JP3780752B2 - 画像形成装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着装置を備えた画像形成装置に関し、さらに詳しくは、定着装置におけるジャム処理後の定着装置の初期動作を制御する画像形成装置、ないしは該画像形成装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真式の画像形成装置は、定着装置を含んで構成されている。定着装置は、トナーを担持した紙やOHPシートの記録媒体に対して、熱や圧力の作用により、トナー像をその記録媒体上に固定化させる。
【0003】
定着装置は、たとえば、一組の熱ローラ対を定着ローラとして含んで構成される。定着ローラ対は、互いに圧接してニップを形成する。そして、その回転によって、そのニップに記録媒体を通過させることで熱定着を行う。また、トナーの量や記録媒体の材質に対応するためにローラ対の圧接力が可変となっているものもある。
【0004】
ここで、定着ローラ対のうち、記録媒体のトナー担持面と接するローラ(上定着ローラ)には、いくらかのトナーが付着してしまうこととなる。このようなオフセットトナーは、画像ノイズの原因となることから、通常は上定着ローラには、清掃手段が設けられている。
【0005】
清掃手段は、トナーがオフセットされた定着ローラに直接に又は、オフセットトナーが転写されたクリーニングローラにウェブを押し当て、トナーを拭き取ることにより清掃を行う。また、巻取りローラによってウェブを巻き取ることで、清掃部におけるウェブの交換を行う。
【0006】
一方、定着装置は、電源が投入されてから、定着可能な状態になるまでに、熱ローラ対のウォームアップなどの所定の初期動作を行う必要がある。この初期動作においては、通常はウェブの巻取りを開始するとともに、定着ローラを均一に加熱するために定着ローラを回転させつつ加熱する。従来の定着装置においては、多量のオフセットトナーによる用紙ジャムが発生したときに、いったん画像形成装置の電源を遮断してジャム処理をして、その後に電源を投入した場合にも、通常と同様の初期動作を行っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着ローラ対近傍で多量のトナーオフセットによるジャムが発生した場合に、ジャム処理後の起動において通常と同様の初期動作を行うことには、以下の問題がある。
【0008】
第1に、定着ローラ又はクリーニングローラには、ジャムの原因となったオフセットトナーが多量に付着していることとなるが、このトナーがウェブによって拭き取られている途中でジャムのためにローラの回転が停止されると、トナーはジャム処理中に冷却されてウェブをローラに付着凝固させる。この状態で、電源投入後、ローラが昇温しないまま、すなわちローラ上のトナーが熔融しないまま通常の初期動作と同様にローラの回転を行うと、ウェブがローラに引っ張り出されてしまい、これによりウェブが他のローラなどに巻き込まれて装置の故障にいたる可能性がある。
【0009】
第2に、清掃手段におけるウェブは、定着装置が多量のオフセットトナーが原因となってジャムを引き起こした場合には、ジャム処理後の起動において多量のトナーを拭き取る必要があるにもかかわらず、通常の稼動時と同じ量のでウェブの巻取りを行うと、トナーを十分に除去しきれず、その後の画像に汚れ等の画質の低下を招く原因となる。
【0010】
そこで、本発明は、定着装置の初期動作に関して、通常の初期動作と定着装置近傍でのジャムを処理した後の初期動作を区別し、ジャム処理後は適切な初期動作を行う画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、記録媒体上に形成されたトナー像を熱定着させることで、所望の画像を該記録媒体上に形成する画像形成装置において、定着すべきトナー像と接触する第1定着部材と、前記第1定着部材に圧接して定着部を形成する第2定着部材により前記定着部で記録媒体を挟持搬送して記録媒体上のトナーを該記録媒体上に熱定着させる定着装置と、前記定着部付近で発生する記録媒体のジャムを検出する検出手段と、前記検出手段で検出したジャムの発生をジャム情報として記憶し、前記画像形成装置の電源が遮断された後も記憶保持する情報記憶手段と、前記定着装置が定着可能な状態になるまでの初期動作において、前記情報記憶手段に記憶されたジャム情報が有る場合には、前記第1定着部材を加熱