JP3788894B2 - 3次元位置検出センサ及び位置決め方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信用の自動光配線装置に用いられる3次元位置検出センサ及びそれを用いた位置決め方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インターネットをはじめとする高速、大容量のマルチメディア通信の発展とともに公衆網の光化が急ピッチで進み、中でも都市部を中心としたインテリジェントビル内の光配線が本格化してきている。これまで都市ビル内の光配線は、人手による光コネクタ接続が一般的であった。しかし近年のビル高層化にともなう光配線接続・管理稼働の増大、フロアの模様替えに対する柔軟性、光配線の高信頼化といった観点から、光配線・管理の自動化が要求されている。このような要求に応えるため、ロボットを用いてビル内の光配線・管理の自動化を図る自動光配線装置の開発が進められている。こういった装置は、主にビル内の通信インフラ設備として利用されるため、装置の小型化に加え、LAN機器とほぼ同等の広い温度範囲(5℃〜45℃)での動作が要求され、ロボットハンドの高精度位置決め可否が装置構成のポイントとなっている。以下、図7、図8を用いて、自動光配線装置の構成、動作を説明し、次にこの装置における従来の位置検出・位置決め法について説明する。
【0003】
図7は、自動光配線装置における光接続部の拡大図を示したものであって、71は入力光ファイバ、72は出力光ファイバ、73はプラグ、73aはプラグ73のほぼ中央部の突起部、74はジャック、74aは光軸合せ用の割スリーブ、74bはコイルスプリング、74cはフェルール、74dはストッパ、75は接続盤、75aは接続盤の前面、76は係止片、76aは係止片の突起部である。
【0004】
自動光配線装置における光接続は、入力光ファイバ71に取り付けられたプラグ73(雄)と出力光ファイバ72に取り付けられたジャック74(雌)を接続することにより実現されている。接続盤75に取り付けられたジャック74は、光軸合せ用の割スリーブ74a、プラグ73とジャック74の端面間に押圧力を付与するコイルスプリング74b、フェルール74cを有しており、ストッパ74dにより接続盤75内にねじ締結されている。またプラグ73とジャック74は、接続盤75の前面75aに取り付けられた係止片76の突起部76aとプラグ73のほぼ中央部の突起部73aにより、機械的に締結されている。
【0005】
図8は、ロボットハンドを用いて対向する任意の光ファイバ同士を自動的に接続、切断を行う自動光配線装置の概念図を示したものであって、81は入力光ファイバ群、82は出力光ファイバ群、83はプラグ、83aは接続対象プラグ、84はジャック、84aは接続対象ジャック、85は接続盤、86は3次元移送機構、86aはX軸移送機構、86bはY軸移送機構、86cはZ軸移送機構、86a1,86b1はパルスモータ、86a2,86b2はタイミングベルト、86a3,86b3はプーリ、86a4,86b4はガイド、87はロボットハンドである。ここで、接続とは、入出力光ファイバ間の光接続を行うこと、切断とは入出力光ファイバ間の光接続を切断することを指す。なお、便宜上、対向する一方の光ファイバ群を入力光ファイバ群、他方の光ファイバ群を出力光ファイバ群として説明する。
【0006】
図において、自動光配線装置における入力光ファイバ群81、出力光ファイバ群82間の光接続は、3次元移送機構86に取り付けられたロボットハンド87によって接続対象プラグ83aを接続盤85内の接続対象ジャック84aに接続することにより行われる。本従来例では、3次元移送機構86としてX,Y,Zの3軸直交型移送機構を例にとり説明する。プラグ83挿入軸方向のX軸移送機構86a、ジャック84配列方向のY軸移送機構86bは、それぞれパルスモータ86a1,86b1、タイミングベルト86a2,86b2、プーリ86a3,86b3、ガイド86a4,86b4から構成される。XY軸と直交するZ軸移送機構86cは、XY軸に比べストロークが小さいため、DCモータ、ギヤ、ガイドで構成している(図示せず)。対向する入出力光ファイバ群81,82間の接続すなわちプラグ83、ジャック84間の接続は、ロボットハンド87で接続対象プラグ83aを把持し、接続盤85内に内蔵された接続対象ジャック84aに接続する事により行う。またプラグ83とジャック84の接続ペアを替える場合は、該当する二つのプラグを接続盤85上のジャックからそれぞれロボットハンド87により切断し、一方のプラグを他方のプラグが接続されていたジャックへ、他方のプラグをもう一方のジャックへ接続することにより可能である。このように自動光配線装置では、ロボットハンドによりプラグを接続・切断して光の接続、切断を行うため、接続対象プラグ83aを接続盤85上の接続対象ジャック84aに正確に位置決める必要があった。このようなロボットハンドを特定の位置へ位置決める従来の方法としては、機構系の精度で位置決めるのが一般的である。
