JP3780392B2 - ストリップの洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解洗浄を利用するストリップの洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ストリップを電解洗浄するには、アルカリ水溶液中に陽極の電極板と陰極の電極板を対向させて設け、ストリップをこれら電極板と電極板との間で、アルカリ水溶液中を走行させる仕様をとっている。この従来技法は、次の問題がある。
【０００３】
ストリップの走行には、厚み方向への蛇行を伴うので、蛇行でストリップが電極板に接触乃至は衝突するのを避ける必要があり、そのためには、アルカリ水溶液中のストリップラインに対し電極板を比較的に離隔させなければならない。電極板間の離隔が大きいと、ストリップの電解洗浄を得るには、電極板に大電流を印加する必要がある。因みに従来、電極板に加える電流は、４０００〜１００００アンペア程度である。このような大電流では、迷走電流による電食の問題が大きい。
【０００４】
大電流の迷走電流の問題をなくするべく、印加電流を小さくすると、電流密度が小となり、電解洗浄成果が低下する。
【０００５】
このような理由から従来技法によるストリップの電解洗浄では、例えば、ランニング速度が５００〜７００ｍ／ｍｉｎ程度のストリップラインにおいて、電極板をストリップ走行方向へ約１．５ｍ間隔で１０〜３０個所、配置している。これによると、電解槽内の液を電解槽と該槽外の液再生乃至は新液補充装置との間を循環させ再使用するとしても、約２０〜３０ｍ3という多量のアルカリ水溶液を電解槽に溜める必要があって、電解洗浄のエネルギー効果が低い。更には、電解洗浄装置が大型となるし、電解洗浄のランニングコスト及び電解洗浄システムのメンテナンスのコストも高くつく。
【０００６】
また従来技法では、電解洗浄が浸漬方式であるため、ストリップから遊離した油脂がアルカリ水溶液中に遊泳し、該液中を通過するストリップに再付着することを避け難く、この点からも、脱脂洗浄の効率が低下する。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術による問題点を解消するにある。即ち本発明は、小電流の適用で高い電解洗浄効率が得られ、従って従来技術における大電流の迷走電流の問題を解消できる、電解洗浄の高いエネルギー効果が得られる、電解洗浄設備を従来より著しく小型化できる、電解洗浄のランニングコストも従来に比し相当低減し得る、電解洗浄システムのメンテナンスのコストも安くてすむ、電解洗浄で遊離した油脂がストリップに再付着しない等の効果が得られる、電解洗浄を利用するストリップの洗浄方法及び洗浄装置を開発乃至は提供することを課題としている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るストリップの洗浄方法は、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法が小さい噴射ノズルを対向して設置し、該噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルからの対向する噴射流の間を被処理ストリップを通過させた後、ブラシロールによるブラッシングを施す工程を含むストリップの洗浄方法であって、前記対向する噴射ノズルの一方を陽極、他方を陰極として、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように前記噴射ノズルに電圧を印加し、さらに、前記ストリップに、前記噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールによるブラッシングを施して前記遊離油脂を除去することを特徴とする。
【０００９】
本発明に係る今一つのストリップの洗浄方法は、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法が小さい噴射ノズルを対向して設置し、該噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルからの対向する噴射流の間を被処理ストリップを通過させた後、ブラシロールによるブラッシングを施す工程を含むストリップの洗浄方法であって、前記対向する噴射ノズルの一方を陽極、他方を陰極とし、それら陽極，陰極に被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加してアルカリ水溶液を噴射した後、前記ストリップに、前記噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールにより前記遊離油脂を除去するようにブラッシングする一連の処理を直列的に複数回行うことを特徴とする。
【００１０】
