JP3285459B2 - 回転電機及び回転電機のための回転電機子の形成方法 - Google Patents

回転電機及び回転電機のための回転電機子の形成方法

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JP3285459B2
JP3285459B2 JP01233595A JP1233595A JP3285459B2 JP 3285459 B2 JP3285459 B2 JP 3285459B2 JP 01233595 A JP01233595 A JP 01233595A JP 1233595 A JP1233595 A JP 1233595A JP 3285459 B2 JP3285459 B2 JP 3285459B2
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electric machine
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rotating
coils
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁皮膜付コイルが多
重に巻装される回転電機及び回転電機のための回転電機
子の形成方法に係り、特に、絶縁皮膜付コイルが接続さ
れるライザ部付近での上側コイルと下側コイルとの絶縁
距離保持構造を備えた回転電機及び回転電機のための回
転電機子の形成方法
【0002】
【従来の技術】従来の回転電機の回転電機子は、磁気鉄
心のスロット溝に絶縁皮膜付コイルが多重に巻装され、
整流子の導体部のコイル接続用のライザ部に絶縁皮膜の
剥離されたコイルが電気的に接続される構造となってい
る。この種の回転電機の回転電機子としては、例えば、
特開昭63−11045号公報,特開昭63−2655
50号公報等に記載されたものが知られている。
【0003】従来は、コイル接続用のライザ部に絶縁皮
膜付コイルを電気的に接続するために、絶縁皮膜付コイ
ルの先端部分を予め絶縁剥離しておく必要がある。この
時、剥離作業はバラツキが大きいので、ライザ部に直接
接触する当接部分のみならず、ライザ部から外れる近傍
部も余分に剥離されることがある。従って、絶縁皮膜付
コイルを多重巻装した時、上側コイルの絶縁剥離部と下
側コイルの絶縁剥離部とで交差し、上側コイルと該下側
コイルの間で短絡する可能性がある。
【0004】そこで、一般的には、上側コイルと下側コ
イルの間に層間絶縁シートを設けていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、上側コイルと下側コイルの間に層間絶縁シ
ートを設けるという作業工程が必要となり、回転電機子
の生産性が悪いという問題があった。
【0006】本発明の目的は、生産性のよい回転電機
び回転電機のための回転電機子の形成方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、シャフトに固定されその外周に複数のス
ロット溝が形成されている磁気鉄心と、この磁気鉄心の
上記スロット溝の中で多重に巻装された複数の絶縁皮膜
付コイルと、上記シャフトに固定され上記絶縁皮膜付コ
イルと接続するためのライザ部を有する導体部が設けら
れた整流子とを有する回転電機子を備える回転電機にお
いて、上記絶縁皮膜付コイルの先端部分は、少なくと
も、その絶縁皮膜が剥離され上記ライザ部と接続される
当接部と、この当接部から外れた近接部とから構成さ
れ、多重に巻装された絶縁皮膜付コイルの上側コイルと
下側コイルが交差して対向する上記近傍部のうち、上記
上側コイルの近接部と上記下側コイルの近接部の少なく
とも一方に段差部を設けるようにしたものである。
【0008】上記回転電機の回転電機子において、好ま
しくは、上記段差部は、上記上側コイルの近接部と上記
下側コイルの近接部の対向する近接部の両方に設けるよ
うにしたものである。
【0009】上記回転電機の回転電機子において、好ま
しくは、上記近接部に設けられた上記段差部及び上記当
接部における上記絶縁皮膜の剥離部は、打抜き型により
プレス加工されて形成するようにしたものである。