【0007】
図9は、図8で示した自動光配線装置のロボットハンドと接続盤を図示したものであり、従来の位置決め例を説明する図である。90はロボットハンド、91はプラグ、91aは接続対象プラグ、92は接続盤、93はジャック、93aは接続対象ジャックである。以下、図9を用いて機構系の精度により位置決める手法について説明する。
【0008】
従来、この種のピンを穴に挿入するいわゆる自動はめあい装置の位置決めでは、初期電源投入時に移送機構の正常性確認と機械的な原点位置を検出するため、ロボットハンド90を3次元原点位置O(X0 、Y0 、Z0 )へ位置決める原点出しが行われる。この原点位置Oから接続盤92の基準位置Pまでの距離は、事前にティーチング量α(Xoff 、Yoff 、Zoff )として計測されている。一方、この基準位置Pからジャック93までの距離は、加工時の加工寸法βi (Xi 、Yi 、Zi )を実測することで一意的に決まっている。従って、ロボットハンド90の原点出しを行えば、α、βi は既知なので、接続盤92上の目的のジャック93aの位置へ接続対象プラグ91aを把持したロボットハンド90を位置決めることが可能となる。
【0009】
図10は、接続盤に基準ピンを設け、この基準ピン位置を基準として位置決める従来例を説明する図であって、100は接続盤、101は基準ピン、102はロボットハンド、103はプラグ、103aは接続対象プラグ、104はジャック、104aは接続対象ジャックである。
【0010】
本例は先の従来例とほぼ同じく機構系の精度で位置決める手法であるが、接続・切断動作を実行する前に基準ピン101をロボットハンド102で把持する点が違う。具体的な動作としては、まず原点位置Oへロボットハンド102を位置決めた後、予め計測されたティーチング量αを元に接続盤100上の基準ピン101を把持する。把持できない場合、ティーチング量αが変化したこと、すなわちロボットハンド102と接続盤100間に相対位置誤差が生じたことを検出できる。一方、基準ピン101をロボットハンド102で把持できた場合は、相対位置誤差が無いもしくは許容位置誤差範囲内であることが確認できるので、その後、接続対象プラグ103aを把持し(▲2▼)、点Pから既知の寸法βi (Xi 、Yi 、Zi )をもとに接続対象ジャック104aへ一定量移送し位置決め(▲3▼)が行われる。
【0011】
しかしながら、最初に述べた図9の従来例では、ロボットハンドと接続盤間の3次元相対位置の検出は行わず、原点出しと事前に計測しておいたティーチング量による機械的な移送・位置決めであるため、構成部品の加工精度、組立精度を高精度にする必要がある。さらに、この種装置は空調のない部屋に設置されることが多く、設置環境の温度変化が激しいところでは、装置を構成する各部材の熱膨張係数の違いからロボットハンドと接続盤間に生じた相対位置誤差によりプラグ、ジャック等の破損という致命的な障害を発生させる可能性がある。また連続動作に伴う摩耗や経年変化等による寸法変化が生じ、結果として相対位置誤差が発生することも考えられる。
【0012】
このように温度変化や部品の摩耗により相対位置誤差が生じると、先に述べた従来例の如く原点から一定量を機械的に移送し位置決める手法では、プラグ、ジャック等光接続部品の破損を伴い、安定した光接続が得られない。また、図10で示した従来例の場合では、図9に示した従来例に比べ基準ピンの把持可否確認により、相対位置誤差の発生有無が事前に検出できるのでプラグの破断等は事前に防ぐことはできるが、両者間の相対位置誤差が大きい場合には、基準ピン把持時にロボットハンドもしくは基準ピンを破壊するといった問題がある。さらに基準位置から機構系の精度で位置決める従来例1、2では、部材間に熱膨張差があった場合に基準位置P、基準ピンからY方向に離れた端子ほど位置誤差が積算して拡大し、Y方向の位置決め位置により位置決め誤差が変化するという事態になる。
【0013】
