JP5377085B2 - 内視鏡 - Google Patents

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本発明は、内視鏡に関する。
内視鏡の先端硬性部には、固体撮像素子と、この固体撮像素子の後方に位置する駆動回路基板とを接着剤を介して結合した撮像ユニットが挿入されている。内視鏡使用時に固体撮像素子と駆動回路基板で発生した熱が撮像ユニット内にこもると、撮影画像にノイズが発生して好ましくないので、放熱シリコンを接着剤として用いるなどの対策が採られているが、放熱シリコンの熱伝導率は高くても数W/mKに過ぎず、十分な放熱性が得られていない。そこで、固体撮像素子と駆動回路基板で発生した熱を効率的に逃がす(放熱性を高める)ための種々の工夫がなされている。
例えば、特許文献1に開示された内視鏡は、固体撮像素子と駆動回路基板を覆うシールドパイプのまわり(撮像ユニットの外周側)をさらに放熱シリコンで充填して、固体撮像素子と駆動回路基板で発生した熱の流れを促進し、放熱性を高めている。
また、特許文献2に開示された内視鏡は、撮像ユニットの近傍にペルチェ素子を設けて、撮像ユニット内の固体撮像素子と駆動回路基板を冷却している。
特許第2665441号公報 特許第4108787号公報
しかしながら、特許文献1の内視鏡にあっては、撮像ユニットの外周側に放熱用の部品が追加されているので、先端硬性部が大径化するという問題がある。
また、特許文献2の内視鏡にあっても、ペルチェ素子を設けるための空間が別途必要なので先端硬性部が大径化し、さらにペルチェ素子を設けるための構造が複雑なので作業性が悪化するという問題がある。
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、先端硬性部を大径化することなく、簡単な構造で、高い放熱性が得られる内視鏡を提供することを目的とする。
本発明の内視鏡は、第1の態様では、固体撮像素子と、該固体撮像素子の後方に位置する駆動回路基板とを接着剤を介して結合した撮像ユニットを、内視鏡の先端硬性部の内部空間に挿入した内視鏡において、上記固体撮像素子と駆動回路基板の間に、上記固体撮像素子の駆動回路基板側の面に面接触する、上記接着剤よりも高い熱伝導率を有する放熱部材を位置させたこと、上記放熱部材の熱伝導率は、10〜40(W/mK)であること、及び上記駆動回路基板の固体撮像素子側の面には電子回路部品が実装されており、上記放熱部材は、この電子回路部品を避ける退避凹部を有すること、を特徴としている。
上記退避凹部は、上記固体撮像素子側から駆動回路基板側に向かって内幅が拡がるテーパ形状凹部とすることが好ましい。
本発明の内視鏡は、第2の態様では、固体撮像素子と、該固体撮像素子の後方に位置する駆動回路基板とを接着剤を介して結合した撮像ユニットを、内視鏡の先端硬性部の内部空間に挿入した内視鏡において、上記固体撮像素子と駆動回路基板の間に、上記固体撮像素子の駆動回路基板側の面に面接触する、上記接着剤よりも高い熱伝導率を有する放熱部材を位置させたこと、上記放熱部材の熱伝導率は、10〜40(W/mK)であること、及び上記放熱部材は、上記固体撮像素子の駆動回路基板側の全面と、上記駆動回路基板の固体撮像素子側の全面との双方に面接触していること、を特徴としている。
上記放熱部材として、例えば、32W/mK程度の熱伝導率を有する緻密性アルミナ系セラミック材、又は20W/mK程度の熱伝導率を有する窒化ケイ素材を用いることができる。
上記固体撮像素子は、その外周側面から上記駆動回路基板の外周側面にわたって延びる複数の延伸部と、該延伸部から上記駆動回路基板の背面に沿って折り曲げられた折曲部とを有するリード線を備え、このリード線の折曲部を、駆動回路基板の背面に半田付けされている態様をとることができる。また、上記リード線の延伸部は、固体撮像素子からの撮像信号をコネクタ部に送るケーブル芯線に半田付けされている態様をとることができる。
