JP2004161050A - 電動ミラーの駆動制御装置 - Google Patents

電動ミラーの駆動制御装置 Download PDF

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Yasuhiro Ono
康博 小野
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Abstract

【課題】簡便な処理でミラーを回動させる最適な順序を決定して、ミラーを速やかに目標位置へと移動できると共に、低コスト化を図る上でも有利な電動ミラーの駆動制御装置を提供する。
【解決手段】ミラーの可動範囲を上下中心軸及び左右中心軸で区切った4象限を設定し、この4象限上で、ミラーの現在位置を始点、目標位置を終点としてそれぞれ表し、これらを結ぶベクトルと、上下中心軸及び左右中心軸との関係に基づいて、ミラーを回動させる方向の順序を決定する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミラーを上下方向及び左右方向に回動させて、ミラーの向きを自動調整する電動ミラーの駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車のドアミラーとしては、乗員がスイッチ操作によってミラーの向きを任意に調整できる電動ミラーが多く用いられるようになってきている。この電動ミラーは、車室内に設置された上下、左右のスイッチを乗員が操作することで、このスイッチ操作に応じて上下駆動用モータ及び左右駆動用モータが作動されてミラーが上下方向と左右方向とに回動し、ミラーの向きが変化するようになっている。このとき、ミラーの上下方向及び左右方向の位置は、上下方向位置検出センサ及び左右方向位置検出センサによってそれぞれ検出され、これら各位置検出センサからの出力値を駆動制御部にフィードバックさせることで、駆動制御部がミラーの位置を把握できるようになっている。
【0003】
また、自動車のインテリジェント化が進む中で、電動ミラーの位置調整を自動で行う技術も開発され、実用化されるに至っている。これは、運転者が最適と感じるミラーの向きが各運転者特有の運転姿勢等に応じて殆ど決まっていることに着目し、運転者毎に最適と感じるミラーの向きを情報としてメモリに記憶させておき、必要に応じてこの情報をメモリから読み出して、この情報に基づいて上下駆動用モータ又は左右駆動用モータを作動させることで、ミラーの向きを運転者が最適と感じる向きに自動調整するようにしたものである。
【0004】
また、例えば自動車を駐車させる場合の後退走行を支援するために、シフトレバーがリバース位置に切り替えられたときに、これに連動してミラーの向きを後輪周辺が視野内となるように自動調整し、シフトレバーがリバース位置以外に切り替えられるとミラーの向きを元の位置に復帰させる、いわゆるリバース連動自動調整の技術も実用化されている。
【0005】
以上のような電動ミラーの位置調整を自動的に行う場合、従来では、予め定められた順序で上下駆動用モータと左右駆動用モータとを順次作動させ、例えば、上下駆動用モータの作動によってミラーを上下方向に回動させた後、左右駆動モータの作動によってミラーを左右方向に回動させることにより、ミラーの向きを目標位置へと自動的に移動させるようにしているのが一般的である。
【0006】
しかしながら、以上のような電動ミラーでは、ミラーを回動させることが可能な範囲(可動範囲)がその機械的な要因によって決定されており、この可動範囲を超えてミラーを回動させることができないようになっている。このように可動範囲が制限されている中で、予め定められた順序でミラーを上下方向、左右方向に順次回動させてミラーの向きを目標位置へと移動させるようにすると、ミラーの現在位置と目標位置との位置関係によっては、ミラーが可動範囲を超えて回動しようとして、目標位置に速やかに到達できない場合がある。
【0007】
このような問題に鑑みて、ミラーの現在位置と目標位置との位置関係を基にして、ミラーを回動させる最適な順序をその都度決定することで、ミラーを目標位置へと速やかに到達できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
特許文献1に記載された技術では、ミラーの可動範囲の内側に作動規制範囲を設け、この作動規制範囲の外縁をミラーが超えないように、ミラーを回動させる順序を決定するようにしている。具体的には、ミラーの現在位置における左右方向の位置から、その位置における作動規制範囲外縁の上限点及び下限点を求め、ミラーの目標位置における上下方向の位置がこれら上限点及び下限点の間にあれば最初に上下方向にミラーを回動させ、ミラーの目標位置における上下方向の位置が上限点及び下限点の間になければ最初に左右方向にミラーを回動させるようにしている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−127854号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、作動規制範囲の外縁となる各点の座標データと、ミラーの現在位置や目標位置の座標データとを対比しながらミラーを回動させる最適な順序を決定するようにしているため、演算処理が煩雑でCPU等の処理装置の負担が大きくなると共に、作動規制範囲の外縁となる各点の座標データを全て記憶させておく必要があり、その分、メモリ容量が要求されて、特に低コスト化を図る上での大きな障害となる。
