JP3779855B2 - ウオーターポンププライヤー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプや丸棒の径あるいはナットの大きさに応じて挟持部のくち開き度を数段階で調整することができるウォーターポンププライヤーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ウォーターポンププライヤーにおける挟持部のくち開き構造は、一方の挟持杆にスライド用長孔を形成すると共に、このスライド用長孔の片側に多数の保持凹部を等間隔に形成し、そして、他方の挟持杆に突設されたピン軸をスライド用長孔内で長手方向にスライドさせて、このピン軸を所望する保持凹部に係止させるものである。
【0003】
また、上記従来の構造ではスライド用長孔に対するピン軸の位置をより多段階的に調整することができないから、例えば実公昭41−13676号公報所載のウォーターポンププライヤーにおける挟持部のくち開き構造は、多数の保持凹部をスライド用長孔の両側に互い違いにして等間隔に形成し、そして、他方の挟持杆に突設されたピン軸をスライド用長孔内で長手方向にスライドさせて、このピン軸を所望する保持凹部に係止させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、挟持部に挟持されるパイプ、丸棒、ナット等は等比率でサイズが変わるものではないため、保持凹部が等間隔に形成された上記何れのくち開き構造にあっても、ハンドル部の開きにバラツキが生じて、使い勝手が悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、挟持部のくち開きを何れの段階に調整したとしても、ハンドル部の開きのバラツキが少なくなるようなウォーターポンププライヤーを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るウォーターポンププライヤーは、基部側をハンドル部2とし且つ先端側を挟持部4とした一対の挾持杆1A,1Bを備え、直線状のスライド用長孔5を一方の挾持杆1Aに形成すると共に、他方の挟持杆1Bのピン軸8をスライド用長孔5に挿通して、一対の挾持杆1A,1Bを互いにスライド可能にし、さらに、挟持杆1A,1Bのスライドを規制して挟持部4A,4Bのくち開き度を調整可能とするための複数の係止部6,…をスライド用長孔5の長手方向に沿って一方の挾持杆1Aに形成したウォーターポンププライヤーにおいて、把持対象物Pのサイズの相違に伴って生じるハンドル部2A,2Bの開きのバラツキを抑えるべく、前記係止部6,…をスライド用長孔5の長手方向に対して不等間隔に形成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本実施形態に係るウォーターポンププライヤーの構成について図1及び図2に基づき説明する。
【0008】
本実施形態に係るウォーターポンププライヤーは、基部側をハンドル部2とし先端側を挟持部4とした一対の挾持杆1,1を備え、ハンドル部2と挟持部4とに挟まされた枢着部3にて一対の挾持杆1,1が回転自在に枢着される構成を採用している。
【0009】
便宜上、一方の挟持杆1に対してAの符号を付し、他方の挟持杆1に対してBの符号を伏すならば、一方の挟持杆1Aは、長いハンドル部2Aに屈曲状態に枢着部3Aを連設し、この枢着部3Aに前記屈曲方向と逆方向に屈曲した状態にして挟み部4Aを連設し、この枢着部3Aに直線状のスライド用長孔5を形成して構成されている。
【0010】
また、他方の挟持杆1Bは、長いハンドル部2Bに前記一方の挟持杆1Aと逆方向に屈曲した状態にして枢着部3Bを連設し、この枢着部3Bに前記屈曲方向と逆方向に屈曲した状態にして挟み部4Bを連設し、この枢着部3Bに貫通孔7を形成して構成されている。
【0011】
そして、前記他方の挾持杆1Bの枢着部3の貫通孔7にピン軸8を挿通して、このピン軸8を前記一方の挾持杆1Aのスライド用長孔5にスライド移動調整自在に枢着することにより、このピン軸8を中心として両者1A,1Bは回転自在となり、挟持部4,4同士の開き角を調整可能にしている。
【0012】
前記ハンドル部2は、平面状の基部2aと、該基部2aの外側に位置する端縁部に沿って突設された突部2bとからなる断面視略L字状に形成されており、二つの突部2b,2bをそれぞれ互いに反対方向に突設させることにより、一方の挟持杆1Aの突部2bが他方の挟持杆1Bの基部2aと略面一となると共に、他方の挟持杆1Bの突部2bが一方の挟持杆1Aの基部2aと略面一となる。
【0013】
また、前記ハンドル部2は、その軽量化を図るべく、基部2aの適宜位置に長孔9が形成されている。
【0014】
