JP3788929B2 - 金属粉末成形体の焼結方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属粉末及び有機バインダとの混練物を成形し、脱脂、焼結工程を経て焼結体とする金属粉末成形法の焼結方法に関する。特に、金属粉末の成形方法が金属粉末射出成形法である成形体の焼結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複雑な小物形状で高密度な金属部品を大量生産する方法としては、金属粉末射出成形(Metal Injection Molding(以下、MIM))法が用いられている。このMIM法は、金属粉末と有機バインダとを混練し粉砕したもの、若しくはペレット化したものを混練体(コンパウンド)として射出成形機に供給し、加熱シリンダー内によって加熱した後、所定の金型に射出成形を行って成形体(グリーン体)を作製する。その後、セラミックスからなる焼結用治具(トレー)上にグリーン体を載置し、グリーン体から有機バインダ成分を除去する脱脂を行って脱脂体とする。この脱脂工程は、加熱炉に挿入、脱脂溶剤に浸漬もしくは、焼結炉中で低温で実施する方法等がある。さらに、この脱脂体をトレーに載置した状態のままで焼結炉内に移して焼結を行い、その後、焼結炉内を冷却して金属粉末焼結体とするものである。このような従来方法において、上記脱脂および焼結工程時、グリーン体を載置する焼結用治具(トレー)が必要であるが、コスト面および汎用面からアルミナを主成分とするトレーを使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、真空下もしくは減圧下(以下、真空下という)での焼結では、トレーの主成分であるアルミナの一部が揮発する為、冷却工程に入る前の焼結最高温度域では、トレーの主成分であるアルミナが飛散している。この状態で、従来のように一定温度領域内で焼結炉内に不活性ガスを封入して冷却を行うと、飛散していたアルミナが焼結炉内の冷却に伴って固化し、固化したアルミナが焼結体表面、焼結炉壁および焼結用治具に付着する。この付着により、焼結体は表面汚染による外観不良になっている。また、焼結体表面への付着により、焼結体表層部が本来の成分と異なるものともなっている。さらに、連続して焼結炉および焼結用治具等を使用する場合、高温真空下での焼結時にこれらに付着していたアルミナが再揮発飛散し、不活性ガス封入時の冷却の際にアルミナトレーからのアルミナの飛散分も加わって焼結体、焼結炉の炉壁およびトレーへの付着量が増加する。すなわち、アルミナによる汚染雰囲気を醸成する問題点となっている。
【0004】
本発明は、上述のアルミナ汚染の問題を考慮してなされたものであり、金属粉末成形体の焼結時にトレーの主成分であるアルミナの蒸発を防止することにより、焼結体表面や焼結炉の炉壁、トレー表面へのアルミナの付着および汚染を防止し、焼結体の外観不良をなくし、かつ焼結体表層部の本来の成分を確保することができる金属粉末成形体の焼結方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため、金属粉末成形体の脱脂、焼結工程において、セラミックスの高温における状態、揮発性状等を種々検討し、硝酸マグネシウム六水和物が高温に加熱されることにより、マグネシアとなり、さらに高温においてアルミナとスピネル構造を作るため、焼結の際、トレーから揮発するアルミナが防止でき、焼結体の表面に対して付着をより少なくすることが出来ることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、金属粉末成形体の焼結において、該成形体を載置するアルミナトレーに硝酸マグネシウム六水和物の水溶液もしくは該アルコール溶液を塗付して焼結することを特徴とする金属粉末成形体の焼結方法である。
さらに、硝酸マグネシウム六水和物の水溶液もしくは該アルコール溶液の濃度が5〜50質量%であることを特徴とするの金属粉末成形体の焼結方法である。好ましくは、20質量%以上40質量%以下の範囲であり、アルミナトレーは前記溶液を塗布後、300℃から1000℃で予熱した後冷却し、焼結用トレーとなすことを特徴とする金属粉末成形体の焼結方法である。
また、金属粉末成形体が金属粉末射出成形体であることを特徴とする金属粉末成形体の焼結方法である。
【発明の実施の形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施の形態を説明する。
