JP3780353B2 - 工業化住宅の設計方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、パネル工法等で施工される工業化住宅の設計方法に関するものであり、特に、耐力壁線によって平面的に第1および第2の区画に分けられるような構成を有し、少なくともその一方の区画に、工場生産方式でユニット化された住宅、いわゆるユニット工法住宅を用いた工業化住宅の設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プレハブ住宅を施工する方法の一つとして、住宅の床、壁、屋根等をパネルを用いて施工するパネル工法はよく知られている。このパネル工法においては、あらかじめ、工場等において、芯材を枠組みすることにより枠体を形成し、この枠体の少なくとも一面に面材を貼設することにより、床パネル、壁パネル、屋根パネル等を製造し、建築現場でこれらのパネルを組み付けていくことによりプレハブ住宅を構築するものである。
【0003】
パネル工法によるプレハブ住宅の設計においては、構造的制限の下に、間取り、屋根形状、窓やドアの位置等を決定することにより、耐力壁線、支持壁線、母屋線等が決定され、その後、これに基づいて床、壁、屋根等のパネルが割り付けられている。床、壁、屋根は、必ずしもパネルの形状に従って設計されるものではなく、発注先の設計要求に従って決められる。このため、隙間が生じないようにするには、特殊サイズのパネルを製造したり、大きいパネルと比べ生産効率の悪い小さなパネルを数多く製造する必要が生じ、パネルを割り付ける作業はきわめて生産効率の悪いものであった。
なお、この明細書中において、建物に作用する水平力に対し主に抵抗する剪断耐力を期待する壁を耐力壁といい、壁面を平面的に直線として見た壁線のうち、耐力壁を含むものを耐力壁線という。
【0004】
また、洗面室、浴室等のサニタリー、トイレ、階段等は現場施工に手間がかかる半面、比較的小さいため、工場生産方式によりユニット化し、これを現場に搬送して施工するユニット工法が適している。付加価値の高い部分を工場で共通の既製品ユニットとして量産しておくことにより、生産性、施工性、品質を向上することができるとともに、現場での施工期間を短縮することができるため、天候の影響を受けにくく、また、小さいために輸送し易いからである。このような観点から、この部分の周辺のみをユニット化し施工することがよく行なわれている。
【0005】
一方、上記のような大まかな基本的な設計が終わった後に、洗面室、浴室等のサニタリーユニットあるいは階段ユニット等の設計変更、特に、これらの幅を変更したいとの要求がしばしば施主から起こっている。
従来、このような大まかな基本的な設計の後でも設計変更が可能であるとも言われているが、厳密には、サニタリーユニット、階段ユニット等は固定されており、これらの幅を変えることはできなかった。これらのユニットの幅を変えるためには耐力壁線を変更しなければならず、そうすると、非常に手間のかかる床、壁、屋根等、ほとんどすべてのパネルの割り付けをやり直さなければならず、住宅の生産性を低下させ製造コストを増大させることになるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を除去するためになされたものであり、耐力壁線によって平面的に分けられた区画の少なくとも一方に複数個のユニットを用い、共通の部材を用いることによって生産性、施工性、品質を向上するとともに、現場での施工期間を短縮することができるばかりでなく、床、壁、屋根等についてなされたパネルの割り付けをほとんど変更することなしに、必要最小限のエレメント変更処理によって、これらのユニット各々の幅を変更することをも可能とする工業化住宅の設計方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1記載の工業化住宅の設計方法は、壁面を平面的に直線として見た壁線のうち、耐力壁を含む壁線である耐力壁線によって工業化住宅を第1および第2の区画に平面的に分け、平面矩形状の幅が異なる複数種類のユニットから玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンを選択し、前記第1の区画に選択した前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンを前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチン幅方向が前記耐力壁線と平行となるように配置し、前記第2の区画にリビングダイニングを配置するとともに、
