JP3784190B2 - 農産物の供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農産物の選別包装施設(選果場)において用いられるもので、生産者(農家)から容器に詰められて選果場に搬入された農産物を、容器から取り出して処理装置に供給する農産物の供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、選果場への農産物の持ち込みは、農産物を収容したコンテナ(容器)によって行われるのが一般的である。そして、農産物を選別する選別装置の選別コンベアに農産物を供給する作業は、通常手作業によって行われることが多いが、この供給作業を自動化するものとして、例えば特開平8−104420号公報に開示のコンテナ反転式の取出装置が知られている。この取出装置は、農産物入りのコンテナを搬送コンベア上で反転させた後、コンテナを上方に持ち上げて搬送コンベア上に農産物のみを取り出すようにしたものである。
【0003】
ところが、このコンテナ反転式の取出装置にあっては、コンテナの反転時に農産物を傷付ける虞があり、外表面が軟弱な農産物や傷み易い農産物には採用することができない。また、農産物が胡瓜や茄子等の長物農産物の場合には、コンテナを反転させた際やコンテナを引き上げた際に、長物農産物が搬送コンベア上で転がるため、その向きがコンテナに詰める状態(きれいに並べる状態)を崩すことがあり、後工程の山崩しや横向き整列がスムーズに行われないという問題が生じる。また、搬送コンベア上で胡瓜等が交差した状態になると、搬送コンベアを乗り継ぎさせて隔離しようとしてもなかなか離れず、人手による手直し作業が必要となる。
【0004】
さらに、農産物入りのコンテナを搬送コンベア上に伏せた後、コンテナのみを引き上げて農産物を搬送コンベア上に放出するので、農産物が搬送コンベア上で山盛り状態となり、この山を多数の搬送コンベアの乗り継ぎによって平坦化しなければならない。そのため、搬送コンベアの数が多くなって、全体として取出装置と選別コンベアとの間の搬送コンベアの機長が長くなることになる。
【0005】
このように、コンテナ反転式の排出方式では、農産物の取り出しが自動化されたとしても、後工程に対しては農産物を必ずしも好適な状態で供給できない欠点があり、近年では、図7に示すように、多数の吸着パッド103を横に並べてコンテナ105内の胡瓜W等の農産物を一括吸着して取り出すようにした取出装置(取出ロボット)101が、コンテナ105を反転させないで、しかもコンテナ105内に並べられた農産物Wの姿勢を崩すことなく取り出すことができる方式として採用されている。
【0006】
この取出装置101は、一枚の板体102の下面に一つの吸引装置(図示せず)に接続された多数の蛇腹状の吸着パッド103を取り付け、板体102を移動機構104により下降させて、吸着パッド103を胡瓜Wにそれぞれ接触させる。そして、吸引装置を作動させることによって吸着パッド103を胡瓜Wに吸着させ、その後、移動機構104により板体102を上昇させることによって、胡瓜Wをコンテナ105内から取り出すように構成したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、農産物は、形状等がある程度一定した工業製品と異なり、個々の農産物の大きさ、形状、向き、表面の状態等が一定でないため、コンテナ内にきれいに平らに並べた状態でも、その高さや配列状態が一定しないことがある。そのため、上記取上装置101にあっては、吸着パッド103の胡瓜Wに対する接触面の作用(保持作用)が安定せず、密着性の良いものと悪いものがあって吸引力が一定しない等、多数備えた吸着パッド103のうちでも胡瓜Wを吸着保持できない個所が生じる。
【0008】
つまり、コンテナ105内に多数並べられた胡瓜Wを取り出す際、取出装置101が一連の取り出し動作を終了しても、取り出しミスによって、コンテナ105内に胡瓜Wが残っていること(残果という)がたまに生じることになる。この残果入りのコンテナ105は、そのままでは、空コンテナ搬送ライン(生産者に空のコンテナ105を返却するためのライン)に送り込むことができないため、後述する如く取出装置101の取出位置を通過した所定の場所で一時停止させられて、作業者による残果の取り出し作業を待つことになる。
【0009】
また、上記取出装置101は、コンテナ搬送コンベアで連続的に搬送されてくる胡瓜W入りのコンテナ105を、一時停止させてコンテナ105内の胡瓜Wの取り出しを行うものであるが、胡瓜Wの所定の取出動作(例えば3段積みの場合であれば3回の動作)が終了すると、胡瓜Wが取り上げられて空となったコンテナ105または残果入りのコンテナ105を、取出位置の下流位置に搬送し、該位置でコンテナ105内の残果を確認した後に、空のコンテナ105のみを空コンテナ搬送ラインに送り込むようにしている。
