JP3783788B2 - 導電ペースト及び電気回路形成基板の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気回路用として有用な導電ペースト及びこれを用いた電気回路形成基板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板、電子部品等の電気回路を形成する一法として、工業調査会発行の「電子材料」1994年10月号、第42〜46頁に記載されているように、導電ペーストを塗布又は印刷する方法が知られている。このペーストの導電成分として金、銀、銅、ニッケル、カーボン等の導電粉末が用いられている。特に高導電性が要求される分野では、導電粉末として金又は銀粉が一般的に用いられている。
【0003】
銀粉を用いた導電ペーストは、導電性が良好なことから印刷配線板、電子部品等の配線導体や電極として使用されている。しかしながら、導通抵抗の良好な導体を得るには銀粉の配合量を高くしなければならず、銀粉が高価であることから導電ペーストも高価になるという欠点があった。また、銀粉を用いた導電ペーストは、マイグレーションによる絶縁不良が発生しやすいという欠点もあった。
ニツケル粉などを使用すれば安価な導電ペーストが得られる。しかし、微細なニッケル粉は凝集が強くこのまま用いると抵抗が高くなり分散性も悪くなるという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、導電性、分散性、印刷性、接着性及び経済性に優れ、マイグーションによる欠点がなく、しかも安価な導電ペーストを提供するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の導電性、分散性、印刷性に加えて、保存安定性に優れた導電ペーストを提供するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の導電性、分散性、印刷性のうち、特に導電性及び印刷性に優れた導電ペーストを提供するものである。
【0005】
請求項4記載の発明は、導電性及び印刷性に優れ、比抵抗が低く、特に、冷熱衝撃、高温放置、高温高湿等の過酷な条件における比抵抗変化が小さい、経済的にも優れた電気回路形成基板の製造法を提供するものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の前記課題において、それらの課題解決の効果の高い電気回路を形成できる電気回路形成基板の製造法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電粉としてアスペクト比がともに3以上であるりん片状銀粉とりん片状ニッケル粉を銀粉:ニッケル粉の重量比で90:10〜65:35の割合で含み、レゾール型フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含有し、かつ導電粉の含有量が導電ペーストに対し50〜80重量%であり、レゾール型フェノール樹脂の含有量が導電ペーストに対し5〜15重量%である導電ペーストに関する。
また、本発明は、レゾール型フェノール樹脂が、数平均分子量2,500以下、重量平均分子量16,000以下である導電ペーストに関する。
また、本発明は、りん片状銀粉が平均粒子径5〜15μmであり、りん片状ニッケル粉が平均粒子径5〜17μmである導電ペーストに関する。
【0007】
また本発明は、前記導電ペーストを用いて電気回路の一部又は全部を形成することを特徴とする電気回路形成基板の製造法に関する。
さらに本発明は、導電ペーストを用いて形成する前記電気回路が、電気回路を両面に有する電気回路基板の貫通するスルーホール部分の電気回路であり、導電ペーストでこのスルーホールを通じて両面の電気回路を導通させる電気回路形成基板の製造法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明においては、導電粉としてりん片状銀粉とりん片状ニッケル粉を特定の割合で用いることが重要である。これにより、優れた導電性と分散性が得られる。いずれかの導電粉がりん片状(魚の鱗のような形状)でないと、優れた導電性と分散性が得られない。
導電粉としては、ともにアスペクト比が3以上のりん片状銀粉とりん片状ニッケル粉を用いる。いずれかの導電粉のアスペクト比が3未満であると、優れた導電性が得られにくい傾向がある。
【0009】
アスペクト比は、高導電性の点から、5以上であるのがより好ましく、6以上であるのがさらに好ましく、7以上であるのが特に好ましい。上限は特にないが、一般に20以下が好ましい。また、銀粉及びニッケル粉のいずれの導電粉もアスペクト比が好ましくは5以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上であるのがよい。
本発明におけるアスペクト比とは、導電粉の粒子の長径と短径の比率(長径/短径)をいう。本発明においては、粘度の低い硬化性樹脂中に導電粉の粒子をよく混合し、静置して粒子を沈降させるとともにそのまま樹脂を硬化させ、得られた硬化物を垂直方向に切断し、その切断面に現れる粒子の形状を電子顕微鏡で拡大して観察し、少なくとも100の粒子について一つ一つの粒子の長径/短径を求め、それらの平均値をもってアスペクト比とする。
