JP3787980B2 - 回転電機の電機子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機の電機子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、特開平8−51748号公報の「整流子型回転電機の電機子」および特願平7−326983号の「回転電機の回転子の製造方法」に記載された電機子がある。この電機子は、図5に示す様に、電機子鉄心3に組み立てられる略コの字形の下層コイル導体6と上層コイル導体7とを具備し、下層コイル導体6のコイル辺6Aを下層スロット絶縁紙8とともに電機子鉄心3の径方向外側から電機子鉄心3のスロット4内に挿入して所定数の下層コイル導体6を電機子鉄心3に組み立てた後(図20参照)、同様に上層コイル導体7のコイル辺7Aを上層スロット絶縁紙10とともにスロット4内に挿入して所定数の上層コイル導体7を電機子鉄心3に組み立て、最後にスロット4の開口部両側に設けられている一対のかしめ用爪5をスロット4側に倒してかしめ固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の各コイル導体6、7は、スロット4内に挿入されるコイル辺6A、7Aの断面形状が角型であるため、従来周知の丸型断面を持つ電機子コイルと同様に引き抜き加工にて形成すると、断面形状は安定するがコストが割高になる。このため、例えば板材からの切り出しや金型加工等により整形されている。ところが、板材からの切り出しや打ち抜き加工時にバリが発生するが、コイル導体6、7の形状が複雑であるため、完全にバリを除去することが困難であった。
また、下層コイル辺6Aを下層スロット絶縁紙8と共にスロット4内へ挿入する際に、電機子鉄心3の位置決めと、スロット4内に挿入する下層コイル辺6Aおよび下層スロット絶縁紙8の位置出しとが正しく行われていないと、図21に示す様に、下層スロット絶縁紙8を介して下層コイル辺6Aがスロット4の入口角部4Aに干渉して下層スロット絶縁紙8を傷つけることがある。
【0004】
一方、各コイル辺6A、7Aをスロット4内に挿入した後、スロット4の開口部両側に設けられた各かしめ用爪5をかしめ固定する際に、左右のかしめ用爪5のかしめ荷重がアンバランスになる場合がある。この場合、例えば、図22に示す様に、スロット4内に挿入される下層コイル辺6Aが捩じられたり捻られたりした状態で組付けられてスロット4内の周方向(図22の左右方向)に下層コイル辺6Aが偏って配置されると、スロット4の壁面が下層スロット絶縁紙8を介して下層コイル辺6Aの内周側角部6aにより局部的に押圧されたり、上層スロット絶縁紙10が下層コイル辺6Aの外周側角部6bにより局部的に押圧される。この様な場合、下層コイル辺6Aの角部6a、6bに前述のバリが残っていると、そのバリによって下層スロット絶縁紙8及び上層スロット絶縁紙10を破損する可能性がある。また、上記の様に下層コイル辺6Aをスロット4内に挿入する際に既に下層スロット絶縁紙8が傷つけられていると、その下層スロット絶縁紙8に過大な押圧力が加わることで下層スロット絶縁紙8が破れることもある。
【0005】
更に、スロット4の加工精度により各スロットティース15の寸法(特にティース根元の幅)にバラツキが生じると、左右のかしめ用爪5のかしめ荷重のアンバランスが大きくなった時にスロットティース15が根元から座屈する恐れがある(図23参照)。この場合、図23に示す様に、上層コイル辺7Aを包み込んでいる下層スロット絶縁紙8及び上層スロット絶縁紙10が、座屈したスロットティース15により上層コイル辺7Aの外周側角部7bに対して局部的に押圧されるため、下層スロット絶縁紙8及び上層スロット絶縁紙10が破壊される可能性があった。
