JP3780126B2 - 電子内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、挿入部の外装部分が導電部材で形成されている医療用として使用される電子内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、例えば体腔内臓器を観察したり、必要に応じて処置具チャンネル内に処置具を挿通して各種治療・処置の行える内視鏡が広く利用されている。
【0003】
上述のように用いられる医療用の内視鏡には挿入部の先端部にCCDなどの固体撮像素子を配設した電子内視鏡がある。この電子内視鏡では、前記対物光学系を通して目的部位の光学像をCCDの結像面に結像させ、この結像面に結像した光学像を画像信号に光電変換して信号ケーブル内に挿通されている信号線を介して外部装置である信号処理装置に伝送し、この信号処理装置で変換した映像信号をモニタ装置に出力して、画面上に表示される内視鏡画像を観察して目的部位の観察又は処置を行えるようになっている。
【0004】
例えば、特開平9−108181号公報には内視鏡の挿入部を導電部材で構成し、この挿入部と、挿入部内の撮像手段、信号伝送手段及び信号処理手段とを電気的に絶縁した電子内視鏡装置が示されている。この電子内視鏡装置では、挿入部外装が商用電源のアースに対して二重に絶縁されている。このため、万一、絶縁部の一箇所が絶縁破壊された状態で高周波処置等を行った場合でも安全であるとされている
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平9−108181号公報に示されている電子内視鏡装置の構成でも状況によっては、絶縁部に不具合がない場合であっても、高周波漏れ電流による熱傷のおそれがあった。
【0006】
例えば、図5に示すように生体の僅か一部と電子内視鏡100の金属外装101とが接触している場合や、図6に示すように電子内視鏡100の先端の面取り部102が生体に接触している場合など、電子内視鏡と生体との接触部の面積が小さいときには、電子内視鏡から生体に流れる高周波漏れ電流が少なくても前記接触部において電流密度が高くなって熱傷を起こす。
【0007】
この現象が起こる原因は、図7で示すように前記電子内視鏡100の挿入部103を構成する金属外装101とシールド部材(信号伝送手段の一部)104との間に絶緑部材105が配置されているためであり、挿入部を前記配置構成で構成することによって、挿入部にコンデンサと同じ効果が生じるためである。
【0008】
特に、前記公報に示された電子内視鏡では、コンデンサの電極といえる挿入部外装金属とシールド部材とが挿入部全長にわたって著しく近接して配置されていることにより、容量が大きくなって、高周波漏れ電流の比較的流れやすい状況になっていた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電子内視鏡を構成する導電部と生体との接触部における高周波漏れ電流による熱傷の発生を防止する電子内視鏡を提供することを目的にしている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子内視鏡は、挿入部の外装を構成する第1の外壁と第1の内部空間を形成する第1の内壁とを有する導電部材からなるチューブ部材と、前記第1の内壁の表面に設けられる絶縁部材と、撮像素子を収納する収納部を形成する第2の内壁と前記絶縁部材を介して前記第1の内壁により保持される第2の外壁とを有する導電部材からなる撮像枠と、前記内部空間に挿入するために前記チューブ部材の内径よりも小径な外径を形成する第3の外壁を有し、前記撮像素子に接続する信号線を収納するための第2の内部空間を形成する導電部材からなる硬性なパイプ部材と、前記撮像枠を構成し前記絶縁部材と前記パイプ部材の第3の外壁とが非接触な状態を保つように前記撮像枠に対して前記パイプ部材を固定する固定部とを有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、挿入部を形成する導電部材からなるチューブ部材とシールド部材との間に形成されるコンデンサとして作用する部分の容量を少なくして、高周波漏れ電流を低下させて火傷の発生を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図4は本発明の一実施形態に係り、図1は本実施形態の電子内視鏡を備えた内視鏡システムを説明する図、図2は挿入部内の構成を説明する図、図3は把持部内の構成を説明する図、図4は挿入部を構成する部材の配置構成を説明する図である。
