JP3783485B2 - 化合物半導体多層薄膜の製造方法 - Google Patents

化合物半導体多層薄膜の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物半導体多層薄膜の製造方法に係り、特に、P系化合物薄膜からなるエッチングストッパ層を有するAs系化合物半導体多層薄膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
単一の材料からなるSi半導体多層薄膜と異なり、化合物半導体多層薄膜は、異なる組成の化合物半導体薄膜を互いに接合することでへテロ界面を形成することが可能である。
【0003】
あるエッチャントに対するエッチング速度が大きく異なる材料を用い、それらの薄膜を、このヘテロ界面の上下に形成した場合、エッチング速度が遅い方の薄膜をエッチングストッパ層(以下、ストッパ層と示す)として利用することができる。特に、GaAs層とAlGaAs層とで構成されるAs系化合物半導体多層薄膜のヘテロ界面上側に、ストッパ層としてP系化合物薄膜を形成すると共に、燐酸系のエッチャントを用いた場合、このP系化合物薄膜が、選択比100以上の優れたストッパ層となる事が知られている。
【0004】
As系化合物半導体多層薄膜を用いてへテロ・バイポーラ・トランジスタ、電界効果トランジスタ等のデバイスを作製する際に、選択比に優れた(選択比が大きい)P系化合物薄膜からなるストッパ層をヘテロ界面上側に形成することにより、デバイスの均一性や歩留まりが著しく向上することから、ストッパ層としてのP系化合物薄膜の利用が拡大しつつある。
【0005】
このP系化合物薄膜からなるストッパ層を有するAs系化合物半導体多層薄膜は、通常MBE(分子線エピタキシー)法、GS−MBE(ガスソースMBE)法、MOVPE(有機金属気相エピタキシー)法などの気相成長法によって製造されている。
【0006】
例えば、GaAs層→GaInP 層→GaAs層の順に成長させる場合、図8に示すように、先ず、Ga原料およびAs原料を供給してGaAs層を成長させる。その後、Ga原料の供給は続けたまま、As原料の供給を停止すると共にIn原料およびP原料を供給し、GaAs層上にGaInP 層を成長させる。その後、Ga原料の供給は続けたまま、In原料およびP原料の供給を停止すると共にAs原料の供給を再開し、GaInP 層上にGaAs層を成長させる。すなわち、ストッパ層を成長させる前後の工程で、As原料の供給とP原料の供給の切り替えを行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常の気相成長法においては、
(a) As、PなどのV族元素は、Ga、In、Alなどの III族元素原料の数倍〜数百倍の量が供給される。
【0008】
(b) 分解した固体AsやPの蒸気圧が比較的高い。
【0009】
といったことが原因となって、原料供給を中断したとしても、半導体製造装置のリアクターやチャンバー内に残留する傾向がある。このため、P系化合物薄膜成長のためにAs原料の供給を停止しても、リアクターやチャンバー内に残留したAsが、成長中のP系化合物薄膜中に混入してしまうといった問題が生じる。
【0010】
例えば、MOVPE装置を用いると共に、原料としてTMG(トリメチルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)、AsH3 (アルシン)、およびPH3 (ホスフィン)を使用し、図8に示した手順で、GaAs基板上にバッファ層としてGaAs層を500nm、GaAs層上にストッパ層としてGaInP 層を200nmの厚さで形成した。その後、As濃度のデプスプロファイルをSIMS(二次イオン質量分析)法によって測定した結果、GaInP 層成長の際にAs原料の供給を停止しているにも関わらず、GaInP 層中には1×1021cm-3前後と高濃度なAsが混入しており、実際にはGaInPAs 層が形成されている事がわかる。
【0011】
このAsの混入量(濃度)は、ストッパ層の層厚が厚くなる程又はストッパ層を成長させる時間が長くなる程に減少する。
【0012】
このため、ストッパ層の層厚を100nm程度にすることでAs濃度をV族元素の5%以下程度に抑えることはできる。しかし、通常、ストッパ層は、抵抗の増加等を防ぐ目的で数nm〜数十nm位の層厚とされることが多いため、ストッパ層の層厚を100nm程度とすることは事実上不可能であり、実際は、高濃度(10〜30%)のAsを含有したストッパ層が形成されてしまう。
【0013】
また、GaInP 層が燐酸系エッチャントでエッチングされ難いことからストッパ層としての利用が拡大しているのに、実際に形成される高濃度のAsを含有したGaInPAs 層は燐酸系エッチャントでエッチングされ易いため、上述したデバイス等を作製する際、歩留まり低下などが生じるという問題があった。
