JP3788070B2 - 車両用ミラーの角度制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ミラーの角度制御装置に関し、詳細には、機械的な動作のムラに起因するポテンショメータの出力のバラツキに関係無く、ミラーを動かす駆動機構がスリップする直前でミラーを停止させるようにした誤動作の無い車両用ミラーの角度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車等の車両に使用されているアウトサイドミラーは、リモートコントロール機構によってミラーの向きが運転者等に合わせて適宜調整できるように構成されている。
【0003】
上記ミラーの角度調整は、運転者がリモートコントロールスイッチを上下左右それぞれの方向に押すことで上下駆動用モーター又は左右駆動用モーターを作動させてミラーを動かしている。そして、そのミラーの位置を上下方向検知用ポテンショメータ及び左右方向検知用ポテンショメータによって検出し、その出力値を駆動ユニットを制御する制御部にフィードバックしている。
【0004】
かかる場合に、例えばリモートコントロールスイッチを上下方向又は左右方向の何れかに動かしてミラーをそれぞれの方向における作動範囲ギリギリまで動かす(傾ける)と、ミラーを動かす駆動機構(ミラー回転用左右ロッド6又はミラー回転用上下ロッド7)がスリップする。この駆動機構のスリップは、ミラーの位置を検出するセンサーである上記各ポテンショメータセンサーに悪影響を及ぼす。
【0005】
そこで、ミラーの作動限界でのスリップ動作を防止するため、例えばスリップ直前にこれら上下駆動用モーター及び左右駆動用モーターを停止させることが考えられる。これを、上下方向検知用ポテンショメータによる出力(電圧V)を縦軸に、左右方向検知用ポテンショメータによる出力(電圧V)を横軸に取り、ミラーの位置を座標で示した図5を参照して説明する。
【0006】
すなわち、図5に示すように、上下駆動用モーター及び左右駆動用モーター等によりミラーを傾ける駆動部ユニットの機械的な作動限界領域外縁(図中円で示す)の内側に、マイクロコンピュータによってプログラムした作動規制範囲を設けてある。作動限界領域外縁は、その線上にミラーが移動したときに、ミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7がスリップする最外周領域の外縁を示す。一方、作動規制範囲外縁は、ミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7がスリップする直前の外縁を表す。
【0007】
そして、上下方向検知用ポテンショメータ及び左右方向検知用ポテンショメータからの出力を検知しミラーが作動規制範囲外縁に達したときに、制御部がモータードライバー回路に指令を出して上下駆動用モーター及び左右駆動用モーターの駆動を停止させ、上記ミラーを動かす駆動機構のスリップを回避する。このようにすることで、駆動機構のスリップによる上下方向検知用ポテンショメータ及び左右方向検知用ポテンショメータへの悪影響を無くすことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した制御方法では、図5に示すように、作動限界領域外縁のア点に停止しているミラーをイ点まで左方向に移動させ、再度右方向へ移動させて元のア点まで戻す場合、その手前のウ点付近で停止することがある。これは、ミラーの左右方向への傾動動作により、上下方向検知用ポテンショメータの出力に若干の変化が加わるため、作動限界領域外縁がA線からB線に移ったことに起因する。これは、例えば機械的な動作のムラに起因して、ポテンショメータの出力がばらつくことによる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、上述の課題を解決するために提案されたものであり、制御部に、ミラーの機械的な作動限界領域外縁の内側に内向き凸の矩形領域を持たない複数の斜線部を連続してなる作動規制範囲を設け、上記ミラーが上記作動規制範囲外縁位置に達したときに、ミラーを動かす上下駆動用モーター又は左右駆動用モーターを停止させる制御回路を設ける。
【0010】
このようにすれば、機械的な動作のムラに起因するポテンショメーターの出力のバラツキに関係なく、駆動機構のスリップ直前でミラーを停止させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、自動車用のフェンダー又はドアに装着されるアウトサイドミラーに本発明を適用したものである。
【0012】
先ず、アウトサイドミラーの構成について簡単に説明する。アウトサイドミラーは、図3及び図4に示すように、ミラーハウジング1に取り付けられたミラー2と、このミラー2を上下方向又は左右方向に傾ける駆動部ユニット3とから構成されている。ミラー2は、駆動部ユニット3によって駆動操作されるミラーハウジング1に固定されており、この駆動部ユニット3の駆動により該ミラーハウジング1と共に上方向、下方向、左方向、右方向に動くようになっている。