【0010】上記回転電機の回転電機子において、好ま
しくは、上記段差部の形成時のコイルの切り欠き量を上
記当接部における上記絶縁皮膜の剥離部の形成時のコイ
ルの切り欠き量以下とし、上記段差部におけるコイルの
断面積を上記当接部におけるコイルの断面積以上とする
ようにしたものである。
【0011】
【作用】本発明では、磁気鉄心のスロット溝の中で多重
に巻装された複数の絶縁皮膜付コイルの先端部分は、少
なくとも、その絶縁皮膜が剥離されライザ部と接続され
る当接部と、この当接部から外れた近接部とから構成さ
れ、多重に巻装された絶縁皮膜付コイルの上側コイルと
下側コイルが交差して対向する近傍部のうち、上側コイ
ルの近接部と下側コイルの近接部の少なくとも一方に段
差部を設けるようにすることにより、上側コイルと下側
コイルが交差する所での両者の絶縁距離が長く確保で
き、絶縁シートなどの絶縁部材が不要となり、回転電機
の回転電機子の生産性が向上し得るものとなる。
【0012】また、本発明では、段差部は、上側コイル
の近接部と下側コイルの近接部の対向する近接部の両方
に設けるようにすることにより、さらに、上側コイルと
下側コイルが交差する所での両者の絶縁距離が長く確保
でき、絶縁不良を防止し得るものとなる。
【0013】また、本発明では、近接部に設けられた段
差部及び当接部における絶縁皮膜の剥離部は、打抜き型
によりプレス加工されて形成することにより、両者を容
易に形成し得るものとなる。
【0014】また、本発明では、段差部の形成時のコイ
ルの切り欠き量を当接部における絶縁皮膜の剥離部の形
成時のコイルの切り欠き量以下とし、段差部におけるコ
イルの断面積を上記当接部におけるコイルの断面積以上
とすることにより、段差部を形成する際にも、この段差
部の形成によっても、回転電機の設計上には何等の影響
も及ぼさないものとなる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1,図2,及び
図3を用いて説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施例の回転電機の回
転電機子の部分断面図である。
【0017】回転電機子は、その中心となるシャフト1
に円筒上の磁気鉄心2が固定されている。円筒状の磁気
鉄心2の外周に設けられた複数のスロット溝2aには、
絶縁皮膜付コイル3が二重に巻装されている。シャフト
1には、整流子4が固定されている。整流子4は、環状
樹脂成形体8がシャフト1に固定され、その環状樹脂成
形体8の外周に複数の導体部4bが固定されている。導
体部4bの一端は、整流子4の半径方向に立ち上がって
おり、ライザ部4aを形成している。ライザ部4aに
は、絶縁皮膜付コイル3の下コイル7と上コイル6が、
絶縁皮膜を剥離された上で電気的に接続されている。
【0018】シャフト1の両端は、図示しない軸受によ
りブラケットに回転自在に支持されている。このように
構成される回転電機子の磁気鉄心2の外周には、界磁鉄
心と界磁コイルよりなる界磁極5を備えた固定電機子
が、ブラケットに固定されて配置され、回転電機が構成
されている。
【0019】回転電機としては、スタータ用電動機のよ
うなトルクマシーンに使用するに好適であるが、同様の
構造を有する発電機に対しても適用可能である。
【0020】図2は、図1における整流子4と絶縁皮膜
付コイル3の端部の接続部付近の部分拡大図である。
【0021】磁気鉄心2のスロット溝内に二重に巻装さ
れた絶縁皮膜付コイル3は、磁気鉄心2の側端におい
て、上側コイル6及び下側コイル7として、それぞれ、
左右に分かれる。上側コイル6は、図示のように、左側
に捻り曲げられた後、再び曲げられて導体部4aと平行
になるようにされる。下側コイル7は、図示のように、
右側に捻り曲げられた後、再び曲げられて導体部4aと
平行になるようにされる。
【0022】導体部4aは、それぞれの間が環状樹脂成
形体8により離間されて複数本が平行に配置されてい
る。導体部4aの磁気鉄心2よりの端部は、ライザ部と
して整流子4の半径方向に立ち上がっている。上側コイ
ル6及び下側コイル7は、図示のようにカギ型に折曲げ
