JP3784887B2 - 基板搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板乾燥装置などの基板処理装置などに用いられ、例えばガラス基板やプリント基板などの基板類の表面に処理液を供給しながらその基板類を搬送する基板搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば薬液洗浄処理部などから乾燥処理部に角形基板を搬送する場合、この角形基板の表面が搬送途中で乾燥すると、薬液成分がその表面に残ってシミとなりパーティクルが発生する要因となるため、角形基板の表面に純水などのリンス液を供給して洗浄しながら基板搬送装置によって搬送していた。このように、薬液洗浄処理、水洗浄処理および乾燥処理の各工程のうち水洗浄処理と基板搬送処理を同時にすることによって、処理工程の時間的な短縮と共に、薬液洗浄処理後の角形基板の表面を乾かすことなく角形基板を搬送していた。
【0003】
この基板搬送装置としては、例えば図12に示すように、角形基板71の対向する2辺の各外周縁近くを一対の基板支持部材72で支持すると共に、これらの2辺と直交する各外周縁近くを一対の基板支持部材73で支持しながら搬送していた。このとき、基板搬送装置は、基板支持部材72,73で支持された角形基板71の中央上部に配設された純水ノズル(図示せず)により、角形基板71の表面に純水を供給して洗浄することになる。
【0004】
また、基板搬送装置としては、例えば図13に示すように、角形基板71の互いに対向する両角部を一対の基板支持部材74で挾み込んで支持しながら搬送していた。この場合にも、各基板支持部材74で両角部が支持された角形基板71の中央上部に純水ノズル(図示せず)が配設されている。
【0005】
さらに、基板搬送装置としては、例えば図14に示すように、角形基板71の対向する2辺の両外周縁下面側をその全長に亘って基板支持部材75で載置しながら搬送していた。この場合にも、各基板支持部材75で支持された角形基板71の中央上部に純水ノズル(図示せず)が配設されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年の基板の大型化や薄型化に伴って基板の自重による撓みが生じ易くなっており、これに加えて、部分乾燥防止のために基板表面に純水などの処理液を供給しながら搬送する基板搬送装置では、基板表面に供給される処理液の液溜まりによる重量で、益々、基板の撓みが増長されて基板が破損してしまう虞があるという問題があった。例えば、図12の基板端部の6点支持の場合には角形基板71の中央部付近L1(基板支持部材72の支持位置が比較的中央部に近い場合)または中央線部L2(基板支持部材72の支持位置が比較的端部に近い場合)が、また、図13の基板端部の4点支持の場合には角形基板71の中央対角線部Mが、さらに、図14の基板裏面部の6点支持の場合には角形基板71の中央線部Nが下方に撓むことになり、この撓みが大きい場合には破損する虞があった。また、基板搬送中に処理液を供給すると、基板搬送方向に加速度が働いて基板表面上の処理液の分布に片寄りが生じ、これによっても基板に撓みが生じ易くなる。
【0007】
また、基板表面には処理液が供給されているが、基板が撓んだり基板の撓みが不均一であったりすると、従来は、基板中央部から処理液を供給しているため、撓んだ基板の上部などに処理液がかからない部分が生じるばかりか、支持の位置などによっては基板が撓んで不均一に傾斜するなどして供給される処理液に片寄った流れが発生し、基板表面で処理液が接触している部分とそうでない部分とが生じ、基板表面への処理液の供給にムラが生じていた。このように、処理液が基板表面全体に均一に供給されず、基板表面が部分的に乾燥し、この乾燥した部分に前洗浄工程の薬液成分などがその表面に残って、後で洗浄しても容易には取れないシミとなり、これがパーティクルの原因になるという問題を有していた。この搬送される基板が疎水性基板であれば、このような乾燥ムラは顕著に生じることになる。
【0008】