前記第1の区画の略中央に前記階段ユニットを配置し、前記階段ユニットの階段下にトイレスペースを設け、
前記第1の区画において、前記サニタリーユニットと前記階段ユニットを互いに隣り合うように配置し、
前記第1の区画に配置された前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンの前記第2の区画側に前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンのそれぞれを行き来できるように通路を設け、
前記耐力壁の一部に、前記第1の区画と前記第2の区画との間を行き来するためのドアを設けるとともに、前記階段ユニットにおける前記通路と前記リビングダイニングとの間に前記耐力壁を設けることを特徴とする。
【0008】
洗面室、浴室等のサニタリー、トイレ、階段等は現場施工に手間がかかる半面、比較的小さいため、工場生産方式によりユニット化し、これを現場に搬送して施工するユニット工法が適している。付加価値の高い部分を工場で共通の既製品ユニットとして量産しておくことにより、生産性、施工性、品質を向上することができるとともに、小さいために輸送効率もよい。
【0013】
【作用】
請求項1記載の工業化住宅の設計方法によれば、耐力壁線によって平面的に分けられた区画の少なくとも一方(自由空間側)に平面矩形状の玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンを用いているため、共通の既製品ユニットとして、工場において同一のものを量産しておくことができ、これによって生産性、施工性、品質を向上することができる。また、耐力壁線により分けられた第1及び第2の区画の少なくとも一方に選択した玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチン幅方向が耐力壁線と平行となるように配置するので、耐力壁線を動かさずに、玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンの幅を変更することができる。また、耐力壁線を動かさずに済むので、床、壁、天井、屋根等についてなされた大まかな基本的設計によるパネルの割り付けをほとんど変更することなしに、すなわち、必要部材の調達、その見積り等をほとんど変えることなく、必要最小限のエレメント変更処理によって、施主が望むタイプのユニットを選び、自由空間側のユニット各々の幅を変更することができる。
【0014】
また、請求項1記載の工業化住宅の設計方法によれば、現場施工に手間がかかり付加価値の高いサニタリーと階段とをユニット化したものであるため、その生産性、施工性、品質をさらに向上することができる。また、これらは比較的小さいため輸送効率もよく、ユニット化に適している。さらに、これらのユニットは矩形状であり互いに隣り合うように設けられているため、これらを異なる幅のユニットに変更したときに、この区画内の残りの空間を使いやすい矩形状とすることができる。また、これらのユニットの一方を大きな幅のタイプに変更し、他方を小さな幅のタイプに変更することによって、これら2つのユニットの変更後の総幅を変えないようにすることも可能であり、そうすることによって、エレメントの変更を最小限とすることができる。
【0015】
また、請求項1記載の工業化住宅の設計方法によれば、階段ユニットの階段下にトイレを設けたことにより、隣接するサニタリーユニットとともに、水回り区画を自由空間側のユニットに集中することが可能になる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1および図2は、本発明を適用して建築した工業化住宅の第1実施例を示すものである。これらの図において符号1は2階建の建屋を示している。
【0020】
この建屋1は、図2に示されているように、建屋内部の耐力壁2と、外壁を構成する耐力壁9〜13とによって平面的に規定される第1の区画3と第2の区画4とに分けられている。1階部分における第1の区画3は、平面矩形状の複数個のユニット、この実施例では、互いに隣接するサニタリーユニットHと階段ユニットS1を備えており、この他に、ユニット以外の構造材で構成される玄関部EおよびキッチンKを備えた構成となっている。なお、玄関部EおよびキッチンKについてもユニット化してもよいことはもちろんである。また、第2の区画4内にはリビングダイニングLDが設けられている。
【0021】
前記第1の区画3を構成するサニタリーユニットH、階段ユニットS1、玄関部E、キッチンKおよび第2の区画4を構成する構造材は、この実施例においてはいずれも周知の木質系の構造用パネル(床パネルや壁パネル)によりそれぞれ構成されている。
【0022】