ここで、短径とは、前記切断面に現れる粒子について、その粒子の外側に接する二つの平行線の組合せを粒子を挾むように選択し、これらの組合せのうち最短間隔になる二つの平行線の距離である。一方、長径とは、前記短径を決する平行線に直角方向の二つの平行線であって、粒子の外側に接する二つの平行線の組合せのうち、最長間隔になる二つの平行線の距離である。これらの四つの線で形成される長方形は、粒子がちょうどその中に納まる大きさとなる。
なお、本発明において行った具体的方法については後述する。
【0010】
本発明において、銀粉とニッケル粉の混合割合は、銀粉:ニッケル粉の重量比で90:10〜65:35の割合とする。ここで銀粉が90を超えると分散性が低下し、また高価になり、一方、65未満であると導電性が低下する。
これらの点から、銀粉とニッケル粉の混合割合は、銀粉:ニッケル粉の重量比で90:10〜70:30の割合とするのが好ましい。
銀粉の平均粒子径は印刷性及び導電性の面から5〜15μmが好ましく、また、ニッケル粉の平均粒子径は印刷性及び導電性の面から5〜17μmが好ましい。なお、ここでいう平均粒子径は、レーザー散乱型粒度分布測定装置により測定することができる。本発明においては、前記装置としてマスターサイザー(マルバン社製)を用いて測定した。
【0011】
ニッケル粉としては、もともとりん片状のものの他、球状、立方体状、四面体状、略球状等の形状の、好ましくは平均粒子径が10μm以下のニッケル粉をりん片状に加工しても使用できる。加工法としては、衝撃を与え、粒子の形状をりん片状に変形させればよいが、具体的にはボールミル、振動ミル、遊星型ボールミル等の方法で変形させればよい。
【0012】
本発明では、樹脂の一成分として、導電性、接着性等の特性に優れる導電ペーストを得るために、樹脂の一成分としてレゾール型フェノール樹脂を用いる。また、レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量は2,500以下で、重量平均分子量は16,000以下のものを用いるのが好ましい。レゾール型フェノール樹脂を用いないと導電性が低下する等の欠点が生じる。またレゾール型フェノール樹脂のいずれかの平均分子量が上記を超えると、導電ペーストの導電性及び保存安定性が低下する傾向にある。数平均分子量は1,800以下がより好ましく、下限としては800以上が好ましい。重量平均分子量は15,000以下がより好ましく、下限としては5,000以上が好ましい。
なお、平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン換算することにより求めることができる。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、アミルフェノール、オクチルフェノール等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、テトラヘキサメチレンヘキサミン等のアルデヒド類とを、常法に従い、金属水酸化物、アミン等の塩基性触媒下で反応させて得られる。これらの樹脂は、単独で又は二種類以上で用いることができる。
【0013】
また、本発明ではもう一つの樹脂成分としてエポキシ樹脂を用いる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、可とう性エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂等各種のエポキシ樹脂が挙げられる。これらの中ではビスフェノール型エポキシ樹脂が、硬化性と導電性が特に優れるので好ましい。これらの樹脂は、単独で又は二種類以上で用いることができる。
前記レゾール型フェノール樹脂とエポキシ樹脂の重量比は、保存安定性等の観点から、前者/後者(重量比)で、97/3〜50/50とするのが好ましく、90/10〜60/40とするのがより好ましい。
【0014】
また、必要に応じて硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、イミダゾールなどが好ましいものとして挙げられる。これらは、エポキシ樹脂に対して0.5〜1.5重量%用いるのが好ましい。
また、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホンアミド、スルファニル酸、スルファミン、シュウ酸、リン酸、1,8−ジアゾビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7などの硬化促進剤を用いることもできる。これらを用いる場合は、樹脂の合計に対して0.1〜10重量%であるのが好ましい。0.1重量%未満では硬化性が不十分になる傾向にあり、導電材としての特性が低下する傾向にあり、10重量%を超えると保存安定性が低下する傾向にある。
【0015】
さらに必要に応じてベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール等の腐食抑制剤、微小黒鉛粉末などを用いることもできる。