【0010】
一方、残果入りのコンテナ105は、空コンテナ搬送ラインに送り込まれることなく、一時停止(残果があるとランプまたはブザー等で報知)させられて、他の作業位置にいる作業者の処理作業(取り出し作業)を待つため、後続の空コンテナ105の排出ができなくなる。その結果、取上装置101による取り出し作業が一時中断されることになって、取り出し作業の作業効率が低下(取り出しサイクルが低下)し、この作業効率の低下に伴い選別コンベアに対して胡瓜Wの供給量が一定化せず、選別コンベアへの充填率が低くなって選別効率も劣るという問題点があった。
【0011】
そこで、この残果入りのコンテナ105を一時停止(待機位置)させる場所の近傍に、専任の処理(取り出し)作業者を配置して残果入りのコンテナ105を取り出すかあるいは残果入りコンテナ105内から胡瓜Wを別の容器等に取り出すようにして、取出装置101の作業効率を高めることも考えられるが、この場合は、残果入りのコンテナ105の発生頻度あるいは残果の量によって専任作業者の作業量が一定しないこと等から、このような作業に専任の作業者を配置すると人件費が嵩み等好ましくないという問題点があった。
【0012】
本発明は、胡瓜W等の農産物が多様な形状を有し、容器内に収容された農産物を機械的な同一条件で完全に取り出すことは困難であり、これらを追求していけば、装置自体のコストが当然アップすることになるため、それよりも、残果がある程度発生することを前提にしてそれを簡易な方法でカバーできれば、上記問題点に適切に対応し得ることに着目してなされたものである。そこで、本発明のうち請求項1記載の発明の目的は、空容器と残果容器を自動的に振り分けて残果容器を適切に処理することにより、取上手段による取上サイクルの低下を防止し、
処理装置に対する農産物の供給量の均一化を図り、処理装置への農産物の充填率を高めて処理効率の向上を図り得る農産物の供給装置を提供することにある。
【0013】
また、請求項2記載の発明の目的は、請求項1記載の発明の目的に加え、処理装置の手作業者に残果処理作業を兼務させることができて、作業者の作業効率を向上させ得る農産物の供給装置を提供することにある。また、請求項3記載の発明の目的は、請求項1または2記載の発明の目的に加え、空容器や残果処理された空容器の排出処理を効率的に行い得る農産物の供給装置を提供し、請求項4記載の発明の目的は、請求項1ないし3記載の発明の目的に加え、多数の農産物を一括取り上げできて処理装置への供給効率を向上させ得る農産物の供給装置を提供することにある。また、請求項5記載の発明の目的は、請求項1ないし4記載の発明の目的に加え、胡瓜等の長物農産物であっても処理装置への供給量を均一化し得る農産物の供給装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、容器内に収容された多数の農産物を取り上げ、この取り上げた農産物を処理装置に供給する農産物の供給装置であって、多数の農産物入り容器を搬送する容器搬送手段と、該容器搬送手段の搬送方向途中に設けられ容器内の農産物を取り上げて処理装置に供給する取上手段と、該取上手段による前記容器内の農産物の取り上げ・供給動作の終了後当該容器内の農産物の有無を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて空容器と残果容器とに振り分けて排出する振り分け手段と、該振り分け手段で振り分けられて排出された残果容器を処理装置の手作業位置まで搬送する残果容器搬送手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
このように構成することにより、コンテナ等の容器内に収容された農産物は容器搬送手段で搬送され、該容器搬送手段の搬送方向途中に設けられた取上手段で取り上げられて処理装置に供給される。取上手段によるこの動作が終了すると、容器内の農産物の有無が検出手段で検出され、この検出手段の検出結果に基づいて、振り分け手段で空容器と残果容器とに振り分けられて排出される。そして、残果容器は残果容器搬送手段で処理装置の手作業位置まで搬送され、この手作業位置で残果容器内の残果が例えば取り上げ処理される。これにより、残果容器と空容器とが自動的に振り分け搬送され、手作業位置で農産物の手作業と残果処理とが並行処理されることから、残果容器の発生に係わらず取上手段が動作しその取上サイクルの低下が防止されて、処理装置への農産物の供給量の均一化が図れる。
【0016】
