表面部分を除去するために、次に乾式で（加工潤滑剤なしで）ダイアモンドバイトで再加工した。
【０１０９】
このように再加工した標的は続いて超音波検査にかけた。最初は中心を出した１０から２５Ｍｈｚの広い周波数帯で、次に１５Ｍｈｚで検査して、直径０．１ｍｍの基準平坦底孔の０．４倍以上の直径の欠陥を検出し、数えることができた。
【０１１０】
これによって、欠陥のある標的から得られた、このように再加工した全ての標的は、検査した金属の１立方センチメートル当たり、０．０４ｍｍを越える等価の大きさの欠陥が１を越える欠陥密度を含むことがわかった。
【０１１１】
反対に、固化間隔が短いこの合金については、奇妙なことに、検査した金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの欠陥を０．０５を越えて含む標的は４個のうち２個だけであった。
【０１１２】
このように検査したそれぞれの標的を次に直径方向に裁断して、２個の半円形の半標的を得た。
【０１１３】
・標的当たり１個の半円盤を次に溶解試験にかけて、アルミニウム合金の母材を溶解し、最初の標的の非溶融耐火性（耐熱性）包含物の初期含有率を定量化した。
【０１１４】
これによってこの試験にかけた全ての欠陥標的が、合金１キログラム当たり５ミリグラムを越える耐火性（耐熱性）包含物を含んでいたことがわかった。
【０１１５】
・それぞれの標的から得られた別の半円盤は固体の円筒状の標本を抽出するために加工し、ＳＴＲＯＥＨＬＥＩＮという商標の装置を用いて、これらの標本の溶解または吸蔵水素含有率を測定した。これによって欠陥標的から得られた金属の水素含有率は０．１２ｐｐｍを越えることがわかった。
【０１１６】
比較のために、時間を制限した（通常の寿命のおよそ２５％）スパッタ試験の後、このかなりの時間ではあるが制限された時間の試験の間に、固体または液体粒子の再付着による不良率が非常に低かった（不良率１％未満）４個の金属化標的を採取した。
【０１１７】
部分的に使用されたこれらの標的は、欠陥標的のものと同じ検査にかけた。
【０１１８】
これによって、優れた品質のこれらの標的が必ず金属１ｋｇ当たり４ｍｇ未満の耐火性包含物含有率と、０．０７ｐｐｍ未満の溶解または吸蔵水素含有率を示すことがわかった。
【０１１９】
これらの標的の中で、寸法が０．１ｍｍを越える内部凝集不良を示すものはなかった、また検査した金属の１立方センチメートル当たり寸法が０．０４ｍｍを越える凝集不良は０．０５未満であった。これは＜＜欠陥＞＞標的で認められたものよりはるかに少なかった。
【０１２０】
Ｃ）純度が４Ｎから６Ｎの非合金アルミニウム
【０１２１】
非制限的実施例として、９９．９９８％を越える超高純度のアルミニウムの断面が長方形の鋳造粗ブランクから圧延した陰極スパッタ標的の既存のロットに対して１５メガヘルツの超音波で検査を実施し、次のものを選択した：
【０１２２】
・一方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が０．０１未満含まれ、０．７ｍｍを越える欠陥が全くない５個の長方形標的の第１のロットと、
・他方では、金属の１立方センチメートル当たり、０．１ｍｍを越える等価の大きさの凝集不良が０．５を越えて含まれ、そのどれもが０．７ｍｍを越えない５個の標的の第２のロット。
【０１２３】
０．１ｍｍと０．７ｍｍの間に含まれる大きさの欠陥密度に応じてこのように選択された標的は実験的に、交互に、同じ陰極スパッタ装置に使用され、蒸着アルミニウム厚みを１ミクロンとして、寸法がおよそ２１×２８ｃｍの液晶画面（いわゆる１４インチの画面）の製造のために一連の５００枚の長方形の基盤を金属化した。それぞれの標的は連続する５０枚の基盤の金属化に使用された。
【０１２４】
次いで、局部的エッチング欠陥があれば金属化基盤全体が不合格になる、かなり大きな寸法のこれらの画面のエッチングに通常適用される基準に基づいてこれらの基盤を選別した。
【０１２５】
それによって、０．１ｍｍを越える凝集不良が低い密度で含まれる標的から金属化した基盤の９５％超が付着粒子の有無に関するこれらの基準によってこの用途に適すると判断された。
【０１２６】
反対に、０．１ｍｍを越え、０．７ｍｍ未満の凝集不良が高い密度で含まれる標的から金属化した基盤の１５％超がこの同じ基準によってこの用途に不適と判断された。
【０１２７】
【発明の効果】
【０１２８】