本発明によれば、先端硬性部を大径化することなく、簡単な構造で、高い放熱性が得られる内視鏡を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電子内視鏡の全体構成を示す図である。 図1の先端硬性部の断面図である。 図2の一部拡大図である。 固体撮像素子と駆動回路基板へのリード線の配設構造を示す図である。 図4のリード線にケーブル芯線を半田付けした図である。 放熱部材の構成を示す断面図である。 電子内視鏡の別の実施形態を示す図3に対応する断面図である。
図1を用いて、本発明の対象とする電子内視鏡10の全体構成について説明する。
内視鏡10は、操作者が把持する把持操作部11と、この把持操作部11から延出する可撓性のある挿入部12とを有している。本明細書における前後方向は、挿入部12の先端側を「前方」、挿入部12の基端側を「後方」とする。挿入部12の先端部は先端硬性部13により構成してあり、その直後は管状の湾曲部14となっている。湾曲部14は、把持操作部11に設けた湾曲操作レバー15の回転操作に応じて湾曲するものである。把持操作部11からはユニバーサルチューブ16が延出されており、このユニバーサルチューブ16の先端にはコネクタ部17が設けられている。また、図示していないが、内視鏡10にはライトガイドファイバが内蔵されていて、このライトガイドファイバは、挿入部12の先端硬性部13から湾曲部14、把持操作部11、ユニバーサルチューブ16、コネクタ部17から突出するライトガイドスリーブ18内まで延びている。コネクタ部17の端子17aがビデオプロセッサのコネクタ端子(図示せず)に接続されると、このライトガイドファイバは、ビデオプロセッサに内蔵された内視鏡光源(図示せず)と光学的に接続される。そして、この内視鏡光源から発せられた照明光は、ライトガイドファイバ内を導かれ、挿入部12の先端硬性部13の端面近傍に位置する照明光出射端面(図示せず)から出射され、同先端硬性部13の端面に設けられた配光レンズ(図示せず)によって所定の配光で外方に出射される。
図2及び図3を用いて、挿入部12の先端硬性部13について説明する。先端硬性部13は、金属部材からなる先端部本体20を有しており、この先端部本体20の内部空間20aに、対物枠(レンズ枠)21に収納された対物光学系(対物レンズ)22が絶縁枠23を介して挿入され、その後方に撮像ユニット50が挿入されている。図示していないが、先端部本体20の先端部外周には樹脂材料からなる先端カバーが被せられている。先端部本体20の後端部には、湾曲部14の主要構成部材である複数の金属筒状部材が回動可能に連結されて湾曲自在となった湾曲管の湾曲駒24の先端が、湾曲ワイヤ(アングルワイヤ)25により湾曲可能な状態で接続固定されている。湾曲駒24の外周は、柔軟性を有するゴムからなる湾曲ゴム(アングルゴム)26によって被覆されており、湾曲ゴム26は、緊縛糸27によって先端部本体20に固定されている。緊縛糸27は、接着剤28によって薬品等から保護されている。また、先端部本体20の内部空間20bには、鉗子挿通及び送気送水を行なうための中空パイプ(チャンネルパイプ)29が挿入されている。
撮像ユニット50は、前方から順に配置された固体撮像素子51、放熱部材52及び駆動回路基板53、並びに固体撮像素子51と駆動回路基板53を電気的に接続するリード線54、このリード線54に半田付けされたケーブル芯線55及びこのケーブル芯線55を束ねる糸巻部56を、絶縁樹脂からなる接着剤57(例えばシリコン接着剤)によって結合してなる。糸巻部56の近傍で束ねられたケーブル芯線55は、被覆チューブ58内に導かれ、内視鏡の10のコネクタ部17まで延びている。絶縁テープ59により囲まれた筒状の金属枠からなるシールドパイプ60の内円筒面と撮像ユニット50の間には接着剤57が充填されており、撮像ユニット50は、シールドパイプ60に挿入された状態で先端部本体20の内部空間20aに嵌められている。固体撮像素子51の前方には、カバーガラス51aが設けられている。駆動回路基板53の前面(固体撮像素子51側の面)には、ICやコンデンサ、抵抗等の電子回路部品53aが実装されている。