以上の各成分は、通常溶媒中に溶解又は分散される。溶媒は特に制限はないが、好ましいものとしては、テルピネオール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等が挙げられる。
【0016】
導電粉の含有量は、導電ペーストに対して抵抗と経済性から50〜80重量%とされ、その割合が、50重量%未満であると抵抗が高くなり、80重量%を超えると接着性が低下するとともに経済的に不利になる。
フェノール樹脂の含有量は、導電ペーストに対し5〜15重量%とされ、その割合が、5重量%未満であると導電粉が多くなり接着性が低下するとともに経済的に不利になり、15重量%を超えると抵抗が高くなる。
【0017】
エポキシ樹脂の含有量は、導電ペーストに対し0.1〜10重量%であることが好ましい。その割合が、0.1重量%未満であると接着性が低下する傾向にあり、10重量%を超えると抵抗が高くなる傾向にある。
溶媒とその他の成分の混合比は特に制限はされないが、印刷性(にじみや垂れ)の点で、有機溶媒は導電ペーストの3〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。
【0018】
次に、前記導電ペーストを用いて電気回路を形成することを特徴とする電気回路形成基板の製造法について説明する。
電気回路を形成する基板としては、紙フェノール積層板、ガラスエポキシ積層板、ガラス不織布とガラスクロスを併用したコンポジット積層板、ポリアミドイミド積層板などの積層板、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドイミドなどのフィルムなどを使用することができる。
これらの基板に導電性ペーストによる電気回路を形成する方法は特に制限されないが、作業性、生産性等の面からスクリーン印刷法、コンピュータ制御によるディスペンサによる方法等が好ましい。
【0019】
前記導電ペーストで形成する電気回路としては、例えば銅箔回路を両面に有する電気回路基板に貫通するスルーホールを形成し、このスルーホールを通じて両面の電気回路を導通させるための電気回路がこの導電ペーストの特性を活かした好ましいものとして挙げられる。この電気回路の模式図を図1及び図2に示す。図1は平面図、図2は断面図である。両面印刷配線板の基板1上には銅箔2による電気回路が形成されている。スルーホール4には、スクリーン印刷等により導電ペースト3による導通回路が形成されている。
またその他に、前記導電ペーストでは、基板上に一般に形成される銅箔回路自体の一部又は全部や、ジャンパー回路を形成することができる。基板に電気回路を印刷し、印刷回路をプレス加工すると、導電性をさらに改善できるので好ましい。
【0020】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
実施例1
レゾール型フェノール樹脂(商品名 PL−2211、群栄化学工業(株)製、数平均分子量1,200、重量平均分子量10,000)50重量部とビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名 エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)20重量部を予め加温溶解させた後室温に冷却したものに2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製)5重量部、エチルカルビトール25重量部、ブチルセロソルブ25重量部を加えて均一に混合して樹脂組成物とした。
一方、平均粒子径が12μm、アスペクト比が8のりん片状銀粉(徳力化学研究所(株)製)200重量部及び平均粒子径が10μm、アスペクト比が9のりん片状ニッケル粉(商品名 NI110104、高純度化学(株)製)70重量部を上記で得た樹脂組成物125重量部に添加し、撹拌らいかい機及び三本ロールで均一に分散して導電ペーストとした。
【0021】
なお、本実施例におけるアスペクト比の具体的測定法を以下に示す。低粘度のエポキシ樹脂(ビューラー社製)の主剤(No.20−8130)8gと硬化剤(No.20−8132)2gを混合し、ここへ導電粉2gを混合して良く分散させ、そのまま30℃で真空脱泡した後、6〜8時間30℃で静置して粒子を沈降させ硬化させた。その後、得られた硬化物を垂直方向に切断し、切断面を電子顕微鏡で2000倍に拡大して切断面に現れた100個の粒子について長径/短径を求め、それらの平均値をもって、アスペクト比とした。
また、平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し標準ポリスチレン換算で決定した。検出装置としては日本分析工業(株)製、RI−3Hを用い、カラムとしてはゲルパックR420、R430及びR440 (商品名 いずれも日立化成工業(株)製)を直列につないで用い、希釈溶媒としてはテトラヒドロフラン(試料500mgを5mlになるように希釈)を用いた。流量は1.75ml/分とした。
【0022】