本発明に係るストリップの洗浄装置は、一方を陽極、他方を陰極として対向して設置され、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法を小さく形成され、その対向する間を被処理ストリップを通過させアルカリ水溶液を噴射しつつ、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加されるアルカリ水溶液噴射ノズルと、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接して配設され、洗浄水噴霧下でのブラッシングにより前記遊離油脂を除去するブラシロールとを具有することを特徴とする。
【００１１】
本発明に係る今一つのストリップの洗浄装置は、一方を陽極、他方を陰極として対向して設置され、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法を小さく形成され、その対向する間を被処理ストリップを通過させアルカリ水溶液を噴射しつつ、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加されるアルカリ水溶液噴射ノズルと、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接して配設され、洗浄水噴霧下でのブラッシングにより前記遊離油脂を除去するブラシロールとを具有する洗浄システムを直列的に併設したことを特徴とする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態につき、添付図面を参照して、次に説明する。
ストリップ洗浄装置Ａは、洗浄システム乃至は洗浄手段（以下、洗浄システムと略記する）Ｉを具有している。該洗浄システムＩは、清浄セクションＩａと、清浄セクションＩｂを構成要素として包含する。清浄セクションＩａは、対向して配置され、一方が陽極、他方が陰極とされ、各々からアルカリ水溶液が噴射される噴射ノズル１，２による電解方式のものである。被処理ストリップＳが、これら噴射ノズル１，２の対向する間を通過される。清浄セクションＩｂは、洗浄水の噴霧を併用するブラシロール３によるブラッシング方式のものである。清浄セクションＩｂにおけるブラシロール３は、清浄セクションＩａにおける噴射ノズル１，２のストリップＳ移行の下流側に隣接して配置される。
【００１３】
噴射ノズル１，２は、アルカリ水溶液供給管１ａ，２ａに接続されている。噴射ノズル１，２から噴射されたアルカリ水溶液は、還流系（図示せず）を通じ、管１ａ，２ａに戻され、循環使用される。
【００１４】
前記電解方式の清浄セクションＩａ及びブラッシング方式の清浄セクションＩｂを包含する洗浄システムＩは、図１に示すように１つを配置すると、図２に示すように複数をタンデム配置即ち直列的に併設するとを問わない。
【００１５】
上記清浄セクションＩｂにおけるブラシロール３及び該ブラシロールと併用する洗浄水の噴霧は、それら自体、従来と同様である。従って、洗浄水を噴霧する態様及びブラシロール３は、概略的に図示した。図で参照符号４を付したのが、洗浄水噴霧様式の一例としての洗浄水噴霧ノズルである。
【００１６】
図示の形式で、ストリップ洗浄装置Ａは、洗浄システムＩのストリップＳ移行の下流側に隣接して配置された水洗方式の洗浄セクションＩＩを更に具有する。この洗浄セクションＩＩも従来と同様である。参照符号５を付したのが洗浄水スプレーヘッダ、６がストリップＳ支持ローラである。
【００１７】
図で、７は洗浄システムＩとそれに隣接する洗浄セクションＩＩの間に介設したリンガーロール、８は洗浄セクションＩａの入り側に配置したリンガーロール、９は洗浄セクションＩＩの出側に設置したリンガーロールを示している。
【００１８】
被処理ストリップＳは、一方が陽極、他方が陰極とされ、それら陽極，陰極に電圧を印加された噴射ノズル１，２から噴射されたアルカリ水溶液に曝されつつ、該噴射ノズル１，２の対向する間を通過されて、電解洗浄される。次いで、ストリップＳは、噴射ノズル１，２のストリップＳ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴射を併用するブラシロール３によるブラッシング処理を受ける。
【００１９】
本発明ではストリップは、液の噴射ノズルと噴射ノズルとの間を通過されて電解洗浄されるため、蛇行で噴射ノズルに接近しようとしても、その接近度に応じて、該噴射ノズルからのより高い液圧に曝され、噴射ノズルへの接近を抑制される。従って、一方が陽極、他方が陰極とされた噴射ノズルを狭い離隔の配置としても、接触乃至は衝突なしに、それら噴射ノズルの間をストリップを通過させ得る。因みに、本発明では、ストリップと電極である噴射ノズル間の離隔が１０ｍｍであっても、電極間のストリップの通過に接触乃至は衝突を生じない。
【００２０】
このように本発明では、電極の間隔を狭くできるので、小電流の適用で高い電解洗浄効率が得られ、従って前示従来の大電流の迷走電流による電食の問題を解消できる。
【００２１】
また、単位入力当たりの電流密度を従来に比較し可成り大きくでき、相当に高い効率でストリップの電解洗浄を行うことができる。即ち、例えば、ランニング速度が前述した程度のストリップラインにおいて、噴射ノズル１ａ，１ｂのストリップＳ走行方向の寸法が７〜８ｍｍで所要の電解洗浄が得られると共に、多量の電解液を槽に溜める必要も無いというように、電解洗浄の高いエネルギー効果が得られる。