このような基板の撓み過ぎを防止するためには、基板の裏面側にも基板支持部材を複数個配設すれば良いが、この場合、基板の裏面側を汚染させてしまうと共に、ロボットアームである基板支持部材の機構も複雑なものになってしまうという問題を有していた。また、上記シミ対策として処理液供給ノズルの数を基板全表面上方に分散させて複数配設することも考えられるが、この場合には、処理液の吐出量が大幅に多くなってしまい、基板の撓みがさらに増加して基板がより破損し易くなるという問題を有していた。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するもので、基板の撓みによる破損を防止すると共に、基板表面の乾燥ムラを防止してパーティクルの発生を抑えることができる基板搬送装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の基板搬送装置は、基板の端縁を基板支持部材で支持して搬送する基板搬送装置において、前記基板支持部材は、前記基板の対向する2辺の側端縁にそれぞれ当接して支持する第1支持部材と、前記側端縁と直交する2辺の側端縁に、前記第1支持部材による当接高さ位置よりも低い所定の高さ位置でそれぞれ当接して支持する第2支持部材とを備え、前記基板支持部材によって、基板の自重による下に凸の撓みを基板に持たせた状態で基板を支持しつつ基板を搬送することを特徴とするものである。つまり、第2支持部材は、第1支持部材が当接して支持した側端縁と直交する2辺の側端縁にそれぞれ当接して、第1支持部材で支持する側端縁の基板支持面よりも下面位置で基板を支持している。
【0011】
この構成により、基板搬送に際して、基板に下に凸の撓み量を持たせているので、基板の撓み過ぎによる破損が防止可能となる。また、従来のように、基板を水平に支持しようとする場合には、支持部材の支持点数や支持位置などによって撓み状態に変化が生じていたが、本発明においては、基板に予め所定の撓みを持たせて基板を剛体化しているので、撓み状態に変化が生じることなく、より少ない基板支持点で基板支持構造が複雑化せず安定支持が可能で、基板表面に処理液を満遍なく供給することが可能となり部分乾燥などの問題が解消され得る。
【0012】
また、本発明の基板搬送装置は、基板の端縁を基板支持部材で支持して搬送する基板搬送装置において、基板支持部材は、基板の対向する2辺の側端縁にそれぞれ当接して支持する第1支持部材と、側端縁と直交する2辺の側端縁に、第1支持部材による当接高さ位置よりも低い所定の位置でそれぞれ当接して支持する第2支持部材とを備え、第1支持部材で支持する両側端縁側に沿ってそれぞれ配設され、第1支持部材で支持する両側端縁に沿って処理液をそれぞれ供給する処理液供給部材を備えたことを特徴とするものである。また、本発明の基板搬送装置は、基板の端縁を基板支持部材で支持して搬送する基板搬送装置において、基板支持部材は、基板の対向する2辺の側端縁にそれぞれ当接して支持する第1支持部材と、側端縁と直交する2辺の側端縁に、第1支持部材による当接高さ位置よりも高い所定の位置でそれぞれ当接して支持する第2支持部材とを備え、基板支持部材によって、基板の自重による上に凸の撓みを基板に持たせた状態で基板を支持しつつ基板を搬送することを特徴とするものである。この基板処理装置において、第2支持部材で支持する基板位置の基板幅方向に沿って配設され、この基板幅方向に沿って処理液を供給する処理液供給部材を備えるようにすることができる。
【0013】
この構成により、基板を適度に撓ませることで、基板内部に元に戻そうとする応力が働いた状態で基板を剛体化して支持しているので、処理液の供給などによる更なる撓み変化も生じにくく、基板の破損が防止可能となると共に、基板表面の傾斜面状態もより安定化し、供給された処理液は基板表面の最上部から最低部にかけて片寄らず均一に流れることになる。これによって、基板表面全面に満遍なく均一な処理液の供給が可能となるので、処理液の供給量をより低減することが可能となると共に、部分的に処理液が供給されにくいことなどによる従来のような部分乾燥に伴ったパーティクルの発生も防止可能となる。
【0014】
さらに、好ましくは、本発明の基板搬送装置における第2支持部材は、基板の鉛直方向の支持位置を所定の高さ位置に調整する位置調整部材を有している。
【0015】