【0013】
図1に示すように本実施形態の内視鏡システムは、例えば有効長が300mm、程で、金属部材で形成した硬質な挿入部外装を有する挿入部2を備え、この挿入部2の先端部内に後述する撮像ユニットを内蔵した腹腔・胸腔用の電子内視鏡であるいわゆる硬性鏡1と、この硬性鏡1に照明光を供給する外部装置である光源装置6と、前記挿入部2に配設されている撮像ユニットから伝送される画像信号を映像信号に生成する画像処理回路等を備えたカメラコントロールユニット7とで主に構成されている。
【0014】
前記挿入部2の基端部には操作部を兼ねる把持部3が配設されており、この把持部3の基端からは内部に信号線及びライトガイド等を内挿したユニバーサルコード4が延出している。そして、このユニバーサルコード4の基端部には前記光源装置6に着脱自在な光源コネクタ4aが設けられている。また、前記光源コネクタ4aの側部からは前記信号線を内挿したカメラケーブル5が延出しており、このカメラケーブル5の基端部には前記カメラコントロールユニット7に着脱自在なカメラコネクタ5aが設けられている。
【0015】
図2を参照して挿入部2の具体的な構成を説明する。
図に示すように、挿入部2の外装を形成するチューブ部材であるスコープ外装部は、ステンレス製で管状のアウターチューブ8とインナーチューブ9とを重ね合わせた二重管構造で構成されている。前記アウターチューブ8とインナーチューブ9との間には隙間部が設けられ、この隙間部に前記光源装置6の照明光を伝達するライトガイドファイバー10が配設されている。
【0016】
前記インナーチューブ9の先端面には例えばサファイア製のカバーガラス11が配設されている。このカバーガラス11は、ガラス側部外周面にメタルコートを施した状態で、例えば半田付けやレーザー溶接等の接合・封止手段によってインナーチューブ9の先端部内周面に気密的に接合されている。このことによって、前記インナーチューブ9の先端側から挿入部内部空間2a内に高圧高温蒸気が侵入することを防止している。
【0017】
前記挿入部内部空間2a内には前記カバーガラス11に対向して複数の光学レンズをセラミック製のレンズ枠12aに配設して構成された対物レンズユニット12が配置されており、この対物レンズユニット12の結像位置には固体撮像素子13が配置されている。
【0018】
前記固体撮像素子13は、前記レンズ枠12aの基端部に固定された、例えば金属製の撮像枠14の内周面基端部に配置されているフィールドレンズ15の平面に接着剤により接合配置されている。ここで、前記固体撮像素子13、撮像枠14、フィールドレンズ15等をまとめて撮像部16と呼ぶ。前記固体撮像素子13はTAB実装CCDである。
【0019】
前記撮像部16の基端側にはケーブル接続部17が設けられており、前記固体撮像素子13から延出するTABリード18は、前記撮像部16を構成する前記固体撮像素子13の基端側に配設された第1セラミック基板19及びこの第1セラミック基板19の基端側に配設された第2セラミック基板20の外周面に形成されている図示しないランドに半田にて電気的に接続固定されている。
【0020】
前記ランドと半田付けされる半田付け部分を除く前記TABリード18の外表面には絶縁部材からなる接着剤が塗布されている。この接着剤を塗布したことによって、TABリード18の外表面と、前記固体撮像素子13に設けられているチップ本体21の外表面(金属)及び撮像部16の周囲を覆い囲むように配置されている金属製のシールド枠22、金属製のケーブル固定枠23と電気的に絶縁している。
【0021】
なお、前記第1セラミック基板19にはIC24aやコンデンサ24b等の電気部品が実装されている。そして、前記固体撮像素子13側に位置するコンデンサ24bは、絶縁部材からなる接着剤によって第1セラミック基板19上に固定配置されている。このことによって、前記コンデンサ24bと前記固体撮像素子13のチップ本体21との電気的絶縁が確保されている。
【0022】
また、前記第2セラミック基板20にはコンデンサ26、抵抗27等の電気部品が実装されている。前記第2セラミック基板20には複数のスルーホール28が形成されており、これらスルーホール28には挿入部2内を挿通する多芯ケーブル29の各芯線30が半田にて固定されている。これら芯線30の外周には絶縁部材で形成された絶縁チューブ31が被せられている。
【0023】
そして、前記スルーホール28に半田固定された芯線30の根元部分は、この半田付け以降の組立行程において、半田固定部等にストレスがかかることによって断線することを防止するための樹脂層Aを設けて保護している。