られ、その先端の当接部4aは、予め絶縁皮膜が剥離さ
れている。3本離れたスロット溝内に巻装された上側コ
イル6と下側コイル7同士が重ね合って、当接部4aに
おいて、整流子4のライザ部4aに接続されている。し
たがって、上側コイル6と下側コイル7は、整流子4と
磁気鉄心2の間の空間において、交差している。磁気鉄
心2側においては、上側コイル6と下側コイル7は上下
の空間的に僅かな距離を隔てられているが、整流子4側
においては、上側コイル6と下側コイル7は上下方向に
接触している。従って、従来は、この上側コイル6と下
側コイル7の間の空間に絶縁シートを挟み込んでいた
が、本発明では、下側コイル7の近傍部7bのうち、上
側コイル6と対向する部分に段差部7cを設け、また、
上側コイル6の近傍部6bのうち、下側コイル7と対向
する部分に段差部6cを設けたものである。
【0023】ここで、本発明の一実施例の特徴的構成で
ある段差部6c,7cについて、図3を用いて説明す
る。
【0024】図3は、図2における上側コイル6と下側
コイル7が、整流子4と磁気鉄心2の間の空間において
交差している状態の斜視図である。
【0025】上側コイル6の先端は、整流子4のライザ
部4aと直接接触する当接部6aとこの当接部6aから
外れる近傍部6bから構成される。また、下側コイル7
の先端は、整流子4のライザ部4aと直接接触する当接
部7aとこの当接部6aから外れる近傍部7bから構成
される。
【0026】上側コイル6と下側コイル7の近傍部6
b,7bの内、互いに対向する部分には、段差部6c,
7cがそれぞれ形成されている。
【0027】上側コイル6及び下側コイル7は、全面を
エナメル等の絶縁皮膜で覆われているが、ライザ部4a
と接触する面及び上下コイルの接触面に該当するその先
端の剥離部6d,7dは、皮膜が剥離されている。図示
の状態では、上側コイル6の上面側の剥離部6dと、下
側コイル7の上面側の剥離部7dのみが見えているが、
これらの面に対向する下側の面にも剥離部は形成されて
いる。
【0028】上側コイル6及び下側コイル7は、図示す
るように断面が矩形であり、絶縁皮膜が覆われている状
態で、例えば、高さL1は、3.2mmであり、幅L
2は、1.6mmである。剥離部6d,7dの形成は、
幅3.1mmの打抜き型によりプレス加工されて形成さ
れる。従って、剥離部6d,7dが形成される当接部6
a,7aの高さL3は、3.1mmに成形される。な
お、剥離部6d,7dが形成される当接部6a,7aの
長さL5は、7mmであり、剥離部6d,7dが形成さ
れる近傍部6b,7bの長さL6は、2mmとしてい
る。これらの寸法は、打抜き型に基づく寸法であるが、
この剥離工程において、本来所望の領域の外側まで絶縁
皮膜の剥離がなされる場合もあるため、それによる問題
を解決するのが本発明である。剥離部6d,7dは、当
接部6a,7aにのみ設ければよいわけであるが、後述
する段差部6c,7cとの関係で近傍部6b,7bの一
部にも形成している。
【0029】この剥離部6d,7dに続く近傍部6b,
7bの領域で、上側コイル6と下側コイル7が対向する
位置に段差部6c,7cが形成される。この段差部6
c,7cも打抜き型によりプレス加工されて形成され
る。従って、剥離部6d,7dの形成と段差部6c,7
cの形成は同時にプレス加工によってなされる。
【0030】段差部6c,7cの長さL7は、ここで
は、6mmとし、その深さL8は、0.1mmとしてい
る。従って、段差部6c,7cが形成されている近傍部
6b,7bの高さL9は、3.1mmであり、剥離部6
d,7dが形成されている当接部6a,7aの高さL3
と同じ寸法となっている。従って、剥離部6d,7dが
形成されている当接部6a,7aと、剥離部6d,7d
が形成される近傍部6b,7bと、段差部6c,7cが
形成されている近傍部6b,7bとの高さ方向の寸法
は、全て3.1mmで同じ寸法としてある。
【0031】この形状は、上側コイル6及び下側コイル
7の電気抵抗を勘案して決められている。即ち、当接部
6a,7aは、剥離部6d,7dを形成するため、高さ
方向の寸法が削られており、電気抵抗が剥離部6d,7
dの形成前より、抵抗値が増加している。段差部6c,