この構成により、基板サイズや板厚などが変化しても、それらに応じた適正な撓み量となるように、位置調整部材によって基板の鉛直方向の支持位置が調整可能である。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の基板搬送装置における第1支持部材および第2支持部材で支持された基板の撓み量は、基板の弾性変形範囲内である。
【0017】
この構成により、基板の撓み量を基板弾性変形範囲内に設定すれば、基板の撓み過ぎによる破損を防止しつつ、基板の撓みが残るようなこともない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態における基板搬送装置を含む基板乾燥装置の正面図であり、図2は図1の基板乾燥装置のAA′断面図である。
【0020】
図1および図2において、平行に配設された上下一対の案内レール1,1および、これらの間に配設されたロッドレスシリンダ2を介して支持フレーム3が左右水平方向に往復移動可能に設けられている。この支持フレーム3には、左右水平方向に所定間隔置いて基板搬送用の支持体4,4がそれぞれ配設されている。これらの基板搬送用の支持体4,4はそれぞれ、上下方向に平行に配設された左右一対の第2の案内レール5,5および、これらの間に配設された昇降用のエアーシリンダ6を介して昇降自在に構成されている。
【0021】
図3は図1の基板乾燥装置の平面図であり、図4は図3の要部Bの拡大図であり、図5は図2の基板搬送装置の要部Cの拡大図であり、図6は図5の要部Cの側面図である。
【0022】
図3〜図6において、これらの基板搬送用の支持体4,4上にはそれぞれ、対向して設けられた一対の第1の支持アーム7,7と、これらの支持アーム7,7の一方端部がそれぞれ、第1の連結アーム8,8をそれぞれ介してそれぞれ連結された各第1のエアーシリンダ9,9とがそれぞれ配設されており、これらの個別の第1のエアーシリンダ9,9に駆動によって一対の第1の支持アーム7,7が基板搬送方向Dに沿った互いに反対方向に移動して接近または退避自在に構成されている。これらの一対の第1の支持アーム7,7にはそれぞれ、下方に延びる状態で一対の第1の基板支持部材10がそれぞれ配設されていると共に、これらの一対の第1の基板支持部材10の下端部にはそれぞれ角形基板11の側端縁付近を同じ高さ位置で裏面から受ける支持鍔12がそれぞれ配設されている。これらの第1の基板支持部材10,10は、角形基板11の対向する2辺を両側から挾み込むと共に、これらの2辺の側端縁付近を裏面から各支持鍔12で受けるように支持する構成である。
【0023】
また、基板搬送用の支持体4,4上にはそれぞれ、平行に設けられ長さの異なる一組みの第2の支持アーム13,14と、これらの第2の支持アーム13,14の一方端部がそれぞれ、第2の連結アーム15,16をそれぞれ介して連結された各第2のエアーシリンダ17とが配設されており、この第2のエアーシリンダ17の駆動によって一組みの第2の支持アーム13,14の各他方端部が基板搬送方向Dと直交する互いに反対方向に移動して接近または退避自在に構成されている。これらの一組みの第2の支持アーム13,14の他方端部にはそれぞれ、下方に延びる状態で第2の基板支持部材18が配設されていると共に、この基板支持部材18の下端部にはそれぞれ、基板支持部材10,10で支持した角形基板11の側端縁と直交する2辺の側端縁中央付近を裏面から受ける支持鍔19がそれぞれ配設されている。これらの第2の基板支持部材18,18は角形基板11の対向する2辺を挾み込むと共に、これらの2辺の側端縁中央付近を裏面から各支持鍔19で受けるように支持する構成である。
【0024】
このとき、これらの第2の基板支持部材18,18の支持鍔19,19で支持する側端縁の基板支持面は、第1の基板支持部材10,10の支持鍔12,12で支持する側端縁の基板支持面より下面位置で支持しており、角形基板11の中央部を適度に下げて角形基板11に所定の反りを持たせるようにしている。
【0025】