また、請求項2記載の発明は、手作業位置が、処理装置の選別コンベアの始端側に設けられ農産物の姿勢を手作業で整える姿勢補正作業位置または農産物の外観を目視判別するための目視判別作業位置であることを特徴とする。このように構成することにより、残果容器が処理装置の選別コンベアの始端側に設けられた姿勢補正作業位置または目視判別作業位置に搬送されることから、残果処理用の専任の作業者を配置することなく、姿勢補正作業位置または目視判別作業位置に常駐する作業者によって残果容器内の残果を処理することができて、作業者による作業効率の向上が図れる。
【0017】
また、請求項3記載の発明は、振り分け手段で振り分けられて排出された空容器と、処理装置の手作業位置において残果容器内の農産物が処理されて空になった容器とを合流させて搬送し得る空容器搬送手段を有することを特徴とする。このように構成することにより、空容器と残果が取り上げられる等して処理され空となった容器とが、空容器搬送手段で合流されつつ搬送されることから、当初からの空容器や残果処理された空容器が空容器搬送ラインに効率良く排出される。
【0018】
また、請求項4記載の発明は、取上手段が、容器内の多数の農産物を負圧によって吸引する吸引部を有することを特徴とする。このように構成することにより、容器内に一列状態で収容された農産物は、取上手段の多数の吸引部による負圧でそれぞれ吸引されて取り上げられ、これが処理装置に供給される。これにより、多数の農産物の一括取り上げが可能になって、処理装置への農産物の供給効率の向上が図れる。
【0020】
また、請求項5記載の発明は、農産物が長物農産物であり、該長物農産物はその長手方向が少なくとも処理装置の搬送方向と略直交する横向きにして処理装置に供給されることを特徴とする。このように構成することにより、長物農産物は、その長手方向が処理装置の搬送方向と直交する横向きにされて、処理装置に供給されるため、形状等が均一化し難い胡瓜や茄子等の長物農産物であっても、その向きを所定方向に整列しかつ供給量を均一化した状態で処理装置に供給し得る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6は、本発明に係わる農産物の供給装置の一実施例を示し、図1が供給装置が設置される選果場ラインの一部を示す平面図、図2が図1のA−A矢視図、図3が図1のB−B矢視図、図4がロボットの正面図、図5がその要部拡大図、図6が図4の側面図である。
【0022】
図1〜図3において、供給装置1は、農産物(以下、胡瓜Wとして説明する)が多数収容されたコンテナ2を搬送する、コンテナ供給コンベア3及び該コンテナ供給コンベア3に例えば直交する方向に設けられた複数列(図では2列)のコンテナ貯留コンベア4を備えている。各コンテナ貯留コンベア4の搬送方向途中の取上位置S2(後述するロボット18が配置される位置)の下流側には、残果検出装置5と、振り分け手段としての昇降装置6がそれぞれ配置されている。残果検出装置5は、例えば光センサーで形成されてコンテナ2内の胡瓜Wの有無を検出して、その検出結果に基づいて昇降装置6の作動を制御する。
【0023】
昇降装置6は、残果検出装置5の直下流側に設けられ、下降位置と上昇位置に択一的に設定されるように構成されている。そして、図2に示すように、昇降装置6の下降位置には、胡瓜Wが内部に残存しないコンテナ2(空コンテナ2Aという)を空コンテナ搬送コンベア7上に排出する排出ラインAが接続され、上昇位置には、胡瓜Wがコンテナ2内に残っているコンテナ(残果コンテナ2Bという)を選別コンベア8の始端側近傍の姿勢補正作業位置S1を介して、前記空コンテナ搬送コンベア7上に排出する排出ラインBが接続されている。
【0024】
排出ラインAは、昇降装置6の下降位置と空コンテナ搬送コンベア7間に接続された空コンテナ排出コンベア9を有し、排出ラインBは、昇降装置6の上昇位置と姿勢補正作業位置S1に配置された昇降装置11の上昇位置との間に接続された残果コンテナ搬送コンベア10と、昇降装置11の下降位置と空コンテナ搬送コンベア7間に接続された空コンテナ排出コンベア12とを有している。
【0025】
この両排出ラインA、Bが択一的に選択されることにより、空コンテナ2Aが直接もしくは残果コンテナ2Bが後述する如く残果処理されて空となったコンテナ2とが、空コンテナ搬送コンベア7上に排出されることになる。なお、昇降装置6と昇降装置11は、待機する状態において上昇位置となるようにそれぞれ設定されている。
【0026】
前記コンテナ貯留コンベア4の取上位置S2には、図1に示すように、コンテナ2内の胡瓜Wを搬送する処理装置の前段部としての供給コンベア13の最上流側がそれぞれ接続され、この各供給コンベア13の下流側には、処理装置の後段部としての前記選別コンベア8がそれぞれ接続されている。供給コンベア13は、図3に示すように、その上流側から移載コンベア14、定数供給コンベア15、密着コンベア16及びタイミングコンベア17を有し、タイミングコンベア17の下流側に多数のバケット8aを有する選別コンベア8が接続されている。