この実施例による建屋1は、前記第1の区画3が、いわゆる自由空間を構成しており、大まかな基本的設計がなされた後であっても、この区画内で、すなわち、耐力壁に影響を及ぼすことなしに、前記サニタリーユニットH、階段ユニットS1を、そのために用意されている複数のタイプから自由に選択し設計変更することができるようになっている点において大きな特徴がある。
【0023】
以下、これらの詳細について説明する。
図2に示されているように、サニタリーユニットHは風呂として必要な装備が施されたもので、その内部が仕切壁5aによって洗面室5と浴室6の2室に区画されている。北東側の室は洗面室とされ、この洗面室5には洗面台5bおよび洗濯機置き場5cが設けられ、右上方の壁には窓5dが設けられている。さらに、仕切壁5aには、洗面室5と浴室6との間を行き来するためのドア5eが設けられており、洗面室5の南東側の壁には、洗面室5と玄関ホール14aとの間を行き来するためのドア5fが設けられている。
また、南西側の室は浴室とされ、この浴室6にはバスタブ6aが設けられ、その西側上方の壁には窓6bが設けられている。
【0024】
階段ユニットS1は、その内部が仕切壁15aによって階段部15とトイレ16の2室に区画されている。階段部15には、1階踊り場15b、この踊り場15bから2階につながるU字型階段15cが設けられている。階段下に設けられたトイレ16の南東側仕切壁16aには1階踊り場15bとの間を行き来するためのドア16bが、また、北西側の壁上方には窓16cが設けられている。また、1階踊り場15bの北東側仕切壁には、1階踊り場15bとキッチンKとの間を行き来するためのドア15dが設けられている。この階段ユニットS1の奥行き側両端部は、常に建屋内部の耐力壁2と外壁を構成する耐力壁9とによって規定されるように配置されている。
【0025】
玄関ホールEは、玄関およびホールとして必要な仕上が施されており、耐力壁2の南西側の一部に玄関ドア14bが設けられ、続いて玄関14c、玄関ホール14aが順に設けられている。この実施例においては、南東側および南西側から玄関に入ることができるように構成されている。
【0026】
キッチンKは、台所として必要な装備が施されたもので、その内部には、北東側の外壁10に沿ってシンクを備えた横長の調理台17aが設けられ、外壁10に対向する仕切壁17bに沿って収納棚17cが設けられている。また、北西側の外壁9の一部には、間口が1M(モジュール)程度の勝手口17dが設けられている。
【0027】
リビングダイニングLDは第2の区画4内に設けられており、耐力壁2の一部には、このリビングダイニングLDと玄関ホール14aとの間を行き来するためのドア18aが設けられ、また、南東側の外壁11には窓18b,18cが設けれている。
【0028】
サニタリーユニットHとしては、図3〜5に示されているように、洗面室5もしくは浴室6の幅またはサニタリーユニットH全体の幅が異なる少なくとも3つのタイプH1,H2,H3が用意されており、この3パターンとこれらを反転させた3パターンの6パターンから1つを選択することができるようになっている。
【0029】
図3に示されている第1のタイプH1は、1M(モジュール)=910mmとしたとき、洗面室5および浴室6がそれぞれ概略2Mの幅、2Mの奥行き(サニタリーユニットの幅、概略4M,奥行き約2M)を、図4に示されている第2のタイプH2は、洗面室5および浴室6がそれぞれ概略2Mおよび2.5Mの幅、2Mの奥行き(サニタリーユニットの幅、概略4.5M,奥行き2M)を、図5に示されている第3のタイプH3は、洗面室5および浴室6がそれぞれ概略2.5Mおよび2Mの幅、2Mの奥行き(サニタリーユニットの幅4.5M,奥行き2M)を概略持つように構成されている。なお、本明細書において、モジュール(M)は、建築のあらゆる部分を一定の大きさの倍数関係に整えようとするときの基準になる寸法であり、1M(モジュール)=910mmに設定されている。
【0030】
また、サニタリーユニットHに隣接する階段ユニットS1は、階段部15と階段下にトイレスペース16とを備えているが、図6および図7に示されているように、少なくとも2つのタイプS1,S2が用意されており、この2パターンとこれらを反転させた2パターンの4パターンから1つを選択することができるようになっている。第1および第2のタイプS1,S2は、それぞれ約2.5Mおよび2Mの幅、約4Mの奥行きを持つように構成されている。階段ユニットS1の奥行き側両端部は、いずれのタイプにあっても、建屋内部の耐力壁2と外壁を構成する耐力壁9とによって規定されるように配置されている。
【0031】