さらに、第1の基板支持部材10,10側にはそれぞれ、処理液供給部材20,20がそれぞれ、第1の基板支持部材10,10で支持する角形基板11の側端縁の長手方向に沿ってそれぞれ配設されている。これらの処理液供給部材20,20はそれぞれ、筒状体で構成されその両端部が封止され、処理液が吐出される吐出口が長手方向の所定間隔(例えば4mm)毎に複数設けられている。これらの各吐出口は角形基板11の端縁部側に向けて処理液が吐出するように開口しており、処理液供給部材20,20の中央部でそれぞれ連結された処理液供給管20aを介して角形基板11の両端縁部に沿ってそれぞれ満遍なく処理液を供給するようになっている。さらに、これらの処理液供給部材20,20はそれぞれ、第1の基板支持部材10,10に固定金具などで支持されて固定されており、第1の基板支持部材10,10が移動可能なように処理液供給管20aに余裕を持たせて処理液供給部材20,20とそれぞれ連結している。
【0026】
さらに、図7に示すように、第2の基板支持部材18,18は、第2の支持アーム13,14の先端部に、角形基板11の鉛直方向の支持位置を調整可能な位置調整部材21を有している。この位置調整部材21は、角形基板11の側端縁中央部付近を下方から受ける支持鍔19が下方先端に設けられた第2の基板支持部材18の円柱部材上部を固定部材22aで挾み込んでねじ22bで締結して固定するように構成されており、ねじ22bを緩めて円柱部材の固定位置を調節した後、ねじ22bを締め付けて第2の基板支持部材18の円柱部材を固定することにより、角形基板11の撓み量を最適に調節することができる。この角形基板11の撓みは、角形基板11が破損しない弾性限界範囲内に調整すると共に、処理液が基板表面上を均等に流れるような均一な撓みである必要がある。具体的には、基板支持部材10,18で支持された角形基板11の撓み量は、図8および図9に示すように1〜30mm程度(本実施形態では5mm)に設定している。この撓み量は、基板面積およびその厚さ、さらに基板材質によっても左右され、弾性限界範囲内で角形基板11の最適な撓み量が選択されることになる。例えば厚さ1.1mmで550mm×650mmの大きさの角形基板では15mm程度の撓み量が弾性限界となる。また、550mm×650mmの大きさの角形基板で厚さが0.7mm程度の柔らかい材質であれば、30mm程度の撓み量で弾性限界となるものもある。
【0027】
さらに、これらの基板支持部材10,18による角形基板11の搬送経路の所定位置には、図3および図4に示すような基板保持手段23が設けられており、角形基板11を基板保持手段23上で載置して固定し、角形基板11を回転させると共に、角形基板11の中央部にガスノズル24から窒素ガスを噴出させつつ、角形基板11上の処理液を遠心力で振り切って乾燥させる構成である。このとき、エアーシリンダ25を駆動させることによりガスノズル24の噴出口を角形基板11側に対向させるようにガスノズル24を回動させる構成となっている。
【0028】
この基板保持手段23の基板固定機構は、十字状に構成された基板載置アーム26が配設され、この基板載置アーム26の各先端部に角形基板11の角部裏面側をそれぞれ支持する基板支持ピン27が配設され、かつ、角形基板11の4角部をそれぞれ2個のピンで位置決めする位置決めピン28が配設されている。また、基板載置アーム26の中央部裏側には回転軸が設けられており、この回転軸が図2に示す電動モータ29の駆動軸に連結されている。
【0029】
以上のロッドレスシリンダ2、昇降用のシリンダ6、第1のエアーシリンダ9、第2のエアーシリンダ17、第1の基板支持部材10および第2の基板支持部材18などに処理液供給部材20を加えて基板搬送装置が構成されており、例えば薬液洗浄処理部などから乾燥処理部に角形基板11を、その表面に純水などのリンス液を供給して洗浄しながら搬送するものである。
【0030】
上記構成により、まず、例えば薬液洗浄処理を済ませた未乾燥の角形基板11を、対向する2辺のそれぞれの2個所づつを第1の基板支持部材10の支持鍔12で支持すると共に、それらの2辺に直交する2辺それぞれを、第1の基板支持部材10の支持鍔12で支持する2辺よりも低位置の第2の基板支持部材18の支持鍔19で支持することで、図8に示すような所定の撓みを角形基板11に持たせた状態で、基板全体として4方から挾み込むように6点で支持しながら搬送する。このとき同時に、処理液供給部材20,20の吐出口から処理液を角形基板11の両端縁の長手方向に亘ってそれぞれ満遍なく吐出させる。また、このとき、図8および図9に示すように、角形基板11は均一に撓んで剛体化しており、その適度な傾斜面に沿って処理液が片寄ることなく流れることになる。この場合、複数の吐出口が並んで形成されている方向と基板搬送方向とが直交する方向のため、処理液の供給が片寄るようなことはない。