次に上記で得た導電ペーストを、図3に示したテストパターンに印刷した後加熱硬化させた。基板材料は、紙フェノール基板(商品名 MCL437F、日立化成工業(株)製)で、厚さが1.6mmである。印刷後、大気中で60℃、30分間乾燥し、さらに160℃、30分間加熱処理して配線板を得た。
次に得られた配線板の比抵抗を測定した。その結果、比抵抗は80.2μΩ・mであった。前記配線板の冷熱衝撃試験を実施した結果、比抵抗の変化率は5.2%であった。前記配線板の高温放置を実施した結果、比抵抗の変化率は9.4%であった。前記配線板の恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は8.7%であった。なお、冷熱衝撃試験条件は125℃、30分〜−65℃、30分を100サイクル行い、高温放置試験条件は100℃、1000時間であり、恒温恒湿試験条件は60℃、相対湿度90〜95%中で1000時間行った。耐はんだ試験(26℃、10秒、5回)も行ったが、抵抗変化率は10%以下であった。また、ガラス板上にバーコーターを用い100μmの厚さで導電ペーストを塗布し表面を観察した結果、5mm×5mmの中に100μm程度の凝集粒子が10個観察された。また、この導電ペーストのポットライフを調べたところ、30℃で25日間、粘度の変化率が10%以内であった。
【0023】
実施例2
実施例1で用いたりん片状銀粉240重量部とりん片状ニッケル粉30重量部を樹脂組成物125重量部に加え、実施例1と同様の方法で均一に混合分散して導電ペーストとした。以下実施例1と同様の工程を経て配線板を作製してその特性を評価した。その結果、比抵抗は59.5μΩ・cmであった。前記配線板の冷熱衝撃試験、高温放置試験、恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は、それぞれ6.1%、7.8%、8.8%であった。また、ガラス板上にバーコーターを用い100μmの厚さで導電ペーストを塗布し表面を観察した結果、5mm×5mmの中に100μm程度の凝集粒子が12個観察された。また、この導電ペーストのポットライフを調べたところ、30℃で23日間、粘度の変化率が10%以内であった。
【0024】
比較例1
実施例1で用いたりん片状銀粉270重量部を樹脂組成物125重量部に加え、実施例1と同様の方法で均一に混合分散して導電ペーストとした。以下実施例1と同様の工程を経て配線板を作製してその特性を評価した。その結果、比抵抗は48.5μΩ・mであった。前記配線板の冷熱衝撃試験、高温放置試験、恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は、5.1%、5.8%、6.8%であり、5mm×5mmの中の100μm程度の凝集粒子は10個観察された。
なお、比較例1の導電ペーストと、実施例1の導電ペーストを、表面を脱脂したガラスプレパレート上に幅2mmの電極をお互いに3mm間隔になるように印刷し、約160℃で30分間加熱処理させた。電極間に幅3mmに切断した濾紙を配置し、イオン交換水1μlを濾紙上に滴下して、電極間に5Vの直流電圧を印可した。このとき、経過時間と電極間に流れる電流との関係を測定した。その結果、印可後、マイグレーションが発生して100マイクロアンペアの電流が流れるまでに要した時間は、実施例1では7分であったのに対し、比較例1ではその半分以下の3分であった。
【0025】
比較例2
実施例1で用いたりん片状銀粉200重量部と平均粒子径9μm、アスペクト比1.3の球状ニッケル粉70重量部を実施例1で用いた樹脂組成物125重量部に加え、実施例1と同様の方法で均一に混合分散して導電ペーストとした。以下実施例1と同様の工程を経て配線板を作製してその特性を評価した。その結果、比抵抗は159.5μΩ・cmと高い値であった。前記配線板の冷熱衝撃試験、高温放置試験、恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は、いずれも10%以下となった。
【0026】
実施例3
2リットルボールミル容器に平均粒子径6μmの球状ニッケル粉(商品名 NI110111、高純度化学(株)製)400gと直径5mmのジルコニアボール1.5kg、直径10mmのジルコニアボール1.5kgを投入し、溶媒としてエタノールを用い、遊星型ボールミルで2日間回転させて形状を変形させ、平均粒子径11.3μm、アスペクト比が8のりん片状ニッケル粉を作製した。この後実施例1で得た樹脂組成物125重量部に実施例1と同様のりん片状銀粉200重量部、前記のりん片状ニッケル粉70重量部を加えて、らいかい機及び三本ロールで均一に分散して導電ペーストとした。
【0027】
次に上記で得た導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして配線板を得た。次に得られた配線板の比抵抗を測定した。その結果、比抵抗は79.2μΩ・cmであった。また、実施例1と同様に前記配線板の冷熱衝撃試験、高温放置試験、恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は、それぞれ5.6%、8.4%、8.1%であった。また、ガラス板上にバーコーターを用い100μmの厚さで導電ペーストを塗布し表面を観察した結果、5mm×5mmの中に100μm程度の凝集粒子が16個観察された。また、この導電ペーストのポットライフを調べたところ、30℃で23日間、粘度の変化率が10%以内であった。
