JP3777713B2 - クレーンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクレーンの制御装置に関し、詳しくは走行又は横行して吊荷を目標位置まで搬送するホイストクレーン等のクレーンの運転自動化に適するように、搬送中の荷振れを抑え、また目標位置に正確に停止させるクレーンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行又は横行して吊り荷を目標位置まで搬送するホイストクレーン等のクレーンの運転自動化を実現するに当たって、解決しなければならない主なものの一つに吊り荷の振れ止め・位置決め制御技術がある。図1はクレーンが移動するときの荷振れを表すクレーンモデル図である。
【0003】
図1に示すようにクレーンのトロリ11を駆動して所定の方向(X軸方向)に移動させるときに、ワイヤ12によって吊り下げられた吊り荷13が振れを起こすエネルギーは、駆動系(トロリ)の加速度の微分(加速度の変化率)に比例する。そこで、加速度変化率(ジャーク)を指定し、このジャークに基づいてトロリ11に対する速度指令を生成する。また、目標位置Bで滑らかにトロリ11を停止させるために、速度指令の変化率を一定に保った状態で目標位置Bにおいてトロリ11の駆動速度Vが0になるような速度パターンを発生する。
【0004】
このことを前提にして、従来は下記に詳述するように各運転モード(加速領域1、加速領域2、低速走行領域、減速領域1、減速領域2)においてそれぞれ速度指令を発生し位置制御を行うようにしていた。更に、各運転モードで発生する速度指令に吊り荷3の振れ角θをフィードバックすれば吊り荷3の振れを抑制することができるが、吊り荷3の振れを吊り荷3の移動速度vの変化と考えると、この吊り荷3の移動速度vに関して、移動速度vが振動的にならなければよいといえる、即ち、吊り荷3の振れ(駆動系に対する吊り荷の相対的な位置変化)があっても、吊り荷3の移動速度vが振動的にならなければよいとする。
【0005】
<位置制御>
目標位置にクレーンを停止するために、以下のように加速領域1、加速領域2、低速走行領域、減速領域1、減速領域2の各運転モードにおいてそれぞれ速度指令を発生する。
【0006】
▲1▼ 加速領域1:v<V/2 v:速度指令、V:目標速度(定速走行速度)
加速領域1ではクレーンを停止状態から目標速度(定速走行速度)Vの1/2になるまで、加速度変化率(ジャーク)Jを一定として加速する。即ち、次の(1)式に基づいて速度指令vを演算する。なお、制御装置では一定間隔Tごとに速度指令vを発生する。そして、速度指令vが目標速度Vの1/2になったら運転モードを加速領域1から加速領域2へ切り換える。また、この運転モードが切り換わった時間T1 を記憶しておく。
【0007】
v=0.5・J・t2 ・・・(1)
t:クレーンが始動してからの時間
【0008】
▲2▼ 加速領域2:V/2<v<V
加速領域2では、クレーンの駆動速度が目標速度Vになるまで、ジャークJを負で一定として加速し、二次曲線でのピークで目標速度Vに達するようにする。即ち、次の(2)式に基づいて速度指令vを演算する。そして、速度指令vが目標速度Vになったら運転モードを加速領域2から定速走行領域に切り換える。また、加速開始から目標速度Vに達したときまでのクレーンの移動距離Ld を記憶しておく。
【0009】
v=−0.5・J・(t−2・T1 )2 +V ・・・(2)
T1 :運転モードが加速領域1から加速領域2へ切り換わった時間
【0010】
▲3▼ 定速走行領域:Ld <Lm Lm :クレーンの位置から目標位置までの残り距離
定速走行領域では、クレーンは目標位置のLd 手前まで(Lm がLd に等しくなるまで)目標速度(定速走行速度)Vで走行する。即ち、次の(3)式に示すように速度指令vを設定する。そして、クレーンの位置から目標位置までの残り距離Lm がLd に等しくなったら運転モードを定速走行領域から減速領域1に切り換える。また、この運転モードが切り換わった時間T2 を記憶しておく。
【0011】
v=V ・・・(3)
【0012】
▲4▼ 減速領域1:V/2<v<V
減速領域1では、クレーンの駆動速度が目標速度(定速走行速度)の1/2になるまで、ジャークJを一定として減速する。この減速領域1では速度指令vのパターンが2次曲線を描くようにする。即ち、次の(4)式に基づいて速度指令vを演算する。速度指令vが目標速度Vの1/2になったら運転モードを減速領域1から減速領域2へ切り換える。
