JP4056596B2 - 液圧源装置を使用した液圧システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液圧シリンダ等の外部機器を駆動するための液圧源装置を使用した液圧システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液圧源装置を使用した液圧システムとしては、例えば図6に示すようなものがある。
この液圧システムは、液圧ポンプ1から供給された流体が流量制御弁2により設定された流量だけ液圧シリンダ15に供給される。その際、液圧ポンプ1の供給流量のうち、余剰の流量は圧力制御弁3を通ってタンク13に戻る。
流量制御弁2を通して供給される圧液は、切換弁4により液圧シリンダ15のロッド側の室15aあるいはヘッド側の室15bのいずれか一方に供給され、それによって液圧シリンダ15のピストンロッド15cに接続されている負荷6が、図6で右方へ前進したり、左方へ後退したりする。
【0003】
そして、その際に負荷6が移動する移動速度は、流量制御弁2により調節される。また、その負荷6の前,後進、あるいは移動停止は、切換弁4の切換位置を変えることによって行なわれる。
また、その負荷6が非常に重い場合には、圧力制御弁3の働きにより回路の圧力が予め設定されている圧力以上にならないようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の液圧源装置を使用した液圧システムは、次に示すような種々の問題点があった。
すなわち、流量制御弁の絞り作用により負荷の移動速度を制御しているため、その流量制御弁の部分で大きなエネルギ損失が生じてしまうということがあった。また、負荷を頻繁に動かして起動と停止を繰り返すと、その度に負荷を加速するためのエネルギが必要となるので、大きな駆動源が必要であるということもあった。
【0005】
さらに、負荷の移動を加速したり、減速したときに液圧ポンプが電動機により駆動されていると、その電動機に加わる負荷の大きさが変動することによって瞬間的に大きな電流が流れたり、電源電圧が変動してノイズが発生したりすることがあるため、他の制御機器に悪影響を与えてしまう恐れがあった。
そして、これらの問題は液圧シリンダの駆動回路だけでなく、液圧モータの駆動回路にも共通する問題であった。
【0006】
そこで、本出願人は、上記のような液圧システムの回路に用いる液圧パッケージとして、先に特願平8−267095号(液圧アクチュエータパッケージ)を出願している。
この液圧アクチュエータパッケージは、慣性物体を加減速駆動する可変容量形の液圧モータと、その液圧モータの容量を制御する制御弁と、上記液圧モータの液圧源としてのアキュムレータ(蓄圧器)と、貯蔵液体量に応じて封入気体との隔壁を変位し得る密閉タンクとをケーシングに一体的に設けた液圧アクチュエータパッケージであり、上記液圧モータの第1,第2のポートをアキュムレータ及び密閉タンクにそれぞれ連通させると共に、上記第1,第2のポートにそれぞれ外部から接続可能な第1,第2の外部接続ポートを上記ケーシングに設けている。
【0007】
この液圧アクチュエータパッケージを使用すれば、上述した従来の液圧システムが持つ問題点を解決することができるが、その対象は液圧モータを使用するものに限られてしまうという欠点があった。
すなわち、上述した液圧アクチュエータパッケージの場合には、負荷を動かすアクチュエータが可変容量形の液圧機械のように容量を変化させて一定の圧力を作用させることにより発生するトルクや推力等を変化させる機構が不可欠であるが、液圧シリンダの場合にはそのような可変容量形の構造を簡単に実現するのが難しかった。
【0008】
一方、単動の液圧シリンダ、あるいはピストンの両側の受圧面積に差がない複動の液圧シリンダの場合には、可変容量形の液圧モータで液圧ポンプを駆動し、その液圧ポンプから供給される圧液により液圧シリンダを駆動することも考えられる。
しかしながら、ピストンの両側で受圧面積に差がある差動液圧シリンダの場合には、その面積差により液圧ポンプから液圧シリンダに送り込まれる圧液の量と、液圧シリンダの動作によりその液圧シリンダから吐き出されて液圧ポンプに送り込まれる流体の量とが一致しないので、スムーズに液圧シリンダを駆動することができないという問題点があった。
