JP3786819B2 - ワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車に適するワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワイヤ式のウィンドレギュレータにおいて、平行な前後一対のガイドレールに、窓ガラスの前後2点を支持する移動部材を上下動自在に装着し、その移動部材をワイヤで牽引制御する構造のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
窓ガラスは、前後のガイドレールに沿って上下動する移動部材によって前後2点が支持されている所から、支持点となる前後の移動部材の位置が狂うと窓ガラスに傾きが発生する。
【0004】
このために、傾きが発生した場合には、支持部材の支持面と窓ガラスの下端縁との間に、高さ調整用のスペーサをかませることで調整を行っているが、窓ガラスの各傾きに対応できるよう多数のスペーサが必要となる。しかも、組付け完了後において、スペーサをかませる等の調整作業が発生した場合、その調整作業はドア内部で行なうようになるため大変面倒で作業性の面においても望ましくなかった。
【0005】
そこで、この発明は、支持点となる前後の高さ調整作業が窓ガラス組付け完了後であっても容易に行なえるようにしたワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の請求項1にあっては、モジュールベースに取付けられた前後一対のガイドレールと、各ガイドレールに沿って上下にスライド可能で窓ガラスの下端部を前後2点で支持する前後一対の移動部材と、前記一方のガイドレールと他方のガイドレールの間で一端側が一方のガイドレールの上部へ、かつ他端側が他方のガイドレールの下部に配索されると共にクロスし各ガイドレールに沿って配索され前記一対の移動部材をガイドレールに沿って昇降させる連続したワイヤと、そのワイヤを駆動制御する駆動部とを有するワイヤ式ウィンドレギュレータにおいて、前記モジュールベースにガイド部を設け、そのガイド部に、前記一方のガイドレールから他方のガイドレールへ向かって配索されたワイヤの一方を押圧するワイヤ押圧体を、固定手段によってスライド自在に固定支持することを特徴とする。
【0007】
これにより、窓ガラスの組付けにあたって、まず、前後一対の移動部材を同じ高さに揃えて取付ける。この時、例えば後方の移動部材を基準として前方の移動部材を同じ高さに揃えるようにするが、前方の移動部材は後方の移動部材より高くならないよう注意する。取付け完了後に窓ガラスの前方が下がり、後方が上昇する傾きが発生した場合には、固定手段を弛めてワイヤ押圧体を前方へスライド移動し、ワイヤを所定量押圧する。
【0008】
この押圧により、例えば、前方の移動部材はワイヤの押圧量に対応して上昇すると共に、後方の移動部材は、ワイヤがクロスするたすき掛けの配索の関係で、同量下降する。これにより、窓ガラスの前方は上昇し、後方は下降することで前後が正しく揃った取付け状態が得られる位置調整が容易に行なえるようになる。
【0009】
一方、調整完了後のワイヤは、ワイヤ押圧体によって押圧された状態で駆動部により牽引制御される。
【0010】
また、この発明の請求項2によれば、固定手段を、モジュールベースの車室側へ突出し、車室側から操作可能とする。
【0011】
これにより、車室側から固定手段を弛めたり、締付けることが可能となるため、ドア内へ手を挿入しなくても、弛めた固定手段をスライドさせることで、ワイヤ押圧体もスライド移動し、ワイヤ押圧体によるワイヤの押圧作業が外から容易に行なえるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図3の図面を参照しながらこの発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0013】
図2は自動車のドア1を示しており、アウタ及びインナの各ドアパネル3,5で構成された内部にはワイヤ式のウィンドレギュレータ7が配置されている。
【0014】
ウィンドレギュレータ7は、モジュールベースとなるインナ側のドアパネル5に、垂直よりわずかに傾斜して取付けられた前後一対の平行なガイドレール9と、各ガイドレール9に沿って上下にスライド可能な移動部材11と、ガイドレール9とガイドレール9の間でクロスし、各ガイドレール9に沿って配索された一方の連続し合うワイヤ13と、ワイヤ13を駆動制御する駆動部15とを有している。各ガイドレール9は、上下両端において、ガイドローラ17が設けられると共に、長手方向に沿ってレール部19を有する形状となっている。
【0015】
移動部材11は、ガイドレール9のレール部19にスライド自在に装着された移動体21と、移動体21から一体に延長されたガラスホルダ23とから成り、ガラスホルダ23には、窓ガラス25の下端部25aが前後(図面左右)方向において2点支持されている。
【0016】
ワイヤ13は、駆動部15のドラム27から前方(図面左側)のガイドレール9の下端へ向かって繰出され、下端のガイドローラ17及び上端のガイドローラ17を通り、反対側の後方(図面右側)のガイドレール9の下端へ向かって延長され、さらに、下端のガイドローラ17から上端のガイドローラ17を通り、再び、駆動部15のドラム27へ戻るたすき掛けの配索となっている。
【0017】
ワイヤ13は、ガイドレール9の領域において、前記移動部材11の移動体21と一体に結合されると共に、前方のガイドレール9の下端のガイドローラ17から駆動部15までの間と、駆動部15から後方のガイドレール9の上端のガイドローラ17までの間の各領域は、アウターチューブ29内を通る配索となっている。また、前方のガイドレール9の上端のガイドローラ17から後方のガイドレール9の下端のガイドローラ17までの領域はアウターチューブのない露出状態におかれている。