【0024】
つまり、本実施形態においては、固体撮像素子13、第1セラミック基板19、第2セラミック基板20、絶縁チューブ31付き芯線30の各部に対してそれぞれ個別に接着剤を塗布し、この後、前記固体撮像素子13、第1セラミック基板19、第2セラミック基板20、芯線30を樹脂部材である接着剤又は充填剤等を塗布して樹脂層Aを設けることによって、前記固体撮像素子13、第1セラミック基板19、第2セラミック基板20、芯線30を封止している。
【0025】
このとき、前記樹脂層Aを構成する接着剤は、前記固体撮像素子13、第1セラミック基板19、第2セラミック基板20、芯線30を覆うように配置されている前記シールド枠22、ケーブル固定枠23、撮像枠14、フィールドレンズ15に全く付着しない状態、又は接着剤の一部だけがわずかに付着する状態であり、前記樹脂層Aが全くシールド枠22、ケーブル固定枠23、撮像枠14、フィールドレンズ15に付着しない状態が最も望ましい形態である。
【0026】
前記絶縁チューブ31付き芯線30の外周には例えば素線径が約0.05mm程の錫メッキ銅線を編組して形成した第1シールド32が設けられている。また、この第1シールド32の外周には第1絶縁被覆33が設けられ、さらに前記第1絶縁被覆33全体を覆い包むように例えば素線径が約0.08mm程の錫メッキ銅線を編組して形成した第2シールド34が設けられている。そして、前記第2次シールド34の外周には、この第2シールド34と前記第2シールド34の周囲に配置されている導電部材とを絶縁する第2絶縁被覆35が設けられている。
【0027】
前記芯線30の第1シールド32は、銅線36によって一体的に縛られた後、この銅線36と前記第1シールド32とを半田によって等電位化されて接合されている。
【0028】
そして、前記芯線30を上述のように構成した後、前記ケーブル接続部17の周りにケーブル固定枠23の基端側を配置する。このとき、このケーブル固定枠23の側面に設けた開口37と前記銅線36の位置とを略一致させ、この開口37の側から銅線38を巻いて締め付けた後、前記開口37部分から導電接着剤39を流し込んで硬化させている。このことによって、前記第1シールド32、第2シールド34及びケーブル固定枠23が等電位化された状態で一体的に固定されている。
【0029】
一方、前記ケーブル固定枠23の先端側にはシールド枠22が半田又は導電接着剤によって一体的に固定されている。そして、前記シールド枠22の先端側は、前記撮像枠14に導電接着剤により一体的に固定されている。
【0030】
また、前記ケーブル固定枠23の基端側外周には金属製の先端パイプ40が導電接着剤によって一体的に固定されている。そして、この先端パイプ40の基端部内周面に先端側つなぎパイプ41の先端部が導電接着剤によって一体的に固定されている。
【0031】
前記先端側つなぎパイプ41の基端部には、前記先端パイプ40の外径寸法に対して60%から70%程度の外径寸法で形成した、細径パイプ42の先端部が嵌合され、導電接着剤によって一体的に固定されている。そして、この細径パイプ42は挿入部2内を挿通して、基端部を前記把持部3近傍まで延出している。
【0032】
図3を参照して把持部3の具体的な構成を説明する。
図に示すように前記把持部3近傍まで延出した細径パイプ42の基端部内周面には前記先端側つなぎパイプ41と略同様に構成された後端側つなぎパイプ43が一体的に固定されている。この後端側つなぎパイプ43の基端部には絶縁パイプ44を内周面側に設けたステンレス製のパイプ受け45が配設されており、このパイプ受け45の基端部にステンレス製のハーメチックコネクタ46が電気的に導通した状態で接続固定されている。
【0033】
前記ハーメチックコネクタ46の外周面にはステンレス製のパイプ47がレーザー溶接によって気密的に接合されている。また、このパイプ47の外周面側にはステンレス製の気密枠48が高周波半田によって気密的に接合されている。さらに、この気密枠48の先端部は、前記セラミック枠49に高周波半田によって気密的に接合されている。
【0034】
一方、前記セラミック枠49の先端部にはステンレス製の接続部材50がレーザー溶接によって気密的に接合されている。この接続部材50の先端部には前記インナーチューブ9の外周面が嵌合する孔部が形成されており、この孔部に嵌合したインナーチューブ9と接続部材50とをレーザー溶接にて気密的に接合している。
【0035】