【0013】
上記駆動部ユニット3は、図3及び図4に示すように、ミラー2の向きを左右方向に変える左右駆動用モーター4と、ミラー2の向きを上下方向に変える上下駆動用モーター5と、これら左右駆動用モーター4及び上下駆動用モーター5の駆動力を後述するそれぞれのミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7に伝達するそれぞれの歯車機構部と、ミラー2の位置を検出するミラー左右方向検知手段である左右方向検知用ポテンショメータ8と、ミラー2の位置を検出するミラー上下方向検知手段である上下方向検知用ポテンショメータ9とが、筐体であるユニット本体10内に設けられた構成とされている。
【0014】
上記歯車機構部は、図3に示すように、左右駆動用モーター4及び上下駆動用モーター5の駆動軸に取り付けられたウォームホイールギヤ11と、このウォームホイールギヤ11に噛み合うウォームギヤ12と、このウォームギヤ12に噛み合う平歯車13とからなる。ウォームギヤ12は、図4に示すように上下方向に所定距離を置いて二つのギヤを有した、いわゆる二段ギヤとされている。その上側のギヤに、上記ウォームホイールギヤ11が噛み合い、下側のギヤに、上記平歯車13が噛み合うようになっている。
【0015】
上記ミラー回転用左右ロッド6及び上記ミラー回転用上下ロッド7は、図3及び図4に示すように、上記平歯車13の中心に圧入固定された回転体14に、その軸芯を垂直方向に向けて回転自在に支持されている。そして、このミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7は、上記回転体14に設けられたねじりコイルバネ15がその周面に設けられたねじ部に係合し、そのねじりコイルバネ15をガイドとして、上記平歯車13の回転により上下方向に進退するようになっている。これらミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7が上下方向に動くことで、その先端部と係合するミラーハウジング1(ミラー2)が上下方向及び左右方向に動くことになる。
【0016】
上記左右方向検知用ポテンショメータ8及び上下方向検知用ポテンショメータ9は、例えば可変抵抗器からなり、上記ミラー2の左右方向及び上下方向の位置を検出するようになっている。上記左右方向検知用ポテンショメータ8及び上記上下方向検知用ポテンショメータ9には、上記ミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7の下端部に接触し軸部16を中心として左右方向にいわゆるシーソー状態に動くレバー17と係合する連結部材18によって、当該ミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7の上下方向における位置が伝達されるようになっている。
【0017】
次に、上記アウトサイドミラーを動かす角度制御装置について説明する。かかる角度制御装置は、図1に示すように、左右駆動用モーター4と、上下駆動用モーター5と、左右方向検知用ポテンショメータ8と、上下方向検知用ポテンショメータ9と、電源19と、定電圧回路20と、制御部21と、スイッチ回路23と、警報発砲手段であるブザー発音回路24とを有して構成されている。
【0018】
この角度制御装置においては、例えば12Vのバッテリーを電源19とし、その電源19からの電圧を定電圧回路20によって5Vの一定電圧としてマイクロコンピュータである制御部21に供給する。制御部21では、リモートコントロールスイッチからのスイッチ入力信号と、上記左右方向検知用ポテンショメータ8及び上下方向検知用ポテンショメータ9からのそれぞれの入力信号を検知して、モータードライバー回路22に指令し、上記左右駆動用モーター4及び上下駆動用モーター5の駆動制御を行う。
【0019】
上記制御部21では、図2に示すように、パワーユニットである駆動部ユニット3の機械的な作動限界領域外縁(図中円で示す)の内側に、マイクロコンピュータによってプログラムした作動規制範囲を設けてある。上記作動限界領域外縁は、その線上にミラー2が移動したときに、ミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7のねじ部と、上記したねじりコイルバネ15とがスリップする最外周領域の外縁を示す。一方、作動規制範囲外縁は、ミラー回転用左右ロッド6及びミラー回転用上下ロッド7のねじ部と、ねじりコイルバネ15とがスリップする直前の外縁を表す。図3は、縦軸を上下方向検知用ポテンショメータ9による出力(電圧V)とし、横軸を左右方向検知用ポテンショメータ8による出力(電圧V)として、ミラー2の位置を座標で示している。
【0020】
