JP3784281B2 - アミド基含有スチレン−酸無水物共重合体とその製造方法並びにその用途 - Google Patents
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【発明の技術分野】
本発明は、新規なアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体及びその製造方法に関するものである。また、本発明は、この共重合体を、光照射反応のアルカリ溶解性現像フォトレジスト剤およびプリント回路板の抗溶接性フォトレジスト剤として用いるという用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
一般に、プリント回路板の分野において、優れた感光特性を有する樹脂組成物を溶接マスク(ソルダマスク)または化学メッキ用のフォトレジスト剤として用いることが知られている。溶接マスクを使う主な目的は、溶接時にハンダの面積をコントロールして、ハンダ同士がくっつかないようにし、銅金属導線が露出して腐蝕することを防止して、導線間の電気絶縁性を長期的に保持することにある。通常、エポキシ樹脂、アミノ基類樹脂(アミノプラスト樹脂)などの熱硬化性樹脂がプリント溶接マスクの主要成分として使われる。
【0003】
しかしながら、近年、プリント回路板の配線密度の増大と導線間電気絶縁性に対する要請が日増しに厳しくなっており、それに従って、溶接マスクに関しても優れた膜厚とサイズ精度が要求されるようになってきており、在来のスクリーンプリント方式ではもはやこのような要請に合わなくなっている。
したがって、プリント回路板の分野において、フォトリソグラフィ(パターンを連続的に露出現像させてパターンを形成する方法)を利用することにより、厚い膜(通常導線上の膜厚は25μmが好ましい)を形成して製造される、優れたサイズ精度を有し、信頼性の高い溶接マスクの開発が望まれている。
【0004】
従来より、溶接マスク形成用の感光性樹脂組成物としてアクリル酸類重合体と光重合性重合モノマーとを主要成分とした感光性樹脂組成物が使われることが一般に知られている。例えば特開昭53-5618号公報、特開昭53-56018号公報、特開昭54-1018号公報などに開示されている。
しかしながら、これらの感光性樹脂組成物に成膜性を付与するには、多量のアクリル酸類重合体が必要であり、従って硬化後の薄膜の耐熱性が不足するという問題が起きる。
【0005】
一方、特開昭54-82073号公報には主鎖にフェニルアクリロイルベンゼン(カルコン(chalcone))を有する感光性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を主成分とした組成物が開示されていて、これは耐熱性が良い感光性樹脂である。しかし、この感光性樹脂組成物は感度が悪く、厚膜のフォトレジスト剤の形成が難しい。しかも、シクロヘサキノンなどの可燃性有機溶媒を現像液として使用する必要があるので、安全性の面でも問題がある。
【0006】
特開昭61-272号公報ではエポキシ基を有するノボラック樹脂型エポキシアクリロイル酸エステルと光重合開始剤を主成分とした組成物が開示されており、この組成物を硬化することにより厚膜の溶接マスクを形成することができる。この組成物は優れた耐熱性を有するが、トリフルオロエタン/低級アルキルアルコール混合液を現像液として用いる必要があるため、安全性の面でも問題がある。
【0007】
特開平2-160242号公報ではカルボキシ基を有するエポキシアクリル酸エステル樹脂を感光性樹脂とすることが掲示され、特開平2-166452号公報ではカルボキシ基を有するスチレン類重合体を含むアルカリ溶解性感光性樹脂が開示されている。これらの開示された樹脂は紫外線照射をすると変色する現像染料、例えば無色クリスタルバイオレットを加えた時、その貯蔵(保存)安定性が良くないため、約24時間から5日間の間に無色から紫ブルーに変色(染色)してしまい、紫外線照射により変色するという機能が失われ、使用者は露出の過程が終わったかどうかという判定ができず、それによって露出過度を起こすことがある。このことは生産過程においていろいろなトラブルを引き起こすのみならず、収率の低下とコストの増大につながると共に、廃棄物が増加することになる。それ故、これらの樹脂は、使用時には現像染料(変色剤)を添加しない。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、新規なアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体を提供することを目的とするものである。また、本発明は、この新規アミド基含有スチレン−酸無水物共重合体の製造方法を提供することを目的としている。さらに、本発明は、この新規アミド基含有スチレン−酸無水物共重合体を、光照射反応のアルカリ溶解性現像フォトレジスト剤およびプリント回路板の抗溶接性フォトレジスト剤として用いるという用途を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の具体的説明】
本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体は、次式(I)および(II)のくり返し単位(反複構造単位)
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、Rはヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸類単体から誘導される基を示し、R1とR2は同一であっても異なっていてもよいC1-6アルキル基であるか、またはR1とR2はこれらが結合された窒素原子とともに結合して5〜6員環の窒素含有複素環基を形成していてもよい)
を有する。
【0012】