【0009】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、差動液圧シリンダにおいて負荷を頻繁に動かして起動と停止を繰り返しても省エネルギで済み、液圧ポンプを駆動する電動機に流れる電流がその電動機に加わる負荷の大きさに応じて変動して瞬間的に大きく変化したり、電源電圧が変動したりしてノイズが発生して他の制御機器に悪影響を与えたりしないようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、略一定の圧力を発生する液圧源装置と、その液圧源装置からチェック弁を介した流体を流入可能に接続された蓄圧器と、その蓄圧器に接続された可変容量形の液圧機械と、その液圧機械の回転軸により回転駆動される液圧ポンプと、その液圧ポンプから供給される流体により駆動されて負荷を移動する差動液圧シリンダとからなる液圧源装置を使用した液圧システムを、次のように構成する。
【0011】
すなわち、上記液圧ポンプが、複数のピストンと、その複数のピストンをそれぞれ摺動可能に嵌入させる複数のピストン摺動孔を有するシリンダブロックと、そのシリンダブロックと共に回転した際に上記各ピストンを往復運動させるように変位させるカム機構と、上記各ピストンが往復運動した際に流体の吸い込み工程と吐出工程を分ける各ポートがそれぞれ形成された流体分割部材とを備えており、上記流体分割部材の上記吸い込み工程と吐出工程を分ける各ポートのいずれか一方のポートを上記ピストンの上記回転軸を中心とする回転方向に沿って間隔を置いて2つに分割し、その分割したポートの一方を差動液圧シリンダのロッド側の室に連通すると共にその分割した残りのポートをタンクに連通し、2つに分割しない側の上記ポートを差動液圧シリンダのヘッド側の室に連通するように構成したものである。
【0012】
そして、上記カム機構は、ピストンの往復運動のストロークを任意に可変可能にする手段を有しているようにすると、より効果的である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明による液圧源装置を使用した液圧システムの一実施形態例を示す油圧回路図、図2は同じくその油圧回路に使用されている固定容量形アキシャルピストンポンプである液圧ポンプを示す縦断面図、図3は同じくその液圧ポンプに設けられている流体分割部材である弁板とその弁板に形成されている各ポートの差動液圧シリンダとの接続関係を示す概略図である。
【0014】
図1に示す液圧源装置を使用した液圧システムは、略一定の圧力を発生する液圧源装置7と、その液圧源装置7からチェック弁9を介した流体を流入可能に接続された蓄圧器8と、その蓄圧器8に接続された可変容量形の液圧機械10と、その液圧機械10の回転軸10aにより回転駆動される液圧ポンプ11と、その液圧ポンプ11から供給される流体により駆動されて負荷6を矢示A方向に移動する差動液圧シリンダ5とからなる。
【0015】
液圧ポンプ11は、図2に示すような例えば固定容量形アキシャルピストンポンプであり、複数のピストン34と、その複数のピストン34をそれぞれ摺動可能に嵌入させる複数のピストン摺動孔であるシリンダボア32aを有するシリンダブロック32と、そのシリンダブロック32と共に回転した際に各ピストン34を同図で左右方向に往復運動させるように変位させる後述するカム機構と、各ピストン34が往復運動した際に流体の吸い込み工程と吐出工程を分ける各ポートがそれぞれ形成された流体分割部材である弁板25とを備えている。
【0016】
シリンダブロック32は、ケーシング31の内部に回転自在に組み込まれており、そのシリンダブロック32の中心線C上に回転軸(主軸)33を設けて両者をスプライン結合することによって取り付け、駆動する可変容量形の駆動液圧モータである液圧機械10(図1)からの回転力が回転軸33を介してシリンダブロック32に伝達されるようにしている。
【0017】
シリンダブロック32の中心から同一ピッチの円上には、中心線Cと平行で且つ等間隔に複数のシリンダボア32aを形成し、その各シリンダボア32aにはそれぞれ往復運動するピストン34を摺動自在に嵌入させている。
また、ケーシング31の内部には、回転軸33がシリンダブロック32と共に回転した際に各ピストン34を往復運動させるように変位させる上述したカム機構を設けている。
【0018】
そのカム機構は、シリンダブロック32の中心線Cに対して任意の傾転角を持たせて斜板35をケーシング31に取り付け、各ピストン34の一端に形成した球状部34aを、環状のシュープレート36によって連結されるピストンシュー37に回転自在に装着し、ばね39によってピン38を介して斜板35の方向へ押圧される外周面が球面状のスヘリカルワッシャ40をシュープレート36を介してピストンシュー37を斜板35に押圧し、ピストン34を斜板35に沿わせるようにしたものである。
なお、スヘリカルワッシャ40の内周面に形成した内径スプライン部40aは回転軸33の外周面に形成した外径スプライン部33aに摺動可能に嵌合している。
【0019】
