JP3789945B2 - 流動体の塗布部材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、リキッドアイシャドーなどの化粧料を含む流動体を肌などの被塗布物に塗布するための塗布部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流動体を誘導してその先端開口から吐出させるパイプ芯の外周部に、流動体を滲出可能なポリウレタンフォーム等弾性多孔質の袋状の外被体を取付けてなる流動体の塗布部材が存在する。そして、このような塗布部材の多くは、その外被体の略全体から流動体を滲出させていた。ところで、実際に化粧料などを塗布する場合は、化粧料を肌に付着させた後に、化粧料をのばしたりぼかしたりする作業が必要となるが、従来の塗布部材は上記のように外被体の全体から化粧料等が滲出するので、このような作業を塗布部材で行うことができず、止むを得ず指先や別個のブラシ等を用いて化粧料をのばしたりぼかしたりしなければならぬ不便があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、流動体を被塗布物に対し付着させるだけでなく、流動体を被塗布物上においてのばしたりぼかしたりする作業も行うことができる流動体の塗布部材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の流動体の塗布部材は、流動体の導出孔を有してその先方に吐出口を設けたパイプ芯の外周部を流動体が滲出可能な弾性外被体で覆ってなる流動体の塗布部材において、上記パイプ芯の軸方向と直交するパイプ芯の横断面形状を楕円形もしくは円形の両側面が平坦となった形状となして、上記パイプ芯の先端部は、上記パイプ芯の横断面の短径方向において軸中心から片側半分が切り欠かれることにより上記パイプ芯の先方の吐出口を片側の側方に向け開口し、上記パイプ芯の先端部における切欠部の反対側の片側半部のほぼ全体に丸みをもたせたことを特徴とするものである。尚、パイプ芯の先端の吐出口を片側の側方に向け開口するには、パイプ芯の先端部を適宜切欠けばよい。
【0005】
また、パイプ芯の吐出口の側方へ向いた開口部から流動体を安定的に吐出させるためには、パイプ芯の先端の吐出口の近傍に液溜り部を設けるのがよい。
【0006】
【作用】
パイプ芯の先方の吐出口を片側の側方に向け開口したので、その開口部から流動体が吐出して、弾性外被体の片側面において主に流動体が滲出する。従って、流動体が滲出する側の弾性外被体の片側面により被塗布物に対し流動体を付着させ、反対側の流動体が滲出しにくい片側面により流動体をのばしたりぼかしたりする作業を行うことができる。
【0007】
【実施例】
以下、図面に基づき実施例について詳説する。まず図1乃至図4は第1実施例を示したものである。図1は本発明の塗布部材1を先端部に取付けた塗布具の全体構造を示しており、軸筒2の前端に先軸3を接合し、先軸3の内部に塗布部材1の後半部を係止し、先軸3の前方へ塗布部材1の前半部を突出させている。塗布部材1は、流動体の導出孔4を有してその先方に吐出口5を設け、且つ先端部に斜め方向の切欠部6を設けることにより、その吐出口5を前方と共に片側の側方に向けても開口したパイプ芯7(図3参照)と、該パイプ芯7の外周部を覆うように取付けられたスポンジ等の連続気孔を有して流動体を滲出可能な袋状の弾性外被体8(図2参照)とから構成されている。
【0008】
図1に示すように、軸筒2の前半内孔部は流動体を収容するタンク9となっていて、そのタンク9内にはピストン10を軸方に摺動自在に嵌装している。ピストン10の後部には両側の側面に平面部を有するネジ軸11を取付けている。軸筒2の略中央部には、ネジ軸11における側面に平面部を形成した箇所の断面形状と同一の形状で僅かに大きい通孔を有する回転止め12を配置している。回転止め12は外面が多角形で、軸筒2におけるタンク9の後方位置に設けた内面多角形部に嵌着して、円周方向に回転不能に固定している。ネジ軸11はこの回転止め12の通孔に挿通して回転を阻止されている。ネジ軸11の外周部には内面にネジ部13を形成した繰出体14を螺着している。