【0011】
そこで、本発明は、簡便な処理でミラーを回動させる最適な順序を決定して、ミラーを速やかに目標位置へと移動できると共に、低コスト化を図る上でも有利な電動ミラーの駆動制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ミラーの可動範囲をその中心を通る上下中心軸及び左右中心軸で区切った4象限を定義し、この4象限上でミラーの現在位置を始点、目標位置を終点として表したときに、これら始点と終点とを結ぶベクトルと、上下中心軸及び左右中心軸との関係から、ミラーが可動範囲を超えて回動しようとすることがないように、ミラーを回動させる方向の順序を適切に決定できることを見出すに至った。
【0013】
本発明は、以上のような知見に基づいて創案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ミラー駆動手段によりミラーを上下方向と左右方向とに回動させて、前記ミラーの向きを現在位置から目標位置へと自動的に移動させる電動ミラーの駆動制御装置であって、前記ミラーの可動範囲を、当該可動範囲の中心を通る上下中心軸及び左右中心軸によって4つの象限に区切り、この4象限上で前記現在位置を始点、前記目標位置を終点としてそれぞれ表して、これら始点と終点とを結ぶベクトルと、前記上下中心軸及び左右中心軸との関係に基づいて、前記ミラーを回動させる方向の順序を決定することを特徴としている。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動ミラーの駆動制御装置において、前記現在位置を示す始点と前記目標位置を示す終点とが共に前記4象限のうちの1つの象限上に表される場合、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、前記上下中心軸と左右中心軸の何れか一方の中心軸に近付き、他方の中心軸から離間する向きであるときは、近付く方向の中心軸と直交する方向から前記ミラーを回動させることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電動ミラーの駆動制御装置において、前記現在位置を示す始点と前記目標位置を示す終点とが、前記上下中心軸と左右中心軸の何れか一方の中心軸を挟んで隣接する2つの象限上に各々表される場合、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが他方の中心軸に近付く向きであるときは、前記他方の中心軸と直交する方向から前記ミラーを回動させると共に、前記始点と終点とを結ぶベクトルの向きが前記他方の中心軸から離間する向きであるときは、前記一方の中心軸と直交する方向から前記ミラーを回動させることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電動ミラーの駆動制御装置において、前記現在位置を示す始点と前記目標位置を示す終点とが、前記4象限のうちで対角に位置する2つの象限上に各々表される場合には、前記上下中心軸と左右中心軸の何れか一方の中心軸と直交する方向に前記ミラーを回動させて前記ミラーの向きを前記一方の中心軸上に位置させ、その後、前記一方の中心軸上に沿って他方の中心軸と直交する方向に前記ミラーを回動させた後、再度、前記一方の中心軸と直交する方向に前記ミラーを回動させることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、ミラーを上下方向と左右方向とに回動させて、前記ミラーの向きを現在位置から目標位置へと自動的に移動させる電動ミラーの駆動制御装置であって、前記ミラーの現在位置を検出するミラー位置検出手段と、前記ミラーの目標位置が記憶されたミラー目標位置記憶手段と、前記ミラーの可動範囲を、当該可動範囲の中心を通る上下中心軸及び左右中心軸によって4つの象限に区切り、この4象限上で、前記ミラー位置検出手段により検出された前記ミラーの現在位置を始点、前記ミラー目標位置記憶手段に記憶された前記ミラーの目標位置を終点としてそれぞれ表して、これら始点と終点とを結ぶベクトルと、前記上下中心軸及び左右中心軸との関係を判断する移動象限判断手段と、前記移動象限判断手段の判断結果に基づいて、前記ミラーを回動させる方向の順序を決定する移動順序決定手段と、前記移動順序決定手段により決定された順序に従って、前記ミラーを上下方向と左右方向とに回動させるミラー駆動手段とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る電動ミラーの駆動制御装置によれば、ミラーが可動範囲を超えて回動しようとすることがないように、ミラーを回動させる最適な順序が決定されるので、ミラーの向きを速やかに目標位置へと移動させることができる。また、ミラーを回動させる順序を、ミラー可動範囲に設定された4象限上におけるベクトルと、4象限を区切る上下中心軸及び左右中心軸との関係から決定するようにしているので、簡便な処理でミラーを回動させる順序を適切に決定することができ、特に低コスト化を実現する上で有利である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、ここでは本発明を自動車のドアミラーに適用した例について具体的に説明するが、本発明は、この例に限らず、自動位置調整機能を有する電動ミラーに対して広く適用可能である。