7cの高さ方向の寸法を剥離部6d,7dの高さ方向の
寸法より狭くするとこの部分の電気抵抗が増大し、コイ
ル全体の抵抗がこの段差部6c,7cの部分の抵抗で規
制されるため、回転電機全体の設計をやり直す必要がで
てくる。しかしながら、段差部6c,7cの高さ寸法
を、剥離部6d,7dの高さ寸法以上とすることによ
り、即ち、段差部形成時のコイル6,7の切り欠き量
を、当接部における絶縁皮膜の剥離部の形成時のコイル
6,7の切り欠き量以下とし、段差部6c,7cにおけ
るコイルの断面積を当接部におけるこいるの断面積以上
とすることにより、上側コイル6及び下側コイル7の中
で、一番断面積の小さい部分が、当接部6a,7aとな
り、例え段差部6c,7cを設けたとしても、回転電機
の設計自体に変更の必要性がないからである。
【0032】このようにして、上側コイル6と下側コイ
ル7の近接部6b,7bの対向する位置に段差部6c,
7cを形成することにより、上側コイル6と下側コイル
7の間に絶縁距離が確保される。この距離は、段差部が
形成されない場合に比べて上述の例では0.2mm以上
確保できるため、この間に絶縁シートを入れなくても、
両コイルが短絡することはない。
【0033】ここで、段差部6c,7cを形成する位置
は、上側コイル6と下側コイル7の先端から9mm−1
5mmの位置であり、この位置は、図2において、破線
の円で囲まれる領域A及び領域Bの一部である。即ち、
領域Aは、ライザ部4aの近傍で、隣合う上側コイル6
と下側コイル7が最初に上下方向に交差する領域であ
り、この領域では上下コイルの空間距離が破線の円で示
される領域Bに比べて短いからである。なお、領域Bに
おいても、領域Aに近い側は、その空間距離が狭いた
め、段差部を設けるようにしてある。勿論、設計上、領
域Bよりも磁気鉄心2の側においても、上下コイルが接
触する恐れがある場合には、段差部をさらに延在させて
もよい。一方では、上側コイル6と下側コイル7の距離
が大きいときには、領域Aのみに段差部を設けるように
してもいい。また、このことは、スロット溝2aの本数
とも関係するものであり、溝本数が少ないときは、隣合
う上側コイル6と下側コイル7が最初に上下方向に交差
する領域Aに段差部を設ければ充分であり、溝本数が増
えるほど、領域Aに限らず、領域Bにまで段差部が及ぶ
ようにする必要がある。いずれにしても、隣合う上側コ
イル6と下側コイル7が最初に上下方向に交差する領域
Aには、段差部を形成する必要がある。
【0034】また、剥離工程及び段差部形成工程におい
ては、従来と同様にして、本来の剥離領域以上の部分ま
で剥離される恐れがあるが、その余分に剥離された領域
は、図2の領域B若しくはもっと磁気鉄心2の側である
ため、その領域では、上側コイル6と下側コイル7の距
離は離れているため、この余分に剥離が生じたとして
も、その影響はない。
【0035】本実施例によれば、上下コイルの当接部か
ら外れる近傍部の上下コイルが対向する位置に段差部を
設けることにより、上下コイルのコイル間距離を長く確
保できるため、短絡不良を防止することができる。
【0036】また、従来用いていたような層間絶縁シー
ト等の短絡防止部品が不要となり、回転電機の回転電機
子の生産性が向上する。
【0037】また、その結果として、従来より製作コス
トを低減できる。
【0038】また、コイル間距離を長く確保できるた
め、本来の設計位置より余分に絶縁皮膜が剥離されるよ
うな剥離作業であっても実用的に行え、敢えて、高精度
な剥離作業を行う必要がなくなる。
【0039】また、剥離工程と段差部形成工程をプレス
加工により同一工程で行えるため、従来の剥離工程を行
う時と同一の時間で合わせて段差部をも形成することが
でき、本案を採用しても工程が増えることはない。
【0040】以上の説明では、剥離部の形成と段差部の
形成を同時にプレス加工により行うものとしたが、両者
を同一工程で行わなくてもよい。即ち、剥離部をプレス
加工により形成した後、段差部をプレス加工により形成
してもよく、また、絶縁皮膜付コイルの先端を剥離液に
浸して剥離工程を行ったり、絶縁皮膜を削り取ったりし
たのち、段差部をプレス加工により形成してもよい。
