JP3782479B2 - 充電装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、単一の充電回路を使って複数の充電可能な電池(二次電池)を並列充電することで、充電時間の短縮を実現する充電装置およびその充電装置を使用して充電された電池を電源として稼働する情報処理装置に関する。
ノートパソコン等の携帯型電子機器においては、装置用の電源として電池が搭載されるが、装置の運用コストや瞬間的に放電可能な電流容量等の関係で、NicdやNiMHやLi+等のような二次電池が搭載されているのが一般的である。また、装置にACアダプタ等を接続するだけで簡単に装置内蔵の二次電池に対して充電ができるようにと充電装置(充電回路)を内蔵している例が多い。
【0002】
二次電池を構成する電池パックは、電池の出力電圧や電力の関係で、複数個の電池セルを直列に接続して構成されるが、直列に接続できるセル数は、電池電圧と外部から供給される電源電圧との関係で上限が規定される。一般的な装置での電源系の耐圧が16Vであることを考慮すると、NicdやNiMHでは、単セル当たりの電圧が最大約1.7Vであることから9本の直列接続が上限となり、Li+(リチウム・イオン電池)では、単セル当たりの電圧が最大約4.2Vであることから3本の直列接続が上限となる。
【0003】
一方、電池の単セル当たりの容量は、電池のサイズに基づいた基本容量で規定される。従って、電池の容量を増加させるには、複数の電池セルを直列に接続したものを、並列に接続する以外に方法はない。
しかし、複数個の電池セルを直並列接続することによって電池の容量を大きくすることができるが、電池パックおよび該電池パックにより稼働する装置の物理的なサイズが大きくなり、重量も増加する。
【0004】
そこで、1つの電池パック内で電池セルを直並列接続するのではなく、1つの電池パック内では電池セルを直列に接続し、装置の構成や使用環境に応じて各々独立した複数の電池パックを並列に接続するようにしたほうが汎用性がある。
【0005】
【従来の技術】
図10は、従来の充電装置を示す図であり、複数の電池を充電するものである。また、この図10は、外部電源(例えば、商用電源の交流電流をACアダプタにより直流電流に変換された電源)または電池を電源として稼働する電源装置を備えた、例えば携帯型電子機器などの情報処理装置を図示するものでもある。
【0006】
本従来例の情報処理装置は2個の電池(電池パック)を搭載し、外部電源からの電力供給がある場合はそれを電源とし、外部電源からの電力供給がない場合には2個の電池のいずれかを電源として稼働するものである。
図10において、二次電池101,102は、各々直列接続の複数の電池セルで構成される充電可能な電池(電池パック)である。
【0007】
DCコネクタ103は、図示しないACアダプタ等により商用電源などの外部電源で装置を稼働するとき、あるいは、ACアダプタ等の外部電源で装置内蔵の二次電池101,102を充電するときに、外部からの電源供給を受け取るためのコネクタである。
DC/DCコンバータ104は、DCコネクタ103経由で供給される外部電源または二次電池101または102からの電力供給を受けて、装置が必要とする電圧を作成するために電圧変換を行なうものである。
【0008】
電圧比較器105はDCコネクタ103から電力が供給されていることを検出するものであり、DCコネクタ103の電圧と電圧比較用の基準電圧e1とを比較し、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より高いときハイレベルを出力して後述する充電制御部106にDCコネクタ103から電力が供給されていることを通知する。また、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より低いときローレベルを出力して充電制御部106にDCコネクタ103から電力が供給されていないことを通知する。
【0009】
充電制御部106は二次電池101,102への充電制御を行なうための制御部であり、後述する充電器107へ二次電池101,102への充電の開始(on),停止(off)を指示する。
充電器107はDCコネクタ103経由で外部から電力が供給されているとき、二次電池101,102を充電するのに必要な電力を作成するための定電流電源である。充電器107は充電制御部106によるon/offの指示に従って充電用電力の制御を行い、onが指示されているとき充電動作を開始して充電用電力を発生させる。また、DCコネクタ103に電力が供給されていないか、または充電制御部106からoffが指示されているとき、充電器107は停止状態となり充電用電力を発生しない。
【0010】
抵抗R11は二次電池101または102への充電電流を測定するためのセンス抵抗である。また、電流測定回路108は該センス抵抗R11の両端の電圧を測定して二次電池101または102への充電電流値を測定するものであり、その測定値を前記充電制御部106へ通知する。
また、R12は二次電池101または102からの放電電流を測定するためのセンス抵抗である。この抵抗R12の電圧降下を電流測定回路109が測定し、該測定結果を受けた充電制御部106が現在使用している二次電池101または102の残量を求める。求めた残量は、図示しない表示部に表示される。
【0011】
ダイオードD11,D12およびD13は、DCコネクタ103にACアダプタは接続されているがAC電源が供給されていない等の理由により、ACアダプタが非動作状態にあるときに二次電池101または102から電力が外部に流出するのを防止するための逆流阻止用保護ダイオードである。また、ダイオードD21およびD22は、外部より電力が供給されていないときに、DC/DCコンバータ104に二次電池101または102からの電力を供給するとともに、DCコネクタ103経由で外部より電力が供給されているときに、その電圧が二次電池101,102に印加されるのを防止するための保護ダイオードである。
【0012】
トランジスタFET1及びFET2は、充電対象の二次電池を選択するためのスイッチ回路であり、充電器107から供給される充電電流を二次電池101に流すか、二次電池102に流すかを制御する。また、トランジスタFET3およびFET4は、DCコネクタ103経由でACアダプタからの電力が供給されていないときに、DC/DCコンバータ104へ二次電池の電力を供給するときに、二次電池101の電力を供給するのか、二次電池102の電力を供給するのかを制御するためのスイッチ回路である。二次電池101,102の両方から常に同時に並列放電する場合には、このスイッチ回路は不要である。
【0013】