【0027】
なお、供給コンベア13は、移載コンベア14上の胡瓜Wの有無に応じて後述するロボット18の作動を制御すると共に、定数供給コンベア15上の胡瓜Wの有無によって移載コンベア14の駆動を制御し、移載コンベア14から定数供給コンベア15に搬送される胡瓜Wを前後方向に略等間隔(密着状態)に設定する。また、定数供給コンベア15の駆動を制御して、所定数の胡瓜Wを次工程である密着コンベア16に供給する如く構成されている。
【0028】
前記コンテナ貯留コンベア4の取上位置S2に配置されるロボット18は、図4〜図6に示すように、多関節型のロボットで形成され、このロボット18のアーム19の先端には、所定長さの固定板20が連結固定され、この固定板20の長手方向の両側には、一対のロッド21がそれぞれ上下動可能に設けられている。このロッド21の下端には板体22がそれぞれ固定され、この板体22の下面に、4本の連結ロッド23を介して吸引ケース24がそれぞれ連結固定されている。なお、図5に示す符号25は、ロボット18の動作(アーム19の下降動作)の際に、後述する吸着パッド32の胡瓜Wへの当接を検出する位置検出センサであり、この位置検出センサ25の検出によって、ロボット18のアーム19の下降動作が停止する。
【0029】
前記吸引ケース24にはダクト連結具26の一端が固定され、このダクト連結具26の他端は、可撓性ダクト27(図5参照)を介して、例えばロボット18が設置される筐体28内に配置された、真空ポンプまたはブロアー等からなる負圧発生装置29(図4参照)に接続されている。
【0030】
また、図6に示すように、吸引ケース24の下壁24aには平面視千鳥状の通孔30が設けられると共に、下壁24aの下面で通孔に対応する位置には多数の蛇腹31の上端がそれぞれ連結され、この蛇腹31の下端には吸着パッド32が連結されている。この吸着パッド32は、例えばゴム、スポンジ等の弾性部材でかつ通気性のない材質によって、所定の幅と長さ及び板厚を有する平板状に形成され、吸引ケース24の通孔30と対応する位置には、所定内径の円形孔からなる吸引口33が平面視千鳥状に多数穿設されている。
【0031】
さらに、吸引ケース24の外面の4隅の下部には、図5及び図6に示すように、吸引ケース24のコンテナ2内への上方からの進入時に、コンテナ2の内面2aに当接して転動するガイドローラ34がそれぞれ回転自在に取り付けられている。なお、前記ロボット18の固定板20の両側に取り付けたロッド21の間隔は、その下部に設けられた2つの吸引ケース24が、連接された2個のコンテナ2内にそれぞれ位置し得るように設定され、また、吸引ケース24の幅は、コンテナ2の幅より所定寸法小さく設定されている。さらに、コンテナ2は合成樹脂の成型品によって形成され、その内部には、必要に応じて仕切2bが設けられ、胡瓜Wが2列で複数段積層状態で収容され得る大きさに設定されている。
【0032】
次に、上記供給装置1の動作の一例について説明する。先ず、多数本の胡瓜Wが略積層状態で詰められたコンテナ2は、コンテナ供給コンベア3からコンテナ貯留コンベア4で搬送されて、コンテナ貯留コンベア4の取上位置S2に設けられた一対のストッパ35、36(図1参照)のうち、下流側のストッパ35に当接して2個のコンテナ2が連接した状態で停止する。この取上位置S2で、ロボット18の作動により、アーム19が手元側(反供給コンベア13側)に位置した状態で、固定板20、ロッド21、板体22及び連結ロッド23を介して、図4の二点鎖線aで示すように吸引ケース24がそれぞれ下降する。
【0033】
この各吸引ケース24の下降により、吸着パッド32の下面が各コンテナ2の一方の列側に横並び状態で収容されている最上段の各胡瓜Wに接触する。この状態において、負圧発生装置29の作動により可撓性ダクト27、吸引ケース24内を介して蛇腹31内が吸引されて負圧となり、この負圧によって吸着パット32の吸引口33に胡瓜Wが吸着される。
【0034】
そして、吸引口33に吸着された胡瓜Wは、吸着パッド32の吸引口33部分が弾性変形しつつ吸引口33に密着して吸着され、この状態で、図4の矢印イの如く、ロボット18のアーム19が上昇すると共に前方に移動しさらに下降することにより、供給コンベア13の移載コンベア14上まで移送される。この位置で負圧発生装置29の作動が停止あるいは負圧回路が切断されることにより、吸着パッド32による胡瓜Wの吸着状態が解除され、移載コンベア14上に多数本の胡瓜Wが同時に横並び状態で載置(供給)される。
【0035】
