JP3787886B2 - 農薬固形製剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤由来の臭気がなく、安全に製造、使用でき、保存中の物性の変化も少ない農薬固形製剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】
低融点の固体の農薬活性成分を固形製剤にするにあたっては、農薬活性成分、溶剤、固体担体、必要に応じてその他の補助成分を混合する方法が行われている。使用する溶剤としては、例えば、ナフサ、灯油、キシレン、アルキルベンゼン(商品名:ソルベッソ100/エッソ化学(株)、ソルベッソ150/エッソ化学(株)など)、C1〜C3アルキルナフタレン(商品名:ソルベッソ200/エッソ化学(株)など)等が知られている。しかしながら、これらの溶剤は、引火点や沸点が比較的低く安全性に難があり、かつ有機溶剤特有の臭気が強く、製造時や使用時の作業者に不快感を与えるという問題点を有している。また、特公平6−39362号公報には、工業的に入手可能な溶剤として1−フェニル−1−キシリルエタン(商品名:ハイゾールSAS−296/日本石油(株))等が開示されており、上記の溶剤の欠点が一部改善されているものの、比重が0.98と芳香族系の溶媒としては大きく、例えば、水面施用剤には不向きであるという問題点を有している。
【0003】
一方、特開平7−196402号公報には、アルキルナフタレンが農薬乳剤の溶剤として開示されている。アルキルナフタレンは農薬活性成分の溶解度が高く、臭気がきわめて少ないが、固体製剤の溶剤としての用途は全く知られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、式(1):
【0005】
【化2】
(式中、Rはメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、mは0〜3を表し、nは1〜3を表す。)
で表されるアルキルナフタレン及び農薬活性成分を含有する農薬固形製剤(以下、本発明と称する。)が、臭気がきわめて少なく、作業者が安全に製造、使用、貯蔵できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における式(1)で表されるアルキルナフタレンは、単独または2種以上の混合としてもよい。
本発明における式(1)で表されるアルキルナフタレンとしては、ジイソプロピルナフタレン(商品名:KMC−113/呉羽化学工業(株))、ジメチルモノイソプロピルナフタレン(商品名:PAD−1/日鉱共石(株))等があげられ、ジイソプロピルナフタレン(比重0.95)が好ましい。
【0007】
本発明の式(1)で表されるアルキルナフタレンの含有量は農薬固形製剤100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
本発明における農薬活性成分は、単独または2種以上の混合としてもよい。
本発明における農薬活性成分としては、特に限定されるものではないが、低融点の固体、例えば常温で固体で融点が70℃以下のものがあげられる。低融点の農薬活性成分に本発明を適用した場合、農薬固体製剤の物性の安定性が向上する。
【0008】
以下に農薬活性成分の例をあげる。
〔除草剤〕
IPC、ジメピペレ−ト、ナプロパミド、ジメタメトリン、トリフルラリン、ベスロジン、ペンジメタリン、ジチオピル、アラクロ−ル、SAP、ベンフレセ−ト、シハロホップブチル、アニロホス、2−〔2−(3−クロロフェニル)−2,3−エポキシプロピル〕−2−エチルインダン−1,3−ジオン(試験名:MK−243)
〔殺虫剤〕
ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、クロルピリホス、ダイアジノン、キルバ−ル、ジメトエ−ト、クロルピリホスメチル、BPMC、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン
〔殺菌剤〕
IBP、イソプロチオラン、プロクロラズ、トリフルミゾ−ル
【0009】
本発明における農薬固形製剤は、界面活性剤、鉱物質微粉、鉱物質坦体、ホワイトカ−ボン、無機塩、高分子等の補助成分を含有していてもよい。
本発明における農薬固形製剤の剤形としては、特に限定されるものではないが、粒剤(押し出し粒剤、吸着粒剤、コ−ティング粒剤)、粉剤、水和剤、顆粒水和剤、錠剤等があげられ、一般的な方法で製造することができる。
【0010】
【実施例】
次に本発明の実施例を具体的にあげて説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、部とあるのはすべて重量部を示す。
〔実施例1〕 粉剤
エトフェンプロックス0.5部、KMC−113 1部、ホワイトカ−ボン2部及びクレ−96.5部を混合した後、サンプルミルで混合粉砕し、本発明の粉剤を得た。
【0011】
〔実施例2〕 押し出し粒剤
エトフェンプロックス1.5部、KMC−113 3部、ジアルキルスルホコハク酸ソ−ダ(界面活性剤)1部、ベントナイト(鉱物質微粉)30部及び炭酸カルシウム(鉱物質微粉)64.5部を加え、均一に混合した後、水を加え混練し、0.9mmのスクリ−ンを装着した押し出し造粒機を用い、造粒し、乾燥することにより本発明の粒剤を得た。
【0012】
〔実施例3〕 吸着粒剤
粒状クレ−(鉱物質坦体)94部に、エトフェンプロックス2部及びKMC−113 4部を混合した溶液を加え、均一に混合し本発明の粒剤を得た。
〔実施例4〕 水和剤