さらに、ケーシング31の右端面には、バルブプレート45に固設した弁板25が設けてあり、その弁板25は、シリンダブロック32の右端面と摺接し、シリンダボア32aに供給する流体のシール部を形成している。
その弁板25には、シリンダボア32aと対応するピッチ円上に、詳しい説明は後述するが、流体の吸い込み工程と吐出工程を分ける孔である各ポート(いずれも図2には図示されていない)がそれぞれ形成されている。
【0020】
このように構成される液圧ポンプ11は、各ピストン34の一端がピストンシュー37を介して斜板35に沿いながら中心線Cを中心にして回転することにより、その各ピストン34が、図2で左右方向に往復運動をする。
そのピストン34の往復運動は、斜板35の最大傾斜位置(図2で上側と下側のピストン34がそれぞれ図示してある位置)を境にして、前進(往)と後退(復)が行なわれる。そして、そのピストン34の前進と後退に対応させて流体の吐出と吸い込みを分ける役割を果たすのが弁板25である。
【0021】
流体の吐出工程では、ピストン34は、その吐出圧力により斜板35の方向に押圧され、吸入工程ではピン38を介してばね39の付勢力によって斜板35の方向に押圧されているスヘリカルワッシャ40に内周面が摺接しているシュープレート36がピストンシュー37を斜板35に押圧することにより、斜板35に沿っている。
【0022】
そして、1本のピストン34に注目すると、それが中心線Cを中心にして半回転している間は流体をシリンダブロック32内へ吸い込む方向に移動し、残る半回転の間はその流体を吐出する方向に移動することになる。したがって、回転軸33が連続回転することにより、連続的なポンプ作用が行なわれる。
【0023】
次に、弁板25の形状及びその弁板25に形成されている各ポートの差動液圧シリンダ5との接続関係について図3を参照して説明する。
弁板25は、図示のような円盤形状をしており、そこにはピストン34の回転軸33を中心とする回転方向に沿い、シリンダボア32a(図2)の孔中心と対応するピッチ円Pc上に、その略片側半分に吸い込み工程と吐出工程を分ける一方の側のポートとなるポートYを円弧状の孔25aで形成している。
【0024】
また、それと反対側の略片側半分に、他方の側のポートとなるポートXとポートZをピッチ円Pc上に間隔を置いて、それぞれ円弧状の孔25b,25cにより2つに分割して形成している。
そして、その分割した一方のポートXを差動液圧シリンダ5のロッド側の室5aに連通すると共に、その分割した残りのポートZをタンク26に連通し、2つに分割しない側のポートYを差動液圧シリンダ5のヘッド側の室5bに連通するようにしている。
【0025】
次に、図1に示した液圧システムの動作について説明する。
まず最初に、液圧シリンダ5のピストンロッド5cに取り付けられて停止状態にある負荷6を動かし始める場合について説明する。
可変容量形の液圧機械10の容量を増やすと、略一定の液圧の流体が液圧源装置7からチェック弁9を介して液圧機械10に供給されているので、その液圧機械10は回転軸10aを回転させるモータ作用を行なってトルクを発生させる。
そのトルクにより回転軸10aが回転すると、機械的あるいは歯車やベルト等を使用して、その回転軸10aに回転軸33(図2)が連結されている液圧ポンプ11が回転を開始する。
【0026】
その際、液圧機械10の容積をどちら側に増やしていくかにより、液圧ポンプ11に発生する軸トルクの方向が決まり、その回転方向によって液圧ポンプ11のポートXあるいはポートYのいずれか一方から圧液が吐出される。
そして、液圧ポンプ11のポートYから圧液が吐出される場合には、その圧液は差動液圧シリンダ(複動液圧シリンダ)5のヘッド側の室5bに供給されるため、その差動液圧シリンダ5のピストンロッド5cが図1で右方に移動して負荷6が前進する。
【0027】
その際、差動液圧シリンダ5のロッド側の室5aは液圧ポンプ11のポートXに連通しているので、ピストンロッド5cが図1で右方に移動することにより室5aから排出される流体は液圧ポンプ11のポートXに供給される。
ここで、この液圧システムでは、差動液圧シリンダ5のヘッド側の室5bとロッド側の室5aとの受圧面積の割合が、液圧ポンプ11のポートYとポートXがそれぞれ通過可能にする流量の割合と等しくなるように、予め弁板25の各孔25a,25b,25cの大きさをそれぞれ設定してある。
【0028】
したがって、液圧ポンプ11が差動液圧シリンダ5のヘッド側の室5bへ供給する圧液によりピストンロッド5cが図1で右方に移動(前進)することによってロッド側の室5aから排出される流体の量と、液圧ポンプ11のポートXが差動液圧シリンダ5のロッド側の室5aから排出されて吸い込む流体の量とが等しくなるので、差動液圧シリンダ5のピストンロッド5cが図1で右方にスムーズに移動する。