本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体において、(I)式中のRはヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸類単体から誘導される基であって、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルから誘導される基であり、具体的には、アクリル酸ヒドロキシメチルエステル、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、アクリル酸ヒドロキシヘキシルエステル、メタクリル酸ヒドロキシメチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、またはメタクリル酸ヒドロキシヘキシルエステルから誘導される基が挙げられる。この中でも、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、またはメタクリル酸ヒドロキシプロピルエステルから誘導される基が特に好ましい。
【0013】
本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体において、式(II)中のR1およびR2がC1-6アルキル基の場合、C1-6アルキル基は、炭素原子が1〜6であるアルキル基であって、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基などが挙げられる。この中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、またはヘキシル基が好ましく、さらに、エチル基、プロピル基、ブチル基またはヘキシル基が好ましく、特にエチル基、プロピル基、またはブチル基が好ましい。
【0014】
本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体において、式(II)中のR1とR2は、これらが結合された窒素原子とともに結合して5〜6員環の窒素含有複素環基を形成していてもよく、このような窒素含有複素環基は、前記結合された窒素原子の他に、さらに、窒素原子、酸素原子および硫黄原子より選ばれる一つまたは二つの原子を含んでもよい5〜6員環の飽和複素環基であって、例えば、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリジニル基、オキサジアゾリジニル基、チアゾリジニル基、ヘキサヒドロピリジニル基(ピペリジニル基)、ピペラジニル基、モルホリニル基等が挙げられる。この中でも、モルホリニル基が好ましい。
【0015】
本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体に含まれる式(I)で示されるくり返し単位と式(II)で示されるくり返し単位との比は、例えば、25:75〜90:10であり、好ましくは30:70〜70:30であることが望ましい。
本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体は、アミド基を有し、水溶性であるので、感光性樹脂として用いるとき水含有溶媒を希釈剤として使用することができるため、一般に感光性樹脂の調製時に必要な有機溶媒の量を減少させることができ、作業環境が向上され、作業員の健康上有利である。
【0016】
以下、本発明の新規なアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体の製造方法を説明する。
本発明の製造方法は、下記の段階を含む。
(a)次式(III)のくり返し単位を有するスチレン−無水マレイン酸共重合体
【0017】
【化4】
【0018】
と第二級アミンとを溶剤中で反応させてスチレン−無水マレイン酸共重合体の酸無水物部分を開環させる。この時スチレン−無水マレイン酸共重合体1モルに対して0.10〜0.75モル、たとえば0.30〜0.70の第二級アミンを必要とする。
(b)上記で得られた反応生成物をさらに(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルを反応させてまだ開環していない酸無水物部分を開環させる。この時の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルのモル数は下記のようにして決定する;すなわち、前記(a)段階中で用いられる第二級アミンの量と(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルの量との総和をスチレン−無水マレイン酸共重合体の酸無水物のモル数と同程度かそれ以下にする。前記(a)段階中で用いられる第二級アミンの量と(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルの量との総和をスチレン−無水マレイン酸共重合体のモル数よりも低めにした時は、情況によって、さらに別のC1-6アルキルエステルを加えて残った未開環の酸無水物を開環させることもできる。
【0019】
上記の反応は、溶媒の存在下、60℃〜150℃の温度で進行させる。反応温度は80℃〜110℃が好ましい。
第二級アミンは、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、エチルブチルアミン、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、オキサジアゾリジン、チアゾリジン、ヘキサヒドロピリジン(ピペリジン)、ピペラジン、またはモルホリンなどが使われる。この中でも、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、またはモルホリンが好ましい。
【0020】
(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルは、例えば、アクリル酸ヒドロキシメチルエステル、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、アクリル酸ヒドロキシヘキシルエステル、メタクリル酸ヒドロキシメチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、またはメタクリル酸ヒドロキシヘキシルエステルなどが使われる。この中でも、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルまたはメタクリル酸ヒドロキシプロピルエステルが好ましい。
【0021】
【発明を実施するための最良の形態】