このように一点を基準にして位置を算出し機械的精度で位置決める方法には限界がありこれを解決する試みとして、接続盤上の両端のジャック脇に光センサを2ヶ配置し、光センサ間の距離を測定して、基準位置からの誤差を積算させない方法も考えられている。しかしながら、本手法においても接続盤平面内(YZ平面)の位置誤差検出はできるが、X軸方向の位置誤差検出ができないという欠点がある。さらに本手法では経済化、軽量化を狙ったタイミングベルト移送機構系を採用した場合、タイミングベルトの歯間ピッチ誤差による位置決め誤差が生じるという欠点を克服できない。
【0014】
このように、従来の機構精度に頼った位置決め方法では、移送機構部品の製造ばらつき、周囲環境温度変化、機構系の摩耗等により相対位置誤差が生じ、安定した良好な光接続特性を確保することが困難であった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来の技術では、高精度な加工部品を精度良く組み立てて装置を構成し、原点位置から機構系の精度のみで位置決めを行っていたため、装置の重厚長大が回避できず、部品・組立コストの低減化が困難であった。さらに、設置環境の温度変化により生じた部材間の熱膨張係数に起因した相対位置誤差や長期的な観点からは移送機構の摩耗等により生じる相対位置誤差により安定した光学接続を確保できないという欠点があった。
【0016】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、従来の課題を解決し、小型で経済的な自動光配線装置を実現するため、温度変化等が生じる環境で長期間使用した際にも常に安定した自動光配線を実現する上で不可欠な3次元位置検出センサ及びそれを用いた位置決め方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、複数の光ファイバを有する一次側光ファイバ群と複数の光ファイバを有する二次側光ファイバ群間の光接続もしくは切断を、接続盤上のジャックとプラグによりロボットハンドを用いて自動的に行う自動光配線装置において前記ロボットハンドに搭載される3次元位置検出センサであって、照明光源からの出射光を平行光に変換した後、偏光面が直交する2本の直線偏光ビームに分離する手段と、偏光ビームスプリッタを用いて、分離された直線偏光ビームの一方を前記出射光の光軸と垂直なYZ平面上に位置する接続盤上の基準マークに照射し、分離された直線偏光ビームの他方を前記出射光の光軸と直交する軸に対して垂直なXY平面上に位置するプラグに照射し、前記基準マークおよびプラグからの反射光を1つの撮像素子上に結像させる手段と、前記基準マークおよびプラグの撮像情報から前記ロボットハンドの移送機構を制御して前記YZ平面に直交するX方向および前記XY平面に直交するZ方向のフォーカス制御を行う手段と、フォーカス制御を行った後に撮像した前記基準マークおよびプラグの像とこれらの像の位置誤差ゼロ時の仮想像との誤差から前記ロボットハンドと前記基準マークおよびプラグとの間の3次元の相対位置情報を算出する手段と、を具備したことを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記3次元位置検出センサを搭載したロボットハンドの位置決め方法であって、前記3次元位置検出センサによりロボットハンドと接続盤上の基準マーク間との3次元相対位置誤差、およびロボットハンドとプラグ間との3次元相対位置誤差を検出した後、これら位置誤差をゼロもしくは許容位置誤差範囲内になるように前記ロボットハンドの移送機構を制御して位置を決めることを特徴とする。
【0019】
従来の機構系の精度のみで位置決める位置検出・位置決め方法とは、個別に目標物毎に位置誤差を検出し、この位置誤差をゼロもしくは許容位置誤差範囲内に位置決めできるので、温度変化がある設置環境下においても高精度でかつ高信頼な位置検出と位置決めができる点、機構系の精度が緩和でき小型・経済的な移送機構が利用できる点が従来技術とは大きく異なる。
【0020】
本発明では、ロボットハンドに結像光学系を主体とした3次元位置検出センサを搭載し、このセンサでロボットハンドと2つの直交平面上の位置決め目標物であるプラグもしくはジャックの3次元相対位置をCCD(Charge Coupled Device)の画像信号から目標物毎に個別に検出することができ、またこのセンサで検出した3次元の相対位置誤差信号を元にこれら目標物とロボットハンド間の3次元相対位置誤差をゼロもしくは許容位置決め誤差範囲内に機構を制御することができるので、温度変化のある環境、長時間の使用に関してもプラグ、ジャック等の光部品の破損等のない高信頼な光接続が実現でき、また高精度な機構部品や組立精度が要求されないので経済的な小型な装置構成が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態例を詳細に説明する。
