JP3788172B2 - アンモニア合成触媒の製造方法及びアンモニア合成方法 - Google Patents

アンモニア合成触媒の製造方法及びアンモニア合成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアンモニア合成用の活性炭担持ルテニウム触媒の製造方法及びその触媒を用いるアンモニア合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアンモニア合成においては、鉄を主成分とし、促進剤として、アルミナ、酸化カリウム等を添加した鉄系触媒が使用されている。しかし、この触媒は低温の温度領域ではアンモニア合成活性が低いので、この触媒を使用する工業的な装置においては、反応速度を大きくするために、反応温度を400〜500℃の高温にし、平衡理論上では不利な温度領域で合成反応を行わなければならない。このような条件で合成反応を行うと、反応ガスの循環比が大きくなり、このために、反応器や、生成したアンモニアと未反応ガスを分離するための分離器や、未反応ガスをアンモニア合成反応器に戻すためのコンプレッサーなどの装置が大きくなってしまう。さらに、コンプレッサーの動力や、ガスの冷却、加熱のために多大のエネルギーを必要とする。
【0003】
上記の問題に対処し、鉄系触媒に代わる触媒として、低温、低圧の条件でもアンモニアを合成することができるルテニウム系触媒が開発されている。これらの触媒は、特開平7−256104号公報、特開平9−168739号公報、特開平9−239272号公報等に提案されており、鉄系触媒に比べて、低温、低圧での活性が高く、また、一酸化炭素や水による阻害が少ないなどの特性を有している。
【0004】
このため、ルテニウム系触媒の一つである活性炭担持ルテニウム触媒は、アンモニア合成用触媒の中で最も実用に適した触媒であるものとして注目されている。
【0005】
従来、活性炭担持ルテニウム触媒は次の方法により製造されている。活性炭を水素雰囲気下で加熱して不純物を除去したもの(以下、水素処理活性炭、又はHTACと記す)に、アセチルアセトナトルテニウムなどのルテニウム錯体を溶解させた有機溶媒を含浸させ、これを乾燥した後、ヘリウム又は窒素雰囲気中で加熱し、活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体を製造する。
【0006】
次いで、この前駆体を、促進剤であるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を溶解した水溶液に添加し、乾燥した後、水素雰囲気下で加熱する活性化処理を行うことにより活性炭担持ルテニウム触媒を得ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況にあって、アンモニア合成装置の建設経費、運転経費を低減するために、アンモニア合成活性がさらに向上した活性炭担持ルテニウム触媒の出現が望まれている。
【0008】
本発明は、高活性な活性炭担持ルテニウム触媒の製造方法及びその触媒を用いるアンモニア合成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は次の発明により解決される。
第1の発明に係る触媒の製造方法は、水素処理活性炭にルテニウムを担持させたアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体に、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を添加し、次いで、水素雰囲気下で350℃〜400℃まで昇温させた後、10℃〜60℃/hの昇温速度で500℃〜600℃まで加熱し、活性化処理することを特徴としている。
【0010】
第2の発明に係る触媒の製造方法は、第1の発明において、アンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体が、水素処理活性炭にルテニウム錯体を溶解させた溶媒を含浸させ、このルテニウム錯体を含む水素処理活性炭を窒素又は不活性ガス雰囲気下で200℃〜450℃まで加熱したものであることを特徴としている。
【0011】
第3の発明に係る触媒の製造方法は、第1の発明において、アンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体が、水素処理活性炭に塩化ルテニウムを溶解させた溶媒を含浸させ、この塩化ルテニウムを含む水素処理活性炭を水素雰囲気下で350℃〜500℃まで加熱したものであることを特徴としている。