エトフェンプロックス20部、KMC−113 15部、ホワイトカ−ボン21部、リグニンスルホン酸ソ−ダ(界面活性剤)3部、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルエ−テルサルフェ−ト(界面活性剤)3部及び炭酸カルシウム(鉱物質微粉)38部を均一に混合した後、サンプルミルで混合粉砕し、本発明の水和剤を得た。
【0013】
〔比較例1〜4〕 比較製剤
実施例1〜4のKMC−113をソルベッソ200に変える以外は同様の操作を行い、それぞれ粉剤、押し出し粒剤、吸着粒剤、水和剤を得た。
〔試験例1〕
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた農薬固形製剤を50gビ−カ−に入れ臭気を調べた。結果を以下に示す。
【0014】
実施例1〜4で得られた農薬固形製剤 溶剤由来の芳香族臭なし
比較例1〜4で得られた農薬固形製剤 溶剤由来の芳香族臭あり
〔実施例5〕 押し出し粒剤
アニロホス4.5部をKMC−113 5部に溶解させた溶液、ベントナイト(鉱物質微粉)30部、炭酸カルシウム(鉱物質微粉)59.5部及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(界面活性剤)1部を均一に混合し、水を加えて混練し、1.2m/mのスクリーンを装着した押出し造粒機を用い、造粒し、乾燥することにより本発明の粒剤を得た。
【0015】
〔比較例5〕 比較押し出し粒剤
アニロホス4.5部、ベントナイト(鉱物質微粉)30部、炭酸カルシウム(鉱物質微粉)64.5部及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(界面活性剤)1部を均一に混合し、水を加えて混練し、1.2mmのスクリーンを装着した押出し造粒機を用い、造粒し、乾燥することにより比較押し出し粒剤を得た。
【0016】
〔試験例2〕
実施例5及び比較例5で得られた粒剤50gをアルミ袋中に封入し、50℃で3日間、次に−5℃で4日間保存する操作を4回繰り返した(サイクル試験)。その後、粒剤を取り出し、水中での崩壊拡展性を試験した。結果を第1表に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003787886
【0018】
〔実施例6〕 水和剤
ジチオピル32部を加温溶融し、KMC−113 16部に溶解させた溶液をホワイトカーボン28部及びカオリンクレー(鉱物質微粉)18部に吸収混合し、更にリグニンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)3部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート(界面活性剤)3部を加え、均一に混合した後、サンプルミルで混合粉砕し、本発明の水和剤を得た。
【0019】
〔比較例6〕 比較水和剤
ジチオピル32部、ホワイトカーボン28部、カオリンクレー(鉱物質微粉)34部、リグニンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)3部及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート(界面活性剤)3部を均一に混合した後、サンプルミルで混合粉砕し、比較水和剤を得た。
【0020】
〔比較例7〕 比較水和剤
実施例6のKMC−113をソルベッソ200に変える以外は同様に操作を行い、比較水和剤を得た。
〔試験例3〕
実施例6及び比較例6、7で得られた水和剤50gをアルミ袋中に封入し、50℃で3日間、次に−5℃で4日間保存する操作を4回繰り返した(サイクル試験)。その後、水和剤を取り出し、水和剤10gを水100mlに希釈分散させ、4.5×104nmの篩を通過させ、篩上の残留物の重量を測定し、水和剤10gの内、篩を通過した割合を重量%で算出した(粉末度)。結果を第2表に示す。
【0021】
【表2】
Figure 0003787886
【0022】
〔実施例7〕 押し出し粒剤
シハロホップブチル1.8部をKMC−113 10.8部に溶解させた溶液、ベントナイト(鉱物質微粉)40部、炭酸カルシウム(鉱物質微粉)46.4部及びジアルキルコハク酸ナトリウム(界面活性剤)1部を均一に混合し、水を加えて混練し、1.2m/mのスクリーンを装着した押し出し造粒機を用いて造粒し、乾燥することにより本発明の粒剤を得た。
【0023】
〔比較例8〕 比較押し出し粒剤
実施例7のKMC−113をハイゾールSAS296に変える以外は同様に操作を行い、比較粒剤を得た。
〔試験例4〕 水面浮遊率の測定
1Lのビーカーに1Lの水道水を入れ、実施例7及び比較例8で得られた粒剤を500mg入れて30℃に保ち、24時間後に水面上の水層を10ml採取した。これをアセトニトリルで100mlに希釈し、HPLCでシハロホップブチルの分析を行い、次式により、水面浮遊率を算出した。
【0024】
A=100B/C
A:水面浮遊率(%)
B:水面上の水層から得られたシハロホップブチルの量
C:粒剤500mg中のシハロホップブチルの量
【0025】
【表3】
Figure 0003787886

Claims (3)

  1. ジイソプロピルナフタレンと農薬活性成分を含有する農薬固形製剤。
  2. ジイソプロピルナフタレンの含有量が、農薬固形製剤100重量部に対して1〜30重量部である請求項1記載の農薬固形製剤。
  3. 農薬活性成分の融点が70℃以下である請求項1記載の農薬固形製剤。
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