JP3788746B2 - ホメオトロピック配向液晶フィルムの屈折率特性制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホメオトロピック配向液晶フィルムの屈折率特性を所望の値に制御する方法に関する。ホメオトロピック配向液晶フィルムは単独でまたは他のフィルムと組み合わせて、位相差フィルム、視角補償フィルム、光学補償フィルム、楕円偏光フィルム等の光学フィルムとして使用できる。
【0002】
【従来の技術】
液晶化合物のホメオトロピック配向は、液晶相の分子長軸が平均して薄膜(液晶相)を形成する基板に対して実質的に垂直である場合に生じる。自発的にホメオトロピック配向する物質は非常に僅かしかなく、従って、かかる配向を生じさせるためには、一般的に垂直配向剤が用いられる。垂直配向剤によりホメオトロピック配向させることができる液晶化合物としては、たとえば、ネマチック液晶化合物が知られている。かかる液晶化合物の配向技術にかかわる概説は、例えば、化学総説44(表面の改質,日本化学会編,156〜163頁)に記載されている。
【0003】
前記液晶化合物をホメオトロピック配向させるうる垂直配向剤としては各種の有機系または無機系配向剤が知られているが、慣用されている配向剤の多くはガラス基板上で有効に作用するようにデザインされている。
【0004】
このような慣用の有機系配向剤としては、たとえば、レシチン、シラン系界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライドまたはクロム錯体などがあげられる。これら有機系配向剤は、活性成分が非常に少量(代表的には1%よりも少ない量)となるように適当な揮発性溶剤に溶解され、次いで例えばスピンコーティングまたはその他周知の塗工方法によって基板上に塗工された後、揮発性溶剤を蒸発させることにより、ガラス基板上に有機配向剤の薄膜として形成される。これら有機系配向剤は、極性のガラス表面に引き付けられると考えられる極性末端基とガラス表面に対して垂直に配列する無極性の長鎖状アルキル鎖を有することを特徴とするものであり、このような表面上において液晶化合物にホメオトロピック配向を生じさせる。
【0005】
また無機系配向剤としては、例えば、ガラス基板上にSiOX またはIn2 O3 /SnO2 を垂直角度で蒸着させたものが知られており、液晶化合物にホメオトロピック配向を生じさせる。その他、アルキル側鎖付ポリイミド膜も液晶ディスプレイなどのホメオトロピック配向膜として用いられている。
【0006】
しかしながら、前記慣用の配向剤は、いずれもガラス基板上においてのみ液晶化合物にホメオトロピック配向を与えるものであり、プラスチックフィルムやプラスチックシート等のポリマー物質からなる基板上での配向にはあまり有効に作用するものではない。ポリマー物質からなる基板の表面は前記慣用されている配向剤の極性末端基に対する親和性に乏しいものと推測され、それゆえ、一般的には、ホメオトロピック配向を全然示さないか、またはほんの僅かに配向を示すに留まる。また、アルキル側鎖付ポリイミド膜の形成には高温での熱処理が必要であるが、ポリイミド配向膜を焼成するに耐えることができ、光学用途として使用できる透明プラスチックフィルムはほんの僅かである。
【0007】
また、ホメオトロピック配向液晶層は、光学的異方特性を有することから、液晶ディスプレイなどの光学用途、たとえば、視覚補償板や位相差板等の光学素子への用途への応用が数多く報告されている。一般的にホメオトロピック性の液晶化合物では、当該化合物を適当な温度に加熱するか、または等方相からの冷却によって複屈折率特性を発現させることができる。当該複屈折率特性は常光屈折率(面内の屈折率)と異常光屈折率(厚み方向の屈折率)の差として表される。
【0008】
しかし、前記液晶化合物の屈折率および複屈折率は、液晶性化合物に固有の値であるため、ホメオトロピック配向液晶層の屈折率および複屈折率を変化させるには、液晶化合物そのものを変えて各々の液晶化合物について屈折率および複屈折率を確認しなければならなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ホメオトロピック配向液晶フィルムの屈折率特性(常光屈折率、異常光屈折率、複屈折率特性)を所望の値に制御する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解消するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す方法にり前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)として、一般式(a):
【化1B】
(ただし、R 1 は水素原子またはメチル基を、aは1〜6の正の整数を、X 1 は−CO 2 −基または−OCO−基を、R 2 はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、bおよびcは1または2の整数を示す。)で表されるネマチック液晶性を有する側鎖を有するモノマーユニットと、