【0022】
図1は後述する実施形態例の3次元位置検出センサを搭載した自動光配線装置を示したものであって、11はプラグ、12は接続盤、13はジャック、14は3次元位置検出センサ、15はロボットハンド、16は3次元移送機構、17は入力光ファイバ群、18は出力光ファイバ群である。
【0023】
光の接続は、入力光ファイバ群17の端部に取り付けられたプラグ11と出力光ファイバ群18の端部に取り付けられたジャック13を接続することにより行われる。
【0024】
図において、本実施形態例の3次元位置検出センサ14を搭載した自動光配線装置における位置検出・位置決めでは、まず、プラグ11を接続盤12上のジャック13に接続もしくは切断を行う前工程として、ロボットハンド15をプラグ切断位置もしくはプラグ接続位置にティーチング量を元に粗位置決めする。その後、ロボットハンド15に搭載した3次元位置検出センサ14でロボットハンド15と接続盤12上のプラグ11もしくはジャック13間の3次元相対位置を検出し、両者間の3次元相対位置誤差がゼロもしくは許容位置決め誤差範囲内になるように3次元移送機構16を制御して高精度位置決めを行う点が従来の位置決め法と異なる点である。
【0025】
以下、本発明の実施形態例である3次元位置検出センサについて説明する。
【0026】
図2は、本発明の実施形態例を示したものであって、図2(a)は3次元位置検出センサの構成を示したもの、図2(b)はX軸方向の位置検出方法を示したものであって、20は照明光源、21は光ビーム、21aは平行光、21bはP波、21cはS波、21d,21eは円偏光、21fはS波、21gはP波、22はコリメートレンズ、23は方解石、24は偏光ビームスプリッタ、25a,25bはλ/4板、26,27は対象面、28は結像レンズ、29はCCD、29LはCCD左部、29RはCCD右部である。
【0027】
図2(a)において、照明光源20から出射した光ビーム21は、コリメートレンズ22を介して平行光21aに変換される。その後、方解石23等の偏光素子により偏光面が直交する2本の直線偏光(P波21b、S波21c)に変換され、偏光ビームスプリッタ(PBS:Polarized Beam Splitter)24をP波21bは直進し、S波21cは90度反射して直進する。その後、両偏光ビーム21b,21cともPBS24端面に取り付けられたλ/4板25a,25bを通過後、円偏光21d,21eに変換され対象面26,27に照射される。この円偏光21d,21eにより照射された対象面26,27からの反射光は、再度λ/4板25a,25bに入射し、先のPBS24入射時の直線偏光21b,21cと90度位相の違う直線偏光S波21f、P波21gに変換される。その後、X軸方向の反射光である偏光S波21fはPBS24で90度光路を折り曲げられ、結像レンズ28を介してCCD29の左部29Lに結像する。同様に、Z軸方向の対象面27からの反射光はλ/4板25bを透過後、偏光P波21gとなりPBS24を透過し結像レンズ28を介してCCD29の右部29Rに結像する。CCD29の左部29L、CCD29の右部29Rに結像した像IL、IR間の距離dは、方解石23の長さLをコントロールすることにより任意の距離に設定することができる。
【0028】
本実施形態例では、偏光ビームを用いることでX方向にある対象面26の像(YZ平面の像)と、Z方向にある対象面27の像(XY平面の像)を偏光分離し、2つの像を空間的に分離して結像させることができるので、像間の干渉もなく良好な結像性能を得ることができる。
【0029】