以上の結果、下層コイル導体6のコイル辺6Aと上層コイル導体7のコイル辺7Aとが接触してレアを誘発したり、各コイル辺6A、7Aがスロット4の壁面に接触してアースを誘発するという問題が発生する。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、スロット内に挿入されたコイル辺同士の接触によるレア、及びコイル辺とスロット壁面との接触によるアースの発生を防止できる回転電機の電機子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
スロットの底部角部を形成するスロット側面とスロット底面の二面に渡って凹部状の逃がし部を設けることにより、スロット内に挿入された下層コイル辺の内周側角部がスロットの壁面と干渉するのを防止できる。その結果、スロットの壁面に局部的に過大な荷重が掛かることを回避できるため、下層コイル辺が下層スロット絶縁体を破壊してアースする不具合を防止できる。また、下層コイル導体を電機子鉄心に組付ける時の位置ずれや、かしめ用爪をかしめる時のかしめアンバランス等により、下層コイル辺がスロット内に偏って配置されても、下層コイル辺の内周側角部とスロット壁面との干渉を防止できるため、アースの発生を防ぐことができる。
さらに、本発明では、スロットの底部角部に逃がし部を設けることにより、スロットを形成する型の角部Rを大きくできるため、角部への応力集中が低減されて型寿命を向上できる。また、スロットを打ち抜くパンチを分割して製作することにより、パンチの角部が破損した場合に、角部のみ交換することができるため、パンチの磨耗や破損に対しても安価に対応できる。
【0011】
(請求項2の手段)
かしめ用爪をスロット側に倒してかしめた状態で、かしめ用爪の根元部内側に上層コイル辺の外周側角部から逃げる逃げ部が設けられている。この場合、かしめ用爪をかしめる時のかしめ荷重がアンバランスであっても、上層コイル辺の外周側角部とかしめ用爪とが干渉することがなくなる。これにより、上層コイル辺の角部および下層コイル辺の角部がスロット壁面に局部的に押圧されることがなくなるため、各スロット絶縁体が破壊されることもなく、各コイル辺のアースの発生を防止できる。
【0012】
(請求項3の手段)
請求項2に記載した回転電機の電機子において、かしめ用爪の根元部内側に予め凹部が設けられており、かしめ用爪をスロット側に倒してかしめた時に、凹部によって逃げ部が形成される。
この場合、電機子鉄心の外周面とかしめ用爪との繋ぎ部分を大きく形成できるため、型寿命を向上できるとともに、パンチを分割して製作できることからパンチの磨耗や破損に対して安価に対応できる。
【0013】
(請求項4の手段)
請求項2に記載した回転電機の電機子において、かしめ用爪は、スロット側に倒してかしめる時に、かしめ用爪の根元部内側に逃げ部が形成される。
この場合、請求項3に記載した様に、かしめ用爪の根元部内側に予め凹部を設けておく必要がなく、従来と同じ型を使用できるため、新たな型製作に掛かる費用が不要である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の回転電機の電機子を図面に基づいて説明する。
図1はスロット内の断面図である。
本実施例の電機子1は、例えばスタータモータに用いられるもので、図4に示す様に、回転軸2、電機子鉄心3、電機子コイル(後述する)等より構成される。
電機子鉄心3は、複数枚の円盤状コアシートを積層して構成され、回転軸2の外周に嵌合して回転軸2と一体に回転可能に設けられている。電機子鉄心3の外周部には、所定数(例えば25個)のスロット4(図5参照)がそれぞれ軸方向に沿って凹設され、各スロット4が電機子鉄心3の周方向に等ピッチに設けられている。
電機子鉄心3の外周面には、図5に示す様に、スロット4の開口部両側に一対のかしめ用爪5が設けられている。
【0015】
電機子コイルは、それぞれスロット4の数と同数の下層コイル導体6と上層コイル導体7から成る。その下層コイル導体6と上層コイル導体7は、電気抵抗の低い純銅または純アルミニウム等を材料として、それぞれ以下に延べる所定の形状に整形されている。