非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)として、一般式(b):
【化2B】
(ただし、R 3 は水素原子またはメチル基を、R 4 は炭素数7〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、または一般式(c):
【化3B】
ただし、dは1〜6の正の整数を、R 5 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表される直鎖状側鎖を有するモノマーユニットを含有する、ホメオトロピック配向液晶層を形成しうる側鎖型液晶ポリマーと、光重合性液晶化合物を含有してなるホメオトロピック配向液晶性組成物を、液晶状態においてホメオトロピック配向させ、その配向状態を維持した状態で固定化した後、光照射してホメオトロピック配向液晶フィルムを製造するにあたり、側鎖型液晶ポリマーと光重合性液晶化合物の混合比率を変化させることにより、ホメオトロピック配向液晶フィルムの屈折率特性を所望の値に制御する方法、に関する。
【0012】
上記ホメオトロピック配向液晶性組成物が、側鎖型液晶ポリマーのほかに含有する光重合性液晶化合物は、熱処理により液晶状態として、たとえば、ネマチック液晶層を発現させて側鎖型液晶ポリマーとともにホメオトロピック配向させることができ、その後に光重合性液晶化合物を重合または架橋させることによりホメオトロピック配向液晶フィルムを作製することができる。かかる液晶性組成物において、側鎖型液晶ポリマーと光重合性液晶化合物の混合比率を変化さることにより屈折率特性を変化させることができ、こうした屈折率特性の変化から側鎖型液晶ポリマーと光重合性液晶化合物の混合比率を制御して、高性能な光学素子の作製を容易に行うことができる。
【0014】
また前記制御方法において、液晶性組成物を、垂直配向膜の設けられていない基板上でホメオトロピック配向させることが好ましい。
【0015】
前記側鎖型液晶ポリマーは、垂直配向膜を用いずに、液晶ポリマーのホメオトロピック配向を実現することができる。当該側鎖型液晶ポリマーは、通常の側鎖型液晶ポリマーが有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)の他に、アルキル鎖等を有する非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)を有しており、非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)の作用により、垂直配向膜を用いなくても、たとえば熱処理により液晶状態としネマチック液晶相を発現させ、ホメオトロピック配向を示すようになったものと推察する。
【0016】
なお、本出願人は、前記側鎖型液晶ポリマーが、垂直配向膜を使用することなく基板上でホメオトロピック配向させることができ、これによりホメオトロピック配向液晶フィルムを製造できることを既に出願している(特願2000−370978)。これら側鎖型液晶ポリマーは垂直配向膜を使用することなく基板上でフィルムを形成しているため、液晶フィルムのTgが低く設計されているが、前記側鎖型液晶ポリマーに光重合性液晶化合物を加えた前記液晶性組成物は液晶ディスプレイに適合しうる耐久性の向上にも寄与する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明においてホメオトロピック配向液晶層を形成しうる液晶ポリマーとしては、下記、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)を含有する側鎖型液晶ポリマーが用いられる。
【0018】
前記モノマーユニット(a)はネマチック液晶性を有する側鎖を有するものであり、たとえば、一般式(a):
【化1】
(ただし、R1 は水素原子またはメチル基を、aは1〜6の正の整数を、X1 は−CO2 −基または−OCO−基を、R2 はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、bおよびcは1または2の整数を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0019】
またモノマーユニット(b)は、直鎖状側鎖を有するものであり、たとえば、一般式(b):
【化2】
(ただし、R3は水素原子またはメチル基を、R4は炭素数7〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、または一般式(c):
【化3】
ただし、dは1〜6の正の整数を、R5は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0020】
