JP3781915B2 - 斜板式ピストンポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、正回転および逆回転のいずれのポンプ駆動源にも連結して使用できるようにする斜板式ピストンポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、小形で高圧作動が可能な油圧ポンプとして斜板式ピストンポンプが建設機械や産業機械などに広く利用されているが、この斜板式ピストンポンプは、シリンダブロックとともに回転するピストンの頭部をそのシリンダブロックの駆動軸に対し傾斜配置された斜板に沿って摺動させることにより、ピストンおよびこのピストンを摺動可能に収容するシリンダブロックのシリンダ穴においてポンプ作用を発生させるというものである。
【0003】
このような斜板式ピストンポンプでは、ピストンのピストン穴に対する摺動量すなわちストローク量が、上記斜板の傾斜角度によって異なり、そのストローク量に応じた所望のポンプ出力が得られるようにするために、例えば、その斜板の一部を支持するスプリングと、その斜板の他部をそのスプリングの反発力に抗して支持する伸縮量が調整可能な斜板制御シリンダとを設けて、その斜板の傾斜角度を任意に設定可能にしている。
【0004】
そして、このような斜板制御を行うために、上記スプリングと斜板制御シリンダとを一組として、その斜板制御シリンダに制御圧を供給し、これにより斜板を所望のポンプ出力が得られる設定角度に傾斜保持させている。
【0005】
ところで、上記斜板制御シリンダに対して制御圧を供給するために、その斜板制御シリンダを支持するポートブロックに一つの制御圧供給ポートが設けられており、この一つの制御圧供給ポートを通して供給される制御圧によって斜板制御シリンダの伸縮長を設定し、例えば、駆動源および上記シリンダブロックの正転(右回転)方向時の斜板制御を行っている。
【0006】
一方、このような斜板式ピストンポンプの駆動源として、上記とは逆方向に回転するモータや油圧モータなどが用いられることがあり、この場合には、シリンダブロックを逆転(左回転)することにより上記同様の動作をする斜板式ピストンポンプが独自に設計され、組み立てられる。
【0007】
この場合には、駆動源の回転方向に応じた二種類の斜板式ピストンポンプを用意する必要がある。
【0008】
これに対して、斜板式ピストンポンプを、例えば上記スプリングと斜板制御シリンダとの設置位置を入れ換えて、斜板の傾きを上記とは逆方向にし、位置を入れ換えた斜板制御シリンダに対して、制御圧を供給するポートを持った別途用意されたポートブロックを連結するか、またはこれまで使用していたポートブロックを反転(例えば180度回転)して連結するかして組み立て、これを駆動源の回転方向に応じて選択的に利用可能にすることもできる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の斜板式ピストンポンプにあっては、駆動源の回転方向に応じて構成の異なる二種類のポンプを各別に用意することは不経済であり一方、上記のようにスプリングと斜板制御シリンダとを入れ換えを使用するものでは逆転専用のポートブロックを新たに用意したり、既設のポートブロックを反転して組み付けたりするなどの作業が加わることで、製品コストの上昇を招いたり、ポートブロックに対する配管接続の変更などによる組立作業の煩雑化を招くという課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するものであり、既設のポートブロックをそのまま使用しながら、スプリング,斜板制御ピストンおよび斜板の組み換えのみで、要求される駆動源の回転方向に対応した利用をローコストに実現できる斜板式ピストンポンプを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のために、請求項1の発明にかかる斜板式ピストンポンプは、ポートブロックに、一つの制御圧供給ポートとは異なる他の制御圧供給ポートを設け、この他の制御圧供給ポートに斜板制御シリンダを付け換え可能にし、かつ上記一つの制御圧ポートにこれを塞ぐスプリングガイドを付け換えてスプリングを取り付け可能にしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を図について説明するが、図1は、この発明の斜板式ピストンポンプを一部破断して示す正面図であり、これが外観上、カップ状のケーシング1を円板状のポートブロック2により塞いだような形態をなす、右回転駆動用の斜板式ピストンポンプとして組み付けられている。