【0014】
さらに、ストッパ層を成長させる時間を長くすれば、ストッパ層のAs濃度を減少させることができるものの、生産性の低下を招いてしまう。
【0015】
そこで本発明は、上記課題を解決し、歩留り及び生産性が良好で、かつ、エッチングストッパ層として成長させるP系化合物薄膜中にAsが殆ど混入しない化合物半導体多層薄膜の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、半絶縁性のGaAs基板上に多層形成されたAs系化合物半導体薄膜のヘテロ界面上側に、エッチングストッパ層であるP系化合物薄膜を形成する化合物半導体多層薄膜の製造方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けるものである。
【0017】
請求項2の発明は、半絶縁性のGaAs基板と、該GaAs基板上に形成された第一のGaAs層或いはAlGaAs層と、該GaAs層或いはAlGaAs層上に形成され、P系化合物薄膜からなるエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層上に形成された第二のGaAs層或いはAlGaAs層とを備えた化合物半導体多層薄膜を製造する方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けるものである。
【0018】
請求項3の発明は、半絶縁性のGaAs基板と、該GaAs基板上に形成された第一のGaInAs層或いはAlGaInAs層と、該GaInAs層或いはAlGaInAs層上に形成され、P系化合物薄膜からなるエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層上に形成された第二のGaInAs層或いはAlGaInAs層とを備えた化合物半導体多層薄膜を製造する方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けるものである。
【0019】
請求項4の発明は、半絶縁性のGaAs基板と、該GaAs基板上に形成された第一のGaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層と、該GaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層上に形成され、P系化合物薄膜からなるエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層上に形成された第二のGaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層とを備えた化合物半導体多層薄膜を製造する方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けるものである。
【0020】
以上の方法によれば、エッチングストッパ層として成長させたP系化合物薄膜中にAsが殆ど混入されず、燐酸系のエッチャントを用いた場合、選択比が大きいストッパ層となる。
【0021】
請求項5の発明は、上記P系化合物薄膜を、GaInP AlInP AlGaInP 中から選択される1種で形成する請求項1乃至請求項4いずれかに記載の化合物半導体多層薄膜の製造方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0023】
本発明の化合物半導体多層薄膜の製造方法は、先ず、半絶縁性のGaAs基板上に、As系化合物半導体薄膜からなる層を適宜形成した後、Ga原料、As原料或いはAl原料、Ga原料、As原料を同時に供給し、ある層上に、第一のGaAs層或いはAlGaAs層を成長させる。
【0024】
その後、GaAs層或いはAlGaAs層上に、P系化合物薄膜からなるストッパ層を成長させるべく、先ず、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料およびP原料を供給する。この段階では、成長するP系化合物薄膜中に、化合物半導体多層薄膜の製造装置のリアクター或いはチャンバー内に残留しているAsが混入する。次に、P原料の供給は続けたまま、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料の供給を所定時間tだけ停止する。これによって、前述したリアクター或いはチャンバー内に残留しているAsまたはAs化合物がP原料で置換され、続いて、前工程で形成されたAsが混入したP系化合物薄膜の表面付近に存在しているAs成分がPで置換される。その後、P原料の供給は続けたまま、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料の供給を再開し、純粋なP系化合物薄膜からなるストッパ層を成長させる。