反応に用いられる溶剤は、反応に対して不活性な溶剤であればよく、限定されない。実例として、例えばアセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類;例えば酢酸エチルエステル、またはカルビトールアセテート(carbitol acetate)などのエステル類;例えばベンゼン、トルエン、ナフサ(例えば中国石油会社製のペンキ溶剤 #150、#100)などの芳香族類が挙げられる。
【0022】
本発明の製造方法では、第二級アミンを用いて部分的に酸無水物の官能基を開環させるので、後続の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルで残りの未開環の酸無水物を開環させる反応で触媒を使わずに酸無水物を開環させることができ、スチレン−無水マレイン酸共重合体の酸無水物官能基の反応率をほぼ100%に達成させることができる。
【0023】
本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体は、アルカリ溶解性の感光性樹脂組成物として用いられ、高い解析度を有するので高密度配線を有するプリント回路板の製造プロセスに使用することができる。
本発明はさらにアルカリ液現像型の現像フォトレジスト剤に関し、これは本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体、光開始剤、希釈剤、エチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸エステル類単体並びに充填剤を含み、必要に応じて染料を加えることもできる。
【0024】
本発明はさらに抗溶接フォトレジスト剤(solder resistant photo resist composition)に関し、これは本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体、光開始剤、希釈剤、エチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸エステル類単体、架橋剤、硬化促進剤並びに充填剤を含む。
前記の光開始剤は、この技術に精通した者には熟知されているものであって、種類は限定されず、例えばIrgacure907(シバゲーギ(Ciba Gigey AG.)社製)、イソプロピルチオヘテロアントロン(isopropyl thiaanthracenone)およびジエチルチオヘテロアントロン(diethyl thiaanthracenone)等が挙げられる。
【0025】
前記の希釈剤は、この技術に精通した者には熟知されたものであって、種類は限定されず、例えば、ペイント溶剤#100、ペイント溶剤#150(ナフサ、中国石油社製)、プロパンジオール、メトキシ酢酸エチル並びにカルビトールアセテート等が挙げられる。
前述のエチレン性不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸エステル類単体はこの技術に精通した者には熟知されたものであって、種類は限定されず、例えば、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名はSartomer399、Sartomer社製)、トリアクリル酸トリヒドロキシメチルプロピルエステル(trimethylol triacrylate、商品名はSartomer351、Sartomer社製)並びにトリエトキシトリアクリレート(triethoxyl triacrylate、商品名はSartomer454、Sartomer社製)等が挙げられる。
【0026】
前述の充填剤は、この技術に精通した者には熟知されたものであって、種類は限定されず、例えば硫酸バリウム、滑石粉並びに二酸化珪素などが挙げられる。
前述の架橋剤は、この技術に精通した者には熟知されたものであって、種類は限定されず、例えばエポキシ樹脂、シアヌル酸トリアミド(melamine)及びその誘導体を含み、この中でも、エポキシ樹脂としては、PT810(シバゲーギ(Ciba Gergy Co.)社製)、NPCN703、NPCN704(台湾、南亜プラスチック社製)、並びにYX4000(日本ユカシェル社製)等を使用してもよい。
【0027】
前述の硬化促進剤は、この技術に精通した者には熟知されたものであって、種類は限定されず、例えばシアヌル酸トリアミド並びにジシアンジアミド等が挙げられる。
前述の染料は最終生成物によって決められ、種類は限定されず、例えば顔料または染料を含み、これらの顔色または染料は例えば、2Y301(東洋社製)、白色クリスタルバイオレット、ビクトリアブルーB(アルカリ性ブルー)、ビクトリアブルーB0(緑光アルカリ性ブルー)、ビクトリアブルーR(紅光アルカリ性ブルー)、孔雀グリーン、無色クリスタルバイオレット(Leuco Crystal Violet)等が挙げられる。
【0028】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。
【0029】
【実施例】
【0030】
【実施例1】
スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA-1000 Sartomer社製)200gとジブチルアミン30gとをプロパンジオールモノエチルエーテル酢酸エステル207g中に加え、90℃で2時間加熱する。次に、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル56.1gを加えて90℃でまた8時間反応させる。さらにブチルアルコール16.7gを加えて90℃で4時間反応させた結果、本発明のアミド基含有スチレン−無水マレイン酸共重合体を得た。得られた生成物のIRスペクトルを図1に示す。このスペクトルより酸無水物官能基が100%開環しているのがわかる。生成物の固形成分含有量を測定したところ60%であり、固形成分の酸価は176mgKOH/gであった。
【0031】
【実施例2】
スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA-3000 Sartomer社製)200gとジブチルアミン23.1gとをプロパンジオールモノエチルエーテル酢酸エステル177.6g中に加え、90℃で2時間加熱する。次に、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル33.3gを加えて90℃でまた8時間反応させる。さらにブチルアルコール9.9gを加えて90℃で4時間反応させた結果、本発明のアミド基含有スチレン−無水マレイン酸共重合体を得た。得られた生成物のIRスペクトルを図2に示す。このスペクトルより酸無水物官能基が100%開環しているのがわかる。生成物の固形成分含有量を測定したところ60%であり、固形成分の酸価は117mgKOH/gであった。