下層コイル導体6は、図6に示す様に、断面角形の直線状コイル辺6Aと、このコイル辺6Aの両端からコイル辺6Aに対して略直角に伸びる一組のコイル端部6Bと、各コイル端部6Bの先端から略直角にコイル辺6Aと反対側へ伸びる一組のコイル突出部6Cとから成り、一組のコイル端部6Bがコイル辺6Aを中心として互いに反対方向へ所定角度傾斜(捻った状態)して設けられている。この下層コイル導体6は、コイル辺6Aが下層スロット絶縁紙8と共にスロット4に挿入され、両コイル端部6Bがそれぞれ電機子鉄心3の端面外側に円盤状絶縁体9(図4及び図5参照)を介して配されている。
【0016】
上層コイル導体7は、その全体形状が図6に示した下層コイル導体6と略同形状に整形されている。具体的には、全長が下層コイル辺6Aより若干長く設けられた断面角形の直線状コイル辺7Aと、このコイル辺7Aの両端からコイル辺7Aに対して略直角に伸びる一組のコイル端部7Bと、各コイル端部7Bの先端から略直角にコイル辺7Aと反対側へ伸びる一組のコイル突出部7Cとから成り、一組のコイル端部7Bがコイル辺7Aを中心として互いに反対方向へ所定角度傾斜(捻った状態)して設けられている。この上層コイル導体7は、コイル辺7Aが上層スロット絶縁紙10と共にスロット4内の下層コイル辺6Aの外側に挿入され、両コイル端部7Bがそれぞれ下層コイル端部6Bの外側に円盤状絶縁体11(図4及び図5参照)を介して配されている。
【0017】
下層スロット絶縁紙8は、スロット4内で下層コイル辺6Aと電機子鉄心3(スロット4の壁面)との間を絶縁するもので、スロット4の内面形状に対応した断面コの字状に整形されている。この下層スロット絶縁紙8は、図7に示す様に、スロット4内に挿入される前に予め下層コイル辺6Aと組み合わされ、電機子鉄心3の径方向外側から下層コイル辺6Aと共にスロット4内に挿入される。
上層スロット絶縁紙10は、スロット4内で上層コイル辺7Aと下層コイル辺6A及び電機子鉄心3(スロット4の壁面)との間を絶縁するもので、下層スロット絶縁紙8と同様に断面コの字状に整形されている。この上層スロット絶縁紙10は、下層コイル辺6Aを下層スロット絶縁紙8と共にスロット4内へ挿入した後、上層コイル辺7Aと組み合わされて、電機子鉄心3の径方向外側から上層コイル辺7Aと共にスロット4内に挿入される。
なお、下層スロット絶縁紙8は、両側面端部がスロット4の入口より外側へ突き出る長さに設けられており、下層スロット絶縁紙8の内側に挿入される上層スロット絶縁紙10と共に、かしめ用爪5のかしめにより上層コイル辺7Aを包み込む様に折り曲げられる。
【0018】
(第1実施例)
本実施例では、図1に示す様に、スロット4内底部の両角部に、下層コイル辺6Aの内周側角部6aとの干渉を避けるための逃がし部12を設けている。この逃がし部12は、例えば断面円弧状に窪んで形成され、スロット4の長手方向(軸方向)全長に渡って設けられている。
この様に、逃がし部12をスロット4内底部の両角部に設けたことにより、スロット4の形状や下層コイル導体6及び下層スロット絶縁紙8等の寸法バラツキや加工バラツキ等が生じて、下層コイル辺6Aがスロット4内で捩じられたり、捻られたりしても、下層コイル辺6Aの内周側角部6aが下層スロット絶縁紙8を破壊してスロット4の壁面(スロット底面4a及びスロット側面4b)と直接干渉することがなく、局部的に過大荷重が掛かることを回避できる。これにより、下層コイル辺6Aとスロット壁面との接触によるアースを防止できる。
【0019】
また、スロット4内底部の両角部に設けた逃がし部12により、下層コイル辺6Aの内周側角部6aがスロット4壁面と干渉するのを防止できるため、下層コイル導体6の製作過程で発生するバリを完全に除去する必要がなくなる。その結果、バリ取り工程を簡略化できる、あるいは廃止できるため、下層コイル導体6の製造を簡単にできる。