このような構成において、DCコネクタ103にACアダプタ等が接続されることで外部より電力が供給されているときには、ダイオードD11を介してその外部電力がDC/DCコンバータ104に供給され、これに応じてDC/DCコンバータ104が装置の必要とする電圧を作成する。このとき、その外部電力はダイオードD21,D22に阻止されて二次電池101,102に印加されることはない。
【0014】
一方、外部より電力が供給されているときに、二次電池101または102に対して電力を供給して充電を行うのは、電圧比較回路105が外部から電力が供給されていることを検出し、該電圧比較回路105からその通知を受けた充電制御部106からの充電指示で充電器107が充電用の電力を作成しているときだけである。充電器107が停止しているときには、充電器内部の回路が遮断されて二次電池101または102への電力供給は行われない。そして、充電制御部106は外部からの電力供給が途絶えたことを電圧比較回路105から通知されると、トランジスタFET3およびFET4のON/OFFを制御し、ダイオードD21またはD22を介して二次電池の電力がDC/DCコンバータ104に供給され、これに応じてDC/DCコンバータ104が装置の必要とする電圧を作成する。このとき、その電力は、ダイオードD1,D21またはD22に阻止されて外部に流出することはない。
【0015】
外部から供給された電力により充電器107が動作して作成した電力は、トランジスタFET1またはFET2を経由して、二次電池101または二次電池102を充電する。
二次電池101を充電するときには、充電制御部106はトランジスタFET1をONとして二次電池101への電流パスを閉じることにより充電が行われる。このとき、充電制御部106はトランジスタFET2をOFF状態とするため、充電器107の生成する電流は全て二次電池101を充電するのに使用される。ここで、DCコネクタ103から入力される電圧が充電器107の電圧よりも高いことでダイオードD21が逆バイアス状態にあることから、二次電池101への充電電流がDC/DCコンバータ104側に漏れたり、二次電池102側に漏れたりすることはない。
【0016】
一方、二次電池102を充電するときには、充電制御部106はトランジスタFET2をONとして二次電池102への電流パスを閉じることにより充電が行われる。このとき、トランジスタFET1をOFF状態とするため、充電器107が生成した電流は全て二次電池102を充電するのに使用される。ここで、DCコネクタ103から入力される電圧が充電器107の電圧よりも高いことでダイオードD22が逆バイアス状態にあることから、二次電池102への充電電流がDC/DCコンバータ104側に漏れたり、二次電池101側に漏れたりすることはない。
【0017】
このように、従来では、複数の二次電池(電池パック)に対して1個の充電器で充電を行なう場合、充電それらを順番に別々に充電していくという構成を採っていた。
また、電池に対して並列充電を行なう従来の技術として、特開平6−303729号がある。
【0018】
この特開平6−303729号に開示されている技術は、その公開公報の特許請求の範囲に記載のように、請求項1の「複数のリチウムイオン電池が接続され、一のリチウムイオン電池に所定の期間充電すると次のリチウムイオン電池に所定の期間充電し、上記複数のリチウムイオン電池の全てに所定の期間充電した後に、上記複数のリチウムイオン電池の全てに同時に充電を行なうようにしたことを特徴とする充電装置。」、請求項2の「上記複数のリチウムイオン電池への充電電流の供給を制御する手段と、上記充電電流の電流値を検出する手段とを有し、上記充電電流が所定値以下になったときに、上記一のリチウムイオン電池から次のリチウムイオン電池に充電電流の供給を切り換えるようにしたことを特徴とする請求項1記載の充電装置。」、請求項3の「上記複数のリチウムイオン電池への充電電流が全て上記所定値以下となったときに、上記複数のリチウムイオン電池の全てに並列に充電電流を供給するようにしたことを特徴とする請求項2記載の充電装置。」、請求項4の「上記複数のリチウムイオン電池の全てに並列に充電電流を供給する期間の長さは、タイマー手段によって規制されるようにしたことを特徴とする請求項3記載の充電装置。」である。
【0019】
上記技術を実現するための具体的構成は、公開公報第3頁左欄第11行乃至第4頁右欄第5行の実施例の説明およびその説明に用いられる図1に記載されている。この特開平6−303729号の図1を図11として示す。
この公報第3頁左欄第21行乃至第28行に記載されているように、主充電器100の出力端子CCに接続される充電装置200の端子2が、それぞれpnp型トランジスタ31 ,32 ,33 のエミッタ、コレクタを通じて、リチウムイオン電池BA1 ,BA2 ,BA3 の装着される一方の接点41 ,42 ,43 に接続され、電池BA1 ,BA2 ,BA3 の装着される他方の接点51 ,52 ,53 が互いに接続され、この接続中点が抵抗器6を通じて接地端子GNDに接続される充電装置200の端子7に接続されている。
【0020】
また、同頁同欄第36行乃至第39行に記載のように、制御マイコン9の検出端子Iに、上述の他方の接点51 ,52 ,53 の接続中点が接続され、これによって、充電電流で生じる抵抗器6の降下電圧が制御マイコン9で測定される。
そして、充電装置200による複数のリチウムイオン電池BA1 ,BA2 ,BA3 への充電は次のように行なわれる。
【0021】
まず、公報第3頁右欄第3行乃至第34行に記載されているように、制御マイコン9がトランジスタ31 をオンして電池BA1 への急速充電を開始し、抵抗器6の降下電圧を測定して充電電流が350mA以下になったとき、トランジスタ31 をオフして電池BA1 への充電を休止する。次いで、トランジスタ32 をオンして電池BA2 への充電を開始し、前記電池BA1 への充電のときと同様に、抵抗器6の降下電圧を測定して充電電流が350mA以下になったとき、トランジスタ32 をオフして電池BA2 への充電を休止する。前記電池BA1 ,BA2 と同様に、充電電流が350mA以下になるまで電池BA3 への充電を行なう。このように、各電池BA1 ,BA2 ,BA3 への充電電流が所定値になるまで電池を切り換えて充電を行なう。
【0022】
上記のように、各電池BA1 ,BA2 ,BA3 への充電が終了すると、公報第3頁右欄第34行乃至第43行に記載のように、各トランジスタ31 ,32 ,33 をオンして(公報では出力ポートCH1 ,CH2 ,CH3 をハイレベルにすると記述)、電池BA1 ,BA2 ,BA3 を全て充電状態にする。つまり、電池BA1 ,BA2 ,BA3 に並列充電を行なう。
【0023】
そして、タイマー手段が計測され、例えば2時間などの所定時間が経過すると全ての回路がオフされて全ての電池BA1 ,BA2 ,BA3 への充電が完了する。