するとともに、前記第1定着部材が所定温度に達するまでは前記第1定着部材を回転させず、前記第1定着部材が所定温度に達した後に前記第1定着部材を回転させるようにし、前記情報記憶手段に記憶されたジャム情報が無い場合には、前記第1定着部材を加熱するとともに、前記第1定着部材を回転させるように前記定着装置の初期動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる画像形成装置によれば、定着装置の初期動作において、ジャムの処理後の再起動か、通常の起動かを判断することができ、ジャム処理後の再起動時にはジャムの発生に伴う定着装置の異常状態に対応した適切な初期動作を行うことができる。
【0013】
上記画像形成装置において前記制御手段が、前記ジャム情報がある場合には、前記第1定着部材を加熱するとともに、前記第1定着部材が所定温度に達するまでは前記第1定着部材を回転させないように前記駆動手段を制御することとすれば、オフセットトナーが熔融しないままで前記定着部材が回転することにより該定着部材がクリーニングウェブを引っ張り出し、これが装置の故障を招くという不都合を回避することができる。
【0014】
さらに、前記制御手段が、前記ジャム情報がない場合には、前記定着装置の初期動作において、前記第1定着部材を加熱し、前記第1定着部材を回転させるよう前記定着装置を制御することを特徴とするとすれば、ジャムの発生後にはローラに付着したトナーを十分に拭き取ることが可能となるとともに、通常時にはウェブの節約をすることが可能となる。
【0015】
一方、前記定着装置が、更に、前記第1定着部材に付着したトナーを拭き取るウェブと、前記ウェブを巻き取る巻取りローラを有する清掃手段を備え、前記制御手段は前記初期動作における清掃手段の駆動を制御することとすれば、ジャムの発生に伴う定着装置の異常状態に応じて前記第1定着部材の適切なクリーニングが可能となる。
【0016】
また、前記制御手段は、前記定着部材が前記所定温度に達するまでは、ウェブの巻取りを行わずに、前記所定温度に達した後は、前記ジャム情報がある場合は前記ジャム情報がない場合と比較して、前記清掃手段によるウェブの巻取り量を大きくしてウェブの巻取りを行うように制御することとすれば、ジャムの発生原因となった多量のトナーを確実に拭き取ることができ、その後の画像ノイズ等の画質低下を防ぐことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかる定着装置の側面該略図である。図1を参照して、定着装置の構成及び動作を説明する。
【0019】
定着装置1は、シートを挟持して搬送する一組の断面無端形状の定着部材として上定着ローラ2及び下定着ローラ3を備えて構成されている。下定着ローラ3は上定着ローラ2に対して定位置圧接されて、両ローラ間には所定幅のニップが形成されておりこのニップが定着部となる。上定着ローラ2及び下定着ローラ3は図示しない駆動源を駆動手段として回転する。
【0020】
また、下定着ローラ3は前記の駆動源により上定着ローラ2から離間することが可能である。下定着ローラ3はその軸方向両端付近で図示しない軸受等を介して圧接離間用の板金50に保持されている。板金50は定着フレーム内側に取り付けられた軸51を支点に回転可能に取り付けられ、またその支点の反対側には回転可能なコロ部53を有する。コロ部53は定着フレームに回転可能に取り付けられた圧接離間用のカム52の回転変位に従動し、板金50は支点51を中心に回転する。この回転動作によって下定着ローラ3は上定着ローラ2に対して圧接または離間の位置をとることができる。このときコロ部53はカム52との摺動抵抗を減らす働きをする。本実施例では、カム52の駆動力を前記の上定着ローラ2及び下定着ローラ3の駆動源よりとっている。カム52が取り付けられた長軸にはその一方端部に連結タイミングが選択可能であるクラッチを連結することで駆動力がカム52に伝わり、上定着ローラ2及び下定着ローラ3の圧接及び離間を制御することができる。
【0021】
上定着ローラ2はその加熱手段であるヒータ12によって、下定着ローラ3はその加熱手段であるヒータ13によって加熱される。上定着ローラ2の近傍には、上定着ローラ2の表面温度を検出するための温度検出手段としてサーミスタ15が配置されており、ヒータ12及びヒータ13は、サーミスタ15の検出値に基づいて後述するメカコントロール部により加熱制御される。
【0022】