【0012】
第4の発明に係るアンモニア合成方法は、第1〜第3の発明のうちの何れかの製造方法により製造されたアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒を用いてアンモニア合成することを特徴としている。
【0013】
本発明者らは、高活性のアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒を開発するための研究を行ってきたが、その過程において、触媒の前駆体にアルカリ金属等の促進剤の塩を添加した後に行う活性化処理の条件によって、得られる触媒の活性が大幅に異なることを見出した。特に、促進剤として添加されたアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の水素化分解が完了する365℃付近から所定加熱保持温度までの昇温速度が非常に大きな影響を及ぼす。すなわち、この温度領域における加熱を緩やかな昇温速度で行うことにより、極めて高活性な触媒が得られる。
【0014】
高活性な触媒を得るためには、まず、前駆体に促進剤の塩を添加したものを促進剤の塩の水素化分解が完了する温度(365℃)付近、すなわち、350℃〜400℃、好ましくは360℃〜380℃まで加熱する。この温度までの昇温期間においては、水分の蒸発、ルテニウムの再還元、促進剤の塩の水素化分解などが起こるが、触媒機能に大きく影響する活性点構築に関わる主要な反応は起こらないので、その加熱に際しては、必ずしも緩やかに昇温しなくてよい。
【0015】
次いで、所定加熱保持温度に達するまでは10℃〜60℃/h、好ましくは20℃〜40℃/hの昇温速度で緩やかに昇温させる。緩やかな昇温速度で加熱した後の保持温度は500℃〜600℃、好ましくは530℃〜570℃である。このような処理操作により、高活性な活性炭担持ルテニウム触媒が得られる。上記の活性化処理条件は本発明者らが行った実験結果に基づいて定められたものであり、これについては後述する。
【0016】
上記の活性化処理条件により高活性な触媒が得られるメカニズムは次のごとくであると考えられる。活性化処理においては、350℃〜400℃を超えて緩やかに昇温しなければならない温度領域に入った辺りからルテニウムの触媒作用により活性炭と水素の反応によるメタンの生成が始まり、500℃付近からメタンの生成量は急激に増加する。そして、活性炭と水素との反応によるメタン生成が触媒の機能を高める重要な役割をしているものと考えられる。すなわち、担体である活性炭の表面を適度に反応させて、メタンを放出することにより、活性炭に担持されているルテニウムと促進剤の配置(分散状態)が最適化され、アンモニア合成活性が向上するものと考えられる。そして、このメタン生成の度合いは昇温速度によって異なるものであった。
【0017】
ところで、前述のように、アンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒は、水素処理活性炭にルテニウムを担持させた前駆体に促進剤を添加した後、水素雰囲気下で活性化処理することにより得られる。そして、その基となる前駆体は、水素処理活性炭にルテニウム化合物を溶解させた溶媒を含浸させ、これを加熱処理したものであるが、本発明においては、上記前駆体を製造する際に使用するルテニウム源として、ルテニウム錯体の他に塩化ルテニウムを選定することができる。この両者の価格について記すと、例えば、塩化ルテニウムの単位ルテニウム量当たりの価格は従来から使用されているアセチルアセトナトルテニウムのそれの1/6以下である。このため、ルテニウム源として塩化ルテニウムを使用することができれば、触媒の製造コストが大幅に低減される。
【0018】
従来から、ルテニウム源として塩化ルテニウムを使用すると、触媒に残留する塩素が触媒上のルテニウムから電子を吸引してしまうため、電気陰性度が高いアルカリ金属などの促進剤を添加しても、触媒活性を高めることはできないものと考えられている。このため、ルテニウム源として塩化ルテニウムを用いようとする場合には、塩素を除去することができ、かつ触媒上にルテニウムを分散させることができる方法を開発しなければならない。この点について、本発明者らにより、塩素が効率よく取り除かれ、かつルテニウムが触媒上によく分散できる方法が見出されている。すなわち、塩化ルテニウムを含浸させた水素処理活性炭を水素雰囲気下で加熱して所定温度に保持することにより、塩素が効率よく取り除かれ、ルテニウムが触媒上によく分散できる。
【0019】