【0020】
先ず、本発明が適用される電動式ドアミラーの機械的な構成について簡単に説明する。
【0021】
電動式ドアミラーは、図1に示すように、ミラー本体1とミラー駆動部2とから構成される。ミラー本体1は、反射面を有するミラー3がミラーハウジング4によって保持された構造となっている。ミラーハウジング4は、ミラー駆動部2のケーシング5に対して回動可能に連結されており、ミラー駆動部2の駆動によって、その略中心部を支点として回動する。そして、このミラーハウジング4の回動に伴い、ミラー3が上下方向及び左右方向に回動して、ミラー3の向きが調整されるようになっている。
【0022】
ミラー駆動部2は、ミラー3の向きを上下方向に変えるための上下駆動用モータ6及び上下作動ロッド7と、ミラー3の向きを左右方向に変えるための左右駆動用モータ8及び左右作動ロッド9と、上下駆動用モータ6や左右駆動用モータ8を動作させるための出力ドライバIC10が搭載された回路基板11とを備え、これらがケーシング5内に収納された構造となっている。
【0023】
上下作動ロッド7には、ギヤ機構12が連結されている。そして、このギヤ機構12の作用により、上下駆動用モータ6の回転駆動力が上下作動ロッド7に伝達され、上下作動ロッド7が軸方向に進退するようになっている。これにより、上下作動ロッド7の先端に係合されたミラーハウジング4に作用力が加わり、ミラーハウジング4及びこれに保持されたミラー3が上下方向に回動操作されることになる。
【0024】
同様に、左右作動ロッド9には、ギヤ機構13が連結されている。そして、このギヤ機構13の作用により、左右駆動用モータ8の回転駆動力が左右作動ロッド9に伝達され、上下作動ロッド9が軸方向に進退するようになっている。これにより、左右作動ロッド9の先端に係合されたミラーハウジング4に作用力が加わり、ミラーハウジング4及びこれに保持されたミラー3が左右方向に回動操作されることになる。
【0025】
また、回路基板11には、出力ドライバIC10の他、ミラー3の上下方向における位置を検出するための上下位置センサ14と、ミラー3の左右方向における位置を検出するための左右位置センサ15とが実装されている。上下位置センサ14は例えば可変抵抗器等よりなり、上下作動ロッド7の移動に伴って生じる抵抗値の変化から、この上下作動ロッド7の移動量を検出する。ミラー3の上下方向の位置は上下作動ロッド7の移動量から求まるので、この上下位置センサ14からの出力を基に、ミラー3の上下方向の位置が検出できる。また、左右位置センサ15も例えば可変抵抗器等よりなり、左右作動ロッド9の移動に伴って生じる抵抗値の変化から、この左右作動ロッド9の移動量を検出する。ミラー3の左右方向の位置は左右作動ロッド9の移動量から求まるので、この左右位置センサ15からの出力を基に、ミラー3の左右方向の位置が検出できる。
【0026】
次に、以上のような電動式ドアミラーにおけるミラー3の向きを現在位置から目標位置へと自動的に移動させる駆動制御装置について説明する。
【0027】
この駆動制御装置は、図2に示すように、上下駆動用モータ6及び左右駆動用モータ8と、上下位置センサ14及び左右位置センサ15と、出力ドライバ(IC)10と、制御部20とを備えている。上下駆動用モータ6及び左右駆動用モータ8、上下位置センサ14及び左右位置センサ15、出力ドライバ(IC)10は、ミラー3を実際に上下方向及び左右方向に回動させるミラー駆動手段を構成するものであり、上述したように、ミラー駆動部2のケーシング5内部に収納されている。
【0028】
また、この駆動制御装置では、制御部20に、マニュアルスイッチ16とメモリスイッチ17とが接続されている。マニュアルスイッチ16は、車両の乗員が手動でミラー3の位置を調整するためのものである。本例の駆動制御装置では、制御部20が、このマニュアルスイッチ16からの出力に応じて駆動信号を生成し、この駆動信号に応じてミラー駆動手段がミラー3を上下方向及び左右方向に回動させることで、車両の乗員の手動によるミラー3の位置調整も行えるようになっている。また、メモリスイッチ17は、ミラー3の位置を自動調整する際の目標とする位置(目標位置)を登録するためのものである。この目標位置としては、例えば、運転者の運転姿勢に合った最適なミラー3の位置や、いわゆるリバース連動調整の際に有効な、車両の後輪周辺が視野内に入るミラー3の位置が登録される。
【0029】
制御部20は、上下現在位置検出部21と、左右現在位置検出部22と、目標位置記憶部23と、移動象限判断部24と、移動順序決定部25と、駆動信号生成部26とを有している。