【0013】
v=−0.5・J・(t−T2 )2 +V ・・・(4)
T2 :運転モードが定速走行領域から減速領域に切り換わった時間
【0014】
▲5▼ 減速領域2 :0<v<V/2
減速領域2では、目標位置でクレーンの駆動速度が0となるように速度指令vを与える。この場合、目標位置で、クレーンの駆動速度は2次曲線の最小値になるようにする。
【0015】
即ち、加速度変化率(ジャーク)をJn 、クレーンが停止するまでの時間をTd とすると、現在のクレーンの駆動速度vn 、クレーンの位置から目標位置までの残り距離Lm は、
【0016】
vn =0.5・Jn ・Td 2 ・・・(5)
Lm =Jn ・Td 3 /6 ・・・(6)
【0017】
となるので、この(5)、(6)式から次の(7)、(8)式のようにTd 、Jn が導出される。
【0018】
Td =3・Lm /vn ・・・(7)
Jn =2・vn /Td 2 ・・・(8)
【0019】
従って、この(7)、(8)式から求めたTd 、Jn を用いて、次の(9)式から次回の速度指令vn+1 を演算する。
【0020】
vn+1 =0.5・Jn ・(Td −T)2 ・・・(9)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の位置制御では次のような問題点がある。
【0022】
▲1▼ クレーンの減速時に荷振れを起こさないようにするためにはスムースに減速領域1から減速領域2へと運転モードの切り換わりが行われる必要があるが、上記のように、速度指令vが目標速度(定速走行速度)Vの1/2になったことを減速領域1から減速領域2へ切り換える条件とすると、クレーンの加速度が不連続となり、荷振れを発生する原因となる。
【0023】
▲2▼ 実際のシステムでは、制御装置で演算したクレーン(トロリ)の速度指令をインバータに渡し、このインバータで前記速度指令に基づいてトロリの駆動モータの速度制御を行っているが、前記速度指令の受け渡しに際して無駄時間があるため、クレーンを目標位置に停止させる際に、クレーンが目標位置を行き過ぎてしまう(オーバーシュートしてしまう)。
【0024】
従って本発明は上記従来技術に鑑み、クレーンの減速時における運転モードの切り換えをクレーンの加速度が不連続とならずにスムースに行うことができるクレーンの制御装置を提供することを第1課題とする。
【0025】
また、制御系に無駄時間があってもクレーンをオーバシュートさせずに目標位置に正確に停止させることができるクレーンの制御装置を提供することを第2課題とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記第1課題を解決する第1発明のクレーンの制御装置は、クレーンが所定の方向に移動して目標位置まで吊り荷を搬送するように前記クレーンを制御する制御装置であって、
所定の第1加速度変化率に基づいて前記クレーンへの速度指令を演算する第1減速領域から、前記クレーンの位置から前記目標位置までの残り距離に基づいて第2加速度変化率を演算しこの第2加速度変化率に基づいて前記クレーンへの速度指令を演算する第2減速領域へと運転モードを切り換える際には、この運転モードの切り換え前に、前記第1減速領域において前記第2減速領域における演算と同じようにして前記第2加速度変化率を演算し、この第2加速度変化率と前記第1加速度変化率とを比較して、前記第2加速度変化率の絶対値が前記第1加速度変化率の絶対値よりも大きくなったときに、前記第1減速領域から前記第2減速領域へと運転モードを切り換えることを特徴とする。
【0027】
従って、この第1発明のクレーンの制御装置によれば、運転モードを第1加速領域から第2加速領域へ切り換える前に、第1加速領域において第2加速領域における演算と同じようにして第2加速度変化率を演算し、この第2加速度変化率の絶対値が第1加速度変化率の絶対値よりも大きくなったときに、第1減速領域から前記第2減速領域へと運転モードを切り換えるため、クレーンの加速度が不連続とならずにスムースに第1減速領域から第2減速領域へと切り換えることができる。
【0028】
また、上記第2課題を解決する第2発明のクレーンの制御装置は、クレーンが所定の方向に移動して目標位置まで吊り荷を搬送するように前記クレーンを制御する制御装置であって、