【0041】また、絶縁皮膜付コイルの断面形状は、矩
形のものについて説明したが、この断面形状は、矩形に
限らず、円形のものであっても本案の思想を変えること
なく、実施できるものである。ただし、段差部を形成す
る際には、その切り込み深さに応じて、残った部分の断
面積が非直線的に変わるため、剥離部の断面積を考慮の
上、段差部の切り込み深さを設計する必要がある。
【0042】図4は、本発明の他の実施例を示すもので
あり、上側コイル6と下側コイル7が、整流子4と磁気
鉄心2の間の空間において交差している状態の斜視図で
ある。
【0043】本実施例においては、上側コイル6と下側
コイル7の形状は異なっている。即ち、下側コイル7
は、図3に示す実施例と同じであり、下側コイル7の先
端は、整流子4のライザ部4aと直接接触する当接部7
aとこのライザ部4aから外れる近傍部7bから構成さ
れる。
【0044】下側コイル7の近傍部7bの内、上側コイ
ル6と対向する部分には、段差部7cがそれぞれ形成さ
れている。 下側コイル7は、その先端の剥離部7d
が、プレス加工により皮膜が剥離されている。この剥離
部7dに続く近傍部7bの領域で、上側コイル6と下側
コイル7が対向する位置に段差部7cが形成される。こ
の段差部7cも打抜き型によりプレス加工されて形成さ
れる。従って、剥離部7dの形成と段差部7cの形成は
同時にプレス加工によってなされる。これらの剥離部7
d,及び段差部7cの各部の寸法は、図3の例と同じで
ある。
【0045】一方、上側コイル6には、剥離部6dのみ
が設けられており、この剥離部6dの長さL10は、15
mmである。他のそれぞれの寸法L1,L2,L3,L
4は、図3の例と同じである。従って、上側コイル6
は、当接部6aから近接部6bに掛けて一様な外形寸法
を有し、同一の断面積を持つことになる。
【0046】このようにして、上側コイル6と下側コイ
ル7の近接部6b,7bの対向する位置に段差部7cを
形成することにより、上側コイル6と下側コイル7の間
に絶縁距離が確保される。この距離は、段差部が形成さ
れない場合に比べて上述の例では0.15mm以上確保
できるため、この間に絶縁シートを入れなくても、両コ
イルが短絡することはない。
【0047】ここで、段差部7cを形成する位置は、上
側コイル6と下側コイル7の先端から9mm−15mm
の位置であり、この位置は、図2において、破線の円で
囲まれる領域Aである。即ち、領域Aは、ライザ部4a
の近傍で、隣合う上側コイル6と下側コイル7が最初に
上下方向に交差する領域であり、この領域では上下コイ
ルの空間距離が破線の円で示される領域Bに比べて短い
からである。勿論、設計上、領域Bにおいても、上下コ
イルが接触する恐れがある場合には、段差部を領域Bま
で延在させてもよい。
【0048】本実施例は、例えば、断面形状が円形の絶
縁皮膜付コイルに適用するに好適である。即ち、このコ
イルは、磁気鉄心のスロット溝に挿入した後、上コイル
及び下コイルをそれぞれ反対方向に捻るが、この捻りの
時に、上下コイルの段差部をそれぞれ対向させにくいよ
うな場合に有効である。
【0049】本実施例によれば、上下コイルの当接部か
ら外れる近傍部の上下コイルが対向する位置に段差部を
設けることにより、上下コイルのコイル間距離を長く確
保できるため、短絡不良を防止することができる。
【0050】また、従来用いていたような層間絶縁シー
ト等の短絡防止部品が不要となり、回転電機の回転電機
子の生産性が向上する。
【0051】また、その結果として、従来より製作コス
トを低減できる。
【0052】また、コイル間距離を長く確保できるた
め、本来の設計位置より余分に絶縁皮膜が剥離されるよ
うな剥離作業であっても実用的に行え、敢えて、高精度
な剥離作業を行う必要がなくなる。
【0053】以上の説明では、剥離部の形成と段差部の
形成を同時にプレス加工により行うものとしたが、両者
を同一工程で行わなくてもよい。即ち、剥離部をプレス
加工により形成した後、段差部をプレス加工により形成
してもよく、また、絶縁皮膜付コイルの先端を剥離液に
浸して剥離工程を行ったのち、段差部をプレス加工によ