【0030】
上下現在位置検出部21は、上下位置センサ14からの出力に基づいて、ミラー3の上下方向の現在位置を検出する。また、左右現在位置検出部22は、左右位置センサ15からの出力に基づいて、ミラー3の左右方向の現在位置を検出する。
【0031】
目標位置記憶部23は、メモリスイッチ17を利用して登録されたミラー3の目標位置の情報を記憶するものである。すなわち、この目標位置記憶部23は、メモリスイッチ17がオンされると、そのときの上下現在位置検出部21及び左右現在位置検出部22によって検出されたミラー3の上下方向及び左右方向の位置を目標位置とし、その情報を記憶する。この目標位置記憶部23に記憶された目標位置の情報は、ミラー3の位置を自動調整する旨の操作入力がなされたときやシフトレバーがリバース位置に切り替えられたときに読み出される。
【0032】
移動象限判断部24は、ミラー3の位置を自動調整する旨の操作入力がなされたときやシフトレバーがリバース位置に切り替えられたときに、先ず、図3に示すように、ミラー駆動部2の機械的な要因によって決定されるミラー3の可動範囲を、この可動範囲の中心を通る上下中心軸及び左右中心軸で区切った4つの象限を設定する。そして、上下現在位置検出部21及び左右現在位置検出部22によって検出されるミラー3の現在位置を、この4象限上において始点として表す。また、目標位置記憶部23から読み出されたミラー3の目標位置を、この4象限上において終点として表す。そして、これら始点と終点とを結ぶベクトルを求め、このベクトルと上下中心軸及び左右中心軸との関係、すなわち、このベクトルが上下中心軸や左右中心軸を跨ぐものとなっているか否か、このベクトルの向きが上下中心軸や左右中心軸に近付く向きであるか、或いは離間する向きであるかといった、ベクトルと上下中心軸及び左右中心軸との関係を判断する。
【0033】
移動順序決定部25は、移動象限判断部24により判断されたミラー3の現在位置と目標位置とを結ぶベクトルと上下中心軸及び左右中心軸との関係に基づいて、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとすることがないように、ミラー3を回動させる方向の順序、すなわち、ミラー3を上下方向と左右方向のどちらを優先させて回動させるかを決定する。
【0034】
ミラー3の現在位置と目標位置とを結ぶベクトルと上下中心軸及び左右中心軸との関係で、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるケースとしては、以下の7つのケースが考えられる。
【0035】
ケース1:ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが共に1つの象限内にあり、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、左右中心軸に近付き上下中心軸から離間する向きであるとき(図4参照)。
【0036】
このケース1では、ミラー3を上下方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、移動順序決定部25は、左右方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する。
【0037】
ケース2:ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが共に1つの象限内にあり、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、上下中心軸に近付き左右中心軸から離間する向きであるとき(図4参照)。
【0038】
このケース2では、ミラー3を左右方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、移動順序決定部25は、上下方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する。
【0039】
ケース3:ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが左右中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置しており、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、上下中心軸に近付く向きであるとき(図5参照)。
【0040】
このケース3では、ミラー3を左右方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、移動順序決定部25は、上下方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する。
【0041】
ケース4:ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが左右中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置しており、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、上下中心軸から離間する向きであるとき(図5参照)。