このような充電により、各電池BA1 ,BA2 ,BA3 の充電量を70%にするための時間にそれぞれ約1時間、その後に各電池BA1 ,BA2 ,BA3 の充電量を約100%にするのための同時充電の時間が約2時間、合計約5時間で3個の電池全てに対する充電が終了する。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、複数の二次電池(電池パック)に対して1個の充電器で充電を行う場合、複数の二次電池から充電対象となる二次電池を選択して充電器から充電対象となる二次電池への電流経路を制御するためのトランジスタなどのスイッチ回路が必要である。
【0025】
また、複数の二次電池に対して順番に充電を行うため、全ての二次電池を充電するのに必要な充電時間は二次電池の個数倍になり、充電時間が増加してしまう。
例えば、1個のリチウム・イオン(Li+)二次電池を1.0Cの電流で充電する場合は約2.0〜2.5時間必要であり、2個の二次電池を充電する場合は2倍の時間、すなわち約4.0〜5.0時間が必要であった。
【0026】
また、特開平6−303729号では、充電電流が所定値以下になるまで複数の電池を切り換えながら個々に充電を行なった後、全ての電池の充電量が所定値になっとところで全ての電池に対して並列に充電を行ない、その並列充電の開始から所定時間経過したときを充電完了としている。
このため、前記の充電の場合と同様、個々に充電する際に、充電対象となる電池を選択して主充電器から充電対象となる電池への電流経路を制御するためのトランジスタなどのスイッチ回路が必要である。
【0027】
さらに、複数の電池に対する並列充電時に充電装置から電池が外され、充電量が少ない他の電池が装着された場合、並列充電開始時から所定時間経過後を充電完了としているため、新たに装着された電池が完全充電する前に、全電池への充電完了となってしまう。従って、該電池を使用した装置の稼働時間が短くなる場合が生じる。
【0028】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、単一の充電器を使って複数の二次電池を充電する際の充電時間の短縮を実現する充電装置の提供、ハードウェアを削減して簡単な回路で複数の二次電池に対して充電を行なう充電装置の提供、複数の二次電池への満充電を確実に行なう充電装置の提供、複数の二次電池に対する充電を効率的に行なう充電装置の提供を目的とする。さらに、上記充電装置を用いて充電された二次電池を電源として稼働させる際に、稼働時間を延長させた情報処理装置の提供を目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の第1の原理図である。
図1において、1は充電装置である。
2a,2bは逆流阻止手段であり、充電対象となる複数の電池101,102の各々に対応して設けられ、並列接続されたものである。
【0030】
3は充電電流供給手段であり、前記複数の逆流阻止手段2a,2bを介して前記複数の電池101,102に充電電流を供給するものである。また、後述の充電電流検出手段4により検出される各充電電流値が所定値以下になったことを検出して充電電流の供給を止めるものである。
4は充電電流検出手段であり、前記複数の電池101,102に供給される各充電電流値を検出するものである。
【0031】
また、前記各電池101,102をリチウム・イオン電池とする。
さらに、前記各逆流阻止手段2a,2bをダイオードとする。
10は情報処理装置であり、上記の充電装置1を内蔵し、該充電装置1により充電された前記複数の電池の各々から並列出力される放電電流を電源とするものである。
【0032】
図2は本発明の第2の原理図である。
図2において、1は充電装置である。
101は充電可能な装置内蔵の電池、いわゆる二次電池である。また、102A,102Nは逆流阻止手段を有する充電可能な電池(二次電池)であり、ユーザの必要に応じて装着可能な増設電池である。この逆流阻止手段を有する電池102A,102Nは並列接続され、装置の1つの端子に対して並列接続される。
【0033】
2aは逆流阻止手段であり、充電対象となる電池101に対応して設けられたものである。
3は充電電流供給手段であり、前記逆流阻止手段2aを介して前記電池101に,電池102A,102Nへは1つの端子を介して並列に充電電流を供給するものである。また、後述の充電電流検出手段4により検出される各充電電流値が所定値以下になったことを検出して充電電流の供給を止めるものである。
【0034】
4は充電電流検出手段であり、前記電池101への充電電流値と、電池102Aと102Nに供給される各充電電流値を検出するものである。
図3は本発明の第3の原理図である。
図3において、1は充電装置である。
3は充電電流供給手段であり、前記複数の逆流阻止手段2a,2bを介して前記複数の電池101,102に充電電流を供給するものである。
【0035】
5a,5bはスイッチング手段であり、複数の電池101,102の各々に対応して設けられ、並列接続されたものである。
6は比較手段であり、前記複数の電池101,102間の電池電圧を比較するものである。
7は制御手段であり、前記比較手段6による比較結果に基づき、電池電圧が低い電池に対応するスイッチング手段をオフさせるものである。
【0036】
【作用】
第1の発明では、複数の電池101,102の各々に対する逆流阻止手段2a,2bを並列に接続し、充電電流供給手段3は該逆流阻止手段2a,2bを介して充電電流を供給し、各々の電池に供給されている充電電流値を検出するようにしている。
【0037】
このような各電池対応に逆流阻止手段2a,2bを設けることによって各電池は分離され、電池の残量に差があって電池電圧が不均衡状態であっても、残量の多い電池から残量の少ない電池に電流が流れることがなくなり、複数の電池を並列充電することが可能となる。
そして、各充電電流値が所定値以下になったとき、充電電流供給手段3は充電電流の供給を停止するようにしている。
【0038】
このような本発明の構成により、電池を製造したメーカの違いなどから電池の充電完了と判断する充電電流値が異なる場合が生じても、充電完了と判断する充電電流値を個々の電池対応に設定しておけば、過充電を起こすようなことなく確実に充電完了を検出することができる。
上記の電池をリチウム・イオン電池とする。このリチウム・イオン電池は充電していると所定電池電圧値以後一定値となると共に、充電電流値が減少するという特性がある。
【0039】
この特性を利用し、各リチウム・イオン電池への充電電流値が所定値以下になったことを検出して充電完了とする。
また、電池への充電電流の逆流阻止手段2a,2bとして、ダイオードを使用しているため、充電電流の逆流を阻止するための複雑な回路および特別な制御を必要としない。