この作業を繰り返すことにより、各コンテナ2内の手元側の列の胡瓜Wが全て取り出され供給コンベア13上に供給されたら、各コンテナ2内の手前側(供給コンベア13側)の列の胡瓜Wを同様にして取り出し、供給コンベア13上に供給する。なお、この取り出し供給作業の繰り返しにより、各コンテナ2内の胡瓜Wが少なくなると、吸引ケース24はコンテナ2内により深く進入して上昇することになるが、この時、吸引ケース24はそのガイドローラ34がコンテナ2の内面2aに接触して転動しつつ移動し、このガイドローラ34によってコンテナ2の歪み等による寸法誤差が吸収されることになる。
【0036】
そして、胡瓜Wが取り出された2個のコンテナ2は、ストッパ35の下降により停止状態が解除されて、コンテナ貯留コンベア4上を下流側に搬送され、取上位置S2の下流側に設けられたストッパ37、38によって停止させられる。このストッパ37、38のうち下流側のストッパ37で停止させられたコンテナ2は、該停止位置に設けられた前記残果検出装置5でコンテナ2内の胡瓜Wの有無が検出され、コンテナ2内に胡瓜Wが1本も残っていない(空コンテナ2Aの)場合は、当該コンテナ2Aは昇降装置6の位置まで搬送され、この位置で昇降装置6が動作して下降位置に設定された排出ラインAに排出される。この排出ラインAに排出される空コンテナ2Aは、空コンテナ排出コンベア9から空コンテナ搬送コンベア7上に直接排出され、空コンテナ搬送コンベア7で下流側に搬送される。
【0037】
一方、コンテナ2内に1本でも胡瓜Wが残っている(残果コンテナ2Bの)場合は、残果コンテナ2B内の胡瓜Wが残果検出装置5で検出され、この検出信号によって昇降装置6が上昇位置に保持される。そして、残果コンテナ2Bは、上昇位置にある昇降装置6から排出ラインBに排出され、先ず残果コンテナ搬送コンベア10で昇降装置11の位置、すなわち姿勢補正作業位置S1まで搬送される。
【0038】
この姿勢補正作業位置S1まで搬送された残果コンテナ2Bは、姿勢補正作業位置S1で例えば一旦停止させられ、該位置S1で選別コンベア8上の胡瓜Wの姿勢補正作業をしている作業者Mによって取り上げられる。これにより、残果コンテナ2B内の胡瓜W(残果)が処理されて空のコンテナ2となり、この空のコンテナ2が昇降装置11で下降させられ、空コンテナ排出コンベア12を介して空コンテナ搬送コンベア7上に排出される。
【0039】
なお、姿勢補正作業位置S1においては、残果コンテナ2Bが残果コンテナ搬送コンベア10で搬送されてきた際に、これをセンサで検出したり前記残果検出装置5の検出信号に基づいて、図示しないランプを点灯させたりブザーを鳴らすことにより作業者Mに報知するようにする。また、作業者Mによって取り上げられた残果の胡瓜Wは、選別コンベア8の空きバケット8aに載置(供給)されたり、姿勢補正作業位置S1近傍に別途設置した適宜の容器内に一時保管して選別コンベア8に適宜供給される。
【0040】
つまり、収容されている胡瓜Wが全てロボット18によって取り上げられた空コンテナ2Aの場合は、この空コンテナ2Aを排出ラインAを介して空コンテナ搬送コンベア7に直接排出する。また、供給ロボット18の例えば吸着ミスでコンテナ2内に1本でも胡瓜Wが残っている残果コンテナ2Bの場合は、排出ラインBの残果コンテナ搬送コンベア10で選別コンベア8の始端側に設けた姿勢補正作業位置S1まで搬送し、該位置S1の作業者Mによって胡瓜Wが取り上げられて空とされた後に、昇降装置11及び空コンテナ排出コンベア12を介して空コンテナ搬送コンベア7上に排出されることになる。
【0041】
したがって、ロボット18の吸着パッド32によって胡瓜Wに取上ミス(吸着ミス)が発生した場合であっても、このコンテナ2Bが、その内部に胡瓜Wが残ったままの状態で下流側に搬送され、これが排出ラインBに自動排出されることになり、ロボット18による取上ミスを完全に防止するような機構や、この取上ミスをカバーできるようなロボット18の動作(制御)が不要となり、残果があるか否かに関係なく、ロボット18の動作を一定化することができる。
【0042】
なお、ストッパ35で停止させられ、ロボット18の所定回数の動作で内部の胡瓜Wが取り上げられた前後2個のコンテナ2は、ストッパ35の下降により停止状態が解除されて下流側に搬送されると、下流側に位置するストッパ35が上昇すると共に上流側のストッパ36が下降して、直上流側に待機していた次の2個のコンテナ2が取上位置S2に停止し、この各コンテナ2内の胡瓜Wが前述したと同様にロボット18により供給コンベア13上に供給される。また、残果検出装置5でコンテナ2の残果の有無が検出され、これがストッパ37の下降で下流側に搬送されると、上流側のストッパ38で停止していた次のコンテナ2が停止位置まで搬送され、このコンテナ2の残果が残果検出装置5で検出され、この検出結果に基づいて前述した如く所定の排出ラインA、Bに排出される。
