JP3780462B2 - 粘性流体ポンプの圧送用ピストンへのグリース供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はホッパ内の粘性流体を2本の輸送シリンダ内に交互に吸入して吐出させるようにする粘性流体ポンプの輸送シリンダ内の圧送用ピストンへのグリース供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートの如き粘性流体を吸入吐出させる粘性流体ポンプのうち、吸入吐出弁を揺動弁型としたものの一例を示すと、図4及び図5に示す如く、ホッパ1の前面壁1aの下部位置に2つの吸入吐出口2a,2bを左右方向に並べて設け、該2つの吸入吐出口2a,2bと連通するようにホッパ1の前面壁1aに前端側を取り付けた2本の輸送シリンダ3a,3bを平行に配置し、且つ該2本の輸送シリンダ3a,3bの後端側に、洗浄室4を介して2本の主油圧シリンダ5a,5bを接続し、該2本の主油圧シリンダ5a,5b内に収納した油圧ピストン7a,7bと、上記2本の輸送シリンダ3a,3b内に収納した圧送用ピストン6a,6bとを、各々洗浄室4を貫通するピストンロッド8a,8bにて一体的に連結し、主油圧シリンダ5aと5bの油圧ピストン7aと7bを交互に前進及び後退させることにより、輸送シリンダ3aと3b内の圧送用ピストン6aと6bが同時に交互に前進と後退動作するようにしてある。一方、ホッパ1内には、S字型に屈曲させた揺動管9が配置してあって、前端側が左右方向へ揺動して2つの吸入吐出口2a,2bに交互に連通するようにしてあり、該揺動管9の揺動を、揺動管9に一端を固定してホッパ1の前方へ突出させた連結軸10を揺動レバー12を介し揺動シリンダ11a,11bで回転させることにより行わせるようにしてあり、上記2本の輸送シリンダ3a又は3b内にホッパ1内の粘性流体13を吸入した後、圧送用ピストン6a又は6bを前進させることにより、輸送シリンダ3a又は3b内の粘性流体13を揺動管9内を通して吐出させるようにしてある。
【0003】
上記の如き粘性流体ポンプにおいて用いられている圧送用ピストン6a,6bは、図6に示す如く、ピストンロッド8a,8bの先端に押えプレート14を介し複数本の取付用ボルト15で取り付けられるピストンフランジ16と、該ピストンフランジ16の前面にボルト17にて一体的に取り付けられるピストンフランジ18と、先端側のピストンフランジ18の外周面に嵌着されるピストンパッキング19と、後側のピストンフランジ16の外周部に嵌合されて押えボルト21にてピストンパッキング19の後面に押し付けられるようにしてあるピストンパッキング20とからなる構成としてある。
【0004】
上記圧送用ピストン6a,6bの各ピストンパッキング19と20は、輸送シリンダ3a,3bの内面に接して移動しながら粘性流体の吸入吐出を行わせるようにするものであるため、摩耗し易い。そのため、摩耗を防止し且つシール性を維持するために、圧送用ピストン外周のピストンパッキング19,20部にはグリースを供給することが行われている。
【0005】
従来の圧送用ピストン6a,6bへのグリース供給装置としては、図6及び図7に示す如く、輸送シリンダ3a,3bの後端側で且つ圧送用ピストン6a,6bが後退側のストロークエンドに達したときの該圧送用ピストン外周部に相当する位置に、円周方向に6つのグリース供給口22を各輸送シリンダ3a,3bごとに設け、該各グリース供給口22に連結したグリース注入器23に、図示しないグリースポンプに接続されたグリース配管24を、途中に分岐ダクト25を介して各々接続し、圧送用ピストン6a,6bの前進、後退の切り換えに合わせてグリースポンプからグリースを吐出させて輸送シリンダ3a,3bの外側から圧送用ピストン6a,6bに対しグリースの供給を自動的に行うようにしたものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、輸送シリンダ3a,3bの外側から輸送シリンダ内の圧送用ピストン6a,6bに給脂する従来のやり方では、圧送用ピストン6a,6bを