更に、本実施例では、スロット4の底部角部に逃がし部12を設けたことにより、スロット4を形成する型(図示しない)の角部Rを大きくできるため、角部への応力集中が低減されて型寿命を向上できる。更に、スロット4を打ち抜くパンチを分割して製作することにより、パンチの角部が破損した場合に、角部のみ交換することができるため、パンチの磨耗や破損に対しても安価に対応できる。
【0020】
本実施例では、図2に示す様に、周方向一方(図2の左側)のスロット側面4bから周方向他方の逃がし部12のスロット底面4a位置までの距離Wn1を、下層コイル辺6Aの周方向寸法Wc1より小さくすることが望ましい。この場合、下層コイル辺6Aの内周側角部6aとスロット底面4aとの干渉を完全に回避できる。
また、図3に示す様に、下層コイル辺6Aの外周側端面から逃がし部12のスロット側面4b位置までの距離Wn2を、下層コイル辺6Aの径方向寸法Wc2より小さくすれば、下層コイル辺6Aの内周側角部6aとスロット側面4bとの干渉を完全に回避できる。
従って、逃がし部12は、図2及び図3に示した条件を満足できる様に、スロット底面4aとスロット側面4bとに渡って設けることにより、下層コイル辺6Aの内周側角部6aとスロット4の壁面との干渉を完全に回避できるため、確実に下層コイル辺6Aとスロット壁面との接触を防止してアースを防ぐことができる。
【0021】
なお、本実施例では、上層コイル辺7Aを上層スロット絶縁紙10と共に下層スロット絶縁紙8の内側に挿入し、下層スロット絶縁紙8と上層スロット絶縁紙10の両方で上層コイル辺7Aを包み込む様に折り曲げているが、図7に示す様に、下層コイル辺6Aを包み込む様に下層スロット絶縁紙8の端部を折り曲げた後、その外側に上層コイル辺7Aを上層スロット絶縁紙10と共にスロット4内に挿入し、上層コイル辺7Aを包み込む様に上層スロット絶縁紙10の端部を折り曲げる構成でも良い。この場合も、上記第1実施例と同様にスロット4内底部の両角部に逃がし部12を設けることにより、下層コイル辺6Aとスロット壁面との接触を防止してアースを防ぐことができる。
【0022】
(第2実施例)
図8はスロット4内の断面図である。
本実施例では、図8に示す様に、スロット側面4bの径方向略中央部に逃がし部13を設けている。この場合、スロット4の形状や下層コイル導体6及び下層スロット絶縁紙8等の寸法バラツキや加工バラツキ等が生じて、下層コイル辺6Aがスロット4内で捩じられたり、捻られたりしても、下層コイル辺6Aの外周側角部6bが下層スロット絶縁紙8を破壊してスロット側面4bと直接干渉することがなく、局部的に過大荷重が掛かることを回避できる。これにより、下層コイル辺6Aとスロット側面4bとの接触を防止してアースを防ぐことができるとともに、下層コイル辺6Aと上層コイル辺7Aとの接触を防止してレアを防ぐことができる。また、第1実施例に記載した様に、下層コイル導体6の製作過程で発生するバリを完全に除去する必要がなくなると共に、上層コイル導体7の製作過程で発生するバリを完全に除去する必要もなくなるため、下層コイル導体6及び上層コイル導体7の製造を簡単にできる。
【0023】
また、この第2実施例では、図9に示す様に、逃がし部13の周方向寸法Wn4(スロット側面4bからの逃がし部13の深さ)をスロット4の幅寸法Wsから各コイル辺6A、7Aの周方向寸法Wcを減じた寸法より大きくすることで、下層コイル辺6Aの外周側角部6bとスロット側面4bとの干渉、及び上層コイル辺7Aの内周側角部7aとスロット側面4bとの干渉を完全に回避できるため、確実に各コイル辺6A、7Aとスロット側面4bとの接触を防止してアースを防ぐことができる。
更に、図10に示す様に、逃がし部13の径方向寸法Wn3を、下層スロット絶縁紙8の厚みWt1と上層スロット絶縁紙10の厚みWt2とを足した寸法より大きくすることで、下層コイル辺6Aの外周側角部6bとスロット側面4bとの干渉、及び上層コイル辺7Aの内周側角部7aとスロット側面4bとの干渉を完全に回避できるため、確実に各コイル辺6A、7Aとスロット側面4bとの接触を防止してアースを防ぐことができる。