転写搬送ベルト8上で、その上面にトナー像を担持した記録媒体9は、上定着ローラ2と下定着ローラ3が圧接する定着部において、両ローラの回転によって搬送されるとともに、記録媒体9上のトナーは、ニップが形成された定着部において両ローラの熱によって熔融し、記録媒体に定着される。定着部を通過して、トナー像を固定化した記録媒体9は搬送ローラ4及び5によって排紙部10に排出される。
【0023】
一方、上定着ローラ2の上側には、上定着ローラの清掃手段としてウェブクリーニング装置20が設けられている。ウェブクリーニグ装置20はウェブ21とウェブ21を巻き取る巻取りローラ23を備えている。さらに、ウェブクリーニング装置20はウェブ21と上定着ローラ2との間のテフロン製のクリーニングローラ11をも含む。クリーニングローラ11は、ウェブ21を介してウェブバックアップローラ22に押圧されることで、上定着ローラ2に圧接し、上定着ローラ2に従動して回転する。
【0024】
このようなクリーニング装置によって、上定着ローラ2にオフセットした残留トナーはクリーニングローラ11に転写され、クリーニングローラ11上に付着したトナーは、バックアップローラ22によってクリーニングローラ11に圧接されるウェブ21によって拭き取られる。なお、ウェブ21を直接定着ローラ2に当てることによりクリーニングを行うことの可能であるが、そのような方法は、定着ローラの耐久性を低下させる原因にもなることから上記の構成をとっている。
【0025】
ここで、ウェブ21は拭き取りの効率を維持するために、ある一定のタイミングで巻取りローラ29によって巻き取られ、新しいウェブ面がクリーニングローラ11に接するようにされる。巻取りローラ29は図示しない専用の巻取りモータによって駆動される。ウェブの巻取りは、通常の定着時には、上定着ローラ1へのオフセットトナーの量は少ないため、たとえば、A4用紙10枚につきウェブ1mmを巻き取るペースで行う。ジャム処理後の初期動作においては、巻取り量をこれより多くするが、この制御については後述する。
【0026】
定着ローラの用紙搬送方向下流側に、定着ローラ付近での用紙ジャムを検出する手段としてセンサ7が取り付けられている。ここで検出された用紙ジャムは、後述するジャム情報記憶手段にジャム情報として記憶保持され、定着装置の制御に供される。
【0027】
図2は、本発明にかかる画像形成装置のブロック構成の概略を示す図である。
【0028】
図中センサ22はジャム検出手段として働き、定着部付近の用紙ジャムを検出する。センサ22によって検出されたジャム情報は、CPUを含むメカコントロール部31を介してジャム情報記憶手段としてのジャム情報メモリ32に送信され記憶保持される。ジャム情報メモリ32は、不揮発性メモリであり画像形成装置の電源が遮断された後も記憶したジャム情報を保持している。ジャム情報メモリ32に記憶保持されたジャム情報は、電源投入時にメカコントロール部31によって読み取られ、メカコントロール部31で処理されることで後述する画像形成装置の制御に供される。
【0029】
メカコントロール部31は、ジャム情報メモリ32から読み出したジャム情報の有無及びサーミスタ15からの検出値に応じて、クリーニング装置20内のウェブ巻取りモータの回転、ヒータ12及び13への通電、及び定着ローラ駆動用モータ16の回転を制御する。
【0030】
次に、定着部付近でのジャムの発生及びジャム処理について説明する。まず、定着部付近で用紙ジャムが発生した場合は、画像形成装置は、動作を停止する。これと同時に、所定の表示手段によってジャム表示をし、ユーザに対してジャム処理をリクエストする。なお、ジャム検出手段のセンサによってジャムを検出する場合には必ずしもトナーオフセットによるジャムに限られるものではないが、本実施例においてはすべてオフセットジャムであるとしてその後の制御を行う。
【0031】
ユーザは、このジャム処理のリクエストに対し、ジャム処理を開始するが、この時は、処理をするユーザの安全のため画像形成装置の電源はすべて遮断される。すなわち、定着ローラの回転駆動、クリーニング装置内の巻取りローラの駆動、ヒータの加熱などはすべて停止される。このようにして、ユーザによるジャム処理が完了し、装置に電源を投入すると、定着装置は所定の初期動作を行う。
【0032】
次に、図1の定着装置を備えて図2の構成を有する画像形成装置の制御例を以下に説明する。
【0033】