サニタリーユニットHと階段ユニットSとは、図8〜図11に示されているように平面L字状に隣接配置されており、種々の組み合わせパターンから選択することができるようになっている。各ユニットの構造材には木質系の構造用パネルが用いられている。
【0032】
この木質系の構造用パネルとしては、すでに周知のものであるが、たとえば、複数本の縦心材および横心材で組み上げた枠体の両面あるいは片面に面材を貼付した構造の壁パネルや床パネル、または、複数の壁パネルを連結して構成した大型連結パネル、あるいは外面側が外壁となる場合には外装材の施されたパネル等が好適に用いられる。ここで、図2に示されているように、サニタリーユニットHと階段ユニットSとが接合される部分について、たとえば、ユニット自体の構造材である壁パネル同士が接合される部分については、通常の1/2の厚さの壁パネルによって構成するのが好ましいが、通常の厚さの壁パネルで構成してもよいことはもちろんである。
【0033】
図8に示されているパターンは、図3の約4M幅を持つサニタリーユニットH1と図6の幅広(約2.5M)の階段ユニットS1とを組み合わせたものであって、これらの合計幅は約6.5Mとなる。この組み合わせパターンを用いた場合の1階の平面図が図2に示されている。この図に示されているように、この建屋の全幅が約10Mであるとすれば、キッチンKの幅は約3.5Mとなる。
【0034】
図9に示されているパターンは、図4あるいは図5の約4.5M幅を持つサニタリーユニットH2あるいはH3と図7の標準幅(約2M)の階段ユニットS2とを組み合わせたものであって、これらの合計幅は約6.5Mとなる。この組み合わせパターンを用いた場合(H2とS2)の1階の平面図が図12に示されている。この場合、キッチンKの幅は約3.5Mとなる。
【0035】
図10に示されているパターンは、図4あるいは図5の約4.5M幅を持つサニタリーユニットH2あるいはH3と図6の幅広(約2.5M)の階段ユニットS1とを組み合わせたものであって、これらの合計幅は約7Mとなる。この組み合わせパターンを用いた場合(H2とS1)の1階の平面図が図13に示されている。この場合、キッチンKの幅は約3Mと狭くなる。
【0036】
また、図11に示されているパターンは、図3の約4M幅を持つサニタリーユニットH1と図7の標準幅(約2M)の階段ユニットS2とを組み合わせたものであって、これらの合計幅は約6Mとなる。この組み合わせパターンを用いた場合の1階の平面図が図14に示されている。この場合、キッチンKの幅を約4Mと広くすることができる。
【0037】
また、図15は2階の間取りを示すものである。この図において、2階の階段ユニットS3の位置およびサイズは、1階におけるサニタリーユニットHと階段ユニットSの組み合わせとしてどのタイプを選択するかによって異なる。2階の階段ユニットS3は、1階の階段ユニットS1もしくはS2とほぼ同一のサイズ(約2Mまたは2.5M)に構成され、1階の階段ユニットの直上に配置して接合されるようになっている。
【0038】
この2階の階段ユニットS3を挟んで第1区画内の両側には、たとえば、西側に幅約4Mまたは4.5Mのフリースペース19が、東側に幅約3M,3.5Mまたは4Mの洋間20が設けられ、また、第2区間には洋間30が設けられている。
【0039】
本実施例によれば、大まかな基本的設計が終わった後に、洗面室、浴室等のサニタリーユニットあるいは階段ユニット等の設計変更の要求があった場合、たとえば、図2のような間取りの基本的な設計が終わった後に、図12〜14のいずれかの間取りへの設計変更の要求があった場合、第1の区画内で、所定サイズのサニタリーユニットおよび階段ユニットそれぞれの仕切り壁を、耐力壁2に沿って、必要な距離移動させるだけでよいため、耐力壁線を動かさずに所望の設計変更をすることができる。
【0040】
したがって、第1区画の自由空間内で、少なくとも6種類のサニタリーユニットパターン(幅が約4Mあるいは4.5M)と少なくとも4種類の階段ユニットパターン(幅が約2Mあるいは2.5M)との自由な組み合わせに基づいて、多くのプランバリエーションに対応することが可能となり、間取り等の設計の自由度が大きな構造洋式の住宅となる。さらに、非常に手間のかかる床、壁、屋根等、大部分のパネルの割り付けをやり直す必要はなく、すなわち、必要部材の調達、その見積り等をほとんど変えることなく、必要最小限のエレメント変更処理によって、施主の望むような設計変更が可能となる。
また、自由空間側に平面矩形状の複数個のユニットを用いているため、共通の既製品ユニットとして、工場において同一のものを量産しておくことができ、これによって生産性、施工性、品質を向上することができる。
【0041】