【0025】
この時、P系化合物薄膜を成長させる全工程中、P原料の供給は続けたまま、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料の供給を所定時間tだけ停止するという工程を1回以上設ける。
【0026】
次に、P原料の供給を停止すると共に、Ga原料、As原料或いはAl原料、Ga原料、As原料を同時に供給し、ストッパ層上に、第二のGaAs層或いはAlGaAs層を成長させる。
【0027】
これによって、GaAs層(或いはAlGaAs層)/P系化合物薄膜/GaAs層(或いはAlGaAs層)構造を有するAs系化合物半導体多層薄膜が得られる。
【0028】
より具体的には、図1に示すように、GaAs基板1上に、順に、i-GaAsバッファ層2、i-AlGaAsバッファ層3、Siプレーナドープ層4、i-AlGaAsスペーサ層5、i-GaInAsチャネル層6、i-AlGaAsスペーサ層5、Siプレーナドープ層4を形成した後、図2に示すように、Al原料、Ga原料、As原料を同時に供給し、Siプレーナドープ層4上に、i-AlGaAsショットキーコンタクト層7を成長させる。
【0029】
その後、i-AlGaAsショットキーコンタクト層7上に、i-GaInP ストッパ層8を成長させるべく、図2に示すように、先ず、i-GaInP ストッパ層8を構成する全ての原料、すなわち、Ga原料、In原料、P原料を供給する。この段階では、化合物半導体多層薄膜の製造装置のリアクター或いはチャンバー内に残留しているAsが混入することから、i-GaInPAs 層が成長する。
【0030】
次に、P原料の供給は続けたまま、Ga原料およびIn原料の供給を所定時間tだけ停止する。これによって、前述したリアクター或いはチャンバー内に残留しているAsまたはAs化合物がP原料で置換され、続いて、前工程で形成されたi-GaInPAs 層の表面付近に存在しているAs成分がPで置換される。
【0031】
その後、P原料の供給は続けたまま、Ga原料およびIn原料の供給を再開し、i-GaInP ストッパ層8を成長させる。
【0032】
次に、Ga原料の供給は続けたまま、In原料およびP原料の供給を停止すると共に、新たにAs原料を供給し、i-GaInP ストッパ層8上に、n-GaAsオーミックコンタクト層9を成長させる。
【0033】
これによって、GaAs/i-GaAs/i-AlGaAs/Si/i-AlGaAs/i-GaInAs/i-AlGaAs/Si/i-AlGaAs/i-GaInP /n-GaAs構造を有する電界効果トランジスタ用のAs系化合物半導体多層薄膜11が得られる。
【0034】
図1および図2に示した本発明の製造方法では、P系化合物薄膜としてGaInP を用いているが、特に限定するものではなく、その他に AlInP AlGaInP 挙げられる。
【0035】
P系化合物薄膜の膜厚としては、100nm程度もあれば十分であるが、膜抵抗の増加等を防ぐべく、数nm〜数十nm位が好ましい。
【0036】
P原料の供給は続けたまま、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料の供給を停止するという工程を行う回数は、P系化合物薄膜の膜厚によって適宜選択されるものであり、成長させるP系化合物薄膜の膜厚が厚くなるのに応じてその回数も増加し、2回以上必要となることもある。
【0037】
P原料の供給は続けたまま、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料の供給を停止するという工程の継続時間(所定時間t)は、30〜180秒間、好ましくは60〜120秒間である。
【0038】
かかる化合物半導体多層薄膜の製造方法によれば、P系化合物薄膜の少なくとも表面近傍においてはAsが混入していることはなく、また、P系化合物薄膜の膜厚が数nm〜数十nm位であっても、膜全体におけるAs濃度を、P系化合物薄膜を構成するV族元素の5%以下程度に抑えることができる。
【0039】
また、得られるストッパ層が、燐酸系エッチャントでエッチングされ難いことから、へテロ・バイポーラ・トランジスタ、電界効果トランジスタ等のデバイス等を作製する際、歩留まり低下などが生じることはない。
【0040】
さらに、従来の方法と比較しても、ストッパ層を成長させるのに要する時間は殆ど変わらないことから、生産性の低下を招くことはない。
【0041】
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0042】