ルテニウム源として塩化ルテニウムを使用する場合、水素処理活性炭に塩化ルテニウムを含浸させたものを脱塩素処理する際の温度および時間によって、最終製品である触媒の活性が大幅に異なる。これは、脱塩素処理時の昇温過程において、その初期の段階で塩化水素が生成して塩素が除去され、さらに昇温すると、活性炭と水素の反応によりメタンが生成し、触媒上にルテニウムがよく分散することができることに起因している。塩化水素の生成による脱塩素は200℃付近から始まり、300℃付近で終わる。そして、さらに昇温すると、上述のように、メタンの生成が始まり、500℃付近からその生成量が急激に増加し、過度となってしまう。このようなことから、本発明においては、触媒の前駆体を製造するための脱塩素処理を350℃〜500℃で行う。この温度領域は脱塩素反応が完了する温度より高く、かつ触媒上のルテニウム粒子が凝集,肥大化させる急激なメタンの生成が起こる温度よりも低い温度領域である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明におけるアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の製造方法は次に記すとおりである。
【0021】
1)ルテニウム源がルテニウム錯体であるときの製造方法
▲1▼水素処理活性炭の製造
活性炭を水素雰囲気下で500℃〜915℃、好ましくは900℃程度で、50時間〜500時間、好ましくは90時間程度加熱し、不純物が除去された水素処理活性炭を得る。なお、加熱温度を1000℃以上にすると、活性炭の黒鉛化が進み、担体としての性質が変化するので、加熱温度は1000℃より低くする必要がある。
【0022】
▲2▼ルテニウムの含浸
テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリルなどの非プロトン性極性有機溶媒に、ルテニウム源として、アセチルアセトナトルテニウムを溶解し、この溶液を上記の方法により製造された水素処理活性炭に含浸させる。アセチルアセトナトルテニウムの含浸量は活性炭に対し、ルテニウム換算で、0.5〜10wt%、好ましくは3wt%程度にする。次いで、減圧下で溶媒を留去する。この溶媒留去は、温度を5℃〜120℃、好ましくは常温で行う。圧力は10-3〜750Torr、好ましくは50Torrで行う。
【0023】
▲3▼触媒の前駆体の製造
上記の方法により水素処理活性炭にルテニウム錯体を含浸させた後に乾燥したものを、窒素又は不活性ガス雰囲気下で200℃〜450℃、好ましくは400℃程度で1〜30時間、好ましくは4時間程度加熱することにより、ルテニウム源がルテニウム錯体である活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体を得る。
【0024】
▲4▼促進剤の添加
上記▲3▼の方法により製造された前駆体に、促進剤の塩であるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の水溶液を加え、これを50℃〜120℃に加熱して乾燥する。
【0025】
アルカリ金属としては、セシウム、ルビジウム、カリウム、ナトリウムなどを使用することができる。又、アルカリ土類金属としては、バリウム、カルシウムなどを使用することができる。添加する塩の形態は、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩などであってもよいが、このうち、硝酸塩が最も水素化分解されやすいので、好ましいものである。
【0026】
促進剤の添加量は、バリウム、カルシウムの場合、ルテニウムに対し0.01〜10倍のモル量、好ましくは2倍程度のモル量であるのがよい。又、セシウム、ルビジウムの場合、ルテニウムに対し1〜50倍のモル量、好ましくは20倍程度のモル量であるのがよい。又、カリウム、ナトリウムの場合、ルテニウムに対し1〜30倍のモル量、好ましくは15倍程度のモル量であるのがよい。
【0027】
▲5▼活性化処理
上記の方法により前駆体に促進剤が添加されたものを、水素雰囲気下で加熱して350℃〜400℃まで昇温させる。引き続いて、10℃〜60℃/h、好ましくは20℃〜40℃/hの昇温速度で500℃〜600℃、好ましくは530℃〜570℃まで加熱し、その温度で1〜20時間、好ましくは5時間程度保持する。この処理により、高活性なアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒が得られる。
【0028】
なお、活性化処理時の圧力は0.1〜20MPaG、好ましくは0.2MPaG以上 にするのがよい。
【0029】
2)ルテニウム源が塩化ルテニウムであるときの製造方法