【0042】
このケース4では、ミラー3を上下方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、移動順序決定部25は、左右方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する。
【0043】
ケース5:ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが上下中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置しており、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、左右中心軸に近付く向きであるとき(図6参照)。
【0044】
このケース5では、ミラー3を上下方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、移動順序決定部25は、左右方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する。
【0045】
ケース6:ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが上下中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置しており、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、左右中心軸から離間する向きであるとき(図6参照)。
【0046】
このケース6では、ミラー3を左右方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、移動順序決定部25は、上下方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する。
【0047】
ケース7:ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが対角に位置する2つの象限に分かれて位置しているとき(図7参照)。
【0048】
このケース7では、ミラー3を上下方向と左右方向の何れを優先的に回動させるようにしても、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性を排除できないので、移動順序決定部25は、例外的に以下の手順でミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する。すなわち、先ず、ミラー3の位置が上下中心軸上或いは左右中心軸上に到達するまで、ミラー3を上下方向と左右方向との何れか一方に回動させる。次に、到達した上下中心軸或いは左右中心軸に沿って、ミラー3を左右方向或いは上下方向に回動させ、ミラー3の左右方向の位置或いは上下方向の位置を、目標とする左右方向の位置或いは上下方向の位置に到達させる。そして、再度、ミラー3を上下方向或いは左右方向に回動させて、ミラー3を目標位置へと移動させる。
【0049】
移動順序決定部25が以上のようにミラー3を回動させる方向の順序を決定することにより、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする不都合が未然に回避されることになり、ミラー3を現在位置から目的位置へと速やかに移動させることが可能となる。なお、以上のケース1〜7に該当しない場合は、上下方向と左右方向の何れを優先させてミラー3を回動させるようにしても、ミラー3が可動範囲を超えることがない。したがって、このような場合には、移動順序決定部25は、予め設定しておいた優先順位に従ってミラー3の移動順序を決定すればよい。
【0050】
駆動信号生成部26は、移動順序決定部25により決定された移動順序でミラー3を回動操作させるための駆動信号を生成する。この駆動信号生成部26により生成された駆動信号は、出力ドライバ10に供給される。そして、出力ドライバ10が、この駆動信号に応じて上下駆動用モータ6及び左右駆動用モータ8を駆動制御することで、ミラー3が移動順序決定部25により決定された移動順序で回動操作され、可動範囲を超えようとすることなく速やかに目標位置へと移動することになる。
【0051】
ここで、以上のような駆動制御装置によって実行されるミラー3自動位置調整の処理の流れを、図8及び図9のフローチャートを参照して説明する。
【0052】
図8は、ミラー3の位置を自動調整する処理のメインルーチンである。このメインルーチンは、ミラー3の位置を自動調整する旨の操作入力やシフトレバーのリバース位置への切り替えが行われる毎に実施される。
【0053】