前記クレーンの位置から前記目標位置までの残り距離に基づいて加速度変化率を演算しこの加速度変化率に基づいて前記クレーンへの速度指令を演算する減速領域の運転モードでは、現時点から制御系の無駄時間分だけ経過した時点での前記残り距離を予測演算し、この予測演算した残り距離に基づいて前記加速度変化率を演算することを特徴とする。
【0029】
従って、この第2発明のクレーンの制御装置によれば、制御系の無駄時間を考慮して、現時点からこの無駄時間分だけ経過した時点での残り距離を予測演算し、この予測演算した残り距離に基づいて加速度変化率を演算し、この加速度変化率に基づいて速度指令を演算するため、制御系に無駄時間があっても、クレーンをオーバシュートさせることなく目標位置に正確に停止させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
<基本的な考え方>
図1に示すようにクレーンのトロリ11を駆動して所定の方向(X軸方向)に移動させるときに、ワイヤ12によって吊り下げられた吊り荷13が振れを起こすエネルギーは、駆動系(トロリ)の加速度の微分(加速度の変化率)に比例する。そこで、本実施の形態においても従来と同様に、加速度変化率(ジャーク)を指定し、このジャークに基づいてトロリ11に対する速度指令を生成する。また、目標位置Bで滑らかにトロリ11を停止させるために、速度指令の変化率を一定に保った状態で目標位置Bにおいてトロリ11の駆動速度Vが0になるような速度パターンを発生する。
【0032】
そして更に、上記の課題を解決するために、(a)減速領域での運転モードの切り換え方法の変更、(b)制御系の無駄時間を考慮した速度指令値演算、を行う。
【0033】
このことを前提にして、本実施の形態では下記に詳述するように各運転モード(加速領域1、加速領域2、低速走行領域、減速領域1、減速領域2)においてそれぞれ速度指令を生成するようにして位置制御を行う。更に、本実施の形態においても従来と同様に、各運転モードで発生する速度指令に吊り荷3の振れ角θをフィードバックすれば吊り荷3の振れを抑制することができるが、吊り荷3の振れを吊り荷3の移動速度vの変化と考えると、この吊り荷3の移動速度vに関して、移動速度vが振動的にならなければよいといえる、即ち、吊り荷3の振れ(駆動系に対する吊り荷の相対的な位置変化)があっても、吊り荷3の移動速度vが振動的にならなければよいとする。
【0034】
<位置制御>
目標位置にクレーンを停止するために、以下のように加速領域1、加速領域2、低速走行領域、減速領域1、減速領域2の各運転モードにおいてそれぞれ速度指令を発生する。
【0035】
▲1▼ 加速領域1:v<V/2 v:速度指令、V:目標速度(定速走行速度)
加速領域1ではクレーンを停止状態から目標速度(定速走行速度)Vの1/2になるまで、加速度変化率(ジャーク)Hを一定として加速する。即ち、次の(10)式に基づいて速度指令vを演算する。なお、制御装置では一定間隔Tごとに速度指令vを発生する。そして速度指令vが目標速度Vの1/2になったら運転モードを加速領域1から加速領域2へ切り換える。また、この運転モードが切り換わった時間T1 を記憶しておく。
【0036】
v=0.5・H・t2 ・・・(10)
t:クレーンが始動してからの時間
【0037】
▲2▼ 加速領域2:V/2<v<V
加速領域2では、クレーンの駆動速度が目標速度Vになるまで、ジャークHを負で一定として加速し、二次曲線でのピークで目標速度Vに達するようにする。即ち、次の(11)式に基づいて速度指令vを演算する。そして速度指令vが目標速度Vになったら運転モードを加速領域2から定速走行領域に切り換える。また、加速開始から目標速度Vに達したときまでのクレーンの移動距離Ld を記憶しておく。
【0038】
v=−0.5・H・(t−2・T1 )2 +V ・・・(11)
T1 :運転モードが加速領域1から加速領域2へ切り換わった時間
【0039】
▲3▼ 定速走行領域:Ld <Lm Lm :クレーンの位置から目標位置までの残り距離
定速走行領域では、クレーンは目標位置のLd 手前まで(Lm がLd に等しくなるまで)目標速度(定速走行速度)Vで走行する。即ち、次の(12)式に示すように速度指令vを設定する。そして、クレーンの位置から目標位置までの残り距離Lm がLd に等しくなったら運転モードを定速走行領域から減速領域1に切り換える。また、この運転モードが切り換わった時間T2 を記憶しておく。
【0040】
v=V ・・・(12)
【0041】
▲4▼ 減速領域1:約V/2<v<V
