JP3779823B2 - レーダー装置及び類似装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーダー装置やソナー装置など、受信信号を高速でサンプルした後に、画像メモリに書き込み、映像を表示する装置に関する。
【0002】
図1は、本発明の前提であるレーダー装置のブロック図を示している。
【0003】
レーダーアンテナ1は、ある周期で水平面を回転しながら、別の周期でパルス状電波を発射すると同時に、物標で反射した電波を受信する。受信回路2はレーダーアンテナ1による受信信号を検波し増幅する。ADコンバータ3は、受信回路2で得られたアナログ信号をディジタル信号に変換する。一次メモリ4はAD変換された1スイープ分の信号を実時間で記憶し、次の送信により得られる信号が再び書き込まれるまでに、その1スイープ分のデータを画像メモリ7に書き込む際のバッファとして用いられる。この一次メモリ4に対して実時間でデータを書き込んでいる期間は、画像メモリにデータを転送することができないので、一次メモリと画像メモリの間にさらに二次メモリ5を設ける場合もある。この場合には、一次メモリ4の内容を二次メモリ5に書き込む時に同時に同じデータを画像メモリ7にも書き込み、一次メモリ4に実時間で新しいデータを書き込んでいる間にも、二次メモリ5のデータを画像メモリ7に書き込むことができる。このようにすると、相対的に低速の画像メモリ7に対するアクセス期間が長くなるために、画像メモリ7への書き込みが間に合わなくなる状態を防ぐことができる。
画像メモリ7は、アンテナ1回転で得られる受信データを記憶する容量を用い、図示しない表示制御部は、CRT8の走査に同期して画像メモリ7の内容を高速で読み出しCRT8へ出力する。CRT8は、画像メモリ7に記憶していた受信データのレベル値に従って画像を濃淡の階調または色別で表示する。
【0004】
セレクタ12は、一次メモリ4に実時間で書き込むWクロック(サンプルクロック)と、一次メモリ4から画像メモリ7に受信データを転送するための読み出しクロックを切り替える。サンプルクロックは、発振器9の出力を分周器10で1/m分周することにより得られる。後述のように分周比率1/mは縮尺設定部15により設定される縮尺に基づいて決められる。
【0005】
座標変換部13は、中心座標を開始番地として、中心から周辺に向かって、例えば船首方向を基準としたアンテナの角度θと、一次メモリ4(または二次メモリ5)の読み出し位置(Rクロックの計数値)とから、直交座標の画像メモリ7における対応画素の番地を作成する。
【0006】
座標変換部13は、具体的には次式を実現するハードウエアにより構成される。
【0007】
X=Xs+r・sinθ
Y=Ys+r・cosθ
ただし、
X、Y:画像メモリの画素を示す番地
Xs、Ys:中心番地
r:中心からの距離
θ:座標変換の角度
図2は、座標変換部13の回路例を示している。なお、図1の分周器11は、座標変換部13に入力するRクロックを分周して、一次メモリ4または二次メモリ5の読み出し速度を座標変換速度に対して落とすための手段である。これについては後述する。
【0008】
上記の構成において、探知信号は、幾何学上中心付近が密で周辺ほど粗となる。このため、中心付近ほど、画像メモリ7の同一番地に多くの受信データが対応することになる。また、一列のデータを画像メモリに書き込んでいる間においても、隣あった位置の受信データが画像メモリの同一番地に対応することがある。このように、同じ画素に対して複数の異なるデータが対応する場合には、単に上書きのみ行えば、後に書いたデータのみが残って先に書いたデータが無効となってしまう不都合が生じる。そこで、これを解決するために、例えば、同一番地に対応するすべての受信データのうち、一番大きなデータを書き込む処理(以下、MAX処理という)が実施されることがある。このMAX処理では、FIRST検出部14によって、画像メモリ7のある番地に対して初めてデータが書き込まれる場合(FIRST)か、2度目以降の場合かを検出し、Wデータ発生部6において、初めてデータの書き込みが行われる場合には今回受信されたデータをそのまま書き込むが、2度目以降の場合にはすでに書き込まれてあるデータと今回受信されたデータの大小を比較し、大きい方のデータを選択して書き込む。その結果、同一画素に対応するすべてのデータのうち最大値を取るデータを書き込むことができる。
【0009】