【0029】
一方、上述した場合と逆の方向に液圧機械10の容量を増やすようにすると、回転軸10aには上述した場合と逆の方向の軸トルクが発生する。そのため、回転軸10aが逆方向に回転し、液圧ポンプ11の吸い込みと吐出の各ポートが逆になる。
すなわち、液圧ポンプ11のポートXから圧液が差動液圧シリンダ5のロッド側の室5aに供給され、それによってピストンロッド5cが負荷6と共に図1で左方に移動(後退)することにより、差動液圧シリンダ5のヘッド側の室5bから排出される流体が液圧ポンプ11のポートYに吸い込まれる。
【0030】
その際、上述したように差動液圧シリンダ5のヘッド側の室5bとロッド側の室5aとの受圧面積の割合が、液圧ポンプ11のポートYとポートXがそれぞれ通過可能にする流量の割合と等しくなるように予め設定してあるので、ヘッド側の室5bから排出される流体の量と、液圧ポンプ11のポートYが差動液圧シリンダ5のヘッド側の室5bから排出されて吸い込む流体の量とが等しくなるので、差動液圧シリンダ5のピストンロッド5cが図1で左方にスムーズに移動する。
【0031】
次に、前進又は後退時のように動いている負荷6を減速あるいは停止させる場合について説明する。
負荷6の前進中あるいは後退中に液圧機械10の容量を、その負荷6の移動方向が逆側になる方向に増やしていくと、その液圧機械10は加速時にはモータ作用をしていたものがポンプ作用をするようになる。
【0032】
そして、液圧ポンプ11が、差動液圧シリンダ5のロッド側の室5aあるいはヘッド側の室5bから戻された流体によりモータ作用をすることによって回転軸33(図2)が回転すると、その回転軸33に連結されている液圧機械10の回転軸10aも回転する。
【0033】
そのため、液圧機械10が、上述したようにポンプ作用をすることによって、蓄圧器8にエネルギを貯える。すなわち、負荷6の前進あるいは後退する運動エネルギあるいは位置エネルギを蓄圧器8に圧力エネルギとして貯えながら、負荷6の移動を減速あるいは停止させる。
このように、この液圧システムは、可変容量形の液圧機械10の容量を変化させることにより、回転軸10aの部分に発生するトルクを制御するようにしたので、従来の液圧源装置を使用した液圧システムのような絞り制御によるエネルギの損失がない。
【0034】
また、移動中の負荷6を減速あるいは停止させる際に、運動エネルギあるいは位置エネルギを蓄圧器8に圧力エネルギとして貯えて、次に負荷6を加速したり移動開始させたりする際に、その蓄圧器8に貯えた圧力エネルギを使用するので、省エネルギになる。
【0035】
そして、その負荷6を加速する場合には、上述したように蓄圧器8に貯えた圧力エネルギを使用するので、液圧源装置7のモータ12は定常的な損失部分を補うだけであり、急激にモータ12に加わる負荷が変動するようなことがないので、そのモータ12に瞬間的に大きな電流が流れたり、電源電圧が変動してノイズが生じて他の制御機器に誤動作等の悪影響を与えたりする恐れがない。したがって、動力用の電源と制御機器用の電源とを共通にすることもできる。
また、比較的小型で構成も簡単であるため安価に製作することができる。さらに、差動液圧シリンダ5等の外部機器を安定して効率的に駆動することができる。
【0036】
図4はこの発明による液圧源装置を使用した液圧システムの他の実施の形態を示す図1と同様な油圧回路図であり、図1と対応する部分には同一の符号を付してある。また、図5は図4の油圧回路に使用されている可変容量形アキシャルピストンポンプである液圧ポンプを示す縦断面図であり、図2と対応する部分には同一の符号を付してある。
図4の液圧源装置7を使用した液圧システムは、図1で説明した液圧システムが固定容量形アキシャルピストンポンプである液圧ポンプ11を使用していたのに対し、可変容量形アキシャルピストンポンプである液圧ポンプ51を使用するようにした点のみが異なる。
【0037】
この液圧ポンプ51は、図2で説明した固定容量形アキシャルピストンポンプ11に対して、図5に示すように斜板55の傾斜角度を任意に変更することができるようにした点のみが異なる。
すなわち、ケーシング31の上部に、制御シリンダ57をバルブプレート52に固設された制御シリンダガイド53に摺動自在に挿着し、制御シリンダ51の左端面を斜板55の上端部に圧接させている。
また、ケーシング31の下部には、バイアスシリンダ54をばね56の付勢力により斜板55に圧接するように設け、このバイアスシリンダ54と制御シリンダ51とによって斜板55の傾きを制御するようにしている。
【0038】
