JP6259583B2 - 内視鏡の放熱構造 - Google Patents

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Description

本発明は内視鏡の放熱構造に関する。
内視鏡は一般的に、術者が手で把持する操作部と、操作部から前方に延びる挿入部と、を備えている。挿入部の先端部内には、レンズホルダと、レンズホルダによって支持されかつ当該先端部の前端面において露出する複数の光学素子を有する対物レンズ系と、対物レンズ系の後方に位置する撮像素子と、撮像素子の前面(撮像面)を覆う透光性のカバーガラスと、を具備している。
対物レンズ系によって被写体を観察すると、対物レンズ系及びカバーガラスを透過した観察像(光束)が撮像素子(撮像面)によって撮像される。そして、撮像素子が生成した撮像データが、内視鏡と接続する画像処理手段に送られ、画像処理手段によって画像処理された後に、画像処理手段と接続するモニタに表示される。
しかし、撮像素子が撮像動作中に発熱する部材であるにも拘わらず、撮像素子の周辺には熱伝導性が低い樹脂部材が配置してある。しかも挿入部の先端部を細径化するために、当該樹脂部材として小径(小寸)の部材を用いているので、当該樹脂部材の熱容量は小さい。
そのため、撮像素子に対して何ら放熱対策を施さないと、撮像素子の温度上昇に起因する撮像画像の劣化を招き易い。
特許文献1は撮像素子の熱を放熱可能な内視鏡を開示している。
この内視鏡の挿入部の先端部内には、フィルムからなる熱伝達部材が配置してある。この熱伝達部材の後部は撮像素子の外周側に配置してある。また熱伝達部材の前端部は、対物レンズ系の前端の光学素子でありかつ上記先端部の前端面において露出する透明カバー部材に接触している。
従って、撮像素子で発生した熱は撮像素子から熱伝達部材の後部に伝わり、熱伝達部材の内部を通って透明カバー部材に伝わった後に、透明カバー部材から挿入部の先端部の外側に放熱される。
特表2011−010499号公報
特許文献1では、熱伝達部材の後部を撮像素子の外周側に配置している。即ち、撮像素子と熱伝達部材が挿入部の径方向に重なっているので、挿入部の先端部が大径化し易い。
本発明は、挿入部の先端部が大径化し難く、かつ撮像素子で発生した熱を効率よく放熱することが可能な内視鏡の放熱構造を提供することを目的とする。
本発明の内視鏡の放熱構造は、操作部から前方に延びる挿入部の先端部内に設けた、上記先端部の表面において露出する対物レンズ系と、上記先端部内に設けた、上記対物レンズを透過した観察像を撮像する撮像面を前面に備える撮像素子と、上記先端部内に設けた、上記撮像面を覆いかつ上記対物レンズから後方に離間する透光性のカバー部材と、上記先端部内に設けた、上記対物レンズを支持しかつ後端が上記カバー部材の前面に接触する、空気より熱伝導率が高い材料からなる伝熱手段と、を備え、上記伝熱手段が、上記対物レンズ系を支持しかつ上記カバー部材から前方に離間するレンズホルダと、該レンズホルダに接触すると共に後端が上記カバー部材の前面に接触する中継部材と、を備え、上記撮像素子で発生し上記カバー部材に伝わった熱は、上記中継部材及び上記レンズホルダを介して放熱されることを特徴としている。
上記中継部材には、上記対物レンズ系の光軸を中心とする断面矩形の貫通孔を形成し、この貫通孔を遮光マスクとして機能させることができる
上記貫通孔の内周面が凹凸面であってもよい。
上記レンズホルダがセラミック製であり、該レンズホルダの前端が上記先端部の表面において露出してもよい。
本発明では、挿入部の先端部内に、空気より熱伝導率が高い材料からなる伝熱手段を設け、この伝熱手段によって対物レンズを支持し、さらに伝熱手段の後端を撮像素子の撮像面を覆うカバー部材の前面に接触させている。
そのため、撮像素子で発生した熱は、カバー部材から伝熱手段の後端に伝わる。そして伝熱手段に伝わった熱は伝熱手段の周囲に放熱される。従って、撮像素子の温度上昇に起因する撮像画像の劣化を抑制できる。
しかも、伝熱手段の後端がカバー部材の前面に接触しており、撮像素子と伝熱手段が挿入部の径方向に重なっていないので、挿入部の先端部の大径化を抑制できる。
本発明の一実施形態の内視鏡の全体図である。 挿入部の先端部及び先端部の直後に位置する部位の縦断側面図である。 図2のIII−III矢線に沿う縦断側面図である。 本発明の第一の変形例の挿入部の先端部の一部を示す縦断側面図である。 本発明の第二の変形例の図4と同様の縦断側面図である。 本発明の第三の変形例の図2と同様の縦断側面図である。