図4は、本発明にかかる画像形成装置の制御例を示したフローチャートである。図4を参照して、画像形成装置は、電源が投入されると所定の初期動作を開始するが、これに先立ち、ステップ41(以下「S41」などと記す。)においてメカコントロール部31は、ジャム情報メモリ32に記憶された情報に基づいて、前回の電源遮断直前に用紙ジャムを検出したか否かを判断する。
【0034】
そして、S41においてメカコントロール部31がジャム情報メモリ32にジャム情報はないと判断した場合、即ち通常の初期動作時には、S47において上下ヒータの温調を開始し、その後直ちにS48において定着ローラを離間しその回転を開始する。そしてS49で後述するウェブ巻取りシーケンス1に従い巻取りローラがウェブの巻取りを行なう。ウェブ巻取りシーケンス1(以下「シーケンス1」と記す。)が終了すると、S46でサーミスタ15が190℃を検出したとき初期動作を終了する。
【0035】
このように通常の初期動作時において上下ヒータへの通電の直後に定着ローラの回転をも開始するのは、ローラ表面を均一に加熱するためである。また、この回転と同時に下定着ローラを上定着ローラから離間するのは、定着時には定着性能を向上させるために定着ローラの圧力を高く設定しているところ、高温下で長時間高圧力にさらされた場合には定着ローラの特性低下等の弊害が発生する可能性があるからである。したがって通常の初期動作においては、上記の圧接離間機構により、下定着ローラを上定着ローラから離間して圧力を解除することでローラ特性の低下を防ぐこととする。
【0036】
一方、S41においてジャム情報メモリ32が前回の電源遮断直前のジャム情報を記憶していた場合、すなわち、その電源投入が、ジャム処理後の電源投入である場合には、S42に進みメカコントロール部31がヒータ12及び13に通電を開始することで定着ローラ2及び3の温調を開始する。その後定着ローラを離間も回転もさせることなく、表面温度が185℃になるまで定着ローラ2及び3を加熱する。S43でサーミスタ15が185℃を検出したとき、S44で定着ローラを離間しその回転を開始する。S42およびS44で、定着ローラの回転と離間を同時に行なっているのは、上記のようにローラ離間の駆動とローラ回転の駆動を同一の駆動源からとっているためである。
【0037】
定着ローラが回転を開始すると、同時にウェブによる上定着ローラのクリーニングも開始されることとなる。そこで、その後S45において後述するウェブ巻取りシーケンス2に従ってクリーニング装置20によるクリーニングを実行する。このウェブ巻取りシーケンス2(以下「シーケンス2」と記す。)が終了するとS46において定着ローラが190℃になっていることを確認して、初期動作を終了する。
【0038】
このように、通常時の初期動作と比較して、ジャム処理後の初期動作においてはローラ温度が所定値以上になるまで定着ローラの回転を行わないこととするのは、次の理由によるものである。すなわち、一般にオフセットしたトナーはジャム処理時に装置の電源を切ることで急激に冷やされ、ウェブとクリーニングローラに多量のトナーが残っている場合はこの部分のトナーが冷えて凝固するため、この状態で定着ローラを回転すると、定着ローラに従動したクリーニングローラが固着したウェブを引っ張り出して、そのウェブが他のローラ類に巻き込まれて故障を引き起こす可能性があるからである。したがって、S43において、クリーニングローラ上でウェブを固着しているトナーが熔融するまで定着ローラの温度を上げて、その後にS44で定着ローラを離間して回転を開始することとしている。このような制御により、ウェブの引っ張り出し及び巻き付きを防ぐことができるのである。
【0039】
なお、本実施例では、S41〜S44について上で説明したとおり、ジャム処理後の初期動作においては、定着ローラの温度が所定温度に達するまでは定着ローラの回転だけでなくその離間をもさせないこととしているが、定着ローラの回転を伴うことなく離間させることができる機構を採った場合には、S42において、上下ヒータの温調開始と同時にローラを離間させてもよい。このようにすることで定着ローラの特性低下等の弊害を防止することができる。
【0040】
次に、上記したシーケンス1及び2について説明する。図5及び図6は各シーケンスのタイムチャートを示す図であり、図5はシーケンス1、図6はシーケンス2を示す。
【0041】