また、現場施工に手間がかかり付加価値の高いサニタリーと階段とをユニット化したものであるため、その生産性、施工性、品質をさらに向上することができる。また、これらは比較的小さいため輸送し易く、ユニット化に適している。さらに、これらのユニットは矩形状であり互いに隣り合うように設けられているため、これらを異なる幅のユニットに変更したときに、この区画内の残りの空間を使いやすい矩形状とすることができる。また、これらのユニットの一方を大きな幅のタイプに変更し、他方を小さな幅のタイプに変更することによって、これら2つのユニットの変更後の総幅を変えないようにすることも可能であり、そうすることによって、エレメントの変更を最小限とすることができる。
【0042】
階段ユニットの階段下にトイレを設けたことにより、隣接するサニタリーユニットとともに、水回り区画を自由空間側のユニットに集中することが可能になる。
【0043】
図16〜20は、本発明の第2実施例による間取りを示すものであり、第1実施例のものとは間取りの方向のみが変更されている。これらの図において、図16,17,18,19の間取りは、第1実施例における間取りの変更例を示す図2,12,13,14の間取りをそれぞれ時計回りに90度回転させたものである。また、図20は第2実施例の2階の間取りを示しており、これは図15に示されている第1実施例における2階の間取りを時計回りに90度回転させたものとなっている。
【0044】
すなわち、この第2実施例による工業化住宅の設計方法によっても、耐力壁線2によって平面的に分けられた第1および第2区画3,4の一方(自由空間側)に平面矩形状の複数個のユニットH,Sを用いているため、共通の既製品ユニットとして、工場において同一のものを量産しておくことができ、これによって生産性、施工性、品質を向上することができる。
【0045】
また、この複数個のユニットH,Sの各々は耐力壁線2に影響を与えることなく複数の種類から選択することができるものであるため、床、壁、屋根等についてなされた大まかな基本的設計によるパネルの割り付けをほとんど変更することなしに、すなわち、必要部材の調達、その見積り等をほとんど変えることなく、必要最小限のエレメント変更処理によって、好きなタイプのユニットを選び、自由空間側のユニット各々の幅を変更することができる。その他の効果についても、第1実施例の場合と同様に得ることができる。また、この第2実施例の間取りでは、北西および南西側から玄関に入ることができるように構成されている。
【0046】
図21〜23は、本発明の他の実施例による間取りを示すものであり、第1実施例のものとは室の広さを変えた点が異なっている。図21に示されている間取りは、図2の実施例と比べ、全体の幅はそのままにして、第2区画4のリビングダイニングLDの奥行きを約3Mとし、面積を小さくしたものであり、図22に示されている間取りは、全体の幅はそのままにして、リビングダイニングLDの奥行きを約5Mとし、建坪を大きくしたものである。また、図23に示されている間取りは、全体の幅を約11Mと大きくするとともに、リビングダイニングLDの奥行きを約5Mとし、建坪をさらに大きくしたものである。このようにすることによって施主の多様なニーズに答えることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る工業化住宅の設計方法によれば、以下のような優れた効果を奏する。請求項1記載の工業化住宅の設計方法によれば、耐力壁線によって平面的に分けられた区画の自由空間側に平面矩形状の玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンを用いているため、共通の既製品ユニットとして、工場において同一のものを量産しておくことができ、これによって生産性、施工性、品質を向上することができる。また、耐力壁線により分けられた第1の区画に選択した玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチン幅方向が耐力壁線と平行となるように配置するので、耐力壁線を動かさずに、玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンの幅を変更することができる。また、耐力壁線を動かさずに済むので、床、壁、天井、屋根等についてなされた大まかな基本的設計によるパネルの割り付けをほとんど変更することなしに、すなわち、必要部材の調達、その見積り等をほとんど変えることなく、必要最小限のエレメント変更処理によって、施主が望むタイプのユニットを選び、自由空間側のユニット各々の幅を変更することができる。
【0048】