以下、図1から図3を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。以下の説明中の前後方向は、内視鏡10の挿入部12の先端側を「前方」、ユニバーサルチューブ13の先端側(コネクタ部14側)を「後方」と定義している。
医療用の内視鏡10は、硬質樹脂からなる操作部11と、操作部11から前方に延びる挿入部12と、操作部11から後方に延びるユニバーサルチューブ13と、ユニバーサルチューブ13の後端に固定したコネクタ部14と、を備えている。
次に挿入部12の詳細な構造について説明する。
挿入部12は、操作部11から前方に延びかつ可撓性を有する可撓管部16と、可撓管部16の前端部に接続する湾曲部17と、湾曲部17の前端部に接続する先端部18と、を具備している。湾曲部17は、操作部11に設けた湾曲操作レバー15の回転操作に連動して湾曲する部位である。
先端部18の外周面は、挿入部12全体の外周面を構成する可撓性樹脂材料からなる外皮材19の先端部により構成してある。外皮材19の先端部の内周側には、実質的に弾性変形不能な硬質樹脂材料(例えば、ABS、変性PPO、PSUなど)によって構成した先端硬質部20が設けてある。先端硬質部20の前端面には、先端硬質部20を前後方向に貫通する断面円形の収納孔21が形成してある。
収納孔21の後部には、前後両端が開口する円筒状の筒状部材22の前部が嵌合固定してある。筒状部材22の内部には撮像素子23が固定状態で取り付けてある。撮像素子23の前面は撮像面24を構成している。筒状部材22の内部には撮像面24の直前に位置する透光性のカバー部材25(例えば、ガラスや樹脂材によって構成可能)が取り付けてあり、カバー部材25の後面全体が撮像面24に接触している。さらに筒状部材22の内部には、撮像素子23の直後に位置しかつ撮像素子23と電気的に接続する制御基板が取り付けてある。当該制御基板から後方に延びる可撓性材料からなる複数の画像信号用ケーブル26の後端部は、挿入部12、操作部11、ユニバーサルチューブ13、及び、コネクタ部14の内部空間を通り抜けてコネクタ部14に突設した画像処理用接続スリーブ14Aに接続している。また各画像信号用ケーブル26の前端部を除く部分は、可撓性材料からなる被覆チューブ27によって束ねられている。
また筒状部材22の内部空間には、カバー部材25、撮像素子23、上記制御基板、及び各画像信号用ケーブル26の被覆チューブ27の前端より前方に位置する部分を覆うシリコン樹脂製接着剤28が充填してある。
さらに収納孔21には、カバー部材25の直前に位置する筒状部材である中継部材30(伝熱手段)が嵌合してある。
中継部材30は空気より熱伝導率が高い材料(例えば、アルミニウムや銅合金などの金属、カーボングラファイト等)によって構成した部材である。中継部材30の熱伝導率は、例えば106W/mk〜1600W/mkとすることが可能である。中継部材30の後端面は接着剤(例えば、エポキシ樹脂系接着剤、合成ゴム系接着剤、シリコン系接着剤など)によって、カバー部材25の前面に接着(固定)してある。中継部材30の後端面は鏡面加工等によって平滑面にしてあるので、中継部材30の後端面とカバー部材25の前面は密に接触している。この接着剤の熱伝導率は空気より高い。
さらに中継部材30には、中継部材30を前後方向に貫通する貫通孔31が形成してある。貫通孔31は後述する対物レンズ系36の光軸を中心とする断面矩形の孔であり(図2参照)、前方から後方に向かうにつれて徐々に拡径している。
さらに収納孔21の前部には筒状部材であるレンズホルダ33(伝熱手段)が固定状態で嵌合してある。
このレンズホルダ33は金属製であり、その熱伝導率は空気より高い。さらにレンズホルダ33の内部には、カバーレンズ34と3枚のレンズ35とからなる対物レンズ系36が固定状態で支持してある。また、図示するようにレンズホルダ33の後部の外周面には環状凹部33aが凹設してある。
対物レンズ系36を支持したレンズホルダ33は、筒状部材22、撮像素子23、カバー部材25、及び中継部材30を収納孔21に対して取り付けた後に、収納孔21の前部に対して取り付ける。具体的には、収納孔21の内周面とレンズホルダ33の後部の外周面(環状凹部33aの外周面)の間に形成された環状の凹部を中継部材30の前端部に対して相対移動可能に挿入し、レンズホルダ33の収納孔21に対する前後位置を調整することにより対物レンズ系36のピント調整を行う(対物レンズ系36を透過した観察像を撮像面24上で結像させるための調整を行う)。そしてピント調整が完了した後に、中継部材30の前端部の内周面と環状凹部33aの外周面を接着剤(例えば、エポキシ樹脂系接着剤、合成ゴム系接着剤、シリコン系接着剤など)によって接着(固定)する。この接着剤の熱伝導率も空気より高い。図示するように、レンズホルダ33の後端部(及び対物レンズ系36の後端のレンズ35)は、カバー部材25から前方に離間している。このようにしてレンズホルダ33を収納孔21に固定すると、図示するようにカバーレンズ34が先端硬質部20の前端面において露出する。