【0024】
なお、本実施例では、上層コイル辺7Aを上層スロット絶縁紙10と共に下層スロット絶縁紙8の内側に挿入し、下層スロット絶縁紙8と上層スロット絶縁紙10の両方で上層コイル辺7Aを包み込む様に折り曲げているが、図11に示す様に、下層コイル辺6Aを包み込む様に下層スロット絶縁紙8の端部を折り曲げた後、その外側に上層コイル辺7Aを上層スロット絶縁紙10と共にスロット4内に挿入し、上層コイル辺7Aを包み込む様に上層スロット絶縁紙10の端部を折り曲げる構成でも良い。この場合も、第2実施例と同様にスロット側面4bに逃がし部13を設けることにより、下層コイル辺6A及び上層コイル辺7Aとスロット壁面との接触を防止してアースを防ぐことができる。
【0025】
(第3実施例)
図12はスロット4内の断面図である。
本実施例では、図12に示す様に、かしめ用爪5をスロット4側へ倒してかしめ固定した時に、かしめ用爪5が上層コイル辺7Aの外周側角部7bと干渉しない様に、かしめ用爪5の根元部内側に逃げ部14が設けられている。これにより、スロット4の形状や下層コイル導体6及び下層スロット絶縁紙8等の寸法バラツキや加工バラツキ等が生じて、下層コイル辺6Aがスロット4内で捩じられたり、捻られたりしても、上層コイル辺7Aの外周側角部7bとスロット側面4bとの干渉、及び上層コイル辺7Aの外周側角部7bとかしめ用爪5とが直接干渉することがない。このため、かしめ用爪5のかしめ固定によって局部的に過大荷重が掛かることを回避できるため、上層コイル辺7Aと電機子鉄心3との接触を防止してアースを防ぐことができる。
【0026】
本実施例の場合、図13に示す様に、予めかしめ用爪5の根元部内側に逃がし用凹部5aを設けても良い。この場合、凹部5aの深さWs1を上層スロット絶縁紙10の厚みWt2より大きくすることにより、上層コイル辺7Aの外周側角部7bとかしめ用爪5との干渉を防止できるため、確実に上層コイル辺7Aとかしめ用爪5との接触を防止してアースを防ぐことができる。また、かしめ用爪5の根元部内側に逃がし用凹部5aを設けることにより、凹部5aがない場合より低荷重でかしめ用爪5をかしめることができるため、かしめ用爪5をかしめる際に、スロットティース15が根元から座屈するのを防止できるメリットがある。
【0027】
なお、本実施例では、上層コイル辺7Aを上層スロット絶縁紙10と共に下層スロット絶縁紙8の内側に挿入し、下層スロット絶縁紙8と上層スロット絶縁紙10の両方で上層コイル辺7Aを包み込む様に折り曲げているが、図14及び図15に示す様に、下層コイル辺6Aを包み込む様に下層スロット絶縁紙8の端部を折り曲げた後、その外側に上層コイル辺7Aを上層スロット絶縁紙10と共にスロット4内に挿入し、上層コイル辺7Aを包み込む様に上層スロット絶縁紙10の端部を折り曲げる構成でも良い。この場合も、第3実施例と同様に、かしめ用爪5をスロット4側へ倒してかしめ固定した時に、かしめ用爪5が上層コイル辺7Aの外周側角部7bと干渉しない様に、かしめ用爪5の根元部内側に逃げ部14を設けることにより、上層コイル辺7Aと電機子鉄心3との接触を防止してアースを防ぐことができる。
【0028】
(第4実施例)
図16及び図17はスロット4内の断面図である。
本実施例は、図16に示す様な段付きスロット4、または図17に示す様な変形段付きスロット4の一例を示すものである。
図16に示す段付きスロット4は、下層コイル辺6Aが挿入される下段側より、上層コイル辺7Aが挿入される上段側の方が周方向のスロット幅が大きく形成されている。また、図17に示す変形段付きスロット4は、下段側のスロット側面4bが傾斜して設けられ、底部へ向かって次第にスロット幅が小さくなる様に形成されている。
【0029】