次に本実施形態例におけるYZ平面に対するX軸方向のフォーカス(Focus)制御法について説明する。フォーカス制御の手法としては種々の方法があるが、ここでは画像のエッジ信号を用いたフォーカス制御によるX方向の位置検出法を一例として説明する。図2(b)において、CCD29上に結像した接続盤(対象面26に相当)上の像ILは、3次元位置検出センサを搭載した機構部をX軸方向に走査することによりピンぼけ状態からジャスピン状態Fそしてピンぼけ状態へと遷移していく。この時、CCD29上の画像ILのほぼ中心あたりのZ方向の走査線Kの画像エッジの微分値に着目すれば、この微分値が最大となる点でジャズピン状態Fとなるので、この微分信号を使ってX軸方向の移送機構を制御することによりX軸方向のフォーカス制御が可能である。図2(c)は同じくX軸方向のフォーカス制御方法を示した他の例である。接続盤に相当するXY対象面26に二重円のマークを設け、CCD29上に結像させ、先の例と同じ走査線K上の二重円像Icの輝度分布I(a.u.)をとる。同図に示すように比較的光源の光量変化に対して強いコントラスト値C((Ip−Iv)/(Ip+Iv))をフォーカス誤差信号として用い、コントラスト値Cが最大になるようにX方向の移送機構を制御する事によりX軸方向のフォーカス制御が可能である。以上X方向の位置検出方法について説明したが、X方向、Z方向とも光学系は同一なので、Z方向についてもX方向と同様のフォーカス制御ができることは言うまでもない。このように本光センサでは、YZ平面とその平面に直交するXY平面の2面に対して、センサ間との3次元相対位置を検出することができる。
【0030】
図3は本発明の他の実施形態例であって、30は照明用光源、31は光ビーム、31aは平行光、31bはP波、31cはS波、31d,31eは円偏光ビーム、31fはS波、31gはP波、32はコリメートレンズ、33は検光子、34は偏波面回転素子、35はPBS、35a,35bはλ/4板、36,37は対象面、38は結像レンズ、39はCCDである。
【0031】
本実施形態例は、先の実施形態例で述べた空間的に分離した2つの像ではなく、一本のビームで時間的に分離した2つの像を処理する実施形態例である。照明用光源30から出射した光ビーム31は、コリメートレンズ32により平行光31aに変換され検光子33を通過後、偏波面回転素子34を介してPBS35に入射する。偏波面回転素子34としては、λ/2板等を回転させてコントロールする方法もあるが、ここでは、回転機構部が不要で電圧のON/OFFのみで偏波面の回転を制御できる利点を持つTN(Twisted Nematic)液晶34′で説明する。また説明の都合上、電圧印加時にTN液晶34′通過後のビームはP波、電圧OFF時にTN液晶34′通過後のビームはS波となるようTN液晶34′の偏波面を配置しているものとする。
【0032】
TN液晶34′に電圧を印加すると、照明用光源30から出射した光ビーム31は、TN液晶34′透過後、P波31bとなりPBS35に入射・通過しλ/4板35aを透過して円偏光ビーム31dに変換され対象面36を照明する。対象面36からの反射光はλ/4板35aを透過後、S波31fに変換されPBS35で光路を90度折り曲げられ、結像レンズ38を介してX方向の対象面36の像XimgをCCD39に結像させる。次にTN液晶34′の電圧をOFFにすると、照明用光源30から出射しコリメートされた平行光31aは、TN液晶34′透過後S波31cとなり、PBS35に入射・反射し、λ/4板35b通過後、円偏光ビーム31eとなりZ軸方向の対象面37を照明する。この対象面37からの反射光はλ/4板35bを通過後、偏光P波31gに変換されるので、PBS35を透過し、結像レンズ38を介してCCD39にZ軸方向の対象物37の像Zimgを結像する。
【0033】
このように、TN液晶34′の偏波面を電圧で制御するだけで、X軸方向の対象面36の像(YZ平面上の像)、Z軸方向の対象面37の像(XY平面上の像)を切り替え結像させることができる。なお、本実施形態例においても、X方向、Z方向のフォーカス制御は、先の実施形態例の図2(b)、(c)で説明した手法と同じであるため説明は割愛する。
【0034】
図4は本発明の他の実施形態例であって、40は照明光源、41は光ビーム、41aは平行光、41bは直進光ビーム、41cは90度反射した光ビーム、41d,41eは光ビーム、41d′,41e′は対象面からの反射光ビーム41d,41eの残り半分の迷光ビーム、41f,41gはハーフミラー(HM)への再入射光ビーム41d,41eの半分の光ビーム、41h,41j,41kは光ビーム、42はコリメートレンズ、43はハーフミラー(HM)、44a,44bはウエッジプリズム(WP)、45,45a,46は対象面、47は結像レンズ、48はCCD、戻り光遮蔽板49により放射させている。
【0035】