挿入部12の内部には、前端が挿入部12の前端面において開口し、かつ後端が操作部11に突設した処置具挿通用突部11aの開口端部に接続する処置具挿通路39が形成してある。そのため処置具挿通用突部11aの開口端部に処置具(図示略)を挿入することにより、処置具を処置具挿通路39の先端開口(挿入部12の前端面)から前方に突出させることが可能である。
処置具としては様々なものがあり、その一例としては高周波スネアがある。高周波スネアを処置具挿通路39の先端開口(挿入部12の前端面)から前方に突出させると、高周波スネアを流れる高周波電流が挿入部12の前端面に及ぶことがある。
しかし、収納孔21の前端部にはカバーレンズ34の前部を支持しかつ後部がレンズホルダ33の前端部に接続する絶縁性環状部材37が固定状態で嵌合してある。そのため高周波スネアの高周波電流が金属製のレンズホルダ33に及び、レンズホルダ33から挿入部12の内部に設けた電子部品(例えば撮像素子23)に伝わることはない。
続いて内視鏡10の使用要領について説明する。
まずは内視鏡10のコネクタ部14(画像処理用接続スリーブ14A)を図示を省略した画像処理兼光源装置に接続し、さらに画像処理兼光源装置をケーブルを介してモニタ(図示略)に接続する。その上で、画像処理兼光源装置に設けた電源スイッチをONにして、画像処理兼光源装置に内蔵した光源を点灯させ、さらに画像処理兼光源装置に内蔵した画像処理手段を作動させる。光源で発生した光は、内視鏡10の内部に配設したライトガイドファイバ(図示略)に供給され、かつライトガイドファイバから先端部18の前端面に設けた照明レンズ(図示略)に供給され、照明レンズから外部に照射される。
挿入部12を被験者の口から体腔に挿入すると、体腔内の被写体(例えば患部)によって反射された反射光(観察像)が対物レンズ系36を透過して後方に向かう。図2に示すように、中継部材30の貫通孔31の内周面が当該反射光の有効光束に沿った形状であるため(貫通孔31の内周面は有効光束の外周側に位置している)、対物レンズ系36を透過した反射光の有効光束以外の部分(の殆ど)は中継部材30によって遮光され、有効光束は貫通孔31及びカバー部材25を通って撮像素子23の撮像面24によって受光される。さらに撮像素子23が生成した撮像データが画像信号用ケーブル26及び画像処理用接続スリーブ14Aを介して上記画像処理手段に送られ、画像処理手段によって画像処理された画像が上記モニタに表示される。
撮像素子23は撮像動作中に熱を発生する。しかし、この熱は撮像素子23からカバー部材25に伝わった後に、空気より熱伝導率が高い材料からなる中継部材30の後端部に伝わる。中継部材30の後端部に伝わった熱の一部は中継部材30(例えば貫通孔31)から周囲に放熱される。また、中継部材30の後端部に伝わった熱の残部(の多く)は中継部材30からレンズホルダ33に伝わり、レンズホルダ33から周囲に放熱される。そのため撮像素子23の温度上昇に起因して、撮像素子23によって撮像された画像が劣化するのを抑制できる。
また中継部材30の後端がカバー部材25の前面に接触しており、撮像素子23(及びカバー部材25)と中継部材30が挿入部12の径方向に重なっていないので、挿入部12の先端部18が大径化し難い。
さらに中継部材30の貫通孔31の内周面が反射光の有効光束に沿った形状であるため、中継部材30が遮光マスクとしての機能を発揮する。そのため中継部材30とは別部材の遮光マスクを設けることなく、反射光によるフレア等の発生を抑制することが可能である。
以上、上記実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。例えば以下の第一から第三の変形例の態様での実施が可能である。
図4に示す第一の変形例の内視鏡10の中継部材30の貫通孔31’の内周面には、断面略V字状の環状溝が前後方向に並べて多数形成してある。即ち、貫通孔31’の内周面は凹凸面として形成してあり、その表面積は上記実施形態の中継部材30の貫通孔31よりも大きい。
そのため上記実施形態の貫通孔31’は貫通孔31よりも効率良く放熱可能である。