図5を参照して、シーケンス1では開始と同時に1.66秒間ウェブの巻取りが行なわれる。その後は巻取りを行なわずに60秒後にシーケンスを終了する。一方、図6を参照して、シーケンス2ではシーケンスの開始と同時に33.2秒間ウェブの巻取りが行なわれ、12秒間停止してした後4.98秒間巻取り、さらに12秒後1.66秒間巻取りを行なう。即ち、シーケンス2ではシーケンス1と比較して、ウェブの巻取り回数を多くし、かつ巻取り時間を長くすることによりウェブの巻取り量を多くしている。なお、図5及び図6のいずれにおいてもウェブ巻取りモータによるウェブの巻取りは1.66秒間に1mmの速さで行なう。
【0042】
このように、シーケンス2即ちジャム処理後の初期動作において、ウェブの巻取り量を、シーケンス1即ち通常時の初期動作と比較して多くするのは、オフセットによるジャムが発生した場合には、上定着ローラ上に多量のトナーが残留している可能性があるため、この場合には多量のトナーを除去するために多量のウェブが必要となるからである。なお、本実施例では、シーケンス2の場合にはシーケンス1と比較して巻取りローラの速度を変更することなく、巻取り時間を長くし、所定時間内の巻取り回数を多くすることでクリーニング部に多量のウェブを供給しているが、この他に巻き取り速度を速めることでも、多量のウェブを供給することが可能である。また、シーケンス2において、巻取り時間をシーケンス1と同じくし、巻取り回数を多くすることでも同様の効果が得られる。さらに、シーケンス2において、巻取り回数を同じくし、巻取り時間を長くするものでもよい。
【0043】
これにより、上定着ローラに多量のオフセットトナーが残っていても、確実にクリーニング作業を行うことができ、残留トナーによる汚れ等の問題を防ぐことができる。
【0044】
なお、定着装置が初期動作後の通常の稼動として定着を行っている場合には、ウェブの巻取りは、20秒周期で1.66秒間行う。この時の巻取り速度は、やはり1.66秒間に1mmの割合である。通常の定着時における上定着ローラへのトナーの付着量を考慮するとこの程度のウェブ交換で十分であり、これ以上のウェブの巻取りは、ウェブの浪費となり好ましくない。従って、上記の実施例ではシーケンス1は通常の定着動作と同様の巻取り動作を行なうものである。
【0045】
以上の実施の形態では本発明にかかる画像形成装置における定着装置を、図1に示した熱ローラ定着装置として説明したが、本発明を実施する画像形成装置の定着装置はこれに限られるものではない。例えば定着装置はシートを挟持して搬送する部材が無端状ベルトであって複数のローラに張架されて回転するベルト定着装置など他の公知の定着装置でもよい。この例を図3に示す。図3において、3は加圧ローラ、2は定着ベルトであり、両部材がシートを挟持する定着部材となっている。無端状の定着ベルト2はローラ9及び14に張架され、ローラ14の内部には加熱部材としてヒータ12が設けられている。ベルト2の表面にはその温度検出手段としてサーミスタ15が当接している。図面左方向から搬送されてきたシートはベルト2及び加圧ローラ3の圧接するニップ部で熱及び圧力の作用を受け図面左側に排出される。なお、加圧ローラ3内にも加熱手段としてヒータ13が設けられている。ベルト2及び加圧ローラ3のニップ部を通過したシートは搬送ローラ4及び5のよって定着装置1の外に排出される。定着装置1内の排出部付近にはジャムを検出するセンサ7が設けられている。また、ローラ9の上方には図1で説明したのと同様のクリーニング装置20が設けられている。
【0046】
つまり、トナー像の定着に際してトナー像を担持したシートを挟持してその挟持部でシートに熱を与えることにより定着を行なう加熱定着装置を備えた画像形成装置であれば、図1又は図3に示す定着装置に関わらず本発明を適用できるものである。
【0047】
【発明の効果】
定着装置が、情報記憶手段と上記所定の制御手段を備えることにより、ジャムがあったことを検知して、電源が投入された後やジャム処理が完了した後に定着装置が定着可能な状態になるまでの初期動作を適切に行うことができ、装置のトラブルや画質の低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明にかかる画像形成装置の定着装置付近の概略を示した中央断面図である。
【図2】 図2は、本発明にかかる定着システムの構成を示したブロック図である。
【図3】 図3は、本発明にかかる画像形成装置の定着装置付近の概略を示した中央断面図である。
【図4】 図4は、本発明にかかる画像形成装置の定着装置に関する初期動作の第1の制御例の概略を示したフローチャートである。
