JP3782267B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の板体を順次積層すると共にダボかしめにより一体化し、モータやトランス等の積層鉄心に用いられる積層体を製造する積層体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モータやトランスの積層鉄心は、鉄心材料である帯状薄板を間欠移送しながら、各プレス工程による打ち抜き加工および積層するためのダボ成形加工を施した後に、図2に示すように、素材3をストリッパー・プレート2とダイ4で挟み込み、抜きパンチ1でダイ4内に順次嵌入して積層することによって製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の製造方法では、抜きパンチ1により素材3をダイ4内に嵌入する際に、抜きパンチ1の切り込み量が大きいため、パンチ1とダイ4により素材3が撓み、抜かれた鉄心片7には図2に示すようにそりが発生する。その為、前回抜かれた鉄心片8の嵌合凹部8aと今回抜かれた鉄心片7の凸部7a間に、図2に示すように位置ずれが発生し、鉄心片の嵌合時にダボを変形させたり、また完全な嵌合が行われず、鉄心片の嵌合強度を低下させる原因となっていた。
【0004】
また、図2に示すそりの発生を減少させるため、図3に示すように、抜きパンチ1の切り込み量を小さくすると、ストリッパー2で素材3を挟んだ時点で図2とは逆方向にそりが発生するため、図2に示す切り込み量が大きい場合と同様に、ダボ嵌入時のダボ凸部7aと凹部8aにピッチずれが生じダボを変形させたり、また完全な嵌合が行われず、鉄心片の嵌合強度を低下させる。
【0005】
また、そりを減少させる為に、パンチ1とダイ4のクリアランスを小さくすると、パンチ1とダイ4が衝突し、切り刃が欠損し、切り刃の寿命を低下させるため量産においては実用的ではない。
本発明の目的とするところは、抜きパンチ4により素材3をダイ4内に嵌入する際に、すでに抜かれた積層品の凹部とその積層品に嵌合する新たに抜かれた積層品の凸部間に位置ずれが生ぜず、完全な嵌合が行われる積層体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、パンチによる打ち抜きが始まる直前に、前回打ち抜きにより積層された積層品の嵌合凹部に新たに打ち抜きにより積層される積層品の凸部が接触もしくは僅かに嵌入する状態になるように、パンチによる切り込み長(前回抜かれた鉄心片のダイ上面からの距離)を設定することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、パンチにより積層品をダイ内に積層する工程時に、新たに積層される積層品には打ち抜きによるそりが生ぜず、そのためダイ内に積層された積層品の嵌合凹部と新たに積層される積層品の凸部間には位置ずれが発生せず、積層品を完全な嵌合状態でダボかしめを行い、嵌合強度を維持できる積層体を製造することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、ダボを有する複数枚の単板をパンチでダイ内に順次打ち抜きにより積層し、その積層間をダボかしめにより一体化して積層体を形成する積層体の製造方法において、パンチによる打ち抜きが開始される直前に、素材に形成した嵌合凸部を、既に積層した積層品の嵌合凹部に接触するか、もしくは嵌入開始から終了までの距離の20%以下の距離を嵌入させ、前記素材を打ち抜くと同時に、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部をかしめ積層体を製造することを特徴とするものであり、パンチにより積層品をダイ内に積層する工程時に、新たに積層される積層品には打ち抜き時のそりによる位置ずれが発生しないので、ダイ内に積層された積層品の嵌合凹部と新たに積層される積層品の凸部は、最もピッチ精度が良い状態で嵌入が開始され、打ち抜きが進行して抜きぞりが発生しても、ダボは相互にガイドされているので、ダボの変形の発生を抑制することができ、完全な嵌合状態で積層品のダボかしめを行い、嵌合強度を維持できる積層体を製造することができる作用を有する。
【0009】
【実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。尚、以下に示す実施の形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1において、1は抜きパンチ、2はストリッパー・プレート、3は素材、4はダイ、5はダボを有する積層品、5aは積層品5の凸部、6は前回積層された積層品、6aは積層品6の凹部を表している。