繰出体14は前端外面に鍔15を設け、その鍔15の後面に凹凸状の一定ピッチの歯部16を設けている。この繰出体14の鍔15の後方には前面に爪を形成したリング体17が円周方向に回転不能で軸方向に移動可能に配され、該リング体17はスプリング18により前方へ押圧され、その前面の爪を繰出体14の鍔15に形成した歯部16に噛合させている。リング体17の爪は繰出体14の歯部16が一方向へのみ回転して乗り越え可能な形状となっている。尚、繰出体14の歯部16が回転によりリング体17の爪を乗り越えるときは、リング体17がスプリング18を圧縮しながら後退する。軸筒2の後端部には抜止リング19を固着している。操作体20は前端部にスリット(図示せず)により半径方向に弾性変形可能な取付筒部21を有し、その前端外面部に係止突起22を設けている。操作体20は取付筒部21を抜止リング19に挿入して、弾性変形によって係止突起22を抜止リング19の前縁に係合させ、軸筒2の後端に回転自在に取付けられている。また、操作体20の内部には断面多角形の内孔を有する栓体23を一体的に嵌着している。この栓体23の内孔には、断面が同じく多角形の繰出体14の後端部を嵌入させている。従って操作体20を回転すると繰出体14も一体的に回転する。繰出体14が回転すると、これと螺着しているネジ軸11が回転止め12により回転を阻止されているので前進するようになり、ピストン10も押されて前進する。ピストン10の前進によりタンク9内の流動体が加圧されて上記塗布部材1におけるパイプ芯7の導出孔4に流入し、パイプ芯7の先端まで導かれて吐出口5から流出し、弾性外被体8から滲出することになる。尚、塗布部材1をカバーするキャップ(図示せず)が先軸3に対し着脱自在となっている。
【0009】
図2は塗布部材1の外観を示したものである。弾性外被体8においてパイプ芯7の吐出口5と対応する片側の側面部が流動体滲出部24となっている。
【0010】
図3及び図4は塗布部材1におけるパイプ芯7の形状を示したものである。図4に示すようにパイプ芯7において弾性外被体8で覆う箇所の断面は楕円形となっていて、弾性外被体8を装着すると略扁平となる。
【0011】
図5及び図6は第2実施例のパイプ芯25の形状を示したものである。弾性外被体で覆う箇所の断面は図6に示すように円形の両側面が平坦となった形状を呈し、又、先端部の切欠面26は先端面から後方へ僅かな距離だけ軸方向に平行となっていて、その後端位置から傾斜するようになっている。
【0012】
図7及び図8は第3実施例のパイプ芯27の形状を示したものである。弾性外被体で覆う箇所の断面は上記第2実施例(図6参照)の平坦部のエッジが丸められた形状となっており、又、先端部の切欠面28における軸方向に平行な部分も上記第2実施例より長くなっている。
【0013】
図9及び図10は第4実施例のパイプ芯29を、又、図11及び図12は第5実施例のパイプ芯30を、更に、図13乃至図15は第6実施例のパイプ芯31を示しており、それぞれ弾性外被体で覆う箇所の断面と、切欠面32,33,34の形状が若干異なっているが、いずれも吐出口35,36,37の開口の向きを側方に向けて、前方への吐出を制限している。
【0014】
図16及び図17は第7実施例のパイプ芯38を示したもので、これは図9に示した上記第4実施例のパイプ芯29と外面形状が同一であるが、吐出口39の開口部と対向する内面に凹状の液溜り部40を設けたものである。図18及び図19は第8実施例のパイプ芯41を示したもので、これは図11に示した上記第5実施例のパイプ芯30と外面形状が同一であるが、吐出口42の開口部と対向する内面に凹状の液溜り部43を設けたものである。図20及び図21は第9実施例のパイプ芯44を示したもので、これは図13に示した上記第6実施例のパイプ芯31と外面形状が同一であるが、吐出口45の開口部と対向する内面に凹状の液溜り部46を設けたものである。
【0015】
図22乃至図24は第10実施例のパイプ芯47を示したものである。これは図13に示した上記第6実施例のパイプ芯31と形状が類似しているが、弾性外被体で覆う箇所を先細状のテーパ部48となしたものである。
【0016】
図25乃至図27は第11実施例のパイプ芯49を示したものである。これはパイプ芯49の先端部を斜めに切欠いて吐出口50を片側の側方へ向け開口すると共に、その切欠斜面部51の略前半中央部を軸方向に略垂直な方向へ削って液溜り部52を設けたものである。