【0013】
そして、このケーシング1には、これの底部1aの中心部を貫通するように駆動軸3がベアリング(図示しない)を介して回転自在に支持されており、この駆動軸3の内端が、ポートブロック内側面中心部に形成された凹所2a内に、スラストベアリング4などを介して支持されている。
【0014】
また、上記駆動軸3には、これと一体回転するシリンダブロック5が取り付けられており、このシリンダブロック5の駆動軸3を中心とする点対称位置にシリンダ穴6a,6bが形成されている。
【0015】
これらのシリンダ穴6a,6b内には、各一のピストン7a,7bが往復摺動可能に収納されており、その先端頭部には、耐摩耗性の円滑面を有するボール8a,8bが回転自在に取り付けられている。
【0016】
一方、シリンダ穴6a,6bの底部に位置するシリンダブロック5の所定部位には、そのシリンダ穴6a,6b内への作動油などの吸込みおよび吐出を行う通孔9a,9bがそれぞれ設けられている。
【0017】
そして、このシリンダブロック2の内側面に固定されたバルブプレート10に対して摺動自在に密接している。
【0018】
このバルブプレート10は、通孔9a,9bのそれぞれ連通する円弧状の吐出用長孔11aおよび吸込み用長孔11bを有し、これらの各長孔11a,11bは、ポートブロック2の内側面に刻設された各一の吐出用油溝12aおよび吸込み用油溝12bに連通している。
【0019】
なお、これらの吐出用油溝12aおよび吸込み用油溝12bは、ポートブロック2内に形成された油孔13a,13bを通じて図示しない吐出側油路および吸込み側油路に導かれている。
【0020】
14は、バルブプレート10に設けられて、ポートブロック2の一部に係止されたバルブプレート廻り止めピンである。
【0021】
また、上記ポートブロック2の内側面のシリンダ穴6a近傍には、斜板制御シリンダ15がガイド部材16を介して取り付けられており、この斜板制御シリンダ15のピストン15aの頭部が、駆動軸3に対して一方に傾斜する斜板17の一部を支持している。
【0022】
一方、ガイド部材16は、ポートブロック2に形成された一の制御圧供給ポートとしての油路18を通じて、外部からの制御圧を配管24を通じて斜板制御シリンダ15に供給し、ピストン15aの伸長量を設定可能にしている。
【0023】
さらに、上記ポートブロック2の内側面のシリンダ穴6b近傍には、スプリングガイド19が固定されており、このスプリングガイド19にコイル状のスプリング20の一端部が保持され、このスプリング20の他端部にはボール支持板21が取り付けられている。
【0024】
このボール支持板21は、駆動軸3に対して上記ピストン15aと反対側の位置で、斜板17の一部に設けられたボール22を支持しており、斜板17には、上記ピストン7a,7b上のボール8a,8bを転動自在に支持するガイドリング17aが取り付けられている。
【0025】
上記ポートブロック2は、駆動軸3の中心線に対して上記油路18と反対側の位置(点対象となる位置)に、その油路18と位置,形状,サイズが略同一の他の制御圧供給ポートとしての油路23を有し、これには油路18に与えられるのと同様の制御圧が配管24を通じて供給可能とされている。
【0026】
しかし、この油路23はその開口端が上記スプリングガイド19によって密に閉塞されており、内部はその制御圧に維持されている。
【0027】
かかる構成になる斜板式ピストンポンプでは、これの駆動に当って、まず外部から油路18に制御圧を供給し、この制御圧をシリンダガイド16を通して斜板制御シリンダ15に供給する。
【0028】
このため、ピストン15aはその制御圧に応じた量だけ突出し、斜板17を上記スプリング20の反発力に抗して押し上げる。なお、図1の例ではその制御圧は低く抑えられており、斜板17は一方に傾斜するように保持されている。
【0029】
この状態で駆動軸3をモータなどの動力源を利用して右回転方向に駆動すると斜板17,斜板制御シリンダ15およびスプリング20に対してシリンダブロック5のみがその駆動軸3とともに一体回転する。
【0030】
このため、シリンダ穴6a,6b内のピストンロッド7a,7bの一方が収縮するとき他方が伸長するように動作して、伸長した側では流体としての作動油を、油孔13b,長孔11b,通孔9bを通して外部からシリンダ穴6b内に吸込み、圧縮した側ではシリンダ穴6a内の作動油を通孔9a,長孔11a,油孔13aを通して外部へ吐出するように動作する。