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(b)の割合は、特に制限されるものではなく、モノマーユニットの種類によっても異なるが、モノマーユニット(b)の割合が多くなると側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなるため、(b)/{(a)十(b)}=0.01〜0.8(モル比)とするのが好ましい。特に0.1〜0.5とするのがより好ましい。
【0021】
前記側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量は、2千〜10万であるのが好ましい。重量平均分子量をかかる範囲に調整することにより液晶ポリマーとしての性能を発揮する。側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量が過少では配向層の成膜性に乏しくなる傾向があるため、重量平均分子量は2.5千以上とするのがより好ましい。一方、重量平均分子量が過多では液晶としての配向性に乏しくなって均一な配向状態を形成しにくくなる傾向があるため、重量平均分子量は5万以下とするのがより好ましい。
【0022】
なお、側鎖型液晶ポリマーは、前記モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)に対応するアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーを共重合することにより調製できる。なお、モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)に対応するモノマーは公知の方法により合成できる。共重合体の調製は、例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの通例のアクリル系モノマー等の重合方式に準じて行うことができる。なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの分解温度が高くもなく、かつ低くもない中間的温度で分解するものが好ましく用いられる。
【0023】
光重合性液晶化合物は、光重合性官能基として、たとえば、アクリロイル基またはメタアクリロイル基等の不飽和二重結合を少なくとも1つ有する液晶性化合物であり、ネマチック液晶性のものが賞用される。かかる光重合性液晶化合物としては、前記モノマーユニット(a)となるアクリレートやメタクリレートを例示できる。光重合性液晶化合物としては、耐久性を向上させるには、光重合性官能基を2つ以上有するものが好ましい。このような光重合性液晶化合物として、たとえば、下記化4:
【化4】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を、AおよびDはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基を、Xはそれぞれ独立して−COO−基、−OCO−基または−O−基を、Bは1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、4,4’−ビフェニレン基または4,4’−ビシクロヘキシレン基を、gおよびhはそれぞれ独立して2〜6の整数を示す。)で表される架橋型ネマチック性液晶モノマー等を例示できる。また、光重合性液晶化合物としては、前記化4における末端の「H2 C=CR−CO2 −」を、ビニルエーテル基またはエポキシ基に置換した化合物や、「−(CH2 )g −」および/または「−(CH2 )h −」を「−(CH2 )3 −C* H(CH3 )−(CH2 )2 −」または「−(CH2 )2 −C*H(CH3 ) −(CH2 )3 −」に置換した化合物を例示できる。
【0024】
液晶性組成物中の光重合性液晶化合物と側鎖型液晶ポリマーの比率は、特に制限されず、得られるホメオトロピック配向液晶フィルムの耐久性等を考慮して適宜に決定されるが、通常、光重合性液晶化合物:側鎖型液晶ポリマー(重量比)=0.1:1〜30:1程度が好ましく、特に0.5:1〜20:1が好ましく、さらには1:1〜10:1が好ましい。
【0025】
前記液晶性組成物中には、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は各種のものを特に制限なく使用できる。光重合開始剤としては、たとえば、チバスペシャリフィケミカルズ社製のイルガキュア(Irgacure)907,同184、同651、同369などを例示できる。光重合開始剤の添加量は、光重合液晶化合物の種類、液晶性組成物の配合比等を考慮して、液晶性組成物のホメオトロピック配向性を乱さない程度に加えられる。通常、光重合性液晶化合物100重量部に対して、0.5〜30重量部程度が好ましい。特に3〜15重量部が好ましい。
【0026】
前記液晶性組成物を塗工する基板は、ガラス基板、金属箔、プラスチックシートまたはプラスチックフィルムのいずれの形状でもよい。基板の厚さは、通常、10〜1000μm程度である。
【0027】