第1の実施の形態の化合物半導体多層薄膜の製造方法は、先ず、半絶縁性のGaAs基板上に、As系化合物半導体薄膜からなる層を適宜形成した後、Ga原料、In原料、As原料或いはAl原料、Ga原料、In原料、As原料を同時に供給し、ある層上に、第一のGaInAs層或いはAlGaInAs層を成長させる。
【0043】
その後、本発明と同様にして、GaInAs層或いはAlGaInAs層上に、P系化合物薄膜からなるストッパ層を成長させる。この時、P系化合物薄膜の成長させる全工程中、P原料の供給は続けたまま、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料の供給を所定時間tだけ停止するという工程を1回以上設ける。
【0044】
次に、P原料の供給を停止すると共に、Ga原料、In原料、As原料或いはAl原料、Ga原料、In原料、As原料を同時に供給し、ストッパ層上に、第二のGaInAs層或いはAlGaInAs層を成長させる。
【0045】
これによって、GaInAs層(或いはAlGaInAs層)/P系化合物薄膜/GaInAs層(或いはAlGaInAs層)構造を有するAs系化合物半導体多層薄膜が得られる。
【0046】
第2の実施の形態の化合物半導体多層薄膜の製造方法は、先ず、半絶縁性のGaAs基板上に、As系化合物半導体薄膜からなる層を適宜形成した後、Ga原料、In原料、P原料、As原料或いはAl原料、Ga原料、In原料、P原料、As原料を同時に供給し、ある層上に、第一のGaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層を成長させる。
【0047】
その後、本発明と同様にして、GaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層上に、P系化合物薄膜からなるストッパ層を成長させる。この時、P系化合物薄膜の成長させる全工程中、P原料の供給は続けたまま、P系化合物薄膜を構成する全ての III族原料の供給を所定時間tだけ停止するという工程を1回以上設ける。
【0048】
次に、P原料の供給を停止すると共に、Ga原料、In原料、P原料、As原料或いはAl原料、Ga原料、In原料、P原料、As原料を同時に供給し、ストッパ層上に、第二のGaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層を成長させる。
【0049】
これによって、GaInPAs 層(或いはAlGaInPAs 層)/P系化合物薄膜/GaInPAs 層(或いはAlGaInPAs 層)構造を有するAs系化合物半導体多層薄膜が得られる。
【0050】
第1および第2の実施の形態の化合物半導体多層薄膜の製造方法においても、本発明と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0051】
【実施例】
半導体製造装置として減圧MOVPE機を、薄膜構成原料としてTMA(トリメチルアルミニウム) 、TMG、TMI、PH3 、AsH3 、およびSi2 6 (ジシラン)を使用し、GaAs基板上に、膜厚200nmのi-GaAsバッファ層、膜厚100nmのi-AlGaAsバッファ層、Siプレーナドープ層、膜厚2nmのi-AlGaAsスペーサ層、膜厚20nmのi-GaInAsチャネル層、膜厚2nmのi-AlGaAsスペーサ層、Siプレーナドープ層、膜厚20nmのi-AlGaAsショットキーコンタクト層、膜厚6nmのi-GaInP ストッパ層の順に成長させる。
【0052】
このi-GaInP ストッパ層の成長時に、原料供給パターンを変えて、3種類のAs系化合物半導体多層薄膜を製造した。
【0053】
(実施例1)
i-AlGaAsショットキーコンタクト層上に、i-GaInP ストッパ層を成長させる際、先ず、i-GaInP ストッパ層を構成する全ての原料、すなわち、Ga原料、In原料、P原料を12秒間供給する。次に、P原料の供給は続けたまま、Ga原料およびIn原料の供給を90秒間停止する。その後、P原料の供給は続けたまま、Ga原料およびIn原料の供給を再開し、i-GaInP ストッパ層を成長させる。
【0054】
次に、Ga原料の供給は続けたまま、In原料およびP原料の供給を停止すると共に、新たにAs原料を供給し、i-GaInP ストッパ層上に、膜厚30nmのn-GaAsオーミックコンタクト層を成長させ、電界効果トランジスタ用のAs系化合物半導体多層薄膜を製造する。
【0055】
(実施例2)
i-AlGaAsショットキーコンタクト層上に、i-GaInP ストッパ層を成長させる際、先ず、i-GaInP ストッパ層を構成する全ての原料、すなわち、Ga原料、In原料、P原料を12秒間供給する。次に、P原料の供給は続けたまま、Ga原料およびIn原料の供給を90秒間停止し、i-GaInP ストッパ層を成長させる。