【0032】
【比較例1】
この比較例は周知のアミド基を有しない感光性樹脂の製造方法である。
エポキシ樹脂(商品名はNPCN704、南亜プラスチック社製)210g、アクリル酸72g、ハイドロキノン0.3g及び臭化テトラブチルアンモニウム0.9gなどをカルビトールアセテート215g中に加え、90℃で18時間反応させる。次に、無水テトラヒドロフタル酸118gを加えて90℃で4時間反応させて樹脂生成物を得た。生成物の固形成分含有量を測定したところ60%であり、固形成分の酸価は109mgKOH/gであった。
【0033】
【比較例2】
この比較例は周知のアミド基を有しない感光性樹脂の製造方法である。
スチレン−無水マレイン酸共重合体(商品名はSMA-1000 Sartomer社製)200g、ハイドロキノン0.26g、臭化テトラブチルアンモニウム1.5g及びメタクリル酸ヒドロキシエチルエステル112.2gなどをプロパンジオールモノエチルエーテル酢酸エステル208.2gに加え、90℃で16時間反応させ樹脂生成物を得た。生成物の固形成分含有量を測定したところ60%であり、固形成分の酸価は154mgKOH/gであった。
【0034】
【配合例】
以下に、配合例中の配合物の性能の測定法とその意義を説明する。
ベーキング後薄膜硬さ:鉛筆の芯の硬さで表わし、数値が大きい程硬い。
乾燥(baking)後表面粘り:指でさわってはかり、表面にのる指紋が少ない程好ましい。
【0035】
溶液の色安定性:フォトレジスト溶液を調製し、25℃に維持したオーブンに置いて、溶液の色が変化したときの時間を測定した。色の変化については、新しく調製した溶液と試験を行った溶液の色を比較して判断した。
感光能力:Stouffer stepネガフィルムで光硬化能力を測定し、格子数が高い程好ましい。
【0036】
現像後解像能力:Stouffer stepネガフィルムで解像能力を測定し、数値が小さい程好ましい。
現像後附着能力:Stouffer stepネガフィルムで附着能力を測定し、数値が小さい程好ましい。
膜剥離能力:50℃の3%NaOH水溶液中に浸漬して薄膜が剥離できるまでの時間であり、時間が短い程好ましい。
【0037】
百格子付着:組成物をスクリーン上に塗布して乾燥後、ナイフで薄膜を1cm2 x 100格子の面積に切り、粘接テープで粘接した後テープを引き上げ、スクリーン上に付着している膜の格子数をかぞえる。数が多い程好ましい。
耐酸性:10%H2SO4水溶性液中に浸漬して薄膜の損傷を受けない時間(分)で表わし、時間が長い程耐酸性がよい。
【0038】
耐アルカリ性:10% NaOH水溶性液中に浸漬して薄膜の損傷を受けない時間(分)で表わし、時間が長い程耐アルカリ性がよい。
耐ハンダ付け能力:230℃のハンダ液に30秒浸漬して、薄膜の損傷を受けない回数で表わす、回数が多い程耐ハンダ付け能力がよい。
耐ハンダ助剤能力:組成物によって形成された薄膜上にハンダ助剤を塗布して90℃でベーキングした後損傷の発生しない時間(分)で表わし、時間が長ければ耐ハンダ助剤能力がよい。
【0039】
耐イソプロピルアルコール能力:薄膜を100%イソプロピルアルコール中に浸漬し、損傷の発生しない時間(分)で表わす。
【0040】
【配合例1〜2及び比較配合例1〜2】
実施例1及び実施例2で合成された本発明のアミド基含有スチレン−無水マレイン酸重合体並びに比較例1及び比較例2で得られた樹脂を用いて、下記の表1に示す処方によって現像フォトレジスト剤を配合し、上記の方法に基づいてその性質を測定した。表1-1に測定結果を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1で得られた現像フォトレジスト剤を銅基板に塗布し、140℃で3分間乾燥して厚さが8ミクロンの乾燥膜を得た。後乾燥は150℃で65分間行う。感光能力の測定の露光エネルギーは100mjであった。測定の結果を表1−1に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【配合例3及び比較配合例3】
上記の実施例で合成された本発明の共重合体と比較例で得られた樹脂を用いて、下記表2の処方により抗溶接フォトレジスト剤を調合し、上記の方法でその物性を測定した。結果を表2-1に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
表2で得られた抗溶接フォトレジスト剤を銅基板に塗布し、75℃で45分間乾燥して厚さが18ミクロンの乾燥膜を得た。後乾燥は150℃で65分間行う。感光能力の測定の露光エネルギーは475mjであった。測定の結果を表2−1に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
上記の結果からわかるように、本発明のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体は、優れた耐熱性、耐酸性及び耐化学薬品性を有するのみならず、優れた解析度を有するので、現像フォトレジスト剤及びプリント回路板の抗溶接フォトレジスト剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた共重合体の赤外線(IR)スペクトルである。
【図2】図2は、実施例2で得られた共重合体の赤外線(IR)スペクトルである。
Claims (17)