【0040】
第2の発明では、充電対象となる複数の増設電池102A,102Nの各々に逆流阻止手段を内蔵させ、該増設電池の逆流阻止手段を1つの端子に対して並列に接続させるようにしている。
そして、充電供給手段3は内蔵の電池に対応する逆流阻止手段2aと、前記端子に対して充電電流を供給する。
【0041】
充電電流検出手段4は内蔵電池へ供給される充電電流値と前記端子に供給される充電電流値を検出し、充電供給手段3は充電電流検出手段4によって検出された各充電電流値が所定値以下になったことを検出して充電電流の供給を止める。このように、ユーザによって増設装着される複数の増設電池102A,102Nへの充電電流を個々に検出するのではなく、該増設電池102A,102Nがそれぞれ有する逆流阻止手段が接続される1つの端子に対する充電電流のみを検出するため、各増設電池への充電電流を検出するための回路およびその制御信号を削減することができる。
【0042】
第3の発明においては、複数の電池101,102の各々に対するスイッチング手段5a,5bを並列に接続し、充電供給手段3aによって充電された電池101および102の放電電流を使用して情報処理装置を稼働させる際に、比較手段6が該電池101と電池102の電池電圧を比較し、例えば、電池101の電池電圧が電池102の電池電圧より所定値以下の場合、制御手段7は該電池101に対応するスイッチング手段5aをオフして、スイッチング手段5aとスイッチング手段5bの並列接続を切り離すようにしている。
【0043】
このように、電池電圧の低い電池が接続されるスイッチング手段を切り離すことにより、該スイッチング手段に対して電池電圧の高い電池からの電流の流入を防止することができる。
【0044】
【実施例】
図4は本発明の第1の実施例を示す図である。図4の構成において、従来技術の図10と同構成には同参照番号を付与してある。
図4において、二次電池101,102は、各々直列接続の複数の電池セルで構成される充電可能な電池であり、リチウム・イオン二次電池である。この二次電池は携帯型電子機器などの情報処理装置に内蔵のものでもいいし、装置に着脱可能なものでもよい。また、この二次電池は電池セルを複数個直列に接続したものを1つの筐体内に収納した、いわゆる電池パックである。この二次電池101,102が図1の複数の二次電池に対応する。
【0045】
DCコネクタ103は、図示しないACアダプタ等により商用電源などの外部電源で装置を稼働するとき、あるいは、ACアダプタ等の外部電源で二次電池101,102を充電するときに、外部からの電源供給を受け取るためのコネクタである。
DC/DCコンバータ104は、DCコネクタ103経由で供給される外部電源または二次電池101,102からの電力供給を受けて、装置が必要とする電圧を作成するために電圧変換を行なうものである。
【0046】
電圧比較器105はDCコネクタ103を経由して外部から電力が供給されていることを検出するものであり、DCコネクタ103の電圧と電圧比較用の基準電圧e1とを比較し、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より高いときハイレベルを出力して後述の充電制御部11にDCコネクタ103から電力が供給されていることを通知する。また、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より低いときローレベルを出力して充電制御部11にDCコネクタ103から電力が供給されていないことを通知する。
【0047】
ダイオードD1,D2およびD3は、DCコネクタ103にACアダプタは接続されているがAC電源が供給されていない等の理由により、ACアダプタが非動作状態にあるときに二次電池101または102から電力が外部に流出するのを防止するための逆流阻止用保護ダイオードである。また、ダイオードD4およびD5は、外部より電力が供給されていないときに、DC/DCコンバータ104に二次電池101または102からの電力を供給するとともに、DCコネクタ103経由で外部より電力が供給されているときに、その電圧が二次電池101,102に印加されるのを防止するための保護ダイオードである。このダイオードD2,D3が図1の逆流阻止手段2a,2bに相当する。
【0048】
抵抗R1,R2は充電電流を測定するためのセンス抵抗であり、抵抗R1が二次電池101用,抵抗R2が二次電池102用である。また、電流測定回路13,14は各々センス抵抗R1,R2の両端の電圧を測定して、充電時には二次電池101,102への充電電流値、放電時には二次電池101,102の放電電流値を測定するものであり、その測定値を充電制御部11へ通知する。電流測定回路13,14は同構成である。
【0049】
図5に電流測定回路13,14の構成を示す。
抵抗Rが電流測定対象となる抵抗であり、図2の抵抗1や抵抗2である。
図5に示すように、抵抗RaとRbによって分圧された電圧が演算増幅器CMP1の正極側端子に入力されるよう接続され、抵抗RcとRdによって分圧された電圧が演算増幅器CMP2の正極側端子に入力されるよう接続されている。また、演算増幅器CMP1の出力は抵抗Rfを介して演算増幅器CMP1の負極側端子に入力されるよう接続され、演算増幅器CMP2の出力は抵抗Rgを介して演算増幅器CMP2の負極側端子に入力されるよう接続されており、それぞれが差動増幅器を構成している。
【0050】
上記演算増幅器CMP1からの出力は抵抗Rhを介して演算増幅器CMP3の正極側端子に入力されるよう接続され、また、演算増幅器CMP2の出力は抵抗Riを介して演算増幅器CMP3の負極側端子に入力されるよう接続されている。
また、演算増幅器CMP3の出力も抵抗Rjを介して演算増幅器CMP3の負極側端子に入力されるよう接続されており、差動増幅器を構成している。
【0051】
この演算増幅器CMP3から出力される電圧値Vが、抵抗Rを流れる電流Iによって生じた電圧降下に応じた値となるため、電流値IはI=電圧V÷(抵抗R×これらの回路による増幅値)で求まる。
上記式による電流値Iの算出は、電流測定回路から出力される電圧値を用いて充電制御部11によって行なわれる。
【0052】
充電制御部11は二次電池101,102への充電制御を行なうための制御部であり、前記電流測定回路13,14による充電電流の測定値に基づき、後述する充電器12へ二次電池101,102への充電の開始(on),停止(off)を指示する。
前記の抵抗R1,R2と電流測定回路13,14および該電流測定回路13,14の出力から充電電流を算出する充電制御部11が図1の充電電流検出手段4に相当する。
【0053】