この液圧ポンプ51にも、ピストン34の前進と後退に対応させて流体の吐出と吸い込みを分割する弁板25が取り付けられている。したがって、回転軸33の回転速度を制御することによってシリンダロッド(図1の5cを参照)が移動する速度を制御するとき、液圧ポンプ51から吐出される流体の吐出流量により差動液圧シリンダ5を駆動し、その駆動された差動液圧シリンダ5の反対側から排出される流量と、その液圧ポンプ51へ吸い込まれる流体の吸込流量との間に不平衡が生じない。
【0039】
また、斜板55の傾斜角度を変えることによってピストン34のストロークを変化させてシリンダの速度を制御する場合も、弁板25によって分割される流量比(ピストン34のストローク比)はそのまま変わることはないので、同様に液圧ポンプ51から吐出される流体の吐出流量により差動液圧シリンダ5を駆動し、その駆動された差動液圧シリンダ5の反対側から排出される流量と、その液圧ポンプ51へ吸い込まれる流体の吸込流量との間に不平衡は生じない。
この液圧システムによれば、可変容量形の液圧ポンプ51の構成が固定容量形の液圧ポンプ11に比べて複雑になるが、その固定容量形の液圧ポンプ11に比べて変速比をより大きくとれるという利点がある。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、回路中に絞りによる流量制御弁がないので、その流量制御弁の絞り作用によるエネルギの損失がなく、また移動中の負荷を減速させたり停止させたりした際に運動エネルギを蓄圧器に貯え、次に負荷を移動開始させたり、加速させたりする際にその貯えたエネルギを使用するので、省エネルギですむ。
さらに、その負荷を加速する場合には蓄圧器に貯えたエネルギを使用するため液圧源装置は定常的な損失部分を補うだけであり、そこには急激な負荷の変動が生じるようなことがないので、電源電圧が変動してノイズが生じたりするようなことがない。したがって、制御機器の誤動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による液圧源装置を使用した液圧システムの一実施形態例を示す油圧回路図である。
【図2】同じくその油圧回路に使用されている固定容量形アキシャルピストンポンプである液圧ポンプを示す縦断面図である。
【図3】同じくその液圧ポンプに設けられている流体分割部材である弁板とその弁板に形成されている各ポートの差動液圧シリンダとの接続関係を示す概略図である。
【図4】この発明による液圧源装置を使用した液圧システムの他の実施の形態を示す図1と同様な油圧回路図である。
【図5】図4の油圧回路に使用されている可変容量形アキシャルピストンポンプである液圧ポンプを示す縦断面図である。
【図6】従来の液圧源装置を使用した液圧システムの例を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
5:差動液圧シリンダ 5a:ロッド側の室
5b:ヘッド側の室 6:負荷
7:液圧源装置 8:蓄圧器
9:チェック弁 10:液圧機械
10a,33:回転軸 11,51:液圧ポンプ
25:弁板(流体分割部材) 26:タンク
32:シリンダブロック
32a:シリンダボア(ピストン摺動孔)
35,55:斜板
Claims (2)
- 略一定の圧力を発生する液圧源装置と、該液圧源装置からチェック弁を介した流体を流入可能に接続された蓄圧器と、該蓄圧器に接続された可変容量形の液圧機械と、該液圧機械の回転軸により回転駆動される液圧ポンプと、該液圧ポンプから供給される流体により駆動されて負荷を移動する差動液圧シリンダとからなり、
前記液圧ポンプが、複数のピストンと、その複数のピストンをそれぞれ摺動可能に嵌入させる複数のピストン摺動孔を有するシリンダブロックと、該シリンダブロックと共に回転した際に前記各ピストンを往復運動させるように変位させるカム機構と、前記各ピストンが往復運動した際に流体の吸い込み工程と吐出工程を分ける各ポートがそれぞれ形成された流体分割部材とを備えており、
前記流体分割部材の前記吸い込み工程と吐出工程を分ける各ポートのいずれか一方のポートを前記ピストンの前記回転軸を中心とする回転方向に沿って間隔を置いて2つに分割し、その分割したポートの一方を前記差動液圧シリンダのロッド側の室に連通すると共にその分割した残りのポートをタンクに連通し、
2つに分割しない側の前記ポートを前記差動液圧シリンダのヘッド側の室に連通するようにしたことを特徴とする液圧源装置を使用した液圧システム。 - 前記カム機構は、前記ピストンの往復運動のストロークを任意に可変可能にする手段を有していることを特徴とする請求項1記載の液圧源装置を使用した液圧システム。
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