なお、映像の縮尺はサンプルクロックの周期を変更することで行われ、縮尺が大きくなるほど同クロックの周期を短くする。通常は、実時間でサンプルした1スイープ分のデータ数と、これを書き込む画像メモリ7の番地数とは1対1に対応させているが、縮尺を大きくしていって分周比率1/m(m≧1の整数)を大きくしていくと、ある時点で、回路の特性が追いつかなくなり、1対1の場合に必要とするサンプルクロック(t)でサンプルできなくなってくる。そこで、このような場合に、サンプルクロックの周期(t)より長い周期、例えば(mt)でサンプルし、1スイープ分のデータを一次メモリ4または二次メモリ5に記憶した状態で、データの読み出しは座標変換用Rクロックを分周器11で1/m分周したクロックで行い、座標変換動作の進度に対し1/mの比率で、1スイープ分のデータの読み出す速度を落とす。その結果、画像メモリ7の1画素に対して同じデータがm回にわたって書き込まれることになり、1対1に対応させた場合に比較して距離分解能が低下するが、画面上は設定された縮尺レンジで表示される。
【0010】
以上の構成のレーダー装置において、分周器10は、縮尺設定部15で設定された縮尺に応じて分周比率を変えるものであるが、従来のレーダー装置は、図3に示すように、任意の縮尺を設定するために複数の発振器9、9’を用い、セレクタ15によっていずれかの発振器を選択するようにしていた。その理由は次の通りである。
【0011】
分周器は、通常その整数倍で分周する。例えば、発振器9周期がtであるとすると、分周器10の出力はその整数倍であるt、2t、3t、...ntの周期を持つサンプルクロックとなる。しかし、特に電波の往復時間を計測するレーダー装置等の場合では、サンプルクロックの周波数が非常に高く、そのため、1つの発振器によって任意のサンプルクロックを発生するためには非常に高い周波数の発振器が必要になる。ところが、そのような超高周波の発振周波数を分周する分周器は非常に高価なものとなるために、図3に示すように、比較的低い発振周波数f1、f2を持つ通常の発振器9、9’を用意し(ここでは、一例として2つの発振器を示している)、これらの発振器の中から適切なものを選択して設定された縮尺に対応するサンプルクロックを得るようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の装置では、複数個の発振器を接続する必要があるとともに、縮尺の可変精度を高くすればその分発振器の数も増やさなければならないという問題があった。また、レーダー装置などにおいては、通常、nautical mile/statute mile/kirometer等の距離単位の変更による縮尺の変更を行うことがあるが、このような距離単位の変更を行う場合にもそれに応じて発振器を別途用意しなければならず、高コスト化するという不都合があった。
【0013】
本発明の目的は、発振器が1つで、且つその発振周波数を極めて高くしなくとも、任意の縮尺の映像を表示できるレーダー装置および類似装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、縮尺に応じて所定の周期のサンプルクロックを生成する分周器と、該周期のサンプルクロックでサンプルされた受信データを記憶する一次メモリと、この受信データを座標変換用クロックで極座標から直交座標に座標変換する座標変換手段と、座標変換された受信データを記憶する画像メモリとを備える装置において、
縮尺に応じて、前記分周器の分周比とともに周期Tに対する周期T1の比(T1/T)(T>T1)を定める縮尺設定手段を設け、
前記座標変換手段は、周期Tに対応する縮尺の設定時に、周期T1のクロックでサンプルした受信データを、座標変換用クロックを(T1/T)だけ減速したクロックで座標変換することを特徴とする。
【0015】
いま、レーダー画面Dにおいて縮尺Aに対応する周期T1で画像を表示した時、図4(A)に示すようになる。ここで、Nはサンプル数であって、ここでは、画素数と1対1で対応している。すなわち、サンプルクロック数と画素数はともにNである。
【0016】
図4(A)の状態から縮尺のより小さな縮尺Bを設定する場合に本発明が適用される。図4(B)は、縮尺Bに対応する周期Tで画像が表示される場合を示すが、この時、縮尺Bに対応する周期Tが何らかの理由によって設定されずに該周期が図4(A)に示すT1に保持されていた場合、レーダー画面Dの表示状態は図4(C)に示すようになる。すなわち、周期T1ではN1サンプル数のデータが得られるから、座標変換速度を同じとすれば、N1のデータとレーダー画面Dの関係は図4(C)に示すようになる。ここで、T・N=T1・N1である。そこで、本発明の座標変換手段では、座標変換クロックRをT1/Tだけ減速したクロックで座標変換する。その結果、N1のサンプル数のデータがNに圧縮されて図4(D)に示すように正しい縮尺で表示される。
【0017】