図4に示すように、リード線54は、固体撮像素子51の外周側面51bから駆動回路基板53の外周側面53bにわたって延びる複数の延伸部54aと、この延伸部54aから駆動回路基板53の背面(撮像素子51と反対側の面)53cに沿って折り曲げられた折曲部54bとを有し、この折曲部54bが駆動回路基板53の背面53cに半田付けされている。同時に、リード線54の折曲部54bによって、固体撮像素子51と駆動回路基板53が、その間に放熱部材52を挟み込んだ状態で固定されている(固体撮像素子51と放熱部材52と駆動回路基板53がユニット化されている)。すなわち、別部材としての固定部材を設けることなく、既存のリード線により簡単な構造で、固体撮像素子51と駆動回路基板53を固定することができる。また、図5に示すように、ケーブル芯線55は、リード線54の延伸部54aに半田付けされている。
放熱部材52は、固体撮像素子51と駆動回路基板53の間隔を定めるスペーサとして機能している。放熱部材52の前面は、固体撮像素子51の背面に面接触(本実施形態では全面が接触)しており、同放熱部材52の背面には、駆動回路基板53に実装された電子回路部品53aを避ける退避凹部52aが形成されている。図6に示すように、退避凹部52aは、固体撮像素子51側から駆動回路基板53側に向かって内幅が拡がるテーパ形状凹部であり、その抜き勾配θ(テーパ面52bと底面52cがなす角度)は、例えば5°〜10°程度となっている。また、テーパ面52bと底面52cの交点には、少なくとも0.1mm以上のコーナーRを設けるのが望ましい。図2、4、5においては、放熱部材52の抜き勾配θ及びコーナーRを表現していない。
放熱部材52の熱伝導率は10〜40(W/mK)であり、例えばシリコン接着剤などの絶縁樹脂からなる接着剤57の熱伝導率(高くても数W/mK)よりも高くなっている。放熱部材52は具体的に、高い熱伝導率と絶縁性を併せ持つ緻密性アルミナ系セラミック材、又は窒化ケイ素材から構成することができる。例えば、緻密性アルミナ系セラミック材の熱伝導率は32W/mK程度であり、窒化ケイ素材の熱伝導率は20W/mK程度である。
以上のように構成された内視鏡10を用いて観察を行なう際には、挿入部12を被験者の体腔内に挿入して先端硬性部13を観察対象部位まで導き、ライトガイドファイバ(図示せず)を介して観察対象部位に照明光を照射する。観察対象部位から反射した照明光は、対物光学系22を通して撮像ユニット50の固体撮像素子51の受光面に結像し、画像信号に光電変換される。この画像信号は、リード線54からケーブル芯線55を介して、内視鏡10のコネクタ部17に接続されたビデオプロセッサ(図示せず)まで伝送され、観察画像の表示が可能になる。
ここで、内視鏡10による観察を長時間継続した場合には、撮像ユニット50の固体撮像素子51及び駆動回路基板53が発熱する。
本実施形態では、固体撮像素子51と駆動回路基板53の間に、主発熱源である固体撮像素子51に面接触する放熱部材52を位置させており、しかも、放熱部材52の熱伝導率は接着剤57の熱伝導率よりも高いので、固体撮像素子51で発生した熱の放熱性を高めることができる。すなわち、放熱部材52によって固体撮像素子51で発生した熱の流れ(逃げ)が促進され、放熱部材52からリード線54及びケーブル芯線55を伝って放熱する経路と、同放熱部材52から接着剤57を介してシールドパイプ60を伝って放熱する経路の双方から効率的に熱を逃がすことができる。放熱部材52は、固体撮像素子51の背面(の全面)に面接触しているので、固体撮像素子51の小型化が進む中にあっても、十分な接触面積を確保して、高い放熱性が得られる。
また、放熱部材52は、固体撮像素子51と駆動回路基板53の間に位置し、撮像ユニット50の外周側には位置しないので、先端硬性部13が大径化することはない。さらに、ペルチェ素子のような冷却用の部材を別途設ける必要がないので、構造が簡単で組立作業性が良い。
