JP2924054B2 - 金属粉末射出成形用原料 - Google Patents

金属粉末射出成形用原料

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、金属粉末とバインダを配合混合してなる射
出成形用原料を用いて射出成形した後、脱バインダ、焼
結してなる金属部品の製造方法における金属粉末射出成
形用原料に関するものである。
〔従来の技術〕
従来の金属粉末射出成形用原料(以下射出原料と呼
ぶ)は、雑誌「金属」(アグネ社)Vo159、No.5、特集
「金属射出成形」に示されているように射出原料に配合
されるバインダが、射出成形性、脱バインダ性によって
決定され、射出原料に含まれる揮発分に関しては十分に
考慮されていないものであった。
しかし従来の技術では、射出成形を行なう温度におい
て揮発する成分が含まれているため、射出成形時にバイ
ンダの一部が揮発ないし分解してガスが発生し、射出圧
力が射出原料に加わらないため、流動性不良を起こした
り、射出成形体(以下グリーンと呼ぶ)にガスが封入さ
れることになり、品質の安定したグリーンを得られない
とともに、脱バインダ時にグリーンに封入されたガスが
熱膨張して、形くずれを起こして寸法精度のすぐれた金
属部品を得ることができないという課題を有していた。
また、プラスチックの射出成形のように、射出成形後
製品以外の部分を再度原料として使用する場合(以下リ
ターンと呼ぶ)、射出原料の揮発分の一部がガスとして
ぬけているため、金属粉末とバインダの配合比が金属粉
末の方が大きくなるように変化し、焼結後の収縮率が小
さくなり寸法精度のすぐれた金属部品を得ることができ
なかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上記のような課題を解決するものであり、射
出原料を用いる金属部品の製造方法において、すぐれた
寸法精度と高品質を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の金属粉末射出成形用原料は、バインダを5〜
15重量%含有し、残りが金属粉末を主体とする配合混合
物を射出成形用原料とし、射出成形後、脱バインダ、燒
結してなる金属部品の製造方法に用いる金属粉末射出成
型用原料において、射出成形温度で揮発する成分の割合
が0.5重量%以下であることを特徴とする。
射出成形温度で揮発する成分の割合が0.5重量%をこ
えると、射出成形時にガス化が著しくなるとともに、リ
ターンによる収縮率変化が大きくなり寸法精度のすぐれ
た金属部品を得ることができない。
なお、バインダ中に含まれる不純物において、射出成
形温度で揮発するものが存在する場合、同様にガス化す
るため、あらかじめこれらの揮発不純物を取り除いてお
くことが、バインダと金属粉末の配合比を決定する上で
望ましい。
また射出原料を大気中に放置すると、大気中の水分を
吸収し、射出成形時にガス化するため射出原料の保管
は、大気と遮断することが望ましい。
〔実 施 例〕
平均粒径8μm、最大粒子径15μmであるJIS・SUS31
6のステンレス鋼の粉末(以下SUS316粉末と呼ぶ)と可
塑剤、滑剤、結合剤からなるバインダを、バインダの量
が10重量%で、射出成形温度150℃で揮発する成分の割
合が0.1重量%、0.5重量%の射出原料と、本発明の比較
例として揮発成分の割合が0.7重量%、1.0重量%の射出
原料をそれぞれ用意した。
なお、上記の射出原料のバインダの可塑剤、滑剤、結
合剤の割合は同一とし、あらかじめ加熱処理を施すこと
により揮発成分の割合を調整した。
次にこれらの射出原料を、第1表に示される条件で、
それぞれの射出原料につき20ヶずつ射出成形を行ないグ
リーンを得た。
さらに、グリーンを窒素ガス雰囲気中で600℃に加熱
し脱バインダを行った後、真空雰囲気中で1350℃に加熱
して焼結を行ない、円板状の金属部品を得た。
それぞれの射出原料について収縮率、理論密度比、燒
結体における寸法のばらつきの測定結果を第2表に示
す。
なお、収縮率は次式により計算した。
また測定する寸法は、円板の直径とした。
次に、これらの射出原料で射出成形した際の製品以外
の成形体を粉砕して、再度射出原料として第1表と同一
の条件で射出成形を行ない、すなわち、リターンを行な
い射出成形し、前回と同様に脱バインダ、燒結して収縮
率を測定した結果を第3表に示す。
第2表、第3表から明らかなように、本発明の射出原
料により製造される金属部品は、理論密度比が高く、寸
法精度にすぐれた金属部品が得られるとともに、射出原
料のリターンによる収縮率変化も0.1%以下であり、射
出原料の有効活用が可能である。
それに対して、比較例1、2のように射出成形温度で
揮発する成分の割合が0.5重量%をこえる場合には、理
論密度比が小さいばかりでなく寸法のばらつきも大き
い。また、リターンによりバインダと金属粉末の配合比
が大きく変化するため寸法精度のすぐれた金属部品を得
ることはできない。さらに、複雑形状部品になればなる
程、射出成形時の製品以外の成形体の割合が大きくなる
ため、射出原料の有効活用は不可能となり、非常にコス
トの高い製造方法となってしまう。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明によれば、複雑形状の部品
の量産に適する射出成形で、溶融材と同様の機械的性
質、化学的性質を有する金属部品を製造することがで
き、特に難加工性材料では大幅なコストダウンが実現で
きる。
また、本発明によれば射出成形時にガスの発生を抑え
ることができるため、射出成形機の脱ガスに頼ることな
く安定したグリーンを得ることができるとともに、グリ
ーン中にガスが封入されていないため脱バインダにおけ
る形状変化も抑えることができ、工程間を安定化させる
という効果も有する。
なお、本発明は、金属粉末とバインダに関するもので
あるが、金属粉末の代わりにセラミックス粉末を使用し
ても、同様の効果が得られるのは言うまでもない。
また、安価であるが不純物の多いバインダを加熱処理
等により、射出成形温度で揮発する成分を取り除くこと
により量産に適するバインダとすることも可能である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バインダを5〜15重量%含有し、残りが金
    属粉末を主体とする配合混合物を射出成形材料とし、射
    出成形後、脱バインダ、焼結していなる金属部品の製造
    方法に用いる金属粉末射出成型用原料において、 射出成形温度で揮発する成分の割合が0.5重量%以下で
    あることを特徴とする金属粉末射出成型用原料
JP7414490A 1990-03-24 1990-03-24 金属粉末射出成形用原料 Expired - Lifetime JP2924054B2 (ja)

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