【0010】
本発明においては、抜きパンチ1の下方への切り込み長を、パンチ1による打ち抜きが開始される直前に、前回ダイ内に積層された積層品6の嵌合凹部6aと新たに積層される積層品5の凸部5aが接触もしくは僅かに嵌入する状態になるように予め設定している。
本発明による積層体の積層方法は以下の通りである。
【0011】
まず、素材3をストリッパー・プレート2とダイ4で挟み込み、抜きパンチ1でダイ4内に打ち抜き、積層品5として前回ダイ4内に積層された積層品6の嵌合凹部6aに今回新たに積層される積層品5の凸部5aを嵌入させる。図1は抜きパンチ1が下降しその下面が積層品5の上面に接触し、打ち抜きが始まろうとする瞬間の状態図である。この時、前回ダイ4内に積層された積層品6の嵌合凹部6aに今回積層される積層品5の凸部5aが接触もしくは僅かに嵌入する状態になるように、パンチの切り込み量(前回抜かれた積層品6のダイ上面からの距離)を設定する。
【0012】
このことにより、パンチ1により積層品をダイ4内に積層する工程時に、新たに積層される積層品5には打ち抜き時のそりによる位置ずれが発生しないので、ダイ4内に積層された積層品6の嵌合凹部6aと新たに積層される積層品5の凸部5aは、最もピッチ精度が良い状態で嵌入が開始され、打ち抜きが進行して抜きぞりが発生しても、ダボは相互にガイドされているので、ダボの変形の発生を抑制することができ、良好な嵌合状態で積層品のダボかしめが行われるため、嵌合強度を有する積層体を製造することができる。なお、打ち抜きが開始された時点で、ダボ凸部と凹部が接触するか、僅かに嵌入しする状態にするパンチによる切り込み量は、嵌入開始から終了までの距離の0〜20%程度にするように設定するのが最も好適である。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、パンチにより打ち抜きが始まる直前に、前回ダイ内に積層された積層品の嵌合凹部と新たに打ち抜きによりダイ内に積層される積層品の凸部が接触もしくはわずかに嵌入した状態になるように、パンチの切り込み量を設定することにより、嵌入時におけるダボ成形部の変形を小さくし、嵌合強度を維持して安定した固着力を有する積層体を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における積層体の製造方法を適用した部分断面図である。
【図2】従来の一般的な切り込み量(板厚の1.5〜2倍)によるダボの嵌入開始の瞬間の断面図である。
【図3】切り込み量が過小の場合のダボの嵌入開始の瞬間の断面図である。
【符号の説明】
1 抜きパンチ
2 ストリッパー・プレート
3 素材
4 ダイ
5 今回抜かれた積層品
5a 凸部
6 前回抜かれた積層品
6a 嵌合凹部
Claims (1)
- ダボを有する複数枚の単板をパンチでダイ内に順次打ち抜きにより積層し、その積層間をダボかしめにより一体化して積層体を形成する積層体の製造方法において、パンチによる打ち抜きが開始される直前に、素材に形成した嵌合凸部を、既に積層した積層品の嵌合凹部に接触するか、もしくは嵌入開始から終了までの距離の20%以下の距離を嵌入させ、前記素材を打ち抜くと同時に、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部をかしめ積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法。
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JP27130199A JP3782267B2 (ja) | 1999-09-24 | 1999-09-24 | 積層体の製造方法 |
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JP27130199A JP3782267B2 (ja) | 1999-09-24 | 1999-09-24 | 積層体の製造方法 |
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JP6248965B2 (ja) * | 2015-02-18 | 2017-12-20 | トヨタ自動車株式会社 | 回転電機のコアの製造方法 |
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1999
- 1999-09-24 JP JP27130199A patent/JP3782267B2/ja not_active Expired - Fee Related
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