【0043】
ところで、ロボット18によって供給コンベア13上に供給された胡瓜Wは、平板状の吸着パッド32の多数の吸引口33によって多数本同時に横並び状態で吸着されて供給されることから、供給コンベア13の移載コンベア14上に載置された時点で、その向きが略揃えられている。そして、この胡瓜Wは供給コンベア13によって、その下流側に搬送される。
【0044】
この時、ロボット18の作動と供給コンベア13の移載コンベア14及び定数供給コンベア15の作動が前述した如く制御されることにより、密着コンベア16上で胡瓜Wが密着した状態となる。この胡瓜Wがタイミングコンベア17によって選別コンベア8のバケット8aの搬送と同期されつつ、各バケット8a内に胡瓜Wが一個ずつ移載されて、選別コンベア8に設けられている図示しない選別装置に供給されることになる。
【0045】
このように上記実施例の供給装置1にあっては、ロボット18が配置される取上位置S2の下流側に、ロボット18によって一連の動作が終了したコンテナ2内の胡瓜Wの有無を検出する残果検出装置5を配置し、この残果検出装置5の検出結果に基づいて、胡瓜Wが残っていない空コンテナ2Aと、ロボット18の取上ミス等によりコンテナ2内に胡瓜Wが残存する残果コンテナ2Bとを、昇降装置6で排出ラインAと排出ラインBに択一的に振り分けて空コンテナ搬送コンベア7上に排出することができる。
【0046】
すなわち、空コンテナ2Aは、排出ラインAを介して空コンテナ搬送コンベア7上に直接排出され、残果コンテナ2Bは、選別コンベア8の姿勢補正作業位置S1を介して空コンテナ搬送コンベア7上に排出されるため、ロボット18による胡瓜Wの取上ミス等に関係なくロボット18で一定した取上動作を行うことができると共に、残果コンテナ2Bによるロボット18や供給コンベア13の停止(作業中断)がなくなり、コンテナ供給コンベア3及びコンテナ貯留コンベア4から供給される農産物入りのコンテナ2を、所定の取上サイクルによって取り上げ作業を行うことができる。
【0047】
その結果、ロボット18により供給コンベア13上に供給される胡瓜Wの供給量を均一化することができ、これに伴い供給コンベア13から選別コンベア8への胡瓜Wの充填率を高めることができて、選別コンベア8における空きバケット8aの発生率をより抑えることができる等、選別装置による選別効率を向上させることが可能になる。特に、姿勢補正作業位置S1において、残果コンテナ2B内の胡瓜Wを作業者Mによって取り上げ、これを選別コンベア8の空きバケット8aに手で供給するようにすれば、選別コンベア8の充填率(選別効率)をより一層高めることができる。
【0048】
また、残果コンテナ2Bが排出ラインBを介して選別コンベア8の始端側の姿勢補正作業位置S1まで搬送され、この残果コンテナ2B内の胡瓜Wが姿勢補正作業位置S1で作業をしている作業者Mによって取り上げられ、空となったコンテナ2が空コンテナ搬送コンベア7上に排出されるため、残果コンテナ2B内の胡瓜Wを取り出す(処理)専任の作業者を配置することなく、選別コンベア8の始端側に常駐している姿勢補正用の作業者Mを効率的に使用することができて、作業者Mの作業効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0049】
さらに、取上位置S2の下流側にコンテナ2を振り分ける昇降装置6を配置しているため、予め設定したロボット18の取上ミスの発生頻度以内であれば、ロボット18の取上動作を中断する必要がなく取り上げ作業を連続的に行うことができて、連接するコンテナ2に対するロボット18自体の一連の所定動作を一定化することができ、結果としてロボット18の機構や動作制御を簡素化することができる。
【0050】
また、ロボット18に所定頻度の取上ミスを予め設定することができるため、ロボット18の吸着パッド32の各吸引口33によって確実に胡瓜Wを吸着する機構を別途設けたり、吸引口33をそれぞれ個別に吸引する必要がなくなり、吸着パッド32を吸引ケース24の下壁24aに単に固定する等の簡単な吸引構造を採用することができる。また、残果処理のための専任の作業者を配置する必要がないため、人件費(トータル人件費)の削減が図れる。これらのことから、構成簡易にして安価な供給装置1を得ることが可能になる。
【0051】
さらにまた、残果コンテナ2Bは、排出ラインBの昇降装置11の位置で作業者Mによって取り上げられて空となり、この空のコンテナ2が空コンテナ排出コンベア12を介して空コンテナ搬送コンベア7上に排出されるため、残果処理された残果コンテナ2Bと当初からの空コンテナ2Aとを空コンテナ排出コンベア12、9の下流側で合流されつつ、空コンテナ搬送コンベア7上に排出することができる。その結果、両排出ラインA、Bから空コンテナ搬送コンベア7上に空のコンテナ2を効率的に排出することができて、空のコンテナ2の排出効率が向上すると共に、この空のコンテナ2の排出効率の向上によって、ロボット18による胡瓜Wの取上サイクルをより最適値に設定することができる。