上記作動規制範囲外縁は、図2に示すように、内向き凸の矩形領域を持たない複数の斜線部a,b〜tを連続して多角形状とした線として表されている。言い換えれば、作動規制範囲外縁は、図5に示すような水平線又は垂直線を持たない、ある角度を有した複数の斜線部a,b〜tを連続して多角形状とした線とされており、ほぼ円形状に近い形とされている。この作動規制範囲外縁を形成する斜線部a,b〜tは、制御部21におけるマイクロコンピュータの演算を容易にするために、2の累乗で表される傾き(垂直増分/水平増分)とされている。これら斜線部a,b〜tの傾きを、例えば表1に示す。
【0021】
【表1】
上述のように作動規制範囲外縁を設定してなる角度制御装置においては、例えば図2中ア点から右方向にミラー2を動かした場合、上下方向検知用ポテンショメータ9からの出力と作動規制範囲外縁を構成するd線のデータとから制御部21がイ点を算出し、該イ点を右限点として設定する。これにより、ミラー2をア点から右方向に動かして行くと、該ミラー2がイ点に達したときに左右駆動用モーター4がスリップ直前で停止する。
【0022】
そして、この右限点イで停止しているミラー2を左方向へア点まで移動し、再度イ点まで戻すと、途中で停止することなく必ず右限点イまでミラー2が移動する。これは、作動規制範囲外縁が従来の図5に示すような内向き凸の矩形領域を持たない複数の斜線部a,b〜tを連続させた形状としているため、ア点を通る水平線と右側の作動規制範囲外縁との交点が一ヶ所(イのみ)となることから、機械的な動作のムラに起因する上下方向検知用ポテンショメータ9の出力のバラツキに影響せずに、イ点の手前を作動規制範囲外縁と誤認してミラー2が停止することはない。ミラー2を上下方向に移動させる場合も同様である。
【0023】
以上、本発明を適用した具体的な一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されることなく種々の変更が可能である。
【0024】
例えば、上述の実施形態では、自動車用のアウトサイドミラーに本発明を適用したが、自動車に限らず船舶や自動二輪車等のミラーに適用しても同様の効果がある。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0026】
本発明の車両用ミラーの角度制御装置によれば、ミラーを動かす駆動機構のスリップを防止して左右方向検知用ポテンショメータ及び上下方向検知用ポテンショメータへの悪影響を回避することができると共に、機械的な動作のムラに起因するこれらポテンショメータ出力のバラツキによるミラーの誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両用ミラーの角度制御装置を示すブロック図である。
【図2】作動限界領域外縁の内側に、内向き凸の矩形領域を持たない複数の斜線部を連続してなる作動規制範囲を設けたもので、ミラーの位置を座標で表した図である。
【図3】アウトサイドミラーの駆動部ユニットを示す平面図である。
【図4】アウトサイドミラーの断面図である。
【図5】作動限界領域外縁の内側に内向き凸の矩形領域を持つ作動規制範囲外縁を設けた従来例を示すもので、ミラーの位置を座標で表した図である。
【符号の説明】
2 ミラー
3 駆動部ユニット
4 左右駆動用モーター
5 上下駆動用モーター
6 ミラー回転用左右ロッド
7 ミラー回転用上下ロッド
8 左右方向検知用ポテンショメータ
9 上下方向検知用ポテンショメータ
21 制御部
Claims (2)
- ミラーの向きを上下方向に変える上下駆動用モーターと、
上記ミラーの向きを左右方向に変える左右駆動用モーターと、
上記ミラーの上下方向における位置を検出するミラー上下方向検知手段と、
上記ミラーの左右方向における位置を検出するミラー左右方向検知手段と、
上方向、下方向、左方向、右方向それぞれにミラーを傾ける入力信号を受けて上記上下駆動用モーター又は上記左右駆動用モーターを駆動させて上記ミラーの向きを変える指令を出す制御部とを備えており、
上記制御部は、上記ミラーの機械的な作動限界領域外縁の内側に、内向き凸の矩形領域を持たない複数の斜線部を連続してなる作動規制範囲を有すると共に、上記ミラーが上記作動規制範囲外縁位置に達したときに、上記上下駆動用モーター又は左右駆動用モーターを停止させる制御回路を有している
ことを特徴とする車両用ミラーの角度制御装置。 - 上記各斜線部の傾きが2の累乗であることを特徴とする請求項1記載の車両用ミラーの角度制御装置。
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- 1998-10-26 JP JP30450998A patent/JP3788070B2/ja not_active Expired - Fee Related
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