ミラー3の位置を自動調整する旨の操作入力やシフトレバーのリバース位置への切り替えが行われると、先ず、該当するミラー3の目標位置の情報が目標位置記憶部23から読み出されて、移動象限判断部24に供給される(ステップS1)。また、その時点におけるミラー3の上下方向の位置が上下現在位置検出部21により検出されると共に、ミラー3の左右方向の位置が左右現在位置検出部22により検出され、これらの情報がミラー3の現在位置を示す情報として移動象限判断部24に供給される(ステップS2)。
【0054】
次に、移動象限判断部24により、ミラー3の可動範囲を上下中心軸及び左右中心軸で区切った4象限が設定され、この4象限上で、ミラー3の現在位置と目標位置との関係が、現在位置を始点とし目標位置を終点とするベクトルで表現される(ステップS3)。そして、このベクトルと、上下中心軸及び左右中心軸との関係が判断される(ステップS4)。
【0055】
次に、移動象限判断部24の判断結果に基づいて、移動順序決定部25によりミラー3を回動させる方向の順序が決定される(ステップS5)。そして、駆動信号生成部26により駆動信号が生成され、これに応じて出力ドライバ10が上下駆動用モータ6及び左右駆動用モータ8を駆動制御することで、ミラー3が決定された順序で回動操作され、現在位置から目標位置へと速やかに移動する(ステップS6)。
【0056】
図9は、以上のメインルーチンにおけるステップS4及びステップS5の処理、すなわち、ミラー3の現在位置と目標位置とを結ぶベクトルと、上下中心軸及び左右中心軸との関係から、ミラー3を回動させる方向の順序を決定する処理の流れを詳細に示すサブルーチンである。
【0057】
先ず最初に、ミラー3の現在位置と目標位置とが一致するかどうかを判断する(ステップS101)。そして、現在位置と目標位置とが一致する場合には、ミラー3の向きを変更する必要がないので、移動順序を決定することなく処理を終了させる。
【0058】
一方、ミラー3の現在位置と目標位置とが異なる場合には、次に、ミラー3の可動範囲を上下中心軸及び左右中心軸で区切った4象限上を設定し、この4象限上で、ミラー3の現在位置を始点とし目標位置を終点とするベクトルを表現する。そして、ベクトルの向きが左右中心軸に対して平行な向きであるかどうかを判断する(ステップS102)。ここで、ベクトルの向きが左右中心軸に対して平行な向きである場合には、ミラー3は左右方向のみに回動操作されれば目標位置に到達できるので、左右方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS103)。
【0059】
一方、ベクトルの向きが左右中心軸に対して平行な向きでない場合には、次に、ベクトルの向きが上下中心軸に対して平行な向きであるかどうかを判断する(ステップS104)。ここで、ベクトルの向きが上下中心軸に対して平行な向きである場合には、ミラー3は上下方向のみに回動操作されれば目標位置に到達できるので、上下方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS105)。
【0060】
ベクトルの向きが上下中心軸と左右中心軸の双方に対して平行な向きでない場合には、次に、ミラー3の現在位置を示す始点とミラー3の目標位置を示す終点とが、前記4象限の中の1つの象限内に位置しているかどうかを判断する(ステップS106)。そして、これら始点と終点とが同一の象限内に位置している場合には、次に、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが左右中心軸に近付く向きであるかどうかを判断し(ステップS107)、更にこのベクトルの向きが上下中心軸に近付く向きであるかどうかを判断する(ステップS108、ステップS109)。
【0061】
ここで、ベクトルの向きが左右中心軸と上下中心軸の双方に近付く向きである場合、或いは左右中心軸と上下中心軸の双方から離間する向きであるには、上下方向と左右方向の何れを優先させてミラー3を回動させるようにしても、ミラー3が可動範囲を超えることがないので、予め設定しておいた優先順位に従ってミラー3の移動順序を決定する(ステップS110、ステップS113)。
【0062】
また、ベクトルの向きが左右中心軸に近付き、且つ上下中心軸から離間する向きである場合(ケース1)には、ミラー3を上下方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、左右方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS111)。また、ベクトルの向きが左右中心軸から離間し、且つ上下中心軸に近付く向きである場合(ケース2)には、ミラー3を左右方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、上下方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS112)。
【0063】