プラスチックフィルムは配向させる温度で変化しないものであれば特に制限はなく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。これらのなかでも水素結合性の高いプラスチックフィルムが好ましい。
【0028】
また金属フィルムとしては、例えばアルミニウムなどから形成される当該フィルムが挙げられる。
【0029】
プラスチックフィルムとしては、特にゼオノア(商品名,日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(商品名,日本ゼオン(株)製)、アートン(商品名,JSR(株)製)などのノルボルネン構造を有するポリマー物質からなるプラスチックフィルムが光学的にも優れた特性を有する。これらポリマー物質(プラスチックフィルム)は光学異方性が非常に小さいため、プラスチックフィルム上に形成された前記液晶性組成物の配向液晶フィルム層は、当該配向液晶フィルム層を別のプラスチックフィルムヘ転写することなく、そのままホメオトロピック配向位相差フィルムとして液晶ディスプレイの光学補償用途等の光学フィルムに用いることができる。また、光学異方性を有するプラスチックフィルムやアルミホイルなどの金属フィルム上に形成した前記液晶性組成物の配向液晶フィルム層に関しては、前記液晶性組成物を配向液晶フィルム化した後、ノルボルネン構造を有するフィルムやセルローストリアセテートなどの透明で光学異方性の小さいプラスチックフィルム上に直接または粘着剤もしくは接着剤を介して転写することにより、光学補償フィルム等の光学フィルムに利用することができる。
【0030】
前記液晶性組成物を基板に塗工する方法は、当該液晶性組成物を溶媒に溶解した溶液を用いる溶液塗工方法または当該液晶性組成物を溶融して溶融塗工する方法が挙げられるが、この中でも溶液塗工方法にて支持基板上に液晶性組成物溶液を塗工する方法が好ましい。
【0031】
溶液を調製する際に用いられる溶媒としては、液晶性組成物や基板の種類により異なり一概には言えないが、通常、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、その他、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンブリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素などを用いることができる。溶液の濃度は、用いる液晶性組成物の溶解性や最終的に目的とする配向液晶フィルムの膜厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50重量%、好ましくは7〜30重量%の範囲である。
【0032】
塗工された前記液晶性組成物からなるホメオトロピック配向液晶フィルム層の厚みは1〜10μm程度とするのが好ましい。なお、特にホメオトロピック配向液晶フィルムの膜厚を精密に制御する必要がある場合には、膜厚が基板に塗工する段階でほぼ決まるため、溶液の濃度、塗工膜の膜厚などの制御は特に注意を払う必要がある。
【0033】
上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した液晶性組成物溶液を、基板上に塗工する方法としては、例えばスピンコート法、バーコート法などを採用することができる。塗工後、溶媒を除去し、基板上に液晶性組成物層を形成させる。溶媒の除去条件は、特に限定されず、溶媒をおおむね除去でき、液晶性組成物層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉ての乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して溶媒を除去する。
【0034】
次いで、支持基板上に形成された液晶性組成物層を液晶状態とし、ホメオトロピック配向させる。たとえば、液晶性組成物が液晶温度範囲になるように熱処理を行い、液晶状態においてホメオトロピック配向させる。熱処理方法としては、上記の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。熱処理温度は、使用する液晶性組成物と支持基板の種類により異なるため一概には言えないが、通常60〜300℃、好ましくは70〜200℃の範囲において行う。また熱処理時間は、熱処理温度および使用する液晶性組成物や基板の種類によって異なるため一概には言えないが、通常10秒〜2時間、好ましくは20秒〜30分の範囲で選択される。10秒より短い場合ホメオトロピック配向形成が十分に進行しないおそれがある。
【0035】
熱処理終了後、冷却操作を行う。冷却操作としては、熱処理後のホメオトロピック配向液晶層を、熱処理操作における加熱雰囲気中から、室温中に出すことによって行うことができる。また空冷、水冷などの強制冷却を行ってもよい。前記液晶性組成物のホメオトロピック液晶配向層は、液晶ポリマーのガラス転移温度以下に冷却することにより配向が固定化される。
【0036】