【0028】
実施例4
実施例3で用いたりん片状銀粉240重量部とりん片状ニッケル粉30重量部を樹脂組成物125重量部に加え、実施例3と同様の方法で均一に混合分散して導電ペーストとした。以下実施例1と同様の工程を経て配線板を作製してその特性を評価した。その結果、比抵抗は58.5μΩ・cmであった。前記配線板の冷熱衝撃試験、高温放置試験、恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は、それぞれ6.5%、6.8%、8.2%であった。また、ガラス板上にバーコーターを用い100μmの厚さで導電ペーストを塗布し表面を観察した結果、5mm×5mmの中に100μm程度の凝集粒子が14個観察された。また、この導電ペーストのポットライフを調べたところ、30℃で23日間、粘度の変化率が10%以内であった。
【0029】
比較例3
実施例1で用いたりん片状銀粉200重量部と平均粒径11μmの球状ニッケル粉70重量部を実施例1で用いた樹脂組成物125重量部に加え、実施例1と同様の方法で均一に混合分散して導電ペーストとした。以下実施例1と同様の工程を経て配線板を作製してその特性を評価した。その結果、比抵抗は163.5μΩ・cmと高い値であった。前記配線板の冷熱衝撃試験、高温放置試験、恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は、いずれも10%以下となった。
また、ガラス板上にバーコーターを用い100μmの厚さで導電ペーストを塗布し表面を観察した結果、5mm×5mmの中に100μm程度の凝集粒子が21個観察された。
【0031】
比較例5
実施例1で用いたりん片状銀粉162重量部とりん片状ニッケル粉108重量部を樹脂組成物125重量部に加え、実施例1と同様の方法で均一に混合分散して導電ペーストとした。以下実施例1と同様の工程を経て配線板を作製してその特性を評価した。その結果、比抵抗は316μΩ・cmと高い値であった。前記配線板の冷熱衝撃試験、高温放置試験、恒温恒湿試験を実施した結果、比抵抗の変化率は、いずれも10%以下となった。
【0032】
【発明の効果】
請求項1記載の導電ペーストは、導電性、分散性、印刷性、接着性及び経済性に優れる。特に、比抵抗が低く、冷熱衝撃、高温放置、高温高湿等の過酷な条件における比抵抗変化が小さいものであり、また、マイグーションの問題が少なく経済的にも優れる。
請求項2記載の導電ペーストは、請求項1記載の導電ペーストの導電性、分散性及び印刷性に優れる効果を奏し、さらに保存安定性に優れる。
請求項3記載の導電ペーストは、請求項1記載の導電ペーストの導電性、分散性及び印刷性に優れる効果を奏し、特に導電性及び印刷性に優れる。
請求項4記載の電気回路形成基板の製造法は、導電性及び印刷性に優れ、また、比抵抗が低く、特に、冷熱衝撃、高温放置、高温高湿等の過酷な条件における比抵抗変化が小さい、経済的にも優れた基板が得られる。
請求項5記載の電気回路形成基板の製造法は、請求項4記載の電気回路形成基板の製造法の効果を奏し、特にその特性の活かされた電気回路を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電ペーストで電気回路を形成した両面配線板のスルーホール部分の平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本実施例で印刷した電気回路パターンの状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1…基板
2…銅箔
3…導電ペースト
4…スルーホール
5…電気回路パターン
Claims (5)
- 導電粉としてアスペクト比がともに3以上であるりん片状銀粉とりん片状ニッケル粉を銀粉:ニッケル粉の重量比で90:10〜65:35の割合で含み、レゾール型フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含有し、かつ導電粉の含有量が導電ペーストに対し50〜80重量%であり、レゾール型フェノール樹脂の含有量が導電ペーストに対し5〜15重量%である導電ペースト。
- レゾール型フェノール樹脂が、数平均分子量2,500以下、重量平均分子量16,000以下である請求項1記載の導電ペースト。
- りん片状銀粉が平均粒子径5〜15μmであり、りん片状ニッケル粉が平均粒子径5〜17μmである請求項1又は2記載の導電ペースト。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の導電ペーストを用いて電気回路の一部又は全部を形成すること特徴とする電気回路形成基板の製造法。
- 導電ペーストを用いて形成する電気回路が、電気回路を両面に有する電気回路基板の貫通するスルーホール部分の電気回路であり、導電ペーストでこのスルーホールを通じて両面の電気回路を導通させる請求項4記載の電気回路形成基板の製造法。
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