り形成してもよい。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、回転電機の生産性を向
上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の回転電機子の部分断面図で
ある。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図2の回転電機子の上側コイルと下側コイルの
交差部斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例の回転電機子の上側コイル
と下側コイルの交差部斜視図である。
【符号の説明】
1…シャフト 2…磁気鉄心 2a…スロット溝 3…絶縁皮膜付コイル 4…整流子 4a…ライザ部 4b…導体部 5…界磁極 6…上側コイル 6a…上側コイル当接部 6b…上側コイル近傍部 6c…上側コイル段差部 6d…上側コイル剥離部 7…下側コイル 7a…下側コイル当接部 7b…下側コイル近傍部 7c…下側コイル段差部 7d…下側コイル剥離部 8…環状樹脂成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−274631(JP,A) 実開 昭54−101424(JP,U) 実開 平1−123464(JP,U) 実公 昭17−9586(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 3/04 H02K 3/12 H02K 3/50

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シャフトに固定されその外周に複数のスロ
    ット溝が形成されている磁気鉄心と、 この磁気鉄心の上記スロット溝の中で多重に巻装された
    複数の絶縁皮膜付コイルと、 上記シャフトに固定され上記絶縁皮膜付コイルと接続す
    るためのライザ部を有する導体部が設けられた整流子と
    を有する回転電機子を備える回転電機において、 上記絶縁皮膜付コイルの先端部分は、少なくとも、その
    絶縁皮膜が剥離され上記ライザ部と接続される当接部
    と、この当接部から外れた近接部とから構成され、多重
    に巻装された絶縁皮膜付コイルの上側コイルと下側コイ
    ルが交差して対向する上記近傍部のうち、上記上側コイ
    ルの近接部と上記下側コイルの近接部の少なくとも一方
    に段差部を設けたことを特徴とする回転電機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の回転電機において、 上記段差部は、上記上側コイルの近接部と上記下側コイ
    ルの近接部の対向する近接部の両方に設けたことを特徴
    とする回転電機。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の回転電機において、 上記近接部に設けられた上記段差部及び上記当接部にお
    ける上記絶縁皮膜の剥離部は、打抜き型によりプレス加
    工されて形成されたことを特徴とする回転電機
  4. 【請求項4】 請求項1記載の回転電機において、 上記段差部の形成時のコイルの切り欠き量を上記当接部
    における上記絶縁皮膜の剥離部の形成時のコイルの切り
    欠き量以下とし、上記段差部におけるコイルの断面積を
    上記当接部におけるコイルの断面積以上としたことを特
    徴とする回転電機
  5. 【請求項5】回転電機のための回転電機子の形成方法に
    おいて、 上記上側コイルと下側コイルが対向する上記上側コイル
    の近接部と上記下側コ イルの近接部の少なくとも一方に
    段差部を形成するステップと、 少なくとも絶縁皮膜が剥離され上記ライザ部と接続され
    る当接部とこの当接部から外れた近接部とを有する複数
    の上側と下側の絶縁皮膜付コイルを、磁気鉄心の外周の
    複数のスロット溝の中に多重に巻装するステップとを有
    することを特徴とする回転電機のための回転電機子の形
    成方法。
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