さらに貫通孔31’が光反射防止機能を発揮するので(遮光線として機能するので)、反射光によるフレア等の発生をより効果的に防止できる。
図5に示す第二の変形例の内視鏡10のレンズホルダ33’(伝熱手段)はセラミック製であり、その熱伝導率は空気より高い。
この内視鏡10では、絶縁性環状部材37を省略し、レンズホルダ33’の前端部を先端部18の前端面において露出させている。
しかしながら、レンズホルダ33’はセラミック製であるため絶縁機能を有している。そのため高周波スネアの高周波電流が、レンズホルダ33’から挿入部12の内部に設けた電子部品(例えば撮像素子23)に伝わることはない。
図6に示す第三の変形例の内視鏡10では、中継部材30とレンズホルダ33に相当する部材を一体成形品(一部材)からなる伝熱部材40(伝熱手段)として構成している。伝熱部材40は空気より熱伝導率が高い材料(例えば、アルミニウムや銅合金などの金属、カーボングラファイト、セラミック等)によって構成してある。
本変形例では、伝熱部材40を収納孔21に挿入する前に伝熱部材40内におけるカバーレンズ34及びレンズ35の前後位置を予め調整することにより、伝熱部材40を収納孔21内の所定位置に固定したときに対物レンズ系36のピント位置が合うようにしている。
そのため上記実施形態と同様の作用効果を発揮可能である。
さらに中継部材30とレンズホルダ33に相当する部材を一部材として構成しているので、部品点数を少なくすることが可能である。
また第二、第三の変形例の貫通孔31を貫通孔31’に変更してもよい。
さらに中継部材30に貫通孔31’を形成する代わりに(または貫通孔31’を形成しつつ)、貫通孔31(又は貫通孔31’)に反射防止用のコーティングを施しても良い。
また中継部材30、レンズホルダ33、33’、伝熱部材40を導電性材料(例えば、アルミニウムや銅合金などの金属、カーボングラファイト等)によって構成する場合に、これらの部材の表面を絶縁性コーティングによって被覆してもよい。
さらに斜視型の内視鏡、超音波内視鏡、或いは工業用内視鏡に対して本発明を適用してもよい。
10 内視鏡
11 操作部
11a 処置具挿通用突部
12 挿入部
13 ユニバーサルチューブ
14 コネクタ部
14A 画像処理用接続スリーブ
15 湾曲操作レバー
16 可撓管部
17 湾曲部
18 先端部
19 外皮材
20 先端硬質部
21 収納孔
22 筒状部材
23 撮像素子
24 撮像面
25 カバー部材
26 画像信号用ケーブル
27 被覆チューブ
28 シリコン樹脂製接着剤
30 中継部材(伝熱手段)
31 31’ 貫通孔
33 33’ レンズホルダ(伝熱手段)
33a 環状凹部
34 カバーレンズ
35 レンズ
36 対物レンズ系
37 絶縁性環状部材
39 処置具挿通路
40 伝熱部材(伝熱手段)

Claims (4)

  1. 操作部から前方に延びる挿入部の先端部内に設けた、上記先端部の表面において露出する対物レンズ系と、
    上記先端部内に設けた、上記対物レンズを透過した観察像を撮像する撮像面を前面に備える撮像素子と、
    上記先端部内に設けた、上記撮像面を覆いかつ上記対物レンズから後方に離間する透光性のカバー部材と、
    上記先端部内に設けた、上記対物レンズを支持しかつ後端が上記カバー部材の前面に接触する、空気より熱伝導率が高い材料からなる伝熱手段と、
    を備え
    上記伝熱手段が、
    上記対物レンズ系を支持しかつ上記カバー部材から前方に離間するレンズホルダと、
    該レンズホルダに接触すると共に後端が上記カバー部材の前面に接触する中継部材と、
    を備え、
    上記撮像素子で発生し上記カバー部材に伝わった熱は、上記中継部材及び上記レンズホルダを介して放熱されることを特徴とする内視鏡の放熱構造。
  2. 請求項1記載の内視鏡の放熱構造において、
    上記中継部材は、上記対物レンズ系の光軸を中心とする断面矩形の貫通孔を備え、
    該貫通孔が遮光マスクとして機能する内視鏡の放熱構造。
  3. 請求項2記載の内視鏡の放熱構造において、
    上記貫通孔の内周面が凹凸面である内視鏡の放熱構造。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の内視鏡の放熱構造において、
    上記レンズホルダがセラミック製であり、
    該レンズホルダの前端が上記先端部の表面において露出する内視鏡の放熱構造。
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