この様な、段付きスロット4または変形段付きスロット4では、スロット幅が同一の場合(第1実施例〜第3実施例)と比べて、下層スロット絶縁紙8の底部周方向寸法が小さくなるため、下層コイル辺6Aを下層スロット絶縁紙8とともにスロット4内に挿入し易くなる。つまり、スロット4の入口角部に干渉することなく、容易にスロット4内へ挿入できる。これにより、下層スロット絶縁紙8の損傷も無くなるため、スロット4の形状や下層コイル導体6及び下層スロット絶縁紙8等の寸法バラツキや加工バラツキ等が生じて、下層コイル辺6Aがスロット4内で捩じられたり、捻られたりしても、下層コイル辺6Aの角部6a、6bが下層スロット絶縁紙8を破壊してスロット壁面と直接干渉することがない。従って、かしめ用爪5をかしめる時に発生するかしめ荷重のアンバランス等によっても下層コイル辺6Aとスロット壁面とが直接干渉することがなく、アースを防止できる。
【0030】
また、図16に示す段付きスロット4の場合、下段側と上段側との段付き幅Ws2を下層スロット絶縁紙8の厚みWt1より小さくすることで、下層コイル辺6Aをスロット4内に挿入する際に下層スロット絶縁紙8が損傷しても、スロット4内に残留していれば、下層スロット絶縁紙8の厚みWt1の方が段付き幅Ws2より大きいため、上層コイル辺7Aはスロット4の段付き角部と干渉することがなく、アースの発生を防止できる。この時、最悪にして下層スロット絶縁紙8の段付き部が破損した状態でスロット4内に挿入されても、下層スロット絶縁紙8と同じ厚みの上層スロット絶縁紙10が上層コイル辺7Aを保護しているため、スロット4の段付き角部と上層コイル辺7Aの内周側角部7aとが干渉することはなく、アースの発生を防止できる。
【0031】
更に、本実施例の場合、第1実施例で説明した様に、スロット4内底部の両角部に、下層コイル辺6Aの内周側角部6aとの干渉を避けるための逃がし部12を設けても良い。これにより、第1実施例と同じ効果を得ることができる。
または、第2実施例で説明した様に、スロット側面4bの径方向略中央部に逃がし部13を設けても良い。この場合、図18及び図19に示す様に、スロット側面4bに逃がし部13を設けることで、図16及び図17に示したスロット側面4bの段付き部が無くなるため、下層コイル辺6Aを下層スロット絶縁紙8と共にスロット4内へ挿入する時に、下層コイル辺6Aの内周側角部6aがスロット側面4bと干渉することがなく、容易に挿入できるとともに、下層スロット絶縁紙8の段付き部での損傷をさらに低減できる。
【0032】
また、スロット側面4bに逃がし部13を設ける場合は、第2実施例と同様に、逃がし部13の径方向寸法Wn3を、下層スロット絶縁紙8の厚みWt1と上層スロット絶縁紙10の厚みWt2とを足した寸法より大きくすることで、下層コイル辺6Aの外周側角部6bとスロット側面4bとの干渉、及び上層コイル辺7Aの内周側角部7aとスロット側面4bとの干渉を完全に回避できるため、確実に各コイル辺6A、7Aとスロット側面4bとの接触を防止してアースを防ぐことができる。
更には、第3実施例で説明した様に、かしめ用爪5をスロット4側へ倒してかしめ固定した時に、かしめ用爪5が上層コイル辺7Aの外周側角部7bと干渉しない様に、かしめ用爪5の根元部内側に逃げ部14を設けても良い。これにより、上層コイル辺7Aの外周側角部7bとかしめ用爪5とが直接干渉することがないため、かしめ用爪5のかしめ固定によって局部的に過大荷重が掛かることを回避できるため、上層コイル辺7Aと電機子鉄心3との接触を防止してアースを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スロット内の断面図である(第1実施例)。
【図2】スロット内の断面図である(第1実施例)。
【図3】スロット内の断面図である(第1実施例)。
【図4】電機子の半断面図である。
【図5】電機子の分解斜視図である。
【図6】(a)は下層コイル導体6の側面図、(b)は(a)のA視図、(c)は(a)のB視図である。
【図7】スロット内の断面図である(第1実施例の変形例)。
【図8】スロット内の断面図である(第2実施例)。