図4(a)において、照明光源40から出射した光ビーム41はコリメートレンズ42を介して平行光41aに変換された後、戻り光遮蔽板49を通過してハーフミラー(HM)43に入射し、HM43により直進光ビーム41bとHM43で90度反射した光ビーム41cの2本の光ビームに分離される。その後2本の光ビーム41b,41cは、HM43の出射端に取り付けられたウエッジプリズム(WP)44a,44bに入射・透過しWP44a,44bから出射する際に端面で屈折し、それぞれの対象面45,46を照射する。対象面45,46から反射された光ビームは、WP44a,WP44bに再度屈折・入射し、先の入射ビーム41b,41cと平行で向きが反対の光ビーム41d,41eとなりHM43に至る。この時、HM43への入射ビーム41d,41eの半分の光41fは光路を90度折り曲げられ、41gはHM43を透過して結像レンズ47を介して、CCD48の左面、右面に個別に結像する。また対象面45,46からの反射光41d,41eの残り半分の迷光ビーム41d′はHM43を透過し、41e′はHM43で反射してそれぞれ照明光源40方向へ戻ってくるので、これらの迷光を照明光源40に戻らぬようにするため、戻り光遮蔽板49により放射させている。CCD48上に結像する二つの像IL、IR間の距離dは、WPの角度θをコントロールすることにより任意の距離に設定することができる。
【0036】
本実施形態例では、先に示した2つの実施形態例とは異なり、移送機構を用いずにX方向、Z方向のフォーカス信号を光学系から取得可能である。以下図4(b)を用いてX方向のフォーカス制御を例に取り説明する。
【0037】
先に述べたように、HM43、WP44aを透過した光ビーム41hは、WPの傾斜角θに応じて偏角して対象面45を照射し、対象面45から反射した後、WP44aに再度入射・屈折してHM43に入射し光ビーム41jとなる。一方、接続盤(ここでは対象面45に相当)とロボットハンド間のX方向の距離が変化(ΔX)して対象面45が対象面45aに移動した場合、HM43、WP44aを透過した光ビーム41hは、対象面45aから反射した後、WP44aに再度入射・屈折してHM43に入射し光ビーム41kとなる。このようにWP44aの効果により対象面45から対象面45aへの移動(Δx)がHM43内の反射光ビーム41jから41kへの平行シフト(ΔZ)となり、結果としてCCD48上に結像する像I1,I2の中心間隔εが変化する。従ってこのεを検出することにより、接続盤(対象面45)とロボットハンド間のX方向のフォーカス誤差(Δx)を検出することができ、この誤差をゼロもしくは許容位置誤差範囲内とするよう機構制御することによりフォーカス制御が可能である。Z方向に対しても全く同じ光学系であるため、X方向と同じ手法でZ方向のフォーカス制御が可能である。このように本実施形態例では、先の2つの実施形態例とは異なり、移送機構を用いてフォーカス信号を取得する必要がなく、εの値から直接フォーカス誤差を検出できる点で優れている。
【0038】
図5は本装置における切断動作を説明する図、図6は本装置における接続動作を説明する図であって、50はロボットハンド、51は切断対象プラグ、52は3次元位置検出センサ、53は接続盤上に設けた基準マーク、54はCCD、54RはCCD右面、54LはCCD左面、55は接続盤、56は位置誤差ゼロ時のプラグの仮想像、57は基準マークの位置誤差ゼロ時の仮想像、58はCCD上のプラグ像、59はCCD上の基準マーク像、60はロボットハンド、61は接続対象プラグ、62は3次元位置検出センサ、63は基準マーク、64はCCD、65は接続盤、66は基準マークの位置誤差ゼロ時の仮想像、67は基準マーク像、68は接続対象ジャックである。
【0039】
以下、図5、図6を用いて自動光配線装置の接続動作、切断動作時の3次元相対位置誤差検出とプラグ切断、接続する手順を説明する。
【0040】
図5(a)において、まず原点O(X0 、Y0 、Z0 )位置に位置決められたロボットハンド50は、事前に計測したティーチング量を元にプラグ切断位置Cへの粗位置決めが行われる。この位置は、切断すべきプラグ51がロボットハンド50の直下になる位置であり、この位置で先の実施形態例で示した3次元位置検出センサ52でプラグ51のXY平面のプラグ像58、YZ平面である接続盤55上の基準マーク像59を取得する。位置決めの手順を図5(b)に示す3次元位置検出センサ52のCCD54の受光面を用いて説明する。なお、CCD54に結像した像は、CCD54の右面54Rと左面54Lに独立に結像する図2、図3の実施形態例の場合で説明する。まずプラグ切断位置CでX方向のフォーカス制御をYZ平面の基準マーク53を用いて行う。