前記スライド用長孔5は、一方の挾持杆Aの直線状の枢着部3Aに形成したもので、その片側(把持部4よりの側縁)には、ピン軸8の位置決め用としての保持凹部(係止部)6が複数並んで形成されている。本実施形態においては、この保持凹部6は、円弧状に形成されている。
【0015】
一方、前記ピン軸8は、円柱体の外周面を背切り加工して平行な二つの対向面を形成したもので、ピン軸8の円弧部が任意の保持凹部6に係止可能となっている。背切り加工を施した理由は、該ピン軸8の断面形状と他方の挾持杆1Bの貫通孔7の形状とを略一致させることにより貫通孔7内でのピン軸8の回転を規制すること、及び、ピン軸8の直径よりも狭い幅を有するスライド用長孔5内でピン軸8をスライド可能にすることが挙げられる。但し、貫通孔7内でのピン軸8の回り止めを防止する目的であれば、貫通孔7及びピン軸8を上記形状にするもののみならず、例えば、ピン軸8の外周面の一部のみを背切り加工して断面視略D字状にすると共に、他方の挾持杆1Bの貫通孔7も略D字状にして形成するのであってもよい。
【0016】
従って、連なった保持凹部6,…を選択してピン軸8を係止させることにより、一方の挾持杆1Aに対して他方の挾持杆1Bを枢着する位置を可変自在とし、挟持部4A,4B同士のくち開き度を調整することができるが、本実施形態においては、保持凹部6,…を等間隔ではなく、不等間隔に(ピッチを変えて)形成している。
【0017】
また、前記一方の挟持杆1Aの挟持部4Aの内歯10Aは、略V字状に形成されている。この内歯10Aの開き角は、ボルトの六角頭の一角の角度(120度)よりも僅かに大きく形成されており、V字のうちの基端側縁が先端側縁よりも歯のピッチが小さく且つ歯形が小さくなっている。
【0018】
さらに、前記他方の挟持杆1Bの挟持部4Bの内歯10Bは、パイプ等の丸物にあっては、内歯10AのV字の基端側縁及び先端側縁とで3点支持すべく、そして、ナット等の角物にあっては、内歯10AのV字の基端側縁とで2点支持すべく、一部が突出した形状に形成されている。
【0019】
このように、本実施形態に係るウォーターポンププライヤーは、長いハンドル部2A,2Bに対して挟持部4A,4Bが屈曲した状態にあり、該挟持部4A,4B同士の開き角が数段階に調整できるため、挟持部4A,4Bの内歯10A,10Bによってパイプ、丸棒、ナット等をしっかりと挾持することができ、またハンドル2A,2Bが長くその挾持力も大きく、挾持杆1A,1Bの厚みも薄いため、狭い場所で大きいものをつかんで作業できるため、配管工事には欠かせないものである。
【0020】
しかも、本実施形態に係るウォーターポンププライヤーは、保持凹部が等間隔で形成された従来のウォーターポンププライヤーと異なり、不等間隔、即ちピッチを変えて形成されているため、挟持部4A,4B同士の開き角をいろんな段階に調整しても、ハンドル部2A,2Bの開きのバラツキを抑えることができ、使い勝手が非常に良いのである。この実施例を以下に説明する。
【0021】
【実施例】
本実施例では、図2に示す如く、保持凹部6の数を6個とし、便宜上、先端側から6a,6b,6c,6d,6e,6fとすると、保持凹部6a及び保持凹部6bの間隔L1を7.5mm、保持凹部6b及び保持凹部6cの間隔L2を8.0mm、保持凹部6c及び保持凹部6dの間隔L3を6.5mm、保持凹部6d及び保持凹部6eの間隔L4を6.5mm、保持凹部6e及び保持凹部6fの間隔L5を8.0mmにしている。
【0022】
そして、かかるウォーターポンププライヤーによってナットPを挟持した結果を表1に示す。尚、図2中、1〜11の番号を付したものは、表1の各番号に対応したハンドル部端を示す。
【0023】
【表1】
また、保持凹部の間隔を7.5mmに統一したウォーターポンププライヤーによってナットを挟持した結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
表1と表2とを比較してわかるように、実施例(保持凹部が不等間隔のウォーターポンププライヤー)は、ハンドル部端の間隔の最大と最小の差が35.49mmであるのに対し、比較例(保持凹部が等間隔のウォーターポンププライヤー)は、ハンドル部端の間隔の最大と最小の差が38.89mmであり、実施例におけるハンドル部の開きのバラツキが抑えられていることがわかる。
【0026】
尚、本発明に係るウォーターポンププライヤーは、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて、保持凹部6の形状、数、間隔を変更することができる。また、保持凹部6は、スライド用長孔5の片側のみならず、両側に形成するものであってもよい。
【0027】