これら各種の用途の実施例は本発明の大きな経済的利益を示している、なぜなら標的の非破壊的方法によって選別された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタ標的から、固体または液体粒子の再付着による金属化基盤の不良率を５％未満に減らすことができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に係る標的の損傷の連続する段階を表す図である。
Claims (8)
- 活性部分が超高純度のアルミニウムまたは超高純度のアルミニウム系合金で形成された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタ標的の金属の内部健全性の超音波検査法において、
５ＭＨｚを越える作業周波数で作動する超音波センサーを選択し、標的表面に対する欠陥の位置に応じて、液体内に浸漬した標的内の凝集不良を模倣する、既知の寸法の人工的欠陥の超音波反響振幅を示す測定ラインを調節した後：
・超音波検査によって特性化した所与の体積内の人工欠陥によって得られた超音波反響の振幅と比較して、検査する標的の凝集不良の寸法を決定する過程と、
・前記検査する標的の単位体積あたりの内部凝集不良の大きさと数を計量する過程と、
・超精密エッチングを必要とする用途分野のために、標的の活性金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える凝集不良が０．１以下の凝集不良密度を示す標的を選択する過程：
を特徴とする、超音波検査法。 - 請求項１に記載の方法において、
超高精度のエッチングを必要とする用途について、標的の金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える凝集不良が０．０１未満の凝集不良密度を示す標的を選択することを特徴とする、超音波検査法。 - 請求項１に記載の方法において、
１０ＭＨｚから２５ＭＨｚの間に含まれる超音波センサーの作動周波数を選択した後、超高精度のエッチングを必要とする用途について、標的の金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える内部凝集不良を全く含まず、０．０４ｍｍを越える寸法の凝集不良が０．０５未満の標的を選択することを特徴とする、超音波検査法。 - 活性部分が超高純度のアルミニウムまたは超高純度のアルミニウム系合金で形成された、集積回路または電子回路の金属化のための陰極スパッタ標的を、
５ＭＨｚを越える作業周波数で作動する超音波センサーを選択し、標的表面に対する欠陥の位置に応じて、液体内に浸漬した標的内の凝集不良を模倣する、既知の寸法の人工的欠陥の超音波反響振幅を示す測定ラインを調節した後：
・超音波検査によって特性化した所与の体積内の人工欠陥によって得られた超音波反響の振幅と比較して、検査する標的の凝集不良の寸法を決定する過程と、
・前記検査する標的の単位体積あたりの内部凝集不良の大きさと数を計量する過程と、
・超精密エッチングを必要とする用途分野のために、標的の活性金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える凝集不良が０．１以下の凝集不良密度を示す標的を選択する過程とからなる超音波検査法によって選択し、
選択した陰極スパッタ標的を使用し、基盤の金属化を行うことを特徴とする、基盤の金属化方法。 - 請求項４に記載の方法において、
標的の活性金属１立方センチ当たりの寸法が０．１ｍｍを越える凝集不良が０．０１未満の凝集不良密度を示す標的を選択することを特徴とする、基盤の金属化方法。 - 請求項４または５に記載の方法において、前記陰極スパッタ標的の溶解または吸蔵水素含有率が０．２０ｐｐｍ未満であることを特徴とする基盤の金属化方法。
- 請求項４〜６のいずれか一つに記載の方法において、選択した陰極スパッタ標的は、寸法が０．１ｍｍを越える耐火性包含物の含有率が活性金属１ｃｍ3 当たり０．１個未満で、寸法が２ミクロンを越える包含物の総含有率が合金１ｋｇ当たり５ｍｇ未満であることを特徴とする基盤の金属化方法。
- 請求項７に記載の方法において、選択した陰極スパッタ標的は、寸法が０．１ｍｍを越える内部凝集不良を全く含まず、寸法が０．０４ｍｍを越える凝集不良含有率が活性金属１立方センチメートル当たり０．０５個未満で、寸法が２ミクロンを越える包含物の総含有率が合金１ｋｇ当たり４ｍｇ未満であることを特徴とする基盤の金属 化方法。
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