【００２２】
具体的には、洗浄システムＩを一つ設置した場合で、７〜８ボルト、１０アンペアの電力により、前述した程度のランニング速度のストリップラインにつき、電解洗浄が達成されることが認められた。これに対し、同程度のランニング速度のストリップラインつき、従来法では２０ボルト、４０００〜１００００アンペアの電力が必要である。
【００２３】
また本発明では、電解洗浄設備を従来より著しく小型化できるし、電解洗浄のランニングコストも従来に比し相当低減し得る。更には、電解洗浄システムのメンテナンスのコストも安くてすむ。
【００２４】
ストリプＳに付着している油脂は、アルカリ水溶液の電解により短時間でストリップから遊離される。遊離した油脂は、ストリップＳ表面上に浮いた状態にある。このため、電解洗浄工程では、ストリップ表面上の遊離した油脂は、電解洗浄ノズル１，２から噴射されたアルカリ水溶液で容易に洗い落とされるし、洗浄水の噴霧下、ブラシロールによるブラッシング工程では、そのブラッシングが前記電解洗浄工程に隣接してなされるため、ストリップ表面の遊離油脂は効果的にに除去される。従って、従来の浸漬式電解洗浄と異なり、電解液に浮遊する油粒子がストリップに再付着することがなく、この点からも、高い効率の電解洗浄成果が得れれ、電解洗浄のエネルギー効果を向上し得る。前記ブラッシング工程では鉄粉も除去される。
【００２５】
図示のものでは、洗浄水の噴霧を併用するブラシロールによるブラッシングを終えたストリップＳは、次いで、洗浄セクションＩＩに送られ、ここで水洗される。本発明の電解洗浄処理をされたストリップにおいては、油脂が遊離しているので、洗浄セクションＩＩの水洗成果も高い効率が得られる。
【００２６】
本発明において、一方が陽極、他方が陰極の対向する噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルの対向する間を被処理ストリップを通過させた後、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールによりブラッシングする一連の処理を直列的に複数回行うときは、先行処理で洗浄したストリップが更に後続処理で洗浄されるので、洗浄成果はより良好となる。
【００２７】
【発明の効果】
上述のように本発明は、小電流の適用で高い電解洗浄効率が得られ、従って従来技術における大電流の迷走電流の問題を解消できる、電解洗浄の高いエネルギー効果が得られる、電解洗浄設備を従来より著しく小型化できる、電解洗浄のランニングコストも従来に比し相当低減し得る、電解洗浄システムのメンテナンスのコストも安くてすむ、電解洗浄で遊離した油脂がストリップに再付着しない等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】請求項１，３に係る本発明ストリップ洗浄システムの一例を示す正面図である。
【図２】請求項２，４に係る本発明ストリップ洗浄システムの一例を示す正面図である。
【図３】図１、図２に示した噴射ノズルの正面図である。
【符号の説明】
Ａ ストリップ洗浄装置
Ｉ 洗浄システム
Ｉａ 電解方式の清浄セクション
Ｉｂ ブラッシング方式の清浄セクション
ＩＩ 水洗式洗浄セクション
１、２ アルカリ水溶液噴射ノズル
３ ブラシロル
４ 洗浄水噴霧ノズル
５ 洗浄水スプレーヘッダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解洗浄を利用するストリップの洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ストリップを電解洗浄するには、アルカリ水溶液中に陽極の電極板と陰極の電極板を対向させて設け、ストリップをこれら電極板と電極板との間で、アルカリ水溶液中を走行させる仕様をとっている。この従来技法は、次の問題がある。
【０００３】
ストリップの走行には、厚み方向への蛇行を伴うので、蛇行でストリップが電極板に接触乃至は衝突するのを避ける必要があり、そのためには、アルカリ水溶液中のストリップラインに対し電極板を比較的に離隔させなければならない。電極板間の離隔が大きいと、ストリップの電解洗浄を得るには、電極板に大電流を印加する必要がある。因みに従来、電極板に加える電流は、４０００〜１００００アンペア程度である。このような大電流では、迷走電流による電食の問題が大きい。
【０００４】
大電流の迷走電流の問題をなくするべく、印加電流を小さくすると、電流密度が小となり、電解洗浄成果が低下する。
【０００５】
このような理由から従来技法によるストリップの電解洗浄では、例えば、ランニング速度が５００〜７００ｍ／ｍｉｎ程度のストリップラインにおいて、電極板をストリップ走行方向へ約１．５ｍ間隔で１０〜３０個所、配置している。これによると、電解槽内の液を電解槽と該槽外の液再生乃至は新液補充装置との間を循環させ再使用するとしても、約２０〜３０ｍ3という多量のアルカリ水溶液を電解槽に溜める必要があって、電解洗浄のエネルギー効果が低い。更には、電解洗浄装置が大型となるし、電解洗浄のランニングコスト及び電解洗浄システムのメンテナンスのコストも高くつく。