【0031】
次に、基板保持手段23上まで角形基板11を搬送した後に昇降用のエアーシリンダ5のロッドを短縮させて角形基板11を下降させ、支持ピン27上に角形基板11を載置させる。その後、各エアーシリンダ9,17をそれぞれ駆動させて基板支持部材10,18を角形基板11の各側端縁側から退避させて、昇降用のエアーシリンダ5を伸長させて所定の位置まで上昇させる。さらに、シリンダ25を駆動させることにより、ガスノズル24の噴出口を角形基板11側に対向させるように直立させると共に、角形基板11を回転させながらガスノズル24の噴出口から角形基板11の表面側に窒素ガスを噴出させることで角形基板11の乾燥がなされることになっている。このような乾燥処理後においては、前述の場合とは逆の動作によって、基板保持手段23から角形基板11を取り出して後処理工程に搬送することになる。
【0032】
したがって、第1の基板支持部材10,10で支持する角形基板11の側端縁の基板支持面より下面位置で、第2の基板支持部材18,18により角形基板11の他の側端縁を支持し、かつ、第1の基板支持部材10,10で支持する角形基板11の両側端縁側に沿って処理液供給部材20,20をそれぞれ配設しているため、撓みにより角形基板11内部に元に戻そうとする応力が働くことで、角形基板11が剛体化しており、角形基板11の搬送や処理液供給によって基板反り状態に変化が起こりにくいことから、基板の撓み過ぎによる破損を防止することができると共に、処理液が供給される基板表面の傾斜面状態もより安定化し、基板表面の側端縁側から中央部にかけて均一に処理液が流れることになって、基板表面全面に満遍なく均一に処理液を供給することができる。したがって、処理液の供給量を低減することができると共に、処理液があたりにくいことなどによる乾燥ムラに伴ったパーティクルの発生を防止することができる。
【0033】
図10は本発明の他の実施形態における基板搬送装置の要部を模式的に示す斜視図、図11は図10の要部の正面図であり、図1〜図9と同一の作用効果を奏する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
上記図1〜図9に示す実施形態では、第1の基板支持部材10,10で支持する角形基板11の両側端縁の基板支持面よりも下面位置で、第2の基板支持部材18,18により角形基板11の他の両側端縁を支持することで、角形基板11の中央部が下側に湾曲して反った状態(下に凸の状態)で角形基板11を支持し、かつ、第1の基板支持部材10,10で支持する角形基板11の両側端縁側に沿って処理液供給部材20,20をそれぞれ配設したが、図10および図11に示す本実施形態では、第1の基板支持部材10,10で支持する角形基板11の両側端縁の基板支持面よりも上面位置で、第2の基板支持部材18a,18aにより角形基板11の他の両側端縁を支持することで、角形基板11の中央部が上側に湾曲して反った状態(上に凸の状態)で角形基板11を支持し、かつ、上に凸の状態で配設された角形基板11の最上部である尾根部に沿って処理液供給部材20を配設した点が異なっている。このとき、処理液供給部材20は、第2の基板支持部材18a,18aで支持する基板中央位置(この基板中央位置近傍を含む)の基板幅方向に沿って配設され、この基板中央位置(上記尾根部)の基板幅方向に沿って処理液を供給するように構成されている。また、処理液供給部材20は、図示しない固定金具によって上方から吊り下げられた状態で角形基板11の尾根部に平行に配設されている。
【0035】
また、第2の基板支持部材18a,18aは、上記図8および図9に示す実施形態と同様に、角形基板11の鉛直方向の支持位置を調整する位置調整部材21を有することもできる。この場合にも、基板サイズや板厚などが変化しても、それらに応じた適正な撓み量となるように、位置調整部材21によって角形基板11の鉛直方向の支持位置が調整可能となる。