前記ハーメチックコネクタ46の中央部には複数の信号伝送用のピン51を配置するための貫通孔が形成されており、この貫通孔に前記ピン51を配置した状態で気密用ガラス52を封止することによって、このハーメチックコネクタ46の本体部と気密用ガラス52との間及び気密用ガラス52とピン51との間を気密的に接合固定している。
【0036】
なお、前記ハーメチックコネクタ46の先端面側から突出しているピン51の先端部には前記挿入部2を挿通して延出した芯線30及び前記第1シールド32の基端部が半田によって電気的に接続されている。また、このピン51の基端部には円筒状の半田受け54の先端部がロー付け等により接合されており、この半田受け54の基端部には他端部をCCU7に接続したケーブル55に内挿されている複数の芯線56の一端部が半田にて電気的に固定されている。
【0037】
上述のように各部材同士の接合部を構成したことにより、図2及び図3で示したカバーガラス11,インナーチューブ9,接続部材50,セラミック枠49,気密枠48,パイプ47,ハーメチックコネクタ46によって囲まれる内部空間は、気密状態が完全に確保される。すなわち、この構造で硬性鏡1を構成したことにより、前記内部空間にはオートクレーブ滅菌時の高温高圧水蒸気が侵入しない。
【0038】
一方、前記アウターチューブ8においては、このアウターチューブ8の内周面側に配設される部品全てを電気的に絶縁するため、前記対物レンズユニット12,撮像枠14,シールド枠22,先端パイプ40,先端側つなぎパイプ41、細径パイプ42、後端側つなぎパイプ43に渡って熱収縮チューブ53が被せられている。
【0039】
このとき、前記対物レンズユニット12のレンズ枠12aはセラミック製であるので前記熱収縮チューブ53を被せなくてもよいが、耐電圧をより向上させる目的で沿面距離を確保すべく、熱収縮チューブ53の先端部を先端パイプ40の先端面から4mmないし5mm先端側に延ばして対物レンズユニット12に被せている。このことによってより電気的安全性が向上する。
【0040】
なお、本実施形態において1つの熱収縮チューブ53で全ての部材を覆う構成にしているが、例えば対物レンズユニット12から先端側つなぎパイプ41までを1つの熱収縮チューブ、先端側つなぎパイプ41端部から細径パイプ42全長までを他の熱収縮チューブ、後端側つなぎパイプ43を別の熱収縮チューブでそれぞれ別々に覆うなど3つの熱収縮チューブで覆うように構成してもよい。この場合、電気安全上の沿面距離を確保するため、熱収縮チューブ同士が重なる部分を4mm〜5mm設けている。
【0041】
いずれの場合であっても、振動などによって対物レンズユニット12及び撮像部16が変形・破損しないよう対物レンズユニット12から先端側つなぎパイプ41までの部分には熱収縮チューブが被せられ、この状態でインナーチューブ9の内周に嵌合配置される。
【0042】
一方、先端部を半田受け54にロー付け等で接合されている複数の芯線56は、絶縁用の樹脂パイプ57で覆い囲まれており、この樹脂パイプ57の空間部にはこれら芯線56を安定的に保持固定するためのシリコンゴムからなる充填剤58が充填されている。
【0043】
また、前記樹脂パイプ57の外周面側には、前記芯線56,樹脂パイプ57,充填剤58を保護する目的でステンレス製の保護枠59がネジ部60を介してハーメチックコネクタ46に螺合固定されている。このことにより、前記保護枠59とハーメチックコネクタ46とは電気的に接続されている。
【0044】
さらに、前記複数の芯線56は、網状シールド61によってひとまとめにされており、前記保護枠59の基端側に設けたネジ62及びこのネジ62の先端面によって押圧されるように配設したフエルール63を介して前記保護枠59と電気的に接続されている。このフエルール63は、ネジ62によって外側から押圧されることで網状シールド61と電気的に接続される。
【0045】
つまり、前記ハーメチックコネクタ46よりも先端側の部分であるパイプ受け45,後端側つなぎパイプ43,細径パイプ42,先端側つなぎパイプ41,先端パイプ40及び撮像枠14が電気的に接続される。
【0046】
したがって、実質的には前記網状シールド61が対物レンズユニット12の基端側部分まで延びて、前記固体撮像素子13等を覆っている状態と同じになるので、固体撮像素子13及び芯線30等を介して有害な電磁ノイズを発生させたり、外部の電磁ノイズを受けたりすることが非常に少なくなっている。
【0047】