【０００６】
また従来技法では、電解洗浄が浸漬方式であるため、ストリップから遊離した油脂がアルカリ水溶液中に遊泳し、該液中を通過するストリップに再付着することを避け難く、この点からも、脱脂洗浄の効率が低下する。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術による問題点を解消するにある。即ち本発明は、小電流の適用で高い電解洗浄効率が得られ、従って従来技術における大電流の迷走電流の問題を解消できる、電解洗浄の高いエネルギー効果が得られる、電解洗浄設備を従来より著しく小型化できる、電解洗浄のランニングコストも従来に比し相当低減し得る、電解洗浄システムのメンテナンスのコストも安くてすむ、電解洗浄で遊離した油脂がストリップに再付着しない等の効果が得られる、電解洗浄を利用するストリップの洗浄方法及び洗浄装置を開発乃至は提供することを課題としている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るストリップの洗浄方法は、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法が小さい噴射ノズルを対向して設置し、該噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルからの対向する噴射流の間を被処理ストリップを通過させた後、ブラシロールによるブラッシングを施す工程を含むストリップの洗浄方法であって、前記対向する噴射ノズルの一方を陽極、他方を陰極として、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように前記噴射ノズルに電圧を印加し、さらに、前記ストリップに、前記噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールによるブラッシングを施して前記遊離油脂を除去することを特徴とする。
【０００９】
本発明に係る今一つのストリップの洗浄方法は、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法が小さい噴射ノズルを対向して設置し、該噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルからの対向する噴射流の間を被処理ストリップを通過させた後、ブラシロールによるブラッシングを施す工程を含むストリップの洗浄方法であって、前記対向する噴射ノズルの一方を陽極、他方を陰極とし、それら陽極，陰極に被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加してアルカリ水溶液を噴射した後、前記ストリップに、前記噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールにより前記遊離油脂を除去するようにブラッシングする一連の処理を直列的に複数回行うことを特徴とする。
【００１０】
本発明に係るストリップの洗浄装置は、一方を陽極、他方を陰極として対向して設置され、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法を小さく形成され、その対向する間を被処理ストリップを通過させアルカリ水溶液を噴射しつつ、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加されるアルカリ水溶液噴射ノズルと、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接して配設され、洗浄水噴霧下でのブラッシングにより前記遊離油脂を除去するブラシロールとを具有することを特徴とする。
【００１１】
本発明に係る今一つのストリップの洗浄装置は、一方を陽極、他方を陰極として対向して設置され、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法を小さく形成され、その対向する間を被処理ストリップを通過させアルカリ水溶液を噴射しつつ、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加されるアルカリ水溶液噴射ノズルと、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接して配設され、洗浄水噴霧下でのブラッシングにより前記遊離油脂を除去するブラシロールとを具有する洗浄システムを直列的に併設したことを特徴とする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態につき、添付図面を参照して、次に説明する。