充電器12はDCコネクタ103経由で外部から電力が供給されているとき、二次電池101,102を充電するのに必要な電力を作成するための定電流電源である。充電器12は充電制御部11によるon/offの指示に従って充電用電力の制御を行い、onが指示されているとき充電動作を開始して充電用電力を発生させる。また、DCコネクタ103に電力が供給されていないか、または充電制御部11からoffが指示されているとき、充電器12は停止状態となり充電用電力を発生しない。この充電器12が図1の充電電流供給手段3に相当し、充電電流検出手段4である充電制御部11による充電制御指示に応じて、充電用電力の作成,停止を行なう。
【0054】
図6に充電器12の構成を示す。
図6において、メイントランジスタTR1は、制御部1Aの制御によりスイッチング動作をするものでありP型MOSFETである。
チョークコイルLは、メイントランジスタTR1がオンの期間にエネルギーを貯え、オフの期間に放出してメイントランジスタTR1により生成される断続電流を平滑するものである。
【0055】
平滑用コンデンサCは、メイントランジスタTR1の出力を平滑するものである。
フライホイールダイオードDは、メイントランジスタTR1がオンの期間にチョークコイルLに蓄積されたエネルギーをメイントランジスタTR1のオフの期間にL−C−Dのフライバック回路に右廻りの電流を流し、二次電池に電力が供給されるようにするものである。
【0056】
抵抗RA,RBは抵抗REの電流流入側の電圧を分圧するものであり、抵抗RC,RDは抵抗REの電流流出側の電圧を分圧するものである。
制御部1AはDCコネクタ103からの電源供給を受け、さらに入力端子I1,I2,I3からの入力を受け、メイントランジスタTR1の制御を行なうものである。また、図示しない充電制御部11からの充電開始指示に応じて充電用電力を作成し、充電停止指示に応じて充電用電力の作成を停止するものである。
【0057】
制御部1Aの電源端子およびメイントランジスタTR1のソースに、DCコネクタ103からの電力が供給されるよう接続されている。また、メイントランジスタTR1のドレインは、逆方向接続されたフライホイールダイオードDを介して接地され、かつチョークコイルLを介して平滑用コンデンサCおよび抵抗RA、RCの一方の端子と抵抗REに接続される。さらに、コレクタには、制御部1Aからの制御出力が接続される。
【0058】
抵抗RAの他方の端子は抵抗RBを介して接地され、かつ制御部1Aの入力端子I1に接続される。同様に、抵抗RCの他方の端子は抵抗RDを介して接地され、かつ制御部1Aの入力端子I2およびI3に接続される。
制御部1Aは、入力端子I1と入力端子I2に入力される入力電圧を比較して電位差から抵抗REの降下電圧を検出し、抵抗REに流れる電流を測定する。
【0059】
測定値が予め定められた規定値より大きければ、メイントランジスタTR1ををオフにし,規定値より小さければオンとして充電電流の安定化を図る。
また、入力端子I3に入力される抵抗RCとRDの分圧電圧により充電電圧を検出し、充電電圧が規定値より低い場合にはメイントランジスタTR1をオンとする制御電圧をメイントランジスタTR1のコレクタに出力し、規定値より高い場合にはメイントランジスタTR1をオフとする制御電圧を出力する。
【0060】
この制御部1Aによる制御によりメイントランジスタTR1がオンの期間に流れる電流はチョークコイルLに蓄積され、メイントランジスタTR1がオフの期間にL−C−Dのフライバック回路に右廻りの電流が流れ,その時発生する電圧が二次電池に印加される。このように、メイントランジスタTR1を制御して充電電流、出力電圧を安定化する。
【0061】
次に、図2の構成による二次電池101,102への充電動作について説明する。
電圧比較部105は、DCコネクタ103経由で供給される外部からの電圧と基準電圧e1とを比較して、その結果を充電制御部11に出力する。
充電制御部11は電圧比較部105からの出力により外部から電力が供給されていることを検出すると、充電器12に対して充電開始の指示を出力する。
【0062】
充電の開始を指示された充電器12は、DCコネクタ103経由で供給される外部電力により充電電流を作成し、ダイオードD2,D3を介して二次電池101,102に作成した充電電流を供給する。
電流測定回路13,14は各二次電池101,102への充電電流を測定し、測定値を充電制御部11に出力する。
【0063】
充電制御部11は電流測定値13,14からの測定値が予め定められた規定値以下になった場合、充電器12に対して充電停止の指示を出力する。充電器12は充電制御部11からの充電停止指示に応じて、充電電流の作成を停止して充電を完了する。
さらに、図7を用いて充電器12による充電での二次電池の電圧と充電電流について説明する。
【0064】
図7はリチウム・イオン(Li+)二次電池を本発明の充電装置を用いて充電したときの電池の電圧と充電電流の関係を示すものである。
図7において、実線は二次電池(電池パック)が1個の場合の充電特性を示すものであり、破線は2個の場合の充電特性を示すものである。また、グラフの横軸は充電時間を示し、縦軸の上段は充電時の電池電圧を、下段は充電電流値を示している。
【0065】
二次電池の電池電圧が2.5Vのときを空とし、図7はこの空の状態から二次電池への充電を開始するものである。
まず、二次電池が1個の際の充電について説明する。
充電開始時の二次電池の電圧が2.5Vで、1.0C(容量1280mAHの電池を1300mAで充電)で充電し始めると、充電開始から最初の24分間は1300mAの電流で充電され、それに連れて電池電圧も上昇していく。この領域を定電流充電領域と称する。
【0066】
充電を続けていると、電池電圧が4.2Vに達した時点で、電池電圧が4.2Vのまま充電電流が徐々に低下し、その後18分程経過すると充電電流値は0.5C(容量1280mAHの電池を650mAで充電)まで低下する。この領域を定電圧充電領域と称する。
更に充電を続けていると、電池電圧が4.2Vのまま充電電流値は低下し続け、更に約1時間18分程で100mAまで充電電流が低下する。
【0067】
リチウム・イオン二次電池は、定電圧定電流で充電を行い、充電電流値が100mA以下になったときを充電完了状態としているため、この時点で充電が完了することになる。
従って、リチウム・イオン二次電池1個のときの充電に要する総時間は、定電流充電領域での充電時間24分と定電圧充電領域での充電時間18分および1時間18分との合計時間である約2時間となる。
【0068】
次に、2個の二次電池の並列充電について説明する。
図は2個の二次電池がいずれも空の状態から充電を行なった場合を示すものである。
充電器107は、充電する二次電池の個数に関わらず1300mAの充電電流で充電を行なう。
【0069】