上記の作用により、縮尺Aから縮尺Bに変える場合に、分周比率を変えなくても縮尺Bの表示画像を得ることができる。従って、分周器がサンプルクロックT1を分周生成できるがTを分周生成できない場合でも、上記の手法で分周比率を変えることなく(T1を保持したまま)正しい縮尺で画像を表示することができる。このため、分周器は1つでよく、また、任意の縮尺を設定出来る。
【0018】
【発明の実施の形態】
図5は、本発明の実施形態であるレーダー装置のブロック図である。
【0019】
構成において、このレーダー装置が図1に示すレーダー装置と相違する点は、座標変換部13の構成が異なっていることと、縮尺設定部15から座標変換部13に対してK(=T1/T)の情報が入力されている点である。図3に示す従来のレーダー装置と異なり、発振器については1個の発振器9のみを使用し、またこの発振器9は極めて高い周波数を発振するものでもなく、通常の発振器である。
【0020】
図6は、座標変換部13の構成例である。図4(B)〜(D)に示すように、分周可能な周期T1に対応する縮尺Aから、分周のできない周期T(T1<T)の縮尺Bに切り替えた時、同縮尺Bで画像を正しく表示するには、周期T1でサンプルした後、座標変換のためのクロックRをK(=T1/T)の比率だけ減速させればよい。すなわち、距離r、角度θに対し、出力X、Yは以下の値になればよい。
【0021】
X=K・r・sinθ
Y=K・r・cosθ
ただし、Kは、座標変換用クロックRの進度1に対し、座標変換動作の進度を低減する比率で、
K=T1/T
T:設定された縮尺(図4では縮尺B)で1対1でサンプルする場合に必要とするサンプル周期。
【0022】
T1:設定された縮尺(図4では縮尺B)以外の縮尺(図4では縮尺A)で1対1でサンプルする場合に必要とするサンプル周期であって、設定された縮尺のサンプル動作に実際に使用したサンプル周期。ただし、T1<Tである。したがって、0<K≦1である。
【0023】
図6においては、sinθテーブル20とcosθテーブル21は、座標変換の角度θに対する正弦/余弦値を出力する。具体的には、正弦値余弦値を格納したROM等により構成できる。22、23は、sinθ、cosθに係数Kを掛ける乗算器である。したがって、乗算器22、23の出力は、それぞれK・sinθ、K・cosθとなる。24、25は、入力値をRクロック毎に加算する加算回路により構成する。以上の構成によって、上記式の演算回路を構成することができる。
【0024】
図7は座標変換部13の他の例を示している。
【0025】
累算器26は、係数KをRクロック毎に累算する回路で、図8にその構成例を示す。すなわち、加算器の一方の入力には係数Kを、他方にはこの加算器の出力値をRクロックでラッチしたラッチ回路28の出力を入力する。ラッチ回路28は、座標変換毎に変換が始まる時点でリセットされた後、Rクロックによりラッチ動作を行う。加算により発生するキャリー出力とRクロックとのAND出力には(AND回路29)、座標変換が始まった時点から入力したRクロックの数に対して、1/Kに低減された数のクロックが得られる。これにより、24、25において、1/Kに低減された数のクロック毎にsinθ、cosθを累算することにより、その出力に上記式に示したX、Yアドレスを得ることができる。
【0026】
図9は、縮尺変更時の動作を示すフローチャートである。
【0027】
ステップST1では、分周比率の計算処理を行う。
【0028】
今、サンプルクロック用の発振器9の周期をtとする。従って、サンプルクロック用周期は、t,2t,3t,....nt(nは整数)である。探知距離RをNドットで表現すると、
R=(C/2)・N・T
となる。
【0029】
分周比率nは、
INT(T/t)
で求める。従って、サンプル周期T1は、T1=n・tである。
ステップST2では、サンプル数N1を求める。
【0030】
サンプルクロック周期がn・t(=T1)のときのサンプル数N1は、
である。
【0031】
ステッフST3では、圧縮率Kを計算する。
【0032】
圧縮率Kは、
K=N/N1、または、
K=n・t/T
である。
【0033】
なお、INT(T/t)の計算で小数部がない場合、すなわち、T=n・tの場合は、K=1となり、図1の装置と同じ動作となる。
【0034】