減速領域1では、クレーンの駆動速度が目標速度(定速走行速度)の1/2になるまで、ジャークHを一定として減速する。この減速領域1では速度指令vのパターンが2次曲線を描くようにする。即ち、次の(13)式に基づいて速度指令vを演算する。
【0042】
v=−0.5・H・(t−T2 )2 +V ・・・(13)
T2 :運転モードが定速走行領域から減速領域に切り換わった時間
【0043】
更に、この減速領域1では、減速領域2の(15)式と同じ演算を行い、この(15)式から求められたジャークHと上記(13)式におけるジャークH(設定値)とを比較する。そして、(15)式から求められたジャークHの絶対値が上記(13)式におけるジャークHの絶対値よりも大きくなったときに、運転モードを減速領域1から減速領域2へ切り換える。
【0044】
▲5▼ 減速領域2 :0<v<約V/2
減速領域2では、目標位置でクレーンの駆動速度が0となるように速度指令vを与える。この場合、目標位置で、クレーンの駆動速度は2次曲線の最小値になるようにする。
【0045】
そして、実際のシステムでは制御装置(シーケンサ)からインバータへの速度指令の受け渡しにおける無駄時間を含めて制御系に速度応答の遅れがあり、加速度の変化が大きい場合には、この遅れが位置精度に悪影響を与えることになるため、この減速領域2では、これに対する補償を行う。
【0046】
即ち、速度指令値がクレーンの実速度に反映されるまでに無駄時間(n・Ts)があるとすると、制御装置ではn・Ts時間先の速度指令値を演算することになるので、次の(14)式からn・Ts時間先の残り距離を予測演算し、この予測演算した残り距離に基づいて(15)式からジャークを演算し、この演算したジャークに基づいて(16)式から速度指令を演算する。Te は減速を開始してから停止するまでの時間である。
【0047】
【数1】
【0048】
なお、実験に用いたシステムではサンプリング期間が0.1secで、遅れは2サンプリング期間(0.2sec)であった。
【0049】
以上の基本的な考え方に基づき、振れ止め・位置決め制御装置の構成は図2のブロック図に示すような構成となる。
【0050】
図2に示すシステムは、駆動系(インバータやモータを含む)を備えたクレーン本体21と、このクレーン本体21に速度指令を与える制御装置22とから構成されている。クレーン本体21から制御装置22へはクレーン位置、振れ角及びワイヤ長が出力され、逆に、制御装置22からクレーン本体21へは速度指令が出力される。
【0051】
制御装置22の位置制御ブロック22aでは、クレーン位置と位置指令(目標位置)とから目標位置までの残り距離を求め、この残り距離等に基づいて上記の如く運転モード(加速領域1、加速領域2、定速走行領域、減速領域1、減速領域2)の切り換えを行い、それぞれの運転モードで上記のようにして位置制御速度指令を求め、この位置制御速度指令を速度指令生成ブロック22bへ出力する。
【0052】
特に、運転モードを減速領域1から減速領域2へと切り換える際には、上記のように、加速領域1から加速領域2へ切り換える前に、加速領域1において加速領域2における演算と同じように(15)式からジャークを演算し、このジャークと減速領域1の(13)式におけるジャーク(設定値)とを比較して、(15)式から求めたジャークの絶対値が、減速領域1の(13)式おけるジャークの絶対値よりも大きくなったときに、減速領域1から減速領域2へと運転モードを切り換える。
【0053】
また、減速領域2では、上記のように、制御系の無駄時間を考慮して、現時点からこの無駄時間分だけ経過した時点での残り距離を(14)式から予測演算し、この予測演算した残り距離に基づいて(15)式からジャークを演算し、このジャークに基づいて(16)式から速度指令を演算する。
【0054】
一方、振れ止めブロック22cでは、吊り荷の重心位置とワイヤ長とで吊り荷の重心までの長さ(図1中のL参照)を求め、この長さによって補正したゲインKと振れ角とによって振れ角制御速度指令を求め、この振れ角制御速度指令を速度指令生成ブロック22bへ出力する。
【0055】