二次電池101および102の両方とも空の場合の電池電圧は平衡しているため、各二次電池への充電電流値は1300mAの半分となり、0.5C(容量1280mAHの電池を650mAで充電)で充電を開始することになる。
充電を開始すると、充電開始から1時間8分は650mAの電流で充電が行なわれ、それに連れて電池電圧も上昇していく。(定電流充電領域)
充電を続けていると、電池電圧が4.2Vに達した時点で、電池電圧は4.2Vのまま充電電流が徐々に低下する。
【0070】
更に充電を続けていると、充電電流値は低下し続け、約1時間18分程で100mAまで充電電流が低下する。
前述のように、リチウム・イオン二次電池は、充電電流値が100mA以下になったときを充電完了状態としているため、この状態で充電が完了することになる。
【0071】
従って、二次電池2個のときの充電に要する総時間は、定電流充電領域での充電時間1時間8分と定電圧充電領域での充電時間1時間18分との合計時間である約2時間26分となる。
前記説明した充電制御において、充電時間を短くするために充電電流値を大きくして、例えば1.3C(容量1280mAHの電池を1700mAHで充電)の電流で充電すると、定電流充電領域での充電時間は約14分間であり、その後は定電圧充電領域に入る。その定電圧充電領域での充電時間は前記1.0Cでの充電時間と同じであるため、定電流充電領域での充電時間が24分から14分に減るのみで、総充電時間でみると前記約2時間の充電時間が約1時間50分に短くなるだけであり殆ど変わらない。
【0072】
以上、本発明により、2つのリチウム・イオン二次電池パック101,102をダイオードD1,D2を介して並列接続し、同時に並列充電を行なうことにより、従来は約4時間かかった充電時間を約2時間26分に削減することができる。
また、本発明は前記第1の実施例のように、電池パックが2個の場合に限定されるものではなく、2個以上の電池パックに対しても本発明を適用可能であり、第1の実施例と同様に充電対象となる電池パックの個数分のダイオードを並列接続し、同時に並列充電を行なえばよい。ちなみに、3個のリチウム・イオン二次電池パックを前記第1の実施例と同様にダイオードを介して並列接続し、同時に並列充電を行なった場合の充電時間は約3時間12分であり、4個の電池パックを充電するのに要する時間は、従来が8時間(2時間×4個=8時間)であったのが、本発明を適用すると半分の約4時間で全ての電池パックを充電できる。
【0073】
これは、充電器側は1300mAでの充電能力があるのに対し、電池パックに1300mAで充電が行なわれるのは、前記2個の電池パックを充電する場合は全充電時間2時間26分の内の僅かに24分間でしかない。さらに、全充電時間2時間26分の内の1時間18分については650mA以下の電流で充電されていることとなる。つまり、前記充電時間2時間の内の1時間18分については2個の電池パックを同時に充電できる能力を充電器が持っているため、この時間については同時に充電を行なっても充電時間に影響を与えないためである。
【0074】
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
図8は、本発明の第2の実施例を示す図であり、前記第1の実施例と同様の構成には、図2と同様の参照番号を付与してある。
図8において、二次電池111,112,113は、各々直列接続の複数の電池セルで構成される充電可能な電池である。この電池は前記第1の実施例と同様の電池パックであり、二次電池111は装置に内蔵、二次電池112,113は装置の稼働時間の延長を目的としてユーザが必要に応じて増設装着したものである。
【0075】
DCコネクタ103は、図示しないACアダプタ等により商用電源などの外部電源で装置を稼働するとき、あるいは、ACアダプタ等の外部電源で装置内蔵の二次電池101,102を充電するときに、外部からの電源供給を受け取るためのコネクタである。
DC/DCコンバータ104は、DCコネクタ103経由で供給される外部電源または二次電池101または102からの電力供給を受けて、装置が必要とする電圧を作成するために電圧変換を行なうものである。
【0076】
電圧比較器105はDCコネクタ103を経由して外部から電力が供給されていることを検出するものであり、DCコネクタ103の電圧と電圧比較用の基準電圧e1とを比較し、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より高いときハイレベルを出力して後述する充電制御部11にDCコネクタ103から電力が供給されていることを通知する。また、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より低いときローレベルを出力して充電制御部12にDCコネクタ103から電力が供給されていないことを通知する。
【0077】
ダイオードD1,D7は、DCコネクタ103にACアダプタは接続されているがAC電源が供給されていない等の理由により、ACアダプタが非動作状態にあるときに二次電池111,112,113からの電力が外部に流出するのを防止するための逆流阻止用保護ダイオードである。また、ダイオードD6は、外部より電力が供給されていないときに、DC/DCコンバータ104に二次電池111からの電力を供給するとともに、DCコネクタ103経由で外部より電力が供給されているときに、その電圧が内蔵二次電池111に印加されるのを防止するための保護ダイオードである。
【0078】
また、増設用の二次電池である112,113には、各二次電池の充電端子側にダイオードD8が接続されている。このダイオードD8は、ACアダプタがDCコネクタ103に接続されているが、AC電源が供給されていない等の理由によりDCコネクタ103に電力が供給されていない場合に、増設二次電池112,113から電力が外部に流出するのを防止するための逆流阻止用保護ダイオードである。同様に、各二次電池の放電端子側にはダイオードD9が接続されている。このダイオードD9は、外部より電力が供給されていないとき、DC−DCコンバータ104に二次電池112,113からの電力を供給すると共に、外部から電力が供給されているとき、その電力が二次電池112,113に印加されるのを防止するための保護ダイオードである。
【0079】
抵抗R3は内蔵の二次電池111への充電電流および該二次電池111からの放電電流を測定するためのセンス抵抗である。抵抗R4は増設の二次電池112,113への充電電流を測定するためのセンス抵抗である。また、抵抗R5は増設の二次電池112,113からの放電電流を測定するためのセンス抵抗である。
【0080】
電流測定回路15は抵抗R3の両端の電圧を測定して、充電時には二次電池111への充電電流値、放電時には二次電池111からの放電電流値を測定するものであり、その測定値を充電制御部11へ通知する。この電流測定回路15の構成は、図5に示したものと同様である。