以上のように、ある縮尺(図4では縮尺B)が設定された時、その縮尺(縮尺B)で1対1でサンプルする場合に必要とするサンプル周期Tよりも速い周期T1のクロックでサンプルした後、サンプルしたデータを画像メモリに書き込む時に座標変換用のクロックRを減速して書き込む。このようにすることで、図3に示す従来の装置のように複数個の発振器を用意しなくても任意の縮尺設定が可能である。したがって、例えば、nautical mileの距離単位からkirometerに距離単位を変更する場合(例えば1mile(1852m)を2000mに変更)には、分周器10が整数倍の分周しかできないとすると、通常の発振器9を使用する限り、1つの分周器で1対1に対応する必要な周期のサンプルクロックを生成できないが、座標変換部13を上記のように構成することでこのような距離単位の変更に対しても任意の縮尺画像を表示することができる。なお、座標変換速度の低減により、画像メモリの番地に変化がない場合が生じるが、このとき既に書いてあるデータと一次メモリの内容とを比較し、大きい方のデータをその番地に書くMAX処理が行われる。
【0035】
上記の周期T1は周期Tに近い方が好ましく、通常は、分周器10によって分周可能な周期のうち、T1<Tで、且つTに最も近いT1が選択される。また、以上の説明では、周期Tが分周器10の分周比率では生成できない例を示したが、周期Tが分周可能な装置に本発明が適用できないものではない。さらに、本発明は、レーダー装置のほかスキャニングソナー装置など、受信データを極座標から直交座標に座標変換する座標変換手段を備える類似の装置にも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、単一の発振器で任意の縮尺の画像を表示できるため、低コスト化を実現でき、また、より速いクロック(T1<T)でサンプルした後にそのサンプルで得たデータを圧縮して画像メモリに書き込むようにしているから分解能の劣化が小さいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるレーダー装置のブロック図
【図2】従来の座標変換部の構成図
【図3】従来の発振器の構成図
【図4】本発明をレーダー装置に適用した場合の作用を説明する図
【図5】本発明の実施形態であるレーダー装置のブロック図
【図6】座標変換部の構成図
【図7】座標変換部の他の例の構成図
【図8】累算器の構成図
【図9】動作を示すフローチャート
Claims (2)
- 縮尺に応じて所定の周期のサンプルクロックを生成する分周器と、該周期のサンプルクロックでサンプルされた受信データを記憶する一次メモリと、この受信データを座標変換用クロックで極座標から直交座標に座標変換する座標変換手段と、座標変換された受信データを記憶する画像メモリとを備える装置において、
縮尺に応じて、前記分周器の分周比とともに周期Tに対する周期T1の比(T1/T)(T>T1)を定める縮尺設定手段を設け、
周期Tに対応する縮尺の設定時に、前記座標変換手段は、前記周期T1のクロックでサンプルした受信データを、座標変換用クロックを前記比(T1/T)だけ減速したクロックで座標変換することを特徴とする、レーダー装置及び類似装置。 - 周期Tは分周器の分周比率では生成出来ない周期である、請求項1記載のレーダー装置及び類似装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18207598A JP3779823B2 (ja) | 1998-06-29 | 1998-06-29 | レーダー装置及び類似装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP18207598A JP3779823B2 (ja) | 1998-06-29 | 1998-06-29 | レーダー装置及び類似装置 |
Publications (2)
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---|---|
JP2000009824A JP2000009824A (ja) | 2000-01-14 |
JP3779823B2 true JP3779823B2 (ja) | 2006-05-31 |
Family
ID=16111920
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18207598A Expired - Lifetime JP3779823B2 (ja) | 1998-06-29 | 1998-06-29 | レーダー装置及び類似装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3779823B2 (ja) |
-
1998
- 1998-06-29 JP JP18207598A patent/JP3779823B2/ja not_active Expired - Lifetime
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