▲1▼水素処理活性炭の製造
ルテニウム源がルテニウム錯体の場合と同じ。
【0030】
▲2▼ルテニウムの含浸
アセトン、水、メタノールなどの強極性溶媒に塩化ルテニウムを溶解し、この溶液を上記の方法により製造された水素処理活性炭に含浸させる。塩化ルテニウムの含浸量は活性炭に対し、ルテニウム換算で、0.1〜20wt%、好ましくは5wt%程度にする。次いで、減圧下で溶媒を留去する。この溶媒留去は温度を5℃〜120℃、好ましくは常温で行う。圧力は10-3〜750Torr、好ましくは50Torrで行う。
【0031】
▲3▼触媒の前駆体の製造
上記の方法により水素処理活性炭に塩化ルテニウムを含浸させた後に乾燥させたものを、水素雰囲気下で400℃〜500℃、好ましくは450℃程度で6〜60時間、好ましくは12時間程度加熱することにより、塩化ルテニウムの塩素が塩化水素として除去される。この脱塩素処理により、ルテニウム源が塩化ルテニウムである活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体が得られる。
【0032】
▲4▼促進剤の添加
ルテニウム源がルテニウム錯体の場合と同じ。
【0033】
▲5▼活性化処理
ルテニウム源がルテニウム錯体の場合と同じ方法により、高活性なアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒が得られる。
【0034】
上記の方法により製造された活性炭担持ルテニウム触媒をアンモニア合成装置の反応器へ充填し、アンモニア合成を行えば、極めて効率のよいアンモニア合成を行うことができる。この際の反応条件は次の通りに設定するのがよい。
反応ガスの組成:水素と窒素のモル比が1:3〜4:1、好ましくは2.5:1以下
反応温度:300℃〜500℃、好ましくは350℃〜400℃
反応圧力:0〜30MPaG、好ましくは0.5MPaG以上
【0035】
【実施例】
(実施例1)
(活性炭担持ルテニウム触媒の製造)ルテニウム源としてルテニウム錯体を使用し、活性炭担持ルテニウム触媒を製造した。市販の活性炭を水素雰囲気下で900℃に加熱し、不純物が除去された水素処理活性炭を得た。この水素処理活性炭に、アセチルアセトナトルテニウムを溶解させたテトラヒドロフランを含浸させ、溶媒を留去させた。次いで、ヘリウム雰囲気下で加熱処理をし、活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体を得た。この前駆体に促進剤の塩として硝酸セシウム又は硝酸バリウムの水溶液を添加した後、乾燥させた。そして、前駆体に促進剤が添加されたものを、水素雰囲気下で365℃まで加熱した後、緩やかに加熱し、アンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒を得た。この際、昇温速度を20℃/h〜600℃/h、加熱処理温度を300℃〜600℃に変えた処理を行い、活性化処理条件が異なる触媒を調製した。この際、ある条件で生成するメタンを質量分析計により分析し、任意単位を用いた各条件でのメタン生成量の相対的な比較を行った。
【0036】
(アンモニア合成活性の測定)
上記の触媒を高圧固定床流通系の反応装置に充填し、水素と窒素の混合ガス(H2 :N2 =3:1)を流通させ、反応温度315℃、反応圧力を常圧又は1.0MPaG、空間速度15000〜18000にしてアンモニア合成反応を行った。アンモニア合成活性は、触媒層通過後のガスを希硫酸中に吹き込んでアンモニアを吸収させ、吸収液の電気伝導度の減少から算出した。
【0037】
(実験結果)
図1は活性化処理温度とアンモニア合成活性の関係を示す図である。この実験で使用した触媒は上記の方法により製造された触媒のうち、促進剤がセシウムのものであった。触媒活性は活性化処理温度により大幅に変動し、活性化処理温度を550℃にした場合には極めて高い値(約5000μmol/g/h)を示し、最大値となった。このような活性化処理温度による触媒活性の変化は、前述のように、ある温度以上に加熱すると、担体である活性炭と水素が反応してメタン生成し、このメタンの生成に伴う一部活性炭の消失が触媒の機能を高める重要な役割をしているものと考えられる。なお、活性化処理温度を550℃にした場合に得られた触媒の活性の値(約5000μmol/g/h)は従来最も活性が高いルテニウム触媒の一つとされてきた酸化セリウム担持ルテニウム触媒を使用した際に得られる値に対し、約2.5倍であり、極めて高い値であった。
【0038】