ストリップ洗浄装置Ａは、洗浄システム乃至は洗浄手段（以下、洗浄システムと略記する）Ｉを具有している。該洗浄システムＩは、清浄セクションＩａと、清浄セクションＩｂを構成要素として包含する。清浄セクションＩａは、対向して配置され、一方が陽極、他方が陰極とされ、各々からアルカリ水溶液が噴射される噴射ノズル１，２による電解方式のものである。被処理ストリップＳが、これら噴射ノズル１，２の対向する間を通過される。清浄セクションＩｂは、洗浄水の噴霧を併用するブラシロール３によるブラッシング方式のものである。清浄セクションＩｂにおけるブラシロール３は、清浄セクションＩａにおける噴射ノズル１，２のストリップＳ移行の下流側に隣接して配置される。
【００１３】
噴射ノズル１，２は、アルカリ水溶液供給管１ａ，２ａに接続されている。噴射ノズル１，２から噴射されたアルカリ水溶液は、還流系（図示せず）を通じ、管１ａ，２ａに戻され、循環使用される。
【００１４】
前記電解方式の清浄セクションＩａ及びブラッシング方式の清浄セクションＩｂを包含する洗浄システムＩは、図１に示すように１つを配置すると、図２に示すように複数をタンデム配置即ち直列的に併設するとを問わない。
【００１５】
上記清浄セクションＩｂにおけるブラシロール３及び該ブラシロールと併用する洗浄水の噴霧は、それら自体、従来と同様である。従って、洗浄水を噴霧する態様及びブラシロール３は、概略的に図示した。図で参照符号４を付したのが、洗浄水噴霧様式の一例としての洗浄水噴霧ノズルである。
【００１６】
図示の形式で、ストリップ洗浄装置Ａは、洗浄システムＩのストリップＳ移行の下流側に隣接して配置された水洗方式の洗浄セクションＩＩを更に具有する。この洗浄セクションＩＩも従来と同様である。参照符号５を付したのが洗浄水スプレーヘッダ、６がストリップＳ支持ローラである。
【００１７】
図で、７は洗浄システムＩとそれに隣接する洗浄セクションＩＩの間に介設したリンガーロール、８は洗浄セクションＩａの入り側に配置したリンガーロール、９は洗浄セクションＩＩの出側に設置したリンガーロールを示している。
【００１８】
被処理ストリップＳは、一方が陽極、他方が陰極とされ、それら陽極，陰極に電圧を印加された噴射ノズル１，２から噴射されたアルカリ水溶液に曝されつつ、該噴射ノズル１，２の対向する間を通過されて、電解洗浄される。次いで、ストリップＳは、噴射ノズル１，２のストリップＳ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴射を併用するブラシロール３によるブラッシング処理を受ける。
【００１９】
本発明ではストリップは、液の噴射ノズルと噴射ノズルとの間を通過されて電解洗浄されるため、蛇行で噴射ノズルに接近しようとしても、その接近度に応じて、該噴射ノズルからのより高い液圧に曝され、噴射ノズルへの接近を抑制される。従って、一方が陽極、他方が陰極とされた噴射ノズルを狭い離隔の配置としても、接触乃至は衝突なしに、それら噴射ノズルの間をストリップを通過させ得る。因みに、本発明では、ストリップと電極である噴射ノズル間の離隔が１０ｍｍであっても、電極間のストリップの通過に接触乃至は衝突を生じない。
【００２０】
このように本発明では、電極の間隔を狭くできるので、小電流の適用で高い電解洗浄効率が得られ、従って前示従来の大電流の迷走電流による電食の問題を解消できる。
【００２１】
また、単位入力当たりの電流密度を従来に比較し可成り大きくでき、相当に高い効率でストリップの電解洗浄を行うことができる。即ち、例えば、ランニング速度が前述した程度のストリップラインにおいて、噴射ノズル１ａ，１ｂのストリップＳ走行方向の寸法が７〜８ｍｍで所要の電解洗浄が得られると共に、多量の電解液を槽に溜める必要も無いというように、電解洗浄の高いエネルギー効果が得られる。
【００２２】
具体的には、洗浄システムＩを一つ設置した場合で、７〜８ボルト、１０アンペアの電力により、前述した程度のランニング速度のストリップラインにつき、電解洗浄が達成されることが認められた。これに対し、同程度のランニング速度のストリップラインつき、従来法では２０ボルト、４０００〜１００００アンペアの電力が必要である。
【００２３】
また本発明では、電解洗浄設備を従来より著しく小型化できるし、電解洗浄のランニングコストも従来に比し相当低減し得る。更には、電解洗浄システムのメンテナンスのコストも安くてすむ。
【００２４】
ストリプＳに付着している油脂は、アルカリ水溶液の電解により短時間でストリップから遊離される。遊離した油脂は、ストリップＳ表面上に浮いた状態にある。このため、電解洗浄工程では、ストリップ表面上の遊離した油脂は、電解洗浄ノズル１，２から噴射されたアルカリ水溶液で容易に洗い落とされるし、洗浄水の噴霧下、ブラシロールによるブラッシング工程では、そのブラッシングが前記電解洗浄工程に隣接してなされるため、ストリップ表面の遊離油脂は効果的にに除去される。従って、従来の浸漬式電解洗浄と異なり、電解液に浮遊する油粒子がストリップに再付着することがなく、この点からも、高い効率の電解洗浄成果が得れれ、電解洗浄のエネルギー効果を向上し得る。前記ブラッシング工程では鉄粉も除去される。
【００２５】