また、本発明は、スライド用長孔5の片側に形成した円弧状の保持凹部6にピン軸8を係止させることにより一対の挟持部4A,4Bのくち開き度を調整するプライヤーに限定されない。例えば、第一例として、一方の挟持杆1Aの枢着部3Aであって、他方の挟持杆1Bと対向する面に、円弧状の溝をスライド用長孔の長手方向に沿って複数並べて形成する一方、他方の挟持杆1Bの枢着部3Bであって、一方の挟持杆1Aと対向する面に、一方の挟持杆1Aに対する他方の挟持杆1Bの回転によって前記円弧状の溝に係入し得る円弧状の突起を形成し、複数の円弧状の溝に対する円弧状の突起の係入位置を変更することにより一対の挟持部4A,4Bのくち開き度を調整するウォーターポンププライヤーや、第二例として、一方の挟持杆1Aのスライド用長孔5の片側を鋸歯状に形成、即ち、スライド用長孔5の片側に三角形状の保持凹部を複数並べて形成する一方、三角形状の保持凹部に係止され得る突起体をピン軸に設け、この突起体を三角形状の保持凹部の方向に付勢するようにし、他方の挟持杆1Bをスライドさせて突起体を複数の保持凹部に対してラチェット的にスライドさせ、複数の三角形状の保持凹部に対する突起体の係止位置を変更することにより一対の挟持部4A,4Bのくち開き度を調整するウォーターポンププライヤー等、あらゆるウォーターポンププライヤーを採用することができる。
【0028】
そして、第一例の場合、一対の挟持杆1A,1Bのスライドを規制して挟持部4A,4Bのくち開き度を調整するための係止部は円弧状の溝であり、第二例の場合、かかる係止部はスライド用長孔5の片側に形成された鋸歯、即ち三角形状の保持凹部である。従って、把持対象物Pのサイズの相違に伴って生じるハンドル部2A,2Bの開きのバラツキを抑えるべく、第一例のウォーターポンププライヤーにあっては、円弧状の溝をスライド用長孔5の長手方向に対して不等間隔に形成し、第二例のウォーターポンププライヤーにあっては、三角形状の保持凹部をスライド用長孔5の長手方向に対して不等間隔に形成する。
【0029】
また、上記実施例では、保持凹部6の数を6個とし、これらの保持凹部6,…のそれぞれ間隔を所定の寸法に設定しているが、これは、保持凹部6a及び保持凹部6bの間隔L1が7.3〜7.7mm、保持凹部6b及び保持凹部6cの間隔L2が7.8〜8.2mm、保持凹部6c及び保持凹部6dの間隔L3が6.3〜6.7mm、保持凹部6d及び保持凹部6eの間隔L4が6.3〜6.7mm、保持凹部6e及び保持凹部6fの間隔L5が7.8〜8.2mmであるのが好ましい。
【0030】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係るウォーターポンププライヤーは、一方の挟持杆のスライド用長孔に複数形成された保持凹部をスライド用長孔の長手方向に対して不等間隔に形成したため、パイプ、丸棒、ナット等の把持対象物のサイズの相違に伴って生じるハンドル部の開きのバラツキを抑えることができ、使い勝手さの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るウォーターポンププライヤーであって、(イ)は、平面図、(ロ)は、側面図を示している。
【図2】同実施形態のウォーターポンププライヤーの背面図であって、ナットを挟持した状態を示している。
【符号の説明】
1…挟持杆、2…ハンドル部、2a…基部、2b…突部、3…枢着部、4…挟持部、5…スライド用長孔、6…保持凹部(係止部)、7…貫通孔、8…ピン軸、9…長孔、10…内歯、P…挟持対象物
Claims (1)
- 基部側をハンドル部(2)とし且つ先端側を挟持部(4)とした一対の挾持杆(1A,1B)を備え、直線状のスライド用長孔(5)を一方の挾持杆(1A)に形成すると共に、他方の挟持杆(1B)のピン軸(8)をスライド用長孔(5)に挿通して、一対の挾持杆(1A,1B)を互いにスライド可能にし、さらに、挟持杆(1A,1B)のスライドを規制して挟持部(4A,4B)のくち開き度を調整可能とするための複数の係止部(6,…)をスライド用長孔(5)の長手方向に沿って一方の挾持杆(1A)に形成したウォーターポンププライヤーにおいて、把持対象物(P)のサイズの相違に伴って生じるハンドル部(2A,2B)の開きのバラツキを抑えるべく、前記係止部(6,…)をスライド用長孔(5)の長手方向に対して不等間隔に形成してなることを特徴とするウォーターポンププライヤー。
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- 2000-03-10 JP JP2000065988A patent/JP3779855B2/ja not_active Expired - Lifetime
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