交互に前進、後退に切り換えるときに圧送用ピストン6a,6bのストロークエンドに達するタイミングのずれ等が生じた際、圧送用ピストン6a,6bへのグリース給脂のタイミングがずれ、グリース給脂時に、圧送用ピストン6a,6bのパッキング19,20外周面がグリース供給口22の位置からずれることがあり、このような場合には、パッキングに対し正しくグリースを供給することができないことになり、パッキングの寿命が短かくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、圧送用ピストンのピストンパッキング外周面に確実に給脂することができるようにした粘性流体ポンプの圧送用ピストンへのグリース供給装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、輸送シリンダ内に収納した圧送用ピストンと、輸送シリンダに洗浄室を介して接続した主油圧シリンダの油圧ピストンとをピストンロッドで連結し、圧送用ピストンを前進、後退させることにより粘性流体を吸入、吐出させるようにしてある粘性流体ポンプの上記圧送用ピストンを構成するピストンフランジをピストンロッド先端に取り付けるときに用いる複数の取付用ボルトのうちの1つの取付用ボルトに代えて、軸心部にグリースを流す孔を有する中空構造の取付用ボルトを用いるようにし、上記ピストンフランジの外周面に、凹溝を全周にわたりリング状に形成すると共に、該ピストンフランジに、該リング状の凹溝と上記中空構造の取付用ボルトの先端に開口する軸心部の孔とを連通する流路を形成し、且つ上記ピストンフランジ外周のピストンパッキングに、上記リング状の凹溝と連通して該ピストンパッキングの外周に通じるようにする溝を半径方向に複数本形成し、グリース用チューブに接続した接続金具を中空構造の取付用ボルトに接続して、グリースをピストン内部からピストンパッキング外側へ供給するようにした構成とする。
【0009】
チューブ内を通して送られるグリースは、1つの取付用ボルトの軸心部の孔を通り、ピストンフランジの流路、リング状の凹溝を経てピストンパッキングの溝より外周側へ流出させられるため、圧送用ピストンの切り換えのタイミングのずれに無関係に常に確実にグリースの供給ができることになる。
【0010】
又、輸送シリンダ内に収納した圧送用ピストンと、輸送シリンダに洗浄室を介して接続した主油圧シリンダの油圧ピストンとをピストンロッドで連結し、圧送用ピストンを前進、後退させることにより粘性流体を吸入、吐出させるようにしてある粘性流体ポンプの上記圧送用ピストンを構成するピストンフランジをピストンロッド先端に取付用ボルトで取り付け、上記ピストンフランジの外周面に、凹溝を全周にわたりリング状に形成すると共に、該ピストンフランジに、グリース用の孔を直接穿設して、該グリース用の孔と上記リング状の凹溝とを連通する流路を形成し、且つ上記ピストンフランジ外周のピストンパッキングに、上記リング状の凹溝と連通して該ピストンパッキングの外周に通じるようにする溝を半径方向に複数本形成し、グリース用チューブに接続した接続金具を上記ピストンフランジに直接穿設したグリース用の孔に接続して、グリースをピストン内部からピストンパッキング外側へ供給するようにした構成としても同様にグリースの供給を内側からできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は図4に示した場合と同様に、2本の輸送シリンダ3a,3b内の圧送用ピストン6a,6bを交互に前進、後退させることにより粘性流体を吸入させるようにしてある粘性流体ポンプにおいて、圧送用ピストン6a,6bが後退側ストロークエンドに達しているときの状態における本発明の実施の一形態を示すもので、図6に示した圧送用ピストンと同様に、ピストンフランジ16,18と、これらの外周に取り付けたピストンパッキング20,19とからなる構成において、ピストンフランジ16をピストンロッド8a,8bの先端に取り付けるための複数の取付用ボルト15のうち、1つの取付用ボルト15に代えて、図2に示す如く、軸心部にグリースを流す孔