【0031】
すなわち、シリンダブロック5の回転によって各シリンダ穴6a,6bおよびピストン7a,7bがバルブプレート10の長孔11a位置にきたとき作動油を吐出し、一方、バルブプレート10の長孔11b位置にきたとき作動油を吸込んで、所期のポンプ作用を行うこととなる。
【0032】
ここで、斜板17の傾きは、斜板制御シリンダ15に供給する制御圧を任意に設定することで、容易に調整可能でありこれにより各シリンダ穴6a,6bにおけるピストン7a,7bのストローク量を調節でき、作動油の吐出量を任意に選択することが可能となる。
【0033】
次に、上記斜板式ピストンポンプを、上記とは異なる逆転方向である左回転方向(図2の矢印方向)の駆動源を用いて駆動する場合には、ポートブロック2に対してケーシング1を一旦分離して、斜板制御シリンダ15をガイド部材16とともに、ポートブロック2の油路23側に付け換えるとともに、スプリングガイド19をポートブロック2の油路18側に付け換えて、ここにボール支持板21を持ったスプリング20を保持させる。
【0034】
また、このとき、斜板17を図1に示した状態とは反対方向に傾斜させるように、斜板制御シリンダ15のピストン15aおよびスプリング20端のボール支持板21上に支持させる。
【0035】
このため、スプリングガイド19はこれまで斜板制御シリンダ15側に開かれていた油路18を密に閉塞し、一方、これまでスプリングガイド19により閉じられていた油路23が斜板制御シリンダ15側に開かれることとなる。
【0036】
つまり、ポートブロック2を新しいものと交換したり組み換えを行ったりすることなく、斜板制御シリンダ15とスプリングガイド19,スプリング20との組み換えのみで、逆転駆動用の斜板式ピストンポンプとしての利用を簡単に行えるようにしている。
【0037】
そして、このような斜板式ピストンポンプでは、油路23を通して斜板制御シリンダ15に対する制御圧の供給を行うことで、その制御圧に応じた傾きに斜板17を保持でき、長孔11aを吸込み用長孔として、長孔11bを吐出用長孔としてそれぞれ利用するシリンダ穴6aおよびピストン7aと、シリンダ穴6bおよびピストン7bとが所期のポンプ動作を営なむこととなる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ポートブロックに、一つの制御圧供給ポートとは異なる他の制御圧供給ポートを設け、この他の制御圧供給ポートに斜板制御シリンダを付け換え可能にし、かつ上記一つの制御圧ポートにこれを塞ぐスプリングガイドを付け換えてスプリングを取り付けできるように構成したので、ポートブロックを新しいものと交換したり、配管を外して組み換えを行ったりすることなく、斜板制御シリンダおよびスプリングの入れ換えと斜板の付け換えのみで、駆動軸を逆転駆動する駆動源への対応が極めて容易かつ迅速に実現できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態による斜板式ピストンポンプを一部破断して示す正面図である。
【図2】図1における各部構成部品を入れ換えて組み付けたものを一部破断して示す正面図である。
【符号の説明】
2 ポートブロック
3 駆動軸
5 シリンダブロック
6a,6b シリンダ穴
7a,7b ピストン
15 斜板制御シリンダ
17 斜板
18 油路(一の制御圧供給ポート)
19 スプリングガイド
20 スプリング
23 油路(他の制御圧供給ポート)
Claims (1)
- 駆動軸に取り付けられたシリンダブロックと、このシリンダブロックのシリンダ穴内に往復摺動可能に収納されたピストンと、駆動軸に対し傾斜して設けられ、ピストンの頭部を摺動可能に案内し、このピストンおよびシリンダ穴にポンプ作用を行わせる斜板と、斜板の一部をスプリングガイドを介して支持するスプリングと、斜板の他の一部をそのスプリングの反発力に抗して支持しながらその斜板を設定傾斜角に保持する斜板制御シリンダと、この斜板制御シリンダに制御圧を供給する一つの制御圧供給ポートを有するポートブロックとを備えた斜板式ピストンポンプにおいて、ポートブロックには、上記一つの制御圧供給ポートとは異なる他の制御圧供給ポートが設けられ、この他の制御圧供給ポートに上記斜板制御シリンダを付け換え可能にし、かつ上記一つの制御圧供給ポートにこれを塞ぐように上記スプリングガイドを付け換えてスプリングを取り付け可能にしたことを特徴とする斜板式ピストンポンプ。
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