【0052】
また、吸着パッド32が弾性部材からなりかつ平板状に形成されているため、吸引口33の周縁が胡瓜Wの表面形状に応じて的確に変形し、適切な吸着状態が得られると共に、吸着パッド32が所定の幅を有することから、吸引口33の周縁のより広い面積を胡瓜Wに接触させることができたり、あるいは胡瓜Wが斜めの状態で収容されている場合には、千鳥状の一対の吸引口33で胡瓜Wの二箇所を吸着することができる。これにより、長物農産物としての胡瓜Wの吸着ミスを所定の発生頻度内となるように容易に抑えることができ、結果として、作業者Mの作業の負担を軽減させることが可能になる。
【0053】
またさらに、吸着パッド32により、多数本の胡瓜Wを同時に一括して吸着保持し供給コンベア13に供給することができるため、胡瓜Wのコンテナ2から供給コンベア13への供給作業をロボット18によって自動化することができ、供給作業効率を大幅に向上させることができる。また、平板状の吸着パッド32によって多数本の胡瓜Wを吸着し、これを供給コンベア13の移載コンベア14上に横向き状態でかつ向きが略揃えられた状態で供給することができるため、胡瓜Wの向き揃え等の手直し作業等が不要になると共に、移載コンベア14上で胡瓜Wが山盛り状態とならないため、山崩し用のコンベアが必要なくなり、供給コンベア13自体の機長を短くすることができる。
【0054】
なお、上記実施例では、選別コンベア8の始端側近傍に、姿勢補正作業位置S1を設定して選別コンベア8上の胡瓜Wの姿勢を手作業で整えるための作業エリアとしたが、この位置S1には、胡瓜Wの外観を目視判別するための作業エリアとしての目視判別作業位置(図示せず)を設定することもできる。この目視判別作業位置での作業は、選別コンベア8上に載せられた胡瓜Wの、例えば等級(秀、優、良等)を目視判別して胡瓜Wの載せ位置をバケット8aの横方向(中央、左、右)に動かすことで判別した胡瓜Wの等級をバケット8a上で示すようにしている。これにより、バケット8a上で動かした胡瓜Wの外観の等級を自動的に検出することができることになる。
【0055】
また、上記実施例においては、コンテナ2を2つの排出ラインA、Bに振り分ける場合について説明したが、本発明はこれに何等限定されるものでもなく、少なくとも残果コンテナ2Bを姿勢補正作業位置S1または目視判別作業位置に搬送し得る排出ライン(搬送コンベア)を備えれば良く、3つ以上の排出ラインを設けることもできる。さらに、上記実施例における、排出ラインA、B自体の構成、振り分け手段としての昇降装置6の構成、各種コンベアの形態及び配置、ロボット18の吸引部の構造等も一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることはいうまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の発明によれば、取上手段による容器内からの農産物の取り上げ・処理装置への供給動作が終了すると、この容器内の農産物の有無が検出手段で検出され、その検出結果に基づいて、振り分け手段で空容器と残果容器とに自動的に振り分けられて排出され、残果容器のみを残果容器搬送手段で処理装置の手作業位置まで搬送するため、該位置で残果容器内の残果を処理することができるので、残果容器に関連する作業中断を防ぐことができて、取上手段による取上サイクルの低下が防止される。これにより、処理装置への農産物の供給量を均一化することができ、これに伴い農産物の処理装置への充填率が高められて、処理装置による農産物の処理効率を向上させることができる。又、取上手段による取上ミスが発生した場合であっても、この残果容器内の残果を手作業位置で処理することができるので、取上手段による取上ミスを完全に防止するような機構や、この取上ミスをカバーできるような取上手段の動作(制御)が不要となり、結果として取上手段の機構や動作制御を簡素化することができる。
【0057】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、残果容器が処理装置の選別コンベアの始端側に設けられた姿勢補正作業位置または目視判別作業位置に搬送されるため、残果処理用の専任の作業者を配置することなく、姿勢補正作業位置または目視判別作業位置の作業者によって残果容器内の残果を処理することができて、作業者の作業効率を向上させることができる。