【図5】 図5は、ウェブ巻取りローラの初期動作のシーケンス1を示すタイムチャートである。
【図6】 図6は、ウェブ巻取りローラの初期動作のシーケンス2を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1:定着装置、2〜3:定着部材(定着ローラ、定着ベルト、加圧ローラ)、12〜13:加熱部材(ヒータ)、7:ジャム情報検出手段(センサ)、15:温度検出手段(サーミスタ)、20:クリーニング装置、21:ウェブ、31:メカコントロール部、32:ジャム情報メモリ
Claims (6)
- 記録媒体上に形成されたトナー像を熱定着させることで、所望の画像を該記録媒体上に形成する画像形成装置において、
定着すべきトナー像と接触する第1定着部材と、前記第1定着部材に圧接して定着部を形成する第2定着部材により前記定着部で記録媒体を挟持搬送して記録媒体上のトナーを該記録媒体上に熱定着させる定着装置と、
前記画像形成装置に電源が投入された後やジャム処理が完了した後、前記定着装置が定着可能な状態になるまでの初期動作制御する制御手段と、
前記定着部付近で発生する記録媒体のジャムを検出する検出手段と、
前記検出手段で検出したジャムの発生をジャム情報として記憶し、前記画像形成装置の電源が遮断された後も記憶保持する情報記憶手段とを備え、
前記制御手段は、前記情報記憶手段に記憶されたジャム情報が有る場合には、前記第1定着部材を加熱するとともに、前記第1定着部材が所定温度に達するまでは前記第1定着部材を回転させず、前記第1定着部材が所定温度に達した後に前記第1定着部材を回転させるようにし、前記情報記憶手段に記憶されたジャム情報が無い場合には、前記第1定着部材を加熱するとともに、前記第1定着部材を回転させるように前記定着装置の初期動作を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記定着装置は、更に、前記第1定着部材に付着したトナーを拭き取るウェブと、前記ウェブを巻き取る巻取りローラを有する清掃手段を備え、前記制御手段は前記初期動作における清掃手段の駆動を制御する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記定着部材が前記所定温度に達するまでは、ウェブの巻取りを行わずに、前記所定温度に達した後は、ジャム情報がない場合と比較して、前記清掃手段によるウェブの巻取り量を大きくしてウェブの巻取りを行うように制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記清掃手段は、前記ジャム情報がある場合は前記ジャム情報がない場合と比較して、ウェブの巻取り回数を多くすることによりウェブの巻取り量を大きくすることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記清掃手段は、前記ジャム情報がある場合は前記ジャム情報がない場合と比較して、ウェブの巻取り時間を長くすることによりウェブの巻取り量を大きくすることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 圧接して定着部を形成する一組の断面無端形状の定着部材と、前記定着部材を回転駆動させる駆動手段と、前記定着部材を加熱する加熱手段とを備えて、前記定着部で記録媒体を挟持搬送し、記録媒体上のトナーを該記録媒体上に熱定着させる画像形成装置の定着装置に対して、
前記定着部付近で発生する記録媒体のジャムを検出する検出手段により検出したジャム情報を、情報記憶手段によって前記画像形成装置の電源が遮断された後も記憶保持して、
前記画像形成装置に電源が投入された後やジャム処理が完了した後前記定着装置が定着可能な状態になるまでの初期動作を、前記情報記憶手段に記憶されたジャム情報が有る場合には、前記第1定着部材を加熱するとともに、前記第1定着部材が所定温度に達するまでは前記第1定着部材を回転させさせず、前記第1定着部材が所定温度に達した後に前記第1定着部材を回転させるようにし、前記情報記憶手段に記憶されたジャム情報が無い場合には、前記第1定着部材を加熱するとともに、前記第1定着部材を回転させるようにように制御することを特徴とする定着装置の制御方法。
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