図2は前駆体に硝酸セシウムが添加されたものについて、活性化処理温度とメタン生成量の関係を調べた結果を示す図である。図2に示すように、350℃〜400℃を超える温度領域に入った辺りから活性炭と水素の反応によるメタンの生成が始まる。このメタンの生成量は450℃を超える辺りから増加の度合いが大きくなり、500℃付近から急激に増加する。そして、このメタン生成量が急激に増加しはじめる温度領域で活性化処理をすることにより、図1に示すような極めて高い触媒活性が得られている。
【0039】
表1は活性化処理時の昇温速度が触媒の活性に及ぼす影響を調べた結果を示す。表1に示すように、得られる触媒の活性は昇温速度を緩やかにするに従って高くなるので、できるだけ緩やかに昇温するのがよい。しかし、あまり緩やかにすると、活性化処理に長時間を要するので、昇温速度は10℃/h以上程度にするのが適当であると思われる。又、昇温速度を上げると、得られる触媒の活性が低下するので、昇温速度は60℃/h以下程度するのがよい。
【0040】
【表1】
Figure 0003788172
【0041】
表2は活性化処理時の圧力と触媒のアンモニア合成活性の関係を示す図である。表2に示すように、活性化処理時の圧力を高くすると、アンモニア合成活性が高い触媒が得られる。
【0042】
【表2】
Figure 0003788172
【0043】
(実施例2)
(活性炭担持ルテニウム触媒の製造)
ルテニウム源として塩化ルテニウムを使用し、これを実施例1で使用した水素処理活性炭に担持させて活性炭担持ルテニウム触媒を製造した。この実施例2における製造方法と実施例1における製造方法の相違は、水素処理活性炭にルテニウム源を含浸させる工程と、触媒の前駆体を製造する脱塩素処理工程である。
【0044】
実施例1で使用した水素処理活性炭に、塩化ルテニウムを溶解させたアセトンを含浸させ、乾燥させた。次いで、水素気流中で12時間加熱して脱塩素処理し、活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体を得た。そして、実施例1の場合と同様に、硝酸セシウム又は硝酸バリウムの水溶液を添加した後、水素雰囲気下で加熱して活性化処理し、アンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒を得た。この際、加熱処理温度を350℃〜600℃に変えた処理を行い、脱塩素処理条件が異なる触媒を調製した。
【0045】
(アンモニア合成活性の測定)
実施例1の場合と同一方法及び同一条件で行った。
【0046】
(実験結果)
表3及び図3はルテニウム源として塩化ルテニウムを使用して触媒の前駆体を得る際の脱塩素処理温度と得られた触媒の活性の関係を示す。ただし、この実験で製造した触媒は促進剤として添加されたものがバリウムであった。この表及び図に示すように、得られた触媒のアンモニア合成活性は脱塩素処理温度によって大きく影響された。そして、触媒の活性は脱塩素処理温度を約450℃にしたときに最大となった。これは処理温度の変化により異なると考えられる因子には触媒の表面積,触媒上のルテニウム粒子の大きさ,残留塩素量,活性炭の消失の程度,およびそれぞれをもたらす各反応の速度があるが,おそらく450℃、12時間程度の処理において,これらの因子の作用の総和に相当するものが最も高くなるためと考えられる。
【0047】
【表3】
Figure 0003788172
【0048】
表4はルテニウム源として塩化ルテニウムを使用して触媒の前駆体を得る際の脱塩素処理温度と得られた触媒の活性の関係を示す。ただし、この実験で製造した触媒は促進剤としてセシウムが添加されたものであった。この表のように、得られた触媒のアンモニア合成活性は、表1及び図3に示すバリウム添加触媒と同様の傾向を示し、脱塩素処理温度を約450℃にしたときに最大となった。
【0049】
【表4】
Figure 0003788172
【0050】
表5はルテニウム源として塩化ルテニウムを使用して触媒の前駆体を得る際の脱塩素処理時間と得られた触媒の活性の関係を示す。ただし、この実験で製造した触媒は促進剤としてバリウムが添加されたものであった。この表においては、脱塩素処理温度が400℃の場合には、脱塩素処理時間が24時間のときに最も高いアンモニア合成活性が得られ、脱塩素処理温度が450℃の場合には、脱塩素処理時間が12時間のときに最も高いアンモニア合成活性が得られた。このように、得られる触媒の活性は、脱塩素処理時間によって異なり、適度な時間で処理した際に高い値が得られるが、さらに、この適度の処理時間は処理温度によって異なる。
【0051】
【表5】
Figure 0003788172
【0052】