なお、前記ケーブル55の外周には円筒状のゴムリング64が配置されており、このゴムリング64は前記保護枠59の基端部に形成されている穴部65に配置され、基端側からネジ66によって押圧されている。このことで、前記ケーブル55を保護枠59に対して固定するとともに、前記ケーブル55の基端側に引っ張り、押し込み、曲げ等のストレスがかかったとき前記フエルール63よりも先端側にストレスの影響を与えない構成になっている。
【0048】
そして、上述のように構成された接続部材50からネジ66まで覆う把持部本体3aがアウターチューブ8の基端部に水密に固定されている。
【0049】
また、本実施形態においてはアウターチューブ8の全長が約300mmに対し、インナーチューブ9の嵌合している部分(対物レンズユニット12から先端側つなぎパイプ41の先端部までの間)の距離を約50mmに設定している。
【0050】
上述のように構成したことにより、前記細径パイプ42部分においては前記アウターチューブ8からの距離をとって間隙を設けるとともに、アウターチューブ8の全長が約300mmに対してインナーチューブ9の嵌合するレンズ枠12aから先端側つなぎパイプ41までの先端部分の長さ寸法を約50mmに設定したことによりコンデンサとしての効果を小さくしている。
【0051】
つまり、本実施形態において、アウターチューブ8及びインナーチューブ9をコンデンサを構成する対向する一方の電極、撮像枠14から後端側つなぎパイプ43までを他方の電極として考えると、撮像枠14から後端側つなぎパイプ43までの他方の電極を細径に形成したことにより、図4に示すように2つの電極間の距離が増加する一方で電極面積が減少したことにより、前記図7で示した従来例よりも電気容量が大幅に減少している。このことにより、アウターチューブ8からアウターチューブ8の内周面側に位置する撮像枠14から後端側つなぎパイプ43までの間で流れる高周波漏れ電流が低減する。
【0052】
なお、本実施形態構成の硬性鏡1と前記特開平9−108181号公報に開示されている構成の硬性鏡とを、同条件で流れる高周波電流量を比較したとき、本実施形態構成のものでは従来構成のものに比べて1/4から1/5の電流値であった。
【0053】
このように、コンデンサーの一方の電極を構成するアウターチューブ及びインナーチューブに対して、コンデンサーの他方の電極を構成する撮像枠から後端側つなぎパイプ43までの導電部材を細径に構成したことにより、2つの電極間の距離が増加する一方で電極面積を減少させて、コンデンサと作用する電気容量を大幅に減少させることができる。
【0054】
このことにより、生体と電子内視鏡の挿入部との接触部の面積が非常に小さい場合でも、挿入部外装から内視鏡の内側のシールドに流れる高周波電流が激減するため、接触部における電流密度が大きくならずに熱傷の発生が防止される。
【0055】
ところで、特開平10−234649号公報にはオートクレーブ滅菌が可能な電子内視鏡が示されている。この電子内視鏡では気密空間内に配置されている部材は、この気密空間内に高温蒸気が侵入しない構成であるので高温蒸気によるダメージを受けない。しかし、この気密空間の外側に配置されている部材、特に信号ケーブルは高温蒸気によるダメージを受け易く、場合によっては侵入する高温蒸気の影響で信号線が断線し、モニタの画面上に表示される内視鏡画像に不具合を来すおそれがある。このため、オートクレーブ滅菌によってダメージを受けない信号ケーブルを有する電子内視鏡が望まれている。
【0056】
そして、上述した実施形態における前記芯線56や網状シールド61も完全に気密が確保された内部空間に配置されているわけではないので、オートクレーブ滅菌時に高温高圧水蒸気が侵入する。
【0057】
前記芯線56の周りには充填剤58が充填されているが、高温高圧水蒸気によって前記充填剤58は徐々に劣化し、この結果、水分を吸収して通常の電子内視鏡等で使用される錫メッキ銅線は錆びて断線することがある。また、前記網状シールド61は、前記充填剤58によって保護されていないので、前記錫メッキ銅線の場合には、より錆の発生が激しく、このことにより電磁ノイズの遮断能力が劣化するおそれがある。さらに、前記芯線56や網状シールド61にはフッ素樹脂やシリコンゴムからなる絶縁被覆が設けられているが、錫メッキ銅線の場合には、フッ素樹脂やシリコンゴムを透過した高温高圧水蒸気によって錆が発生する。そこで、本実施形態においては、前記芯線56や前記網状シールド61に銀メッキ銅線を採用して、侵入してくる高温高圧水蒸気に対する耐性を向上させている。
【0058】