また、電流測定回路16は抵抗R4の両端の電圧を測定して二次電池112,113への充電電流値を測定し、抵抗R5の両端の電圧を測定して二次電池112,113の放電電流値を測定するものである。この電流測定回路16は、図5に示した構成の回路を抵抗R4測定用と抵抗R5測定用の2つを有する。
【0081】
充電制御部11は二次電池101,102への充電制御を行なうための制御部であり、後述する充電器107へ二次電池101,102への充電の開始(on),停止(off)を指示する。また、充電電流値または放電電流値が通知された充電制御部11はその電流値から二次電池101,102の残量を求め、図示しない表示部にその残量を表示するよう制御する。
【0082】
充電器12はDCコネクタ103経由で外部から電力が供給されているとき、二次電池111,112,113を充電するのに必要な電力を作成するための定電流電源である。充電器12は充電制御部11によるon/offの指示に従って充電用電力の制御を行い、onが指示されているとき充電動作を開始して充電用電力を発生させる。また、DCコネクタ103に電力が供給されていないか、または充電制御部11からoffが指示されているとき、充電器12は停止状態となり充電用電力を発生しない。
【0083】
この充電器12の動作は図6の説明と同様なので省略する。
このような構成による二次電池111,112,113への充電動作について、図8を使用して説明を行なう。
電圧比較部105は、DCコネクタ103経由で供給される外部からの電圧と基準電圧e1とを比較して、その結果を充電制御部11に出力する。
【0084】
充電制御部11は電圧比較部105からの出力により外部から電力が供給されていることを検出すると、充電器12に対して充電開始の指示を出力する。
充電の開始を指示された充電器12は、DCコネクタ103経由で供給される外部電力により充電電流を作成し、ダイオードD7を介して内蔵の二次電池111に作成した充電電流を供給し、ダイオードD8を介して増設の二次電池112,113に充電電流を供給する。
【0085】
電流測定回路15は二次電池111への充電電流を測定し、電流測定回路16は二次電池112,113への充電電流を測定し、それぞれ測定値を充電制御部11に出力する。
充電制御部11は電流測定値15,16からの測定値が予め定められた規定値以下になった場合、充電器12に対して充電停止の指示を出力する。充電器12は充電制御部11からの充電停止指示に応じて、充電電流の作成を停止して充電を完了する。
【0086】
本構成において、充電制御部11は前述と同様の制御により二次電池111,112,113への充電を行なう。しかし、電流測定回路16が2個の二次電池112,113への充電電流を測定しているため、充電制御部11は内蔵の二次電池111への充電完了と判定される充電電流値の2倍以下(例えば、前述のように、100mA以下の充電電流値で充電完了とする場合、200mA以下)を規定値として充電制御を行なう。
【0087】
また、二次電池111,112,113を使用して装置を稼働させている場合、抵抗R3による降下電圧を電流測定回路15によって測定することにより二次電池111の放電電流が測定され、抵抗R5による降下電圧を電流測定回路16によって測定することにより二次電池112,113の合計放電電流が測定される。
【0088】
充電制御部11は、上記測定された各放電電流値を受けて、二次電池111の残量と二次電池112,113の合成残量を算出し、図示しない表示部にその算出した残量を表示させるよう制御する。
このように、増設二次電池112,113内の充電端子側に逆流阻止用保護ダイオードD8、放電端子側に充電防止用の保護ダイオードD9を設けることで、増設電池112,113を装置10の充電用端子対して直接並列した場合、第1の実施例で示した接続構成と同様となる。このような接続構成をとることで、内蔵電池111,増設電池112,113の全てがダイオードを介して並列接続となるため、第1の実施例と同様の制御で充電が可能となる。
【0089】
次に、第3の実施例について説明する。
図9は、第3の実施例を示す図である。
図9において、二次電池211,212は、各々直列接続の複数の電池セルで構成される充電可能な電池であり、リチウム・イオン二次電池である。
DCコネクタ103は、図示しないACアダプタ等により商用電源などの外部電源で装置を稼働するとき、あるいは、ACアダプタ等の外部電源で二次電池211,212を充電するときに、外部からの電源供給を受け取るためのコネクタである。
【0090】
DC/DCコンバータ104は、DCコネクタ103経由で供給される外部電源または二次電池211,212からの電力供給を受けて、装置が必要とする電圧を作成するために電圧変換を行なうものである。
電圧比較器105はDCコネクタ103を経由して外部から電力が供給されていることを検出するものであり、DCコネクタ103の電圧と電圧比較用の基準電圧e1と電圧比較器IC1によって比較し、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より高いときハイレベルを出力する。また、DCコネクタ103の電圧が基準電圧e1より低いときローレベルを出力する。否定回路NOTは電圧比較器IC1の出力を反転するためのものである。
【0091】
ダイオードD1,Da,DbはDCコネクタ103にACアダプタが接続されているが、ACアダプタにAC電源が供給されていない等の理由によりACアダプタが非動作状態になるとき、二次電池211,212から電力が外部に流出するのを防止するための逆流阻止用保護ダイオードである。
トランジスタFET5,FET6は各々、二次電池211,212の放電端子に接続され、外部から電力が供給されていないとき、DC−DCコンバータ104に二次電池211,212からの電力を供給すると共に、DCコネクタ103を経由して電力が供給されているとき、その電力が二次電池211,212に印加されるのを防止するための保護用のスイッチ回路である。
【0092】
電圧比較器IC2は二次電池211と二次電池212の電圧を比較するものであり、e2は二次電池211の電圧を二次電池212の電圧と比較する場合の比較基準を規定するための基準電圧である。この電圧比較器IC2は常に二次電池211と二次電池212の電圧を比較し、二次電池211の電圧が二次電池212の電圧よりも基準電圧e2以上低いときにローレベルを出力し、そうでないときにハイレベルを出力する。
【0093】
同様に、電圧比較器IC3も二次電池212と二次電池211の電圧を比較するものであり、二次電池212の電圧が二次電池211の電圧よりも基準電圧e2以上低いときにローレベルを出力し、そうでないときにハイレベルを出力する。