【0036】
さらに、第1の基板支持部材10,10および第2の基板支持部材18a,18aで支持された角形基板11の撓み量は、上記図1〜図9に示す実施形態と同様に、角形基板11の弾性変形範囲内としている。この場合にも、角形基板11の撓み過ぎによる破損を防止しつつ、角形基板11に撓みが残るようなこともない。
【0037】
この構成により、まず、例えば薬液洗浄処理を済ませた未乾燥の角形基板11を、対向する2辺のそれぞれの2個所づつを第1の基板支持部材10の支持鍔12で支持すると共に、それらの2辺に直交する2辺それぞれを、第1の基板支持部材10の支持鍔12で支持する2辺よりも高位置(基板面積や板厚などで種々設定されるが、本実施形態では5mmの高さ位置)の第2の基板支持部材18aの支持鍔19で支持することで、図10に示すような所定の撓み(上に凸)を角形基板11に持たせた状態で、基板全体として4方から挾み込むように6点で支持しながら搬送する。このとき同時に、処理液供給部材20の吐出口から処理液を角形基板11の尾根部の長手方向に亘ってそれぞれ満遍なく吐出させる。このとき、処理液供給部材20から供給される処理液は角形基板11の最上部である尾根部から最低部である左右の両側端縁側にそれぞれ流れることになる。また、このとき、角形基板11は均一に撓んで剛体化しており、その適度な傾斜面に沿って処理液が片寄ることなく流れることになる。この場合、複数の吐出口が並んで形成されている方向と基板搬送方向とが直交する方向のため、処理液の供給が片寄るようなこともない。
【0038】
次に、基板保持手段23上まで角形基板11を搬送した後に昇降用のエアーシリンダ5のロッドを短縮させて角形基板11を下降させ、支持ピン27上に角形基板11を載置させる。その後、各エアーシリンダ9,17をそれぞれ駆動させて基板支持部材10,18aを角形基板11の各側端縁側から退避させて、昇降用のエアーシリンダ5を伸長させて所定の位置まで上昇させる。さらに、シリンダ25を駆動させることにより、ガスノズル24の噴出口を角形基板11側に対向させるように直立させると共に、角形基板11を回転させながらガスノズル24の噴出口から角形基板11の表面側に窒素ガスを噴出させることで角形基板11の乾燥がなされることになっている。このような乾燥処理後においては、前述の場合とは逆の動作によって、基板保持手段23から角形基板11を取り出して後処理工程に搬送することになる。
【0039】
このように、角形基板11を上に凸の状態で、その最上部である尾根部に沿った方向に処理液供給部材20から処理液を供給するように構成しているため、撓みにより角形基板11内部に元に戻そうとする応力が働くことで、角形基板11が剛体化しており、角形基板11の搬送や処理液供給によって基板反り状態に変化が起こりにくいことから、基板の破損を防止することができると共に、処理液が供給される基板表面の傾斜面状態もより安定化し、基板表面の中央部から両側端縁側にかけてそれぞれ均一に処理液が流れることになって、基板表面全面に満遍なく均一に処理液を供給することができる。したがって、処理液の供給量をより低減することができると共に、処理液があたりにくいことなどによる乾燥ムラに伴ったパーティクルの発生を防止することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、基板支持部材により基板の自重による下に凸または上に凸の撓みを基板に持たせた状態で基板を支持しつつ基板を搬送するようにしているため、基板の撓み過ぎによる破損を防止することができる。また、基板の中央部を適度に下げるかまたは上げて基板に反りを持たせ、かつ、反った基板の最上部に沿って処理液供給部材が配設されているため、基板の搬送や処理液供給によって基板反り状態に変化が起こりにくいことから、反った基板の最上部から最低部に均一な処理液の流れが生じると共に、処理液の供給量を抑えつつ処理液が滞留することなく処理液を基板表面全面に亘って均一にかけることができる。これによって、基板表面の乾燥ムラを防止することができてパーティクルの発生を抑えることができる。
【0041】