なお、前記芯線56及び網状シールド61の両方を必ず銀メッキ銅線にしなければならないというわけではない。つまり、芯線56及び網状シールド61を細くすればするほど細径化が可能であるが、その分、高温高圧水蒸気による断線の確率が高くなる。このため、細い信号線を使用する場合に芯線56及び網状シールド61に銀メッキ銅線を用い、細径化の必要がない場合には、太い信号線を使用する。つまり、芯線56を銀メッキ銅線とし、網状シールド61を錫メッキ銅線で構成したり、この逆の構成であってもよい。
【0059】
また、本実施形態では、さらに高温高圧水蒸気に対する耐性を向上させるため、半田付けすべく被覆をはがして露出した芯線部分全体を半田にてコーティングする構成としている。
【0060】
このように、芯線と編状シールドに銀メッキ銅線を使用することにより、オートクレーブ滅菌時の高温高圧水蒸気による断線をほとんどなくすことができるとともに、錫メッキ銅線では起こりやすかった錆による断線もなくすことができる。このことにより、オートクレーブ滅菌後の画像劣化の発生がなくなる。
【0061】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0062】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0063】
(1)挿入部の外装を構成する導電部材で形成されたスコープ外装部と、このスコープ外装部内に配置される撮像素子と、前記撮像素子に接続される複数の信号線と、この信号線及び前記撮像素子の外側に配設されるシールド部材と、このシールド部材と前記スコープ外装部とを電気的に絶縁する絶縁部材とを備える電子内視鏡において、
前記挿入部の少なくとも1箇所に、前記外装部と絶縁部材と前記シールド部材との嵌合部を設け、前記挿入部の前記嵌合部以外において、少なくとも前記外装部と前記絶縁部材との間又は前記絶縁部材と前記シールド部材との間に間隙を設けた電子内視鏡。
【0064】
(2)前記シールド部材は、網状シールド材又は金属パイプである付記1記載の電子内視鏡。
【0065】
(3)前記絶縁部材は、熱収縮チューブである付記2記載の電子内視鏡。
【0066】
(4)前記挿入部の外装を構成するスコープ外装部は、ステンレス部材である付記1記載の電子内視鏡。
【0067】
(5)内部空間を水密に構成した水密空間を備え、この水密空間内に複数の信号線をひとまとめにした信号ケーブルが配置される電子内視鏡において
前記複数の信号線の少なくとも1つに銀メッキを施した電子内視鏡。
【0068】
(6)前記銀メッキを施した信号線は、芯線と網状シールド材とで構成される付記5記載の電子内視鏡。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電子内視鏡を構成する導電部と生体との接触部における高周波漏れ電流による熱傷の発生を防止する電子内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図4は本発明の一実施形態に係り、図1は
本実施形態の電子内視鏡を備えた内視鏡システムを説明する図
【図2】挿入部内の構成を説明する図
【図3】把持部内の構成を説明する図
【図4】挿入部を構成する部材の配置構成を説明する図
【図5】図5ないし図7は従来例にかかり、図5は生体の僅か一部と電子内視鏡の金属外装とが接触している状態を示す図
【図6】電子内視鏡の先端の面取り部が生体に接触している状態を示す図
【図7】挿入部を構成する部材の配置構成を説明する図
【符号の説明】
2…挿入部
8…アウターチューブ
9…インナーチューブ
14…撮像枠
22…シールド枠
41…先端側つなぎパイプ
42…細径パイプ
43…基端側つなぎパイプ
40…先端パイプ
53…熱収縮チューブ
Claims (1)
- 挿入部の外装を構成する第1の外壁と第1の内部空間を形成する第1の内壁とを有する導電部材からなるチューブ部材と、
前記第1の内壁の表面に設けられる絶縁部材と、
撮像素子を収納する収納部を形成する第2の内壁と前記絶縁部材を介して前記第1の内壁により保持される第2の外壁とを有する導電部材からなる撮像枠と、
前記内部空間に挿入するために前記チューブ部材の内径よりも小径な外径を形成する第3の外壁を有し、前記撮像素子に接続する信号線を収納するための第2の内部空間を形成する導電部材からなる硬性なパイプ部材と、
前記撮像枠を構成し前記絶縁部材と前記パイプ部材の第3の外壁とが非接触な状態を保つように前記撮像枠に対して前記パイプ部材を固定する固定部と、
を有することを特徴とする電子内視鏡。
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