そして速度指令生成ブロック22cでは、位置制御速度指令と振れ角制御速度指令とを加え合わせて速度指令を生成し、この速度指令を駆動系のインバータへ出力する。このように各運転モードについてゲインKの補正をした振れ角速度指令をフィードバックすることにより、振れ角の抑制を行うことができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態にかかるクレーンの制御装置によれば、運転モードを減速領域1から減速領域2へと切り換える際には、加速領域1から加速領域2へ切り換える前に、加速領域1において加速領域2における演算と同じように(15)式からジャークを演算し、このジャークと減速領域1の(13)式におけるジャーク(設定値)とを比較して、(15)式から演算したジャークの絶対値が(13)式におけるジャークの絶対値よりも大きくなったときに、減速領域1から減速領域2へと運転モードを切り換えるため、クレーンの加速度が不連続とならずにスムースに減速領域1から減速領域2へと切り換えることができる。このため、速度指令の不連続性が緩和され、クレーンが目標位置に停止したときの荷振れが少なく、精度のよい位置決めを行うことができる。
【0057】
また、制御系の無駄時間を考慮して、現時点からこの無駄時間分だけ経過した時点での残り距離を(14)式から予測演算し、この予測演算した残り距離に基づいて(15)式から加速度変化率を演算し、この加速度変化率に基づいて(16)式から速度指令を演算するため、制御系に無駄時間があっても、クレーンをオーバシュートさせることなく目標位置に正確に停止させることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態と共に具体的に説明したように、第1発明のクレーンの制御装置によれば、運転モードを第1減速領域から第2減速領域へと切り換える際には、第1加速領域から第2加速領域へ切り換える前に第1加速領域において第2加速領域における演算と同じようにして第2加速度変化率を演算し、この第2加速度変化率の絶対値が第1加速度変化率の絶対値よりも大きくなったときに減速領域1から減速領域2へと運転モードを切り換えるため、クレーンの加速度が不連続とならずにスムースに第1減速領域から第2減速領域へと切り換えることができる。このため、速度指令の不連続性が緩和され、クレーンが目標位置に停止したときの荷振れが少なく、精度のよい位置決めを行うことができる。
【0059】
また、第2発明のクレーンの制御装置によれば、制御系の無駄時間を考慮して、現時点からこの無駄時間分だけ経過した時点での残り距離を予測演算し、この予測演算した残り距離に基づいて加速度変化率を演算し、この加速度変化率に基づいて速度指令を演算するため、制御系に無駄時間があっても、クレーンをオーバシュートさせることなく目標位置に正確に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレーンが移動するときの荷振れを表すクレーンモデル図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るクレーンの制御装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
21 クレーン本体(トロリ)
22 制御装置
22a 位置制御ブロック
22b 速度指令生成ブロック
22c 振れ止めブロック
Claims (2)
- クレーンが所定の方向に移動して目標位置まで吊り荷を搬送するように前記クレーンを制御する制御装置であって、
所定の第1加速度変化率に基づいて前記クレーンへの速度指令を演算する第1減速領域から、前記クレーンの位置から前記目標位置までの残り距離に基づいて第2加速度変化率を演算しこの第2加速度変化率に基づいて前記クレーンへの速度指令を演算する第2減速領域へと運転モードを切り換える際には、この運転モードの切り換え前に、前記第1減速領域において前記第2減速領域における演算と同じようにして前記第2加速度変化率を演算し、この第2加速度変化率と前記第1加速度変化率とを比較して、前記第2加速度変化率の絶対値が前記第1加速度変化率の絶対値よりも大きくなったときに、前記第1減速領域から前記第2減速領域へと運転モードを切り換えることを特徴とするクレーンの制御装置。 - クレーンが所定の方向に移動して目標位置まで吊り荷を搬送するように前記クレーンを制御する制御装置であって、
前記クレーンの位置から前記目標位置までの残り距離に基づいて加速度変化率を演算しこの加速度変化率に基づいて前記クレーンへの速度指令を演算する減速領域の運転モードでは、現時点から制御系の無駄時間分だけ経過した時点での前記残り距離を予測演算し、この予測演算した残り距離に基づいて前記加速度変化率を演算することを特徴とするクレーンの制御装置。
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