【0017】
尚、上記の各実施例のパイプ芯において弾性外被体で覆う箇所の断面は楕円形等幾分扁平な形状となっているが、これを完全な円形にしたり、極端な扁平状とする実施例も勿論可能である。
【0018】
【発明の効果】
本発明は上記の通りであり、弾性外被体の片側の側面から主に流動体が滲出するようになすことができるので、流動体を被塗布物に付着した後で、弾性外被体の反対側の側面を用いて流動体をのばしたりぼかしたりする作業をできる利便がある。また、請求項2記載のように液溜り部を設ければ、パイプ芯の吐出口の側方へ向いた開口部から流動体を安定的に吐出させることができるという効果がある。尚、本発明と同一の目的を達成するために弾性外被体の片側に流動体が滲出不能なシート等を重合する等の手段も考えられるが、そのようにすると弾性外被体の厚さが不均一となり、また硬くなるという不都合が生ずる。これに対し本発明の場合は弾性外被体の厚さを均一にし、且つ、適度な柔軟性を保てるという有利がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の塗布部材を塗布具に取付けた状態の断面図である。
【図2】第1実施例の塗布部材の斜視図である。
【図3】第1実施例のパイプ芯の断面図である。
【図4】第1実施例のパイプ芯の正面図である。
【図5】第2実施例のパイプ芯の断面図である。
【図6】第2実施例のパイプ芯の正面図である。
【図7】第3実施例のパイプ芯の断面図である。
【図8】第3実施例のパイプ芯の正面図である。
【図9】第4実施例のパイプ芯の断面図である。
【図10】第4実施例のパイプ芯の正面図である。
【図11】第5実施例のパイプ芯の断面図である。
【図12】第5実施例のパイプ芯の正面図である。
【図13】第6実施例のパイプ芯の断面図である。
【図14】第6実施例のパイプ芯の正面図である。
【図15】第6実施例のパイプ芯の斜視図である。
【図16】第7実施例のパイプ芯の断面図である。
【図17】第7実施例のパイプ芯の正面図である。
【図18】第8実施例のパイプ芯の断面図である。
【図19】第8実施例のパイプ芯の正面図である。
【図20】第9実施例のパイプ芯の断面図である。
【図21】第9実施例のパイプ芯の正面図である。
【図22】第10実施例のパイプ芯の断面図である。
【図23】第10実施例のパイプ芯の正面図である。
【図24】第10実施例のパイプ芯の斜視図である。
【図25】第11実施例のパイプ芯の平面図である。
【図26】第11実施例のパイプ芯の正面図である。
【図27】第11実施例のパイプ芯の断面図である。
【符号の説明】
1 塗布部材
2 軸筒
3 先軸
4 導出孔
5,35,36,37,39,42,45,50 吐出口
6 切欠部
7,25,27,29,30,31,38 パイプ芯
41,44,47,49 パイプ芯
8 弾性外被体
9 タンク
10 ピストン
11 ネジ軸
12 回転止め
13 ネジ部
14 繰出体
15 鍔
16 歯部
17 リング体
18 スプリング
19 抜止リング
20 操作体
21 取付筒部
22 係止突起
23 栓体
24 流動体滲出部
26,28,32,33,34 切欠面
40,43,46,52 液溜り部
48 テ−パ部
51 切欠斜面部
Claims (2)
- 流動体の導出孔を有してその先方に吐出口を設けたパイプ芯の外周部を流動体が滲出可能な弾性外被体で覆ってなる流動体の塗布部材において、
上記パイプ芯の軸方向と直交するパイプ芯の横断面形状を楕円形もしくは円形の両側面が平坦となった形状となして、
上記パイプ芯の先端部は、上記パイプ芯の横断面の短径方向において軸中心から片側半分が切り欠かれることにより上記パイプ芯の先方の吐出口を片側の側方に向け開口し、
上記パイプ芯の先端部における切欠部の反対側の片側半部のほぼ全体に丸みをもたせたことを特徴とする流動体の塗布部材。 - パイプ芯の先方の吐出口の近傍に液溜り部を設けたことを特徴とする請求項1記載の流動体の塗布部材。
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