否定論理積回路NAND1は電圧比較器IC2および否定回路NOTの双方がハイレベルを出力しているとき、ローレベルを出力してトランジスタFET5をオンし、電圧比較器IC2,否定回路NOTのいずれかがローレベルを出力しているとき、トランジスタFET5をオフさせる。
【0094】
また、否定論理積回路NAND2は否定回路NOT,電圧比較器IC3の双方がハイレベルを出力しているとき、ローレベルを出力してトランジスタFET6をオンし、否定回路NOT,電圧比較器IC3のいずれかがローレベルを出力しているとき、トランジスタFET6をオフさせる。
否定回路NOTがハイレベルを出力するのは、電圧比較部105の電圧比較器IC1がローレベルを出力するときであり、それはDCコネクタ103を経由して外部から電力が供給されていないときである。また、電圧比較器IC2がハイレベルを出力するのは二次電池211の電圧が二次電池212の電圧に比して基準電圧値e2より高いときであり、電圧比較器IC3がハイレベルを出力するのは二次電池212の電圧が二次電池211の電圧に比して基準電圧値e2より高いときである。
【0095】
従って、外部からDCコネクタ103を経由して電力が供給されているときは、否定論理積回路NAND1,NAND2はそれぞれトランジスタFET5,FET6をオフして二次電池211および212に外部電力が印加されるのを防止する。また、二次電池211の電圧が二次電池212の電圧に比して基準電圧e2以上低いとき、否定論理積回路NAND1はトランジスタFET5をオフさせて二次電池211に二次電池212からの放電電流が流入するのを防止し、それ以外のときにトランジスタ5をオンさせて二次電池211を放電させる。
【0096】
同様に、二次電池212の電圧が二次電池211の電圧に比して基準電圧e2以上低いとき、否定論理積回路NAND2はトランジスタFET6をオフさせて二次電池212に二次電池211からの放電電流が流入するのを防止し、それ以外のときにトランジスタ6をオンさせて二次電池212を放電させる。
つまり、外部から電力供給がなく、二次電池211,212の放電によって装置を稼働する場合、トランジスタFET5,FET6を制御して電池電圧の低い二次電池へ放電電流が流入するのを防止し、かつトランジスタを使用することにより電力損失を防止している。
【0097】
このような構成により、放電時に二次電池からの逆流阻止手段による電力損失を軽減させることができ、充電された電池を使用して装置を稼働する際の稼働時間を延長することが可能となる。
図9では、二次電池が2個の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、さらに多くの二次電池を使用した場合についても本発明は適用できる。そのような場合には、各二次電池間の電池電圧を比較した結果を更に比較し、最終的に最も電池電圧が低い二次電池を並列接続から切り離すようにすればよい。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、各電池対応に設けられた逆流阻止手段によって各電池は分離され、電池の残量に差があって電池電圧が不均衡状態であっても、残量の多い電池から残量の少ない電池に電流が流れることがなくなり、複数の電池を並列充電することが可能となり、電池への充電時間を短縮することができる。また、この並列接続される逆流阻止手段としてダイオードを使用した簡単な回路のため、制御のための複雑な回路を設ける必要がなくハードウェアも削減できる。
【0099】
また、装置内蔵の電池と増設用電池を使用する場合、増設用電池に上記逆流阻止手段を内蔵させ、装置の1つの入力端子に複数の増設用電池からの放電電流を入力させるように各増設用電池の逆流阻止手段を並列に接続したため、その端子を介して電池へ充電させるための充電電流の測定は1つの電流測定回路で行なうことができる。よって、各増設用電池毎に電流測定回路を設ける必要がないため、ハードウェアおよびその制御信号を削減することができる。
【0100】
そして、充電動作において、各充電電流値が所定値以下になったとき、充電電流の供給を停止するようにしているので、電池を製造したメーカの違いなどから電池の充電完了と判断する充電電流値が異なる場合が生じても、充電完了と判断する充電電流値を個々の電池対応に設定しておけば、過充電を起こすようなことなく確実に充電完了を検出することができる。
【0101】
さらに、充電された電池の並列出力を使用して情報処理装置を稼働させる場合、電池電圧の低いものをトランジスタによって並列接続から切り離すことで、放電電流による電力損失を軽減させ、稼働時間を延ばして効率的に情報処理装置を使用させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の原理図である。
【図2】本発明の第2の原理図である。
【図3】本発明の第3の原理図である。
【図4】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図5】電流測定回路の構成を示す図である。
【図6】充電器の構成を示す図である。
【図7】充電器による充電での二次電池の電圧と充電電流の関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図10】従来の充電装置を示す図である。
【図11】従来の他の充電装置を示す図である。
【符号の説明】
1 充電装置
101,102 電池
102A,102N 逆流阻止手段内蔵の増設電池
2a,2b 逆流阻止手段
3 充電電流供給手段
4 充電電流検出手段
5a,5b スイッチング手段
6 比較手段
7 制御手段
10 情報処理装置
Claims (1)
- 充電可能な内蔵リチウムイオン電池及び複数の増設リチウムイオン電池を充電する充電装置において、
前記複数の増設リチウムイオン電池は、各々逆流防止手段を備えると共に、電池を使用して稼働する装置に対して必要に応じて増設装着されるものであり、
前記内蔵リチウムイオン電池対応に設けられた逆流阻止手段と、
前記内蔵リチウムイオン電池及び装着された前記複数の増設リチウムイオン電池に対して並列に充電電流を供給する充電電流供給手段と、
前記内蔵リチウムイオン電池に供給される充電電流値、及び前記装着された複数の増設リチウムイオン電池への充電電流を出力する1つの端子に対して該複数の増設リチウムイオン電池内の逆流阻止手段が並列接続される構造となっている該端子に供給される充電電流値を検出する充電電流検出手段と、を有し、
前記充電電流検出手段により検出される各充電電流値が所定値以下になったことを検出して前記充電電流供給手段による充電電流の供給を停止すること、
を特徴とする充電装置。
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