27を貫通させた中空構造の取付用ボルト26を用いるようにすると共に、後側のピストンパッキング20の前面側(前側のピストンパッキング19と接する面側)に、図3に示す如く、周方向に複数(図では4つ)の溝28を半径方向に形成して、ピストンパッキング19の後面との間に流路が形成されるようにし、且つピストンフランジ16の先端側の外周面に、上記ピストンパッキング20前面の各溝28を連通させるための凹溝29を全周にわたりリング状に形成し、該リング状の凹溝29と上記中空構造の取付用ボルト26の先端とを連通させるための流路30を半径方向に設け、取付用ボルト26内の孔27とピストンパッキング20前面の各溝28とが流路30、リング状の凹溝29を介して連通させられるようにする。
【0014】
又、洗浄室4内を貫通している2本のピストンロッド8a,8bの外周に、グリースを流すためのチューブ31を螺旋状に巻いて、その一端を、洗浄室4の後壁に取り付けた接続具32に接続すると共に、他端に接続金具33を取り付けて、該接続金具33を中空構造のボルト26に接続した構成とし、圧送用ピストン6a,6bが前進して洗浄室4との距離が大きくなるときは、ピストンロッド8a,8bに巻かれたチューブ31がピストンロッド8a,8b上を摺動して追従し、又、逆に、圧送用ピストン6a,6bが後退するときは、同様にチューブ31が追従し、圧送用ピストン6a,6bが後退側ストロークエンドに達した図1の状態ではチューブ31がピストンロッド8a,8b上に密に巻かれた状態になるようにする。
【0015】
洗浄室4に固定された接続具32には、図示しないグリースポンプからのグリース配管34が接続してあり、グリースポンプから圧送されたグリースがチューブ31内を通って取付用ボルト26内の孔27に導かれ、ピストンパッキング20と19の外周面に供給されるようにする。
【0016】
本発明の圧送用ピストン6a,6bへのグリース供給装置によりグリースの供給を行わせると、グリースポンプから供給されるグリースは、チューブ31内より圧送用ピストン6a,6bのピストンフランジ16の流路30、リング状の凹溝29を経てピストンパッキング20の溝28から外周面に流出することによって、圧送用ピストン6a,6bの内部から供給されることになる。これにより圧送用ピストン6a,6bの前進、後退の切換えタイミングのずれ等を一切問題にすることなく、常に確実にピストンパッキング19,20の外周にグリースを供給することができることになる。
【0017】
なお、上記実施の形態では、取付用ボルトを中空にしてその内部にグリースを流す場合を示したが、ピストンフランジ16に、流路30に通じるグリース用の孔を直接穿設するようにしてもよいこと、ピストンパッキング20に形成した溝28の数は、図示した4本以外でもよいこと、又、ホッパ内に揺動管を有する型式の粘性流体ポンプについて示したが、輸送シリンダ内の圧送用ピストンを前進、後退させるものであれば、他の型式のものでもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の粘性流体ポンプの圧送用ピストンへのグリース供給装置によれば、輸送シリンダ内に収納した圧送用ピストンと、輸送シリンダに洗浄室を介して接続した主油圧シリンダの油圧ピストンとをピストンロッドで連結し、圧送用ピストンを前進、後退させることにより粘性流体を吸入、吐出させるようにしてある粘性流体ポンプの上記圧送用ピストンを構成するピストンフランジをピストンロッド先端に取付用ボルトで取り付け、上記ピストンフランジの外周面に、凹溝を全周にわたりリング状に形成すると共に、該ピストンフランジに、グリース用の孔を直接穿設して、該グリース用の孔と上記リング状の凹溝とを連通する流路を形成し、且つ上記ピストンフランジ外周のピストンパッキングに、上記リング状の凹溝と連通して該ピストンパッキングの外周に通じるようにする溝を半径方向に複数本形成し、グリース用チューブに接続した接続金具を上記ピストンフランジに直接穿設したグリース用の孔に接続して、グリースをピストン内部からピストンパッキング外側へ供給するようにした構成としてあるので、グリースをピストンフランジの流路、リング状の凹溝を経てピストンパッキングの溝から外周面へ流出させることにより、圧送用ピストンのピストンパッキングへのグリースの供給を常に確実に行うことができてピストンパッキングの寿命を延長することができ、又、ピストンロッドにピストンフランジを取り付ける取付用ボルトのうちの1つの取付用ボルトを中空にして、その中をグリースが流れるようにすることにより、ピストンフランジに孔をあける数を少なくできる、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘性流体ポンプの圧送用ピストンへのグリース供給装置の実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明で用いるピストンフランジ取付用のボルトの一部断面図である。
【図3】本発明で用いるピストンパッキングを示すもので、(イ)は切断側面図、(ロ)は正面図である。
【図4】粘性流体ポンプの一例を示す切断側面図である。
【図5】図4のV−V矢視図である。
【図6】従来の粘性流体ポンプの圧送用ピストンへのグリース供給装置を示す洗浄室部分の断面図である。
【図7】従来の輸送シリンダに接続したグリース配管を示す図である。
【符号の説明】
3a,3b 輸送シリンダ
4 洗浄室
5a,5b 主油圧シリンダ
6a,6b 圧送用ピストン
7a,7b 油圧ピストン
8a,8b ピストンロッド
15 取付用ボルト
16 ピストンフランジ
18 ピストンフランジ
19 ピストンパッキング
20 ピストンパッキング
26 中空構造の取付用ボルト
27 孔
28 溝
29 凹溝
30 流路
31 チューブ
32 接続具
33 接続金具

Claims (2)

  1. 輸送シリンダ内に収納した圧送用ピストンと、輸送シリンダに洗浄室を介して接続した主油圧シリンダの油圧ピストンとをピストンロッドで連結し、圧送用ピストンを前進、後退させることにより粘性流体を吸入、吐出させるようにしてある粘性流体ポンプの上記圧送用ピストンを構成するピストンフランジをピストンロッド先端に取り付けるときに用いる複数の取付用ボルトのうちの1つの取付用ボルトに代えて、軸心部にグリースを流す孔を有する中空構造の取付用ボルトを用いるようにし、上記ピストンフランジの外周面に、凹溝を全周にわたりリング状に形成すると共に、該ピストンフランジに、該リング状の凹溝と上記中空構造の取付用ボルトの先端に開口する軸心部の孔とを連通する流路を形成し、且つ上記ピストンフランジ外周のピストンパッキングに、上記リング状の凹溝と連通して該ピストンパッキングの外周に通じるようにする溝を半径方向に複数本形成し、グリース用チューブに接続した接続金具を中空構造の取付用ボルトに接続して、グリースをピストン内部からピストンパッキング外側へ供給するようにしたことを特徴とする粘性流体ポンプの圧送用ピストンへのグリース供給装置。
  2. 輸送シリンダ内に収納した圧送用ピストンと、輸送シリンダに洗浄室を介して接続した主油圧シリンダの油圧ピストンとをピストンロッドで連結し、圧送用ピストンを前進、後退させることにより粘性流体を吸入、吐出させるようにしてある粘性流体ポンプの上記圧送用ピストンを構成するピストンフランジをピストンロッド先端に取付用ボルトで取り付け、上記ピストンフランジの外周面に、凹溝を全周にわたりリング状に形成すると共に、該ピストンフランジに、グリース用の孔を直接穿設して、該グリース用の孔と上記リング状の凹溝とを連通する流路を形成し、且つ上記ピストンフランジ外周のピストンパッキングに、上記リング状の凹溝と連通して該ピストンパッキングの外周に通じるようにする溝を半径方向に複数本形成し、グリース用チューブに接続した接続金具を上記ピストンフランジに直接穿設したグリース用の孔に接続して、グリースをピストン内部からピストンパッキング外側へ供給するようにしたことを特徴とする粘性流体ポンプの圧送用ピストンへのグリース供給装置。
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