【図9】スロット内の断面図である(第2実施例)。
【図10】スロット内の断面図である(第2実施例)。
【図11】スロット内の断面図である(第2実施例の変形例)。
【図12】スロット内の断面図である(第3実施例)。
【図13】スロット内の断面図である(第3実施例)。
【図14】スロット内の断面図である(第3実施例の変形例)。
【図15】スロット内の断面図である(第3実施例の変形例)。
【図16】スロット内の断面図である(第4実施例)。
【図17】スロット内の断面図である(第4実施例)。
【図18】スロット内の断面図である(第4実施例の変形例)。
【図19】スロット内の断面図である(第4実施例の変形例)。
【図20】下層コイル辺を下層スロット絶縁紙と共にスロット内へ挿入する過程を示す断面図である(従来技術)。
【図21】下層コイル辺を下層スロット絶縁紙と共にスロット内へ挿入する過程を示す断面図である(従来技術)。
【図22】スロット内の断面図である(従来技術)。
【図23】スロットティースが座屈した状態を示す断面図である(従来技術)。
【符号の説明】
1 電機子
3 電機子鉄心
4 スロット
4a スロット底面
4b スロット側面(周方向側面)
5 かしめ用爪
5a 凹部
6 下層コイル導体
6A 下層コイル辺
7 上層コイル導体
7A 上層コイル辺
8 下層スロット絶縁紙(下層スロット絶縁体)
10 上層スロット絶縁紙(上層スロット絶縁体)
12 逃がし部(第1実施例)
13 逃がし部(第2実施例)
14 逃げ部
Claims (4)
- 外周に複数のスロットを有し、且つこのスロットの開口部両側に一対のかしめ用爪を具備する電機子鉄心と、
角型断面を持つ下層コイル辺を有し、この下層コイル辺が下層スロット絶縁体を介して前記スロット内に挿入される下層コイル導体と、
角型断面を持つ上層コイル辺を有し、この上層コイル辺が上層スロット絶縁体を介して前記スロット内の前記下層コイル辺より外側に挿入される上層コイル導体とを備え、
前記下層コイル辺を前記下層スロット絶縁体とともに前記スロット内に挿入し、続いて前記上層コイル辺を前記上層スロット絶縁体とともに前記スロット内に挿入した後、前記一対のかしめ用爪を前記スロット側に倒してかしめ固定された回転電機の電機子において、
前記スロットの底部角部を形成するスロット側面とスロット底面の二面に渡って凹部状の逃がし部を設けたことを特徴とする回転電機の電機子。 - 外周に複数のスロットを有し、且つこのスロットの開口部両側に一対のかしめ用爪を具備する電機子鉄心と、
角型断面を持つ下層コイル辺を有し、この下層コイル辺が下層スロット絶縁体を介して前記スロット内に挿入される下層コイル導体と、
角型断面を持つ上層コイル辺を有し、この上層コイル辺が上層スロット絶縁体を介して前記スロット内の前記下層コイル辺より外側に挿入される上層コイル導体とを備え、
前記下層コイル辺を前記下層スロット絶縁体とともに前記スロット内に挿入し、続いて前記上層コイル辺を前記上層スロット絶縁体とともに前記スロット内に挿入した後、前記一対のかしめ用爪を前記スロット側に倒してかしめ固定された回転電機の電機子において、
前記かしめ用爪を前記スロット側に倒してかしめた状態で、前記かしめ用爪の根元部内側に前記上層コイル辺の外周側角部から逃げる逃げ部が設けられていることを特徴とする回転電機の電機子。 - 請求項2に記載した回転電機の電機子において、
前記かしめ用爪の根元部内側に予め凹部が設けられており、前記かしめ用爪を前記スロット側に倒してかしめた時に、前記凹部によって前記逃げ部が形成されることを特徴とする回転電機の電機子。 - 請求項2に記載した回転電機の電機子において、
前記かしめ用爪は、前記スロット側に倒してかしめる時に、前記かしめ用爪の根元部内側に前記逃げ部が形成されることを特徴とする回転電機の電機子。
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