【0056】
次に、Ga原料の供給を再開すると共に、新たにAs原料を供給し、i-GaInP ストッパ層上に、膜厚30nmのn-GaAsオーミックコンタクト層を成長させ、電界効果トランジスタ用のAs系化合物半導体多層薄膜を製造する。
【0057】
(比較例1)
i-AlGaAsショットキーコンタクト層上に、i-GaInP ストッパ層を成長させるべく、i-GaInP ストッパ層を構成する全ての原料、すなわち、Ga原料、In原料、P原料を24秒間供給し、i-GaInP ストッパ層を成長させる。
【0058】
次に、Ga原料の供給は続けたまま、In原料およびP原料の供給を停止すると共に、As原料の供給を再開し、i-GaInP ストッパ層上に、膜厚30nmのn-GaAsオーミックコンタクト層を成長させ、電界効果トランジスタ用のAs系化合物半導体多層薄膜を製造する。
【0059】
実施例1,2および比較例1で得られた各As系化合物半導体薄膜(以下、サンプルと示す)のストッパ層のエッチング停止性能を評価するため、以下に示す手順で評価試験を行った。
【0060】
先ず、As系化合物半導体は高速でエッチングされる一方、P系化合物半導体は殆どエッチングされない選択比の大きいエッチング溶液として知られるエッチャント(燐酸:過酸化水素水:純水=1:1:12の割合で合成した溶液)を用いて、サンプル最上層のn-GaAsオーミックコンタクト層を完全に除去し、i-GaInP ストッパ層を表面に露出させる。i-GaInP ストッパ層が表面に露出したかどうかは、サンプルの変色によって確認を行う。
【0061】
次に、i-GaInP ストッパ層を表面に露出させた後、更に50秒間、サンプルをエッチャントに浸し続ける。50秒後、サンプルをエッチャントから取り出し、純水を用いて洗浄を行った後、乾燥させる。乾燥後のサンプル表面の状態をAFM(原子間力顕微鏡)によって観察した。
【0062】
実施例1のサンプルの表面を図5に、実施例2のサンプルの表面を図6に、比較例1のサンプルの表面を図7に示す。但し、図5〜図7は、表面の凹凸を色の濃淡により表現したものであり、白色は凸部を、黒色は凹部を示している。
【0063】
図5,6に示すように、実施例1,2のサンプル表面は略平坦であり、かつ、その表面に、若干の突起(凸部)は観察されるものの、エッチャント抜けの原因となる凹状欠陥は観察されず、i-AlGaAsショットキーコンタクト層が完全に保護されていた。すなわち、エッチングの進行は、i-GaInP ストッパ層の位置で完全に停止していた。このことから、i-GaInP ストッパ層の成長工程の途中で1回、P原料のみ供給するという原料供給パターン(図2参照)により成長させた実施例1のサンプルのi-GaInP ストッパ層中には、ほとんどAsが混入していないことがわかる。また、i-GaInP ストッパ層の成長工程の最後に、P原料のみ供給するという原料供給パターン(図3参照)により成長させた実施例2のサンプルのi-GaInP ストッパ層中にも、ほとんどAsが混入していないことがわかる。
【0064】
尚、実施例2のサンプルの表面には、高濃度で凸状のエッチング残りが存在しており、エッチング工程に引き続いて行われる電極形成工程で問題が生じるおそれがある。よって、電極形成工程に先立って、この凸状のエッチング残りを除去する工程が必要となる。
【0065】
これに対して、図7に示すように、比較例1のサンプルの表面には、多数の孔状欠陥が観察された。この孔状欠陥は、i-GaInP ストッパ層の成長中、局所的に高濃度のAsが混入してi-GaInPAs が形成され、そのAs混入部分が選択的にエッチングされることで形成されたものである。エッチャントは、このような孔状欠陥を通り抜けてしまうため、保護されるべきi-AlGaAsショットキーコンタクト層もエッチングを受けてしまっていた。このことから、従来の原料供給パターン(図4参照)により成長させた比較例1のサンプルのi-GaInP ストッパ層は、エッチングストッパとしての性能が不十分であることが明らかである。
【0066】
実施例1,2および比較例1のサンプルにおいては、i-GaInP ストッパ層の上層および下層に、i-AlGaAsショットキーコンタクト層、n-GaAsオーミックコンタクト層を形成しているが、Inを含むi-GaInAs又はi-AlGaInAs或いはi-GaInPAs 若しくはi-AlGaInPAs からなるショットキーコンタクト層又はオーミックコンタクト層であっても、同様の傾向が見られた。