【0058】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加え、空容器と残果が処理されて空となった容器とが、空容器搬送手段で合流されつつ搬送されるため、空容器を空容器搬送手段に効率良く排出することができて、空容器の排出及び搬送をスムーズに行うことができる。
【0059】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3記載の発明の効果に加え、容器内に一列状態で収容されている農産物を、取上手段の多数の吸引部による負圧でそれぞれ吸引して取り上げることができるため、多数の農産物の一括取り上げが可能になって、処理装置への農産物の供給効率を向上させることができる。
【0061】
また、請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4記載の発明の効果に加え、長物農産物はその長手方向が処理装置の搬送方向と直交する横向きにされて処理装置に供給されるため、形状等が均一化し難い胡瓜や茄子等の長物農産物であっても、その向きが所定方向に整列しかつ供給量が均一化した状態で処理装置に供給することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる農産物の供給装置が設置される選果場ラインの一部を示す平面図
【図2】同図1のA−A矢視図
【図3】同図1のB−B矢視図
【図4】同ロボットの正面図
【図5】同その要部拡大図
【図6】同図4の側面図
【図7】従来の農産物の供給装置を示す概略構成図
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・供給装置
2・・・・・・・・・・・・コンテナ
2A・・・・・・・・・・・空コンテナ
2B・・・・・・・・・・・残果コンテナ
3・・・・・・・・・・・・コンテナ供給コンベア
4・・・・・・・・・・・・コンテナ貯留コンベア
5・・・・・・・・・・・・残果検出装置
6・・・・・・・・・・・・昇降装置
7・・・・・・・・・・・・空コンテナ搬送コンベア
8・・・・・・・・・・・・選別コンベア
9、12・・・・・・・・・空コンテナ排出コンベア
10・・・・・・・・・・・残果コンテナ搬送コンベア
11・・・・・・・・・・・昇降装置
13・・・・・・・・・・・供給コンベア
14・・・・・・・・・・・移載コンベア
18・・・・・・・・・・・ロボット
19・・・・・・・・・・・アーム
24・・・・・・・・・・・吸引ケース
29・・・・・・・・・・・負圧発生装置
30・・・・・・・・・・・通孔
31・・・・・・・・・・・蛇腹
32・・・・・・・・・・・吸着パッド
33・・・・・・・・・・・吸引口
A、B・・・・・・・・・・排出ライン
S1・・・・・・・・・・・姿勢補正作業位置
S2・・・・・・・・・・・取上位置
W・・・・・・・・・・・・胡瓜
Claims (5)
- 容器内に収容された多数の農産物を取り上げ、この取り上げた農産物を処理装置に供給する農産物の供給装置であって、
多数の農産物入り容器を搬送する容器搬送手段と、該容器搬送手段の搬送方向途中に設けられ容器内の農産物を取り上げて処理装置に供給する取上手段と、該取上手段による前記容器内の農産物の取り上げ・供給動作の終了後当該容器内の農産物の有無を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づいて空容器と残果容器とに振り分けて排出する振り分け手段と、該振り分け手段で振り分けられて排出された残果容器を処理装置の手作業位置まで搬送する残果容器搬送手段と、を備えたことを特徴とする農産物の供給装置。 - 前記手作業位置は、前記処理装置の選別コンベアの始端側に設けられ農産物の姿勢を手作業で整える姿勢補正作業位置または農産物の外観を目視判別するための目視判別作業位置であることを特徴とする請求項1記載の農産物の供給装置。
- 前記振り分け手段で振り分けられて排出された空容器と、前記処理装置の手作業位置において残果容器内の農産物が処理されて空になった容器とを合流させて搬送し得る空容器搬送手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の農産物の供給装置。
- 前記取上手段は、容器内の多数の農産物を負圧によって吸引する吸引部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の農産物の供給装置。
- 前記農産物が長物農産物であり、該長物農産物はその長手方向が少なくとも処理装置の搬送方向と略直交する横向きにして処理装置に供給されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の農産物の供給装置。
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