次にZ方向のフォーカス制御をCCD54上のプラグ像58のエッジの微分信号を用いて行う。なお、Z方向の位置誤差はCCD54上の接続盤の基準マーク像59のずれ(ΔZ)からも検出できるのでこの位置誤差情報を用いてフォーカス制御を行ってもよい。このようにして、X、Z方向のフォーカス制御によりYZ平面である接続盤上の基準マーク像59がCCD左側54L上に、XY平面上のプラグ像58がCCD右側54Rにフォーカス状態で撮像することができる。ロボットハンド50の切断対象プラグ51への位置決めは、このCCD右側54Rに撮像した切断対象プラグ51のXY平面のプラグ像58と位置誤差ゼロ時の仮想像56との誤差(Δx、Δy)を検出し、その後この位置誤差が0となるよう移送機構X,Y軸を制御することで行われる。この後、ロボットハンド50で切断対象プラグ51を把持し、接続盤55からプラグ51を切断し切断動作が終了する。このようにロボットハンド50と接続盤55上の切断対象プラグ51間の相対位置誤差を検出しこれらの誤差をゼロもしくは許容位置誤差範囲内に機構を制御して位置決めることにより、高精度・高信頼でプラグの個体差に依存しない切断動作が実行できる。
【0041】
また、図6に示すように、接続時においても上述の切断時とほぼ同じ動作で位置検出、位置決め接続動作が実行される。まず、原点O(X0 、Y0 、Z0 )位置に位置決められたロボットハンド60は、接続対象プラグ61を把持した後、事前に計測した値を元に決定されているジャック接続位置Jに粗位置決めされる。次にX方向のフォーカス制御をYZ平面の基準マーク63を用いて行った後、ロボットハンド60に搭載した3次元位置検出センサ62により接続盤65の基準マーク63の像67(YZ平面)と基準マーク63の位置誤差がゼロ時の仮想像66から、YZ方向の位置誤差(Δy、ΔZ)を検出する。その後この位置誤差が0となるよう移送機構Y、Z軸を制御することで位置決めが終了し、次にロボットハンド60で接続対象プラグ61を把持し、接続盤65の接続対象ジャック68に接続して接続動作が終了する。
【0042】
なお、ここでは図2、図3で示した3次元位置検出センサの例で説明したが、図4に示す3次元位置検出センサにおいても同様の位置検出、位置決め、接続・切断動作ができることは先の説明から明らかなので説明は省略する。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、2平面の画像を一つの光学系で取得できる3次元位置検出センサを用いることによりロボットハンドと対象面間の3次元の相対位置誤差を検出できるので、従来の機構精度のみで位置決める例に比べ、耐環境性、経年変化に強い高精度な位置検出と位置決めが可能になる。また接続盤上のプラグ、もしくはジャック位置を個別検出できるので、基準点から目的の位置を算出する従来例とは違い誤差が積算しないため、高精度な移送機構を用いる必要がなく小型で経済的な装置構成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例の3次元位置検出センサを搭載した自動光配線装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態例に係る3次元位置検出センサを示す説明図である。
【図3】本発明の他の実施形態例に係る3次元位置検出センサを示す説明図である。
【図4】本発明の他の異なる実施形態例に係る3次元位置検出センサを示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態例に係る3次元位置検出センサを用いて切断動作を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態例に係る3次元位置検出センサを用いて接続動作を示す説明図である。
【図7】自動光配線装置における雄雌構成の光接続部を示す断面図である。
【図8】自動光配線装置の概念を示す斜視図である。
【図9】従来の位置決め方法を説明する斜視図である。
【図10】従来の基準ピン位置を基準として位置決めする方法を説明する斜視図である。
【符号の説明】