ステップS106で始点と終点とが同一の象限内にないと判断した場合は、次に、これら始点と終点とが左右中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置しているかどうかを判断する(ステップS114)。そして、これら始点と終点とが左右中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置している場合には、次に、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが上下中心軸に近付く向きであるかどうかを判断し(ステップS115)、ベクトルの向きが上下中心軸に近付く向きである場合(ケース3)には、ミラー3を左右方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、上下方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS116)。一方、ベクトルの向きが上下中心軸から離間する向きである場合(ケース4)には、ミラー3を上下方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、左右方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS117)。
【0064】
また、ステップS114で始点と終点とが左右中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置していないと判断した場合には、次に、これら始点と終点とが上下中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置しているかどうかを判断する(ステップS118)。そして、これら始点と終点とが上下中心軸を挟んで隣接する2つの象限に分かれて位置している場合には、次に、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが左右中心軸に近付く向きであるかどうかを判断し(ステップS119)、ベクトルの向きが左右中心軸に近付く向きである場合(ケース5)には、ミラー3を上下方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、左右方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS120)。一方、ベクトルの向きが左右中心軸から離間する向きである場合(ケース6)には、ミラー3を左右方向から先に回動させると、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性があるので、上下方向を優先させてミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS121)。
【0065】
また、ミラー3の現在位置を示す始点と目標位置を示す終点とが、同一象限内に位置しておらず、且つ、隣接象限に分かれて位置している状態でもない場合、すなわち、これら始点と終点とが対角に位置する2つの象限に分かれて位置している場合(ケース7)には、ミラー3を上下方向と左右方向の何れを優先的に回動させるようにしても、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとする可能性を排除できないので、先ず、ミラー3を上下方向と左右方向との何れか一方に回動させ、次に、上下中心軸或いは左右中心軸に沿って左右方向或いは上下方向に回動させ、最後に上下方向或いは左右方向に再度回動させるといった手順でミラー3を回動させるように、その移動順序を決定する(ステップS122)。
【0066】
以上説明したように、本発明を適用した電動式ドアミラーの駆動制御装置によれば、ミラー3の可動範囲を上下中心軸及び左右中心軸で区切った4象限上で、ミラー3の現在位置を始点、ミラー3の目標位置を終点としてそれぞれ表し、これら始点と終点とを結ぶベクトルと、上下中心軸及び左右中心軸との関係から、ミラー3を回動させる順序を決定するようにしているので、ミラー3が可動範囲を超えて回動しようとすることがないように、その移動順序を適切に設定して、ミラー3を現在位置から目標位置へと速やかに移動させることができる。また、従来技術のように、作動規制範囲の外縁となる各点の座標データと、ミラーの現在位置や目標位置の座標データとを対比させながら移動順序を決定する場合に問題とされる演算処理の煩雑さやメモリ容量の増大が緩和されるので、特に低コスト化を図る上でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動ドアミラーの機械的な構成を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明を適用した電動式ドアミラーの駆動制御装置のブロック図である。
【図3】ミラーの可動範囲を上下中心軸及び左右中心軸で区切った4象限を示す概念図である。
【図4】ミラーの移動順序を決定する手法を説明する図であり、ケース1に該当する場合及びケース2に該当する場合を説明する概念図である。
【図5】ミラーの移動順序を決定する手法を説明する図であり、ケース3に該当する場合及びケース4に該当する場合を説明する概念図である。
【図6】ミラーの移動順序を決定する手法を説明する図であり、ケース5に該当する場合及びケース6に該当する場合を説明する概念図である。