以上の実施形態では、固体撮像素子51と駆動回路基板53の間(駆動回路基板53の前面)に電子回路部品53aが実装されているために、放熱部材52に退避凹部52aを設ける必要がある。しかし、固体撮像素子51と駆動回路基板53の間に電子回路部品53aが実装されていない場合には、放熱部材52に退避凹部52aを設ける必要はない。図7はその実施形態を示しており、固体撮像素子51と駆動回路基板53の間に直方体形状の放熱部材70が位置し、放熱部材70の前面と固体撮像素子51の背面、及び放熱部材70の背面と駆動回路基板53の前面が全面にわたって接触している。したがって、放熱部材70によって固体撮像素子51と駆動回路基板53からの熱の流れ(逃げ)がさらに促進され、放熱性を高めることができる。
10 電子内視鏡
11 把持操作部
12 挿入部
13 先端硬性部
14 湾曲部
15 湾曲操作レバー
16 ユニバーサルチューブ
17 コネクタ部
18 ライトガイドスリーブ
20 先端部本体
20a、20b 内部空間
21 対物枠(レンズ枠)
22 対物光学系(対物レンズ)
23 絶縁枠
24 湾曲駒
25 湾曲ワイヤ(アングルワイヤ)
26 湾曲ゴム(アングルゴム)
27 緊縛糸
28 接着剤
29 中空パイプ(チャンネルパイプ)
50 撮像ユニット
51 固体撮像素子
51a カバーガラス
51b 外周側面
52 放熱部材
52a 退避凹部
52b テーパ面
52c 底面
53 駆動回路基板
53a 電子回路部品
53b 外周側面
53c 背面
54 リード線
54a 延伸部
54b 折曲部
55 ケーブル芯線
56 糸巻部
57 接着剤
58 被覆チューブ
59 絶縁テープ
60 シールドパイプ
70 放熱部材

Claims (7)

  1. 固体撮像素子と、該固体撮像素子の後方に位置する駆動回路基板とを接着剤を介して結合した撮像ユニットを、内視鏡の先端硬性部の内部空間に挿入した内視鏡において、
    上記固体撮像素子と駆動回路基板の間に、上記固体撮像素子の駆動回路基板側の面に面接触する、上記接着剤よりも高い熱伝導率を有する放熱部材を位置させたこと
    上記放熱部材の熱伝導率は、10〜40(W/mK)であること、及び
    上記駆動回路基板の固体撮像素子側の面には電子回路部品が実装されており、上記放熱部材は、この電子回路部品を避ける退避凹部を有すること、
    を特徴とする内視鏡。
  2. 請求項1記載の内視鏡において、
    上記退避凹部は、上記固体撮像素子側から駆動回路基板側に向かって内幅が拡がるテーパ形状凹部である内視鏡。
  3. 固体撮像素子と、該固体撮像素子の後方に位置する駆動回路基板とを接着剤を介して結合した撮像ユニットを、内視鏡の先端硬性部の内部空間に挿入した内視鏡において、
    上記固体撮像素子と駆動回路基板の間に、上記固体撮像素子の駆動回路基板側の面に面接触する、上記接着剤よりも高い熱伝導率を有する放熱部材を位置させたこと、
    上記放熱部材の熱伝導率は、10〜40(W/mK)であること、及び
    上記放熱部材は、上記固体撮像素子の駆動回路基板側の全面と、上記駆動回路基板の固体撮像素子側の全面との双方に面接触していること、
    を特徴とする内視鏡。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の内視鏡において、
    上記放熱部材は、緻密性アルミナ系セラミック材からなる内視鏡。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の内視鏡において、
    上記放熱部材は、窒化ケイ素材からなる内視鏡。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項記載の内視鏡において、
    上記固体撮像素子は、その外周側面から上記駆動回路基板の外周側面にわたって延びる複数の延伸部と、該延伸部から上記駆動回路基板の背面に沿って折り曲げられた折曲部とを有するリード線を備え、
    上記リード線の折曲部は、駆動回路基板の背面に半田付けされている内視鏡。
  7. 請求項6記載の内視鏡において、
    上記リード線の延伸部は、固体撮像素子からの撮像信号をコネクタ部に送るケーブル芯線に半田付けされている内視鏡。
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