このように固定化されたホメオトロピック液晶配向層に対して、光照射を行い光重合性液晶化合物を重合または架橋させて光重合性液晶化合物を固定化して、耐久性を向上したホメオトロピック配向液晶フィルムを得る。光照射は、たとえば、紫外線照射により行う。紫外線照射条件は、十分に反応を促進するために、不活性気体雰囲気中とすることが好ましい。通常、約80〜160mW/cm2 の照度を有する高圧水銀紫外ランプが代表的に用いられる。メタハライドUVランプや白熱管などの別種ランプを使用することもできる。なお、紫外線照射時の液h層表面温度が液晶温度範囲内になるように、コールドミラー、水冷その他の冷却処理あるいはライン速度を速くするなどして適宜に調整する。
【0037】
このようにして液晶性組成物の薄膜が生成され、配向性を維持したまま固定化することにより、ホメオトロピック配向した配向液晶フィルムが得られる。当該配向液晶層は同一の方向で配向された分子を有する。従ってこの配向液晶層の配向ベクトルの凍結または安定化およびその異方性物性の保存が達成されることは周知であり、このような薄膜はそれらの光学的性質が確認され、各種の用途で使用される。前記配向液晶層は一軸性の正の複屈折率を有する薄膜である。
【0038】
以上のようにして得られるホメオトロピック配向液晶層の配向は、当該液晶層の光学位相差を垂直入射から傾けた角度で測定することによって量化することができる。ホメオトロピック配向液晶フィルムの場合、この位相差値は垂直入射について対称的である。光学位相差の測定には数種の方法を利用することができ、例えば自動複屈折測定装置(オーク製)および偏光顕微鏡(オリンパス製)を利用することができる。このホメオトロピック配向液晶フィルムはクロスニコル偏光子間で黒色に見える。
【0039】
こうして得られたホメオトロピック配向液晶フィルムは、基板から剥離して用いてもよいし、剥離することなく基板上に形成された配向液晶層としてそのまま用いてもよい。
【0040】
また、ホメオトロピック配向液晶フィルムは光学フィルムとして用いられる。例えば、一軸配向した位相差フィルムを基材としてホメオトロピック配向液晶フィルムを作製すると、広視野角の位相差フィルが得られ、これをSTN型液晶表示装置に適用することにより、液晶表示装置の表示特性、特に視野角特性を著しく向上させることができる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明の一態様について説明するが、本発明は実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0042】
実施例
【化5】
上記の化5(式中のn=35であり、モノマーユニットのモル%を示し、便宜的にブロック体で表示している、重量平均分子量5000)に示される側鎖型液晶ポリマーとネマチック液晶層を示す光重合性液晶化合物(BASF社製,PaliocolorLC242)および光重合開始剤(チバスペシャリフィケミカルズ社製,イルガキュア907,側鎖型液晶ポリマーと光重合性液晶化合物との合計の5重量%)をシクロヘキサノン300重量部に溶解した溶液を調製した。前記側鎖型液晶ポリマーと光重合性液晶化合物は、表1に示すように、その合計が100重量部になるように調整した。前記液晶性組成物溶液を、鉛入りガラス板(屈折率1.74)上に、スピンコーティングにより塗工した。次いで、130℃で1分間加熱し、その後室温まで一気に冷却することにより、前記液晶層をホメオトロピック配向させ、かつ配向を維持したままガラス化しホメオトロピック配向液晶層(2μm)を固定化した。さらに、固定化したホメオトロピック配向液晶層に紫外線を照射することによりホメオトロピック配向液晶フィルムを作製した。
【0043】
(屈折率、複屈折率の測定)
得られたホメオトロピック配向液晶フィルムの屈折率測定を行った。屈折率の測定にあたってはAtago製アッベ屈折計1T型を用い、常光屈折率(フィルムの面内の屈折率)と異常光屈折率(フィルムの厚み方向の屈折率)を測定した。複屈折率は、(異常光屈折率)−(常光屈折率)で表される。常光屈折率、異常光屈折率、複屈折率の測定結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
表1から、液晶性組成物の液晶ポリマーと光重合性液晶化合物の混合比率を変化させることにより、常光屈折率(フィルムの面内の屈折率)を1.700から1. 650まで、異常光屈折率(フィルムの厚み方向の屈折率)を1. 522から1. 535まで、複屈折率を0. 178から0. 115まで連続的に制御しうることが認められる。
Claims (2)
- 液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)として、一般式(a):
非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)として、一般式(b):
- 液晶性組成物を、垂直配向膜の設けられていない基板上でホメオトロピック配向させることを特徴とする請求項1記載の制御方法。
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