また従来は、基板を水平に支持するために、基板裏面中央部にも基板支持点を設けるなど、より多くの基板支持点が必要であったが、本発明では基板の中央部を適度に下げるかまたは上げて基板に所定の反りを持たせているため、基板の端縁部の支持だけで済み、基板裏面中央部の基板支持点が不要になるなど、基板支持点をより少なくすることができると共に、基板裏面の汚れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における基板搬送装置を含む基板乾燥装置の背面図である。
【図2】 図1の基板乾燥装置のAA′断面図である。
【図3】 図1の基板乾燥装置の平面図である。
【図4】 図3の要部Bの拡大図である。
【図5】 図2の要部Cの拡大図である。
【図6】 図5の基板乾燥装置の要部Cの側面図である。
【図7】 本発明の基板搬送装置における位置調整部材の一例を含む角形基板の支持状態を示す一部斜視図である。
【図8】 本発明の一実施形態における基板搬送装置の要部を模式的に示す斜視図である。
【図9】 図8の要部の正面図である。
【図10】 本発明の他の実施形態における基板搬送装置の要部を模式的に示す斜視図である。
【図11】 図10の要部の正面図である。
【図12】 従来の角形基板の基板支持部材による6点支持状態を示す斜視図である。
【図13】 従来の角形基板の基板支持部材による4点支持状態を示す斜視図である。
【図14】 従来の角形基板の他の基板支持部材による6点支持状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 ロッドレスシリンダ
6 昇降用のシリンダ
7 第1の支持アーム
8 第1の連結アーム
9 第1のエアーシリンダ
10 第1の基板支持部材
11 角形基板
12,1支持鍔
13,14 第2の支持アーム
15,16 第2の連結アーム
17 第2のエアーシリンダ
18,18a 第2の基板支持部材
20 処理液供給部材
20a 処理液供給管
21 位置調整部材
22a 固定部材
22b ねじ

Claims (6)

  1. 基板の端縁を基板支持部材で支持して搬送する基板搬送装置において、
    前記基板支持部材は、前記基板の対向する2辺の側端縁にそれぞれ当接して支持する第1支持部材と、前記側端縁と直交する2辺の側端縁に、前記第1支持部材による当接高さ位置よりも低い所定の高さ位置でそれぞれ当接して支持する第2支持部材とを備え
    前記基板支持部材によって、基板の自重による下に凸の撓みを基板に持たせた状態で基板を支持しつつ基板を搬送することを特徴とする基板搬送装置。
  2. 記第1支持部材で支持する両側端縁側に沿ってそれぞれ配設され、前記第1支持部材で支持する両側端縁に沿って処理液をそれぞれ供給する処理液供給部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
  3. 基板の端縁を基板支持部材で支持して搬送する基板搬送装置において、
    前記基板支持部材は、前記基板の対向する2辺の側端縁にそれぞれ当接して支持する第1支持部材と、前記側端縁と直交する2辺の側端縁に、前記第1支持部材による当接高さ位置よりも高い所定の高さ位置でそれぞれ当接して支持する第2支持部材とを備え、
    前記基板支持部材によって、基板の自重による上に凸の撓みを基板に持たせた状態で基板を支持しつつ基板を搬送することを特徴とする基板搬送装置。
  4. 前記第2支持部材で支持する基板位置の基板幅方向に沿って配設され、この基板幅方向に沿って処理液を供給する処理液供給部材を備えたことを特徴とする請求項記載の基板搬送装置。
  5. 前記第2支持部材は、前記基板の鉛直方向の支持位置を所定の高さ位置に調整する位置調整部材を有することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の基板搬送装置。
  6. 前記第1支持部材および第2支持部材で支持された基板の撓み量は前記基板の弾性変形範囲内であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の基板搬送装置。
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