表6はルテニウム源が異なる2種類の触媒について、アンモニア合成活性を比較した結果を示す。比較した触媒はルテニウム源として塩化ルテニウムを使用して製造した触媒とルテニウム錯体を使用して製造した触媒であった。表6に示すように、塩化ルテニウムの使用は,ルテニウム錯体を使用した場合に困難であるルテニウム含有量増加が比較的容易にでき,より高活性な触媒を製造することを可能とし,事実1.6倍程度の活性を実現できた。
【0053】
【表6】
Figure 0003788172
【0054】
【発明の効果】
本発明は、水素処理活性炭にルテニウムを担持させた触媒の前駆体に、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を添加し、次いで、水素雰囲気下で350℃〜400℃まで昇温させた後、10℃〜60℃/hの昇温速度で500℃〜600℃まで加熱し、活性化処理することを特徴とするアンモニア合成触媒の製造方法である。
【0055】
本発明によれば、触媒前駆体の活性化処理に際し、本発明者らが見出した活性化処理条件、すなわち、所定の昇温速度で、所定温度まで加熱することにより、極めて高いアンモニア合成活性を有する触媒を製造することができる。
【0056】
又、本発明によれば、水素処理活性炭に担持させるルテニウム源として安価な塩化ルテニウムを使用することができるので、触媒の製造コストが大幅に低減される。
【0057】
さらに、本発明のアンモニア合成方法によれば、上記の高活性なアンモニア合成触媒を用いるので、非常に高いアンモニア転化率が得られる。このため、原料ガスのリサイクル比を小さくすることができるので、アンモニア合成装置の小型化されて建設費が低減されると共に、未反応ガスのリサイクルに要する動力や、加熱、冷却などに要するエネルギーを大幅に削減することができる。
【0058】
又、本発明により製造された触媒を使用してアンモニア合成を行えば、低温、低圧でアンモニア合成反応を行うことができるので、エネルギーの消費量が一層低減される。
【0059】
又、本発明により製造された触媒を使用すれば、原料ガスのリサイクル比を小さくし、或いは低温、低圧でアンモニア合成反応を行うことことができるので、著しく省エネルギー、高効率となり、反応装置をコンパクトにできる。このため、反応装置を船舶などに搭載することが可能になり、従来にない新規の用途に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性化処理温度と触媒のアンモニア合成活性との関係を示す図である。
【図2】活性化処理温度とメタン生成量の関係の関係を示す図である。
【図3】脱塩素処理温度と触媒のアンモニア合成活性の関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 水素処理活性炭にルテニウムを担持させたアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体に、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を添加し、次いで、水素雰囲気下で350℃〜400℃まで昇温させた後、10℃〜60℃/hの昇温速度で500℃〜600℃まで加熱し、活性化処理することを特徴とするアンモニア合成触媒の製造方法。
  2. アンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体が、水素処理活性炭にルテニウム錯体を溶解させた溶媒を含浸させ、このルテニウム錯体を含む水素処理活性炭を窒素又は不活性ガス雰囲気下で200℃〜450℃まで加熱したものであることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の製造方法。
  3. アンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の前駆体が、水素処理活性炭に塩化ルテニウムを溶解させた溶媒を含浸させ、この塩化ルテニウムを含む水素処理活性炭を水素雰囲気下で350℃〜500℃まで加熱したものであることを特徴とする請求項1に記載のアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れかの製造方法により製造されたアンモニア合成用活性炭担持ルテニウム触媒を用いてアンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成方法。
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