図示のものでは、洗浄水の噴霧を併用するブラシロールによるブラッシングを終えたストリップＳは、次いで、洗浄セクションＩＩに送られ、ここで水洗される。本発明の電解洗浄処理をされたストリップにおいては、油脂が遊離しているので、洗浄セクションＩＩの水洗成果も高い効率が得られる。
【００２６】
本発明において、一方が陽極、他方が陰極の対向する噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルの対向する間を被処理ストリップを通過させた後、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールによりブラッシングする一連の処理を直列的に複数回行うときは、先行処理で洗浄したストリップが更に後続処理で洗浄されるので、洗浄成果はより良好となる。
【００２７】
【発明の効果】
上述のように本発明は、小電流の適用で高い電解洗浄効率が得られ、従って従来技術における大電流の迷走電流の問題を解消できる、電解洗浄の高いエネルギー効果が得られる、電解洗浄設備を従来より著しく小型化できる、電解洗浄のランニングコストも従来に比し相当低減し得る、電解洗浄システムのメンテナンスのコストも安くてすむ、電解洗浄で遊離した油脂がストリップに再付着しない等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】請求項１，３に係る本発明ストリップ洗浄システムの一例を示す正面図である。
【図２】請求項２，４に係る本発明ストリップ洗浄システムの一例を示す正面図である。
【図３】図１、図２に示した噴射ノズルの正面図である。
【符号の説明】
Ａ ストリップ洗浄装置
Ｉ 洗浄システム
Ｉａ 電解方式の清浄セクション
Ｉｂ ブラッシング方式の清浄セクション
ＩＩ 水洗式洗浄セクション
１、２ アルカリ水溶液噴射ノズル
３ ブラシロル
４ 洗浄水噴霧ノズル
５ 洗浄水スプレーヘッダ
Claims (4)
- 被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法が小さい噴射ノズルを対向して設置し、該噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルからの対向する噴射流の間を被処理ストリップを通過させた後、ブラシロールによるブラッシングを施す工程を含むストリップの洗浄方法であって、
前記対向する噴射ノズルの一方を陽極、他方を陰極として、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように前記噴射ノズルに電圧を印加し、さらに、前記ストリップに、前記噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールによるブラッシングを施して前記遊離油脂を除去することを特徴とするストリップの洗浄方法。 - 被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法が小さい噴射ノズルを対向して設置し、該噴射ノズルからアルカリ水溶液を噴射しつつ、これら噴射ノズルからの対向する噴射流の間を被処理ストリップを通過させた後、ブラシロールによるブラッシングを施す工程を含むストリップの洗浄方法であって、
前記対向する噴射ノズルの一方を陽極、他方を陰極とし、それら陽極，陰極に被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加してアルカリ水溶液を噴射した後、前記ストリップに、前記噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接する箇所で、洗浄水の噴霧下、ブラシロールにより前記遊離油脂を除去するようにブラッシングする一連の処理を直列的に複数回行うことを特徴とするストリップの洗浄方法。 - 一方を陽極、他方を陰極として対向して設置され、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法を小さく形成され、その対向する間を被処理ストリップを通過させアルカリ水溶液を噴射しつつ、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加されるアルカリ水溶液噴射ノズルと、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接して配設され、洗浄水噴霧下でのブラッシングにより前記遊離油脂を除去するブラシロールとを具有したストリップの洗浄装置。
- 一方を陽極、他方を陰極として対向して設置され、被処理ストリップの全幅を越えて延び先端部におけるストリップ走行方向の寸法を小さく形成され、その対向する間を被処理ストリップを通過させアルカリ水溶液を噴射しつつ、被処理ストリップ表面の油脂を遊離させるように電圧を印加されるアルカリ水溶液噴射ノズルと、該噴射ノズルのストリップ移行の下流側に隣接して配設され、洗浄水噴霧下でのブラッシングにより前記遊離油脂を除去するブラシロールとを具有する洗浄システムを直列的に併設したストリップの洗浄装置。
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