【図7】ミラーの移動順序を決定する手法を説明する図であり、ケース7に該当する場合を説明する概念図である。
【図8】本発明を適用した電動式ドアミラーの駆動制御装置によりミラーの位置を自動調整する処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図9】ミラーの現在位置と目標位置とを結ぶベクトルと、上下中心軸及び左右中心軸との関係から、ミラーを回動させる方向の順序を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ミラー本体
2 ミラー駆動部
3 ミラー
6 上下駆動用モータ
7 上下作動ロッド
8 左右駆動用モータ
9 左右作動ロッド
10 出力ドライバIC
14 上下位置センサ
15 左右位置センサ
20 制御部
21 上下現在位置検出部
22 左右現在位置検出部
23 目標位置記憶部
24 移動象限判断部
25 移動順序決定部
26 駆動信号生成部

Claims (5)

  1. ミラーを上下方向と左右方向とに回動させて、前記ミラーの向きを現在位置から目標位置へと自動的に移動させる電動ミラーの駆動制御装置であって、
    前記ミラーの可動範囲を、当該可動範囲の中心を通る上下中心軸及び左右中心軸によって4つの象限に区切り、この4象限上で前記現在位置を始点、前記目標位置を終点としてそれぞれ表して、これら始点と終点とを結ぶベクトルと、前記上下中心軸及び左右中心軸との関係に基づいて、前記ミラーを回動させる方向の順序を決定すること
    を特徴とする電動ミラーの駆動制御装置。
  2. 前記現在位置を示す始点と前記目標位置を示す終点とが共に前記4象限のうちの1つの象限上に表される場合、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが、前記上下中心軸と左右中心軸の何れか一方の中心軸に近付き、他方の中心軸から離間する向きであるときは、近付く方向の中心軸と直交する方向から前記ミラーを回動させること
    を特徴とする請求項1に記載の電動ミラーの駆動制御装置。
  3. 前記現在位置を示す始点と前記目標位置を示す終点とが、前記上下中心軸と左右中心軸の何れか一方の中心軸を挟んで隣接する2つの象限上に各々表される場合、これら始点と終点とを結ぶベクトルの向きが他方の中心軸に近付く向きであるときは、前記他方の中心軸と直交する方向から前記ミラーを回動させると共に、前記始点と終点とを結ぶベクトルの向きが前記他方の中心軸から離間する向きであるときは、前記一方の中心軸と直交する方向から前記ミラーを回動させること
    を特徴とする請求項1に記載の電動ミラーの駆動制御装置。
  4. 前記現在位置を示す始点と前記目標位置を示す終点とが、前記4象限のうちで対角に位置する2つの象限上に各々表される場合には、前記上下中心軸と左右中心軸の何れか一方の中心軸と直交する方向に前記ミラーを回動させて前記ミラーの向きを前記一方の中心軸上に位置させ、その後、前記一方の中心軸上に沿って他方の中心軸と直交する方向に前記ミラーを回動させた後、再度、前記一方の中心軸と直交する方向に前記ミラーを回動させること
    を特徴とする請求項1に記載の電動ミラーの駆動制御装置。
  5. ミラーを上下方向と左右方向とに回動させて、前記ミラーの向きを現在位置から目標位置へと自動的に移動させる電動ミラーの駆動制御装置であって、
    前記ミラーの現在位置を検出するミラー位置検出手段(21,22)と、
    前記ミラーの目標位置が記憶されたミラー目標位置記憶手段(23)と、
    前記ミラーの可動範囲を、当該可動範囲の中心を通る上下中心軸及び左右中心軸によって4つの象限に区切り、この4象限上で、前記ミラー位置検出手段により検出された前記ミラーの現在位置を始点、前記ミラー目標位置記憶手段に記憶された前記ミラーの目標位置を終点としてそれぞれ表して、これら始点と終点とを結ぶベクトルと、前記上下中心軸及び左右中心軸との関係を判断する移動象限判断手段(24)と、
    前記移動象限判断手段の判断結果に基づいて、前記ミラーを回動させる方向の順序を決定する移動順序決定手段(25)と、
    前記移動順序決定手段により決定された順序に従って、前記ミラーを上下方向と左右方向とに回動させるミラー駆動手段(6,7,8,9,10)とを備えること
    を特徴とする電動ミラーの駆動制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010254209A (ja) * 2009-04-28 2010-11-11 ▲めい▼▲ほあ▼科技有限公司 車両用ミラーの角度自動調整装置
CN111267737A (zh) * 2020-03-24 2020-06-12 北京经纬恒润科技有限公司 一种汽车后视镜的镜面位置调节方法及系统
CN112937448A (zh) * 2021-03-29 2021-06-11 安徽江淮汽车集团股份有限公司 视镜位置的调节方法、装置、设备及存储介质

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