- Rが(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルから誘導される基であることを特徴とする請求項1に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- 前記(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルが、アクリル酸ヒドロキシメチルエステル、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、アクリル酸ヒドロキシヘキシルエステル、メタクリル酸ヒドロキシメチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、またはメタクリル酸ヒドロキシヘキシルエステルであることを特徴とする請求項2に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- Rが、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、またはメタクリル酸ヒドロキシプロピルエステルから誘導される基であることを特徴とする請求項3に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- R1とR2が同一であっても異なっていてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基であることを特徴とする請求項1に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- R1とR2が同一であっても異なっていてもよい、メチル基、プロピル基、ブチル基、またはヘキシル基であることを特徴とする請求項5に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- R1とR2がこれらが結合された窒素原子とともに結合して5〜6員環の窒素含有複素環基を形成しており、前記窒素含有複素環基が、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリジニル基、オキサジアゾリジニル基、チアゾリジニル基、ヘキサヒドロピリジニル基、ピペラジニル基、またはモルホリニル基であることを特徴とする請求項1に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- R1とR2がこれらが結合された窒素原子とともに結合して5〜6員環の窒素含有複素環基を形成しており、前記窒素含有複素環基が、モルホニル基であることを特徴とする請求項7に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- 式(I)で示されるくり返し単位と式(II)で示されるくり返し単位との比が25:75〜90:10であることを特徴とする請求項1に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- 式(I)で示されるくり返し単位と式(II)で示されるくり返し単位との比が30:70〜70:30であることを特徴とする請求項9に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体を含むアルカリ溶解性現像フォトレジスト剤。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体を含むプリント回路板の抗溶接フォトレジスト剤。
- 請求項1に記載のアミド基含有スチレン−酸無水物共重合体の製造方法であって、(a)次式(III)のくり返し単位
(b)上記で得られた反応生成物にさらに(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルを反応させて、まだ開環していない酸無水物部分を開環させ;この時の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルの使用量は下記のようにして決定する;すなわち、前記(a)段階中で用いられる第二級アミンの量と(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルの量との総和をスチレン−酸無水物共重合体のモル数と同数以下にする;という段階を含むことを特徴とする製造方法。 - 第二級アミンが、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、エチルブチルアミン、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、オキサジアゾリジン、チアゾリジン、ヘキサヒドロピリジン、ピペラジンまたはモルホリンより選ばれることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
- 第二級アミンが、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、またはモルホリンより選ばれることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
- (メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルが、アクリル酸ヒドロキシメチルエステル、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、アクリル酸ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、アクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、アクリル酸ヒドロキシヘキシルエステル、メタクリル酸ヒドロキシメチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシイソブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシtert-ブチルエステル、メタクリル酸ヒドロキシペンチルエステル、またはメタクリル酸ヒドロキシヘキシルエステルより選ばれることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
- (メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-6アルキルエステルが、アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、またはメタクリル酸ヒドロキシプロピルエステルより選ばれることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
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