11…プラグ、12…接続盤、13…ジャック、14…3次元位置センサ、15…ロボットハンド、16…3次元の移送機構、17…入力光ファイバ群、18…出力光ファイバ群、20…照明光源、21…光ビーム、21a…平行光、21b…P波、21c…S波、21d,21e…円偏光、21g…P波、21f…S波、22…コリメートレンズ、23…方解石、24…偏光ビームスプリッタ、25a,25b…λ/4板、26,27…対象面、28…結像レンズ、29…CCD、29L…CCD左部、29R…CCD右部、30…照明用光源、31…光ビーム、31a…平行光、31b…P波、31c…S波、31d…円偏光ビーム、31e…円偏光ビーム、31f…S波、31g…P波、32…コリメートレンズ、33…検光子、34…偏波面回転素子、35…PBS、35a,35b…λ/4板、36…X軸方向の対象面、37…Z軸方向の対象面、38…結像レンズ、39…CCD、40…照明光源、41…光ビーム、41a…平行光、41b…直進光ビーム、41c…90度反射した光ビーム、41d,41e…光ビーム、41d′,41e′…対象面からの反射光41d,41eの残り半分の光ビーム、41f,41g…HMへの入射ビーム41d,41eの半分の光、41h,41j,41k…光ビーム、42…コリメートレンズ、43…ハーフミラー、44a…ウエッジプリズム(WP)、44a,44b…WPの端面、45,45a,46…対象面、47…結像レンズ、48…CCD、49…戻り光遮蔽板、50…ロボットハンド、51…切断対象プラグ、52…3次元位置検出センサ、53…基準マーク、54…CCD、54R…CCD右面、54L…CCD左面、55…接続盤、56…プラグの仮想像、57…基準マークの仮想像、58…CCD上のプラグ像、59…CCD上の基準マーク像、60…ロボットハンド、61…接続対象プラグ、62…3次元位置検出センサ、63…基準マーク、64…CCD、65…接続盤、66…基準マークの位置誤差ゼロ時の仮想像、67…基準マークの像、68…接続対象ジャック、71…入力光ファイバ群、72…出力光ファイバ群、72a…光軸合せ用の割スリーブ、73…プラグ、73a…プラグのほぼ中央部の突起部、74…ジャック、74b…コイルスプリング、74c…フェルール、74d…ストッパ、75…接続盤、76…係止片、76a…係止片の突起部、81…入力光ファイバ、82…出力光ファイバ、83…プラグ、83a…接続対象プラグ、84…ジャック、84a…接続対象ジャック、85…接続盤、85a…接続盤の前面、86…3次元移送機構、87…ロボットハンド、86a…X軸移送機構、86b…Y軸移送機構、86a1,86b1…パルスモータ、86a2,86b2…タイミングベルト、86a3,86b3…プーリ、86a4,86b4…ガイド、86c…Z軸移送機構、90…ロボットハンド、91…プラグ、91a…接続対象プラグ、92…接続盤、93…ジャック、93a…接続対象ジャック、100…接続盤、101…基準ピン、102…ロボットハンド、103…接続対象プラグ、104a…接続対象ジャック。
Claims (2)
- 複数の光ファイバを有する一次側光ファイバ群と複数の光ファイバを有する二次側光ファイバ群間の光接続もしくは切断を、接続盤上のジャックとプラグによりロボットハンドを用いて自動的に行う自動光配線装置において前記ロボットハンドに搭載される3次元位置検出センサであって、
照明光源からの出射光を平行光に変換した後、偏光面が直交する2本の直線偏光ビームに分離する手段と、
偏光ビームスプリッタを用いて、分離された直線偏光ビームの一方を前記出射光の光軸と垂直なYZ平面上に位置する接続盤上の基準マークに照射し、分離された直線偏光ビームの他方を前記出射光の光軸と直交する軸に対して垂直なXY平面上に位置するプラグに照射し、前記基準マークおよびプラグからの反射光を1つの撮像素子上に結像させる手段と、
前記基準マークおよびプラグの撮像情報から前記ロボットハンドの移送機構を制御して前記YZ平面に直交するX方向および前記XY平面に直交するZ方向のフォーカス制御を行う手段と、
フォーカス制御を行った後に撮像した前記基準マークおよびプラグの像とこれらの像の位置誤差ゼロ時の仮想像との誤差から前記ロボットハンドと前記基準マークおよびプラグとの間の3次元の相対位置情報を算出する手段と、
を具備したことを特徴とする3次元位置検出センサ。 - 請求項1に記載の3次元位置検出センサを搭載したロボットハンドの位置決め方法であって、
前記3次元位置検出センサによりロボットハンドと接続盤上の基準マーク間との3次元相対位置誤差、およびロボットハンドとプラグ間との3次元相対位置誤差を検出した後、これら位置誤差をゼロもしくは許容位置誤差範囲内になるように前記ロボットハンドの移送機構を制御して位置を決めることを特徴とする位置決め方法。
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