【0018】
駆動部15は、動力タイプとなっていて、駆動モータ31からの回転動力が減速部を介してドラム27に正転又は逆転の回転動力が与えられることで、一方のワイヤ13はドラム27から繰出されると共に、他方のワイヤ13は巻取られることで、移動部材11の上下動が可能となっている。
【0019】
一方、前方のガイドレール9の上端から後方のガイドレール9の下端へ向かってワイヤ13が配索された領域のほぼ中間部位で、前記ドアパネル5には、図3に示すようにガイド部33が一体に形成されている。
【0020】
ガイド部33は、ガイド凹溝35と中央部位にガイド凹溝35に沿って長孔37が設けられ、ガイド凹溝35と長孔37はワイヤ13と直交し合う方向に設定されている。
【0021】
ガイド部33には、ガイド凹溝35に沿ってスライド移動可能なワイヤ押圧体39が設けられ、車室41側となる図面下方から固定手段となる調整ボルト43のねじ部45が、長孔37を介して、ワイヤ押圧体39のねじ部47に螺合している。したがって、調整ボルト43とワイヤ押圧体39とは一体の関係となる所から、長孔37の範囲内において車室41側から調整ボルト43をスライド移動させることで、ワイヤ押圧体39の移動調整が可能となる。
【0022】
ワイヤ押圧体39は、ワイヤ13を押圧する押圧部49を有し、押圧部49は摩擦抵抗の小さい材質で作られている。
【0023】
この場合、押圧部49は、ガイドローラタイプや環状案内タイプであってもよい。
【0024】
このガイドローラタイプの実施形状の場合には、ワイヤ13との摺動抵抗を極力小さく抑えることが可能となり、大変好ましいものとなる。また、環状案内タイプの実施形状の場合にはワイヤ13の外れが防止でき、使い易くなる。
【0025】
このように構成されたワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置によれば、始めに、後方の移動部材11(図面右側)のパネルホルダ23を基準として前方の移動部材11(図面左側)のガラスホルダ23を調整し、傾きが起きないよう取付位置を確保する。この時、前方の移動部材11は後方の移動部材11の位置より高くならないよう注意する。
【0026】
次に、前後の各ガラスホルダ23によって窓ガラス25の下端部25aを前後2点で支持する。
【0027】
この窓ガラス取付け完了時において、窓ガラス25に例えば、前方が低く、後方が高くなる傾きが起きた場合には、調整ボルト43を弛めて、図1に示すようにワイヤ押圧体39をスライドさせ、押圧部49によってワイヤ13を所定量押圧する。この押圧により例えば、前方の移動部材11はワイヤ13の押圧量に対応して上昇すると共に、後方の移動部材11はワイヤ13がクロスするたすき掛けの配索の関係で、同量下降する。これにより、窓ガラス25の前方は上昇し、後方が下がることで窓ガラス25の傾きが修正され、傾きが補正された正しい位置に調整される。
【0028】
一方、調整ボルト43は、車室41側から操作できるため、ワイヤ押圧体39の押圧調整作業が容易に行なえるようになる。
【0029】
調整完了後のワイヤ13は、ワイヤ押圧体39によって押圧された状態で駆動部15により牽引制御される。
【0030】
なお、この実施形態では、ワイヤ13を押圧すると、前方(図面左側)の移動部材11が上昇し、後方(図面右側)の移動部材11が下降するようになっているが、この場合、駆動部15,ワイヤ13及びワイヤ押圧体39の関係を変更することで、前方の移動部材11を下降させ、後方の移動部材11を上昇させる実施形態としてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上、説明したようにこの発明のワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置によれば、窓ガラスの取付け完了後に窓ガラスの前後の取付け位置の高さが揃わず傾きが起きた時にワイヤ押圧体によってワイヤを押圧するだけで、窓ガラスの傾きを容易に調整することができる。
【0032】
また、車室側からドアパネル内へ手を挿入することなく操作ができるため、作業性の大幅な向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置を示した概要説明図。
【図2】窓ガラス建付け調整装置をドア内に実施した全体の概要説明図。
【図3】窓ガラス建付け調整装置を示した要部の斜視図。
【符号の説明】
5 ドアパネル(モジュールパネル)
9 ガイドレール
11 移動部材
13 ワイヤ
25 窓ガラス
25a 下端部
33 ガイド部
39 ワイヤ押圧体
43 調整ボルト(固定手段)

Claims (2)

  1. モジュールベースに取付けられた前後一対のガイドレールと、各ガイドレールに沿って上下にスライド可能で窓ガラスの下端部を前後2点で支持する前後一対の移動部材と、前記一方のガイドレールと他方のガイドレールの間で一端側が一方のガイドレールの上部へ、かつ他端側が他方のガイドレールの下部に配索されると共にクロスし各ガイドレールに沿って配索され前記一対の移動部材をガイドレールに沿って昇降させる連続したワイヤと、そのワイヤを駆動制御する駆動部とを有するワイヤ式ウィンドレギュレータにおいて、前記モジュールベースにガイド部を設け、そのガイド部に、前記一方のガイドレールから他方のガイドレールへ向かって配索されたワイヤの一方を押圧するワイヤ押圧体を、固定手段によってスライド自在に固定支持することを特徴とするワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置。
  2. 固定手段は、モジュールベースの車室側へ突出し、車室側から操作可能であることを特徴とする請求項1記載のワイヤ式ウィンドレギュレータの窓ガラス建付け調整装置。
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