まず、金属粉末成形体を載置するアルミナトレーを準備し、このトレーに硝酸マグネシウム六水和物の水溶液もしくはこれのアルコール溶液を塗付する。本発明において、塗付する溶液の濃度は、5質量%以上50質量%以下である。5質量%以下の濃度では、希薄溶液となるため、硝酸マグネシウムがアルミナを覆うのに不足である。また、50質量%以下としたのは硝酸マグネシウムの溶解限度が50%付近であるため、これ以上の添加では効果が変わらないためである。本発明では、アルミナ成分の焼結体および焼結炉壁への付着防止をより確実にするため、20質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましい。
【0007】
次に、そのトレーを予め加熱する。なお、この際の雰囲気は大気、窒素(減圧、常圧)、アルゴン(減圧、常圧)で良いが、これに限られることはない。また、この時のトレーの加熱最高温度は300℃でも良いが、アルミナとのスピネル構造化の効果のため、より高い温度でかつ焼結が始まる前の温度である、加熱最高温度を1000℃に設定した方がより好ましい。
【0008】
ついで、このトレー上に成形体を置き、脱脂および焼結を行う。この脱脂工程は、加熱炉に挿入、脱脂溶剤に浸漬もしくは、焼結炉中で低温で実施する方法等がありいずれの方法でもよい。焼結の際に使用される雰囲気は真空、窒素(減圧、常圧)、アルゴン(減圧、常圧)と、なんでも良く、これに限定されるものではない。従って、本発明のように、焼結時に上記アルミナトレーを使用することにより、焼結体の外観不良を低減でき、しかも本来の焼結体表層部の品質を確保でき、さらには焼結炉の汚染を防止して、良好な金属焼結体を得ることが出来る。
【0009】
【実施例】
(実施例)
この実施例で使用したコンパウンドは、Fe−Co−Niの金属粉末と金属粉末に対する有機バインダとして、パラフィンワックス、ポリプロピレン等を混練したものを用いた。
この混練物を横型射出成型機を使用し、10×20×7mmの箱型の成形体を作製した。なお、成形温度は170℃、金型温度は35℃と設定した。
続いて、一次脱脂では脱脂溶剤に浸漬を行い、その後、その脱脂体をアルミナのトレーに置き、脱脂・焼結炉内にて二次脱脂及び焼結を連続的に行い、金属粉末焼結体を作製した。なお、その際に使用したトレーの作製に関しては、アルミナ純度99.6%、気孔率11%のアルミナトレーに25%硝酸マグシウム六水和物水溶液を塗付し、窒素減圧雰囲気で最高温度を1000℃とし、保持時間を1時間30分と設定し、加熱した。また、この際使用したアルミナトレーは200X250mmで厚さ3mmの板状のトレーであったが、形状については、脱脂体を載置できるものであれば、形状は問わない。板状のものを数段重ね合せた形状とすることもできる。前記では、硝酸マグシウム六水和物水溶液を使用したが、これのアルコール溶液を使用してもよい。常温下での塗布については、その揮発性からアルコール溶液の方が作業効率が上がることは言うまでもない。
【0010】
(比較例)
比較例として、何も施していないアルミナトレーを使用し、実施例と同様に金属粉末焼結体を作製した。なお、使用したコンパウンド、成形条件および脱脂、焼結条件は実施例と同条件である。
【0011】
ついで、作製した金属粉末焼結体表面のアルミナ汚染度を定量的に調べるために、EPMAを用いてAl元素の面分析を実施し、比較を行った。
表1にAlより換算したアルミナ分析値を示す。
【0012】
【表1】
【0013】
表1より、本実施例によるアルミナトレーを使用したものは、比較例と較べアルミナ汚染が1/10であり効果があることが判った。また、本実施例による金属粉末焼結体には、アルミナ汚染による外観不良が見当たらず良好であった。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、アルミナトレーからのアルミナの蒸発は防止できるため、金属粉末焼結体の外観不良を防止でき、しかも本来の焼結体表層部の品質を確保でき、更には焼結炉内の炉壁等への付着防止をより確実に少なくすることが出来るため、金属粉末焼結体の製造にとって極めて重要な技術である。
Claims (4)
- 金属粉末成形体の焼結において、該成形体を載置するアルミナトレーに硝酸マグネシウム六水和物の水溶液もしくは該アルコール溶液を塗付して焼結することを特徴とする金属粉末成形体の焼結方法。
- 硝酸マグネシウム六水和物の水溶液もしくは該アルコール溶液の濃度が5〜50質量%であることを特徴とする請求項1記載の金属粉末成形体の焼結方法。
- アルミナトレーは前記硝酸マグネシウム六水和物の水溶液もしくは該アルコール溶液を塗布後、300℃から1000℃で予熱した後冷却し、焼結用トレーとなすことを特徴とする請求項1および請求項2に記載の金属粉末成形体の焼結方法。
- 金属粉末成形体が金属粉末射出成形体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の金属粉末成形体の焼結方法。
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