また、請求項1記載の工業化住宅の設計方法によれば、現場施工に手間がかかり付加価値の高いサニタリーと階段とをユニット化したものであるため、その生産性、施工性、品質をさらに向上することができる。また、これらは比較的小さいため輸送効率もよく、ユニット化に適している。さらに、これらのユニットは矩形状であり互いに隣り合うように設けられているため、これらを異なる幅のユニットに変更したときに、この区画内の残りの空間を使いやすい矩形状とすることができる。また、これらのユニットの一方を大きな幅のタイプに変更し、他方を小さな幅のタイプに変更することによって、これら2つのユニットの変更後の総幅を変えないようにすることも可能であり、そうすることによって、エレメントの変更を最小限とすることができる。
【0049】
また、請求項1記載の工業化住宅の設計方法によれば、階段ユニットの階段下にトイレを設けたことにより、隣接するサニタリーユニットとともに、水回り区画を自由空間側のユニットに集中することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す1階の平面図である。
【図3】サニタリーユニットの第1のタイプH1の平面図である。
【図4】サニタリーユニットの第2のタイプH2の平面図である。
【図5】サニタリーユニットの第3のタイプH3の平面図である。
【図6】階段ユニットの第1のタイプS1の平面図である。
【図7】階段ユニットの第2のタイプS2の平面図である。
【図8】サニタリーユニットと階段ユニットの第1の組み合わせパターンを示す平面図である。
【図9】サニタリーユニットと階段ユニットの第2の組み合わせパターンを示す平面図である。
【図10】サニタリーユニットと階段ユニットの第3の組み合わせパターンを示す平面図である。
【図11】サニタリーユニットと階段ユニットの第4の組み合わせパターンを示す平面図である。
【図12】本発明の第1実施例における1階の間取りの第1の変更例を示す平面図である。
【図13】本発明の第1実施例における1階の間取りの第2の変更例を示す平面図である。
【図14】本発明の第1実施例における1階の間取りの第3の変更例を示す平面図である。
【図15】本発明の第1実施例における2階の平面図である。
【図16】本発明の第2実施例における1階の平面図である。
【図17】本発明の第2実施例における1階の間取りの第1の変更例を示す平面図である。
【図18】本発明の第2実施例における1階の間取りの第2の変更例を示す平面図である。
【図19】本発明の第2実施例における1階の間取りの第3の変更例を示す平面図である。
【図20】本発明の第2実施例における2階の平面図である。
【図21】本発明の他の実施例を示す1階の平面図である。
【図22】本発明のさらに他の実施例を示す1階の平面図である。
【図23】本発明のさらに他の実施例を示す1階の平面図である。
【符号の説明】
1 建屋
2 耐力壁
3 第1の区画
4 第2の区画
5 洗面室
6 浴室
9〜13 耐力壁
15 階段部
16 トイレ
H サニタリーユニット
S 階段ユニット
E 玄関部
K キッチン

Claims (1)

  1. 壁面を平面的に直線として見た壁線のうち、耐力壁を含む壁線である耐力壁線によって工業化住宅を第1および第2の区画に平面的に分け、平面矩形状の幅が異なる複数種類のユニットから玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンを選択し、前記第1の区画に選択した前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンを前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチン幅方向が前記耐力壁線と平行となるように配置し、前記第2の区画にリビングダイニングを配置するとともに、
    前記第1の区画の略中央に前記階段ユニットを配置し、前記階段ユニットの階段下にトイレスペースを設け、
    前記第1の区画において、前記サニタリーユニットと前記階段ユニットを互いに隣り合うように配置し、
    前記第1の区画に配置された前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンの前記第2の区画側に前記玄関部、サニタリーユニット、階段ユニット、キッチンのそれぞれを行き来できるように通路を設け、
    前記耐力壁の一部に、前記第1の区画と前記第2の区画との間を行き来するためのドアを設けるとともに、前記階段ユニットにおける前記通路と前記リビングダイニングとの間に前記耐力壁を設けることを特徴とする工業化住宅の設計方法。
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