【0067】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0068】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、P系化合物薄膜の成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けることで、少なくとも表面近傍においては、Asが混入していないP系化合物薄膜を得ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物半導体多層薄膜の製造方法で得られたAs系化合物半導体多層薄膜の拡大断面図である。
【図2】 i-AlGaAs/i-GaInP /n-GaAs構造を有するAs系化合物半導体多層薄膜を製造する際の本発明の原料供給パターンを示す図である。
【図3】 i-AlGaAs/i-GaInP /n-GaAs構造を有するAs系化合物半導体多層薄膜を製造する際の他の実施の形態の原料供給パターンを示す図である。
【図4】 i-AlGaAs/i-GaInP /n-GaAs構造を有するAs系化合物半導体多層薄膜を製造する際の従来の原料供給パターンを示す図である。
【図5】実施例1のAs系化合物半導体多層薄膜の表面状態を原子間力顕微鏡により観察した図である。
【図6】実施例2のAs系化合物半導体多層薄膜の表面状態を原子間力顕微鏡により観察した図である。
【図7】比較例1のAs系化合物半導体多層薄膜の表面状態を原子間力顕微鏡により観察した図である。
【図8】 GaAs/GaInP /GaAs構造を有する従来のAs系化合物半導体多層薄膜の製造方法の原料供給パターンを示す図である。
【図9】 GaAs/GaInP 構造を有する従来のAs系化合物半導体多層薄膜における表面からの距離とAs濃度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板
7 i-AlGaAsショットキーコンタクト層(第一のGaAs層或いはAlGaAs層)
8 i-GaInP ストッパ層(エッチングストッパ層)
9 n-GaAsオーミックコンタクト層(第二のGaAs層或いはAlGaAs層)

Claims (5)

  1. 半絶縁性のGaAs基板上に多層形成されたAs系化合物半導体薄膜のヘテロ界面上側に、エッチングストッパ層であるP系化合物薄膜を形成する化合物半導体多層薄膜の製造方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けることを特徴とする化合物半導体多層薄膜の製造方法。
  2. 半絶縁性のGaAs基板と、該GaAs基板上に形成された第一のGaAs層或いはAlGaAs層と、該GaAs層或いはAlGaAs層上に形成され、P系化合物薄膜からなるエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層上に形成された第二のGaAs層或いはAlGaAs層とを備えた化合物半導体多層薄膜を製造する方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けることを特徴とする化合物半導体多層薄膜の製造方法。
  3. 半絶縁性のGaAs基板と、該GaAs基板上に形成された第一のGaInAs層或いはAlGaInAs層と、該GaInAs層或いはAlGaInAs層上に形成され、P系化合物薄膜からなるエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層上に形成された第二のGaInAs層或いはAlGaInAs層とを備えた化合物半導体多層薄膜を製造する方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けることを特徴とする化合物半導体多層薄膜の製造方法。
  4. 半絶縁性のGaAs基板と、該GaAs基板上に形成された第一のGaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層と、該GaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層上に形成され、P系化合物薄膜からなるエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層上に形成された第二のGaInPAs 層或いはAlGaInPAs 層とを備えた化合物半導体多層薄膜を製造する方法において、上記エッチングストッパ層を成長させる全工程中、P原料のみの供給を行う工程を1回以上設けることを特徴とする化合物半導体多層薄膜の製造方法。
  5. 上記P系化合物薄膜を、GaInP AlInP AlGaInP 中から選択される1種で形成する請求項1乃至請求項4いずれかに記載の化合物半導体多層薄膜の製造方法。
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